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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】水路形成機構
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/10 20060101AFI20220929BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20220929BHJP
   C02F 1/00 20060101ALI20220929BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
E03C1/10
A47K3/28
C02F1/00 J
C02F1/28 R
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018163729
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020033842
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 俊二
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-214848(JP,A)
【文献】特開2000-240837(JP,A)
【文献】特開2004-197446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/10
A47K 3/28
C02F 1/00
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路の弁機構を操作可能な操作ユニットを有する水路形成機構であって、
前記操作ユニットは、操作に応じて第1方向に移動するボタン部材と、前記ボタン部材の移動を案内するガイド部材と、を含み、
前記ボタン部材には、前記第1方向に延び、互いに離れて配置される複数の突起部が設けられ、
前記ガイド部材には、前記複数の突起部をそれぞれ収容する複数の貫通孔が設けられ
前記複数の突起部は、前記ボタン部材に設けられた第1、第2突起部を含み、
前記第2突起部は、前記ボタン部材の操作を前記弁機構に伝達するための突起であり、
前記第1突起部は、前記第2突起部の径方向外側に設けられ、
前記ボタン部材は、前記第1突起部を複数備えることを特徴とする水路形成機構。
【請求項2】
前記ボタン部材を前記第1方向に移動させたとき、前記突起部は、前記貫通孔から前記第1方向に突出することを特徴とする請求項1に記載の水路形成機構。
【請求項3】
前記ガイド部材は前記第1方向から視て略矩形形状を有し、
前記ボタン部材は、前記ガイド部材の四隅にそれぞれ配置される4つの前記第1突起部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の水路形成機構。
【請求項4】
前記第1突起部は、前記ガイド部材の外形に沿った形状を有することを特徴とする請求項に記載の水路形成機構。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記ボタン部材を環囲する筒状部を有し、
前記複数の突起部は、前記第2突起部を挟んで対称に配置される複数の第3突起部を含み、
前記複数の第3突起部の延伸端には、前記筒状部の縁と協働して前記ボタン部材の可動範囲を規定するストッパ構造が設けられることを特徴とする請求項からのいずれかに記載の水路形成機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路形成機構に関する。
【背景技術】
【0002】
水路のバルブユニットを操作する操作手段を備えた水栓装置が知られている。例えば、特許文献1には、水栓本体を収容するハウジングにバルブユニットを操作するための押しボタンを備えた水栓装置が記載されている。この水栓装置では、操作者が押しボタンを押圧操作することにより、吐水と止水との切り替えが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-053650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、給水路のバルブを操作する操作手段について、押しボタンタイプの操作部材を用いて、その操作ストロークを小さくすることを検討している。しかし、操作ストロークを小さくすると、操作部材を支持するスパンが短くなって、操作部材のガタが増加し、操作部材の傾斜が許容範囲を超えることが判明した。これらから、本発明者は、従来技術には、水路形成機構の操作手段について操作部材の操作ストロークを短縮可能にする観点から、改良の余地があるとの認識を得た。
