IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H01L21/304 648K
H01L21/304 651B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018114923
(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2019012824
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2017129539
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴大
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 通矩
(72)【発明者】
【氏名】安田 周一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】菊本 憲幸
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072337(JP,A)
【文献】特開2002-170803(JP,A)
【文献】特開2015-109335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持ユニットと、
前記基板保持ユニットに保持されている基板の主面に向けて処理液を吐出するための吐出口に連通する処理液配管と、
前記処理液配管に処理液を供給するための処理液供給ユニットと、
前記処理液配管の内部に存在している処理液を吸引するための吸引ユニットと、
前記処理液配管における所定の第1の検出位置に、前記処理液の先端面が達したことを検出する第1の液面センサと、
前記第1の検出位置を通過する処理液の速度を検出する速度検出ユニットとを含み、
前記処理液供給ユニットおよび前記吸引ユニットを制御する制御装置と、
前記制御装置が、
前記処理液供給ユニットにより、前記吐出口から処理液を吐出するべく前記処理液配管に処理液を供給する処理液供給工程と、
前記吸引ユニットにより、前記処理液配管の内部に存在している処理液を吸引する吸引工程とを実行し、
前記制御装置が、前記吸引工程において、処理液の先端面を後退させて、吸引後の処理液の先端面を、前記処理液配管の内部における予め定める待機位置に配置させる第1の吸引工程と、処理液の先端面を前記待機位置よりも後退させる第2の吸引工程とを選択的に実行し、
前記制御装置が、前記第2の吸引工程の後に、前記処理液供給ユニットにより前記処理液配管に処理液を供給して、処理液の先端面を前記待機位置に配置する待機位置配置工程を実行し、
さらに、前記制御装置が、前記待機位置配置工程において、前記第1の液面センサによって検出される、前記第1の検出位置における処理液の通過タイミングと、前記速度検出ユニットによって検出される、前記第1の検出位置を通過する処理液の速度とに基づいて、処理液の先端面を前記待機位置に配置する、基板処理装置。
【請求項2】
前記速度検出ユニットが、
前記第1の検出位置よりも下流側に設定された第2の検出位置に、前記処理液の先端面が達したことを検出する第2の液面センサと、
前記第1の液面センサによって検出される、前記第1の検出位置における処理液の通過タイミングと、前記第2の液面センサによって検出される、前記第2の検出位置における処理液の通過タイミングとに基づいて、前記第1の検出位置を通過する処理液の速度を検出するユニットとをさらに含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
吐出口に連通する処理液配管を含む基板処理装置で実行される基板処理方法であって、
前記吐出口から処理液を吐出するべく前記処理液配管に処理液を供給する処理液供給工程と、
前記処理液配管の内部に存在している処理液を吸引する吸引工程とを含み、
前記吸引工程は、処理液の先端面を後退させて、吸引後の処理液の先端面を、前記処理液配管の内部における予め定める待機位置に配置させる第1の吸引工程と、処理液の先端面を前記待機位置よりも大きく後退させる第2の吸引工程とを含み、前記第1および第2の吸引工程は、選択的に実行されるものであり、
前記第2の吸引工程の後に、前記処理液配管に処理液を供給して、処理液の先端面を前記待機位置に配置する待機位置配置工程をさらに含み、
前記基板処理方法は、さらに、
前記処理液配管における所定の第1の検出位置に、前記処理液の先端面が達していることを検出する第1の液面検出工程と、
前記第1の検出位置を通過する前記処理液の先端面の速度を検出する速度検出工程とを含み、
前記待機位置配置工程が、前記第1の検出位置における処理液の通過タイミングと、前記第1の検出位置における処理液の速度とに基づいて、処理液の先端面を前記待機位置に配置する工程を含む、基板処理方法。
【請求項4】
前記速度検出工程が、
前記第1の検出位置における処理液の通過タイミングと、前記第1の検出位置よりも下流側に設定された第2の検出位置における、処理液の通過タイミングとに基づいて、前記第1の検出位置を通過する処理液の速度を検出する工程をさらに含む、請求項3に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理するための基板処理装置が用いられる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持されている基板に処理液を供給する処理液供給ユニットと、スピンチャックに保持されている基板に上方から対向する対向部材と、対向部材の中央部に形成される中央開口に収容された中心軸ノズルと、中心軸ノズルに処理液を供給する処理液配管と、処理液配管の内部の処理液を吸引する吸引装置とを含む。対向部材は、基板の上面に近接して、基板の上面をその周囲の空間から遮断するための部材である。中心軸ノズルからの処理液の吐出後に処理液を吸引して、処理液配管内の処理液の先端面を後退させることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-135843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処理液配管内の処理液をそのまま次の基板処理に用いる場合には、吐出口から処理液がボタ落ちしない程度に処理液の先端面を後退させれば足りる。一方で、処理液配管内の処理液を次の基板処理に用いることができない場合(たとえば、処理液配管内の処理液が失活したり温度低下したりしている場合)には、次の基板処理に先立って、処理液配管内の処理液を吸引により全て配管外に排出する必要がある。
【0005】
本願発明者らは、このような吸引のニーズの相違に着目し、1つの処理液配管に対し、吸引後の先端面が異なる2つの吸引方式を採用することを検討している。しかしながら、この場合、吸引後の先端面が異なるために、処理液バルブが開かれてから吐出口から処理液が吐出されるまでの間の期間が異なる。処理液バルブの開成タイミングを基準に処理時間が定められるので、処理液バルブが開かれてから吐出口から処理液が吐出されるまでの間の期間が異なると、実際の処理液供給時間が基板毎にばらつき、その結果、処理が基板毎にばらつくおそれがある。
【0006】
そこで、この発明の一つの目的は、処理液配管の吸引方式の相違によらずに、共通のタイミングで吐出口から処理液を吐出することができ、これにより、均一な処理を基板に施すことができる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
の発明は、基板を保持する基板保持ユニットと、前記基板保持ユニットに保持されている基板の主面に向けて処理液を吐出するための吐出口に連通する処理液配管と、前記処理液配管に処理液を供給するための処理液供給ユニットと、前記処理液配管の内部に存在している処理液を吸引するための吸引ユニットと、前記処理液配管における所定の第1の検出位置に、前記処理液の先端面が達したことを検出する第1の液面センサと、前記第1の検出位置を通過する処理液の速度を検出する速度検出ユニットと、前記処理液供給ユニットおよび前記吸引ユニットを制御する制御装置とを含む基板処理装置を提供する。そして、前記制御装置が、前記処理液供給ユニットにより、前記吐出口から処理液を吐出するべく前記処理液配管に処理液を供給する処理液供給工程と、前記吸引ユニットにより、前記処理液配管の内部に存在している処理液を吸引する吸引工程とを実行する。そして、前記制御装置が、前記吸引工程において、処理液の先端面を後退させて、吸引後の処理液の先端面を、前記処理液配管の内部における予め定める待機位置に配置させる第1の吸引工程と、処理液の先端面を前記待機位置よりも後退させる第2の吸引工程とを選択的に実行する。そして、前記制御装置が、前記第2の吸引工程の後に、前記処理液供給ユニットにより前記処理液配管に処理液を供給して、処理液の先端面を前記待機位置に配置する待機位置配置工程を実行する。そして、さらに、前記制御装置が、前記待機位置配置工程において、前記第1の液面センサによって検出される、前記第1の検出位置における処理液の通過タイミングと、前記速度検出ユニットによって検出される、前記第1の検出位置を通過する処理液の速度とに基づいて、処理液の先端面を前記待機位置に配置する。
【0008】
この構成によれば、吸引工程では、処理液配管の内部に存在している処理液が吸引され、処理液の先端面が後退される。吸引工程は、処理液の先端面が待機位置に配置される第1の吸引工程と、処理液の先端面が待機位置よりも後退させられる第2の吸引工程とを含む。第2の吸引工程の後に行われる待機位置配置工程において処理液配管に処理液を供給することにより、処理液の先端面を前進させ、当該処理液の先端面を待機位置に配置させる。したがって、第1の吸引工程および第2の吸引工程のいずれが実行された場合であっても、次の処理液の吐出前において処理液の先端面を共通の待機位置に配置することができる。これにより、処理液配管の内部を吸引する吸引工程の種類の如何によらずに、共通のタイミングで吐出口から処理液を吐出することができる。ゆえに、均一な処理を基板に施すことができる。
【0009】
また、第1の検出位置における処理液の先端面の通過タイミングと、第1の検出位置を通過する前記処理液の先端面の速度とが検出される。検出された通過タイミングおよび検出された速度に基づいて、処理液の先端面が待機位置に配置される。そのため、処理液の先端面を、待機位置に精度良く配置できる。そのため、基板に供給される処理液の量の最適化を図ることができる。ゆえに、処理液を用いて基板を良好に処理でき、かつ基板間の処理のバラツキを抑制することができる。
【0010】
この発明の一実施形態では、前記速度検出ユニットが、前記第1の検出位置よりも下流側に設定された第2の検出位置に、前記処理液の先端面が達したことを検出する第2の液面センサと、前記第1の液面センサによって検出される、前記第1の検出位置における処理液の通過タイミングと、前記第2の液面センサによって検出される、前記第2の検出位置における処理液の通過タイミングとに基づいて、前記第1の検出位置を通過する処理液の速度を検出するユニットとをさらに含む。
【0011】
の発明は、吐出口に連通する処理液配管を含む基板処理装置で実行される基板処理方法であって、前記吐出口から処理液を吐出するべく前記処理液配管に処理液を供給する処理液供給工程と、前記処理液配管の内部に存在している処理液を吸引する吸引工程とを含み、前記吸引工程は、処理液の先端面を後退させて、前記処理液配管の内部における予め定める待機位置に配置させる第1の吸引工程と、処理液の先端面を前記待機位置よりも後退させる第2の吸引工程とを含む基板処理方法を提供する。そして、前記第1および第2の吸引工程は、選択的に実行されるものであり、前記第2の吸引工程の後に、前記処理液配管に処理液を供給して、処理液の先端面を前記待機位置に配置する待機位置配置工程をさらに含む。そして、前記基板処理方法は、さらに、前記処理液配管における所定の第1の検出位置に、前記処理液の先端面が達していることを検出する第1の液面検出工程と、前記第1の検出位置を通過する前記処理液の先端面の速度を検出する速度検出工程とを含む。そして、前記待機位置配置工程が、前記第1の検出位置における処理液の通過タイミングと、前記第1の検出位置における処理液の速度とに基づいて、処理液の先端面を前記待機位置に配置する工程を含む。
【0012】
この方法によれば、吸引工程では、処理液配管の内部に存在している処理液が吸引され、処理液の先端面が後退される。吸引工程は、処理液の先端面が待機位置に配置される第1の吸引工程と、処理液の先端面が待機位置よりも後退させられる第2の吸引工程とを含む。第2の吸引工程の後に行われる待機位置配置工程において処理液配管に処理液を供給することにより、処理液の先端面を前進させ、当該処理液の先端面を待機位置に配置させる。したがって、第1の吸引工程および第2の吸引工程のいずれが実行された場合であっても、次の処理液の吐出前において処理液の先端面を共通の待機位置に配置することができる。これにより、処理液配管の内部を吸引する吸引工程の種類の如何によらずに、共通のタイミングで吐出口から処理液を吐出することができる。ゆえに、均一な処理を基板に施すことができる。
【0013】
また、第1の検出位置における処理液の先端面の通過タイミングと、第1の検出位置を通過する前記処理液の先端面の速度とが検出される。検出された通過タイミングおよび検出された速度に基づいて、処理液の先端面が待機位置に配置される。そのため、処理液の先端面を、待機位置に精度良く配置できる。そのため、基板に供給される処理液の量の最適化を図ることができる。ゆえに、処理液を用いて基板を良好に処理でき、かつ基板間の処理のバラツキを抑制することができる。
【0014】
の発明の一実施形態では、前記速度検出工程が、前記第1の検出位置における処理液の通過タイミングと、前記第1の検出位置よりも下流側に設定された第2の検出位置における、処理液の通過タイミングとに基づいて、前記第1の検出位置を通過する処理液の速度を検出する工程をさらに含む。
この方法によれば、第1の検出位置における処理液の先端面の通過タイミングと、第2の検出位置における処理液の先端面の通過タイミングとに基づいて、第1の検出位置を通過する処理液の先端面の速度が検出される。これにより、第1の検出位置を通過する処理液の先端面の速度を、速度センサ等を設けることなく、簡単な構成で検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1の形態に係る基板処理装置の内部のレイアウトを説明するための図解的な平面図である。
図2図2は、図1に示す処理ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
図3図3は、図2に示す中心軸ノズルの縦断面図である。
図4図4は、前記中心軸ノズルの底面図である。
図5図5は、図2に示す、疎水化剤供給ユニットおよび有機溶剤供給ユニットの概略構成を説明するための図である。
図6図6は、前記疎水化剤供給ユニットの詳細な構成を説明するための図である。
