(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】穴抜き加工方法及び金型
(51)【国際特許分類】
B23P 23/04 20060101AFI20220929BHJP
B21D 28/10 20060101ALI20220929BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20220929BHJP
B21D 28/36 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
B23P23/04
B21D28/10 Z
B23K26/38 A
B21D28/36 Z
(21)【出願番号】P 2018052168
(22)【出願日】2018-03-20
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松葉 洸
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-095622(JP,U)
【文献】実開平05-000316(JP,U)
【文献】特開2011-083788(JP,A)
【文献】特開2004-122169(JP,A)
【文献】特開2004-098097(JP,A)
【文献】特開昭63-174817(JP,A)
【文献】特開平05-240449(JP,A)
【文献】特開2015-080808(JP,A)
【文献】特開2015-107511(JP,A)
【文献】特開2015-226933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 23/04
B21D 28/00-28/36
B23K 26/38-26/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工と、パンチ及びダイによるプレス加工とを併用して板状ワークに穴抜きを行う板状ワークの穴加工方法であって、
(a)ワークに対するレーザ加工による穴の輪郭加工を行い、切断分離される切断片と前記ワークとを
1箇所以上のミクロジョイントによって接続する工程、
(b)前記穴から前記切断片を突き出す際に、前記切断片を、
前記パンチの突き出し上型と
前記ダイの突き出し下型との間に位置決めし、前記突き出し上型
の下部に備えられた
前記ワークを押さえる板押さえを貫通して上下動自在とされ前記穴の形状に対応した形状のピンによって前記切断片の中心位置に突き出す方向の外力を付与する工程、
を備えていることを特徴とする穴抜き加工方法。
【請求項2】
レーザ加工と、パンチ及びダイによるプレス加工とを併用して、板状のワーク
に対し、隣接する複数の穴の穴抜き加工を行う穴抜き加工方法であって、
(a)ワークに対するレーザ加工による
前記複数の穴
それぞれの輪郭加工時に、切断分離される切断片と前記ワークとを
1箇所以上のミクロジョイントによって接続する工程、
(b)前記複数の穴それぞれから切断片を突き出す際に、突き出す前記切断片を
前記パンチの突き出し上型と
前記ダイの突き出し下型との間に位置決めし、前記突き出し上型
の下部に備えられた
前記ワークを押さえる板押さえを貫通して上下動自在とされ、突き出す前記切断片の前記穴の形状に対応した形状のピンによって前記突き出す切断片の中心位置に突き出す方向の外力を付与する工程、
を備えていることを特徴とする穴抜き加工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の穴抜き加工方法であって、各
前記穴は、各
前記穴の直径より小寸法で隣接してあることを特徴とする穴抜き加工方法。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載の穴抜き加工方法において、
前記穴に対して
前記切断片を傾斜することなく突き出すことを特徴とする穴抜き加工方法。
【請求項5】
前記板押さえは、前記穴の周りを押さえることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の穴抜き加工方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の穴抜き加工方法に使用する金型であって、
レーザ加工により輪郭加工を行ったワークの穴から突き出される切断片の外形よりも大きな形状の穴を備えた下型と、
