(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】磁束機械
(51)【国際特許分類】
H02K 16/02 20060101AFI20220929BHJP
H02K 21/12 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H02K16/02
H02K21/12 Z
(21)【出願番号】P 2017501378
(86)(22)【出願日】2015-07-22
(86)【国際出願番号】 US2015041614
(87)【国際公開番号】W WO2016014717
(87)【国際公開日】2016-01-28
【審査請求日】2018-07-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-17
(32)【優先日】2014-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516218993
【氏名又は名称】クリアウォーター ホールディングス,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ニューマーク,ノア,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,ステファン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ハーウィズ,モーガン,アール.
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】小川 恭司
【審判官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-166741(JP,A)
【文献】特開2001-103717(JP,A)
【文献】特開平10-23721(JP,A)
【文献】特開2001-275396(JP,A)
【文献】特開2012-222974(JP,A)
【文献】特開2001-359261(JP,A)
【文献】特開2009-136046(JP,A)
【文献】国際公開第2012/007984(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 16/02
H02K 21/12
H02K 21/14
H02K 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
複数のロータであって、前記複数のロータの中心軸の周囲を回転方向に回転するように構成され、かつ前記複数のロータが第1のロータおよび第2のロータを備え、前記第1のロータおよび第2のロータは前記中心軸の周囲を前記回転方向に互いに独立して回転するように構成される、複数のロータと、
複数のコイルアセンブリであって、前記複数のコイルアセンブリは前記ステータに接続され、かつ前記中心軸の周囲に周方向に配置されており、前記複数のコイルアセンブリの各々はコイルおよびコア積層体を備え、前記コア積層体は第1の部分および第2の部分を有し、前記複数のコイルアセンブリの前記コイルは前記コア積層体の前記第1の部分の周囲に少なくとも部分的に巻かれ、前記複数のコイルアセンブリの各々は前記複数のコイルアセンブリの内部の電流が前記回転方向に垂直な平面を流れるように、各々の前記コイルアセンブリが配向される、複数のコイルアセンブリと、および
複数の磁石のセットであって、前記複数の磁石のセットは前記複数のロータに接続されており、前記複数の磁石のセットの各々は前記中心軸の周囲に周方向に配置された複数の磁石を備え、前記複数の磁石のセットは、前記第1のロータに接続された第1の磁石のセットと、前記第2のロータに接続された第2の磁石のセットを備え、前記第1の磁石のセットにおいて前記複数の磁石は、前記複数のコイルアセンブリの第1の側面に向かう第1の半径方向に向かい合い、前記第2の磁石のセットにおいて前記複数の磁石は、前記複数のコイルアセンブリの第2の側面に向かう第1の軸方向に向かい合い、それによって、前記複数のコイルアセンブリの少なくとも1つは、前記第1の磁石のセットの前記複数の磁石のうちの1つによって前記第1の側面に囲まれるように構成され、かつ前記第2の磁石のセットの前記複数の磁石のうちの1つによって前記第2の側面に囲まれるように構成される、複数の磁石のセットと、
を備える、磁束機械であって、
前記複数のコイルアセンブリの各々の前記コア積層体の第2の部分は、前記コイルの前記第1の側面と前記第1の磁石のセットに由来する磁石との間に位置付けされ、
