(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】携帯情報端末、センサ、生体情報管理方法、生体情報処理プログラム、およびコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
(21)【出願番号】P 2017249706
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今野 徳人
(72)【発明者】
【氏名】松村 文幸
(72)【発明者】
【氏名】池谷 浩彦
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503619(JP,A)
【文献】特開2017-134011(JP,A)
【文献】特表2012-511965(JP,A)
【文献】特開2017-169768(JP,A)
【文献】特開2017-219934(JP,A)
【文献】国際公開第2017/040700(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を識別する
ための患者識別情報を
、患者識別子から取得する患者情報取得部と、
前
記患者の生体情報を取得する
ために当該患者に装着されるセンサを識別する
ための第一センサ識別情報を
、センサ識別子から取得するセンサ情報取得部と、
前記患者識別情報と前記
第一センサ識別情報を関連付け
、所定の記憶領域に格納する制御部と、
少なくとも一つのセンサから当該センサを特定する第二センサ識別情報を含むアドバタイジング信号を受信する無線通信部と、
表示部と、
を備えており、
前記無線通信部が
前記アドバタイジング信号を受信すると、前記制御部は、
前記第二センサ識別情報により特定されるセンサと前記
第一センサ識別情報により識別されるセンサが一致しているかを判断し、
一致の判断がなされたセンサに対して通信認証を要求する信号を前記無線通信部に送信さ
せ、
前記一致の判断がなされたセンサについて前記通信認証が成立した場合、前記一致の判断がなされたセンサから前記生体情報に対応するセンサ信号を前記無線通信部に受信させ、
前記センサ信号に基づいて前記生体情報を前記表示部に表示させる、
携帯情報端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信認証が成立したセンサに前記アドバタイジング信号の送信を停止させる信号を前記無線通信部に送信させる、
請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記
第一センサ識別情報により識別されるセンサが第一患者に装着された少なくとも一つのセンサと第二患者に装着された少なくとも一つのセンサを含む場合、前記制御部は、前記第一患者に装着された少なくとも一つのセンサの全てについて前記通信認証が成立した後に、前記第二患者に装着された少なくとも一つのセンサに対して前記通信認証を要求する信号を、前記無線通信部に送信させる、
請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信認証が成立したセンサとの通信中断時間が所定値未満である場合、当該センサとの通信を自動的に回復させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信認証が成立したセンサとの通信中断時間が前記所定値以上である場合、当該センサとの通信を回復することなく報知処理を実行する、
請求項4に記載の携帯情報端末。
【請求項6】
前記患者識別情報と前記
第一センサ識別情報の少なくとも一方は画像情報であり、
前記患者情報取得部と前記センサ情報取得部の少なくとも一方は、前記画像情報を取得するカメラを含んでいる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯情報端末。
【請求項7】
患者の生体情報を取得する
ために当該患者に装着されるセンサと、
プロセッサを備えている携帯情報端末と、
を含む生体情報管理システムにおいて、前記プロセッサにより実行される生体情報管理方法であって、
実行されることにより、前記携帯情報端末は、
患者を識別する
ための患者識別情報を
患者識別子から取得し、
前記センサを識別する
ための第一センサ識別情報を
センサ識別子から取得し、
前記患者識別情報と前記
第一センサ識別情報を
関連付けて所定の記憶領域に格納し、
少なくとも一つのセンサから当該センサを特定する第二センサ識別情報を含むアドバタイジング信号を受信し、
前記第二センサ識別情報により特定されるセンサと前記第一センサ識別情報により識別されるセンサが一致しているかを判断し、
