(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】鳥類退散装置
(51)【国際特許分類】
A01M 29/16 20110101AFI20220929BHJP
【FI】
A01M29/16
(21)【出願番号】P 2022097344
(22)【出願日】2022-06-16
【審査請求日】2022-06-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399028078
【氏名又は名称】ハイソル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 和幸
(72)【発明者】
【氏名】川下 紗矢香
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-059156(JP,A)
【文献】特開2001-112400(JP,A)
【文献】特開平03-191740(JP,A)
【文献】登録実用新案第3177796(JP,U)
【文献】Amazon|鳥よけ 防鳥 音 ソーラーバードアウェイ 2個 鳥獣対策 鳥害 獣害 害獣 国華園|DIY・工具・ガーデン,2019年02月13日,インターネット<URL:https://www.amazon.co.jp/鳥よけ-防鳥-ソーラーバードアウェイ-鳥獣対策-国華園/dp/B07NPL3B4T?th=1>
【文献】[140]音で鳥を寄せ付けない・センサーで防犯バードチェイサー,2014年04月24日,インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=e7fTsZLPyIQ>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/00 - 29/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の猛禽類の鳴き声を出力する音源と、
前記音源が出力する複数種類の鳴き声の何れかを選択し、またはこれら複数種類の鳴き声を混合するミキサと、
前記
ミキサが出力した鳴き声を放音するスピーカと
、
所定温度の物体の接近状態を検出する接近センサと、を備え、
前記ミキサは、前記物体の接近距離に応じて、前記猛禽類の種類を変更し、または混合する鳴き声の数を変更する
ことを特徴とする鳥類退散装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鳥類退散装置であって、
前記猛禽類は、タカ、ハヤブサおよびワシの何れか一つまたはこれらの組合せである
ことを特徴とする鳥類退散装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラス等の鳥類を退散させる鳥類退散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラスによりゴミ置き場が荒らされると、生ゴミ等が散乱し、住環境に悪影響を及ぼす場合がある。カラスによるゴミ被害を低減する対策機器は種々考案されている。
例えば、特許文献1には、閃光点滅と威嚇音(銃音や人の怒声等)を突発的に発せしめることによって鳥獣を驚愕・畏怖・退散せしめる技術が開示されている。また、特許文献1には、「光は閃光的なものが良く、音は突発的な発音、例えば、銃声、爆音、人の怒声などの効果が大きい」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-158372号公報(段落0013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、突発的な音として、例えば、銃声、爆音、人の怒声などを放音している。しかしながら、銃声や爆音を住宅地で放音すると騒音問題が発生する。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、騒音になりにくいカラス退散装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の鳥類退散装置は、複数種類の猛禽類(例えば、ワシ、タカ、ハヤブサ、フクロウ)の鳴き声を出力する音源(1)と、前記音源が出力する複数種類の鳴き声の何れかを選択し、またはこれら複数種類の鳴き声を混合するミキサ(2)と、前記ミキサが出力した鳴き声を放音するスピーカ(4)と、所定温度の物体の接近状態を検出する接近センサと、を備え、前記ミキサは、前記物体の接近距離(D)に応じて、前記猛禽類の種類を変更し、または混合する鳴き声の数を変更することを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。
【0007】
猛禽類の鳴き声によって、カラス、スズメやハト等の鳥類が退散する。また、猛禽類の鳴き声は、一般的に高音(超音波を含む。)であり、人間に聞こえにくいので、騒音になりにくい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、騒音になりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態の鳥類退散装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態の鳥類退散装置の構成図である。
カラス退散装置10は、音源1と、セレクタ/ミキサ2と、増幅器3と、スピーカ4と、タイマ5と、接近センサ6とを備える。カラス退散装置10は、スピーカ4から放音される猛禽類の鳴き声でカラスを退散させるものであり、例えば、住宅地のゴミ置き場に設置される。なお、カラス退散装置10は、カラスだけでなく、スズメやハト等を含めた鳥類を退散させることもできる。なお、鳥類には、鳴き声を放音する猛禽類を除くことが好ましい。
【0012】
