(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、サーバ、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20220929BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220929BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G06F3/12 335
G06F3/12 310
B41J29/38 204
B41J29/00 Z
(21)【出願番号】P 2018066152
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 和幸
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094662(JP,A)
【文献】特開2014-093036(JP,A)
【文献】特開2016-189141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
H04N 1/00
B41J 29/00 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末と、
前記無線通信端末と通信可能なサーバと、
を含む、情報処理システムであって、
前記無線通信端末は、
情報処理装置の消耗品、若しくは当該消耗品の包装に使用される包装材に貼付され、所定の情報が表示されている貼付部材、及び、前記情報処理装置を撮像する撮像部と、
前記サーバから提供される拡張現実用画像を、前記撮像部によって得られる前記情報処理装置の画像に重ね合わせて表示部に表示させる画像処理部と、を有し、
前記サーバは、
前記無線通信端末の撮像部によって得られた前記所定の情報の少なくとも一部に基づいて認証を行う認証処理部と、
前記認証が成功した場合に、前記無線通信端末の撮像部によって得られた前記情報処理装置の特徴点に基づいて、前記無線通信端末に提供する前記拡張現実用画像を特定する画像特定部と、を有する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記無線通信端末の撮像部は、前記情報処理装置の特徴点として前記情報処理装置の種別ごとに得られる固有の形状を撮像し、
前記サーバの画像特定部は、前記情報処理装置の固有の形状に基づいて前記情報処理装置の種別を特定し、当該種別に対応する拡張現実用画像を特定する、
請求項1に記載された情報処理システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記撮像部が前記情報処理装置を撮像するときに、ファインダとして機能し、かつ前記形状の輪郭に対応する線を表示する、
請求項2に記載された情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記情報処理装置の種別ごとに固有のマーカを備え、
前記無線通信端末の撮像部は、前記マーカを含むようにして前記情報処理装置を撮像し、
前記サーバの画像特定部は、前記マーカの画像に基づいて前記情報処理装置の種別を特定し、当該種別に対応する拡張現実用画像を特定する、
請求項1に記載された情報処理システム。
【請求項5】
前記無線通信端末は、ウェブブラウザを備え、
前記サーバは、前記所定の情報の少なくとも一部に基づく認証が成功した場合に、前記無線通信端末に対してURL(Uniform Resource Locator)の情報を送信し、
前記無線通信端末のウェブブラウザは、前記URLに基づいて、コード情報を前記サーバへ送信するためのウェブページを前記無線通信端末の前記表示部に表示する、
請求項1から4のいずれか1項に記載された情報処理システム。
【請求項6】
前記サーバによる前記コード情報に基づく認証が成功した場合に、前記無線通信端末のウェブブラウザは、前記情報処理装置に関連する情報の提供を受けるための複数の選択肢のいずれかを選択可能に含むウェブページを表示する、
請求項5に記載された情報処理システム。
【請求項7】
撮像部を有する無線通信端末と、前記無線通信端末と通信可能なサーバとの間の情報処理方法であって、
前記情報処理方法は、
前記無線通信端末の撮像部が、情報処理装置の消耗品若しくは当該消耗品の包装に使用される包装材に所定の情報が表示されている貼付部材、及び、前記情報処理装置を撮像し、