一致の判断がなされたセンサに対して通信認証を要求する信号を送信し、
前記一致の判断がなされたセンサについて前記通信認証が成立した場合、前記一致の判断がなされたセンサから前記生体情報に対応するセンサ信号を受信し、
前記センサ信号に基づき、前記生体情報を表示
する、
生体情報管理方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の生体情報管理方法を携帯情報端末に実行させる、
生体情報処理プログラム。
【請求項9】
請求項
8の生体情報処理プログラムが記憶されている、
コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者の生体情報を処理するための携帯情報端末、当該生体情報を取得するために当該患者に装着されるセンサ、生体情報管理方法、当該生体情報管理方法を携帯情報端末に実行させる生体情報処理プログラム、および当該生体情報処理プログラムが記憶されているコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、センサと表示装置を含む生体情報測定システムを開示している。センサは、患者に装着されて当該患者の生体情報を取得する。センサは、表示装置に有線接続される。センサは、取得された生体情報に対応する信号を表示装置へ送信する。表示装置は、受信された信号に対応する当該患者の生体情報を表示する。
【0003】
特許文献2は、センサ、無線送信器、および表示装置を含む生体情報表示システムを開示している。センサは、患者に装着されて当該患者の生体情報を取得する。センサは、無線送信器に有線接続される。無線送信器は、取得された生体情報に対応する信号を表示装置へ無線送信する。表示装置は、受信された信号に対応する当該患者の生体情報を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-086664号公報
【文献】特開2005-168600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
装置の軽量化や患者の動作自由度向上の観点から、センサと表示装置の間に存在する有線接続部分の完全な無線化が望まれている。しかしながら、有線接続は、センサが装着された患者と表示装置または無線送信器との関連付けを視覚的に確認する手段になりうる。
【0006】
例えば特許文献1に記載された構成においては、センサと表示装置が直接的に有線接続されている。この場合、表示装置に表示されている生体情報が、センサが装着されている患者のものであるという事実が一目瞭然である。センサと表示装置の接続が無線化されると、センサが装着されている患者と表示されている生体情報とが関連付けられているとの確信を得るために、慎重な事前確認作業が必要になる。
【0007】
特許文献2に記載された構成の場合、表示装置に対しては動作自由度が確保されうる。しかしながら、患者は無線送信器の携帯を義務付けられる。また、センサと無線送信器の接続が無線化されると、両者が同じ患者に関連付けられていることの慎重な事前確認が必要になる。
【0008】
本開示は、センサを無線化することによって患者の動作自由度を向上させつつも、生体情報の管理を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための一態様は、携帯情報端末であって、
患者を識別する患者識別情報を取得する患者情報取得部と、
前記患者に装着されて当該患者の生体情報を取得するセンサを識別するセンサ識別情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記患者識別情報と前記センサ識別情報を関連付ける制御部と、
前記患者識別情報と関連付けられた前記センサ識別情報により識別されるセンサから前記生体情報に対応するセンサ信号を受信する無線通信部と、
前記センサ信号に基づいて前記生体情報を表示する表示部と、
を備えている。
【0010】
上記の目的を達成するための一態様は、
患者に装着されて当該患者の生体情報を取得するセンサと、
プロセッサを備えている携帯情報端末と、
を含む生体情報管理システムにおいて、前記プロセッサにより実行される生体情報管理方法であって、
患者を識別する患者識別情報を前記携帯情報端末に取得させるステップと、
前記センサを識別するセンサ識別情報を前記携帯情報端末に識別させるステップと、
前記患者識別情報と前記センサ識別情報を、前記携帯情報端末に関連付けさせるステップと、
前記患者識別情報と関連付けられた前記センサ識別情報により識別されるセンサから前記生体情報に対応するセンサ信号を、前記携帯情報端末に受信させるステップと、