音源1は、猛禽類の鳴き声の音声信号を出力する。猛禽類の鳴き声は、一般的に高音であるとされており、人間には音量の割に小さな音で聞こえる。音源1は、タカ(鷹)の鳴き声の音声信号を出力する音源1aと、ワシ(鷲)の鳴き声の音声信号を出力する音源1bと、フクロウ(梟)の鳴き声の音声信号を出力する音源1cと、ハヤブサ(隼)の鳴き声を出力する音源1dとを備える。この音源1a,1b,1c,1dは、例えば、鳴き声の音声ファイルが格納された不揮発性記憶部である。なお、タカ(鷹)は「ピィ!」や「カッ!」と鳴き、ワシ(鷲)は「ピィーー」や「ピィピィ」と鳴き、ハヤブサ(隼)は、「キィーキィーキィー」と鳴き、フクロウ(梟)は「ホーホー」と鳴く。
【0013】
セレクタ/ミキサ2は、音源1a,1b,1c,1dが出力する、複数種類の鳴き声の音声信号から何れか一つを選択して、増幅器3に出力する。この音声信号の選択は、タイマ5によって所定周期またはランダムな間隔で行われる。つまり、セレクタ/ミキサ2は、複数の鳴き声(本実施形態では四種類の鳴き声)のうちの少なくとも一の種類の鳴き声を出力した後に、他の種類の鳴き声を出力する。例えば、セレクタ/ミキサ2は、タカからワシ、ワシからフクロウ、フクロウからハヤブサの鳴き声に自動的に切り替えて、切り替えられた音声信号を増幅器3に出力する。これにより、特定の猛禽類の鳴き声に慣れたとしても、他の種類の猛禽類の鳴き声に驚いて、カラスが退散する。セレクタ/ミキサ2が選択する鳴き声の順序は、予め決められたものでもよいが、慣れ防止の観点から、ランダムにすることが好ましい。
【0014】
また、セレクタ/ミキサ2は、タカ、ワシ、フクロウ、ハヤブサの4種類の鳴き声から2種類または3種類の鳴き声を組み合わせて合成することもできる。例えば、セレクタ/ミキサ2は、タカ、ハヤブサおよびワシを組み合わせて合成することができる。増幅器3は、セレクタ/ミキサ2が出力する音声信号を電力増幅し、スピーカ4に出力する。なお、セレクタ/ミキサ2の出力側または増幅器3の入力側にA/Dコンバータが内蔵されており、デジタル信号がアナログ信号に変換される。スピーカ4は、増幅器3により増幅された音声信号を音波に変換して空気中に放音する。なお、音源1とセレクタ/ミキサ2とタイマ5とを併せて、音源と考えることもできる。
【0015】
接近センサ6は、例えば、赤外線センサであり、所定温度の物体が所定の距離D以内に接近したことを検出する。一般に、鳥類の体温は高いので、赤外線センサは、設定温度を人体よりも高くする。これにより、カラスの認識率が高まり、人体等に対する反応が鈍くなる。なお、接近センサは、撮像カメラの撮像画像を画像認識してカラスの接近を検出するものでも構わない。
【0016】
接近センサ6がカラスの接近を検知すると、検知信号がセレクタ/ミキサ2およびタイマ5に送られ、セレクタ/ミキサ2およびタイマ5が作動する。セレクタ/ミキサ2が作動すると、まず、複数の鳴き声の中から少なくとも一の種類の鳴き声が増幅器3に出力される。タイマ5からは、所定周期またはランダムな間隔で制御信号がセレクタ/ミキサ2に出力され、セレクタ/ミキサ2は、制御信号を受信する度に、複数の鳴き声の中から少なくとも一の種類の鳴き声を選択し、増幅器3に出力する。タイマ5は、接近センサ6からの検知信号が途絶えるまで、制御信号をセレクタ/ミキサ2に出力する。なお、タイマ5の作動終了時間を予め設定しておき、接近センサ6がカラスの接近を検知した後、一定時間の間、制御信号をセレクタ/ミキサ2に出力するように構成してもよい。
【0017】
以上説明したように、本実施形態のカラス退散装置10によれば、猛禽類(例えば、タカ、ワシ、フクロウ、ハヤブサ)の鳴き声がスピーカ4から放音される。放音により、人間が近づいても逃げなくなったカラスを退散させることができる。また、猛禽類の鳴き声は、一般的に高音(超音波を含む。)なので、人間には音量の割に小さな音で聞こえる。そのため、スピーカ4から放音される鳴き声は、人間にとって騒音になりにくい。
【0018】
また、カラス退散装置10は、所定周期またはランダムな周期で、猛禽類の種類を変えて、スピーカ4から鳴き声を放音する。これにより、一種類の猛禽類の鳴き声に慣れたカラスであっても、他の種類の猛禽類の鳴き声に驚いて、退散する。また、カラス退散装置10は、接近センサ6を設けたので、カラスが近づいたときに、スピーカ4から鳴き声が放音される。これにより、カラスがいないときには、スピーカ4から鳴き声が放音されない。
【0019】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記実施形態では、接近センサ6を用いて、カラスが近づいたときにスピーカ4から放音させたが、カラスと接近センサ6との距離Dに応じて、猛禽類の鳴き声の種類を変えても構わない。例えば、カラスが遠くにいるときには、タカ、ワシやハヤブサの鳴き声を放音させ、カラスが近づいたときには、フクロウの鳴き声を放音させることが考えられる。カラスと接近センサ6との距離Dに応じて、猛禽類の鳴き声の数を変えても構わない。例えば、カラスが遠くにいるときには、一種類の鳴き声を放音させ、カラスが近づいたときには、二種類以上の鳴き声を放音させることが考えられる。
(2)接近センサ6の検知時間に応じて、猛禽類の鳴き声の数を変えても構わない。例えば、接近センサ6が検知信号を出力し始めてから所定時間は、一種類の鳴き声を放音させ、所定時間経過後は、二種類以上の鳴き声を放音させることが考えられる。
(3)カラスと接近センサ6との距離Dあるいは接近センサ6の検知時間に応じて、猛禽類の鳴き声の音量を変えても構わない。例えば、距離Dが小さくなるにつれて、あるいは、検知時間が長くなるにつれて、鳴き声の音量を大きくすることが考えられる。
【符号の説明】
【0020】
1,1a,1b,1c,1d 音源
2 セレクタ/ミキサ
3 増幅器
4 スピーカ
5 タイマ
6 接近センサ
10 カラス退散装置(鳥類退散装置)
【要約】
【課題】人間にとって、騒音になりにくい。。
【解決手段】猛禽類(ワシ、タカ、ハヤブサ、フクロウ)の鳴き声を出力する音源1と、音源が出力した鳴き声を放音するスピーカ4とを備える。これによって、カラス等の鳥類が退散させられる。音源1は、特定の猛禽類の鳴き声の後に、猛禽類の種類を変えた鳴き声を出力する。また、鳥類との距離を検出する接近センサを備え、距離に応じて、スピーカ4から放音する鳴き声を変える。
【選択図】
図1