前記切断片の中心位置又は中心位置を内側に含む複数箇所に突き出す方向の外力を付与する上下動自在なピンを備えた上型と、
前記上型の下部に備えられて前記ワークの穴の周りを押さえ、前記ピンが貫通する板押さえと、
を備えていることを特徴とする金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状のワークの複数箇所に穴抜き加工を行う穴抜き加工方法及びその方法に使用する金型に関する。さらに詳細には、穴抜き加工によるワークの反りを抑制することができる穴抜き加工方法及び金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状のワークに、複数行、複数列の複数箇所に穴抜き加工を行う場合、パンチプレスによる打抜き加工や、レーザ加工による切断加工が行われている。また、レーザ・パンチ複合加工機を使用して、レーザ切断加工によって穴抜き加工を行った後に、落下しない切断片を、分離用金型を用いて切断片を落下することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、レーザ加工によって小穴加工を行った後に、この小穴の内周面を、シェービング金型によってシェービング加工を行うことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらには、切断片の周囲にスリットを形成すると共に、切断片の一部とワークとをジョイント部によって接続した状態に加工する。そして、パンチによって切断片を落下するとき、前記ジョイント部を切断することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-318156号公報
【文献】特開平9-216021号公報
【文献】特開2004-98097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
板状のワークの複数箇所に、パンチング加工などの打抜き加工を行うと、ワークの内部応力に起因して反りが発生することが知られている。そこで、反りの発生を抑制するために、パンチング金型に備えた板押さえの押圧力を大きくすることや、ダイの上面及び板押さえの下面を、反り発生方向と逆方向のテーパ面に形成することなどが提案されている。
【0005】
ところで、パンチング加工時の穴の配置形態と同一の配置形態でもって、パンチング加工時の穴径と同径の穴をレーザ加工によって加工すると、ワークの反りの発生が抑制されることが考えられる。しかし、レーザ加工を行うと、切断溝幅が非常に狭くなるので、ワークの板厚が、厚くなるほど穴からの切断片の落下が安定して行われないことがある。すなわち、穴内において切断片が傾斜して引っ掛かることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、板状のワークの穴抜き加工方法であって、
1)レーザ加工と、パンチ及びダイによるプレス加工とを併用して板状ワークに穴抜きを行う板状ワークの穴加工方法であって、
(a)ワークに対するレーザ加工による穴の輪郭加工を行い、切断分離される切断片と前記ワークとを1箇所以上のミクロジョイントによって接続する工程、
(b)前記穴から前記切断片を突き出す際に、前記切断片を、前記パンチの突き出し上型と前記ダイの突き出し下型との間に位置決めし、前記突き出し上型の下部に備えられた前記ワークを押さえる板押さえを貫通して上下動自在とされ前記穴の形状に対応した形状のピンによって前記切断片の中心位置に突き出す方向の外力を付与する工程、
を備えている。
【0007】
また、レーザ加工と、パンチ及びダイによるプレス加工とを併用して、板状のワークに対し、隣接する複数の穴の穴抜き加工を行う穴抜き加工方法であって、
(a)ワークに対するレーザ加工による前記複数の穴それぞれの輪郭加工時に、切断分離される切断片と前記ワークとを1箇所以上のミクロジョイントによって接続する工程、
(b)前記複数の穴それぞれから切断片を突き出す際に、突き出す前記切断片を前記パンチの突き出し上型と前記ダイの突き出し下型との間に位置決めし、前記突き出し上型の下部に備えられた前記ワークを押さえる板押さえを貫通して上下動自在とされ、突き出す前記切断片の前記穴の形状に対応した形状のピンによって前記突き出す切断片の中心位置に突き出す方向の外力を付与する工程、