前記センサ信号に基づき、前記携帯情報端末に前記生体情報を表示させるステップと、
を含んでいる。
【0011】
上記のような構成によれば、患者識別情報と関連付けられているセンサ識別情報によって識別されるセンサから送信されたセンサ信号に基づく生体情報のみが携帯情報端末の表示部に表示される。
【0012】
よって、有線接続を伴わずとも、表示部に表示されている生体情報とセンサが装着されている患者が関連付けられているとの確信が容易に得られる。また、患者はセンサ信号を中継するための独立した無線送信器を携帯する必要がない。したがって、センサを無線化することによって患者の動作自由度が向上しつつも、生体情報の管理を容易にできる。
【0013】
さらに、患者識別情報を格納するためのメモリや、複雑な処理を実行するためのプロセッサを、センサに内蔵させる必要がない。したがって、センサの大型化や重量増を抑制できるだけでなく、使い捨てとされることの多いセンサのコスト増を抑制できる。
【0014】
上記の目的を達成するための一態様は、上記の生体情報管理方法を携帯情報端末に実行させる、生体情報処理プログラムである。
【0015】
上記の目的を達成するための一態様は、上記の生体情報処理プログラムが記憶されている、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る生体情報管理システムの構成を示している。
【
図2】上記の生体情報管理システムの携帯情報端末とセンサの構成を示している。
【
図3】上記の携帯情報端末により行なわれる処理の流れを示している。
【
図4】上記の生体情報管理システムの別構成例を示している。
【
図5】上記の携帯情報端末とセンサの間で行なわれる通信認証処理の流れを示している。
【
図6】上記の通信認証処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る生体情報管理システム1の構成例を模式的に示している。
【0018】
生体情報管理システム1は、患者の生体情報を管理するシステムである。
図1においては、患者として第一患者P1と第二患者P2が示されている。生体情報は、各種の生体パラメータの値を含む。生体パラメータとしては、体温、血圧、心電図、脳波、動脈血酸素飽和度(SpO2)などが例示されうる。生体情報管理システム1は、携帯情報端末2、センサ3、および患者識別子4を含んでいる。
【0019】
携帯情報端末2は、表示機能と情報処理機能を有する可搬型の装置である。携帯情報端末2としては、スマートフォン、タブレット端末、ヘッドマウントディスプレイなどが例示されうる。携帯情報端末2の詳細な構成については後述する。
【0020】
センサ3は、患者に装着されて当該患者の生体情報を取得する装置である。センサ3は、センサ識別子を備えている。センサ識別子は、センサ個体を特定する情報を保有している。センサ個体を特定する情報は、製造番号を示すテキストやバーコードなどの画像データの態様でセンサの包装やセンサ本体上に提供されてもよいし、非接触通信を介して伝送される非画像データの態様で提供されてもよい。
【0021】
図1においては、センサ3として第一センサ3A、第二センサ3B、および第三センサ3Cが示されている。第一センサ3Aは、第一患者P1の胸部に装着されている。第二センサ3Bは、第一患者P1の指先に装着されている。第三センサ3Cは、第二患者P2の胸部に装着されている。第一センサ3Aと第三センサ3Cは、例えば心電図を取得するための電極である。第二センサ3Bは、例えば動脈血酸素飽和度を取得するためのプローブである。
【0022】
患者識別子4は、患者個人を特定する情報を保有している物体である。患者識別子4としては、患者の腕に装着されるリストバンド、患者の衣服に装着されるネームプレート、患者のベッドや病室に装着されるネームプレートなどが例示されうる。患者個人を特定する情報は、患者氏名や患者番号を示すテキストやバーコードなどの画像データの態様で提供されてもよいし、非接触通信を介して伝送される非画像データの態様で提供されてもよい。
【0023】
図1においては、患者識別子4として第一患者識別子4Aと第二患者識別子4Bが示されている。第一患者識別子4Aは、第一患者P1の衣服にネームプレートの態様で装着されている。第二患者識別子4Bは、第二患者P2の腕にリストバンドの態様で装着されている。
【0024】
図2の(A)は、携帯情報端末2の機能的構成を示している。携帯情報端末2は、表示部20、患者情報取得部21、センサ情報取得部22、制御部23、および無線通信部24を備えている。表示部20、患者情報取得部21、センサ情報取得部22、制御部23、および無線通信部24は、相互に通信可能に接続されている。