前記第1のロータは、第1の軸および前記第1の軸に接続した第1の構造フレームを備え、前記第1の軸は前記中心軸の周囲を回転するように構成され、前記第1の構造フレームは前記第1の軸から前記複数のコイルアセンブリに向かって延在し、前記第1の磁石のセットにおいて各々の磁石が前記第1の構造フレームに接続され、それによって前記第1の磁石のセットにおいて各々の磁石が前記複数のコイルアセンブリの前記第1の側面に向かって、隣接し、かつ半径方向で面するように位置合わせされるようにして構成され、
前記第2のロータは、第2の軸および前記第2の軸に接続した第2の構造フレームを備え、前記第2の軸が前記中心軸の周囲を回転するように構成され、前記第2の構造フレームが前記第2の軸から前記複数のコイルアセンブリに向かって延在するように構成され、前記第2の軸は前記第1の軸に対して、同軸に位置合わせされると共に相互に自由回転するように構成され、前記第2の磁石のセットにおいて各々の磁石が前記第2の構造フレームに接続され、それによって前記第2の磁石のセットにおいて各々の磁石が前記複数のコイルアセンブリの前記第2の側面に向かって、隣接し、かつ軸方向で面するように位置合わせされるように構成され、前記複数のコイルアセンブリの1つまたは複数に前記電流が流れた場合に、前記第1の磁石のセットにおける複数の磁石が、前記第2の磁石のセットにおける複数の磁石に対し相対的に移動するように構成され、かつ
前記第2のロータがモータとして機能すると同時に、前記第1のロータが発電機として機能するように構成される、
磁束機械。
【請求項2】
前記複数の磁石のセットのうち各々の前記磁石は、永久磁石、電磁石、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項3】
前記複数のコイルアセンブリの各々が側端を有し、前記第1の磁石のセットにおいて各々の磁石が前記複数のコイルアセンブリの前記第1の側面の前記側端に適合するように構成され、かつ前記第2の磁石のセットの各々の磁石が前記複数のコイルアセンブリの前記第2の側面の前記側端に適合するように構成され、かつ前記複数のコイルアセンブリと、前記第1の磁石のセットおよび前記第2の磁石のセットにおける前記複数の磁石の間の空隙が最小化されるように構成される、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項4】
前記第1の磁石のセットと前記第2の磁石のセットにおける前記複数の磁石が、磁束を前記回転方向に対して直交するように配向する、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項5】
前記複数のコイルアセンブリの各々が矩形またはほぼ矩形である、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項6】
前記複数のコイルアセンブリの各々が、長円形の形状であり、前記複数の磁石のセットの各々が曲線形の形状である、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項7】
前記第1のロータが、前記第1の構造フレームに接続する第3の磁石のセットと第4の磁石のセットを備える、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項8】
前記磁束機械が、第3の軸に接続する第3の構造フレームを有する第3のロータを更に備え、前記複数の磁石のセットの各々が第3の磁石のセットおよび第4の磁石のセットを備え、前記第3の磁石のセットにおける複数の磁石が、前記第2のロータの前記第2の構造フレームに接続され、前記第3の磁石のセットにおける前記複数の磁石は前記複数のコイルアセンブリの第3の側面に配向する第2の半径方向に向かい合っており、前記第2の半径方向は、
前記第1の半径方向と平行しかつ対向するように配向しており、前記第4の磁石のセットにおける前記複数の磁石は前記第3のロータの前記第3の構造フレームに接続され、かつ前記第4の磁石のセットにおける前記複数の磁石は、前記複数のコイルアセンブリの第4の側面に配向する第2の軸方向に向かい合い、それによって、前記ステータ上の前記複数のコイルアセンブリの少なくとも1つが、前記第1の磁石のセットのうちの1つの磁石、前記第2の磁石のセットのうちの1つの磁石、前記第3の磁石のセットのうちの1つの磁石、および前記第4の磁石のセットのうちの1つの磁石によって囲まれるように構成される、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項9】
前記第1の軸、前記第2の軸、および前記第3の軸の各々が、他とは独立して回転するように各々構成される、請求項
8に記載の磁束機械。
【請求項10】
前記複数のコイルアセンブリの各々が、透過性コアのチャネル内に配置される電気コイルを備える、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項11】