を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、板状のワークに穴抜き加工を行う場合、レーザ加工によって穴の輪郭の加工を行う際に、ワークと切断分離される切断片とをミクロジョイントによって接続する。そして、穴から切断片を突き出す際には、突き出す方向に外力を付与するものである。
【0010】
したがって、ワークの複数箇所に隣接して穴抜き加工を行う場合、ワークの反りを抑制することができると共に、穴からの切断片の突き出しを容易に、安定的に行い得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るレーザ・パンチ複合加工機の概略的な構成を示す説明図である。
【
図2】板状のワークに対する複数行、複数列の抜き穴の配置例の説明図である。
【
図3】本発明の実施形態による抜き穴の加工方法を示す説明図である。
【
図4】第1の実施形態に係る金型の断面説明図である。
【
図5】第2の実施形態に係る金型の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、本発明は、レーザ・パンチ複合加工機を使用して行われるものである。したがって、理解を容易にするために、先ず、レーザ・パンチ複合加工機の全体的構成について簡単に説明する。
【0013】
図1に概念的、概略的に示すように、レーザ・パンチ複合加工機1は、上部フレーム3U及び下部フレーム3Lを有するフレーム本体3を備えている。前記上部フレーム3Uの下面には上部タレット5Uが回転自在に備えられている。そして、下部フレーム3L上には、上部タレット5Uと上下に対向した下部タレット5Lが回転自在に備えられている。前記上部タレット5Uには複数のパンチPが上下動自在に備えられている。そして、下部タレット5LにはパンチPと協働して打抜き加工などのプレス加工を行う複数のダイDが備えられている。
【0014】
前記下部フレーム3L上には、例えば、前記パンチP、ダイDによるプレス加工位置に対して板状のワークWの位置決めを行うワーク移動位置決め装置7が備えられている。既知のように、ワーク移動位置決め装置7は、板状のワークWをX、Y軸方向へ移動位置決めする機能を有するものであって、ワークWの一端縁をクランプ自在なワーククランプ7Cを備えている。したがって、プレス加工位置へ位置決めされたパンチP、ダイDに対してワークWのプレス加工を行うべき位置を位置決めすることができる。
【0015】
前記レーザ・パンチ複合加工機1は、プレス加工位置へ位置決めされたパンチPを打圧自在なストライカ9が上部フレーム3Uに上下動自在に備えられている。したがって、ワークWの加工位置を、プレス加工位置のパンチPとダイDとの間に位置決めした後、ストライカ9によってパンチPを打圧することにより、ワークWにプレス加工が行われる。
【0016】
また、前記上部フレーム3Uには、ワークWのレーザ切断加工を行うレーザ加工ヘッド11がY軸方向へ移動自在に備えられている。したがって、レーザ加工ヘッド11のY軸方向への移動を制御し、かつワークWのX軸方向への移動を制御してワークWのレーザ切断加工を行うことにより、ワークWに種々の形状の穴をレーザ切断加工することができる。
【0017】
ところで、ワークWとしての例えば板厚が6mmのアルミニウム板又はアルミニウム合金板に、
図2に示すように、複数の穴13を、各穴13の直径よりも小さな寸法で近接し、パンチP、ダイDによって複数行、複数列に穴13の打抜き加工を行うと、内部応力に起因して、ワークWの端部には、例えば6mm~7mmの大きな反りを生じることがある。そこで、パンチPに備えられたストリッパースプリング(図示省略)のばね定数を大きくして、ワークWに対する押圧力(板押さえ力)を大きくすると、ワークWの反りを抑制することができ、望ましいものである。しかし、反りの抑制は僅かであり、反りを無くすることは難しいものである。
【0018】
ワークWに対する穴加工は、パンチP、ダイDによることなくレーザ加工を行うことも可能である。そこで、レーザ加工ヘッド11を用いて、
図2に示した形態と同一形態のレーザ切断加工を行って、穴13の抜き加工を行ったところ、ワークWに反りの発生はなかった。しかし、ワークWが6mmの厚板であるので、ファイバーレーザ加工によって穴13の加工を行った際の切断片は、引っ掛かりを生じて穴13から離脱しない場合がある。すなわち、安定した穴加工は難しいものである。