【0025】
表示部20は、各種の情報を表示可能に構成されている。表示部20としては、液晶表示装置や有機EL表示装置が例示されうる。表示部20は、タッチ入力を許容するタッチパネル装置を含みうる。
【0026】
患者情報取得部21は、患者識別子4から患者識別情報を取得するように構成されている。患者識別情報がテキストやバーコードなどの画像情報として提供されている場合、患者情報取得部21は、当該画像情報を取得可能なカメラを含むように構成されうる。患者識別情報が非画像データとして提供されている場合、患者情報取得部21は、当該非画像データを非接触で取得可能な近接場型無線通信(NFC)やブルートゥース(登録商標)無線通信が可能な装置を含むように構成されうる。
【0027】
センサ情報取得部22は、センサ3からセンサ識別情報を取得するように構成されている。センサ識別情報がテキストやバーコードなどの画像情報として提供されている場合、センサ情報取得部22は、当該画像情報を取得可能なカメラを含むように構成されうる。センサ識別情報が非画像データとして提供されている場合、センサ情報取得部22は、当該非画像データを非接触で取得可能な近接場型無線通信(NFC)やブルートゥース(登録商標)無線通信が可能な装置を含むように構成されうる。
【0028】
制御部23は、患者情報取得部21によって取得された患者識別情報とセンサ情報取得部22によって取得されたセンサ識別情報とを関連付ける処理を行なうように構成されている。
図1と
図3を参照しつつ、当該処理の一例を詳細に説明する。
【0029】
図3に示されるように、まず患者情報取得部21による患者識別情報の取得がなされる(STEP31)。例えば、制御部23は、ユーザに患者識別情報の取得を促すメッセージを表示部20に表示させる。
図1に示される例の場合、当該ユーザは、患者情報取得部21を用いて第一患者P1の第一患者識別子4Aから第一患者P1の患者識別情報PID1を取得する。
【0030】
続いてセンサ情報取得部22によるセンサ識別情報の取得がなされる(STEP32)。例えば、制御部23は、ユーザにセンサ識別情報の取得を促すメッセージを表示部20に表示させる。
図1に示される例の場合、当該ユーザは、センサ情報取得部22を用いて第一患者P1に装着された第一センサ3Aのセンサ識別情報SID1と第二センサ3Bのセンサ識別情報SID2を取得する。
【0031】
患者識別情報の取得とセンサ識別情報の取得の双方が完了した事実がユーザによって携帯情報端末2へ通知されると、制御部23による患者識別情報とセンサ識別情報の関連付けがなされる(STEP33)。携帯情報端末2への通知は、所定のボタン(表示部20に表示されるものを含む)の操作や音声入力によってなされうる。
【0032】
本例の場合、制御部23は、第一患者識別子4Aより取得された患者識別情報PID1を、第一センサ3Aから取得されたセンサ識別情報SID1および第二センサ3Bから取得されたセンサ識別情報SID2に関連付け、所定の記憶領域に格納する。これにより、第一患者P1に第一センサ3Aと第二センサ3Bが装着されているという事実を示す情報が格納される。
【0033】
続いて追加登録の有無が確認される(STEP34)。例えば、制御部23は、追加登録の有無を確認するためのメッセージを表示部20に表示させる。
図1に示される例の場合、第二患者P2が存在する。したがって、ユーザは、追加登録が必要である旨を携帯情報端末2に入力する(STEP34においてY)。
【0034】
この場合、前述した患者識別情報の取得(STEP31)、センサ識別情報の取得(STEP32)、および患者識別情報とセンサ識別情報の関連付け(STEP33)が繰り返される。
図1に示される例の場合、第二患者識別子4Bから取得された患者識別情報PID2と第三センサ3Cから取得されたセンサ識別情報SID3とが関連付けられ、所定の記憶領域に格納される。これにより、第二患者P2に第三センサ3Cが装着されているという事実を示す情報が格納される。
【0035】
患者識別情報の取得(STEP31)とセンサ識別情報の取得(STEP32)の順序は、逆でもよい。しかしながら、両識別情報の取得と関連付けを含む一連の処理は、患者ごとになされる。
【0036】
続いて追加登録の有無の確認がなされる(STEP34)。
図1に示される例の場合、追加登録を要する患者は存在しない。したがって、ユーザは、追加登録が不要である旨を携帯情報端末2に入力する(STEP34においてN)。
【0037】