前記サーバが、前記無線通信端末の撮像部によって得られた前記所定の情報の少なくとも一部に基づいて認証を行い、
前記サーバが、前記認証が成功した場合に、前記無線通信端末の撮像部によって得られた前記情報処理装置の特徴点に基づいて拡張現実用画像を特定し、当該拡張現実用画像を前記無線通信端末に提供し、
前記無線通信端末が、前記サーバから提供された前記拡張現実用画像を、前記撮像部によって得られる前記情報処理装置の画像に重ね合わせて表示する、
情報処理方法。
【請求項8】
無線通信端末と通信可能なサーバであって、
前記無線通信端末から、情報処理装置の消耗品、若しくは当該消耗品の包装に使用される包装材に貼付され、所定の情報が表示されている貼付部材、及び、前記情報処理装置の画像を取得する画像取得部と、
前記画像
取得部によって得られた前記所定の情報の少なくとも一部に基づいて認証を行う認証処理部と、
前記認証が成功した場合に、前記画像
取得部によって得られた前記情報処理装置の特徴点に基づいて、前記無線通信端末に提供す
る拡張現実用画像を特定する画像特定部と、
前記画像特定部により特定された拡張現実用画像を、前記情報処理装置の画像に重ね合わせて表示させるために前記無線通信端末に提供する提供部と、
を備えたサーバ。
【請求項9】
無線通信端末と通信可能なサーバによって行われる情報処理方法であって、
前記無線通信端末から、情報処理装置の消耗品、若しくは当該消耗品の包装に使用される包装材に貼付され、所定の情報が表示されている貼付部材、及び、前記情報処理装置の画像を取得し、
前記
無線通信端末から得られた前記所定の情報の少なくとも一部に基づいて認証を行い、
前記認証が成功した場合に、前記
無線通信端末から得られた前記情報処理装置の特徴点に基づいて、前記無線通信端末に提供す
る拡張現実用画像を特定し、
前記特定した拡張現実用画像を、前記情報処理装置の画像に重ね合わせて表示させるために前記無線通信端末に提供する、
情報処理方法。
【請求項10】
無線通信端末と通信可能なサーバにおいてコンピュータ
に、
前記無線通信端末から、情報処理装置の消耗品、若しくは当該消耗品の包装に使用される包装材に貼付され、所定の情報が表示されている貼付部材、及び、前記情報処理装置の画像を取得
させ、
前記
無線通信端末から得られた前記所定の情報の少なくとも一部に基づいて認証
させ、
前記認証が成功した場合に、前記
無線通信端末から得られた前記情報処理装置の特徴点に基づいて、前記無線通信端末に提供す
る拡張現実用画像を特定
させ、
前記特定
された拡張現実用画像を、前記情報処理装置の画像に重ね合わせて表示させるために前記無線通信端末に提供
させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク上のサーバと通信可能に接続され、サーバから様々なサービスの提供を受けるように構成されたプリンタが知られている。例えば、特許文献1には、情報処理装置としてプリンタにおいてエラーが発生したときに、プリンタが当該エラーに関する情報をサーバに通知し、当該エラーを解消するためのソフトウェアをサーバからダウンロードするようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、情報処理装置の消耗品として、情報処理装置の製造者によって品質が保証されたもの(いわゆる純正品)だけでなく、情報処理装置の製造者によって品質が保証されていない消耗品も市場で流通している。そのため、情報処理装置の製造者にとっては、純正品を購入する動機付けをユーザに与えられるようにすることが好ましい。
【0005】
そこで、本発明のある態様は、情報処理装置の製造者によって品質が保証された消耗品を取得するユーザに利便性のあるサービスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、無線通信端末と、前記無線通信端末と通信可能なサーバと、を含む、情報処理システムであって、前記無線通信端末は、情報処理装置の消耗品、若しくは当該消耗品の包装に使用される包装材に貼付され、所定の情報が表示されている貼付部材、及び、前記情報処理装置を撮像する撮像部と、前記サーバから提供される拡張現実用画像を、前記撮像部によって得られる前記情報処理装置の画像に重ね合わせて表示部に表示させる画像処理部と、を有し、前記サーバは、前記無線通信端末の撮像部によって得られた前記所定の情報の少なくとも一部に基づいて認証を行う認証処理部と、前記認証が成功した場合に、前記無線通信端末の撮像部によって得られた前記情報処理装置の特徴点に基づいて、前記無線通信端末に提供する前記拡張現実用画像を特定する画像特定部と、を有する、情報処理システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、情報処理装置の製造者によって品質が保証された消耗品を取得するユーザに利便性のあるサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の情報処理システムにおける消耗品の一例を示す図である。