【0019】
したがって、ワークWに複数行、複数列の穴13の抜き加工を行うべく、ワーク移動位置決め装置7によってワークWの移動を行うとき、ワークWの移動時に引っ掛かって穴13から離脱しなかった切断片が落下することがある。すなわち、切断片の落下位置が安定せず、ワークWと切断片との擦れによって、ワークWに擦り傷を生じることがある。
【0020】
そこで、本実施形態においては、
図3(a),(b)に示すように、ワークWに適宜形状の穴13Aの打抜き加工を行う場合、先ずレーザ加工によって穴13Aの輪郭の切断加工を行う。この際、穴13Aの内側に生じる切断片13BとワークWは、1箇所以上のミクロジョイントJによって接続する。
【0021】
上述のように、穴13Aのレーザ切断加工によって生じる切断片13Bは、ミクロジョイントJを介してワークWと接続した状態にある。したがって、ワーク移動位置決め装置7によってワークWを移動する際に、ワークWから切断片13Bが落下することを防止できる。よって、ワークWに対して複数行、複数列の穴13Aのレーザ切断加工を行うとき、穴13Aのレーザ切断加工を能率よく行うことができ、またワークWの反りも発生しない。
【0022】
ワークWに対して穴13Aを複数行、複数列にレーザ切断加工を行った後、次に、各穴13A内の切断片13Bを、各穴13Aから突き出す必要がある。したがって、前記上部タレット5Uには、切断片13Bを下方向に突き出すための突き出し上型15が備えられている(
図4参照)。そして、下部タレット5Lには、前記突き出し上型15と協働する突き出し下型17が備えられている(
図4参照)。
【0023】
突き出し上型15は、
図4に示すように、上部タレット5Uに上下動自在に支持される筒状のパンチガイド19を備えている。このパンチガイド19の上部にはスプリング座21が備えられている。そして、大径の下端部を前記パンチガイド19に上下動自在に嵌合したパンチドライバ23の小径部が前記スプリング座21を上下動自在に貫通してある。このパンチドライバ23の上端部に固定したパンチヘッド25と前記スプリング座21との間にはストリッパスプリング27が弾装してある。
【0024】
前記パンチドライバ23の下部には、パンチガイド19内に上下動自在に嵌入したパンチボディ29が一体的に取付けてある。そして、パンチボディ29の下部には、軸心と一致して適宜断面形状、太さのピン31が下方向へ突出して備えられている。このピン31は、パンチガイド19の下部に備えた板押さえ33を上下動自在に貫通してある。なお、板押え33はパンチガイド19に着脱交換自在に取り付けてある。そして、ピン31の下端面は、(外力の働かない状態で)前記板押さえ33の下面と同一平面に、又は板押さえ33の下面から僅かに高い位置に備えられている。
【0025】
なお、ピン31は、穴13Aの形状に対応した形状であって、穴13Aの形状寸法よりも僅かに小さな寸法であることが望ましい。しかし、ピン31は、穴13Aから切断片13Bを突き出す機能を奏すればよいものであり、形状、寸法は、任意の形状、寸法とすることも可能である。
【0026】
前記突き出し下型17は、ダイ本体17Aを備えている。このダイ本体17Aは、前記下部タレット5Lにおけるダイ装着孔5Hに着脱可能に嵌合してある。このダイ本体17Aには、前記穴13Aから突き出される切断片13Bの外形形状よりも大きな形状の穴17Bが形成してある。
【0027】
上記構成において、ワーク移動位置決め装置7によってワークWをX,Y方向に移動位置決めする。そして、レーザ加工ヘッド11によってワークWに穴13Aのレーザ切断加工を行うことにより、穴13Aから突き出される切断片13BとワークWとをミクロジョイントJによって接続した状態に切断加工することができる。すなわち、ワークWに反りを生じることなく、ワークWに対して複数の穴13Aを、各穴13Aの直径よりも小さな寸法で近接し、複数行、複数列に配置して加工することができる。
【0028】
