(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】照明放射線を用いて眼インプラントにエネルギーを供給し且つ/又は眼インプラントと通信する装置
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20220929BHJP
A61F 2/14 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61F9/007 190Z
A61F2/14
(21)【出願番号】P 2019554532
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2018057107
(87)【国際公開番号】W WO2018184837
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】102017107346.9
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510339832
【氏名又は名称】カール・ツァイス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS AG
【住所又は居所原語表記】Carl-Zeiss-Strasse 22, 73447 Oberkochen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】ノービス、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット-マンデルバッハ、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ブプリッツ、ダニエル
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-315773(JP,A)
【文献】国際公開第2015/101932(WO,A2)
【文献】特開2003-167212(JP,A)
【文献】国際公開第2009/066475(WO,A1)
【文献】特表2012-520697(JP,A)
【文献】特表2007-504914(JP,A)
【文献】国際公開第2017/144421(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/14 - 2/16
A61F 9/007
H02J 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明放射線によって眼用インプラントにエネルギーを供給し且つ/又は前記眼用インプラントと通信する装置であって、前記装置(1)が、
使用者の眼球の照明位置を設定する位置決めユニット(3)と、
前記照明放射線(10)が前記装置(1)に供給可能であるようにする光学入力インタフェースと、
照明光学ユニット(7)と、
を備え、
前記照明光学ユニット(7)が、空気中で少なくとも0.1mmの横方向の広がりを有する焦点(16)が存在するように、且つ、前記使用者の前記眼球が前記設定された照明位置にあるとき、前記照明放射線(10)が収束ビームとして前記眼球(14)内に入り、その結果、前記眼球(14)内に前記焦点(16)があるように、前記供給される照明放射線(10)を集束さ
せ、
前記照明光学ユニット(7)が、前記使用者の前記眼球が前記設定された照明位置にあるとき、前記焦点が前記眼球の瞳孔と前記眼球の回転中心との間にあるように具現化される、装置。
【請求項2】
前記照明光学ユニット(7)が、前記焦点(16)の前記横方向の広がりをもたらす散乱効果を有する光学素子を備える、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記照明光学ユニットが、前記焦点が湾曲面にあるように前記照明放射線を結像する、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記照明光学ユニットが、前記面が球状に湾曲し、
前記使用者の眼球が前記設定された照明位置にある場合、前記球面の曲率中心が前記眼球の前記回転中心に位置し、前記球面が前記眼球の前記瞳孔を通って延在するように具現化される、請求項
3に記載の装置。
【請求項5】
前記照明光沢ユニット(7)が、前記使用者の前記眼球が前記設定された照明位置にある場合、前記眼球の前記回転中心への前記照明放射線の非テレセントリック結像を実行するように具現化される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記照明光学ユニット(7)が、前記使用者の前記眼球が設定された照明位置にある場合、前記焦点が前記眼球の前記回転中心に位置するように、前記照明放射線ビームのテレセントリック結像を実行するように具現化される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記照明光学ユニット(7)が、前記使用者の前記眼球が前記設定された照明位置にある場合、前記焦点が前記眼球の前記瞳孔に位置するように、テレセントリックに前記照明放射線を結像するように具現化される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記照明放射線(10)を放射する光源(6)を備える、請求項1~
7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記位置決めユニット(3)が、前記使用者の前記頭部上に配置することができるユニットとして具現化される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明放射線を用いて眼用インプラントにエネルギーを供給し且つ/又は眼用インプラントと通信する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体適合性電子機器又は生体適合性があるように封入された電子機器の開発及びバイオニクスの一般的な進歩により、通常医療上の理由で、体内に植え込まれる多くの新規なセンサ及びアクチュエータがもたらされてきた。電子部品の継続的な小型化のために、ヒトの眼内への外科用インプラントさえも今では可能となった。
【0003】
応用分野に応じて、こうしたインプラントは、角膜の領域に(たとえば、電子コンタクトレンズ)、前眼房に又は水晶体若しくは虹彩の付近に(たとえば、眼内レンズ、機械的虹彩、前眼房センサ)、硝子体液内に、及び網膜の上に(たとえば、視力を回復するための網膜インプラント(人工網膜))導入することができる。
【0004】
通常、こうした電子部品の動作のためには安定したエネルギーの供給が必要である。複雑な外科的介入の結果として、バッテリの使用、又はバッテリの定期的な交換は、問題外である。代わりに、エネルギーは、通常、誘導的方法によって供給される。この目的で、体内の実際のインプラントの付近にさらなる導体ループが導入される。しかしながら、これには、特に眼に近接する電子部品の場合、多くの外科的費用が必要であり、且つ、これによって医学的合併症のリスクが上昇する。
【0005】
代替的なオプションは、光によってインプラントを照明することにある。この目的で、好ましくは、可視スペクトル域外の光、たとえば赤外光又は紫外光が使用される。通常、この提供される光は、ヒトの眼及び/又はインプラントの通常の機能に対して煩わしいものではない。したがって、インプラントが、利用可能な対応する高感度の受信器(太陽電池)を有する場合、照明光で伝達される電力をエネルギー源として使用することができる。
【0006】
さらなる応用は、インプラントと通信する目的でこの伝達方法を採用することからなる。この場合、インプラントは、同様に、受信器(フォトダイオード)及び任意選択的に送信器(光源)を必要とする。この場合、伝達エネルギーは、二の次である。目標は、情報の伝達にある。例として、これは、伝達される放射線の強度又は周波数を変調することによって実施される。
【0007】
網膜インプラントの場合、眼の構成部分の結像特性が影響を与えるというさらなる難点がある。
【0008】
特許文献1は、視力の部分的回復のための網膜インプラントの場合の照明システムを記載している。そこでは、コヒーレント点光源が結像され、コリメータ及び光導波路を介して眼鏡レンズの内部に集束される。眼鏡レンズから出射する放射線、その場合は発散放射線は、眼球の瞳孔を照明し、網膜の上に、その用途には十分に大きい照明円形スポットをもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、眼球が数度わずかに回転する場合、提供される光は、眼球の瞳孔の上でぼかされ、網膜まで到達しなくなる。眼球のわずかな、たとえば1mmの横方向の変位の場合でさえも、網膜上で照明領域は変位し、そのため、インプラントの部品は照明されなくなる。
【0011】
上述したことから、目的は、照明放射線を用いて眼用インプラントにエネルギーを供給し且つ/又は眼用インプラントと通信する改善された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、請求項1において定義している。有利な展開は、従属請求項において明記している。
【0013】
有利には、本発明による装置を使用して、照明光学ユニットに対する使用者の眼球の横方向のずれに関連し且つ照明光学ユニットに対する眼球の軸方向のずれに関連する頑強性が得られる。例として、こうしたずれは、装置が使用者に対してわずかに滑った場合、又は装置がさまざまな使用者に対して設計されている場合に、発生する可能性がある。
【0014】
眼球の瞳孔のサイズのばらつきに関連し且つ眼窩内の眼球の回転角度のばらつきに関連する頑強性も又得ることができる。
【0015】
さらに、利用可能となった照明放射線の高い効率が存在する。有利には、インプラント又は照明を必要とするインプラントの領域を排他的に照明することは、難題は非常にわずかで、あり得る最良の程度まで達成される。さらに、均一の照明パターン又は受信器の形状に一致するパターンを提供することができる。したがって、ヒトの眼の個々の部分に対して放射強度の安全に関連する限界未満にあり続けることが確実になる。