【
図2】実施形態の情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図3】実施形態の情報処理システムのシステム構成を示すブロック図である。
【
図4】消耗品データベースのデータ構成例を示す図である。
【
図5】AR用データベースのデータ構成例を示す図である。
【
図6】実施形態の情報処理システムにおいて実行されるシーケンスチャートである。
【
図7】実施形態のユーザ端末において表示される画面の遷移例を示す図である。
【
図8】実施形態の情報処理システムにおいてユーザ端末の使用例を示す図である。
【
図9】実施形態のプリンタの内部が露出した状態の斜視図である。
【
図10】実施形態のユーザ端末において表示される画面の遷移例を示す図である。
【
図11】実施形態の変形例において、ユーザ端末において表示される画面の遷移例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る情報処理システム1について説明する。なお、以下の説明では、情報処理装置としてプリンタの場合を例として挙げる。
本実施形態の情報処理システム1は、プリンタの製造者が品質を保証するプリンタの消耗品(以下、適宜「真正消耗品」という。)に対して貼付部材の例としてシールが取り付けられる。当該シールは、取り付け対象である消耗品が真正消耗品であることを保証する役割を果たすとともに、真正消耗品のユーザに対してサービスを提供するための情報媒体の役割をも果たすように構成されている。ユーザに提供されるサービスは、ネットワークを介して提供されるAR(Augmented Reality;拡張現実)用コンテンツおよび、情報処理装置としてのプリンタに関する有効な情報である。
以下では、プリンタの真正消耗品の一例としてラベルをロール状に巻いたロール紙(以下、適宜「ロール紙」という。)を例として挙げるが、それに限られない。真正消耗品としてプリンタの消耗品であれば如何なる部材でもよく、例えばインクリボンやプラテンローラ、サーマルヘッド等であってもよい。
【0010】
(1)実施形態の情報処理システム1の全体構成
以下、本実施形態の情報処理システム1の構成について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態の情報処理システム1における真正消耗品としてのロール紙2の一例を示す図である。
図2は、本実施形態の情報処理システム1の概略構成を示す図である。
【0011】
本実施形態の情報処理システム1では、後述するプリンタ5のユーザに対して、プリンタ5の製造者から真正消耗品であるロール紙2が提供される。例えば、プリンタ5のユーザはオンラインでプリンタ5の製造者に対してロール紙2を発注し、プリンタ5の製造者はユーザに対してロール紙2を出荷する。このとき、
図1に示すように、ロール紙2は外装袋2a(包装材の一例)に包装され、かつ外装袋2aにシール3が貼付された状態で出荷される。なお、
図1では、外装袋2aにシール3が貼付された例を示しているが、その限りではなく、シール3がロール紙2に直接貼付された状態、またはロール紙2の管理ラベルなどに貼付されてもよい。
【0012】
以下の説明では、シール3がロール紙2に貼付されている状態、または、
図1に示すようにロール紙2の外装袋2aにシール3が貼付されている状態を、総称して「シール3がロール紙2に貼付されている」という。
【0013】
図1に示すように、シール3には、標識31とセキュリティコード32が印字されている。標識31とセキュリティコード32は、所定の情報の一例である。
標識31は、プリンタ5の製造者によって作成された特徴的な文字、記号、マーク、しるし、ロゴ等である。標識31の特徴点に基づきサーバ6側で認証を行うことによりシール3が真正のシールであることを確認する目的で、標識31がシール3に設けられている。