前述のごとく、各穴13Aの直径よりも小さな寸法で隣接した状態にワークWに穴13Aを複数行、複数列にレーザ切断加工を行った後、上下のタレット5U,5Lに備えた突き出し上型15、突き出し下型17を、ストライカ9の下方位置のプレス加工位置に割出し位置決めする。そして、ワーク移動位置決め装置17によって各穴13Aを、突き出し上型15と突き出し下型17との間に位置決めする。そして、位置決めする毎に、ストライカ9によって上型15のパンチヘッド25を打圧することにより、ピン31が切断片13の中心位置を下方向へ押圧する。したがって、各穴13Aから切断片13Bの突き出しが行われる。
【0029】
この際、切断片13Bは、レーザ加工によって予め穴13A内に切断された状態にあって、ミクロジョイントJによってワークWと接続してあるにすぎないものである。したがって、切断片13Bを穴13Aから突き出すとき、ワークWに内部応力を付与することがなく、ワークWに反りを生じるようなことがないものである。よって、ワークWに複数行、複数列に穴抜き加工を行う場合であっても、ワークWに反りを生じることがなく、前述したごとき問題を解消し得るものである。
【0030】
図5は、突き出し上型15の第2の実施形態を示すもので、前述した構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして、重複した説明は省略する。
【0031】
この実施形態においては、パンチボディ29の下部に形成した複数の穴29Hにそれぞれピン35を上下動自在に嵌入してある。そして、各ピン35と穴29Hの底部との間に弾装したスプリングなどのごとき弾性部材37によって、各ピン35は穴29Hから抜け出る方向に付勢されている。しかし、パンチボディ29の下面に備えたストッパ39によって、抜け出しを規制されている。前記各ピン35の下端面は、板押さえ33の下面に一致してある。すなわち、各ピン35は同一長さに備えられている。
【0032】
この第2の実施形態においては、パンチヘッド25を、ストライカ9によって打圧し下降すると、各ピン35は、ワークWの上面に同時に当接する。したがって、ワークWの穴13Aの切断片13Bに対して複数のピン35が同時に作用し、切断片13Bを、傾斜することなく突き出すことになる。ここで、ワークWに対して穴13Aの外側において当接したピン35は、弾性部材37の付勢力に抗して穴29H内に挿入される。
【0033】
換言すれば、穴13A内の切断片13Bに対応したピン35のみが切断片13Bを突き出す作用をなす。そして、穴13Aの外側に対応したピン35は穴29H内に挿入される。したがって、第2の実施形態に係る突き出し上型15においては、穴13Aが丸穴や四角形の穴など、種々の形状の穴13Aに対応して切断片13Bの突き出しを行うことができるものである。すなわち、切断片13Bは、切断片13Bの中心位置を囲繞した複数のピン35によって傾斜することなく突き出される。
【0034】
以上のごとき説明より理解されるように、本実施形態によれば、板状のワークWに反りを生じることのないように、ワークWに対して複数行、複数列に隣接した形態に複数の穴13の打ち抜き加工を行う際、先ず、ミクロジョイントJによってワークWに切断片13Bを接続した状態にレーザ加工を行う。その後、突き出し上型15、突き出し下型17を使用して、穴13Aから切断片13Bの突き出しを行うものである。
【0035】
したがって、打抜き加工時の内部応力に起因するワークWの反りを抑制することができる。そして、レーザ加工時にはワークWに加工した穴13Aからの切断片13Bの落下が抑制される。したがって、ワークWに対して、複数行、複数列に複数の穴13Aのレーザ加工を能率よく行うことができる。穴13Aのレーザ加工後に、ワークWに加工した各穴13Aをプレス加工位置に位置決めして、上下の金型15,17によって切断片13Bの突き出しを行うものである。よって、切断片13Bの突き出しを能率よく行うことができる。
【0036】
既に理解されるように、ワークWに対して複数列、複数行に隣接して複数の穴13の加工を行う場合、打抜き加工における内部応力に起因してワークWが反ることを抑制して、ワークWに対して複数行、複数列の穴13の加工を行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 レーザ・パンチ複合加工機
5U 上部タレット
5L 下部タレット
7 ワーク移動位置決め装置
7C ワーククランプ
11 レーザ加工ヘッド
13 穴
13A 穴
13B 切断片
15 突き出し上型
17 突き出し下型
29 パンチボディ
29H 穴
31 ピン
33 板押さえ
35 ピン
37 弾性部材
39 ストッパ