【0016】
ここで、空気中の少なくとも0.1mmの焦点の横方向の広がりは、特に、眼の結像特性なしに存在する広がりを意味するように理解される。当然ながら、眼における焦点の広がりは、眼の結像特性によって変更することができる。
【0017】
横方向の広がりは、(たとえば、0.1mm刻みで)≧0.2mm、≧0.3mm、≧0.4mm、≧0.5mm、≧0.6mm、≧0.7mm、≧0.8mm、≧0.9mm、≧1.0mm及び最大≧3mmであり得る。さらに、横方向の広がりは、(たとえば、0.1mm刻みで)≦6mm~≦0.5mmであり得る。
【0018】
さらに、特定の焦点位置は、好ましくは、眼の結像特性が考慮されない場合に存在する焦点位置であるように理解されるべきである。したがって、好ましくは、焦点の想定位置が記載され、前記位置は、ビームの想定された連続した光線の交差点から現れる。眼の結像特性はこの考慮事項に考慮されないため、上記焦点位置は、空気中の焦点位置とも呼ぶことができる。
【0019】
好ましくは、特定の焦点位置は、厳密に存在する必要はない。例として、空中で又は眼内で、±0.5mm、±1mm、±1.5mm、±2mm、±2.5mm、±3mm、±3.5mm又は±4mmの領域に、(たとえば、ビームの伝播方向における)偏向が存在し得る。
【0020】
照明光学ユニットは、焦点の横方向の広がりをもたらす散乱効果を有する光学素子を備えることができる。散乱効果を有する光学素子は、拡散スクリーン及び/又はホログラム(たとえば、体積型ホログラム)を含むことができる。さらに、散乱効果を有する光学素子は、散乱効果が、照明放射線の波長に対してのみ存在するように、且つ、可視波長域からの光に対して散乱効果がないように、具現化することができる。したがって、散乱効果を有する光学素子は、使用者には可視でないため、たとえば、使用者の通常の視覚範囲に位置決めすることができる。
【0021】
さらに、散乱効果を有する光学素子は、光学入力インタフェースにおけるより、照明光学ユニットの出射領域又は出射面(特に、これは、眼球に入る前の照明放射線に影響を与える照明光学ユニットの最後の光学面を意味するように理解される)の方に近接して位置決めすることができる。特に、散乱効果を有する光学素子は、出射面に形成され、又は、出射面の前の最後の光学素子である。
【0022】
本発明による装置は、独立した光学器具として具現化することができる。特に、本発明による装置は、別個の器具として具現化することができ、したがって、その前に使用者が自身を位置決めすることができる。例として、使用者は、器具の正面に着席し、位置決めユニットの当接面に接するように自身の額を配置することができ、その後、眼科医のところで治療器具に対して標準的であるように、器具内をのぞき込むことができる。さらに、装置は、位置決めユニットが、使用者の頭部の上に配置することができる保持装置を備えるように具現化することができる。これは、眼鏡のような保持装置、ヘルメット、又は頭部の上に配置することができる他の任意の装置であり得る。
【0023】
特に、照明放射線は、(この場合は400~780nmの波長域を意味するように理解される)可視波長域外の波長を有することができる。特に、照明放射線は、赤外域に(たとえば、780nm~50μm又は780nm~3μmの範囲に)あり得る。さらに、照明放射線は、UV域にあり、したがって、400nm未満の波長、より詳細には、たとえば、200~400nm又は250~400nm又は300~400nmの範囲の波長を有することができる。
【0024】
照明される放射線の波長範囲は、比較的狭帯域であり得る。特に、波長は、≦100nm、≦50nm又は≦10nmであり得る。さらに、帯域幅は、少なくとも1nm、5nm又は10nmであり得る。狭帯域幅照明放射線が存在する場合、それは、可視波長域の一部でもあり得る。
【0025】
さらに、照明放射線によって眼用インプラントにエネルギーを供給し且つ/又は眼用インプラントと通信する装置が提供される。そこでは、装置は、使用者の眼球の照明位置を設定する位置決めユニットと、照明放射線が装置に供給可能であるようにする光学入力インタフェースと、照明光学ユニットとを備える。照明光学ユニットは、使用者の眼球が設定された照明位置にあるとき、眼球の前方に仮想焦点が存在し、照明放射線が発散ビームとして眼球に入るように、供給される照明放射線を集束させる。
【0026】
特に、照明光学ユニットは、仮想焦点が少なくとも0.1mmの横方向の広がりを有するように具現化することができる。
【0027】
横方向の広がりは、(たとえば、0.1mm刻みで)≧0.2mm、≧0.3mm、≧0.4mm、≧0.5mm、≧0.6mm、≧0.7mm、≧0.8mm、≧0.9mm、≧1.0mm及び最大≧3mmであり得る。さらに、横方向の広がりは、(たとえば、0.1mm刻みで)≦6mm~≦0.5mmであり得る。
【0028】
装置が、眼鏡レンズを備える頭部装着型装置として具現化される場合、仮想焦点は、好ましくは、眼鏡レンズの頭部から離れる方向に面する側(正面側)に位置することができる。
【0029】
眼球の前方に仮想焦点をもたらす照明光学ユニットを備える装置は、眼内に焦点を生成する照明光学ユニットを備えるすでに上述した装置と同様に展開することができる。
【0030】
上述した特徴及び以下のまだ説明していない特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、所定の組合せで使用することができるだけでなく、他の組合せで又は単独でも又使用することができることは言うまでもない。
【0031】
本発明について、同様に本発明に本質的な特徴を開示する添付図面を参照して、例として以下さらにより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による照明装置の実施形態の概略斜視図を示す。
【
図2】インプラント2が照明放射線でいかに照明されるかを説明するための本質的な光学部品の部分断面図を示す。
【
図3】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図4】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図5】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図6】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図7】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図8】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図9A】さらなる実施形態における照明光学ユニットのx断面を示す。
【
図9B】さらなる実施形態における照明光学ユニットのy断面を示す。
【
図10A】さらなる実施形態による照明光学ユニットのx断面を示す。
【
図10B】さらなる実施形態による照明光学ユニットのy断面を示す。
【
図11】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図15】照明放射線のコリメーションを説明するための概略図を示す。
【
図17】拡張光源を生成するさらなる変形の概略図を示す。
【
図18】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図19】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図20】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図21】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図22】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図23】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図24】照明光学ユニットのさらなる実施形態の断面図を示す。
【
図25】さらなる実施形態による照明光学ユニットの概略図を示す。
【
図26】さらなる実施形態による照明光学ユニットの概略図を示す。
【
図27A】
図26による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな回転位置のうちの1つを示す。
【
図27B】
図26による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな回転位置のうちの1つを示す。
【
図27C】
図26による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな回転位置のうちの1つを示す。
【
図27D】
図26による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな回転位置のうちの1つを示す。
【
図28】さらなる実施形態による照明光学ユニットの概略図を示す。
【
図29A】
図28による照明光学ユニットに対する眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図29B】
図28による照明光学ユニットに対する眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図29C】
図28による照明光学ユニットに対する眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図29D】
図28による照明光学ユニットに対する眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図29E】
図28による照明光学ユニットに対する眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図30】さらなる実施形態による照明光学ユニットの概略図を示す。
【
図31A】
図30による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図31B】