セキュリティコード32は、ロール紙2を購入したユーザをサーバ6側で認証するための情報である。
【0014】
図2に示すように、本実施形態の情報処理システム1は、ユーザ端末4(無線通信端末の一例)、プリンタ5、およびサーバ6を含む。ユーザ端末4、プリンタ5、およびサーバ6は、ネットワークNWを介して接続可能である。
ユーザ端末4は、プリンタ5のユーザが使用する携帯端末であり、例えば、スマートフォン、タブレット型端末等である。
図2に示すように、ユーザ端末4は、シール3を撮像する目的でも使用される。
プリンタ5は、シール3が貼付された外装袋2aに含まれるロール紙2を装填(セット)するためのプリンタである。
サーバ6は、プリンタ5のユーザに対して様々なサービスを行うために設けられたネットワークサーバである。本実施形態においてサーバ6は、例えば真正消耗品の管理、シール3の標識31とセキュリティコード32による認証、および、ユーザ端末4に対する情報の提供などの機能を備える。
【0015】
(2)実施形態の情報処理システム1の各部の構成
次に、本実施形態の情報処理システム1のユーザ端末4、プリンタ5、およびサーバ6の構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態の情報処理システム1のシステム構成を示すブロック図である。
【0016】
図3に示すように、ユーザ端末4は、例えば、制御部41、ストレージ42、操作入力部43、表示部44、音声入出力部45、撮像部46、および、無線通信部47を備える。
制御部41は、マイクロコンピュータおよびメモリ(RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory))を含み、ユーザ端末4の動作を制御する。
制御部41のマイクロコンピュータは、ウェブブラウザおよびAR(拡張現実)アプリケーションを実行する。ARアプリケーションは、撮像部46により取り込まれた画像に対してAR用データ(画像データ)を重ね合わせて表示するソフトウェアである。制御部41は、画像処理部の一例である。
ストレージ42は、RAM、フラッシュROM等の記憶装置である。ストレージ42には、ウェブブラウザおよびARアプリケーションを含む各種のアプリケーションプログラムが格納される。
【0017】
操作入力部43は、ユーザ端末4の筐体に設けられた操作ボタン、および、表示部44のタッチパネル入力画面に設けられるタッチ入力ボタンの少なくともいずれかの入力手段である。
表示部44は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネルと、当該表示パネルに画像を表示する駆動回路とを含む。表示部44は、撮像部46が動作するときにファインダとして機能する。
音声入出力部45は、マイクロフォンおよびスピーカを含む音声入出力手段である。
撮像部46は、CCD(Charged coupled devices)、CMOSイメージセンサ等の撮像素子を含み、被写体の画像を取り込む。制御部41は、操作入力部43に対する操作入力に応じて、取り込まれた画像を制御部41に一時的に記録し、あるいはストレージ42に記録する。
無線通信部47は、ネットワークNWを介して、サーバ6および他のウェブサーバと通信するためのインタフェースである。本実施形態では、無線通信部47は、サーバ6に対してシール3の画像データ、シール3のセキュリティコード、およびプリンタ5の画像データを送信し、サーバ6からAR用データ等を受信する。
【0018】
図3に示すように、プリンタ5は、例えば、制御部51、ストレージ52、操作入力部53、表示部54、および、無線通信部55を備える。なお、プリンタ5は、無線通信部55に代えて、有線による通信部を備えていてもよい。
図3では、プリンタ5の印字関連の構成要素については省略してある。
制御部51は、マイクロコンピュータおよびメモリ(RAM,ROM)を含み、プリンタ5の動作を制御する。マイクロコンピュータは、プリンタ5の起動時にROMに記憶されているファームウェアを読み出して実行する。ファームウェアを実行することで実現される機能には、ヘッド駆動部(図示せず)に供給する印字データを生成することが含まれる。
【0019】
ストレージ52は、メモリ(RAM,ROM)等の記憶装置である。ストレージ52には、例えば、サーバ6から受信したデータ(例えば、メンテナンス用のデータ)が格納される。