図7A図7Aは、前記基板処理装置の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図7B図7Bは、ハードインターロックを説明するための図である。
図8A図8Aは、前記処理ユニットにおいて実行される処理の内容を説明するための流れ図である。
図8B図8Bは、前記処理ユニットにおいてプレレシピによって実行される前処理の流れを示す流れ図である。
図9図9は、前記処理ユニットにおいてプロセスレシピによって実行される基板処理の流れを示す流れ図である。
図10図10は、前記基板処理装置への基板搬入前における、前記処理ユニットの状態を示す図である。
図11図11は、図8Bに示す排出吸引工程を説明するための図である。
図12A図12Aは、図8Bに示すプリディスペンス工程を説明するための図である。
図12B図12Bは、図8Bに示す充填工程を説明するための図である。
図13図13は、図9に示す第1の有機溶剤供給工程を説明するための図である。
図14図14は、前記第1の有機溶剤供給工程後に実行される振り切り工程を説明するための図である。
図15図15は、図9に示す疎水化剤供給工程を説明するための図である。
図16図16は、図9に示す第2の有機溶剤供給工程を説明するための図である。
図17図17は、図9に示すスピンドライ工程を説明するための図である。
図18図18は、第1のエラー判定を説明するための流れ図である。
図19図19は、第2のエラー判定を説明するための流れ図である。
図20図20は、第1の変形例を説明するための図である。
図21図21は、第2の変形例を説明するための図である。
図22図22は、第2の形態に係る疎水化剤供給ユニットの詳細な構成を説明するための図である。
図23図23は、前記疎水化剤供給ユニットによって実行される充填工程を説明するための図である。
図24図24は、本発明の第3の実施形態に係る疎水化剤供給ユニット310の詳細な構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1の形態に係る基板処理装置1の内部のレイアウトを説明するための図解的な平面図である。基板処理装置1は、シリコンウエハなどの基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この形態では、基板Wは、円板状の基板である。基板処理装置1は、処理液で基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容する基板収容器Cが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。搬送ロボットIRは、基板収容器Cと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。
【0017】
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための図解的な断面図である。図3は、中心軸ノズル7の縦断面図である。図4は、中心軸ノズル7の底面図である。
処理ユニット2は、箱形のチャンバー4と、チャンバー4内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック(基板保持ユニット)5と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に対向する対向部材6と、対向部材6の内部を上下に挿通し、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面の中央部に向けて処理液を吐出するための中心軸ノズル7と、中心軸ノズル7に薬液を供給するための薬液供給ユニット8と、中心軸ノズル7にリンス液を供給するためのリンス液供給ユニット9と、中心軸ノズル7に液体の疎水化剤を供給するための疎水化剤供給ユニット10と、中心軸ノズル7に、空気よりも比重が大きくかつ水よりも低い表面張力を有する低表面張力液体としての有機溶剤を供給するための有機溶剤供給ユニット11と、スピンチャック5を取り囲む筒状の処理カップ12とを含む。
【0018】
チャンバー4は、スピンチャック5やノズルを収容する箱状の隔壁13と、隔壁13の上部から隔壁13内に清浄空気(フィルタによってろ過された空気)を送る送風ユニットとしてのFFU(ファン・フィルタ・ユニット)14と、隔壁13の下部からチャンバー4内の気体を排出する排気ダクト15とを含む。FFU14は、隔壁13の上方に配置されており、隔壁13の天井に取り付けられている。FFU14は、隔壁13の天井からチャンバー4内に下向きに清浄空気を送る。排気ダクト15は、処理カップ12の底部に接続されており、基板処理装置1が設置される工場に設けられた排気処理設備に向けてチャンバー4内の気体を導出する。したがって、チャンバー4内を下方に流れるダウンフロー(下降流)が、FFU14および排気ダクト15によって形成される。基板Wの処理は、チャンバー4内にダウンフローが形成されている状態で行われる。
【0019】
スピンチャック5として、基板Wを水平方向に挟んで基板Wを水平に保持する挟持式のチャックが採用されている。具体的には、スピンチャック5は、スピンモータ16と、このスピンモータ16の駆動軸と一体化されたスピン軸17と、スピン軸17の上端に略水平に取り付けられた円板状のスピンベース18とを含む。
スピンベース18の上面には、その周縁部に複数個(3個以上。たとえば6個)の挟持部材19が配置されている。複数個の挟持部材19は、スピンベース18の上面周縁部において、基板Wの外周形状に対応する円周上で適当な間隔を空けて配置されている。スピンベース18の上面には、回転軸線A1を中心とする円周上に、対向部材6を下方から支持するための複数個(3個以上)の対向部材支持部20が配置されている。対向部材支持部20と回転軸線A1との間の距離は、挟持部材19と回転軸線A1との間の距離よりも、大きく設定されている。
【0020】
また、スピンチャック5としては、挟持式のものに限らず、たとえば、基板Wの裏面を真空吸着することにより、基板Wを水平な姿勢で保持し、さらにその状態で鉛直な回転軸線まわりに回転することにより、スピンチャック5に保持されている基板Wを回転させる真空吸着式のもの(バキュームチャック)が採用されてもよい。
対向部材6は、スピンチャック5に従って回転する従動型の対向部材(遮断部材)である。すなわち、対向部材6は、基板処理中において、対向部材6がスピンチャック5に一体回転可能に支持される。
【0021】
対向部材6は、遮断板21と、遮断板21に同伴昇降可能に設けられた係合部22と、係合部22と係合して遮断板21を上方から支持するための支持部23とを含む。
遮断板21は、基板Wより大きい径を有する円板状である。遮断板21は、その下面に基板Wの上面全域に対向する円形の基板対向面21aと、基板対向面21aの周縁部において下方に向けて突出する円環状の鍔部21bと、基板対向面21aに設けられて対向部材支持部20に係合するためのスピンチャック係合部21cとを有している。基板対向面21aの中央部には、対向部材6を上下に貫通する貫通穴24が形成されている。貫通穴24は、円筒状の内周面によって区画されている。
【0022】
係合部22は、遮断板21の上面において、貫通穴24の周囲を包囲する円筒部25と、円筒部25の上端から径方向外方に広がるフランジ部26とを含む。フランジ部26は、支持部23に含まれる、次に述べるフランジ支持部28よりも上方に位置しており、フランジ部26の外周は、フランジ支持部28の内周よりも大径とされている。
支持部23は、たとえば略円板状の支持部本体27と、中心軸線A2を中心とする水平なフランジ支持部28と、支持部本体27とフランジ支持部28とを接続する接続部29とを含む。
【0023】
中心軸ノズル7は、遮断板21および基板Wの中心を通る鉛直な軸線、すなわち、回転軸線A1に沿って上下方向に延びている。中心軸ノズル7は、スピンチャック5の上方に配置され、遮断板21および支持部23の内部空間を挿通する。中心軸ノズル7は、遮断板21および支持部23と共に昇降する。中心軸ノズル7の下面は、図2に示すように、遮断板21の基板対向面21aよりやや上方位置に配置されているが、基板対向面21aとほぼ同じ高さであってもよい。
【0024】
中心軸ノズル7は、貫通穴24の内部を上下に延びる円柱状のケーシング30と、ケーシング30の内部を上下に挿通する第1のノズル配管31、第2のノズル配管32、第3のノズル配管33および第4のノズル配管34とを含む。ケーシング30は、円筒状の外周面30aと、ケーシング30の下端部に設けられ、基板Wの上面の中央部に対向する対向面30bとを有している。第1~第4のノズル配管31~34は、それぞれインナーチューブである。
【0025】
支持部23には、支持部23を昇降させて対向部材6を昇降させるための対向部材昇降ユニット39が結合されている。対向部材昇降ユニット39は、サーボモータやボールねじ機構などを含む構成である。
対向部材昇降ユニット39は、対向部材6および第1~第4のノズル配管31~34を、支持部23と共に鉛直方向に昇降する。対向部材昇降ユニット39は、遮断板21の基板対向面21aがスピンチャック5に保持されている基板Wの上面に近接する近接位置と、近接位置の上方に設けられた退避位置の間で、遮断板21および第1~第4のノズル配管31~34を昇降させる。対向部材昇降ユニット39は、近接位置と退避位置との間の各位置で遮断板21を保持可能である。
【0026】
対向部材昇降ユニット39により、支持部23を下位置(図2に破線で示す位置)と上位置(図2に実線で示す位置)との間で昇降させることができ、これにより、対向部材6の遮断板21を、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に近接する近接位置(図2に破線で示す位置)と、スピンチャック5の上方に大きく退避した退避位置(図2に実線で示す位置)との間で昇降させることができる。
【0027】
具体的には、支持部23が上位置に位置する状態では、支持部23のフランジ支持部28とフランジ部26とが係合することにより、係合部22、遮断板21および中心軸ノズル7が支持部23に支持される。すなわち、遮断板21が支持部23によって吊り下げられる。
支持部23が上位置に位置する状態では、フランジ支持部28の上面に突設された突起28aが、フランジ部26に周方向に間隔を空けて形成された係合穴26aに係合することにより、遮断板21が支持部23に対して周方向に位置決めされる。
【0028】
対向部材昇降ユニット39が、支持部23を上位置から下降させると、遮断板21も退避位置から下降する。その後、遮断板21のスピンチャック係合部21cが、対向部材支持部20に当接すると、遮断板21および中心軸ノズル7が対向部材支持部20によって受け止められる。そして、対向部材昇降ユニット39が支持部23を下降させると、支持部23のフランジ支持部28とフランジ部26との係合が解除されて、係合部22、遮断板21および中心軸ノズル7は支持部23から離脱し、スピンチャック5によって支持される。この状態で、スピンチャック5(スピンベース18)の回転に同伴して、遮断板21が回転させられる。
【0029】
第1のノズル配管31は、鉛直方向に沿って延びている。第1のノズル配管31の下端は、ケーシング30の対向面30bに開口して、第1の吐出口31aを形成している。第1のノズル配管31には、薬液供給ユニット8からの薬液が供給される。薬液供給ユニット8は、第1のノズル配管31の基端側に接続された薬液配管35と、薬液配管35の途中部に介装された薬液バルブ36とを含む。薬液バルブ36が開かれると、第1の吐出口31aから下方に向けて薬液が吐出される。薬液バルブ36が閉じられると、第1の吐出口31aからの薬液の吐出が停止される。薬液は、薬液は、たとえば、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、および界面活性剤、腐食防止剤の少なくとも1つを含む液であってもよい。
【0030】
第2のノズル配管32は、鉛直方向に沿って延びている。第2のノズル配管32の下端は、ケーシング30の対向面30bに開口して、第2の吐出口32aを形成している。第2のノズル配管32には、リンス液供給ユニット9からのリンス液が供給される。リンス液供給ユニット9は、第2のノズル配管32の基端側に接続されたリンス液配管37と、リンス液配管37の途中部に介装されたリンス液バルブ38とを含む。リンス液バルブ38が開かれると、第2の吐出口32aから下方に向けてリンス液が吐出される。リンス液バルブ38が閉じられると、第2の吐出口32aからのリンス液の吐出が停止される。リンス液は、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10~100ppm程度)のアンモニア水のいずれかである。
【0031】
第3のノズル配管33は、鉛直方向に沿って延びている。第3のノズル配管33の下端は、ケーシング30の対向面30bに開口して、第3の吐出口33aを形成している。第3のノズル配管33には、疎水化剤供給ユニット10からの液体の疎水化剤が供給される。疎水化剤は、シリコン系の疎水化剤であってもよいし、メタル系の疎水化剤であってもよい。
【0032】
シリコン系の疎水化剤は、シリコン(Si)自体およびシリコンを含む化合物を疎水化させる疎水化剤である。シリコン系疎水化剤は、たとえば、シランカップリング剤である。シランカップリング剤は、たとえば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)、TMS(テトラメチルシラン)、フッ素化アルキルクロロシラン、アルキルジシラザン、および非クロロ系疎水化剤の少なくとも一つを含む。非クロロ系疎水化剤は、たとえば、ジメチルシリルジメチルアミン、ジメチルシリルジエチルアミン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、N,N-ジメチルアミノトリメチルシラン、N-(トリメチルシリル)ジメチルアミンおよびオルガノシラン化合物の少なくとも一つを含む。
【0033】
メタル系の疎水化剤は、たとえば高い配位性を有し、主として配位結合によって金属を疎水化する溶剤である。この疎水化剤は、たとえば、疎水基を有するアミン、および有機シリコン化合物の少なくとも一つを含む。
第4のノズル配管34は、鉛直方向に沿って延びている。第4のノズル配管34の下端は、ケーシング30の対向面30bに開口して、第4の吐出口34aを形成している。第4のノズル配管34には、有機溶剤供給ユニット11からの液体の有機溶剤が供給される。有機溶剤は、たとえばIPA(isopropyl alcohol)であるが、このような有機溶剤として、IPA以外に、たとえば、メタノール、エタノール、アセトン、EG(エチレングリコール)およびHFE(ハイドロフルオロエーテル)を例示することができる。また、有機溶剤としては、単体成分のみからなる場合だけでなく、他の成分と混合した液体であってもよい。たとえば、IPAとアセトンの混合液であってもよいし、IPAとメタノールの混合液であってもよい。