【0005】
本発明のある態様は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的は、操作部材の操作ストロークを短くするとが可能な水路形成機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の水路形成機構は、給水路の弁機構を操作可能な操作ユニットを有する水路形成機構であって、操作ユニットは、操作に応じて第1方向に移動するボタン部材と、ボタン部材の移動を案内するガイド部材と、を含む。ボタン部材には、第1方向に延び、互いに離れて配置される複数の突起部が設けられ、ガイド部材には、複数の突起部をそれぞれ収容する複数の貫通孔が設けられる。
【0007】
この態様によると、ボタン部材の複数の突起部をガイド部材の複数の貫通孔に収容することができる。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、操作部材の操作ストロークを短くするとが可能な水路形成機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の水路形成機構を有する機能ユニットを示す正面図である。
図2】実施形態の機能ユニットの一部を示す側面図である。
図3】実施形態の水路形成機構が用いられる水路を示す構成図である。
図4】実施形態の機能ユニットの一部の側面図である。
図5】実施形態の水路形成機構を模式的に示す側面断面図である。
図6】実施形態の水路形成機構の一部を模式的に示す側面断面図である。
図7】実施形態の操作ユニットを示す斜視図である。
図8図7の操作ユニットを示す分解斜視図である。
図9図9(a)は、図7の操作ユニットの第1状態を示す側面断面図である。図9(b)は、図7の操作ユニットの第2状態を示す側面断面図である。
図10図7のカバー部材を示す斜視図である。
図11図7の操作ユニットの一部を示す斜視図である。
図12図7のボタン部材を示す斜視図である。
図13図7のボタン部材の第1部材を示す斜視図である。
図14図7のボタン部材の第2部材を示す斜視図である。
図15図7のガイド部材を示す斜視図である。
図16図7のガイド部材を示す別の斜視図である。
図17図7のガイド部材にボタン部材を装着した状態を示す斜視図である。
図18図18(a)は、実施形態のガイド部材とボタン部材を模式的に示す模式図である。図18(b)は、比較例のガイド部材とボタン部材を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態、比較例および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0012】
(機能ユニット)
図1は、実施形態の水路形成機構54を有する機能ユニット26を示す正面図である。この図は、機能ユニット26を周辺構造とともに示している。図2は、機能ユニット26の一部を示す側面図である。機能ユニット26は、一例として、浴室壁部16に取付けられる。図1の例では、浴室壁部16には、水栓装置18、吐水装置20、一次側ホース22及び二次側ホース24を備える。水路形成機構54は、機能ユニット26に一体に設けられる。本実施形態の水栓装置18は、入浴者による流量操作部18a、18bに対する操作を通じて、給水路28に供給される水の流量と、給水路28に供給される水の温度を調整可能である。
【0013】
吐水装置20は、給水路28から供給される水を吐き出すためのものである。本実施形態の吐水装置20は、給水路28から供給される水を吐き出すシャワーヘッドである。吐水装置20は、カラン等であってもよい。吐水装置20はシャワーフック40に着け外し可能に設けられる。一次側ホース22は水栓装置18と機能ユニット26を接続し、二次側ホース24は機能ユニット26と吐水装置20を接続する。
【0014】
(機能部品)
機能ユニット26は、浴室用の機能部品36と、水路形成機構54とを備える。本実施形態の機能部品36は、シャワーフック等の物品や入浴者の荷重を受けるとともにシャワーフックをスライド可能に支持するスライドバーである。機能部品36は、水栓装置18から分離しており、水栓装置18との間で一次側ホース22や浴室壁部16を介してのみ繋がっている。
【0015】