操作入力部53は、プリンタ5の筐体に設けられた操作ボタン、および、タッチパネル入力画面に設けられるタッチ入力ボタンの少なくともいずれかの入力手段である。
表示部54は、例えばLCD等の表示パネルと、当該表示パネルに画像を表示する駆動回路とを含む。
無線通信部55は、サーバ6とネットワークNWを介した通信を行い、データの送受信を行う。
【0020】
サーバ6は、プリンタ5の製造者によって管理されるネットワークサーバであり、
図3に示すように、例えば、制御部61、ストレージ62、および、通信部63を備える。
制御部61は、マイクロコンピュータおよびメモリ(RAM,ROM)を含み、サーバ6の動作を制御する。マイクロコンピュータは、サーバ6の起動時にROMに記憶されているサービスプログラムを読み出して実行する。サービスプログラムを実行することで、プリンタ5のユーザに対して様々なサービスが提供されるように構成されている。
【0021】
制御部61は、ユーザ端末4から受信するシール3の画像データおよびセキュリティコードに基づく認証処理を行う。制御部61はまた、ユーザ端末4から受信するプリンタ5の画像に基づいて、プリンタ5のプリンタコードやプリンタ5の固有の形状等に対応するAR用データ(後述する)を特定する処理を行う。
制御部61は、認証処理部および画像特定部の一例である。
【0022】
ストレージ62は、HDDあるいはSSD等の記憶装置である。ストレージ62には、認証の為のセキュリティ情報、および消耗品データベースとAR用データベースが格納される。また、ストレージ62には、シール3の真正の標識の画像データが格納されている。
【0023】
消耗品データベースのデータ構成の一例を
図4に示す。
図4に示すように、消耗品データベースは、各レコードが「ユーザID」フィールド、ラベルレイアウトやリボン種のなどからなるデータベースの「消耗品コード」フィールド、および、「セキュリティコード」フィールドのデータ、である。
ユーザIDは、消耗品を購入したユーザを特定する識別情報である。消耗品コードは、消耗品の種別を特定するための識別情報(例えば、ラベルレイアウト、リボン種、品番、型式等)である。セキュリティコードは、消耗品に貼付されるシールに記載されており真正消耗品を認証するためのコードである。
消耗品データベースの各レコードは、プリンタ5のユーザに対して消耗品を出荷するときに記録される。すなわち、
図1のロール紙2をユーザに出荷する前に、プリンタ5の製造者は、
図4に示すように、プリンタ5のユーザID(例えば「0020」)と、ロール紙2の消耗品コード(例えば「LR014」)と、シール3に印字されるセキュリティコード32とを含むレコードを消耗品データベースに記録する。
【0024】
AR用データベースのデータ構成の一例を
図5に示す。
図5に示すように、AR用データベースは、各レコードが「プリンタコード」フィールド、「プリンタの部位」フィールド、「特徴点データ」フィールド、および、「AR用データ」フィールドのデータからなるデータベースである。
プリンタコードは、プリンタの種別を特定するための識別情報(例えば、品番、型式等)である。
プリンタの部位は、例えば、プリンタの特徴的な部位(プリンタの固有の形状を有する部位)を示す。
特徴点データは、対応するプリンタコードのプリンタを認証するためのデータであり、例えば、プリンタの特徴的な部位の形状(プリンタの固有の形状)の画像データである。
図5の例では、プリンタの部位ごとに、特徴点データとAR用データとが対応付けられている。なお、
図5では、プリンタの部位ごとに、特徴点データとAR用データとが1対1で対応付けられている例を示しているが、その限りではなく、特徴点データに対して用途に応じた複数のAR用データが対応付けられていてもよい。特徴点な部位の例は、プリンタの特徴的な部位であるロール紙取付部、インクリボン取付部などである。
【0025】
AR用データは、対応するプリンタコードのプリンタの上述した特徴的な部位(例えば、ロール紙取付部、インクリボン取付部)等を操作するユーザに、例えば操作方法等を説明するための画像データおよび/または文字データ等である。AR用データは、この特徴的な部位の実際の画像に重ね合わせて用いられる。AR用データは、好ましくは、実際の画像に重ね合わせるための基準点となるデータを含む。例えば、