図2の(A)に示される無線通信部24は、センサ3と無線通信を行なうことが可能な周知の構成を備えている。制御部23は、患者識別情報と関連付けられたセンサ識別情報により識別されるセンサ3に対して通信の認証を要求するように構成されている。
【0038】
図2の(B)は、センサ3の機能的構成を示している。センサ3は、情報取得部30、無線通信部31、および制御部32を備えている。情報取得部30、無線通信部31、および制御部32は、相互に通信可能に接続されている。
【0039】
センサ3は、情報取得部30を介して患者の生体情報を取得するように構成されている。すなわち、情報取得部30は、取得しようとする患者の生体情報に応じた適宜の構成を備えている。
【0040】
無線通信部31は、携帯情報端末2と無線通信を行なうことが可能な周知の構成を備えている。
【0041】
制御部32は、無線通信部31が通信認証を要求する信号を受信すると、無線通信部31に、当該信号を送信した携帯情報端末2へ向けて確認信号を返信させるように構成されている。この確認信号が携帯情報端末2によって受信されると、これらの携帯情報端末2とセンサ3の間で無線通信の認証が成立する。
【0042】
制御部32は、無線通信部31に、通信認証が成立した携帯情報端末2へ向けてセンサ信号を送信させるように構成されている。センサ信号は、情報取得部30が取得した生体情報に対応する信号である。
【0043】
図3に示されるように、センサ3から送信されたセンサ信号は、携帯情報端末2によって受信される(STEP35)。すなわち、携帯情報端末2の無線通信部24は、患者識別情報と関連付けられたセンサ識別情報により識別されるセンサ3からセンサ信号を受信する。
図1に示される例の場合、無線通信部24は、第一センサ3A、第二センサ3B、および第三センサ3Cの各々からセンサ信号を受信する。
【0044】
続いて、携帯情報端末2の表示部20において生体情報の表示がなされる(STEP36)。無線通信部24によって受信されたセンサ信号は、適宜の処理を経て可視化され、センサ3によって取得された生体情報として表示部20に表示される。
図1に示される例の場合、第一患者P1の生体情報として第一センサ3Aによって取得された心電図と第二センサ3Bによって取得された動脈血酸素飽和度が表示され、第二患者P2の生体情報として第三センサ3Cによって取得された心電図が表示される。
【0045】
上記のような構成によれば、患者識別情報と関連付けられているセンサ識別情報によって識別されるセンサ3から送信されたセンサ信号に基づく生体情報のみが携帯情報端末2の表示部20に表示される。
【0046】
例えば、
図1に示される第二患者P2について上記の関連付け処理が行なわれなかった場合、携帯情報端末2と第三センサ3Cの間で無線通信は行なわれない。したがって、第三センサ3Cからのセンサ信号に基づく第二患者P2の生体情報は、携帯情報端末2の表示部20に表示されない。
【0047】
図4に示されるように、携帯情報端末2は、第一携帯情報端末2Aと第二携帯情報端末2Bを含みうる。第一携帯情報端末2Aにおいて第一患者P1と第一センサ3Aおよび第二センサ3Bの関連付け処理がなされ、第二携帯情報端末2Bにおいて第二患者P2と第三センサ3Cの関連付け処理がなされた場合、第一センサ3Aと第二センサ3Bに係る生体情報は第二携帯情報端末2Bには表示されず、第三センサ3Cに係る生体情報は、第一携帯情報端末2Aには表示されない。
【0048】
よって、有線接続を伴わずとも、表示部20に表示されている生体情報とセンサ3が装着されている患者が関連付けられているとの確信が容易に得られる。また、患者はセンサ信号を中継するための独立した無線送信器を携帯する必要がない。したがって、センサ3を無線化することによって患者の動作自由度が向上しつつも、生体情報の管理を容易にできる。
【0049】
さらに、患者識別情報を格納するためのメモリや、複雑な処理を実行するためのプロセッサを、センサ3に内蔵させる必要がない。したがって、センサ3の大型化や重量増を抑制できるだけでなく、使い捨てとされることの多いセンサ3のコスト増を抑制できる。
【0050】
次に、患者識別情報と関連付けられたセンサ識別信号により識別されるセンサ3と通信認証を成立させるための一構成例について、
図5と
図6を参照しつつ説明する。ここでは、第一携帯情報端末2Aにおいて第一患者P1と第一センサ3Aおよび第二センサ3Bの関連付け処理がなされ、第二携帯情報端末2Bにおいて第二患者P2と第三センサ3Cの関連付け処理がなされた場合について説明する。
【0051】
センサ3の無線通信部31は、アドバタイジング信号を発信するように構成されうる。アドバタイジング信号は、発信元のセンサ3の個体を特定するセンサ識別情報を含む。