【0034】
図2に示すように、処理カップ12は、スピンチャック5に保持されている基板Wよりも外方(回転軸線A1から離れる方向)に配置されている。処理カップ12は、スピンベース18の周囲を取り囲む筒状部材40と、スピンチャック5と筒状部材40との間に配置された複数のカップ41~43(第1~第3のカップ43~43)と、基板Wの周囲に飛散した処理液(薬液、リンス液、有機溶剤、疎水化剤等)を受け止める複数のガード44~46(第1~第3のガード44~46)と、複数のガード44~46を個別に昇降させるガード昇降ユニット47とを含む。処理カップ12は、スピンチャック5に保持されている基板Wの外周よりも外側(回転軸線A1から離れる方向)に配置されている。図2において、処理カップ12は、回転軸線A1の右側と左側とで異なる状態が示されている。
【0035】
各カップ41~43は、円筒状であり、スピンチャック5と筒状部材40との間でスピンチャック5を取り囲んでいる。内側から2番目の第2のカップ42は、第1のカップ41よりも外側に配置されており、最も外側の第3のカップ43は、第2のカップ42よりも外側に配置されている。第3のカップ43は、たとえば、第2のガード45と一体であり、第2のガード45と共に昇降する。各カップ41~43は、上向きに開いた環状の溝を形成している。各カップ41~43の溝には、回収配管(図示しない)または廃液配管(図示しない)が接続されている。各カップ41~43の底部に導かれた処理液は、回収配管または廃液配管を通じて、それぞれ回収ユニット(図示しない)または廃液ユニット(図示しない)に送られる。これにより、基板Wから排出された処理液が回収または廃棄される。
【0036】
各ガード44~46は、円筒状であり、スピンチャック5と筒状部材40との間でスピンチャック5を取り囲んでいる。各ガード44~46は、スピンチャック5の周囲を取り囲む円筒状の案内部48と、案内部48の上端から中心側(基板Wの回転軸線A1に近づく方向)に斜め上方に延びる円筒状の傾斜部49とを含む。各傾斜部49の上端部は、ガード44~46の内周部を構成しており、基板Wおよびスピンベース18よりも大きな直径を有している。3つの傾斜部49は、上下に重ねられており、3つの案内部48は、同軸的に配置されている。3つの案内部48(ガード44~46の案内部48)は、それぞれ、対応するカップ41~43内に出入り可能である。すなわち、処理カップ12は、折り畳み可能であり、ガード昇降ユニット47がつのガード44~46の少なくとも一つを昇降させることにより、処理カップ12の展開および折り畳みが行われる。なお、傾斜部49は、その断面形状が図2に示すように直線状であってもよいし、また、たとえば滑らかな上に凸の円弧を描きつつ延びていてもよい。
【0037】
基板Wへの処理液(薬液、リンス液、有機溶剤、疎水化剤等)の供給や基板Wの乾燥は、いずれかのガード44~46が、基板Wの周端面に対向している状態で行われる。たとえば最も外側の第3のガード46が基板Wの周端面に対向している状態(図13に示す状態。以下、「第3のガード対向状態」という場合がある)を実現するために、第1のガード44および第2のガード45を下位置に配置し、第3のガード46を上位置に配置する。また、内側から2番目の第2のガード45が基板Wの周端面に対向している状態(図15に示す状態。以下、「第2のガード対向状態」という場合がある)を実現するために、第1のガード44を下位置に配置し、第2のガード45および第3のガード46を上位置に配置する。また、最も内側の第1のガード44が基板Wの周端面に対向している状態(図2に示す状態。以下、「第1のガード対向状態」という場合がある)を実現するために、3つのガード44~46の全てを上位置に配置する。
【0038】
たとえば、後述する薬液供給工程E3(図9参照)や、リンス工程E4(図9参照)、第1の有機溶剤供給工程E5(図9参照)、疎水化剤供給工程E6(図9参照)、第2の有機溶剤供給工程E7(図9参照)では、3つのガード44~46のいずれかが、基板Wの周端面に対向している状態で行われる。したがって、基板Wに処理液が供給されているときに基板Wの周囲に飛散した処理液は、第1のガード44、第2のガード45、および第3のガード46のいずれかによって、いずれかのカップ41~43に案内される。
【0039】
図5は、疎水化剤供給ユニット10および有機溶剤供給ユニット11の概略構成を説明するための図である。
疎水化剤供給ユニット10は、第3のノズル配管33に接続された疎水化剤配管(処理液配管)51と、疎水化剤配管51を介して第3のノズル配管33に接続された第1の接続配管52と、第1の接続配管52にそれぞれ接続された、疎水化剤排液配管53、第1の疎水化剤供給配管54、第2の疎水化剤供給配管55および疎水化剤吸引配管56とを含む。
【0040】
第1の接続配管52は一方向に延びかつ両端が閉塞する筒状をなし、第1の接続配管52には、疎水化剤排液配管53、疎水化剤配管51、第1の疎水化剤供給配管54、第2の疎水化剤供給配管55および疎水化剤吸引配管56が、その長手方向に関し一端側(図5に示す上側)からこの順で接続されている。
疎水化剤配管51は、第1の上下方向部分51aと、第1の左右方向部分51bとを有している。第1の上下方向部分51aの下流端が、第3のノズル配管33の上流端に接続されている。第1の左右方向部分51bの下流端が、第1の上下方向部分51aの上流端に接続されている。第1の左右方向部分51bの上流端が第1の接続配管52に接続されている。疎水化剤配管51の第1の左右方向部分51bには、疎水化剤配管51を開閉するための疎水化剤バルブ57が介装されている。
【0041】
疎水化剤配管51の第1の左右方向部分51bには、疎水化剤バルブ57よりも下流側に、第1の疎水化剤吸引装置(第1の吸引装置)58が介装されている。第1の疎水化剤吸引装置58は、ダイヤフラム式の吸引装置である。ダイヤフラム式の吸引装置は、疎水化剤配管51の途中部に介装される筒状のヘッドと、ヘッド内に収容されたダイヤフラムとを含み、ダイヤフラムの駆動により、ヘッド内に形成される流路の容積を変化させるような吸引装置である(特開2016-111306号公報等参照)。
【0042】
疎水化剤排液配管53には、疎水化剤排液配管53を開閉するための疎水化剤排液バルブ59が介装されている。疎水化剤排液配管53の他端側は、機外の排液設備に接続されている。
第1の疎水化剤供給配管54には、第1の疎水化剤供給配管54を開閉するための第1の疎水化剤供給バルブ60が介装されている。第1の疎水化剤供給配管54の他端側には、第1の疎水化剤原液供給源から第1の疎水化剤原液(疎水化剤1)が供給されるようになっている。
【0043】
第2の疎水化剤供給配管55には、第2の疎水化剤供給配管55を開閉するための第2の疎水化剤供給バルブ61が介装されている。第2の疎水化剤供給配管55の他端側には、第1の疎水化剤原液供給源から第2の疎水化剤原液(疎水化剤2)が供給されるようになっている。第1の疎水化剤原液と第2の疎水化剤原液とが混合されることにより、疎水化剤が生成されるようになっている。
【0044】
疎水化剤吸引配管56には、疎水化剤吸引配管56を開閉するための疎水化剤吸引バルブ(吸引バルブ)62が介装されている。疎水化剤吸引配管56の先端には、第2の疎水化剤吸引装置(第2の吸引装置)63が接続されている。第2の疎水化剤吸引装置63は、エジェクタ式の吸引装置である。エジェクタ式の吸引装置は、真空発生器やアスピレータを含む。エジェクタ式の吸引装置は、ダイヤフラム式の吸引装置やサイフォン式の吸引装置と比較して、吸引力が強く(吸引速度が速く)かつ吸引可能な液流量が多い。
【0045】
疎水化剤供給ユニット10における他のバルブが閉じられている状態で、第1の疎水化剤供給バルブ60、第2の疎水化剤供給バルブ61および疎水化剤バルブ57が開かれると、第1の疎水化剤供給配管54からの第1の疎水化剤原液と第2の疎水化剤供給配管55からの第2の疎水化剤原液とが第1の接続配管52に流入して、第1の接続配管52内で混合されて疎水化剤が生成される。この疎水化剤が疎水化剤配管51を介して第3のノズル配管33に供給され、第3の吐出口33aから下方に向けて疎水化剤が吐出される。
【0046】
また、疎水化剤供給ユニット10における他のバルブが閉じられている状態で、第1の疎水化剤供給バルブ60、第2の疎水化剤供給バルブ61および疎水化剤排液バルブ59が開かれると、第1の疎水化剤供給配管54から第1の疎水化剤原液が疎水化剤排液配管53に供給される。これにより、第1の疎水化剤供給配管54の内部に残留している第1の疎水化剤原液を機外に排出することができる。
【0047】
また、第2の疎水化剤吸引装置63の働きが有効化されている状態において、他のバルブが閉じられている状態で、疎水化剤バルブ57および疎水化剤吸引バルブ62が開かれると、疎水化剤配管51の内部が吸引されて、疎水化剤の先端面(処理液の先端面)F1が疎水化剤配管51の内部を後退する。
有機溶剤供給ユニット11は、第4のノズル配管34に接続された有機溶剤配管(処理液配管)81と、有機溶剤配管81を介して第4のノズル配管34に接続された第2の接
続配管82と、第2の接続配管82にそれぞれ接続された、有機溶剤排液配管83、有機溶剤供給配管84および有機溶剤吸引配管(吸引配管)86とを含む。
【0048】
第2の接続配管82は一方向に延びかつ両端が閉塞する筒状をなし、第2の接続配管82には、有機溶剤排液配管83、有機溶剤配管81、有機溶剤供給配管84および有機溶剤吸引配管86が、その長手方向に関し一端側(図5に示す上側)からこの順で接続されている。
有機溶剤配管81は、第2の上下方向部分81aと、第2の左右方向部分81bとを有している。第2の上下方向部分81aの下流端が、第4のノズル配管34の上流端に接続されている。第2の左右方向部分81bの下流端が、第2の上下方向部分81aの上流端に接続されている。第2の左右方向部分81bの上流端が第2の接続配管82に接続されている。有機溶剤配管81の第2の左右方向部分81bには、有機溶剤配管81を開閉するための有機溶剤バルブ87が介装されている。
【0049】
有機溶剤配管81の第2の左右方向部分81bには、有機溶剤バルブ87よりも下流側に、第1の有機溶剤吸引装置(第1の吸引装置)88が介装されている。第1の有機溶剤吸引装置88は、ダイヤフラム式の吸引装置である。
有機溶剤排液配管83には、有機溶剤排液配管83を開閉するための有機溶剤排液バルブ89が介装されている。有機溶剤排液配管83の他端側は、機外の排液設備に接続されている。
【0050】
有機溶剤供給配管84には、有機溶剤供給配管84を開閉するための有機溶剤供給バルブ90が介装されている。有機溶剤供給配管84の他端側には、有機溶剤原液供給源から有機溶剤が供給されるようになっている。
有機溶剤吸引配管86には、有機溶剤吸引配管86を開閉するための有機溶剤吸引バルブ(吸引バルブ)92が介装されている。有機溶剤吸引配管86の先端には、第2の有機溶剤吸引装置(第2の吸引装置)93が接続されている。第2の有機溶剤吸引装置93は、エジェクタ式の吸引装置である。
【0051】
有機溶剤供給ユニット11における他のバルブが閉じられている状態で、有機溶剤供給バルブ90および有機溶剤バルブ87が開かれると、有機溶剤供給配管84からの有機溶剤が第2の接続配管82に流入する。この有機溶剤が有機溶剤配管81を介して第4のノズル配管34に供給され、第4の吐出口34aから下方に向けて有機溶剤が吐出される。
また、有機溶剤供給ユニット11における他のバルブが閉じられている状態で、有機溶剤供給バルブ90および有機溶剤排液バルブ89が開かれると、有機溶剤供給配管84から有機溶剤排液配管83に有機溶剤が供給される。これにより、有機溶剤供給配管84の内部に残留している有機溶剤を機外に排出することができる。
【0052】
また、第2の有機溶剤吸引装置93の働きが有効化されている状態において、他のバルブが閉じられている状態で、有機溶剤バルブ87および有機溶剤吸引バルブ92が開かれると、有機溶剤配管81の内部が吸引されて、有機溶剤の先端面(処理液の先端面)F2が有機溶剤配管81の内部を後退する。
図6は、疎水化剤供給ユニット10の詳細な構成を説明するための図である。
【0053】
疎水化剤配管51の第1の左右方向部分51bの管壁に関連して、第1のセンサ64が配置されている。第1のセンサ64は、第1の有無センサ65および第2の有無センサ66を含む。疎水化剤配管51の第1の左右方向部分51bには、所定の疎水化剤待機位置(待機位置)P1が設定されている。疎水化剤待機位置P1は、流通方向に所定の幅を有している。
【0054】
第1の有無センサ65は、疎水化剤待機位置P1の上限位置67aにおける疎水化剤の存否を検出する。疎水化剤配管51の内部の疎水化剤の先端が、上限位置67aよりも前進している(中心軸ノズル7側に寄っているとき)とき、第1の有無センサ65が疎水化剤を検出し、疎水化剤配管51の内部の疎水化剤の先端が、上限位置67aよりも後退しているとき、第1の有無センサ65は疎水化剤を検出しない。第1の有無センサ65は、その検出出力を制御装置3に送出する。
【0055】
第2の有無センサ66は、疎水化剤待機位置P1の下限位置67bにおける疎水化剤の存否を検出する。疎水化剤配管51の内部の疎水化剤の先端面F1が、下限位置67bよりも前進している(中心軸ノズル7側に寄っているとき)とき、第2の有無センサ66が疎水化剤を検出し、疎水化剤配管51の内部の疎水化剤の先端面F1が、下限位置67bよりも後退しているとき、第2の有無センサ66は疎水化剤を検出しない。第2の有無センサ66は、その検出出力を制御装置3に送出する。したがって、疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1にある場合には、第1の有無センサ65によって上限位置67aにおける疎水化剤の存在が検出され、かつ第2の有無センサ66によって下限位置67bにおける疎水化剤の非存在が検出される(疎水化剤の存在が検出されない)。
【0056】
第1の有無センサ65および第2の有無センサ66は、それぞれ、たとえば液検知用のファイバセンサであり、疎水化剤配管51の外周壁に直付け配置または近接配置されている。第1の有無センサ65および第2の有無センサ66は、たとえば静電容量型のセンサによって構成されていてもよい。
疎水化剤バルブ57は、エアオペレート式の開閉バルブである。このようなエアオペレート式の開閉バルブとして、ダイヤフラムバルブや、バタフライバルブ、ニードルバルブ等を例に挙げることができる。疎水化剤バルブ57には、第1のエア供給配管(第2の駆動源)68が接続されており、第1のエア供給配管68の途中部には、第1のエア供給配管68の開閉を切り換えるための第1のエア供給バルブ(第2の駆動源)69が介装されている。第1のエア供給バルブ69よりも下流側の第1のエア供給配管68の途中部には、疎水化剤バルブ57からエアを大気中にリークさせるための第1のリーク配管(図示しない)の一端が接続されている。このリーク配管の途中部には、第1のリークバルブ(図示しない)が介装されている。
【0057】