図5に示すように、ロール紙取付部に対応するAR用データ、インクリボン取付部に対応するAR用データ等、プリンタの部位ごとに、特徴点データとAR用データとが対応付けられている。例えば、ロール紙取付部に対応するAR用データは、プリンタのロール紙取付部にロール紙を取り付けるために、プリンタの内部を露出した状態のプリンタの実際のロール紙取付部の画像に重ね合わせるためのデータである。
【0026】
通信部63は、プリンタ5と例えばネットワークNWを介した通信を行い、データの送受信を行う。本実施形態では、通信部63は、ユーザ端末4からシール3の画像データ、シール3のセキュリティコード、およびプリンタ5の特徴的な部位の形状の画像データを受信し、ユーザ端末4に対してAR用データ等を送信する。
【0027】
(3)実施形態の情報処理システム1の動作
次に、本実施形態の情報処理システム1において実行されるユーザ端末4、プリンタ5、および、サーバ6の間の処理について、
図6~10を参照して説明する。
図6は、本実施形態の情報処理システム1において実行されるシーケンスチャートである。
図7は、本実施形態のユーザ端末4において表示される画面の遷移例を示す図である。
図8は、本実施形態の情報処理システム1においてユーザ端末の使用例を示す図である。
図9は、本実施形態のプリンタ5の内部が露出した状態の斜視図である。
図10は、本実施形態のユーザ端末4において表示される画面の遷移例を示す図である。
【0028】
図6のフローチャートは、ロール紙2がプリンタ5のユーザに届けられた後の処理を示している
前述したように、真正消耗品であるロール紙2をユーザに出荷する前(ロール紙2の製造時)に、プリンタ5の製造者によりサーバ6のストレージ62内の消耗品データベースに、出荷対象のロール紙2に対応するレコードがあらかじめ格納されている。
【0029】
ロール紙2がプリンタ5のユーザに届けられると、ユーザによるユーザ端末4の撮像指示操作に応じて、ユーザ端末4の制御部41は、撮像部46を介してロール紙2に貼付されているシール3の画像を取得し(ステップS10)、サーバ6に送信する(ステップS12)。
シール3の画像データを受信したサーバ6の制御部61は、当該画像データに含まれる標識31の画像の特徴点を抽出し、抽出した特徴点と、予めストレージ62に記憶されている真正の標識31の画像の特徴点とのマッチング処理(認証の処理の一例)を行う。
【0030】
マッチング処理の結果、ステップS12で送信された画像データに含まれるシールが真正シールではないと判断した場合(ステップS14:NO)、サーバ6の制御部61は、ユーザ端末4に対して何も応答しない。マッチングの結果、ステップS12で送信された画像データに含まれるシールが真正シールであると判断した場合(ステップS14:YES)、サーバ6の制御部61は、ユーザ端末4に対してURL(Uniform Resource Locator)情報を返す(ステップS16)。このURL情報は、消耗品に関連する様々なサービスを提供するためにプリンタ5の製造者が提供するウェブページにアクセスするための情報である。
【0031】
ユーザ端末4のウェブブラウザは、ステップS16で受信したURL情報に基づいて、ウェブページを表示する(ステップS18)。ステップS18に表示されるウェブページの画面例が
図7の画面G1である。画面G1は、シール3のセキュリティコード32の操作入力を受け付けるための画面である。
画面G1においてプリンタ5のユーザが、シール3に表示されているセキュリティコード32を操作入力部43により入力すると、ユーザ端末4の制御部41は、入力されたセキュリティコード32をサーバ6に送信する(ステップS22)。
【0032】
サーバ6の制御部61は、ステップS22で受信したセキュリティコード32に基づいて認証処理を行う(ステップS24)。ステップS22で受信したセキュリティコード32がストレージ62内の消耗品データベースのいずれのレコードに記録されているセキュリティコードとも一致しない場合には(ステップS24:NO)、制御部61は認証失敗と判断して何も応答しない。
それに対して、ステップS22で受信したセキュリティコード32がストレージ62内の消耗品データベースのいずれかのレコードに記録されているセキュリティコードと一致する場合には(ステップS24:YES)、制御部61は認証成功と判断して、メニュー表示をするための情報等を送信する(ステップS26)。前述したように、消耗品データベースの各レコードには、ユーザに対して消耗品を出荷する前にセキュリティコードが記録されるため、ステップS24の認証処理を行うことによって、アクセスしているユーザが、真正消耗品を購入した正規ユーザであるか否かを確認することができる。