図2の(B)に示されるように、センサ3は、識別情報格納部33を備えうる。アドバタイジング信号に含まれるセンサ識別情報は、識別情報格納部33に格納されうる。
【0052】
携帯情報端末2の制御部23は、無線通信部24がアドバタイジング信号を受信すると、当該アドバタイジング信号により特定されるセンサと、センサ情報取得部22により取得されたセンサ識別情報により識別されるセンサとが一致しているかを判断するように構成されうる。換言すると、制御部23は、アドバタイジング信号により特定されるセンサと、患者識別情報と関連付けられたセンサ識別情報により識別されるセンサとが一致しているかを判断するように構成されうる。
【0053】
本例の場合、
図6の(A)に示されるように、第一携帯情報端末2Aの無線通信部24と第二携帯情報端末2Bの無線通信部24の双方が、第一センサ3A、第二センサ3B、および第三センサ3Cの各々から発信されたアドバタイジング信号を受信する(
図5のSTEP51)。
【0054】
アドバタイジング信号により特定されるセンサ3が第一センサ3Aである場合、第一携帯情報端末2Aの制御部23は、患者識別情報と関連付けられているセンサ識別情報により特定されるセンサ3に第一センサ3Aが含まれているかを判断する(STEP52)。
【0055】
第一携帯情報端末2Aにおいては、第一センサ3Aを識別するセンサ識別情報SID1が第一患者P1の患者識別情報PID1と関連付けられている(STEP52においてY)。続いて、当該判断に供されていないアドバタイジング信号の有無が確認される(STEP53)。本例の場合、第二センサ3Bから発信されたアドバタイジング信号と第三センサ3Cから発信されたアドバタイジング信号が、上記の判断に供されていない(STEP53においてN)。よって、処理はSTEP52に戻る。
【0056】
アドバタイジング信号により特定されるセンサ3が第二センサ3Bである場合、第一携帯情報端末2Aの制御部23は、患者識別情報と関連付けられているセンサ識別情報により特定されるセンサ3に第二センサ3Bが含まれているかを判断する(STEP52)。
【0057】
第一携帯情報端末2Aにおいては、第二センサ3Bを識別するセンサ識別情報SID2が第一患者P1の患者識別情報PID1と関連付けられている(STEP52においてY)。続いて、当該判断に供されていないアドバタイジング信号の有無が確認される(STEP53)。第三センサ3Cから発信されたアドバタイジング信号が、未だ上記の判断に供されていないので(STEP53においてY)、処理は再度STEP52に戻る。
【0058】
アドバタイジング信号により特定されるセンサ3が第三センサ3Cである場合、第一携帯情報端末2Aの制御部23は、患者識別情報と関連付けられているセンサ識別情報により特定されるセンサ3に第三センサ3Cが含まれているかを判断する(STEP52)。
【0059】
第一携帯情報端末2Aにおいては、第三センサ3Cを識別するセンサ識別情報SID3は、第一患者P1の患者識別情報PID1と関連付けられていない(STEP52においてN)。この場合、
図6の(B)に示されるように、第一携帯情報端末2Aの制御部23は、第三センサ3Cから発信されたアドバタイジング信号を無視する(STEP54)。
【0060】
第二携帯情報端末2Bにおいても同様の処理が実行される。前述のように、第二携帯情報端末2Bにおいては、第三センサ3Cを識別するセンサ識別情報SID3が、第二患者P2の患者識別情報PID2と関連付けられている。よって、
図6の(B)に示されるように、第一センサ3Aと第二センサ3Bの各々から発信されたアドバタイジング信号は無視され、第三センサ3Cのみが後述する処理の対象となる。
【0061】
携帯情報端末2の制御部23は、アドバタイジング信号により特定されるセンサとセンサ識別情報により識別されるセンサとが一致していると判断した場合、当該センサに対して通信認証を要求するように構成されうる。
【0062】
本例の場合、第一携帯情報端末2Aの制御部23は、第一センサ3Aに対して通信認証を要求する信号を、無線通信部24に送信させる(STEP55)。
【0063】
前述のように、センサ3の制御部32は、無線通信部31が通信認証を要求する信号を受信すると、無線通信部31に、当該信号を送信した携帯情報端末2へ向けて確認信号を返信させる。
【0064】
本例の場合、第一センサ3Aの無線通信部31が第一携帯情報端末2Aからの認証要求信号を受信し、第一センサ3Aの制御部32は、第一センサ3Aの無線通信部31に、第一携帯情報端末2Aへ確認信号を返信させる。第一携帯情報端末2Aの無線通信部24は、第一センサ3Aからの確認信号を受信する(STEP56)。これにより、第一携帯情報端末2Aと第一センサ3Aとの間で無線通信の認証が成立する(STEP57)。