図30による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図31C】
図30による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図31D】
図30による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図32】さらなる実施形態による照明光学ユニットの概略図を示す。
【
図33A】
図32による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置をのうちの1つ示す。
【
図33B】
図32による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置をのうちの1つ示す。
【
図33C】
図32による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置をのうちの1つ示す。
【
図33D】
図32による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置をのうちの1つ示す。
【
図34】さらなる実施形態による照明光学ユニットの概略図を示す。
【
図35A】
図34による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図35B】
図34による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図35C】
図34による照明光学ユニットの場合の眼球のさまざまな位置(横方向位置及び/又は回転位置)のうちの1つを示す。
【
図36A】照明光学ユニットのさらなる実施形態の場合の眼球のさまざまな位置のうちの1つを示す。
【
図36B】照明光学ユニットのさらなる実施形態の場合の眼球のさまざまな位置のうちの1つを示す。
【
図36C】照明光学ユニットのさらなる実施形態の場合の眼球のさまざまな位置のうちの1つを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
さまざまな例示的な実施形態について以下詳細に説明する。これらの例示的な実施形態は、単に説明のための役割を果たし、限定するものとして解釈されるべきではない。例として、多数の要素又は構成要素を備える例示的な実施形態の説明は、これらの要素又は構成要素のすべてが実施の目的に必要であるという意味で解釈されるべきではない。むしろ、他の例示的な実施形態は又、代替的な要素若しくは構成要素、より少ない要素若しくは構成要素、又はさらなる要素若しくは構成要素も含むことができる。異なる例示的な実施形態の要素又は構成要素は、別段の指示がない限り、互いに組み合わせることができる。例示的な実施形態のうちの1つに対して記載する変更形態及び展開は、他の例示的な実施形態にも又適用可能であり得る。
【0034】
繰返しを回避するために、さまざまな図における同じ要素又は対応する要素は、同じ参照符号によって示し、複数回は説明しない。
【0035】
以下の例示的な実施形態において、例として網膜インプラントを使用する。しかしながら、記載する技法は、他の眼用インプラント、たとえば、最初に言及した眼用インプラントにも適用可能である。
【0036】
図1及び
図2に示す実施形態の場合、眼用インプラント2(たとえば、網膜インプラント2)にエネルギーを供給する、本発明による照明装置1は、使用者の頭部の上に配置することができ、たとえば、従来の眼鏡フレームの形態をとることができる保持装置3を備えており、また保持装置3に締結される、第1眼鏡レンズ4及び第2眼鏡レンズ5を備えている。
【0037】
さらに、照明装置1は光源6を備える。光源6は、
図1に概略的に示すように、右側眼鏡つるの領域において保持装置3上に配置することができる。光源は、赤外域の照明放射線を放射し、たとえば、LED又はレーザとして具現化することができる。
【0038】
さらに、照明装置1は照明光学ユニット7を備える。照明光学ユニット7は、コリメーション光学ユニット8、偏向プリズム9及び第1眼鏡レンズ4を備える。
【0039】
光源6は、赤外域の発散ビーム10を放射し、発散ビーム10はコリメーション光学ユニット8によって実質的に平行なビームに形状が変えられる。平行なビーム10は、偏向プリズム9によって第1眼鏡レンズ4に結合され、その後、前記眼鏡レンズにおいて、第1眼鏡レンズ4の正面11及び背面12における全反射により、正面11に形成された出力結合ホログラム13に誘導される。例示を簡略化するために、
図1ではビーム10に対して1本の光線10のみを描いている。出力結合ホログラム13は、背面12の方向にビーム10を偏向させる。その結果、ビーム10は、背面12を介して出射し、頭部に照明装置を装着している使用者の眼球14に突き当たる。
【0040】
照明光学ユニット7及びより詳細には出力結合ホログラム13は、ビーム10が眼球14に突き当たるか又は発散ビーム10として眼球14に入るように、ビーム10の集束をもたらす。ビーム10の焦点16は、眼球14の中に位置する(いわば、眼球14の、したがって空気中の屈折力は考慮しない)。焦点16の実際の位置は、ここで眼球14の結像特性によってさらに変更される。しかしながら、焦点16の想定位置が好ましくは記載され、前記位置は、ビーム10の想定された連続した光線の交差点から出射する。したがって、眼球14の結像特性はこの考慮事項に考慮されず、そのため、これは空気中の焦点位置とも呼ぶことができる。
【0041】
照明光学ユニット7は、焦点16が、少なくとも0.1mmの横方向の広がり(特に、これは、ビームの伝播方向に対して横切る、したがって、
図2によるx軸を含む、
図2における図面の平面に対して垂直な平面における広がりを意味するように理解される)を有する空間的に拡張された焦点スポット16であるように設計される。例として、焦点16のこれらの最小寸法は、出力結合ホログラム13によってもたらされる散乱機能によって達成することができる。この場合も又、焦点16の所定の最小寸法は、空気中の焦点のサイズに関連する(すなわち、眼球14の屈折力は考慮しない)。
【0042】
焦点16は、厳密に回転中心15に位置する必要はない。ビーム10の伝播方向(したがって、ここではy方向)において、焦点16は、回転中心15の周囲の±5mm、±4mm、±3mm、±2mm又は±1mmの領域に位置することができる。
【0043】
図2と同様の例示で、
図3は、ビーム10全体を示し、そのため、発散ビーム10がコリメーション光学ユニット8によってコリメートビーム10にいかに変換されるかが明瞭に明らかである。その後、前記ビームは、偏向プリズム9によって眼鏡レンズ4内に入力結合され、前記眼鏡レンズにおいて出力結合ホログラム13に誘導される。その結果、記載した焦点16が、出力結合ホログラム13における反射のために生成される。眼鏡レンズ4の正面11及び背面12は、
図3の例示では平面として具現化されている。しかしながら、
図2に示すように、正面11及び背面12が湾曲実施形態を有することも可能である。
図2及び
図3による実施形態では、ホログラム13は、反射型ホログラムとして具現化することができる。
【0044】
しかしながら、ホログラム13は、透過型ホログラムとしても具現化することができる。この場合、
図4に概略的に示すように、ホログラム13は背面12に配置される。
【0045】
コリメーション光学ユニット18の発散ビーム10が突き当たる面18は、照明光学ユニット7の入力インタフェース18とも呼ぶことができる。
【0046】
図5は、
図3による実施形態の変更形態を示す。
図5の実施形態では、出力結合ホログラム13の散乱特性が増大し、そのため、焦点16は、
図3による実施形態と比較して大きい横方向の広がりを有する。
【0047】
同じことが、
図6に示す、
図4による照明装置1の実施形態の変更形態に適用される。
【0048】
特に、出力結合ホログラム13は、体積型ホログラムとして具現化される。ホログラムとしての実施形態により、可視波長域からの光に関連してホログラムを通る視線は、使用者に対して乱されないという利点がもたらされる。特に、体積型ホログラムとしての実施形態の場合、入射放射線の波長に対する且つ入射角に関する偏向反射の高い選択性を使用して、可視波長域からの光に対してホログラムを通る特定の視線が乱されないことを確実にすることができる。効率的な入射角及び効率的な波長を連結するいわゆるブラッグの条件から離れて、ホログラム13は、透明であり、それ以上いかなる光学機能もない。
【0049】
好ましくは、照明光学ユニット7の眼球側の開口数は、0.1~0.5の範囲、特に好ましくは0.25~0.4の範囲にある。焦点16は円形であり得る。焦点16の直径Dは、好ましくは、0.1mm以上且つ10mm以下、又は1mm以上且つ10mm以下の範囲にある。より詳細には、直径Dは、好ましくは1mm≦D10mm又は2mm≦D≦5mmである。当然ながら、焦点16の形状は、円形のみであり得るのではなく、円形形状から逸脱する形状も有することができる。例として、楕円形、矩形、正方形又は他の任意の形状が存在し得る。この場合、所定の直径値は、円形形状から逸脱する形状を有する焦点16が完全に含まれる最小円に関する。
【0050】
焦点16に提供されるエネルギーは、好ましくは、1mW~200mWの範囲、特に好ましくは10mW~100mWの範囲にあり得る。正確な寸法決めは、インプラント2のエネルギー要件と、生物学的限界と、使用者に好都合な眼球の回転角度とを考慮して実施することができる。
【0051】
焦点16と眼鏡レンズ4との間の間隔は、好ましくは、12mm~35mmの範囲、特に好ましくは23mm~27mmの範囲にある。
【0052】
眼鏡レンズの厚さは、好ましくは、1mm~10mmの範囲、特に好ましくは3mm~5mmの範囲にある。眼鏡レンズ4の内部の光線の入射角は、好ましくは、45°~80°、特に好ましくは60°~75°にある。所与の開口数の場合、入射光10はホログラム13に2回突き当たるべきではないため、2つの変数は互いに依存する。眼鏡レンズ4は、眼鏡レンズ4における入射角が大きい場合、より薄い設計を有することができる傾向があり、より浅い入射角にはより厚い眼鏡レンズ4が必要とされる。
