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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20220929BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018127167
(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公開番号】P2020009820
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】風間 俊道
【審査官】齋藤 正貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056256(JP,A)
【文献】特開2011-152621(JP,A)
【文献】特開2006-120820(JP,A)
【文献】特開2000-178000(JP,A)
【文献】特開平11-180505(JP,A)
【文献】特開平10-184248(JP,A)
【文献】実開平04-095996(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0240417(US,A1)
【文献】米国特許第6504144(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置される産業用ロボットであって、
搬送対象物を保持するハンドと、
前記ハンドを水平面内で移動させるアームと、
前記アームを支持し、且つ、前記ハンド及び前記アームより前記床面に近い位置に配置されるアーム支持部と、
前記アーム支持部を昇降させる昇降機構と、
前記アーム支持部の底面の下方に存在する障害物を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部は、
前記アーム支持部の前記底面に沿って且つ前記底面との間に間隔をあけて配置され、前記アーム支持部に対して前記アーム支持部の昇降方向に移動可能な板状の可動体と、
前記可動体の前記昇降方向の変位を検出するセンサと、
を有する産業用ロボット。
【請求項2】
請求項1記載の産業用ロボットであって、
前記可動体は、前記アーム支持部の前記底面の全体を覆っている産業用ロボット。
【請求項3】
請求項1又は2記載の産業用ロボットであって、
前記センサは、接触式センサである産業用ロボット。
【請求項4】
請求項3記載の産業用ロボットであって、
前記アーム支持部の前記底面に平行且つ互いに垂直な方向を第1方向及び第2方向として、
前記可動体の前記第1方向の一方の第1端部は、前記第2方向に延びる軸まわりに回動可能に、前記アーム支持部によって支持されており、
前記センサは、前記可動体の前記第1端部と反対側の第2端部との間の中間部位の変位を検出する産業用ロボット。
【請求項5】
請求項4記載の産業用ロボットであって、
前記センサは、前記第2方向と交差する前記アーム支持部の一方の側面に設けられており、
前記可動体は、前記中間部位から前記アーム支持部の前記側面に沿って前記昇降方向に前記センサまで延びるセンサ係合部を有する産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された産業用ロボットは、半導体ウエハを搬送するロボットであり、半導体ウエハを保持するハンドと、ハンドを水平面内で移動させるアームと、アームを支持するアーム支持部と、アーム支持部を昇降させる昇降機構とを備えている。ハンドの水平面内の移動と、昇降とによって、半導体ウエハを収納カセットから加熱炉に搬送し、加熱処理した半導体ウエハを加熱炉から収納カセットに搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-179419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アームの軌道をロボットに記憶させるティーチングの際に、又は産業用ロボットのメンテナンスの際には、作業者がロボットに接近している。例えば作業者の足が、アーム支持部の底面と産業用ロボットが設置されている床面との間に挟まれた場合に、産業用ロボットを速やかに停止させることが望まれる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、昇降されるアーム支持部の底面の下方に存在する障害物を検出可能な産業用ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の産業用ロボットは、床面に設置される産業用ロボットであって、搬送対象物を保持するハンドと、前記ハンドを水平面内で移動させるアームと、前記アームを支持し、且つ、前記ハンド及び前記アームより前記床面に近い位置に配置されるアーム支持部と、前記アーム支持部を昇降させる昇降機構と、前記アーム支持部の底面の下方に存在する障害物を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記アーム支持部の前記底面に沿って且つ前記底面との間に間隔をあけて配置され、前記アーム支持部に対して前記アーム支持部の昇降方向に移動可能な板状の可動体と、前記可動体の前記昇降方向の変位を検出するセンサと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、昇降されるアーム支持部の底面の下方に存在する障害物を検出可能な産業用ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態を説明するための、産業用ロボットの一例の平面図であり、アームが縮んでいる状態の平面図である。