図2に示すように、機能部品36は、長尺部42と、支持部44、46とを有する。長尺部42は鉛直方向に沿って延在するバー部材48を含む。バー部材48は、その上端部が支持部44である上側ブラケット50を介して浴室壁部16に支持され、その下端部が支持部46である下側ブラケット52を介して浴室壁部16に支持される。
【0016】
(給水路)
水路形成機構54が用いられる給水路を説明する。図3は、水路形成機構54が用いられる機能ユニット26の水路を示す構成図である。機能ユニット26の水路は、水栓装置18から吐水装置20に至る給水路28を含む。給水路28の途中には水路形成機構54のカートリッジ62および弁機構58が設けられる。カートリッジ62は、一次側周面部66に供給された原水を改質して二次側内部水路68に供給する。給水路28は、機能ユニット26に設けられる一次側通水路30、二次側通水路32および原水通水路34を有する。原水通水路34には、一次側通水路30を介して一次側ホース22から原水Lbが供給される。弁機構58が開状態のときは、原水通水路34の原水Lbは、弁機構58および二次側通水路32を介して二次側ホース24に供給水Lcとして供給される。弁機構58が閉状態のときは、原水通水路34の原水Lbは、カートリッジ62によって改質水Laに改質され、二次側通水路32を介して二次側ホース24に供給水Lcとして供給される。
【0017】
(水路形成機構)
図3図6を参照して水路形成機構54を説明する。図4は、機能ユニット26の一部の側面図である。水路形成機構54は、機能部品36と一体化される。図5は、水路形成機構54を模式的に示す側面断面図であり、弁機構58が閉じた状態を示している。図6は、水路形成機構54の一部を模式的に示す側面断面図であり、弁機構58が開いた状態を示している。以下、便宜的に浴室壁部16の法線方向を方向Pと表記し、鉛直方向を第2方向Qと表記する。本実施形態では、方向Pおよび方向Qは互いに直交する。なお、方向Pおよび方向Qと直交する方向を左右方向と呼ぶこともある。
【0018】
水路形成機構54は、操作部材60の操作に応じて、吐水装置20に原水と改質水とを切替えて供給可能である。図4に示すように、水路形成機構54は、改質ユニット38と、切替機構56と、を含む。水路形成機構54は、下側ブラケット52に形成される二次側通水路32と、改質ユニット38に形成される一次側通水路30および原水通水路34と、を含む。図4に示すように、水路形成機構54は、一次側ホース22が接続される第1ホース接続部54aと、二次側ホース24が接続される第2ホース接続部54bとを有する。本実施形態の第2ホース接続部54bは下側ブラケット52の側面部に設けられる。
【0019】
(改質ユニット)
図4に示すように、改質ユニット38は、カートリッジ62と、ケーシング64とを有する。ケーシング64には、カートリッジ62を収容するための収容部64sが設けられる。ケーシング64は、基端側に開口部64aが設けられ、先端部は閉塞されている。図5に示すように、収容部64sの内部空間は、カートリッジ62の周囲に原水通水路34を構成する。本実施形態では、第1ホース接続部54aは、ケーシング64の下部に設けられ、一次側通水路30は、ケーシング64の下部の背面側に形成された開口を通じて収容部64sの内部空間と連通する。ケーシング64は、下側ブラケット52の下部に着脱自在に構成されている。カートリッジ62は、開口部64aから出し入れされうる。
【0020】
(切替機構)
切替機構56は、水路形成機構54に組み込まれ、操作部材60の操作に応じて、弁機構58を開閉し、二次側通水路32への供給水を原水Lbと改質水Laとの間で切り替えるものである。図5に、弁機構58を閉じたときの、図6に、弁機構58を開いたときの原水Lb、改質水Laおよび供給水Lcの経路を示す。
【0021】
図5図6に示すように、本実施形態の切替機構56は、弁機構58と、操作部材60と、変換機構56bと、従動部材56dと、カートリッジ62と、付勢部材Spと、を有する。カートリッジ62は、改質部62eと、第1キャップ部材62aと、第2キャップ部材62bと、を含む。改質部62eは、中空部62jを有する円筒形状の部材である。第1キャップ部材62aは、改質部62eの下流側(図5中で上側)に設けられる。第2キャップ部材62bは、改質部62eの上流側(図5中で下側)に設けられる。
【0022】
(弁機構)
弁機構58は、弁座部58aと、弁体部58cと、を含む。図5図6に示すように、本実施形態の弁座部58aは、原水通水路34と二次側通水路32との境界部分において、下側ブラケット52に形成された環状部分である。本実施形態の弁体部58cは、カートリッジ62の第1キャップ部材62aの外周面に形成された環状部分であり、周状凹部58dに嵌装されたシール部材58eを含む。弁体部58cが弁座部58aに接触しているとき、弁機構58は閉じられ、原水Lbの流通は遮断される。弁体部58cが弁座部58aに接触していないとき、弁機構58は開かれ、原水Lbの流通が許容される。