【0065】
続いて未認証のセンサの有無が判断される(STEP58)。本例の場合、第二センサ3Bが未だ認証に供されていない(STEP58においてY)。よって、処理はSTEP55に戻る。
【0066】
第一携帯情報端末2Aの制御部23は、第二センサ3Bに対して通信認証を要求する信号を、無線通信部24に送信させる(STEP55)。第二センサ3Bの無線通信部31は、第一携帯情報端末2Aからの認証要求信号を受信する。第二センサ3Bの制御部32は、第二センサ3Bの無線通信部31に、第一携帯情報端末2Aへ確認信号を返信させる。第一携帯情報端末2Aの無線通信部24は、第二センサ3Bからの確認信号を受信する(STEP56)。これにより、第一携帯情報端末2Aと第二センサ3Bとの間で無線通信の認証が成立する(STEP57)。
【0067】
本例の場合、第一携帯情報端末2Aについては、未認証のセンサは存在しない(STEP58においてN)。よって認証処理が終了する。
【0068】
第二携帯情報端末2Bにおいても同様の処理が実行される。第二携帯情報端末2Bの制御部23は、第三センサ3Cに対して通信認証を要求する信号を、無線通信部24に送信させる(STEP55)。第三センサ3Cの無線通信部31は、第二携帯情報端末2Bからの認証要求信号を受信する。第三センサ3Cの制御部32は、第三センサ3Cの無線通信部31に、第二携帯情報端末2Bへ確認信号を返信させる。第二携帯情報端末2Bの無線通信部24は、第三センサ3Cからの確認信号を受信する(STEP56)。これにより、第二携帯情報端末2Bと第三センサ3Cとの間で無線通信の認証が成立し(STEP57)、認証処理が終了する。
【0069】
アドバタイジング信号を利用するこのような構成によれば、携帯情報端末2とセンサ3の間の通信認証処理の自動化が容易となる。
【0070】
携帯情報端末2の制御部23は、通信認証が成立したセンサにアドバタイジング信号の発信を停止させる停止要求信号を、無線通信部24に送信させるように構成されうる。
【0071】
センサ3の制御部32は、無線通信部31が携帯情報端末2から停止要求信号を受信すると、無線通信部31にアドバタイジング信号の発信を停止させるように構成されうる。
【0072】
すなわち、
図5に破線で示されるように、携帯情報端末2の制御部23は、通信認証が成立したセンサにアドバタイジング信号の発信の停止を要求しうる(STEP59)。
【0073】
上記の例の場合、第一携帯情報端末2Aの制御部23は、第一センサ3Aと第二センサ3Bの各々に対し、アドバタイジング信号の発信を停止させる停止要求信号を、無線通信部24に送信させる。第一センサ3Aと第二センサ3Bの各々の制御部32は、無線通信部31にアドバタイジング信号の発信を停止させる。
【0074】
このような構成によれば、携帯情報端末2が複数存在する場合において、通信認証処理の負荷を軽減できる。
【0075】
例えば、第二携帯情報端末2Bにおいて第三センサ3Cとの通信認証処理が行なわれる間に第一センサ3Aと第二センサ3Bがアドバタイジング信号の発信を停止すると、通信認証の候補から第一センサ3Aと第二センサ3Bが除かれる。したがって、第二携帯情報端末2Bと第三センサ3Cの間で通信認証を成立させるまでの時間を短縮できる場合がある。
【0076】
アドバタイジング信号の発信停止は、携帯情報端末2からの要求に応じて行なわれなくてもよい。例えば、センサ3の制御部32は、確認信号の返信を以って携帯情報端末2との通信が確立したとみなし、アドバタイジング信号の発信を自発的に停止するように構成されうる。
【0077】
携帯情報端末2の制御部23は、ある患者に装着されたセンサ3の全てについて通信認証を成立させた後に、別の患者に装着されたセンサについて通信認証処理を開始するように構成されうる。一例として、同一の携帯情報端末2において、第一センサ3Aと第二センサ3Bが第一患者P1に関連付けられており、第三センサ3Cが第二患者P2に関連付けられている場合を説明する。
【0078】
この場合、第一患者P1に関連付けられた第一センサ3Aと第二センサ3Bに対して、
図5を参照して説明した通信認証処理がまず実行される。第二患者P2に関連付けられた第三センサ3Cに通信認証を要求する信号の送信は、第一センサ3Aと第二センサ3Bの双方について携帯情報端末2との間で通信認証が成立した後に行なわれる。第一患者P1と第二患者P2に係る順序は逆でもよい。
【0079】
このような構成によれば、認証処理を自動化しつつも、第二患者P2に関連付けられているセンサ3が、第一患者P1に関連付けられているセンサとして誤って通信認証されてしまうリスクを軽減できる。