第1のエア供給バルブ69が開かれ、かつ第1のリークバルブが閉じられている状態では、第1のエア供給配管68を流れるエアが疎水化剤バルブ57の内部に供給される。これにより、疎水化剤バルブ57が開かれる。一方、疎水化剤バルブ57が閉じられている状態で、第1のリークバルブが開かれ、かつ第1のエア供給バルブ69が閉じられると、疎水化剤バルブ57の内部へのエアの供給が停止されると共に、疎水化剤バルブ57内のエアが第1のリーク配管を通って大気中に排出される。その結果、疎水化剤バルブ57が閉じられる。
【0058】
ダイヤフラム式の吸引装置からなる第1の疎水化剤吸引装置58は、エアオペレート式の吸引装置である。第1の疎水化剤吸引装置58には、第2のエア供給配管(第1の駆動源)70が接続されており、第2のエア供給配管70の途中部には、第2のエア供給配管70の開閉を切り換えるための第2のエア供給バルブ(第1の駆動源)71が介装されている。第2のエア供給バルブ71は、たとえば電磁弁である。第2のエア供給バルブ71よりも下流側の第2のエア供給配管70の途中部には、第1の疎水化剤吸引装置58からエアを大気中にリークさせるための第2のリーク配管(図示しない)の一端が接続されている。このリーク配管の途中部には、第2のリークバルブ(図示しない)が介装されている。
【0059】
第2のエア供給バルブ71が開かれ、かつ第2のリークバルブが閉じられている状態では、第2のエア供給配管70を流れるエアが第1の疎水化剤吸引装置58の内部に供給される。この状態では、ダイヤフラムの形体により、ヘッド内の容積が少なく、そのため、第2のエア供給配管70のうち第1の疎水化剤吸引装置58よりも下流側部分に存在する疎水化剤がヘッド内に引き込まれることはない。すなわち、この状態では、第1の疎水化剤吸引装置58の働きが無効化されている。
【0060】
この状態から、第2のリークバルブが開かれ、かつ第2のエア供給バルブ71が閉じられると、第1の疎水化剤吸引装置58の内部へのエアの供給が停止され、かつ、エアが第2のリーク配管を通って大気中に排出される。これにより、ダイヤフラムが形体変化して、ヘッド内の容積が増大する。その結果、第2のエア供給配管70のうち第1の疎水化剤吸引装置58よりも下流側部分に存在する疎水化剤がヘッド内に引き込まれ、当該下流側部分の内部が吸引される。換言すると、第2のエア供給バルブ71用の吐出停止信号の入力に従って、ヘッド内に液体(処理液)が吸引される。これにより、第1の疎水化剤吸引装置58の働きが有効化される。
【0061】
一方、第1の疎水化剤吸引装置58の働きが有効化されている状態で、第2のエア供給バルブ71が開かれ、かつ第2のリークバルブが閉じられると、第2のエア供給配管70を流れるエアが第1の疎水化剤吸引装置58の内部に供給される。これにより、ダイヤフラムが形体変化して、ヘッド内の容積が減少することにより、ヘッド内に吸引されていた液体(処理液)が押し出される。すなわち、第2のエア供給バルブ71用の吐出開始信号の入力に従って、ヘッド内の液体(処理液)が押し出される。その結果、第1の疎水化剤吸引装置58の働きが無効化される。
【0062】
疎水化剤排液配管53には、疎水化剤排液配管53を流れる疎水化剤の流量を調節するための流量調整ユニットが介装されている。この形態では、流量調整ユニットは、オリフィス72である。オリフィス72は、疎水化剤配管51を液体が流れる際の圧損と疎水化剤排液配管53を液体が流れる際の圧損とが等しくなるように、その大きさが設定されている。
【0063】
第1の疎水化剤供給配管54には、第1の疎水化剤供給バルブ60よりも下流側に、第1の疎水化剤供給配管54内を流れる第1の疎水化剤原液の流量を検出する第1の流量計73がさらに介装されている。
第2の疎水化剤供給配管55には、第2の疎水化剤供給バルブ61よりも下流側に、第2の疎水化剤供給配管55内を流れる第2の疎水化剤原液の流量を検出する第2の流量計74がさらに介装されている。第1の流量計73および第2の流量計74によって、充填工程T3において疎水化剤供給配管54,55に供給される疎水化剤(疎水化剤原液)の流量を検出するための第2のセンサ77が構成されている。
【0064】
また、図6の例では、疎水化剤供給配管として、第1の疎水化剤供給配管54および第2の疎水化剤供給配管55という2つの配管を有する場合を例に挙げているが、疎水化剤供給配管として、1つの疎水化剤供給配管のみが設けられていてもよい。この場合、疎水化剤供給配管に、疎水化剤(原液ではない、作成(混合)後の疎水化剤)が供給される。この場合には、この疎水化剤供給配管に流量計が介装される。
【0065】
エジェクタ式の吸引装置からなる第2の疎水化剤吸引装置63は、流体供給配管75と、流体供給配管75の開閉を切り換えるための流体供給バルブ76とを含む。流体供給バルブ76は、たとえば電磁弁である。第2の疎水化剤吸引装置63の電源オン状態において、流体供給バルブ76が開かれて、流体供給配管75内に流体が流れることにより、第2の疎水化剤吸引装置63の内部が減圧される。これにより、疎水化剤吸引配管(吸引配管)56の内部が吸引される。すなわち、第2の疎水化剤吸引装置63の働きが有効化される。
【0066】
詳細な説明は省略するが、有機溶剤供給ユニット11は、疎水化剤供給ユニット10と同様の構成を有している。すなわち、有機溶剤配管81の第2の左右方向部分81bの管壁に関連して、第1のセンサが配置されている。有機溶剤バルブ87は、エアオペレート式の開閉バルブであり、第1のエア供給バルブが開かれることにより、有機溶剤バルブ87が開かれ、第1のリークバルブが開かれることにより、有機溶剤バルブ87が閉じられる。第1の有機溶剤吸引装置88は、エアオペレート式の吸引装置であり、第2のエア供給バルブが開かれることにより、第1の有機溶剤吸引装置88の働きが有効化され、第2のリークバルブが開かれることにより、第1の有機溶剤吸引装置88の働きが無効化される。
【0067】
図7Aは、基板処理装置1の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
制御装置3は、たとえばマイクロコンピュータを用いて構成されている。制御装置3はCPU等の演算ユニット101、固定メモリデバイス(図示しない)、ハードディスクドライブ等の記憶ユニット102、および入出力ユニット(図示しない)を有している。記憶ユニット102には、演算ユニット101が実行するプログラム103が記憶されている。
【0068】
記憶ユニット102は、基板Wに対する各処理の内容を規定するレシピを記憶するレシピ記憶部104を含む。レシピ記憶部104は、電気的にデータを書き換え可能な不揮発性メモリからなる。レシピ記憶部104には、操作部105の操作により作成されるプロセスレシピ106、プレレシピ107、ポストレシピ108およびフローレシピ109が記憶される。プロセスレシピ106は、基板Wに対する処理の内容(手順および条件を含む。以下同じ。)を定めたものである。プレレシピ107は、予備動作レシピの一例であり、予め定める前処理の内容を定めたものである。ポストレシピ108は、予備動作レシピの一例であり、予め定める後処理の内容を定めたものである。フローレシピ109は、プロセスレシピ106に従った制御(プロセスレシピ制御)、プリレシピに従った制御(プリレシピ制御)およびポストレシピに従った制御(ポストレシピ制御)の実行順序および実行回数を定めたものである。
【0069】
基板処理装置1には、一つのロットを構成する所定枚数(たとえば、25枚)の基板Wが基板収容器C(図1参照)に一括して収容された状態で搬入される。基板処理装置1では、基板収容器Cごとに、1つのフローレシピ109が設定される。
さらに、制御装置3には、制御対象として、スピンモータ16、対向部材昇降ユニット39、ガード昇降ユニット47、第1の疎水化剤吸引装置58、第2の疎水化剤吸引装置63、第1の有機溶剤吸引装置88、第2の有機溶剤吸引装置93等が接続されている。また、制御装置3は、予め定められたプログラムに従って、スピンモータ16、対向部材昇降ユニット39、ガード昇降ユニット47等を駆動し、また、第1の疎水化剤吸引装置58、第2の疎水化剤吸引装置63、第1の有機溶剤吸引装置88、第2の有機溶剤吸引装置93等の働きを有効化させる。さらに、制御装置3は、薬液バルブ36、リンス液バルブ38、疎水化剤バルブ57、疎水化剤排液バルブ59、第1の疎水化剤供給バルブ60、第2の疎水化剤供給バルブ61、疎水化剤吸引バルブ62、第1のエア供給バルブ69、第2のエア供給バルブ71、有機溶剤供給配管84、有機溶剤バルブ87、有機溶剤排液バルブ89、有機溶剤吸引バルブ92等を開閉する。
【0070】
図7Bは、ハードインターロックを説明するための図である。ハードインターロックは、レシピ記憶部104に保持されたレシピに従って一連の基板処理が行われる過程において、各工程の開始時に実行される。図7Bでは、ガード位置とバルブの開閉動作との間のハードインターロックのみを図示している。
第1のガード対向状態では、薬液バルブ36およびリンス液バルブ38の開動作が許容されているが、第1および第2の疎水化剤供給バルブ60,61ならびに有機溶剤供給バルブ90の開動作が禁止されている。
【0071】
第2のガード対向状態では、第1および第2の疎水化剤供給バルブ60,61の開動作が許容されているが、薬液バルブ36、リンス液バルブ38および有機溶剤供給バルブ90の開動作は禁止されている。このようなハードインターロックにより、疎水化剤供給工程E6(図9参照)において有機溶剤が基板Wに供給されることが防止され、処理カップ12内において疎水化剤と有機溶剤との混触が発生することを確実に防止できる。疎水化剤と有機溶剤との混触に伴ってパーティクルが発生するおそれがあるので、かかる混触を防止することにより、パーティクルの発生を未然に防止できる。
【0072】
第3のガード対向状態では、有機溶剤供給バルブ90の開動作が許容されているが、薬液バルブ36、リンス液バルブ38ならびに第1および第2の疎水化剤供給バルブ60,61の開動作は禁止されている。このようなハードインターロックにより、第1の有機溶剤供給工程E5(図9参照)や第2の有機溶剤供給工程E7(図9参照)において疎水化剤が基板Wに供給されることが防止され、処理カップ12内において疎水化剤と有機溶剤との混触が発生することを確実に防止できる。疎水化剤と有機溶剤との混触に伴ってパーティクルが発生するおそれがあるので、かかる混触を防止することにより、パーティクルの発生を未然に防止できる。
【0073】
図8Aは、処理ユニット2において実行される処理の内容を説明するための流れ図である。図8Bは、処理ユニット2においてプレレシピ107によって実行される前処理の流れを示す流れ図である。図9は、処理ユニット2においてプロセスレシピ106によって実行される基板処理の流れを示す流れ図である。図10は、基板処理装置1への基板Wの搬入前における、処理ユニット2の状態を示す図である。図11は、排出吸引工程T1(第2の吸引工程)を説明するための図である。図12Aは、プリディスペンス工程T2を説明するための図である。図12Bは、充填工程T3(待機位置配置工程)を説明するための図である。図13は、第1の有機溶剤供給工程E5を説明するための図である。図14は、第1の有機溶剤供給工程後に実行される振り切り工程を示す図である。図15は、疎水化剤供給工程E6を説明するための図である。図16は、第2の有機溶剤供給工程E7を説明するための図である。図17は、スピンドライ工程E8を説明するための図である。図18は、第1のエラー判定を説明するための流れ図である。図19は、第2のエラー判定を説明するための流れ図である。
【0074】
図8A図9を参照しながら、処理ユニット2で実行される基板処理例について説明する。図10図19については適宜参照する。また、基板処理例は、エッチング処理であってもよいし、洗浄処理であってもよい。
1つのロットに含まれる複数枚の基板W(1つの基板収容器C(図1参照)に収容される複数枚の基板W)に対し、1または複数の処理ユニット2において処理が施される。基板収容器C(図1参照)が、基板処理装置1のロードポートLP(図1参照)に載置されると、基板収容器Cに含まれるロットの情報を示す基板情報が、ホストコンピュータから制御装置3に送られる。ホストコンピュータは、半導体製造工場に設置された複数の基板処理装置を統括するコンピュータである。制御装置3は、ホストコンピュータから送られた基板情報に基づいて、そのロットに対するフローレシピ109がレシピ記憶部104から読み出される。そして、フローレシピ109に従って、プリレシピ制御、プロセスレシピ制御およびポストレシピ制御が順に行われる。
【0075】
まず、各処理ユニット2(図1参照)においてプレレシピ107に従った制御が実行され、これにより前処理S1(図8A参照)が行われる。
その後、プロセスレシピ106に従った制御が繰り返し実行されることにより、1つの基板収容器Cに収容された基板Wは、次々と連続して処理ユニット2に搬入され、処理ユニット2で基板処理S2(図8A参照)を受ける。
【0076】
そして、プロセスレシピ106に従った制御が基板収容器Cに収容された基板の枚数に等しい所定回数だけ実行され、一連の所定回数の処理が終了すると、各処理ユニット2においてポストレシピ108に従った制御が実行されることにより、後処理S3(図8A参照)が実行される。後処理S3についての説明は省略する。
前処理S1について説明する。
【0077】
前回の基板処理S2(1つ前の基板Wに対する基板処理S2)後には、図10に示すように、疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置されており、また、有機溶剤の先端面F2が有機溶剤待機位置(待機位置)P2に配置されている。有機溶剤待機位置P2は、流通方向に所定の幅を有している。
前処理S1において、制御装置3は、排出吸引工程T1(図8B参照)を実行する。
【0078】
排出吸引工程T1は、疎水化剤配管51の内部や第1の接続配管52の内部に存在している疎水化剤を、疎水化剤配管51や第1の接続配管52から排出するための工程(第2の吸引工程)を含む。前回の基板処理S2の終了から長期間が経過している場合、疎水化剤配管51の内部や第1の接続配管52の内部に存在している疎水化剤が失活(劣化)しているおそれがある。そのため、基板処理S2に先立って、疎水化剤配管51に存在している疎水化剤を疎水化剤配管51から排出させることにより、失活している疎水化剤を基板処理S2に用いられないようにしたものである。
【0079】
排出吸引工程T1では、制御装置3は、図10に示すように、疎水化剤供給ユニット10における他のバルブを閉じた状態で、疎水化剤バルブ57および疎水化剤吸引バルブ62を開く。これにより、疎水化剤吸引配管56の内部および第1の接続配管52の内部が排気され、疎水化剤配管51の内部に残っている疎水化剤が、第1の接続配管52を通って疎水化剤吸引配管56へと引き込まれる。疎水化剤配管51の内部、第1の接続配管52の内部および疎水化剤吸引配管56の内部から全て疎水化剤が排出されると、制御装置3は、疎水化剤吸引バルブ62および疎水化剤バルブ57を閉じる。この排出吸引工程T1により、疎水化剤配管51の内部や第1の接続配管52の内部に存在している、(湿度や酸素の影響により)失活している疎水化剤を、疎水化剤配管51や第1の接続配管52から排出することができる。エジェクタ式の吸引装置からなる第2の疎水化剤吸引装置63を用いて排出吸引工程T1を行うので、疎水化剤配管51や第1の接続配管52から全ての疎水化剤を排出することができ、かつその排出動作を短期間のうちに行うことができる。