前記複数の磁石のセットが、第3の磁石のセットおよび第4の磁石のセットを備え、前記第3の磁石のセットにおける前記複数の磁石が、前記第1のロータの前記第1の構造フレームと接続し、前記第4の磁石のセットにおける前記複数の磁石が前記第2のロータの前記第2の構造フレームと接続し、前記第3の磁石のセットにおける前記複数の磁石は前記複数のコイルアセンブリの第3の側面に向かって配向する第2の軸方向に向かい合い、前記第4の磁石のセットにおける前記複数の磁石は前記複数のコイルアセンブリの第4の側面に向かって配向する第2の半径方向に向かい合う、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項12】
前記第1の磁石のセットのうち各々の磁石が、前記第1の半径方向に磁束を配向させ、前記第2の磁石のセットのうち各々の磁石が、前記第1の軸方向に磁束を配向させ、前記第3の磁石のセットのうち各々の磁石が、前記第1の軸方向と対向する前記第2の軸方向に磁束を配向させ、かつ前記第4の磁石のセットのうち各々の磁石が、前記第1の半径方向に対向する前記第2の半径方向に磁束を配向するように構成される、請求項
11に記載の磁束機械。
【請求項13】
前記複数の磁石のセットが第3の磁石のセットを備え、前記第3の磁石のセットのうち各々の磁石が前記第1のロータの前記第1の構造フレームに接続され、かつ前記第3の磁石のセットのうち前記複数の磁石が、前記複数のコイルアセンブリの前記第2の側面に配向する前記第1の軸方向に向かい合う、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項14】
前記磁束機械が、第3の軸に接続した第3の構造フレームを有する第3のロータを更に備え、前記複数の磁石のセットの各々が、第3の磁石のセットと、第4の磁石のセットと、第5の磁石のセットを備え、前記第3の磁石のセットおよび前記第5の磁石のセットにおける各々の磁石が、前記第2のロータの前記第2の構造フレームに接続し、前記第4の磁石のセットにおける各々の磁石が前記第3のロータの前記第3の構造フレームに接続するように構成される、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項15】
前記第3の磁石のセットにおける前記複数の磁石が前記複数のコイルアセンブリの第3の側面に配向する第2の半径方向に向かい合い、前記第3の磁石のセットにおける磁石の前記第2の半径方向が、前記第2の磁石のセットにおける前記磁石の
前記第1の軸方向に対し垂直であって、かつ前記第1の磁石のセットにおける前記磁石の
前記第1の半径方向に対し平行でかつ対向するように構成される、
請求項
14に記載の磁束機械。
【請求項16】
前記第4の磁石のセットにおける前記複数の磁石および前記第5の磁石のセットにおける前記複数の磁石が、前記複数のコイルアセンブリの第4の側面に向かって配向する第2の軸方向に向かい合い、前記第4の磁石のセットおよび前記第5の磁石のセットにおける前記複数の磁石の第2の軸方向が、前記第1の磁石のセットにおける前記複数の磁石の前記第1の半径方向に対し垂直であり、かつ前記第3の磁石のセットにおける前記複数の磁石の前記第2の半径方向に対し垂直であり、かつ、前記第2の磁石のセットにおける前記複数の磁石の前記第1の軸方向に対し平行でかつ対向するように構成される、請求項
15に記載の磁束機械。
【請求項17】
前記磁束機械が第3のロータおよび第4のロータをさらに備え、前記第3のロータは第3の軸に接続した第3の構造フレームを備え、前記第4のロータは第4の軸に接続した第4の構造フレームを備え、前記複数の磁石のセットが第3の磁石のセットと、第4の磁石のセットを更に備え、前記第3の磁石のセットにおける各々の磁石は前記第3のロータの前記第3の構造フレームに接続し、前記第4の磁石のセットにおける各々の磁石は前記第4のロータの前記第4の構造フレームに接続する、請求項1に記載の磁束機械。
【請求項18】
磁束機械を提供する工程であって、前記磁束機械が、
ステータと、
複数のロータであって、前記複数のロータの中心軸の周囲を回転方向に独立して回転するように構成された第1のロータと第2のロータを備える、複数のロータと、
前記ステータに接続された複数のコイルアセンブリであって、前記複数のコイルアセンブリの各々がコイルおよびコア積層体を備え、前記コア積層体が第1の部分および第2の部分を有しており、前記複数のコイルアセンブリの内部の電流が前記回転方向に対して垂直な平面に流れるように前記複数のコイルアセンブリの各々が配向される、複数のコイルアセンブリと、