【0053】
眼鏡レンズ4の内部の全反射の回数は、好ましくは1回の全反射~5回の全反射で変更することができる。特に好ましい距離、角度及び頭部形状に対して、反射型ホログラムの場合は2回の反射、透過型ホログラムの場合は1回の反射が特に好ましい。
【0054】
正面11及び/又は背面12に、所望の反射をもたらす反射層S1、S2(
図2)も形成することができ、これは、全反射の代わりに実施することができる。1つの反射層又は複数の反射層は、正面11又は背面12から間隔を空けて配置することも可能であり、したがって、眼鏡レンズ4に埋め込まれる実施形態を有することができる。
【0055】
眼鏡レンズ4のための材料の屈折率は、好ましくは、ホログラム13を記録するために使用された材料の屈折率に近いか又はそれをわずかに上回る。したがって、屈折率は、好ましくは、1.4~1.6の範囲、特に好ましくは1.48~1.55の範囲にある。ホログラム材料に関連する屈折率差が大きすぎる場合、界面における反射損失は大きくなりすぎる。基材の屈折率がホログラム13のフィルムの屈折率より大きい場合、界面に全反射が発生する可能性がある。さらに、その後、光10は、ホログラムフィルムの内部に微小角入射を有し、ホログラム13の技術的な実現をより困難にする。
【0056】
眼鏡基材の材料は、それぞれの透過率が考慮される照明波長に対して十分に高いとすると、光学ガラス又は光学プラスチックであり得る。プラスチックは、低重量であるため好ましい。あり得る材料としては、たとえば、PMMA、ポリカーボネート、Zeonex又はCR39が挙げられる。
【0057】
光源6は、好ましくは、赤外域の光を利用可能とする。より詳細には、光源6は、可視スペクトル域外の光を利用可能とすることができる。特に好ましくは、これは、半値全幅が10nm未満である狭帯域のコヒーレントレーザ光10である。光源6の横方向の広がり、したがって、放射光ビームの横方向の広がりは、小さく、たとえば、好ましくは100μm未満であり、たとえば5~15μmの範囲である。特に好ましくは、これはシングルモードレーザ光源6である。
【0058】
ホログラム13の出力結合効率は、光源6のスペクトル放射の半値全幅が著しく大きくなる場合、ピーク最大値からな離れる波長に対して低下する。光源6の横方向の広がりが、コリメーション光学ユニット8の焦点距離によって決まる所定サイズを超える場合、ホログラム13は、入射放射線10の有限角度範囲しか効率的に偏向させることができないため、出力結合効率の低下がある可能性がある。
【0059】
さらに、光源6は、特に好ましくは、高速軸及び低速軸を有する。すなわち、提供される放射線の発散は、異なる方位(x及びy)に対して異なる値を有する。これは、市販のシングルモード半導体レーザに当てはまる。発散は、好ましくは、1.5~4の倍率で異なる。ホログラムベースの出力結合では、投影効果は固有である。前記投影効果は、さらなる光学部品なしに、この発散差を、出力結合の後に、採用される入射角に応じて眼球14における回転対称の、従って好ましい角度分布に変換する。
【0060】
投影倍率係数は、ホログラム13において入射角のコサインであり、すなわち、60°の入射角の場合、約0.5であり、75°の入射角の場合、約0.26である。その結果、2~4倍の間の発散差が補償される。
【0061】
強制的ではないが、光源6は、好ましくは、直線偏光された照明放射線10を放射する。特に好ましくは、直線偏光は、ダイオード6の低速(短)軸にわたる平面に対して垂直に位置する。この偏光に対して、典型的な体積型ホログラム13が特に効率的である。技術によって利用可能となるレーザダイオード6の場合のように、偏光がこの好ましい軸に対して垂直である場合、本発明により、ビーム経路に沿って位相差板又はフィルム(λ/2プレート、図示せず)を導入することができる。前記位相差板又はフィルムは、位相差板又はフィルムを通過した後に偏向方向を回転させる。位相差板又はフィルムは、好ましくは、コリメートビーム10の領域に、すなわち、たとえば、眼鏡レンズ4における入力結合の前に、又はホログラム13による出力結合の前に導入される。
【0062】
本発明によれば、λ/2プレートの代わりに、任意の位相シフト及び配向を有する位相差素子(λ/4プレート又はλ/xプレート)及びさまざまなこうした素子の組合せも又導入することができる。これらは、好ましくは、コリメーション光学ユニットがビームの偏光状態に不適当に影響を与える場合に使用される。そして、好適な位相差素子を用いて、反対の補償がもたらされる。
【0063】
たとえば、屈折素子、より詳細には丸い光学屈折素子(球面レンズ、非球面)による、反射素子又はコリメーションミラー(球面、非球面又は自由曲面素子タイプの実施形態)による、且つ/又は回折素子による、コリメーション光学ユニット8の設計に対するさまざまな解決法がある。眼鏡つるの方向から眼鏡レンズ4内へのコリメート光の偏向は、ミラーにより、(図示するような)偏向プリズムにより、又は回折素子により得ることができる。
【0064】
通常、光源6の放射特性、すなわち、光源6によって放射される出力の角度分布は、市販のダイオードの場合、有限の半値全幅を有する。これは、空間方向に放射される出力が角度の増大により低減することを意味する。本発明によれば、コリメーション光学ユニット8の焦点距離は、好ましくは、眼鏡レンズ4において誘導される外部光線が単位面積当たり所定量の出力をさらに伝達するように適合される。短い焦点距離の場合、提供される光の多くが、コリメーション光学ユニット8によって収集されるが、ビームにおける外部光線は、単位面積当たりに著しく小さい出力で全体的なエネルギーに寄与する。長い焦点距離の場合、出力分布は、ビーム断面にわたって著しくより均一であるが、提供されるエネルギーのより多くの部分が伝達されない。
【0065】
本発明によれば、焦点距離は、エッジの急激な低下が、ビーム中心の光度の50%及び10%の範囲にあるように選択することができる。
【0066】
眼鏡レンズ4の厚さが設定されるとき、且つ入射角が設定されるとき、出力結合ホログラム13の投影倍率係数がダイオード軸の発散差に十分密に対応しないとすれば、コリメーション光学ユニット8は、アナモルフィック構成を有する(すなわち、x断面及びy断面に異なる焦点距離を有する)ことができる。例として、これは、屈折、回折及び/又は反射円筒面の導入によって実施することができる。
【0067】
上述した条件に対してもたらされるコリメーション光学ユニット8の焦点距離、従って設置長さは、特定の環境の下では、非常に長い、すなわち、たとえば、20mmを超える可能性がある。したがって、これらを眼鏡フレームに省スペースで組み込むために、これらを小型に折り畳むことが有利である。しかしながら、反射コリメーション光学ユニット8の形態の解決法の場合、結像ミラーにおける入射角は、大きくなりすぎるべきではない。
図7に、コリメーション光学ユニット8の特に好ましい折畳みを示す。図示する折畳みの場合、光源6のビーム10は、円筒面として具現化される第1ミラー19に入射し、平面実施形態を有する第2ミラー20上に第1ミラー19によって反射される。ビーム10は、第2ミラー20から、自由曲面ミラーとして又は軸外で使用される非球状、回転対称面として具現化される第3ミラー21に反射され、その後、第3ミラー21によって眼鏡レンズ4内に結合される。したがって、この実施形態では、偏向プリズム9を省略することができる。
図7の例示から推断することができるように、出力結合ホログラム13は、背面12における透過型ホログラムとして具現化される。
【0068】
3つのミラー19~21による折畳みの結果として、自由曲面ミラー21における入射角は25°未満とすることができ、小型構造にも関わらず、たとえば20mm及び40mmの範囲の焦点距離を実現することができる。上述した発散補正は、円筒面として具現化される第1ミラー19によって達成される。
【0069】
さらなる例示的な実施形態では、コリメーション光学ユニットのすべての又は任意選択的に追加の有効な面は又、上述した面の形状、すなわち、平面、球面、円筒面、円環状面、回転対称非球面、軸外で使用される非球面又は自由曲面の他の、すなわち任意の組合せも有することができる。さらに、有効面にさらなる結像機能、たとえば、回折素子(回折格子、体積型ホログラム)又はフレネル素子を任意選択的に適用することができる。好適な組合せの選択は、選択される光源の仕様によって決まる。
【0070】
ホログラム13の最も効率的な入射角(ブラッグの条件)は、ホログラム13を露光するときの製造関連公差のために変更することができる。同様に、光源6のピーク波長は、構成要素によって変更することができる。コリメーション光学ユニット8は、有用な波長範囲に対して且つ実体的な製造公差に対して効率的な出力結合構造(この場合、出力結合ホログラム13)を得るために、狭視野に対して具現化される。したがって、光源6は、本発明によれば、照明装置1において横方向に変位させることができ、その結果として、ホログラム13上の光線の平均入射角を変更することができる。これは、
図8において光源6の2つの異なる位置に対して概略的に示すが、各場合、光源6によって放射される発散ビーム10のみが常に描かれている。
【0071】
特に、コリメーション光学ユニット8は、採用されるビーム10全体にわたる入射角のばらつきが好ましくは1°未満であり、特に好ましくは0.1°未満であるような設計を有することができる。好ましくは、横方向の変位は、出力結合ホログラム13において±5°の調整範囲を包含し、より詳細には、出力結合ホログラム13において±1°の調整範囲を包含するべきである。
【0072】
別法として、入射角は又、コリメーション光学ユニットの眼鏡レンズに対する目標とされる傾きと後続するコリメーション光学ユニットの固定とによっても適合させることができる。例として、この角度操作は、接合剤で結合された又は接着剤で結合された両要素の間の可変結合くさびにより、可変プリズムくさび、調整可能な偏向ミラー又は同様の光学原理により、実施することができる。
【0073】
さらに、コリメーション光学ユニット8は、小さい軸方向の逸脱に対して設計することができる。すなわち、出力結合ホログラム13の全体的な効率を最大限にするために、製造関連公差を補償するように、光源6を放射ビーム10の方向に沿って変位させることも可能である。