【0080】
また、排出吸引工程T1は、有機溶剤配管81の内部や第2の接続配管82の内部に存在している有機溶剤を、有機溶剤配管81や第2の接続配管82から排出するための工程(第2の吸引工程)を含む。前回の基板処理S2の終了から長期間が経過している場合、有機溶剤配管81の内部や第2の接続配管82の内部に存在している有機溶剤が失活(劣化)しているおそれがある。そのため、基板処理S2に先立って、有機溶剤配管81に存在している有機溶剤を有機溶剤配管81から排出させることにより、失活している有機溶剤を基板処理S2に用いられないようにしたものである。
【0081】
排出吸引工程T1では、制御装置3は、有機溶剤供給ユニット11における他のバルブを閉じた状態で、有機溶剤バルブ87および有機溶剤吸引バルブ92を開く。これにより、有機溶剤吸引配管86の内部および第2の接続配管82の内部が排気され、有機溶剤配管81の内部に残っている有機溶剤が、第2の接続配管82を通って有機溶剤吸引配管86へと引き込まれる。有機溶剤配管81の内部、第2の接続配管82の内部および有機溶剤吸引配管86の内部から全て有機溶剤が排出されると、制御装置3は、有機溶剤吸引バルブ92および有機溶剤バルブ87を閉じる。この排出吸引工程T1により、有機溶剤配管81の内部や第2の接続配管82の内部に存在している、(湿度や酸素の影響により)失活している有機溶剤を、有機溶剤配管81や第2の接続配管82から排出することができる。エジェクタ式の吸引装置からなる第2の有機溶剤吸引装置93を用いて排出吸引工程T1を行うので、有機溶剤配管81や第2の接続配管82から全ての有機溶剤を排出することができ、かつその排出動作を短期間のうちに行うことができる。
【0082】
なお、図11の例では、疎水化剤供給配管54からの疎水化剤の吸引と、有機溶剤供給配管84からの有機溶剤の吸引とを並行して行う場合を示しているが、疎水化剤供給配管54からの疎水化剤の吸引と、有機溶剤供給配管84からの有機溶剤の吸引とが互いに異なるタイミングで行われていてもよい。
排出吸引工程T1の終了後、次いで前処理S1において、制御装置3は、プリディスペンス工程T2(図8B参照)を実行する。
【0083】
プリディスペンス工程T2は、疎水化剤供給配管(第1の疎水化剤供給配管54および第2の疎水化剤供給配管55)の内部に存在している疎水化剤を疎水化剤供給配管から排出するための工程を含む。前回の基板処理S2の終了から長期間が経過している場合、第1の疎水化剤供給配管54の内部に存在している第1の疎水化剤原液が失活(劣化)しているおそれがあり、また、第2の疎水化剤供給配管55の内部に存在している第2の疎水化剤原液が失活(劣化)しているおそれがある。そのため、基板処理S2に先立って、第1の疎水化剤供給配管54の内部に存在している第1の疎水化剤原液、および第2の疎水化剤供給配管55の内部に存在している第2の疎水化剤原液を、疎水化剤配管51から排出させることにより、失活している第1の疎水化剤原液および第2の疎水化剤原液を基板処理S2に用いられないようにしたものである。
【0084】
プリディスペンス工程T2では、制御装置3は、図12Aに示すように、疎水化剤供給ユニット10における他のバルブを閉じた状態で、疎水化剤排液バルブ59および疎水化剤供給バルブ(第1の疎水化剤供給バルブ60および第2の疎水化剤供給バルブ61)を開く。これにより、第1の疎水化剤供給配管54の内部に存在している第1の疎水化剤原液が、疎水化剤排液配管53に供給される。このプリディスペンス工程T2により、第1の疎水化剤供給配管54の内部に存在している、失活している第1の疎水化剤原液、および、第2の疎水化剤供給配管55の内部に存在している、失活している第2の疎水化剤原液を、第1の疎水化剤供給配管54の内部または第2の疎水化剤供給配管55の内部から排出することができる。
【0085】
プリディスペンス工程T2において、疎水化剤供給配管54,55から疎水化剤排液配管53に導かれる疎水化剤の流量が第2のセンサ77(図12Aに併せて図6も参照)によって検出される。前述のように、疎水化剤配管51における液体の流通時の圧損と疎水化剤排液配管53における液体の流通時の圧損とが一致するようにオリフィス72によって調整されているから、プリディスペンス工程T2において、充填工程T3において疎水化剤配管51に供給される疎水化剤の流量を精度良く取得することができる。
【0086】
制御装置3は、第2のセンサ77の検出により、充填工程T3後の疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置されるか否かを判断する(第1の判断工程)。また、制御装置3は、充填工程T3後の疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置されないと判断した場合には、エラーであると判定する(第1のエラー判定)。具体的には、制御装置3は、第2のセンサ77によって検出された疎水化剤の流量が所定の閾値範囲外である場合(図18のステップQ1でNO)には、エラーであると判定し(図18のステップQ2)、その後にエラー処理を実行する(図18のステップQ3)。第2のセンサ77によって検出された疎水化剤の流量が所定の閾値範囲外である場合(ステップQ1でNO)には、充填工程T3において疎水化剤配管51に供給される疎水化剤の流量が所期の流量範囲外になる。第2のセンサ77によって検出された疎水化剤の流量が所定の閾値範囲内である場合(ステップQ1でYES)には、図18の処理(サブルーチン処理)は、呼び出し元にリターンされる。
【0087】
充填工程T3において、疎水化剤配管51に供給される疎水化剤の流量が所期の流量範囲外になると、疎水化剤の先端面F1の位置を正確に制御できないおそれがある。この場合には、充填工程T3において、吐出口33aから疎水化剤をボタ落ちさせてしまったり、充填工程T3後の疎水化剤の先端面F1を疎水化剤待機位置P1に配置できかったりするおそれがある。したがって、このような事態が発生した場合には、充填工程T3を行わずに(または、充填工程T3が既に実行されている場合には、充填工程T3を中断する)、エラー処理を行うことにしている。
【0088】
また、プリディスペンス工程T2は、有機溶剤供給配管84の内部に存在している有機溶剤を有機溶剤供給配管84から排出するための工程を含む。前回の基板処理S2の終了から長期間が経過している場合、有機溶剤供給配管84の内部に存在している第1の有機溶剤が失活(劣化)しているおそれがある。そのため、基板処理S2に先立って、有機溶剤供給配管84の内部に存在している有機溶剤を有機溶剤配管81から排出させることにより、失活している有機溶剤を基板処理S2に用いられないようにしたものである。
【0089】
プリディスペンス工程T2では、制御装置3は、有機溶剤供給ユニット11における他のバルブを閉じた状態で、有機溶剤排液バルブ89および有機溶剤供給バルブ90を開く。これにより、図12Aに示すように、有機溶剤供給配管84の内部に存在している有機溶剤が、有機溶剤排液配管83に供給される。このプリディスペンス工程T2により、有機溶剤供給配管84の内部に存在している、失活している有機溶剤を、有機溶剤供給配管84の内部から排出することができる。なお、図12Aの例では、疎水化剤供給配管54からの疎水化剤の排液と、有機溶剤供給配管84からの有機溶剤の排液とを並行して行う場合を示しているが、疎水化剤供給配管54からの疎水化剤の排液と、有機溶剤供給配管84からの有機溶剤の排液とが互いに異なるタイミングで行われていてもよい。
【0090】
プリディスペンス工程T2の終了後、次いで前処理S1において、制御装置3は、充填工程(待機位置配置工程)T3(図8B参照)を実行する。充填工程T3は、疎水化剤配管51に疎水化剤を充填(供給)し、これにより、疎水化剤の先端面F1を疎水化剤待機位置P1に配置する工程である。なお、この形態では、充填工程T3において、有機溶剤配管81への有機溶剤の充填(供給)は行わない。
【0091】
具体的には、充填工程T3では、制御装置3は、疎水化剤供給ユニット10における他のバルブを閉じた状態で、疎水化剤バルブ57および疎水化剤供給バルブ(第1の疎水化剤供給バルブ60および第2の疎水化剤供給バルブ61)を開く。これにより、第1の疎水化剤供給配管54から第1の接続配管52に第1の疎水化剤原液が流入し、かつ第2の疎水化剤供給配管55から第1の接続配管52に第2の疎水化剤原液が流入し、第1の接続配管52内で混合されて疎水化剤が生成される。生成された疎水化剤は疎水化剤配管51を通って下流側に向けて移動する。
【0092】
疎水化剤供給バルブ(第1の疎水化剤供給バルブ60および第2の疎水化剤供給バルブ61)の開成から所定の期間が経過すると、制御装置3は、疎水化剤供給バルブ(第1の疎水化剤供給バルブ60および第2の疎水化剤供給バルブ61)を閉じる。これにより、図12Bに示すように、疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置されるようになる。
【0093】
また、制御装置3は、充填工程T3に並行して、疎水化剤の先端面F1の位置を監視している。具体的には、制御装置3は、第1の有無センサ65(第1のセンサ64)によって上限位置67aにおける疎水化剤の存在が検出され、かつ第2の有無センサ66(第1のセンサ64)によって下限位置67bにおける疎水化剤の非存在が検出された場合に疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置されていると判断する(第1の判断工程)。
【0094】
制御装置3は、充填工程T3後の実際の疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置されないと判断した場合には、エラーであると判定する(第2のエラー判定)。具体的には、制御装置3は、充填工程T3後における実際の疎水化剤の先端面F1が第1のセンサ64によって疎水化剤待機位置P1にないと判断した場合(図19のQ11でNO)には、エラーであると判定し(図19のQ12)、その後にエラー処理を実行する(図19のQ13)。充填工程T3後における疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置されている場合(図19のQ11でYES)には、図19の処理(サブルーチン処理)は、呼び出し元にリターンされる。
【0095】
充填工程T3が終了すると、前処理S1は終了する。
次に、基板処理S2(図8A参照)について説明する。基板処理S2の実行に関し、レシピ記憶部104(図7A参照)から読み出されたプロセスレシピ106は、常時参照されている。
基板処理S2が実行されるときには、未処理の基板Wが、チャンバー4の内部に搬入される(図9のステップE1)。基板Wを保持している搬送ロボットCRのハンドHをチャンバー4の内部に進入させることにより、具体的には、基板Wがその表面(デバイス形成面)を上方に向けた状態でスピンチャック5に受け渡される。その後、スピンチャック5に基板Wが保持される。
【0096】
チャンバー4への基板Wの搬入は、遮断板21が退避位置に配置された状態で、かつ第1~第3のガード44~46が下位置に配置された状態で行われる。
その後、制御装置3は、スピンモータ16を制御して基板Wの回転を開始させる(図9のステップE2)。基板Wは予め定める液処理速度(約10~1200rpmの範囲内で、たとえば約1000rpm)まで上昇させられ、その液処理速度に維持される。また、制御装置3は、対向部材昇降ユニット39を制御して、遮断板21を近接位置に配置する。
【0097】
また、制御装置3は、ガード昇降ユニット47を制御して、第1~第3のガード44~46を上位置に上昇させることにより、図13に示すように、第1のガード44を基板Wの周端面に対向させる(第1のガード対向状態を実現)。
遮断板21が近接位置に配置された後、次いで、制御装置3は、基板Wの上面に薬液を供給する薬液供給工程E3(図9参照)を行う。制御装置3は、薬液バルブ36を開く、これにより、遮断板21の基板対向面21aに形成された第1の吐出口31aから、基板Wの上面中央部に向けて薬液が吐出される。基板Wの上面に供給された薬液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁部に移動する。これにより、基板Wの上面の全域が薬液を用いて処理される。
【0098】
第1の吐出口31aからの薬液の吐出開始から、プロセスレシピ106によって規定されている期間が経過すると、制御装置3は、薬液バルブ36を閉じる。
次いで、制御装置3は、基板Wの上面にリンス液を供給するリンス工程E4(図9参照)を行う。制御装置3は、リンス液バルブ38を開く。これにより、遮断板21の基板対向面21aに形成された第の吐出口3aから基板Wの上面中央部に向けてリンス液が吐出される。基板Wの上面に供給されたリンス液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁部に移動する。これにより、基板Wの上面上の薬液がリンス液に置換される。
【0099】
第2の吐出口32aからのリンス液の吐出開始から予め定める期間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ38を閉じる。これにより、第2の吐出口32aからのリンス液の吐出が停止され、リンス工程E4が終了する。
次いで、制御装置3は、基板Wの上面に存在するリンス液を有機溶剤(たとえばIPA)に置換する第1の有機溶剤供給工程E5(図9参照)を行う。
【0100】
具体的には、制御装置3は、ガード昇降ユニット47を制御して、第3のガード46を上位置に維持しながら、第1および第2のガード44,45を下降させて下位置に配置することにより、図13に示すように、第3のガード46を基板Wの周端面に対向させる(第3のガード対向状態を実現)。このときガードの昇降動作に要する時間はたとえば1.5秒間である。
【0101】
また、制御装置3は、基板Wの回転を液処理速度に維持しつつ、有機溶剤供給ユニット11における他のバルブを閉じながら有機溶剤バルブ87および有機溶剤供給バルブ90を開く。これにより、図13に示すように、遮断板21の基板対向面21aに形成された第4の吐出口34aから基板Wの上面中央部に向けて有機溶剤が吐出される。基板Wの上面に供給された有機溶剤は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁部に移動する。これにより、基板Wの上面上のリンス液が有機溶剤によって置換される。
【0102】