【0023】
(操作部材)
操作部材60は、ユーザによって操作力が入力され、操作されることによりカートリッジ62を移動することができる。図6の例では、操作部材60は、浴室壁部16に向かう方向Pの操作力Fsが入力される押しボタンである。操作部材60は、操作力Fsが入力されるボタン部材80と、ボタン部材80から方向Pに延びる駆動軸部60jと、を有する。駆動軸部60jの延伸端には第1傾斜面部60gが設けられる。第1傾斜面部60gは、方向Pに直交する面に対して傾斜しており、後述する第2傾斜面部56gと略平行な面である。駆動軸部60jは、ボタン部材80と一体的に構成されてもよいし、ボタン部材80と別体に構成されてもよい。駆動軸部60jは、1ピースの部材であってもよいし、複数のピースの部材で構成されてもよい。
【0024】
変換機構56bは、操作部材60に入力される方向Pの操作力Fsを、弁機構58を開くための方向Q(鉛直下向き)の駆動力に変換する機構である。図6の例では、変換機構56bは、操作部材60の第1傾斜面部60gと、従動部材56dの第2傾斜面部56gと、を含む。第1、第2傾斜面部60g、56gは、互いに当接してカム機構として機能する。
【0025】
従動部材56dは、駆動軸部60jによって駆動され、変換機構56bからの駆動力を弁機構58の弁体部58cに伝達することができる。図6の例では、従動部材56dは、方向Qに延びる棒状の部材で、その上端部に第2傾斜面部56gが設けられる。第2傾斜面部56gは、方向Qに直交する面に対して傾斜しており、第1傾斜面部60gと略平行な面である。従動部材56dは、第2傾斜面部56gに入力された駆動力を下端部56hに伝え、弁体部58cを押して下向きに移動させる。
【0026】
図5に示すように、付勢部材Spは、ケーシング64の収納底部64cに配置され、カートリッジ62を上向きに付勢して、弁体部58cを弁座部58aに接近させる。この例の付勢部材Spは、コイルスプリングである。
【0027】
図6は、操作部材60が方向Qに押込まれた状態を示している。この状態では、変換機構56bと従動部材56dとを介してカートリッジ62に下向きの駆動力が入力される。駆動力が付勢部材Spの反発力(付勢力)を超えると、カートリッジ62は下向きに移動し、弁体部58cは弁座部58aから離れ、弁機構58は開かれる。図5は、操作部材60が押し戻された状態を示している。この状態では、付勢部材Spの反発力(付勢力)によりカートリッジ62は上向きに移動し、弁体部58cは弁座部58aに接触し、弁機構58は閉じられる。
【0028】
(カートリッジ)
カートリッジ62は、原水を改質部62eで改質して改質水を生成する。本実施形態の改質部62eは、活性炭、中空糸膜、亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸等の原水を浄化可能な素材を用いて構成される。一次側周面部66は、改質部62eの外周面に設けられ、二次側内部水路68は、改質部62eの中空部62jに設けられる。中空部62jは、第1キャップ部材62aの内部水路62nと連通する。第1キャップ部材62aは、改質部62eの上端面を覆うキャップ状の部材である。第1キャップ部材62aの頂部62mは、従動部材56dの下端部56hと当接し、頂部62mに伝達された力をカートリッジ62に伝達する。図6に示すように、第1キャップ部材62aの外周面に弁体部58cが形成される。弁体部58cには、環状のシール部材58eが嵌められる周状凹部58dが形成される。シール部材58eは、公知のOリング等であってもよい。第2キャップ部材62bは、改質部62eの下端面を覆うキャップ状の部材である。
【0029】
(操作ユニット)
図7図18を参照して、操作ユニット70を説明する。図7は、本実施形態の操作ユニット70を示す斜視図である。図8は、操作ユニット70を示す分解斜視図である。図9(a)は、操作ユニット70のボタン部材80が方向P1側に寄った状態を示す側面断面図である。図9(b)は、操作ユニット70のボタン部材80が方向P2側に寄った状態を示す側面断面図である。水路形成機構54は、給水路の弁機構58を操作可能な操作ユニット70を有する。
【0030】