【0074】
コリメートビーム10による記載した解決法の利点は、眼鏡レンズ4とコリメーション光学ユニット8との間の異なる距離により、効率の損失なしに、使用者の異なる頭部幅の上に照明光学ユニット7を取り付けることができるという事実にある。異なる距離は、本発明による照明装置1において調整可能である。使用者は、使用者の頭部又は眼球14に対する照明光学ユニット7全体の横方向変位によって、異なる瞳孔間距離に対する適合を実行することができる。
【0075】
体積型ホログラフィによる照明光学ユニット7の特定の利点は、集束機能に加えて出力結合ホログラム13に散乱機能を導入することができるという事実にある。例として、これは、2つの波のうちの一方が、拡散スクリーンの導入によって目標とされる静的ビーム偏向により露光中に影響を受けるという事実によって実現することができる。その結果、高エテンデュ(開口数と光スポット径との積)は、眼球に非常に近接してのみもたらすことができる。これは、眼鏡レンズ4内の伝達が、依然として点光源の単一ビーム10として実施することができることを意味する。最後の光学的に有効な面(この場合、出力結合ホログラム13)のみが、散乱によりエテンデュを所望のサイズまで増大させる。これにより、光源6において眼球14の回転中心15内にすでに広げられる発光領域の像を結合する解決法と比較して、技術的経費が低減する。
【0076】
使用者の異なる頭部幅の適合が、照明光学ユニット7によらず、たとえば純粋に機械式に実施される場合、眼鏡レンズ4の内部に厳密なコリメーションからの逸脱があり得る。そして、2つの方位のうちの一方の発散ビームプロファイルもあり得る。そして、コリメーション光学ユニット8は、たとえば、回転対称でなくなり、代わりに、2つの方位のうちの一方(x断面又はy断面)において焦点が外れるように定義される。
図9a及び
図9bに、回転対称の場合を概略的に示す。対照的に、
図10a及び
図10bに、上述した定義された焦点外れの場合を示す。この構成の利点は、眼鏡つるの領域における狭いビーム形状にある。これにより、眼鏡又は保持装置3を従来の眼鏡に審美的により類似するように設計することがより容易に可能になる。ここまで記載した実施形態は、散乱機能による非テレセントリック照明として特徴付けることができ、それは、眼鏡レンズ4からのビーム10の出射の前に眼球に近接してのみ実施される。この目的で、体積型ホログラム13は強制的ではない。同様の技術的実施態様は、特別なダイクロイックコーティング及び統計的変更による表面格子を使用して実現することができる。又、ミリメートル未満の範囲で構造化される統計的に修正されたフレネルレンズ、又は対応するフレネルミラーを提供することができる。そのため、視線の通過を可能にする機能を確実にするように、レンズ又はミラーのフレネル構造は、ダイクロイックコーティングを有するべきであり、眼鏡レンズ6の材料に埋め込まれるべきである。これは、フランクが、好ましくは屈折率に関して十分に適合された材料で充填され、その結果、たとえば、正面11又は背面12がフレネル構造にも関わらず連続的に平滑な面を備えた実施形態を有することを意味する。
【0077】
体積型ホログラム13の利点は、たとえばフィルムとしての単純な技術的実施と、高い達成可能な偏向効率とにある。
【0078】
図11及び
図12は、本発明による照明装置1のさらなる実施形態を示し、そこでは、光源6は、横方向の広がりを有する光源6であり、したがって、横方向の広がりを有する発散ビーム10を放射する。光源6の下流に、結像光学ユニット22、テレセントリック絞り23、偏向プリズム9及び第1眼鏡レンズ4が、この順序で配置されている。出力結合ホログラムの代わりに、第1眼鏡レンズ4は、ここに記載する実施形態では、後により詳細に記載するフレネル素子24を有する。
【0079】
光源6の発光面は、結像光学ユニット22により、所定距離眼鏡レンズ4内に結像される。その際、光4は、眼鏡レンズ4の内部で全反射により誘導され、最終的に、全反射から離れて眼鏡レンズ4から出射するように、フレネル素子24によって偏向される。そして、光源6の現れる像は、眼球14において、眼鏡レンズ4から定義された距離に位置し、好ましくは、たとえば、眼球14の瞳孔の平面に又は眼球14の回転中心15に位置する。そうした像は又、これらの位置に近接する場合もある。特に、これは、伝播方向においてこれらの位置に対して±5mm、±4mm、±3mm、±2mm又は±1mmの距離を意味するように理解される。
【0080】
特に、
図11から明らかであるように、結像光学ユニット22は、入力面25として、球面、円筒面又は自由曲面を有することができる。入力面25は又、照明光学ユニット7の光学入力インタフェースとも呼ぶことができる。
【0081】
入力面25の下流に、平面偏向面26が配置され、結像光学ユニット22は、出射面27として円筒面又は自由曲面を有する。
【0082】
図13におけるフレネル素子の拡大詳細図から明らかであるように、フレネル素子24は、コーティングされていない露出したフレネルフランク28を有することができる。しかしながら、これにより、矢印P1によって示すように、フレネル素子24を通る視線の方向が乱されることになる。さらに、矢印P2、P3及びP4によって示すように、偏向の効率は比較的低い。
【0083】
図14は、フレネル素子24の変更形態を示す。この変更形態では、フレネルフランク28は、ダイクロイックにコーティングされている。これによって達成することができることは、インプラント2を照明するために必要な波長が、矢印P2及びP4によって示すように、十分に大きい程度まで反射されるということである。例として、十分に大きい程度は、50%以上であり得る。対照的に、可視スペクトル域又は少なくともその一部は、矢印P1によって示すように、十分に大きい程度まで透過する。十分に大きい程度は、たとえば、50%以上であり得る。さらに、
図14において符号が付されたフレネル構造は埋め込まれ、すなわち、光学的に有効なダイクロイックフレネルフランク28は、眼鏡レンズ4の残りの材料と可視スペクトル域において同じか又はおよそ同じ屈折率を有する材料で充填される。例として、屈折率の差は、(フレネル素子24を通る視線に対するここでの対象波長範囲に対して)0.01以下であり得る。
【0084】
例として、フレネル素子24は、高さプロファイルとして記載することができ、その基本形式は、以下のようにx-y多項式の和として表される。
【数1】
【0085】
しかしながら、これは、限定的であるように理解されるべきではない。むしろ、自由曲面のさらなる表現のすべても又当然ながらあり得る。
【0086】
サグ量ZGが予め定義されたフランク高さhFを超える場合、プロファイル形式は、変更されたサグ量が再度間隔[0...hF]又は「-hF...0]に入るまで、このフランク高さの整数倍だけ低減する。
【0087】
多項式の最初の2つの項a10x+a01yは、斜面を記述する。したがって、本発明によれば、2つのパラメータa10及びa01は、軸方向ビームの主光線の定義された入射角が眼鏡レンズ4内に設定されるように選択される。眼鏡レンズ4における光線10の入射角が小さすぎる場合、全反射は可能でなくなる。入射角が大きすぎる場合、フレネルフランク28の間の遮断領域が増大し、フレネル素子24及び眼鏡レンズ4の製造公差に対する感度がさらに増大する。
【0088】
したがって、眼鏡レンズ4の内部の光線10の入射角は、好ましくは、45°~85°、特に好ましくは60°~75°にある。したがって、係数は、従来の眼鏡レンズ屈折率に対して0.4<|a01,a10|<0.9の範囲にある。
【0089】
眼鏡レンズ4の厚さは、反対方向における、すなわち眼球14から光源6への光の想定された伝播の場合、光は、フレネル素子24における反射の後、且つ、フレネル素子24とは反対側に位置する背面12におけるさらなる全反射の後、再びフレネル素子24に突き当たらないように選択することができる。眼鏡レンズ4は、眼鏡レンズ4に入射角が大きい場合、相対的に薄い設計を有することができる傾向がある。小さい入射角の場合、相対的に厚い眼鏡レンズ4が必要とされる。眼鏡レンズ4の厚さは、好ましくは1mm~10mm、特に好ましくは3mm~5mmにある。
【0090】
多項式の次の2つの項a
20x
2+a
02y
2は、2つの方位における異なる曲率を有する可能性がある放物面、すなわち、x断面及びy断面においてその面の近軸屈折力を有する放物面を記述する。これらの項は、面の正面、すなわち眼球から離れた焦点が、眼鏡レンズ4への入口に取り付けられた開口絞りに又は少なくともその付近に位置するように選択することができる。この平面において、眼球の側から眼鏡レンズ4に突き当たる軸方向に平行な光線は、x断面及びy断面の両方において交差する。これらの光線は、
図12では、連続的に描かれている。
【0091】
このように、そこに適用される開口絞りはテレセントリック絞りとなり、すなわち、この配置により、眼球14のテレセントリック照明が確保される。フレネル素子24に対する斜めの入射の結果として、2つの屈折力、すなわち2つの係数a20及びa02も又、x断面及びy断面において異なる大きさを有する。本発明によれば、2つの係数は、従来の眼鏡形状の場合、0.001<|a20,a02|<0.05の範囲にある。
【0092】
テレセントリック絞り23の形状は任意であり得る。好ましくは、円形、楕円形、正方形又は矩形である。
【0093】
絞り結像を改善するために、面のさらなる係数を使用することができ、又は、面のさらなる係数は、結像光源6の収差を低減させるために最適化される。実際には、この設計により、具体的な用途の要件に応じて2つの要件を調節する。
【0094】
フレネルフランク28のフランク高さhFは、好ましくは、0.02mm<hF<1mmの範囲にある。フレネルフランク28の高さが低すぎることにより、あり得る回折効果のために結像が乱される。高すぎるフレネルフランク28の高さは、照明分布の妨害変調として可視である可能性がある。
【0095】
好ましくは、眼球側の開口数は、0.05~0.5の範囲、特に好ましくは0.1~0.25の範囲にある。眼球の上の光源6の像16の直径Dは、0.1mm<D<15mm、特に1mm<D<15mm及び特に好ましくは2mm<D<10mmである。直径Dは、円形像16の直径を記述する。像16が円形でないとすれば、直径Dは、像16が完全に含まれる最小の円の直径を記述する。