ところで、1回目の基板処理S2(共通の基板収容器C(図1参照)に収容されている基板Wに対し、処理ユニット2において実施される最初の基板処理S2)に係る第1の有機溶剤供給工程E5(以降、単に「1回目の第1の有機溶剤供給工程E5」という場合がある)の有機溶剤の吐出前においては、有機溶剤配管81の内部、第2の接続配管82の内部および有機溶剤吸引配管86の内部に有機溶剤は存在しない。なぜなら、排出吸引工程T1において、有機溶剤配管81の内部、第2の接続配管82の内部および有機溶剤吸引配管86の内部から全て有機溶剤が排出されているからである。
【0103】
一方、2回目以降の基板処理S2に係る第1の有機溶剤供給工程E5(以降、単に「2回目以降の第1の有機溶剤供給工程E5」という場合がある)の有機溶剤の吐出前においては、有機溶剤配管81の有機溶剤の先端面F2が有機溶剤待機位置P2に配置されている。したがって、1回目の第1の有機溶剤供給工程E5と2回目以降の第1の有機溶剤供給工程E5との間で、第1の有機溶剤供給工程E5の開始時において、有機溶剤供給バルブ90(および有機溶剤バルブ87)が開かれてから第4の吐出口34aから有機溶剤が吐出されるまでの間の期間が異なる。通常、有機溶剤供給バルブ90の開成から、第1の有機溶剤供給工程E5の処理期間の計時が開始されるので、有機溶剤バルブ87が開かれてから第4の吐出口34aから有機溶剤が吐出されるまでの間の期間が異なると、有機溶剤の実際の供給時間が基板W毎にばらつき、その結果、処理が基板W毎にばらつくおそれがある。
【0104】
この形態では、1回目の第1の有機溶剤供給工程E5および2回目以降の第1の有機溶剤供給工程E5の双方における実際の供給時間を一定に保つために、1回目の第1の有機溶剤供給工程E5における有機溶剤供給バルブ90の開成タイミングを、所期のタイミング(1回目の第1の有機溶剤供給工程E5における有機溶剤供給バルブ90の開成タイミング)よりも数秒(たとえば約3秒)早めている。すなわち、1回目の第1の有機溶剤供給工程E5において、第1の有機溶剤供給工程E5の開始前(すなわち、ガード高さの変更前)から、制御装置3は有機溶剤供給バルブ90が開かれている(有機溶剤の先出し)。
【0105】
図7Bを参照しながら前述したように、第1のガード対向状態では、薬液バルブ36、リンス液バルブ38、有機溶剤供給バルブ90ならびに第1および第2の疎水化剤供給バルブ60,61の開動作が許容されている。そのため、第1の有機溶剤供給工程E5の開始前(すなわち、ガード高さの変更前から)から有機溶剤供給バルブ90を開くことが可能である(有機溶剤の先出しを実現することができる)。
【0106】
また、2回目以降の第1の有機溶剤供給工程E5である場合には、第1の有機溶剤吸引装置88が有効化状態にある。そのため、第1の有機溶剤供給工程E5の開始後に、制御装置3は、第1の有機溶剤吸引装置88用の第2のエア供給バルブ(第2のエア供給バルブ71に相当)を開いて、かつ、第1の有機溶剤吸引装置88用の第2のリークバルブを閉じる。これにより、第1の有機溶剤吸引装置88の内部にエアが供給されることにより、第1の有機溶剤吸引装置88の働きが無効化され、第1の有機溶剤吸引装置88に吸引されていた少量の有機溶剤が有機溶剤配管81に吐き出される。
【0107】
第1の有機溶剤供給工程E5において、第4の吐出口34aからの有機溶剤の吐出開始から、プロセスレシピ106によって規定されている期間が経過すると、制御装置3は、有機溶剤バルブ87および有機溶剤供給バルブ90を閉じる。これにより、図14に示すように、第4の吐出口34aからの有機溶剤の吐出が停止される。また、制御装置3は、有機溶剤バルブ87を閉じたままの状態で、第1の有機溶剤吸引装置88の働きを有効化する。有機溶剤配管81における、第1の有機溶剤吸引装置88の介装部分よりも下流側部分の内部が排気され、図14に示すように、当該下流側部分の内部に残っている有機溶剤が、第1の有機溶剤吸引装置88の内部(ダイヤフラムの駆動により拡張した領域)へと引き込まれる。第1の有機溶剤吸引装置88の吸引量は、有機溶剤の先端面F2が、第2の左右方向部分81b内に設定された所定の有機溶剤待機位置P2に後退するように定められている。このときの有機溶剤の吸引量は約0.1~1ミリリットルである。有機溶剤の先端面F2が有機溶剤待機位置P2まで後退すると、制御装置3は、有機溶剤供給バルブ90(および有機溶剤バルブ87)を閉じる。これにより、有機溶剤の先端面F2が有機溶剤待機位置P2に配置される。
【0108】
第4の吐出口34aからの有機溶剤の吐出停止に基づいて、第1の有機溶剤供給工程E5が終了する。
次いで、制御装置3は、図14に示すように、基板Wの上面に存在する有機溶剤を振り切る振り切り工程を行う。具体的には、制御装置3は、スピンモータ16を制御して、薬液供給工程E3~第1の有機溶剤供給工程E5の各工程における回転速度よりも大きい振り切り回転速度(たとえば数千rpm)まで基板Wを加速させ、その乾燥回転速度で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wに付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから有機溶剤が除去される。
【0109】
次いで、制御装置3は、基板Wの上面に存在する有機溶剤を液体の疎水化剤に置換する疎水化剤供給工程E6(図9参照)を行う。具体的には、制御装置3は、ガード昇降ユニット47を制御して、第3のガード46を上位置に維持しながら、第2のガード45を上昇させて上位置に配置することにより、図15に示すように、第2のガード45を基板Wの周端面に対向させる(第2のガード対向状態を実現)。このときガードの昇降動作に要する時間はたとえば1.5秒間である。
【0110】
また、制御装置3は、遮断板21を近接位置に維持しつつ、疎水化剤供給ユニット10における他のバルブを閉じながら疎水化剤供給バルブ(第1の疎水化剤供給バルブ60および第2の疎水化剤供給バルブ61)ならびに疎水化剤バルブ57を開く。
直前に行われた第1の有機溶剤供給工程E5が、1回目の第1の有機溶剤供給工程E5であるか2回目以降の第1の有機溶剤供給工程E5であるかによらずに、疎水化剤供給工程E6の開始前において、疎水化剤の先端面F1は、疎水化剤待機位置P1に配置されている。
【0111】
また、2回目以降の第1の有機溶剤供給工程E5である場合には、第1の疎水化剤吸引装置58が有効化状態にある。そのため、制御装置3は、疎水化剤供給工程E6の開始後に、第2のエア供給バルブ71を開いて、かつ、第2のリークバルブを閉じる。これにより、第1の疎水化剤吸引装置58の内部にエアが供給される。その結果、第1の疎水化剤吸引装置58の働きが無効化され、第1の疎水化剤吸引装置58に吸引されていた少量の疎水化剤が疎水化剤配管51に吐き出される。
【0112】
疎水化剤供給バルブ(第1の疎水化剤供給バルブ60および第2の疎水化剤供給バルブ61)ならびに疎水化剤バルブ57の開放により、疎水化剤供給配管(第1の疎水化剤供給配管54および第2の疎水化剤供給配管55)の疎水化剤が、第1の接続配管52を介して疎水化剤配管51に供給される。これにより、図15に示すように、遮断板21の基板対向面21aに形成された第3の吐出口33aから基板Wの上面中央部に向けて疎水化剤が吐出される。基板Wの上面に供給された疎水化剤は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁部に移動する。これにより、基板Wの上面上の有機溶剤が疎水化剤によって置換される。
【0113】
疎水化剤供給工程E6において、第3の吐出口33aからの疎水化剤の吐出開始から、プロセスレシピ106によって規定されている期間が経過すると、制御装置3は、疎水化剤バルブ57、第1の疎水化剤供給バルブ60および第2の疎水化剤供給バルブ61を閉じる。これにより、図16に示すように、第3の吐出口33aからの疎水化剤の吐出が停止される。また、制御装置3は、疎水化剤バルブ57を閉じたままの状態で、第1のエア供給バルブ69を開く。これにより、疎水化剤配管51における、第1の疎水化剤吸引装置58の介装部分よりも下流側部分の内部が排気され、図16に示すように、当該下流側部分の内部に残っている疎水化剤が、第1の疎水化剤吸引装置58の内部(ダイヤフラムの駆動により拡張した領域)へと引き込まれる。第1の疎水化剤吸引装置58の吸引量は、疎水化剤の先端面F1が、第1の左右方向部分51b内に設定された所定の疎水化剤待機位置P1に後退するように定められている。このときの疎水化剤の吸引量は約0.1~1ミリリットルである。これにより、疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置される。
【0114】
第3の吐出口33aからの疎水化剤の吐出停止に基づいて、疎水化剤供給工程E6が終了する。
次いで、制御装置3は、基板Wの上面に存在するリンス液を有機溶剤(たとえばIPA)に置換する第2の有機溶剤供給工程E7(図9参照)を行う。
具体的には、制御装置3は、ガード昇降ユニット47を制御して、第3のガード46を上位置に維持しながら、第2のガード45を下降させて下位置に配置することにより、図16に示すように、第3のガード46を基板Wの周端面に対向させる(第3のガード対向状態を実現)。このときガードの昇降動作に要する時間はたとえば1.5秒間である。
【0115】
また、制御装置3は、基板Wの回転を液処理速度に維持しつつ、有機溶剤供給ユニット11における他のバルブを閉じながら有機溶剤バルブ87および有機溶剤供給バルブ90を開く。これにより、遮断板21の基板対向面21aに形成された第4の吐出口34aから基板Wの上面中央部に向けて有機溶剤が吐出される。基板Wの上面に供給された有機溶剤は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁部に移動する。これにより、基板Wの上面上の疎水化剤が有機溶剤によって置換される。
【0116】
また、第2の有機溶剤供給工程E7の開始後に、第1の有機溶剤吸引装置88の駆動を停止する。これにより、第1の有機溶剤吸引装置88に吸引されていた少量の有機溶剤が有機溶剤配管81に吐き出される。
第2の有機溶剤供給工程E7において、第4の吐出口34aからの有機溶剤の吐出開始から、プロセスレシピ106によって規定されている期間が経過すると、制御装置3は、有機溶剤バルブ87および有機溶剤供給バルブ90を閉じる。これにより、第4の吐出口34aからの有機溶剤の吐出が停止される。また、制御装置3は、有機溶剤バルブ87を閉じたままの状態で、第1の有機溶剤吸引装置88の働きを有効化する。有機溶剤配管81における、第1の有機溶剤吸引装置88の介装部分よりも下流側部分の内部が排気され、当該下流側部分の内部に残っている有機溶剤が、第1の有機溶剤吸引装置88の内部(ダイヤフラムの駆動により拡張した領域)へと引き込まれる。第1の有機溶剤吸引装置88の吸引量は、有機溶剤の先端面F2が、第2の左右方向部分81b内に設定された所定の有機溶剤待機位置P2に後退するように定められている。このときの有機溶剤の吸引量は約0.1~1ミリリットルである。有機溶剤の先端面F2が有機溶剤待機位置P2まで後退すると、制御装置3は、有機溶剤供給バルブ90(および有機溶剤バルブ87)を閉じる。これにより、有機溶剤の先端面F2が有機溶剤待機位置P2に配置される。
【0117】
第4の吐出口34aからの有機溶剤の吐出停止に基づいて、第2の有機溶剤供給工程E7が終了する。
次いで、基板Wを乾燥させるスピンドライ工程E8(図9参照)が行われる。具体的には、制御装置3は、遮断板21が近接位置に配置された状態で、スピンモータ16を制御して薬液供給工程E3~第2の有機溶剤供給工程E7の各工程における回転速度よりも大きい乾燥回転速度(たとえば数千rpm)まで基板Wを加速させ、その乾燥回転速度で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wに付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから液体が除去され、基板Wが乾燥する。
【0118】
基板Wの加速から予め定める期間が経過すると、制御装置3は、スピンモータ16を制御することにより、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる(図9のステップE9)。その後、制御装置3は、対向部材昇降ユニット39を制御して、遮断板21を上昇させて退避位置に配置する。また、制御装置3は、ガード昇降ユニット47を制御して、第1および第2のガード44,45に下降させて、全てのガードを基板Wの周端面から下方に退避させる。
【0119】
その後、チャンバー4内から基板Wが搬出される(図9のステップE10)。具体的には、制御装置3は、搬送ロボットCRのハンドをチャンバー4の内部に進入させる。そして、制御装置3は、搬送ロボットCRのハンドにスピンチャック5上の基板Wを保持させる。その後、制御装置3は、搬送ロボットCRのハンドをチャンバー4内から退避させる。これにより、処理後の基板Wがチャンバー4から搬出される。
【0120】
以上のようにこの形態によれば、吸引工程は、疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置される工程(第1の吸引工程。ボタ落ち防止のための吸引)と、疎水化剤配管51の内部、第1の接続配管52の内部および疎水化剤吸引配管56の内部から全て疎水化剤が排除される(少なくとも第1の接続配管52の上流端(疎水化剤吸引配管56が接続される部分)よりも上流側(疎水化剤吸引配管56側)に疎水化剤の先端面F1を後退させる)排出吸引工程T1(第2の吸引工程)とを含む。そして、排出吸引工程T1の後に行われる充填工程T3(待機位置配置工程)において疎水化剤吸引配管56に疎水化剤を供給することにより、疎水化剤の先端面F1を前進させ、当該疎水化剤の先端面F1を疎水化剤待機位置P1に配置させる。したがって、これらの吸引のいずれが実行された場合であっても、次の疎水化剤の吐出前において疎水化剤の先端面F1を共通の待機位置である疎水化剤待機位置P1に配置することができる。これにより、疎水化剤吸引配管56の内部を吸引する吸引工程の種類の如何によらずに、疎水化剤バルブ57や疎水化剤供給バルブが開かれてから共通のタイミングで、第3の吐出口33aから疎水化剤を吐出することができる。ゆえに、疎水化剤を用いた均一な処理を基板Wに施すことができる。
【0121】
とくにこの形態に係る疎水化剤供給工程E6において、基板Wの上面(表面)への疎水化剤の供給が途切れると、基板Wの上面(表面)において乾燥が進み、その結果、パターン倒壊が発生するおそれがある。しかしながら、この形態では、共通のタイミングで第3の吐出口33aから疎水化剤を吐出する疎水化剤供給工程E6において、疎水化剤の供給が行われない期間がほとんど存在しない。したがって、疎水化剤供給工程E6において基板Wの上面(表面)の乾燥が促進することに基づくパターン倒壊を抑制することができる。
【0122】