図2図1の産業用ロボットの平面図であり、アームが伸びている状態の平面図である。
図3図1の産業用ロボットの正面図である。
図4図1の産業用ロボットの検出部の正面図である。
図5図4の検出部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(産業用ロボットの全体構成)
図1から図3は、本発明の実施形態を説明するための産業用ロボットの一例を示す。産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するためのロボットである。ロボット1は、例えば、複数のウエハ2が所定のピッチで積層されて収納されるカセット(図示省略)から複数のウエハ2を同時に搬出する。そして、ロボット1は、複数のウエハ2が所定のピッチで積層されて収納される半導体製造システムの加熱炉(図示省略)の中へカセットから搬出した複数のウエハ2を搬入する。また、ロボット1は、加熱炉から複数のウエハ2を同時に搬出して、搬出した複数のウエハ2をカセットの中へ搬入する。
【0010】
ロボット1は、複数のウエハ2が搭載されるウエハ搭載機構3と、ウエハ搭載機構3の基端側を回動可能に支持する第1アーム4と、カセット内あるいは加熱炉内のウエハ2の収納状態を検出するためのセンシング用ハンド5と、センシング用ハンド5の基端側を回動可能に支持する第2アーム6と、第1アーム4および第2アーム6の基端側を回動可能に支持するアーム支持部7と、アーム支持部7を昇降可能に支持する昇降機構8と、アーム支持部7の底面11の下方に存在する障害物を検出する検出部20とを備える。
【0011】
ウエハ搭載機構3は、所定のピッチで上下方向に重なるように配置される複数の搬送用ハンドを有する。カセットに収納されるウエハ2のピッチと、加熱炉に収納されるウエハ2のピッチとが異なっている場合があり、ウエハ搭載機構3は、複数の搬送用ハンドのピッチを可変に構成されてもよい。
【0012】
センシング用ハンド5は、カセット等からウエハ2を搬出する前に、カセット内あるいは加熱炉内のウエハ2の収納状態(傾き、出っ張り等)を検出するためのものである。センシング用ハンド5はアーム支持部7と一体に上下動され、センシング用ハンド5の上下動に応じ、ウエハ2がセンシング用ハンド5に載置される。なお、センシング用ハンド5に載置されたウエハ2は、センシング用ハンド5によって、カセットと加熱炉との間で搬送されても良い。
【0013】
第1アーム4および第2アーム6は、2個の関節部を有し、全体として伸縮するように構成されている。第1アーム4の基端側と第2アーム6の基端側とは、アーム支持部7に支持されており、個別に伸縮する。アーム支持部7は、第1アーム4および第2アーム6を支持する第1支持部9と、第1支持部9を支持する第2支持部10とを有する。第2支持部10の内部には、第1支持部9を回動させるための旋回機構が収納されており、第1支持部9は、回動可能に第2支持部10によって支持されている。
【0014】
昇降機構8は、例えば、上下方向に延びて配置される送りねじ軸と、送りねじ軸を支持する支柱部とを含む直動ガイドを用いて構成され、第2支持部10には、送りねじ軸に螺合するナット部材が設けられる。モータにより送りねじ軸が回転され、第2支持部10が、送りねじ軸の回転に応じ、送りねじ軸に沿って上下移動される。これにより、アーム支持部7が昇降される。
【0015】
(検出部の構成)
図4及び図5は、検出部20の構成を示す。検出部20は、アーム支持部7が昇降機構8によって降下される際に、アーム支持部7の底面11の下方に存在する障害物を検出する。検出部20は、アーム支持部7に対して昇降方向Zに移動可能な可動体21と、可動体21の昇降方向の変位を検出するセンサ22とを有する。
【0016】
可動体21は、略矩形の板状に形成されており、アーム支持部7の底面11に沿って配置され、且つ底面11との間に間隔をあけて配置されている。アーム支持部7の底面11に平行且つ互いに垂直な二方向のうち、一方を第1方向Xとし、他方を第2方向Yとして、可動体21の第1方向Xの両端部のうち一方の第1端部23は、第2方向Yに延びる軸24まわりに回動可能にアーム支持部7によって支持されている。そして、可動体21の回動範囲は、吊下げ部25によって規制されている。吊下げ部25は、昇降方向Zに延びる係合孔26が形成されているガイド板27と、係合孔26に係合する係合ピン28とで構成され、本例では、ガイド板27が可動体21に設けられ、係合ピン28はアーム支持部7に設けられている。
【0017】
可動体21に外力が作用していない状態で、係合ピン28は係合孔26の上端側の縁に当接しており、可動体21の第1端部23とは反対側の第2端部29が第1端部23よりも下側に配置されるように、可動体21はアーム支持部7の底面11に対して僅かに傾いた状態に保持されている。アーム支持部7と一体に降下される可動体21がアーム支持部7の底面11の下方に存在する障害物に当接すると、可動体21は、底面11と第2端部29との間隔を狭めるように軸24まわりに回動する。これにより、可動体21の軸24よりも第2端部29側が、アーム支持部7に対して上方に変位する。