【0096】
光スポット16又は像16の形状は、円形、楕円形、矩形、正方形又は他の任意の形状であり得る。これは、技術によって利用可能となる光源又は拡散スクリーンによって実現することができる。焦点16において提供されるエネルギーは、好ましくは、1mW~200mWの範囲、特に好ましくは10mW~100mWの範囲にある。正確な寸法は、インプラント2のエネルギー要件、生物学的限界、及び装着者に好都合の眼球の回転角度を考慮して実施することができる。
【0097】
ここで記載する照明構成の場合、光焦点16は、好ましくは、眼鏡レンズ4から10mm~25mmの距離、特に好ましくは12mm~20mmの距離を有する。
【0098】
さらに、光焦点16は、眼鏡レンズ4から12mm~35mmの距離、特に好ましくは23mm~27mmの距離を有することができる。
【0099】
眼鏡レンズ4の内部における全反射の回数は、好ましくは1回の全反射~5回の全反射で変更することができる。
【0100】
眼鏡レンズ4の基材の屈折率は、内部における全反射の条件が満たされる限り、その機能に対して名目上決定的ではない。したがって、1.4より大きい、特に1.6より大きい、高い屈折率を有する透明な基材が好ましい。眼鏡レンズ4における光導波路が、全反射ではなく、正面11及び/若しくは背面12に又は正面11及び/若しくは背面12から間隔を空けて位置する反射層によって実施される場合、屈折率は、眼鏡レンズ4における光導波路に影響を与えない。
【0101】
眼鏡レンズ4の材料は、それぞれの透過率が考慮される照明波長に対して十分に高いとすれば、光学ガラス又は光学プラスチックであり得る。プラスチックは、重量が低いために好ましい。あり得る材料としては、たとえば、PMMA、ポリカーボネート、Zeonex又はCR39が挙げられる。
【0102】
フレネル素子24による偏向の結果として結像回折構造(たとえば、表面格子又は体積型ホログラム)に基づく同様の解決法と比較して、著しく改善された結像性能が達成される。広視野及び大きい開口数を結像する場合に回折出力結合素子に基づく系に対して、照明系1の機能を制限する大きい収差が発生する。収差が発生するのは、結像式が、反射フレネル面28による偏向と比較した場合、高い入射角での回折偏向に対して強力な非線形性を有するためである。
【0103】
好ましくは、フレネル面28の屈折力は、x断面及びy断面において異なる大きさを有する。眼球に近接する所定平面の焦点16における光源6の実像を生成するために、眼鏡レンズ4の内部における光源6の虚像の焦点は、同様に、x断面及びy断面において好適な差を有していなければならず、すなわち、フレネル面28に好適に提供されなければならない。したがって、光源側結像光学ユニットは、同様に、光源6で開始するビーム10が2つの方位の間の要求される焦点オフセットを受けるように、x断面及びy断面において異なる屈折力を有していなければならない。
【0104】
したがって、光源側結像光学ユニット22は、x断面及びy断面において異なる屈折力を有する少なくとも1つの面を備える。例として、これは、円筒面、異なる円筒状構成要素を有する自由曲面、又は軸外で使用される球面若しくは非球面によって実現することができる。ここで記載する実施形態では、これは、入力面25及び出射面27の両方で実現される。
【0105】
その結果、拡張光源6と眼球14における光源6の像16との間の結像倍率は、x断面及びy断面において異なる値を有する。例として、眼球14における光源6の円形像は、そのため、楕円形光源を必要とし、矩形像は、対応する矩形光源6を必要とする。この相違に対する主な原因は、フレネル面24に発生する(体積型ホログラムによる変形と同様に)投影効果にある。
【0106】
具体的な形状は、光源6の目標とされる設計により達成することができ(すなわち、発光材料はすでにこの形状を有する)、又はより大きい光源6を絞りによって遮ることにより達成することができる。前者は技術的に複雑であり、後者は高い光損失をもたらす。
【0107】
しかしながら、効率的なレーザ光源6(ただし、その横方向の広がりは非常に小さい)の使用が、特に好ましい。そして、所望の広がりは、拡散スクリーンを使用して達成することができる。本発明によれば、投影効果は、この場合、目標とされるように利用される。すなわち、低速軸及び高速軸を有する半導体レーザダイオード6が使用される(すなわち、レーザ光源から出射する放射線10の発散角度は、互いに垂直であり且つ伝播方向に対して垂直である2つの軸に沿って異なる大きさを有する)。通常、技術によって利用可能となるレーザ光源6はこの効果を有する。こうしたレーザ光源のビーム10が、
図15に概略的に示すように、単純な回転対称光学ユニット8によってコリメートされる場合、所望の楕円形領域が発生する。
【0108】
図16に概略的に示すように、ビーム10は、拡散スクリーン29により拡張光源に変換することができ、その放射特性はさらに同様に変更することができる。
【0109】
別法として、
図17に示すように、所望の拡張光源を提供するために、ビーム10を放射する光源6の下流に、光を再分散させる非球体30、自由度が低い自由曲面31及び拡散スクリーン29をこの順序で配置することができる。
【0110】
レーザ光源6の発散は、好ましくは、1.5~4倍で異なる。光源6は、好ましくは、可視スペクトル域外の光、特に好ましくは、50nm未満の半値全幅を有する狭帯域光を提供する。
【0111】
図18は、本発明による照明装置1のさらなる実施形態を示す。照明装置1は、光源6、コリメーション光学ユニット8、偏向プリズム9、結像面33を有する入力結合プリズム32、眼鏡レンズ4、及び眼鏡レンズ4に埋め込まれたダイクロイックスプリッタ層34を備える。光源6の発散放射線10は、コリメーション光学ユニット8によって実質的に平行なビーム10に形状が変えられ、その後、偏向プリズム9によって眼鏡レンズ4の方向に偏向される。前記眼鏡レンズは、結像面33を有する入力結合プリズム32を備え、その結果、眼鏡レンズ4内にビーム10が集束される。ビームは、前記眼鏡レンズにおいて、全反射により誘導され、最終的に、埋め込まれたダイクロイックスプリッタ層34によって眼球14に向かう方向に向けられる。
【0112】
スプリッタ層34は、そこを通る可能な限り乱されない視線を可能にするために、好ましくはダイクロイックコーティングを有する。すなわち、インプラント2を照明するために必要な波長域は、十分に大きい(たとえば、50%を超える)程度まで反射される。対照的に、可視スペクトル域又はその少なくとも一部は、十分に大きい程度(たとえば≧50%)まで伝達される。
【0113】
スプリッタ層34は、同じ理由で眼鏡レンズ4に埋め込まれる。すなわち、スプリッタ層34の光学的に有効な面は、眼鏡レンズ4の内部に位置し、可視スペクトル域に同じか又はおよそ同じ屈折率を有する2つの媒体の間に組み込まれる。例として、スプリッタ層の前及び後の屈折率の差は0.01未満である。
【0114】
埋め込まれたミラー34とも呼ぶことができる埋め込まれたスプリッタ層34は、好ましくは、結像スプリッタ層34として又は結像ミラー34として具現化される。最も単純な場合、スプリッタ層34は球形状を有する。しかしながら、それは又、非球形状も有することができ、又は、自由曲面ミラーとして具現化することができる。入力結合側における必要な自由径を低減させるように、スプリッタ層34の結像機能が使用される。結像機能が省かれる場合、米国特許第9,479,902B2号明細書に示されているように、仮想焦点35の発散及び/又は焦点の調整範囲を制限するか、又は、入力結合側により広い接地空間を必要とする光学ユニットを使用することが必要である。
【0115】
スプリッタ層34は、好ましくは、眼球に向かって又は背面12に向かって凹状湾曲を有する。曲率半径は、好ましくは、25mm~200mm、特に好ましくは45mm~75mmにある。
【0116】
出力結合ミラー34の偏向角は、好ましくは、光線が眼鏡レンズ4の内部において全反射により誘導されるように選択される。眼鏡レンズ4における光線の入射角が小さすぎる場合、全反射は可能でなくなる。入射角が大きすぎる場合、眼鏡レンズ4の製造交差に対する系の感度が増大する。
【0117】
したがって、眼鏡レンズ4の光線の入射角は、好ましくは、45°~85°、特に好ましくは60°~70°にある。したがって、ミラー41の入射角は、22.5°~42.5°にある。
【0118】
眼鏡レンズ4は、眼鏡レンズ4における入射角が大きい場合、相対的に薄い設計を有することができる傾向があり、入射角が浅い場合、相対的に厚い眼鏡レンズ4が必要とされる。眼鏡レンズ4の厚さは、好ましくは1mm~10mm、特に好ましくは3mm~5mmにある。
【0119】
好ましくは、眼球側の開口数は、0.02~0.2の範囲、特に好ましくは0.05~0.15の範囲にある。仮想焦点35の横方向調整範囲は、好ましくは±0.5~±5mmにある。
【0120】
仮想光焦点35に提供されるエネルギーは、好ましくは、1mW~200mWの範囲、特に好ましくは10mW~100mWの範囲にある。正確な寸法決めは、インプラント2のエネルギー要件、生物学的限界、及び装着者に好都合な眼球の回転角度を考慮して実施することができる。
【0121】
眼球14の瞳孔は、好ましくは、眼鏡レンズ4から10mm~25mmの距離、特に好ましくは12mm~20mmの距離を有する。
【0122】
仮想光焦点35は、好ましくは、眼球14の瞳孔から15mm~50mmの距離、特に好ましくは20mm~30mmの距離を有する。
【0123】
眼鏡レンズの内部における全反射の回数は、好ましくは、1回の全反射~10回の全反射で変更することができる。
【0124】
眼鏡レンズ4の基材の屈折率は、内部における全反射の条件が依然として満たされる限り、その機能に対して名目上決定的ではない。したがって、1.4より大きい、特に好ましくは1.6より大きい屈折率を有する透明な基材が好ましい。眼鏡レンズ4における光導波路が、全反射ではなく、正面11及び/若しくは背面12に又は正面11及び/若しくは背面12から間隔を空けて設けられる反射層によって実施される場合、屈折率は、光導波路に関して自由に選択することができる。