また、疎水化剤供給工程E6においては、第2のガード対向状態が実現される。この第2のガード対向状態では、第1および第2の疎水化剤供給バルブ60,61の開動作が許容されているが、薬液バルブ36、リンス液バルブ38および有機溶剤供給バルブ90の開動作は禁止されている。このようなハードインターロックにより、処理カップ12内において疎水化剤と有機溶剤との混触が発生することを確実に防止でき、ゆえに、パーティクルの発生を未然に防止できる。
【0123】
とくにこの形態では、図7Bを参照しながら前述したように、第3のガード対向状態では、第1および第2の疎水化剤供給バルブ60,61の開動作が禁止されている。そのため、疎水化剤供給工程E6の開始前(すなわち、ガード高さの変更前から)から第1および第2の疎水化剤供給バルブ60,61を開くことが不可能である。すなわち、第1の有機溶剤供給工程E5で行っていたような、処理液の先出し(疎水化剤の先出し)を行うことができない。
【0124】
このようなハードインターロックが有効に機能している場合であっても、前処理S1において排出吸引工程T1の後に充填工程T3を実行することにより、疎水化剤供給工程E6の開始前に、疎水化剤の先端面F1を疎水化剤待機位置P1に配置しておくことができる。
また、充填工程T3に並行して、疎水化剤の先端面F1に位置が疎水化剤待機位置P1に配置されているか否かが第1のセンサ64によって検出される。充填工程T3に並行して、疎水化剤の先端面F1の位置を第1のセンサ64によって実際に検出することにより、充填工程T3後の疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1にあるか否かを精度良く検出することができる。
【0125】
また、充填工程T3において疎水化剤供給配管54,55に供給される疎水化剤(疎水化剤原液)の流量を検出するための第2のセンサ77が設けられている。疎水化剤配管51における液体の流通時の圧損と疎水化剤排液配管53における液体の流通時の圧損とが一致するようにオリフィス72によって調整されているから、プリディスペンス工程T2において疎水化剤供給配管54,55から疎水化剤排液配管53に導かれる疎水化剤の流量を第2のセンサ77により検出することにより、充填工程T3において疎水化剤供給配管54,55に供給される疎水化剤の流量を精度良く取得することができる。充填工程T3における疎水化剤の流量を正確に把握することができれば、充填工程T3における疎水化剤の充填時間を管理することにより、充填工程T3後の疎水化剤の先端面F1を精度良く制御することができる。これにより、充填工程T3後の疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1にあるか否かを精度良く検出することが可能である。
【0126】
図22は、第2の形態に係る疎水化剤供給ユニット210の詳細な構成を説明するための図である。
第2の形態において、前述の第1の形態と共通する部分には、図1図19の場合と同一の参照符号を付し説明を省略する。
第2の形態に係る疎水化剤供給ユニット210が、第1の形態に係る疎水化剤供給ユニット10(図6参照)と相違する1つ目の点は、ダイヤフラム式の吸引装置からなる第1の疎水化剤吸引装置58を廃止した点である。加えて、疎水化剤供給ユニット210が、第2の疎水化剤吸引装置として、吸引力が調整不能な第2の疎水化剤吸引装置63に代えて、吸引力を調整可能な第2の疎水化剤吸引装置263を備えている。
【0127】
疎水化剤供給ユニット210は、第3のノズル配管33に接続された疎水化剤配管(処理液配管)251と、疎水化剤配管251を開閉するための疎水化剤バルブ257と、第1の接続配管52とを含む。疎水化剤配管251は、第1の左右方向部分51bの少なくとも疎水化剤待機位置P1の周囲の部分が、透明性を有している点で、疎水化剤配管51(図6参照)と相違しており、その余の点で、疎水化剤配管51と共通している。
【0128】
また、疎水化剤供給ユニット210は、疎水化剤排液バルブ59、第1の疎水化剤供給バルブ60、第2の疎水化剤供給バルブ61、および疎水化剤吸引バルブ62を含む。これら、第1の接続配管52、疎水化剤バルブ257、疎水化剤排液バルブ59、第1の疎水化剤供給バルブ60、第2の疎水化剤供給バルブ61、および疎水化剤吸引バルブ62によって、バルブユニットVが構成されている。
【0129】
疎水化剤バルブ257には、疎水化剤供給ユニット210に含まれる疎水化剤排液バルブ59を除いて、疎水化剤配管251を開閉するためのバルブ(含:ニードルバルブ)が介装されていない。また、前述のように、疎水化剤配管251には、第1の疎水化剤吸引装置58が介装されていない。すなわち、疎水化剤配管251における、バルブユニットVと中心軸ノズル7との間の部分には、バルブやダイヤフラム式の吸引装置が存在しない。疎水化剤配管251における、バルブユニットVと中心軸ノズル7との間の部分に、バルブやダイヤフラム式の吸引装置が存在すると、次に述べるような問題が生じる。すなわち、バルブの内部流路やダイヤフラム式の吸引装置の内部流路において、処理液(疎水化剤)の液密状態が途切れるおそれがある。その場合、当該内部流路において液残りが発生する場合がある。そのため、疎水化剤配管251の内部の処理液の吸引後であっても、疎水化剤配管251の内部(すなわち、内部流路)において液残りが発生するおそれがある。
【0130】
しかしながら、この形態では、疎水化剤配管251における、バルブユニットVと中心軸ノズル7との間の部分には、バルブやダイヤフラム式の吸引装置が存在しない。そのため、疎水化剤配管251の内部の処理液の吸引後に、疎水化剤配管251の内部(すなわち、内部流路)において液残りが発生することを確実に防止できる。
第2の疎水化剤吸引装置263は、エジェクタ式の吸引装置である。第2の疎水化剤吸引装置263は、圧縮流体の供給により減圧状態を発生させる減圧状態発生器(真空発生器)263Aと、減圧状態発生器263Aに圧縮流体を供給する流体供給配管275と、流体供給配管275の管路を開閉し、およびその管路の開度を変更するための電空レギュレータ276を含む。第2の疎水化剤吸引装置263の電源オン状態において、電空レギュレータ276が開かれて、流体供給配管275内に流体が流れることにより、第2の疎水化剤吸引装置263の内部が減圧される。これにより、疎水化剤吸引配管(吸引配管)56の内部が吸引される。すなわち、第2の疎水化剤吸引装置263の働きが有効化される。
【0131】
また、電空レギュレータ276によって流体供給配管275の開度が調整されることにより、減圧状態発生器263Aによって生じる減圧度合い(第2の疎水化剤吸引装置263の内部の減圧度合い)が調整される。具体的には、流体供給配管275の開度が大きいと、減圧状態発生器263Aによって生じる減圧度合いが大きくなる。そのため、電空レギュレータ276によって流体供給配管275の開度が調整されることにより、減圧状態発生器263Aによって生じる減圧度合いが調整される。電空レギュレータ276は、流体供給配管275の開度を無段階に調整できる。そのため、減圧状態発生器263Aによって生じる減圧度合いが、無段階に調整される。
【0132】
制御装置3は、予め定められたプログラムに従って、減圧状態発生器263Aの駆動をさらに制御する。また、制御装置3は、電空レギュレータ276の開閉およびその開度を制御する。
排出吸引工程T1(図11参照)において、制御装置3は、電空レギュレータ276を開くと共に、その開度を、大きな第1の開度に設定する。これにより、減圧状態発生器263Aに、大流量の圧縮流体が供給され、その結果、第2の疎水化剤吸引装置263の内部の減圧度合いが大きい。この状態で、制御装置3は、疎水化剤供給ユニット10における他のバルブを閉じながら、疎水化剤バルブ257および疎水化剤吸引バルブ62を開く。これにより、疎水化剤吸引配管56の内部および第1の接続配管52の内部が大きく排気され、疎水化剤配管251の内部に残っている疎水化剤に大きな吸引力が作用して、その疎水化剤が第1の接続配管52を通って疎水化剤吸引配管56へと引き込まれる。疎水化剤配管251の内部、第1の接続配管52の内部および疎水化剤吸引配管56の内部から全て疎水化剤が排出された後、制御装置3は、疎水化剤吸引バルブ62および疎水化剤バルブ257を閉じる。
【0133】
疎水化剤供給工程E6(図15参照)の終了に際し、疎水化剤バルブ57、第1の疎水化剤供給バルブ60および第2の疎水化剤供給バルブ61が閉じられる。これにより、第3の吐出口33aからの疎水化剤の吐出が停止される。このとき、制御装置3は、電空レギュレータ276を開くと共に、その開度が、第1の開度よりも小さな第2の開度に設定される。これにより、減圧状態発生器263Aに、小流量の圧縮流体が供給され、その結果、第2の疎水化剤吸引装置263の内部の減圧度合いが小さい。この状態で、制御装置3は、疎水化剤供給ユニット10における他のバルブを閉じながら、疎水化剤バルブ257および疎水化剤吸引バルブ62を開く。これにより、疎水化剤吸引配管56の内部および第1の接続配管52の内部が小さく排気され、疎水化剤配管251の内部に残っている疎水化剤に小さな吸引力が作用して、その疎水化剤が第1の接続配管52を通って疎水化剤吸引配管56へと引き込まれる。疎水化剤の先端面F1が、第1の左右方向部分51b内に設定された所定の疎水化剤待機位置P1まで後退すると、制御装置3は、疎水化剤吸引バルブ62および疎水化剤バルブ257を閉じる。これにより、疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置される(図15参照)。
【0134】
充填工程T3(図12B参照)において、制御装置3は、電空レギュレータ276を開くと共に、その開度を、第1の開度と第2の開度との間の第3の開度に設定する。これにより、減圧状態発生器263Aに、中流量の圧縮流体が供給され、その結果、第2の疎水化剤吸引装置263の内部が中程度に減圧される。この状態で、制御装置3は、疎水化剤供給ユニット10における他のバルブを閉じながら、疎水化剤バルブ257および疎水化剤吸引バルブ62を開く。これにより、疎水化剤吸引配管56の内部および第1の接続配管52の内部が中程度に排気され、疎水化剤配管251の内部に供給されている疎水化剤に、中程度の吸引力(排出吸引工程T1における吸引力よりも小さく、疎水化剤供給工程E6の終了時における吸引力よりも大きな吸引力)が作用する。
【0135】
すなわち、充填工程T3に並行して、疎水化剤配管251の内部が吸引される(並行吸引工程)。疎水化剤配管251に供給(充填)される疎水化剤は、所定の供給圧を受けている。疎水化剤配管251内を第3の吐出口33aに向けて移動する疎水化剤に対し、疎水化剤の移動方向とは反対向きに吸引力が作用する。疎水化剤吸引配管56の内部に作用する吸引力が比較的大きいので、これにより、疎水化剤配管251内を移動する疎水化剤を十分に減速させることが可能である。
【0136】
この場合において、電空レギュレータ276の第3の開度が、疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に位置する状態で、疎水化剤に作用する吸引力と供給圧とが釣り合うように設定されていてもよい。この場合、充填工程T3において、疎水化剤の先端面F1を疎水化剤待機位置P1に自動的に停止させることができる。
また、充填工程T3における疎水化剤の先端面F1の疎水化剤待機位置P1への停止は、自動停止に限られない。疎水化剤配管251内の吸引に伴って減速した疎水化剤を、充填時間を管理したり、疎水化剤待機位置P1に関連して設けられたセンサが先端面F1を検出したりすることによって、疎水化剤待機位置P1に先端面F1を停止させるようにしてもよい。
【0137】
第2の形態に係る疎水化剤供給ユニット210が、第1の形態に係る疎水化剤供給ユニット10(図6参照)と相違する2つ目の点は、疎水化剤(処理液)の先端面を検出するための第1のセンサ64を廃止し、その代わりに、カメラ264を設けた点である。
カメラ264は、疎水化剤配管251における疎水化剤待機位置P1およびその周囲の光学像を結像させるレンズと、このレンズによって結像された光学像を電気信号に変換する撮像素子と、変換の電気信号に基づいて画像信号を生成して、制御装置3に送信する撮像回路とを含む。疎水化剤配管251の少なくとも疎水化剤待機位置P1の周囲の部分が透明性を有しているので、点で、疎水化剤配管51(図6参照)と相違しており、その余の点で、疎水化剤待機位置P1の周囲において、疎水化剤の先端面F1を良好に撮像できる。
【0138】
撮像素子は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等を含む。カメラ264は、1秒間に10枚~100枚程度の速度で撮像可能な一般的なカメラであってもよい。しかし、カメラ264が、1秒間に数千~数万枚の速度で撮像可能な高速度カメラであってもよい。
制御装置3は、カメラ264の撮像回路から与えられる画像信号に基づいて、疎水化剤の先端面F1を調べる。
【0139】
充填工程T3において、疎水化剤の先端面F1がカメラ264によって撮像される。そして、カメラ264による撮像結果により、疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1にあるか否かが判断される。これにより、疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置されていることを精度良く検出することができる。
第2の形態の説明では、ダイヤフラム式の吸引装置からなる吸引装置(第1の疎水化剤吸引装置58)を廃止し、代わりに、吸引力を調整可能な吸引装置(第2の疎水化剤吸引装置263)を備える点、および処理液(疎水化剤)の先端面を検出するためのセンサ(第1のセンサ64)を廃止し、その代わりにカメラ(カメラ264)を設ける点を疎水化剤供給ユニット210に適用する場合について説明した。しかしながら、これらの特徴を、有機溶剤供給ユニット11に適用するようにしてもよい。
【0140】
また、ダイヤフラム式の吸引装置からなる吸引装置を廃止し、代わりに、吸引力を調整可能な吸引装置を設ける点、および処理液の先端面を検出するためのセンサを廃止し、その代わりにカメラを設ける点の双方ではなく、一方のみを適用するようにしてもよい。
図24は、本発明の第3の実施形態に係る疎水化剤供給ユニット310の詳細な構成を説明するための図である。
【0141】
第3の実施形態において、前述の第1の形態および第2の形態と共通する部分には、それぞれ、図1図19の場合ならびに図22および図23の場合と同一の参照符号を付し説明を省略する。
第3の実施形態に係る疎水化剤供給ユニット310が、第1の形態に係る疎水化剤供給ユニット10(図6参照)と相違する1つ目の点は、ダイヤフラム式の吸引装置からなる第1の疎水化剤吸引装置58を廃止した点である。加えて、疎水化剤供給ユニット310が、第2の疎水化剤吸引装置として、吸引力が調整不能な第2の疎水化剤吸引装置63に代えて、吸引力を調整可能な第2の疎水化剤吸引装置263を備える。この点、第2の実施形態に係る疎水化剤供給ユニット210(図22参照)と共通するので、説明を省略する。