【0033】
ユーザ端末4のウェブブラウザは、
図7の画面G2に例示するウェブページを表示する(ステップS28)。このウェブページは、複数の選択肢からなるメニュー画面となっている。
画面G2に表示されるメニュー例としては、「説明書」、「動画」、「サポート」、「オーダー」、「マッチング確認」が表示されたボタン群からなる。これらのボタン群は、画面G1において入力されたセキュリティコードに対応する消耗品(本実施形態では、ロール紙)に関連するサービスを提供するために設けられている。
【0034】
「説明書」ボタンは、プリンタ5および/またはロール紙2に関連する取扱説明書を表示させるボタンである。
「動画」ボタンは、拡張現実用画像を表示させるボタンであり、後述する。
「サポート」ボタンは、コールセンターを案内するためのボタンである。
「オーダー」ボタンは、認証に使用したシールが取り付けられたロール紙と同じロール紙(つまり、本実施形態ではロール紙2)の再度の発注を行うためのボタンである。
「マッチング確認」ボタンは、ロール紙2とマッチングがとれているインクリボン等の他の消耗品の情報を案内するボタンである。なお、「ロール紙2とマッチングがとれている」とは、例えば発色性、印字、安定性(擦過性、耐久性)等の品質がOKであることがプリンタ5の製造者によって確認されていることを意味する。
【0035】
ここで、画面G2においてユーザが「動画」ボタンを操作した場合を想定する(ステップS30)。
「動画」ボタンが操作されたことを認識すると、ユーザ端末4の制御部41は、ARソフトウェアを起動するとともに、撮像部46を動作させる。それによって、
図7の画面G3に示すように、撮像部46によって撮像される画像が逐次、表示部44に表示される(ステップS32)。つまり、表示部44がファインダとして機能する。
図8の画面G4に示すように、ステップS32においてプリンタ5の種別ごとに得られる固有の形状の画像が含まれるように、ユーザはARソフトウェアによって案内される。例えば、上記固有の形状を含むように撮影することが表示または音声によって指示されるように構成される。
プリンタ5の種別に固有の形状の例を
図9に示す。
図9に示すように、プリンタ5の内部を露出した状態において、ロール紙取付部501の形状、またはインクリボン取付部502の形状は、プリンタの種別ごとに異なる形状をなしており、プリンタの種別に固有の形状の例である。なお、ロール紙取付部501およびインクリボン取付部502は、プリンタ5に固有の形状の一例に過ぎず、
図9に例示する部位に限定する意図はない。
【0036】
ユーザ端末4のARソフトウェアは、ステップS32において取得されたプリンタ5の画像データをサーバ6に送信する(ステップS34)。
サーバ6は、ステップS34で送信されたプリンタ5の画像データに基づいて、プリンタ5の種別を特定する。具体的には、サーバ6の制御部61は、受信したプリンタ5の画像データのうちプリンタ5の種別に固有の形状の画像データと、AR用データベースの各レコードの特徴点データとを照合(マッチング処理)し、プリンタ5のプリンタコードと、プリンタ5の画像データに含まれる特徴的な部位を特定する。
なお、特徴点の抽出の方法としては、後述するようにユーザ端末4の表示部44にガイドを設けてもよく、音声で案内をされるように構成してもよい。
【0037】
制御部61は、受信した画像データに基づいてマッチング処理を行うことで、プリンタ5の特定の部位に対応するAR用データを選択し、選択したAR用データをユーザ端末4に送信する。
【0038】
ユーザ端末4のARソフトウェアは、AR用データを受信すると、撮像部46によって撮像されている実際のプリンタ5の実画像に対してAR用データの虚画像を重ね合わせることで、実画像と虚画像の合成により拡張現実表示(AR表示)を行う(ステップS40)。
【0039】
AR表示の一例を
図10に示す。
図10の画面G5~G7は、順に表示される一連の画像であり、プリンタ5のユーザにロール紙の取付方法を案内する動画である。この動画は繰り返し表示されてもよい。
図10の画面G5~G7において、撮像部46によって撮像されている実際の実画像であるプリンタ5には、ロール紙は取り付けられていないが、ARソフトウェアは、実際のプリンタ5の実画像に対して、仮想的なロール紙の虚画像であるAR用画像Iarを重ね合わせて表示する。