【0125】
眼鏡基材の材料は、それぞれの透過率が考慮される照明波長に対して十分に高いとすれば、光学ガラス又は光学プラスチックであり得る。プラスチックは、重量が低いために好ましい。あり得る材料としては、たとえば、PMMA、ポリカーボネート、Zeonex又はCR38が挙げられる。
【0126】
効率的なレーザ光源は、好ましい光源6である。技術によって利用可能となる半導体レーザダイオード6は、光源6から出射する放射線10の異なる方位に対して異なる発散角を有する。この影響を補償するために、レーザ光源6の下流で高速軸コリメータ(図示せず)を使用することができる。
【0127】
光源6は、好ましくは、可視スペクトル域外の光を利用可能とする。50nm未満の半値全幅を有する狭帯域光が特に好ましい。
【0128】
狭帯域の偏光された光により、その効率が、通常、広いスペクトル及び角度範囲に作用しているときに低下するため、出力結合ミラー34における埋め込まれたダイクロイックスプリッタ層の生成が簡略化する。
【0129】
強制的ではないが、光源6は、好ましくは、直線偏光された光を放射する。特に好ましくは、直線偏光は、ダイオード6の低速(短)軸にわたる平面に対して垂直に位置する。この偏光に対して、典型的な埋め込まれたダイクロイック素子が特に効率的である。技術によって利用可能となるレーザダイオード6の場合のように、偏光がこの好ましい軸に対して垂直である場合、本発明により、ビーム経路に沿って位相差板又はフィルム(λ/2プレート)を導入することができる。前記位相差板又はフィルムは、位相差板又はフィルムを通過した後に偏光方向を回転させる。位相差板又はフィルムは、好ましくは、コリメートビーム内に、すなわち、たとえば、コリメーション光学ユニット8の下流に又は眼鏡レンズ4内に入力結合する前に導入される。
【0130】
光源6の光10を実質的に平行なビームに変換するコリメーション光学ユニット8は、光方向において光源6の下流に位置する。この構成の利点は、距離の所定の変動にあり、その結果として、光学系7は、使用者の異なる頭部サイズに適合させることができる。
【0131】
コリメーション光学ユニット8は、屈折する(球面又は非球面レンズ)、反射する(結像ミラー)及び/又は回折する(結像回折素子)である実施形態を有することができる。
【0132】
眼鏡レンズ4の方向において眼鏡つるから出るようにコリメート光線10を向ける偏向プリズム9は、コリメーション光学ユニット8の下流に配置される。プリズム9の設計は、眼鏡の所与の形状に適合される。
【0133】
その後、これに、眼鏡レンズ4内にコリメートレーザ光10を集束させる、入力結合光学ユニット又は入力結合プリズム32が続く。入力結合は、上述したように、所定回数の全反射の後に出力結合ミラー34に突き当たるように好適な角度で実施される。入力結合光学ユニット32の焦点距離は、結像埋込みミラー34と併せて、光焦点16が眼球14の瞳孔から所望の距離で発生するように選択される。入力結合光学ユニット32の焦点距離は、好ましくは20mm~100mm、特に好ましくは30mm~60mmの範囲にある。
【0134】
図19に、
図18に示す実施形態の変更形態を示す。
図19によるこの変更形態では、光源6と眼球14との間のビーム経路内への好適な箇所に、わずかな散乱角を有する拡散スクリーン37が導入される。拡散スクリーン37は、好ましくは、眼球の瞳孔に結合した平面において位置決めされる。本発明によれば、上述した焦点距離、眼鏡レンズ厚さ及び距離は、この平面が偏向プリズム8のわずかな距離上流で発生するように選択される。例として、この距離は、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm又は10mmであり得る。
【0135】
拡散スクリーン37は、
図19の例示では関連する箇所に取り付けられている。符号が付されたビーム10の光線には、拡散スクリーン37において統計的な方向の変化が与えられる。したがって、眼鏡レンズ4と実質的に眼球14の正面との両方に、拡大した光スポット16が発生する。それにより、眼球14の瞳孔平面におけるビーム格子は影響を受けない。
【0136】
図20の例示は、眼球の瞳孔内への拡散スクリーン37の結像を説明する。拡散スクリーン37における1つの点で開始する複数の光線は、瞳孔平面におけるある点で再統合される。これは、
図20において実線によりある点に対して例示的に描かれている。
【0137】
図21は、眼球の瞳孔における異なる入射角に対する系の最も可能性の高い調整を概略的に示す。レーザ光源6及び拡散スクリーン37を備えるコリメーション光学ユニット8の機械的回転が、瞳孔平面における光線の仮想回転に変換される。その結果、眼球14における光線の入射角が設定される。
【0138】
図22は、スプリッタ層34が平面、したがって非湾曲層として具現化されるさらなるイメージを示す。上述した実施形態とは対照的に、偏向ミラー38は、レーザ光源6の下流に配置され、レーザ光源6は、任意選択的に、高速軸コリメータを備えることができる。偏向ミラー38は、散乱機能を有することができ及び/又は傾斜可能であり得る。偏向ミラー38の下流に、結像面を有するレンズ39が配置される。結像面は、球面又は非球面であり得るか、又は、自由曲面としての実施形態を有することができる。レンズ39の下流に、眼鏡レンズ4の背面12から空隙41により間隔を空けて配置されるくさび40が配置される。光線10は、空隙41を介して眼鏡レンズ4に入り、全反射によってスプリッタ層34まで誘導されるように、眼鏡レンズにおいて正面11に形成された平面42によって偏向される。
【0139】
図23は、さらなる変更形態を示す。この場合も又、レーザ光源6は、必要な場合は高速軸コリメータを備えることができ、
図23の例示では、異なる調整状態が描かれている。光源6の下流に、結像面を有するレンズ43が配置される。面は、球状又は非球状湾曲を有することができ、又は自由曲面として具現化することができる。ここでは、面42は、球状又は非球状湾曲を有することができ、又は自由曲面として具現化することができる、結像ミラーとして具現化される。さらに、結像回折素子36は、背面側12に、この箇所で全反射に置き換わるように形成される。スプリッタ層34の結像効果は、素子36で置き換えることができる。このため、スプリッタ層34は、たとえば、平面実施形態を有することができる。
【0140】
図24に示す変更形態は、レンズ43の代わりに2つのレンズ44及び45が配置されているという点で、
図23による実施形態とは異なる。レンズ45は、平面と、球状に湾曲した、非球状に湾曲した又は自由曲面の面を備えることができる。レンズ44は、好ましくは2つの湾曲面を備え、それらは、球状に又は非球状に湾曲したものとすることができ、又は自由曲面として具現化することができる。レーザ光源6とレンズ44との間に、拡散スクリーン46を位置決めすることができる。拡散スクリーン46は、回転式配置を有することができる。これは、調整の目的で使用することができる。さらに、
図23の実施形態とは対照的に、結像回折素子36ではなく湾曲ミラー36’が設けられる。湾曲ミラー36’は、眼鏡レンズ4の背面に具現化するか又は少なくとも部分的に埋め込むことができる。さらに、湾曲ミラー3636’は、ダイクロイックコーティングを有することができ、且つ/又は自由曲面ミラー36’として具現化することができる。湾曲ミラー36’は、スプリッタ層34の結像効果に置き換わることができる。このため、スプリッタ層34は、例えば、平面実施形態を有することができる。
【0141】
図21~
図24に関連して記載した調整可能性を使用して、少なくとも0.1mm又は少なくとも1.0mmの横方向の広がりを有する仮想焦点35を生成することも可能である。この目的で、必要なことは、ビーム10の描かれた開始点の領域において、調整領域を覆う拡張光源、又は、調整領域を覆う散乱特性を有する光学素子(たとえば、拡散スクリーン、ホログラム及び/又は体積型ホログラム等)を配置することのみである。したがって、示された又は描かれたビーム10のすべてが同時に生成され、その結果、横方向に拡張した仮想焦点35が発生する。
【0142】
図25に、少なくとも0.1mmの横方向の広がりを有する仮想拡張光源又は焦点16を生成する照明装置1のさらなる実施形態を概略的に示す。ここでは、第1レンズ48の前方焦点に、点光源47が配置される。したがって、点光源47によって放射されるビーム10は、第1レンズ48の下流に配置された第2レンズ49により、コリメートされ、眼球14の前方の焦点16に導かれる。第1レンズ48と第2レンズ49との間に位置する絞り50がある。第2レンズ49から絞りまでの距離は、絞り50が眼球14の虹彩Iの上に結像されるように選択される。絞り平面内に拡散スクリーン51が導入されており、その結果、眼球14の前方の焦点16が、拡散スクリーン51の発散に従って横方向に(すなわち、伝播方向に対して横切る方向に)拡大される。しかしながら、眼球の瞳孔P内に拡散スクリーン51を結像することにより、虹彩Iにおいて光が遮断されない。好ましくは、焦点16の横方向の広がりは、少なくとも0.1mmであるようなものである。特に、焦点16の横方向の広がりは直径Dを有することができ、好ましくは、0.1mm≦D≦15mm、特に、1mm≦D≦15mm及び特に好ましくは2mm≦D≦10mmである。焦点16が円形でないとすると、直径Dは、焦点16が完全に含まれる最小の円の直径を記述する。
【0143】
図26は、照明装置1のさらなる実施形態を示す。構造は、
図25の実施形態による構造に実質的に対応する。拡散スクリーン51のみが省略され、照明装置1は、光源47の焦点16が眼球14の回転中心に結像されるように、使用者の眼球14に関して位置決めされる。当然ながら、わずかな逸脱もあり得る。したがって、たとえば、焦点16が、±1mm、±2mm、±3mm、±4mm又は±5mmである回転中心15の周囲の伝播方向に沿った領域に位置することが可能である。
【0144】
この実施形態では、結像される点光源47の発散又は開口数は、光が依然として虹彩Iを通して網膜Nに達する、眼球14の最大回転角度を決定する。網膜Nにおける照射される面は、眼球の瞳孔Pのサイズによって制限される。記載する実施形態は、照明すべきインプラント2が網膜の上に位置し、広範囲の眼球の回転角度が覆われるように意図されており、且つ、インプラント2自体が相対的に小さい横方向の広がりを有する場合、特に好ましい。