前記複数のロータに接続された複数の磁石のセットであって、前記複数の磁石のセットが、前記第1のロータに接続された第1の磁石のセットと、前記第2のロータに接続された第2の磁石のセットを備え、前記第1のロータは、第1の軸と、前記第1の軸に接続した第1の構造フレームを備え、かつ前記第1の軸は、前記中心軸の周囲を回転するように構成され、前記第1の構造フレームは前記第1の軸から前記複数のコイルアセンブリに向かって延在し、前記第1の磁石のセットにおける各々の磁石は、前記第1の構造フレームに接続するように構成され、それによって、前記第1の磁石のセットにおける各々の磁石は前記複数のコイルアセンブリの第1の側面に向かって隣接して、かつ半径方向に面するように位置合わせされ、前記第2のロータは、第2の軸と、前記第2の軸に接続した第2の構造フレームを備え、前記第2の軸は、前記中心軸の周囲を回転するように構成され、前記第2の構造フレームは前記第2の軸から前記複数のコイルアセンブリに向かって延在するように構成され、前記第2の軸は前記第1の軸に対して同軸に位置合わせされると共に相互に自由回転するように構成され、前記第2の磁石のセットにおける各々の磁石は前記第2の構造フレームに接続することにより、前記第2の磁石のセットにおける各々の磁石が前記複数のコイルアセンブリの第2の側面に向かって隣接して、かつ軸方向に面するように位置合わせされるように構成され、前記第1の磁石のセットおよび前記第2の磁石のセットにおける磁石が回転方向に対し直角に磁束を配向するように構成され、前記複数のコイルアセンブリの各々のコア積層体の前記第2の部分が前記コイルの前記第1の側面と前記第1の磁石のセットに由来する磁石の間に位置付けされる、複数の磁石のセット、を備える
工程と、
前記複数のコイルアセンブリを入口電流源に電気的に接続して、前記複数のコイルアセンブリを介して入口電流を生じさせる工程と、および
前記第1のロータを駆動して前記複数のコイルアセンブリに補充電流を外的に誘導する工程であって、一方で、前記複数のコイルアセンブリを介して少なくとも前記入口電流を流すことにより、前記第2のロータを同時に駆動させ、それによって、前記第2のロータがモータとして作動すると同時に、前記第1のロータが発電機として作動するように構成される、工程
を備える、方法。
【請求項19】
前記複数の磁石のセットの各々の磁石が、永久磁石、電磁石、またはそれらの組合せである、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のコイルアセンブリのうちの1つと前記第1の磁石のセットと前記第2の磁石のセットの両方のうち1つの磁石との間の空隙が最小化される、請求項
18に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の軸と前記第2の軸が同軸である、請求項
18に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のロータが第1の周波数で駆動し、かつ前記第2のロータが第2の周波数で駆動し、前記第1の周波数が前記第2の周波数と異なる、請求項
18に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のロータが第1の周波数で駆動し、かつ前記第2のロータが第2の周波数で駆動し、前記第1の周波数が前記第2の周波数と等しい、請求項
18に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の磁石のセットにおける前記複数の磁石が、半径方向に磁束を配向するように構成され、かつ前記第2の磁石のセットにおける前記複数の磁石が軸方向に磁束を配向するように構成される、請求項
18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電磁モータおよび発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
磁石横方向磁束機械は、コイル内の電流に対して垂直(横方向)に磁束を導き、長手方向の磁束を有する標準的なブラシレス機械よりも高いトルク密度を生成することができる。そのような機械は高い電力密度を有し、モータおよび発電機の両方として使用することができる。トルクは一定のステータ(固定子)電流において極数と共に増加する。横方向磁束機械では極数が大きいため、ステータ巻線における電流の周波数は高いが、シャフト速度は低い。そのような機械は、昔からステータおよびロータ(回転子)部品の製作および組み立てを難しくしている3次元磁気回路を有する。先行技術の磁気回路の製造方法は、個々のU字型の磁気回路の形成を必要とする。例えば、U字型の磁気回路は、互いに積み重ねられた複数の個々のU字型の積層体で構成されていてもよい。その上、そのような機械の組み立ては、各U字型の磁気回路の正しい配置、位置合わせおよび離間を必要とする。先行技術で知られている別の方法は、それぞれが一連のL字型突起物として全磁気回路の半分を有する2つの3D積層体を構築することである。コイルの周りで互いに接合させると、磁気回路はU字型に完成する。この方法は複雑な3次元形状を有する積層体の構築を必要とし、磁気回路を適切に形成するために積層体の正確な回転位置合わせを必要とする。本明細書に記載されている本磁束機械は製造および組み立てが単純であり、小型であり、かつ他の新規かつ非常に有利な態様を有する。本開示に関連する先行技術は以下の表に含まれており、参照により本明細書に組み込まれる。