AR用画像Iarには、ロール紙の取付方法を説明する文字列Tarが含まれるのが好ましい。
図10に示すようにしてAR表示を行うことで、プリンタ5のユーザは、プリンタ5の実物画像と、当該実物の実画像を基にしたAR表示による虚画像の両方を同時に見ることができるため、従来の単なる取付方法の動画表示と比較して、ロール紙の取付方法が格段にわかりやすくなる利点がある。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の情報処理システム1では、真正消耗品(本実施形態の例では、ロール紙)を購入したユーザのユーザ端末4に対して、当該真正消耗品に貼付されているシール3を媒介として、真正消耗品に関連する拡張現実用画像を表示させることができるように構成されている。
また、本実施形態の情報処理システム1によれば、さらにユーザの利便性を図る為の、説明書、サポート、オーダー、マッチング情報などの充実した情報(
図7の画面G2参照)をユーザに提供することができる。つまり、本実施形態の情報処理システム1は、プリンタ5の運用をサポートするシステムとしても機能する。
そのため、真正消耗品を取得する強い動機付けをユーザに与えることができる。
【0041】
上述した実施形態では、サーバ6側でプリンタ5に対応するAR用データを特定するために、ユーザ端末4からサーバ6に対してプリンタ5の種別を特定する部分として、例えば、機種特有の特徴である、ロール紙取付部501またはインクリボン取付部502等の特徴点の画像を送信する場合について説明した。このとき、ユーザが、ロール紙取付部501またはインクリボン取付部502の画像を取得しやすくすることを補助するために、ファインダとして機能する表示部54に、ロール紙取付部501および/またはインクリボン取付部502の輪郭に対応する線もしくは、フォーカス位置を促す点、十字グリッド線などを表示してもよい。
【0042】
例えば
図11の画面G8に示すように、ユーザがユーザ端末4を通してロール紙取付部501またはインクリボン取付部502の画像を取得する操作を行うときに、ロール紙取付部501およびインクリボン取付部502の輪郭にそれぞれ対応する線状のマークmk1,mk2を表示するように構成する。ユーザは、画面G9に示すように、ユーザ端末4を動かして例えばマークmk1にロール紙取付部501を合わせるようにしてプリンタ5の画像を取得する操作を行う。それによって、ロール紙取付部501に対して撮像部46の焦点を合わせやすくなるため、AR用データを選択するのに適切な画像データをより確実にサーバ6に送信することができるようになる。
【0043】
また、プリンタ5の種別を特定する部分の画像に代えて、プリンタ5の種別に固有のマーカの画像を送信してもよい。このようなマーカは、プリンタ5に予め表示されているマーカであってもよいし、プリンタ5の製造後にプリンタ5に貼付されたシール状のマーカであってもよい。この場合、サーバ6のAR用データベースは、プリンタコードとマーカの特徴点データとが対応付けられたものとする。
【0044】
以上、本発明の情報処理システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、上述したいずれかの実施形態で述べた技術的事項は、適宜他の実施形態と組み合わせて適用することができる。
【0045】
例えば、
図6のフローチャートにおいて、ステップS12,S34では、ユーザ端末4からサーバ6に対して画像データを送信し、サーバ6側で当該画像データの特徴点を抽出する場合について説明したが、その限りではない。代替的に、ユーザ端末4において画像データから特徴点を抽出し、抽出した特徴点のデータ(画像に限られず特徴量のデータであってもよい。)をサーバ6に送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…情報処理システム
2…ロール紙
2a…外装袋
3…シール
31…標識
32…セキュリティコード
4…ユーザ端末
41…制御部
42…ストレージ
43…操作入力部
44…表示部
45…音声入出力部
46…撮像部
47…無線通信部
5…プリンタ
501…ロール紙取付部
502…インクリボン取付部
51…制御部
52…ストレージ
53…操作入力部
54…表示部
55…無線通信部
6…サーバ
61…制御部
62…ストレージ
63…通信部
Tar…文字列
Iar…AR用画像
G1~G9…画面
NW…ネットワーク
mk1,mk2…マーク