図9(a)、図9(b)に示すように、操作ユニット70は、カバー部材76と、ボタン部材80と、ガイド部材90と、を含む。カバー部材76は、第1方向として例示される方向Pに貫通する開口部76bを有する。ボタン部材80は、操作に応じて開口部76bを方向Pに移動する部分80bを有する。ガイド部材90は、ボタン部材80の移動を案内する。カバー部材76とガイド部材90とは、その間にボタン部材80を挟んで互いに連結される。図9(a)に示すように、操作ユニット70には、ガイド部材90のカバー部材76とは反対側に当接部96が設けられる。当接部96は、ガイド部材90と第1方向に当接するように配置されている。当接部96を有することにより、ガイド部材90に後方側への大きな力が加わった際に、当接部96がガイド部材90を支えることができる。
【0031】
なお、以下の説明では、方向Pにおいてボタン部材80が押圧される方向を方向P1といい、方向P1と反対の方向を方向P2ということがある。また、ボタン部材80の第2突起部84hの中心に沿って延伸する直線を直線Mと表記する。この例では、直線Mは、方向Pに平行に延びている。直線Mを中心とする円の円周方向、半径方向をそれぞれ「周方向」、「径方向」とする。
【0032】
(カバー部材)
カバー部材76は、水路形成機構54の少なくとも一部を覆い、この部分の最外表面を構成する。図7図8に示すように、本実施形態のカバー部材76は、水路形成機構54の正面側の一部を覆う第1カバー部76mと、水路形成機構54の両側面の一部を覆う第2カバー部76nとを含む。第1カバー部76mは、水路形成機構54の正面から両側面に向かって方向P1に湾曲した略半円筒形状を有する。第2カバー部76nは、第1カバー部76mの両端部から方向P1に延びる板形状を有する。鉛直方向寸法において、第2カバー部76nの寸法は、第1カバー部76mの寸法の略半分である。カバー部材76は、正面視で縦長の矩形形状を呈し、側面視で逆向きのL字形状を呈する。
【0033】
図10は、カバー部材76の一部を示す斜視図である。この図は、カバー部材76を背面から視た図である。開口部76bは、第1カバー部76mの鉛直方向および左右方向の略中央に形成される。図7に示すように、開口部76bは、背面から視て四隅にR形状を有する略矩形の貫通孔である。開口部76bには、角筒状の第1筒状部76cが設けられる。第1筒状部76cは、ガイド部材90の外周を取り囲む中空の筒状をなす。ボタン部材80は、第1筒状部76cの内側を方向Pに移動することができる。
【0034】
第1筒状部76cには、ガイド部材90の第2係止部90p(後述する)と係合可能な第1係止部76eが設けられる。本実施形態では、図10に示すように、左右に離隔された2つの第1係止部76eが設けられている。2つの第1係止部76eは、開口部76bを挟んで対称に配置される。第1係止部76eは、第1筒状部76cから方向P1に延伸する棒状の部分であり、その延伸端に内向きのフックが設けられる。
【0035】
図10に示すように、カバー部材76には、ボタン部材80を環囲する位置に第1係合部78が設けられる。図11は、操作ユニット70の一部を示す斜視図である。この図は操作ユニット70の背面から視た図である。第1係合部78は、ガイド部材90の第2係合部92と協働して、ガイド部材90の回転を規制するためのものである。第1係合部78と第2係合部92とは、一方が凸形状を有し、他方が当該凸形状と噛合う凹形状を有する。本実施形態では、図11に示すように、第1係合部78は凸形状を有し、第2係合部92は凹形状を有する。
【0036】
図10に示すように、本実施形態では、上下に離隔された2つの第1係合部78が設けられている。第1係合部78は、第1筒状部76cから上下に突出した角張った凸形状をなす。各第1係合部78は、平坦部78fと、平坦部78fを挟んで左右に配置された2つの段部78sと、を有する。平坦部78fは左右方向および方向Pに延在する平坦な面を含む。段部78sは、平坦部78fの左右両端部から方向Qに延びる面を含む。第1係合部78は、方向Pから視て開口部76bを挟んで対称に配置される。2つの段部78sは、方向Pから視て左右に対称に配置される。なお、第1係合部78や段部78sが対称に配置されることは必須ではなく、非対称に配置されてもよい。
【0037】
(ボタン部材)
次に、ボタン部材80を説明する。図12は、ボタン部材80を示す斜視図である。ボタン部材80は、ユーザによる押圧操作を受けるものである。ボタン部材80は、押圧操作に応じて、開口部76bの内部を方向Pに前進および後退する。図6図9(a)に示すように、ボタン部材80が方向P1に移動すると、駆動軸部60jが方向P1に移動する。この結果、上述した機序により弁機構58が作動する。
【0038】
ボタン部材80は1ピースの部材であってもよいが、本実施形態のボタン部材80は、別々に形成された第1部材82、第2部材84を含む。図13は、ボタン部材80の第1部材82を示す斜視図である。図14は、ボタン部材80の第2部材84を示す斜視図である。