【0142】
第3の実施形態に係る疎水化剤供給ユニット310が、第2の形態に係る疎水化剤供給ユニット10(図6参照)と相違する2つ目の点は、疎水化剤(処理液)の先端面を検出するための第1のセンサ64を廃止し、その代わりに、疎水化剤(処理液)の先端面を検出するための第3のセンサ364を設けた点である。
第3のセンサ364は、疎水化剤配管51の第1の左右方向部分51bの管壁に関連して配置されている。第3のセンサ364は、下流側に配置された第1の液面センサ365および上流側に配置された第2の液面センサ366を含む。第1の液面センサ365および第2の液面センサ366は、疎水化剤待機位置P1よりも上流側に設定されている。
【0143】
この実施形態では、疎水化剤待機位置P1が、第1の左右方向部分51bの下流端の近傍に設定されている。疎水化剤待機位置P1をこのような位置に設定したのは、次に述べる理由からである。すなわち、疎水化剤待機位置P1と第3の吐出口33aとの間の間隔が大きく空いていると、疎水化剤待機位置P1と第3の吐出口33aとの間の空間に塵や埃が含まれる蓋然性が高くなる。そのため、疎水化剤待機位置P1と第3の吐出口33aとの間の間隔は、できる限り短いことが好ましい。
【0144】
その一方で、疎水化剤待機位置P1を第1の左右方向部分51bの下流端の近傍に設定した場合、疎水化剤の先端面が疎水化剤待機位置P1をオーバーランすると、疎水化剤の先端面が第1の上下方向部分51aに達してしまうおそれがある。この場合、第3の吐出口33aから疎水化剤が落液(いわゆるボタ落ち)する可能性がある。このような疎水化剤の落液を防止しながら疎水化剤待機位置P1と第3の吐出口33aとの間の間隔を短く設定するために、疎水化剤待機位置P1に疎水化剤の先端面を精度良く配置する必要がある。
【0145】
第1の液面センサ365および第2の液面センサ366は、流通方向に間隔L1を空けて配置されている。また、第1の液面センサ365は、疎水化剤待機位置P1と流通方向に間隔L2を空けて配置されている。
第1の液面センサ365は、下流側に設定された第1の検出位置P11における疎水化剤の存否を検出する。第2の液面センサ366は、上流側に設定された第2の検出位置P12における疎水化剤の存否を検出する。第1の液面センサ365および第2の液面センサ366は、たとえば液検知用のファイバセンサである。第1の液面センサ365および第2の液面センサ366は、疎水化剤配管51の外周壁に直付け配置または近接配置されている。第1の液面センサ365および第2の液面センサ366は、たとえば静電容量型のセンサによって構成されていてもよい。
【0146】
充填工程T3(図12B参照)において、疎水化剤の充填(供給)に伴って、疎水化剤配管51の内部の疎水化剤の先端面が上流側から下流側に向けて移動する。この場合において、第2の検出位置P12よりも上流側に疎水化剤の先端面が退避している場合には、第1の液面センサ365および第2の液面センサ366の双方が疎水化剤を検出しない。また、疎水化剤が前進し、疎水化剤の先端面が、第2の検出位置P12に達した場合には、第1の液面センサ365は疎水化剤を検出しないが、第2の液面センサ366が疎水化剤を検出する。また、疎水化剤が前進し、疎水化剤の先端面が、第1の検出位置P11に達した場合には、第1の液面センサ365および第2の液面センサ366の双方が疎水化剤を検出する。第1の液面センサ365および第2の液面センサ366は、その検出出力を制御装置3に送出する。
【0147】
充填工程T3(図12B参照)において、制御装置3は、第1の液面センサ365および第2の液面センサ366の検出出力を監視している。
第2の液面センサ366による検出出力がオフ状態からオン状態になると、制御装置3は、そのときのタイミングを記憶する。すなわち、制御装置3は、下流側の第2の検出位置P12を疎水化剤の先端面が通過したタイミングを記憶する。
【0148】
また、制御装置3は、第1の液面センサ365による検出出力がオフ状態からオン状態になる(第1の検出位置P11を疎水化剤の先端面が通過したタイミング)と、第1の検出位置P11を通過する疎水化剤の先端面の速度を演算により求める。具体的には、制御装置3は、疎水化剤の先端面が第2の検出位置P12から第1の検出位置P11に移動するのに要した時間と、第2の検出位置P12および第1の検出位置P11の間の距離(間隔L1)とに基づいて、第1の検出位置P11を通過する疎水化剤の先端面の速度を演算する。また、その演算結果に基づいて、制御装置3は、第1の検出位置P11よりも間隔L2の前方に位置する疎水化剤待機位置P1に疎水化剤の先端面が到達するタイミングを算出する。そして、制御装置3は、その算出タイミングで、疎水化剤バルブ57(ならびに/または第1の疎水化剤供給バルブ60および第2の疎水化剤供給バルブ61)を停止させる。
【0149】
第3の実施形態によれば、第1の検出位置P11を疎水化剤の先端面が通過する通過タイミング、および第1の検出位置P11を疎水化剤の先端面が通過する速度に基づいて、疎水化剤の先端面が疎水化剤待機位置P1に配置される。そのため、疎水化剤の先端面を疎水化剤待機位置P1に精度良く配置することができる。ゆえに、疎水化剤の落液を防止しながら、疎水化剤待機位置P1と第3の吐出口33aとの間の間隔を短く設定することができる。これにより、基板Wに供給される疎水化剤への埃や塵の混入を良好に抑制または防止できる。
【0150】
また、疎水化剤の先端面を疎水化剤待機位置P1に精度良く配置できるから、基板Wに供給される疎水化剤の量の最適化を図ることができる。ゆえに、基板Wに疎水化処理を良好に施すことができ、かつ基板W間の疎水化処理のバラツキを抑制することができる。
この第3の実施形態では、制御装置3と、第1の液面センサ365と、第2の液面センサ366とによって、速度検出ユニットが構成されている。第1の検出位置P11における疎水化剤の先端面の通過タイミングと、第2の検出位置P12における疎水化剤の先端面の通過タイミングとに基づいて、第1の検出位置P11を通過する疎水化剤の先端面の速度が検出される。これにより、第1の検出位置P11を通過する疎水化剤の先端面の速度を、速度センサ等を設けることなく、簡単な構成で検出できる。
【0151】
しかしながら、第1の検出位置P11を通過する疎水化剤の先端面の速度を検出するための速度センサを別途設けるようにしてもよい。
第3の形態の説明では、ダイヤフラム式の吸引装置からなる吸引装置(第1の疎水化剤吸引装置58)を廃止し、代わりに、吸引力を調整可能な吸引装置(第2の疎水化剤吸引装置263)を備える場合を例に挙げた。しかし、第1の形態のように、ダイヤフラム式の吸引装置からなる吸引装置(第1の疎水化剤吸引装置58)を設ける構成としてもよい。
【0152】
また、第3の実施形態では、疎水化剤供給ユニット310に適用する場合について説明した。しかしながら、この特徴を、有機溶剤供給ユニット11に適用するようにしてもよい。
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。
【0153】
たとえば、前述の各実施形態において、流量調整ユニットであるオリフィス72による調整により、疎水化剤配管51を液体が流れる際の圧損と疎水化剤排液配管53を液体が流れる際の圧損とが等しくなるように設定されているとして説明した。しかしながら、疎水化剤配管51を液体が流れる際の圧損と疎水化剤排液配管53を液体が流れる際の圧損とが一定の関係を有しており、かつその関係が制御装置3によって把握されていれば、必ずしも、疎水化剤配管51を液体が流れる際の圧損と疎水化剤排液配管53を液体が流れる際の圧損とが等しくなくてもよい。
【0154】
また、前述の各実施形態において、流量調整ユニットがオリフィス72である場合を例に挙げたが、流量調整ユニットは、図20に示すように固定ニードル201であってもよいし、図21に示すようにモータニードル202であってもよい。
また、前述の各実施形態において、流量調整ユニットは、必ずしも疎水化剤排液配管53に介装されている必要はなく、疎水化剤排液配管53ならびに疎水化剤供給配管(第1の疎水化剤供給配管54および第2の疎水化剤供給配管55)の少なくとも一方に介装されていればよい。
【0155】
また、第2のセンサ77は、必ずしも疎水化剤排液供給配管(第1の疎水化剤供給配管54および第2の疎水化剤供給配管55)に介装されている必要はなく、疎水化剤排液配管53および疎水化剤排液供給配管の少なくとも一方に介装されていればよい。
また、前述の各実施形態において、第1のセンサ64が、第1の有無センサ65および第2の有無センサ66という2つのセンサを含む例を挙げた。しかしながら、第1のセンサ64が、疎水化剤の先端面F1の位置を検出する液面センサであってもよい。
【0156】
また、前述の各実施形態において、制御装置3が、充填工程T3に並行して第1のセンサ64により疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1にあるか否かを判断する工程(第1の工程)、および充填工程T3において疎水化剤配管51に供給される疎水化剤の流量を検出する第2のセンサ77の検出結果に基づいて、充填工程T3後の疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置されるか否かを判断する工程(第2の判断工程)の双方を実行する場合を例に挙げたが、これらの工程のうち少なくとも一方が実行されればよい。
【0157】
また、前述の各実施形態において、充填工程T3後に疎水化剤の先端面F1が疎水化剤待機位置P1に配置されないと制御装置3が判断した場合に、エラーを報知しかつエラー処理を行うものを説明したが、エラーを報知したりエラー処理をおこなったりせずに、その旨が、記憶ユニット102に保持されているログファイルに記録されるようになっていてもよい。
【0158】
また、前述の各実施形態において、排出吸引工程T1および充填工程T3の双方を前処理S1において実行するとして説明したが、排出吸引工程T1を前処理S1において実行し、充填工程T3を後処理S3において実行するようにしてもよい。また、排出吸引工程T1および充填工程T3の双方を後処理S3において実行するようにしてもよい。
また、前述の各実施形態において、排出吸引工程T1と充填工程T3との間に、プリディスペンス工程T2を実行するとして説明したが、プリディスペンス工程T2は省略してもよい。
【0159】
また、前述の第1の実施形態において、第1の吸引装置の一例としての第1の疎水化剤吸引装置58として、ダイヤフラム式の吸引装置を例に挙げたが、これに代えて、サイフォン式の吸引装置が採用されていてもよい。サイフォン式の吸引装置は、配管を有し、当該配管の内部を液体で満たした状態で、サイフォンの原理を利用して疎水化剤配管51の内部の疎水化剤を吸引(排液)する。サイフォン式の吸引装置では、吸引のためのエネルギー消費が抑制される。
【0160】
また、第1の実施形態において、第1の吸引装置の一例としての第1の疎水化剤吸引装置58に代えて、第2の疎水化剤吸引装置63と同様のエジェクタ式の吸引装置からなる第1の疎水化剤吸引装置が採用されてもよい。この場合、共にエジェクタ式の吸引装置である、第1の疎水化剤吸引装置および第2の疎水化剤吸引装置63のエア圧や圧損を異ならせることにより、第1の疎水化剤吸引装置の吸引力(吸引速度)が、第2の疎水化剤吸引装置63の吸引力(吸引速度)よりも弱くなるように(遅くなるように)設定されていることが望ましい。
【0161】
この場合、エジェクタ式の第1の疎水化剤吸引装置によって、処理液の吐出停止後において、処理液のボタ落ちを防止すべく、処理液を吸引して、処理液の先端面F1を待機位置(疎水化剤待機位置P1)まで後退させる。
また、前述の実施形態において、疎水化剤供給ユニット10において吸引装置が1つのみが設けられていてもよい。この場合、たとえば疎水化剤供給ユニット10において第1の疎水化剤吸引装置58を廃止した構成である。そして、疎水化剤吸引配管56に、疎水化剤吸引配管56の開度を調整して、吸引力(吸引速度)を調整するための流量調整バルブ(吸引力調整ユニット)が介装されている。この流量調整バルブは、弁座が内部に設けられたバルブボディと、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む構成であってもよい。
【0162】
また、前述の実施形態において、充填工程T3では有機溶剤配管81への有機溶剤の充填は行わないとして説明したが、疎水化剤配管51への疎水化剤の充填(供給)と同様に、有機溶剤配管81への有機溶剤の充填(供給)を行ってもよい。充填工程T3において有機溶剤を充填することは、第1のガード対向状態において有機溶剤供給バルブ90の開動作が禁止されている場合にとくに有用である。第1のガード対向状態において有機溶剤供給バルブ90の開動作が禁止されていると、前述の基板処理で説明したような、有機溶剤の先出しを行うことができないからである。
【0163】
また、前述の各実施形態において、処理液配管に対する供給または充填の対象になる処理液は、疎水化剤や有機溶剤に限られず、薬液やリンス液が含まれてもよい。すなわち、本発明を、薬液供給ユニット8やリンス液供給ユニット9にも適用することができる。
また、前述の実施形態において、第2の吸引工程として、処理液の先端面(疎水化剤の先端面F1)を、接続配管(第1の接続配管52)の上流端(疎水化剤吸引配管56が接続される部分)よりも上流側(疎水化剤吸引配管56側)に後退させる排出吸引工程T1を採用していたが、第2の吸引工程は、吸引後における処理液の先端面(疎水化剤の先端面F1)の位置が待機位置(疎水化剤待機位置P1)でなければ足り、処理液の先端面(疎水化剤の先端面F1)を、必ずしも接続配管(第1の接続配管52)の上流端よりも上流側に後退させる必要はない。
【0164】
また、前述の各実施形態において、吐出口(第3の吐出口33a)が基板対向面21aに形成された処理液配管について説明したが、遮断板21に組み込まれない単一のノズルとして設けることもできる。この場合もノズルの吐出口が、左右方向(すなわち、基板Wの表面に沿う方向)には移動不能であると、このノズルに本発明を好適に適用することができる。
【0165】
また、前述の各実施形態において、基板処理装置1が円板状の基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1が、液晶表示装置用ガラス基板などの多角形の基板を処理する装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能で
ある。
【符号の説明】
【0166】
1 :基板処理装置
2 :処理ユニット
3 :制御装置
4 :チャンバー
5 :スピンチャック(基板保持ユニット)
6 :対向部材
310 :疎水化剤供給ユニット(処理液供給ユニット)
365 :第1の液面センサ
366 :第2の液面センサ
P11 :第1の検出位置
P12 :第2の検出位置
W :基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24