【表1】
【0003】
図面は、先行技術に対して製造および操作上の利点を有する新規な電磁回転磁束機械10を示す。例えば、磁束密度は比較的高く、1つの極当たりの起磁力を低下させることなく極数を増加させることができ、より高い電力密度を可能にする。さらなる利点としては、高いトルク/重量比、高い電力/重量比および比較的低い銅損により効率向上を可能にする比較的短い電流経路を有する多数の極が挙げられる。
【0004】
4つ以上の方向から導かれた磁束がコイルアセンブリに結合されるコイルおよび磁石の構成が開発されてきた。例えば、磁束をコイルの両側から半径方向に導くために極が向かい合った状態で配向された2つの磁石と、磁束をコイルの両側から軸方向に導くために極が軸方向を向いた状態で配向された2つのさらなる磁石が存在してもよい。さらに、巻線およびそれらの巻線内の電流が磁束機械のロータの運動の確立された円周方向を指すベクトルに垂直な平面を流れるように、コイルを配向させてもよい。
【0005】
このように、磁石はコイルの異なる側面に隣接していてもよいが、全ての磁束回路は付加的に結合している。
【0006】
本明細書に記載されているように独立したロータおよびシャフトに装着された磁石(電磁石または永久磁石あるいはその2つの組み合わせ)を用いれば、それらを独立して異なる周波数で、かつ/または独立してモータおよび発電機として同時に動作させることできる。これらの技術革新は、本機械の回転軸に垂直な平面に位置するコイルの向きを考慮すれば可能である。磁石およびコイルをその間の空隙を最小にして密結合した状態で回転させることにより、磁石とコイルとの間に相対運動が生じる。
【0007】
例えば添付の図面の図の中に、ここに説明されている機械の実施形態が一例として示されている。図面では、同様の参照符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】以下の詳細な説明に係る磁束機械の斜視図である。
【
図3】その一実施形態の外側ロータ-磁石アセンブリの斜視図である。
【
図4】その一実施形態のステータ板の立面図である。
【
図5】例示的なコイルアセンブリおよびその磁石の斜視図である。
【
図6】前記コイルアセンブリ、磁石、シャフトを有する支持フレームの構成の例示的な概念図である。
【
図7】前記コイルアセンブリ、磁石、シャフトを有する支持フレームの構成の例示的な概念図である。
【
図8】前記コイルアセンブリ、磁石、シャフトを有する支持フレームの構成の例示的な概念図である。
【
図9】
図6~
図8と同様にさらなる構成の例示的な機械的概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、機械10がほぼ円形状であり、かつ囲い板30とはずみ車ハウジング170との間は軸方向に比較的短くてもよく、それにより空間および重量が節約されていることを示す。機械10への電気的接続は、標準的な接続ボックス20を介してなされてもよく、機械的係合は、
図6~
図9に示す中心軸5に位置合わせされた1つ以上の同軸シャフトを介してなされてもよい。
【0010】
図2は、実施形態に係る機械10のいくつかの部品およびサブアセンブリを示し、それらの相対的軸方向位置を示す。
図2を左から右に移動して見ると、囲い板30、外側ロータ-磁石アセンブリ40、ファン60、内側ロータ-磁石アセンブリ70、コイルアセンブリ120を含むステータアセンブリ100、ロータハブ150、はずみ車160およびはずみ車ハウジング170が示されている。これらの部品は、機械10の回転中心でもある一般的な軸5の周りに位置合わせされている。実施形態では、外側ロータ-磁石アセンブリ40、ファン60、内側ロータ-磁石アセンブリ70、ロータハブ150およびはずみ車160は機械的に互いに接合されていてもよく、従って一緒に回転してもよい。他の実施形態では、これらの要素および他の要素のいくつかは、後で説明および図示するように、同軸シャフトの周りを独立して回転するように構成されていてもよい。実施形態では、囲い板30、ステータアセンブリ100およびはずみ車ハウジング170は回転しなくてもよく、機械的に互いに接合されていてもよく、ステータとして適所に固定されていてもよい。他の実施形態では、ステータアセンブリ100は、一般にスリップリングモータにおいて見られるような標準的な回転式電気的インタフェースを介して接続された巻線の各位相と共に中心シャフトの周りを回転するように装着されていてもよい。従って、アセンブリ100が機械10のロータとして機能し、外側ロータ-磁石アセンブリ40および内側ロータ-磁石アセンブリ70が機械10のステータとして機能してもよい。当業者であればこの単純な改造方法が分かるであろう。