【0018】
上述した可動体21の昇降方向Zの変位を検出するセンサ22は、例えば光センサ等の非接触式センサでもよいが、好ましくは接触式センサであり、本例では、ヒンジレバー型のマイクロスイッチが用いられている。接触式センサは、非接触式センサよりも簡潔であり、且つ可動体21の変位を安定して検出可能である。
【0019】
センサ22は、第2方向Yと交差するアーム支持部7の一方の側面30に設けられており、可動体21には、側面30に沿って昇降方向Zに延び、センサ22のヒンジレバー31まで達するセンサ係合部32が設けられている。障害物に当接した可動体21がアーム支持部7に対して上方に移動することにより、センサ係合部32がヒンジレバー31を押圧する。これにより、センサ22がオンとなり、可動体21の昇降方向Zの変位がセンサ22によって検出される。センサ22がオンとなると、センサ22から制御部(不図示)に検出信号が出力され、検出信号を受信した制御部は昇降機構8を制御し、アーム支持部7の降下を停止させる。必要に応じて、アーム支持部7を停止させるブレーキが作動されてもよいし、アーム支持部7が上昇されてもよい。
【0020】
このように、アーム支持部7の底面11に沿って配置される板状の可動体21の昇降方向Zの変位を検出することにより、一つのセンサ22であっても、アーム支持部7の底面11の下方に配置される障害物を広範囲に検出することができる。好ましくは、可動体21は、アーム支持部7の底面11の全体を覆う。これにより、底面11の下方に配置される障害物を一層確実に検出できる。
【0021】
また、好ましくは、図4に示すように、センサ係合部32が、可動体21の第1端部23と第2端部29との間に設けられ、センサ22は、可動体21の第1端部23と第2端部29との間の中間部位の変位を検出する。可動体21の変位量は、可動体21の各部の第1方向Xにおける位置に応じて異なり、第2端部29側の変位量が相対的に大きい。可動体21の中間部位の変位を検出することにより、可動体21の検出対象部位における変位量を、センサ22の検出可能範囲(ヒンジレバー31のストローク)に適合させることができる。
【0022】
また、センサ22がアーム支持部7の底面11に設けられ、ヒンジレバー31が可動体21によって直接押圧されてもよいが、この場合に、センサ22の大きさが、底面11と可動体21との間の間隔によって制限される。本例のように、センサ22をアーム支持部7の側面30に設けることにより、センサ22の設計の自由度を高めることができる。
【0023】
以上、説明したとおり、本明細書に開示された産業用ロボットは、搬送対象物を保持するハンドと、前記ハンドを水平面内で移動させるアームと、前記アームを支持するアーム支持部と、前記アーム支持部を昇降させる昇降機構と、前記アーム支持部の底面の下方に存在する障害物を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記アーム支持部の前記底面に沿って且つ前記底面との間に間隔をあけて配置され、前記アーム支持部に対して前記アーム支持部の昇降方向に移動可能な板状の可動体と、前記可動体の前記昇降方向の変位を検出するセンサと、を有する。アーム支持部の底面に沿って配置される板状の可動体の変位を検出することによって、一つのセンサであっても、アーム支持部の底面の下方に配置される障害物を広範囲に検出できる。
【0024】
また、本明細書に開示された産業用ロボットは、前記可動体が、前記アーム支持部の前記底面の全体を覆っている。この構成によれば、アーム支持部の底面の下方に配置される障害物を一層確実に検出できる。
【0025】
また、本明細書に開示された産業用ロボットは、前記センサが、接触式センサである。接触式センサは、非接触式センサに比べて簡潔であり、且つ安定して検出できる。
【0026】
また、本明細書に開示された産業用ロボットは、前記アーム支持部の前記底面に平行且つ互いに垂直な方向を第1方向及び第2方向として、前記可動体の前記第1方向の一方の第1端部は、前記第2方向に延びる軸まわりに回動可能に、前記アーム支持部によって支持されており、前記センサは、前記可動体の前記第1端部と反対側の第2端部との間の中間部位の変位を検出する。この構成によれば、可動体の検出対象部位の変位量を、接触式センサの検出可能範囲に適合させられる。
【0027】
また、本明細書に開示された産業用ロボットは、前記センサが、前記第2方向と交差する前記アーム支持部の一方の側面に設けられており、前記可動体は、前記中間部位から前記アーム支持部の前記側面に沿って前記昇降方向に前記センサまで延びるセンサ係合部を有する。この構成によれば、センサの設計の自由度が高まる。
【符号の説明】
【0028】
1 産業用ロボット
2 半導体ウエハ(搬送対象物)
3 ウエハ搭載機構
4 第1アーム
5 センシング用ハンド
6 第2アーム
7 アーム支持部
8 昇降機構
9 第1支持部
10 第2支持部
11 アーム支持部の底面
20 検出部
21 可動体
22 センサ
23 可動体の第1端部
24 軸
25 吊下げ部
26 係合孔
27 ガイド板
28 係合ピン
29 可動体の第2端部
30 アーム支持部の側面
31 ヒンジレバー
32 センサ係合部
X 第1方向
Y 第2方向
Z 昇降方向
図1
図2
図3
図4
図5