【0039】
(第1部材)
第1部材82は、ユーザの操作を直接受けるボタン部材80の最外表面を構成する。本実施形態の第1部材82は、本体部82bと、延出部82cと、軸形延出部82hと、を含む。本体部82bは、上下方向および左右方向に延在する正面視で四隅にR形状を有する略矩形の板状部材である。延出部82cは、本体部82bから方向P1に延出する棒状の部分で、第2部材84の貫通孔を貫通し、所定の掛止部に掛止される。
【0040】
図9(b)、図13に示すように、本体部82bの第2部材84に対向する面には、第2部材84の凸部84sに嵌合するための凹部82sが形成されている。凹部82sが第2部材84の凸部84sと嵌合することにより、第2部材84に対する第1部材82の回転を抑制することができる。本実施形態では、図13に示すように、上下に離隔された2つの凹部82sが、本体部82bの周縁近傍に配置されている。
【0041】
延出部82cは、左右に離隔された2つの第1延出部82dと、上下に離隔された2つの第2延出部82eと、を含む。第1延出部82dの延出端には内向きのフックが設けられ、第2延出部82eの延出端には外向きのフックが設けられている。軸形延出部82hは、本体部82bの上下方向および左右方向の中央に設けられた円柱状の延出部である。軸形延出部82hの中心には方向Pに沿った軸孔82jが形成されている。軸孔82jの方向P2側の端部は塞がれている。この例では、軸形延出部82hおよび軸孔82jは、直線Mを中心軸線とする円筒形状を有する。
【0042】
(第2部材)
第2部材84は、第1部材82を支持するベースとして機能する。第2部材84は、第1部材82の方向P1側に固定される。第2部材84は、第1筒状部76cの内部を移動可能に設けられる。第2部材84の外観色は、第1部材82および第1カバー部76mの外観色と異なっていてもよい。ユーザは、第2部材84の可視量によってボタン部材80が押されたか否かを容易に判断できる。
【0043】
図14に示すように、本実施形態の第2部材84は、基部84bと、第2筒状部84aと、複数の突起部84cと、複数の貫通孔84fと、を含む。基部84bは、上下方向および左右方向に延在する正面視で四隅にR形状を有する略矩形の板状をなす。第2筒状部84aは、基部84bの外周を取り囲む中空の筒状をなす。
【0044】
複数の貫通孔84fは、第1部材82の延出部82cが貫通するための孔である。本実施形態では、第1延出部82dに対応して左右に離隔された2つの貫通孔84mと、第2延出部82eに対応して上下に離隔された2つの貫通孔84nと、を含む。複数の貫通孔84fは、正面視で略矩形を呈する。
【0045】
複数の突起部84cは、基部84bまたは第2筒状部84aから方向P1に沿って突出する。複数の突起部84cは、第2筒状部84aから突出する第1突起部84dと、基部84bから突出する第2突起部84hと、を含む。突起部84d、84hは、ボタン部材80を方向Pに移動させるとき、ガイド部材90の通孔90d、90e(後述する)にガイドされる被ガイド突起部である。特に、第2突起部84hは、図9(a)に示すように、ボタン部材80の操作を弁機構58に伝達するための突起であり、駆動軸部60jに当接している。ボタン部材80が押圧されたとき、第2突起部84hは、駆動軸部60jを方向P1に移動させ、上述した機序により弁機構58を開く。
【0046】
本実施形態では、4つの第1突起部84dがボタン部材80の周縁の近傍に設けられる。4つの第1突起部84dは、第2筒状部84aの四隅に配置されており、方向Pから視て第2筒状部84aのR形状に対応する湾曲形状を有する。なお、第2筒状部84aのR形状は、ガイド部材90の基台部90b(後述する)の四隅の外形R形状に沿っている。したがって、4つの第1突起部84dは、ガイド部材90の基台部90bの四隅の外形形状に沿った形状を有している。
【0047】
第1突起部84dは、第2突起部84hの径方向外側に設けられる。換言すると、第2突起部84hは、第1突起部84dよりボタン部材80の中心に寄った位置に配置される。ボタン部材80の中心は、ボタン部材80の上下方向および左右方向の中央をいう。この例では、第2突起部84hは、基部84bの上下方向および左右方向の中央に設けられた中空円筒形状を有する。第2突起部84hの中心には方向Pに沿ったボタン軸孔84jが形成されている。ボタン軸孔84jは、方向Pに貫通する円形の孔である。ボタン軸孔84jには、第1部材82の軸形延出部82hが収容される。この例では、第2突起部84hおよびボタン軸孔84jは、直線Mを中心軸線とする円筒形状を有する。