【0080】
センサ3から携帯情報端末2へのセンサ信号の送信が無線通信を介して行なわれるので、通信環境によっては通信が中断する場合がありうる。携帯情報端末2の制御部23は、通信認証が成立したセンサ3との通信中断時間が所定値未満である場合、当該センサ3との通信を自動的に回復させるように構成されうる。
【0081】
このような構成によれば、通信が中断する度に前述の通信認証処理が実行される煩わしさを回避できる。したがって、ユーザにより快適な利用環境を提供できる。
【0082】
他方、携帯情報端末2の制御部23は、通信認証が成立したセンサ3との通信中断時間が所定値以上である場合、当該センサとの通信を回復することなく報知処理を実行するように構成されうる。報知処理は、視覚的報知、聴覚的報知、および触覚的報知の少なくとも一つを用いてユーザに対してなされる。報知処理としては、メッセージの表示、特定の光源の点灯、警告音の出力、振動の発生などが例示されうる。
【0083】
通信中断時間が所定値以上となる原因としては、センサ3の装着位置ずれ、脱落、故障などが考えられうる。このような状況においては、通信回復を試みる処理の実行よりも現状確認が優先されるべきである。上記の構成によれば、不慮の事態における無線通信環境の迅速な回復をユーザに促すことができる。
【0084】
患者情報取得部21とセンサ情報取得部22の各々については、幾つかの採りうる構成例を前述した。しかしながら、患者情報取得部21とセンサ情報取得部22の少なくとも一方は、カメラを含むことが好ましい。すなわち、患者識別情報とセンサ識別情報の少なくとも一方は、画像情報として提供されることが好ましい。この場合、ユーザは、カメラで患者識別情報とセンサ識別情報の少なくとも一方を撮影することによって、当該情報を取得する。
【0085】
携帯情報端末2は、汎用のカメラを備えていることが一般的である。上記の構成によれば、専用の装置を追加することなく患者識別情報とセンサ識別情報の少なくとも一方を容易に取得できる。また、情報の取得に際して視覚的な認識を伴うため、作業の確実性と信頼性が向上する。
【0086】
携帯情報端末2における患者情報取得部21、センサ情報取得部22、制御部23、および無線通信部24の少なくとも一つの機能の少なくとも一部は、携帯情報端末2が備えているプロセッサとメモリの協働によって実現されうる。
【0087】
プロセッサとしては、CPU、MPU、GPUなどが例示されうる。プロセッサは、複数のプロセッサコアを有しうる。メモリとしては、ROMやRAMなどが例示されうる。ROMには、プロセッサにより実行される各種のプログラムなどが格納されうる。RAMは、プロセッサにより実行される各種のプログラムなどが格納される複数のワークエリアを有している。例えば、プロセッサは、ROMに格納されたプログラムの少なくとも一部を指定してプログラムをRAM上に展開し、RAMと協働して各種の処理を実行する。
【0088】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0089】
図1と
図4に示されている患者の数、携帯情報端末2の数、センサ3の数は、一例に過ぎない。それぞれの数は、適宜に定められうる。
【0090】
上記の実施形態においては、上述した生体情報管理方法を携帯情報端末2のプロセッサに実行させるための生体情報処理プログラムは、携帯情報端末2のメモリに格納されている。しかしながら、上述した生体情報管理方法の少なくとも一部は、携帯情報端末2が接続可能なネットワーク上に配置されたサーバ装置のプロセッサにより実行されてもよい。この場合、上述した生体情報管理方法の少なくとも一部を携帯情報端末2のプロセッサに実行させる生体情報処理プログラムの少なくとも一部は、当該サーバ装置の記憶部に格納される。
【0091】
第一携帯情報端末2Aにおいて表示に供される生体情報と第二携帯情報端末2Bにおいて表示に供される生体情報は、それぞれ不図示のセントラルモニタへ無線送信されうる。当該セントラルモニタにおいては、第一携帯情報端末2Aを通じて管理されている少なくとも一人の患者の生体情報と、第二携帯情報端末2Bを通じて管理されている少なくとも一人の患者の生体情報が、集中管理のために一括表示されうる。
【符号の説明】
【0092】
1:生体情報管理システム、2:携帯情報端末、2A:第一携帯情報端末、2B:第二携帯情報端末、20:表示部、21:患者情報取得部、22:センサ情報取得部、23:制御部、24:無線通信部、3:センサ、3A:第一センサ、3B:第二センサ、3C:第三センサ、30:情報取得部、31:無線通信部、32:制御部