【0011】
図3に例示されているように、軸方向に位置合わせされた磁石46および半径方向に位置合わせされた磁石47のセットは、単一シャフトに取り付けられた外側ロータアセンブリ40の一部として円形の固定位置に保持されていてもよい。あるいは、磁石46、47は、
図6~
図9に示す別個の機械フレームによって軸方向に位置合わせされた1つ以上のシャフトに固定されていてもよい。
【0012】
図4は、ステータアセンブリ100の円形板110を示し、円形板110は、アセンブリ70の外側フランジ74(
図2)を受け入れるのに十分な大きさの直径の中心円形開口部112を有していてもよい。
図6~
図8に示すように、装着用スタンドオフ114または同様の金属製品を使用してコイルアセンブリ120を板110に固定してもよい。
図6~
図8では、隠れた線115として示されている締め具を使用してコイルアセンブリ120をスタンドオフ114に固定してもよい。
【0013】
図5は、コイルアセンブリ120が矩形、ほぼ矩形、曲線形(curvilinear)、卵形または他の形状であってもよいことを示す。電気コイル121は、電気銅またはアルミニウムストリップなどの、巻かれたフラット形状、円形または他の形状の電気導体で作られていてもよく、コア積層体122内に配置されていてもよい。コア積層体122は、軟鉄、積層ケイ素鋼、絶縁鉄シート、カルボニル鉄、鉄粉末、フェライト、ガラス状金属または他の材料および構造であってもよい。実施形態では、コイルアセンブリ120は、卵形、矩形、円形または他の好適な形状であってもよい。全装備のコイルアセンブリ120は、
図2においてスタンドオフ114に固定された状態で示されている。
図5では、磁石46、47および76はコア積層体122に密結合されたものとして示されている。磁束線Φ(各磁石の磁束の主要すなわち最大成分)の方向が矢印によって示されている。
図5では、コイルアセンブリ120の右端に沿って配置された磁石は存在しないことに留意されたい。当然のことながら、磁束鎖交を最小限に抑え、かつ磁気抵抗を確実に小さくするために、磁石46、47、76(および
図6に示す77)はコイルアセンブリ120の側面に直接隣接して配置されている。磁石46、47、76または77のいずれかまたは全ては、電気機械の技術分野では公知であるように、全ての磁石がスリップリングまたは他の回転式電気的インタフェースを利用してシャフトに直接取り付けられた状態の永久磁石または電磁石であってもよい。
図5~
図9ではコイルアセンブリ120の側端は直線状で示されているが、これらの側端は直線状でなくてもよく、磁石46、47、76および77の隣接する表面は、磁石とコイルアセンブリとの間の空隙が最小化されるように形状が一致してもよい。従って、電気の技術分野の当業者であれば分かるように、コイルアセンブリ120は矩形以外の形状であってもよい。参照される米国特許第62028220号および米国特許第62028235号に示されているように、4つ以上の磁石が機械回転中にコイルアセンブリ120に密結合されるように配置されていてもよい。
【0014】
図6は、構造フレーム44がコイルアセンブリ120の4つの側面の周りに延在していてもよく、かつ磁石46、47、76および77を密結合した位置に固定してもよいことを示す。構造フレーム44は、連続的な円形アセンブリとして延在していてもよく、あるいは360°にわたって配置された一連の半径方向のスポークとして配置されていてもよく、かつ各コイルアセンブリ120のために1つ(またはそれ以上またはそれ以下)の前記スポーク44を備えていてもよい。フレーム44は中心軸5と位置合わせされたシャフト80に固定されていてもよい。外部モータによってシャフト80が回転すると、例えば、磁石46、47、76および77のセット全てがコイルアセンブリ120を通り、ファラデー電流を生成する。
図6は単一のシャフトを有する機械10を示す。
【0015】
図7は、構造フレーム44が、コイルアセンブリ120のいずれか1つの2つの側面の周りに延在していてもよく、かつ磁石46および47を、回転中にコイルアセンブリ120のそれぞれ1つの2つの側面に順番に密結合される好ましい位置で固定してもよいことを示す。