【0145】
図27A、
図27B、
図27C及び
図27Dは、眼球14の異なる回転位置を示す。例示から明らかとなることは、眼球14の回転が大きい場合であっても、網膜Nの上に同様のサイズの面が常に照明されるということである。ここでは、点線の光線は、眼球14が存在しない(したがって空気中での)ビームの伝播を示す。それらの光線は、眼球14の回転中心において交差する。破線の光線は、眼球の角膜H及び眼球の水晶体Lにおける屈折を考慮する。したがって、それらの焦点は、眼球14の実際の機械的な回転中心からわずかにずれて位置する。網膜N上の照明される面は、
図26による実施形態では眼球14の瞳孔径によって制限される。インプラント2は、所定サイズに達すると、その全体が照明されなくなる可能性がある。
【0146】
したがって、照明デバイス1は、点光源47が、眼球の瞳孔Pの平面内に(又は、±1mm、±2mm、±3mm、±4mm又は±5mmのビーム10の伝播方向に沿った範囲内に)結像されるようにも、具現化することができる。そして、点光源47の発散又は結像の開口数のみが、網膜N上に照明される面を決定する。その結果、非常に大きい網膜インプラント2であっても照明することができる。さらに、この構成は、眼球14の横方向のずれに関連してわずかにより頑強である。この構成は、眼球14の虹彩Iの瞳孔径の半分より小さい限り、網膜Nに照明される面を変化させない。こうした照明装置1の構造を
図28に概略的に示す。
【0147】
対照的に、虹彩Iにおける遮蔽は、眼球14が回転する場合、特に虹彩Iが非常に小さい場合に迅速に発生する。したがって、記載した実施形態は、照明すべきインプラント2が網膜Nの上に位置する場合、インプラント2を動作させるために、網膜Nの上の非常に広い面を照明しなければならない場合、動作中に眼球14のわずかな横方向の変位のみが予期される場合、及び、動作中、予測される眼の回転が同様に非常に小さい場合、特に好ましい。
図29A、
図29B、
図29C及び
図29Dは、眼球の瞳孔Pの平面内への点光源の結像の変形における、眼球14のさまざまな横方向の位置(さらに、
図29Dにおける同様の異なる回転位置)を示す。これらの例示から推測することができることは、網膜Nにおける照明される面のサイズが眼球の瞳孔Pによって制限されないということである。
【0148】
図30は、照明デバイス1の実施形態を概略的に示す。そこでは、眼球14内の湾曲面の上に拡張光源52のビーム10が結像される。例として、湾曲面は球面であり得る。この目的で、第1レンズ48及び第2レンズ49は、拡張光源52の下流に配置され、光源52から、眼球14から及び互いからの前記第1レンズ及び第2レンズの距離は、所望の結像が生成されるように選択される。さらに、2つのレンズ48及び49の間に絞り50が配置され、絞り50は可変絞りとして具現化することができる。その結果、光源52の発散及び網膜上の照明される面のサイズは、目標とされるように設定することができる。
【0149】
特に、湾曲面への拡張光源52の結像は、軸方向焦点、すなわち光源52の選択された点の像が眼球14の瞳孔平面に位置するように実行することができる。拡張光源52が結像される湾曲像面の曲率中心は、眼球14の回転中心に位置することができる。こうした実施形態の結果として、
図25~
図29による実施形態と比較して、眼内の局部出力密度を低減させることができる。
【0150】
網膜上の照明される面は、依然として、光源52の発散、すなわち、結像の開口数によって決定され、したがって、瞳孔径によって制限されない。本発明による眼球14の像面の湾曲及び向きの結果として、光源52自体の像の広がりが十分に大きいとすれば、眼球が回転するとき、網膜Nの位置合せは変化しない。ここではエネルギーは、より広い面積にわたって分散され、すなわち、
図25~
図29による実施形態と比較して放射強度が劇的に低下する。この系は又、拡張光源52により横方向の眼球のずれに関してもわずかにより頑強である。
【0151】
この実施形態は、照明すべきインプラント2が網膜の上に位置する場合、インプラント2の動作のために網膜Nの上の広い面を照明しなければならない場合、動作中の予期される眼の回転が同様に大きい場合、必要な全体的な出力のために非常に限られた点光源を使用する場合に放射強度の関連する生物学的限界を超過する場合、及び、動作中に横方向の眼の変位がわずかであるか又は適度である傾向がある場合、特に好ましい。
【0152】
図31A~
図31Dは、記載した照明の間の眼球の異なる位置(横方向位置及び回転位置)を示す。
【0153】
図32は、
図26の実施形態の変更形態を示す。そこでは、拡張光源52が眼球14の回転中心に結像されるように、点光源47ではなく拡張光源52を利用する。したがって、回転中心のテレセントリック照明が存在し、そのため、結像における主光線はおよそ平行である。
【0154】
これにより、眼球14が光源52に関して横方向に変位する場合、眼球14に提供される光分布は変化しないことが確実になる。眼球14の回転角度が大きい場合であっても、照明は、眼球14の回転中心15への結像のために可能であり続ける。拡張光源52により、放射強度を低くすることができる。
【0155】
この実施形態は、照明すべきインプラント2が網膜の上に位置し、広範囲の眼球の回転角度が包含されるように意図されている場合、インプラント自体が比較的小さい横方向の広がりを有する場合、及び、必要な全体的な出力のために非常に限られた点光源を使用する場合に放射強度の関連する生物学的限界を超過する場合、特に好ましい。
【0156】
光源52は、第1レンズ48の前方焦点に位置し、眼球14の回転中心50は、第2レンズ49の後方焦点に位置する。したがって、光源52は、回転中心15に結像される。さらに、結像に使用される主光線が眼球14の上に平行に入射するように、第2レンズ49の前方焦点にテレセントリック絞り50が位置する。
【0157】
【0158】
図34は、
図32による実施形態の変更形態を示す。焦点16が眼球14の瞳孔平面Pに位置するように、距離が選択される。したがって、眼球14の瞳孔平面内への拡張光源52のテレセントリック結像が実現され、その結果、眼球14の横方向の変位に関して照明は頑強である。さらに、網膜Nの上の照明される面は、眼球14の虹彩によって制限されなくなる。むしろ、この領域のサイズは、採用される発散又は結像の開口数によって目標とされるように設定することができる。例として、これは、網膜の上のインプラント2の不要な難題を回避することができる。
【0159】
この実施形態は、照明すべきインプラント2が網膜の上に位置する場合、インプラント2の動作のために網膜N上の非常に広い面を照明しなければならない場合、動作中に眼球の非常に大きい横方向の変位が予期される場合、動作中の予期される眼球の回転が適度である場合、必要な全体的な出力のために非常に限られた点光源を使用する場合に放射強度の関連する生物学的限界を超過する場合、エネルギー収支が、及び、ほとんど難題なしに網膜上に可能な限り鮮明に境界が定められるエネルギー分布を必要とする場合、特に好ましい。
【0160】
図35A~
図35Cは、眼球の瞳孔平面への拡張光源のこのテレセントリック結像の場合の眼球の異なる位置(横方向位置及び回転位置)を示す。
【0161】
さらに、照明装置は、眼球14の回転中心15への拡張光源の非テレセントリック結像が実施されるように具現化することができる。例として、これは、無限に結像されていない照明系に存在する絞り50によって達成することができる。例として、これは、照明が、たとえば眼鏡の形態で、頭部の上に装着される、わずかな設置スペースを有する光学系により達成されるべきである場合、有利である。そして、照明系の絞りは、眼鏡基材に直接位置することができ、眼球の広範囲の回転角度を包含することができるにも関わらず、眼鏡に必要な眼鏡断面を最小限にする。
【0162】
こうした実施形態は、照明すべきインプラント2が網膜の上に位置し、プロセスにおいて眼球の広範囲の回転角度が包含されるように意図される場合、しかしながら、インプラント2自体が比較的小さい横方向の広がりを有する場合、必要な全体的な出力のために十分に開発されていない点光源を使用する場合に放射強度の関連する生物学的限界を超過する場合、動作中に、予期される眼球14の横方向変位が適度である傾向がある場合、及び、照明光学系の設置スペースが可能な限り小型であるべきである場合、特に好ましい。
【0163】
【0164】
すでに記載したように、照明装置1の記載した実施形態は、使用者の頭部に装着可能であるものとして具現化することができる。特に、それらは、眼鏡の形態で具現化することができる。当然ながら、光源6は、
図1に示すように、右の眼鏡つるにのみ形成することができるのではなく、左の眼鏡つるに別法として又はさらに形成することができる。この場合、左の眼鏡つるにおける光源の照明放射線による照明は、好ましくは、第1眼鏡レンズ4のものと対応する実施形態(好ましくは、第1眼鏡レンズに関連する忠実に反映された実施形態)を有することができる第2眼鏡レンズ5によって実施することができる。
【0165】
しかしながら、照明装置1は、別個の器具としても具現化することができる(
図37)。その正面に使用者がたとえば着席し、その後、照明光学ユニット7を熟視する。例として、これは、観察すべき目標点を表示することによって実現することができる。さらに、眼科医のところで検査器具に対して標準的であるように、器具の上に又は器具から一定距離に、別法として又はさらに、支え3(たとえば、ヘッドレスト)を形成することができる。
【0166】
ここまで、本発明による照明装置は、常に、眼インプラント2のエネルギー供給に記載した。しかしながら、代替的に、又はそれに加えて、照明装置を使用して眼インプラント2と通信することも可能である。この目的で、ビーム10はたとえば変調される(例として、強度変調及び/又は周波数変調を実行することができる)。したがって、眼インプラントにデータを転送することができる。1つの展開において、照明装置1と眼インプラント2との間の双方向通信も又可能である。