図6に示す構成と同様に、フレーム44は図示のようにシャフト80に固定されていてもよい。さらなる構造フレーム74は、コイルアセンブリ120の残りの2つの側面の周りに延在していてもよく、磁石76および77をコイルアセンブリ120に密結合される適所に固定してもよく、かつ図示のようにシャフト82に固定されていてもよい。シャフト80および82は同軸上に位置合わせされていてもよく、回転の際に互いに独立していてもよい。モータおよび発電機の両動作において、当該シャフトは磁石の極性に応じて、同じまたは反対方向に回転してもよい。モータの動作において、当該シャフトはどちらも同じrpmで回転し、発電機モードでは、電気の位相同期が維持される限り、当該シャフトは異なるrpmで回転してもよい。1つの駆動されるシャフトを、入力ライン130において補充電流を入口電流に追加する発電機モードで機能させることができるが、第2のシャフトは入力および補充電流全体によって駆動されるモータモードで機能する。
図7は2つのシャフトを有する機械10を示す。
【0016】
図8は、3つの構造フレーム44、72および74により磁石46、47、72、77Aおよび77Bを固定できることを示す。この構成では磁石77は、図示のように2つの磁石77Aおよび77Bによって置き換えられている。フレーム44、72および74は、図示のように同軸シャフト80、82および84に固定されていてもよい。モータおよび発電機の両動作において、磁石の極性に応じて、当該シャフトは同じ方向に回転しても同じ方向に回転しなくてもよい。モータ動作では、当該シャフトは全て同じrpmで回転し、発電機モードでは、当該シャフトは電気の位相同期が維持される限り異なるrpmで回転してもよい。駆動されるシャフトを、入力ライン130において補充電流を入口電流に追加する発電機モードで機能させることができ、別のシャフトは入力および補充電流全体によって駆動されるモータモードで機能する。当然ながら、全てのシャフトは、異なる回転駆動装置で駆動してもよく、回転力を異なる負荷に送ってもよい。当然ながら、磁石77を磁石77Aおよび77Bで置き換えるように、各磁石46、47および76を複数の磁石で置き換えることができる。
図8は3つのシャフトを有する機械10を示す。
【0017】
図9は、4つの磁石46、47、76および77を、フレーム44、72、74および78によって4つのシャフトのうちの1つに装着することができる、シャフト82、84、86および88からなる4つのシャフトを有する機械を示す。同様の方法で、磁石46、47、76および77のそれぞれ1つを
図8に示すように2つの磁石で置き換えることができる場合、8つの磁石を全て8つの同軸シャフトによって支持することができ、機械10を使用して8つの別個の回転負荷を駆動することができる。
図9は4つのシャフトを有する機械10を示す。
【0018】
同軸組み込みおよび同軸動作のために、最も内側のシャフト以外の前記シャフトは全て、
図6~
図9に示すように管状であってもよく、機械の技術分野で知られているように回転独立性を維持しながらそれらの互いの同軸位置および離間を維持するために、トロイダルころ軸受を備えていてもよい。これも周知であるように、当該シャフトを全て、軸5を中心にしてそれらの位置に固定するために、最も外側の同軸シャフト、例えば
図9のシャフト88は外部の軸受セットによって支持されていてもよい。
【0019】
図6および
図7に示すように、磁束すなわち主成分(各磁石の最大成分)の方向は、軸方向または半径方向であってもよい。機械10の回転方向は磁束回路の向きに直交していてもよい。従って、機械10は横方向磁束機械とみなされる。機械10のステータ上に装着されたコイルアセンブリ120に対する法線ベクトルがロータの回転方向およびrpmの大きさを定めることに留意されたい。
【0020】
上記説明では、実施形態は複数の個々の部品として記載されており、これは単に例示のためのものである。従って、特許請求されている装置の意味および理解から逸脱することなく、いくつかのさらなる部品を追加することができ、いくつかの部品を変更または省略することができ、かつ部品の順序を再構成することができると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
ここに記載されているいくつかの実施形態は、そのような機械を、陸上および海上の乗り物、電気およびハイブリッド電気自動車、水中機、魚雷のための推進モータ、電気ヘリコプタおよび航空機のための推進モータ、エレベータ推進モータ、潮流発電機、風力発電機、一体化された始動器/発電機、ディーゼルおよび天然ガス発電機セット、および高周波低速機械などの様々な用途にとって望ましいものにする。