【0048】
4つの第1突起部84dは、第2突起部84hを挟んで対称に配置される。なお、第1突起部84dが対称に配置されることは必須ではない。
【0049】
複数の突起部84cは、第2筒状部84aから突出する第3突起部84kをさらに含む。第3突起部84kは、ボタン部材80のガイド部材90からの脱落を防ぐ抜け止めをなす。本実施形態の第3突起部84kは、その延伸端に外向きのフック84pが設けられる。図9(b)に示すように、ボタン部材80がガイド部材90に装着された状態では、ボタン部材80が方向P2へ移動すると、フック84pがガイド部材90の第3筒状部90a(後述する)の縁に引っ掛かり、可動範囲を制限する。つまり、フック84pは、第3筒状部90aと協働してボタン部材80の可動範囲を規定するストッパ構造として捉えることができる。本実施形態では、第2突起部84hを挟んで対称に配置され、上下に離隔された2つの第3突起部84kが設けられる。
【0050】
複数の突起部84cは、基部84bから突出する第4突起部84g、第5突起部84eをさらに含む。本実施形態では、上下に離隔された2つの第4突起部84gと、左右に離隔された2つの第5突起部84eと、が設けられる。第4突起部84gは、上下に離隔された貫通孔84nの外側の縁に配置される。第5突起部84eは、左右に離隔された貫通孔84mの内側の縁に配置される。第4突起部84gには、内向きの段部が設けられ、当該段部には、第1部材82の第2延出部82eのフックが掛止される。第5突起部84eの延出端には、第1部材82の第1延出部82dのフックが掛止される。
【0051】
図12に示すように、第2延出部82eが第4突起部84gに掛止され、第5突起部84eに第1延出部82dが掛止されることによって、第1部材82と第2部材84とは互いに連結される。
【0052】
次に、ガイド部材90を説明する。ガイド部材90は、ボタン部材80の方向Pへの移動を案内することができる。図15は、ガイド部材90を示す斜視図である。この図は、ガイド部材90を背面から視た図である。図16は、ガイド部材90を示す別の斜視図である。この図は、ガイド部材90を正面から視た図である。図17は、ガイド部材90にボタン部材80を装着したボタンアッセンブリ86を示す斜視図である。この図では、符号Bで示す破線枠に、第1突起部84dが第1通孔90dから突出した状態を示している。
【0053】
図15図16に示すように、本実施形態のガイド部材90は、第3筒状部90aと、基台部90bと、張出部90cと、通孔90fと、第4筒状部90sと、第2係止部90pと、を含む。基台部90bは、上下左右に延在する正面視で四隅にR形状を有する略矩形の板状をなす。第3筒状部90aは、基台部90bの外周を取り囲む中空の筒状をなす。第3筒状部90aは、ボタン部材80の第2筒状部84aを環囲する。ボタン部材80は、第3筒状部90aの内部を方向Pに移動することができる。第3筒状部90aは、その一部がカバー部材76の第1筒状部76cに収容される。
【0054】
張出部90cは、第3筒状部90aから上下に張出す板状をなす。張出部90cは、基台部90bと一体的に形成されており、基台部90bの延長部分と捉えることができる。図15に示すように、張出部90cおよび基台部90bは、背面視で縦長の矩形状をなす。上下の張出部90cは、第3筒状部90aを挟んで上下に対称な形状を有する。本実施形態の張出部90cの四隅には、4つの凸状部90gが設けられる。凸状部90gは張出部90cから方向P2に突出する突起である。
【0055】
図11も参照する。左右に離隔された2つの凸状部90gがカバー部材76の第1係合部78を挟むことにより、カバー部材76とガイド部材90とは、互いに係合して左右への相対移動が制限される。つまり、ガイド部材90の凸状部90gは、カバー部材76の第1係合部78と係合する第2係合部92を構成する。これらが係合するとき、凸状部90gは段部78sに接触または狭い隙間を介して隣接する。第1係合部78と第2係合部92とは、互いに係合されることにより、カバー部材76に対するガイド部材90の回転を規制できる。
【0056】
通孔90fは、方向Pから視て第2係止部90pを避けた位置に設けられた貫通孔である。図15図16に示すように、複数の通孔90fが、基台部90bに設けられる。通孔90fは、方向Pに貫通している。本実施形態の基台部90bには、基台部90bの4隅に設けられた4つの第1通孔90dと、基台部90bの中央に設けられた第2通孔90jと、左右に離隔された2つの第3通孔90mと、上下に離隔された2つの第4通孔90nと、が設けられる。第1通孔90d、第2通孔90jは、それぞれボタン部材80の第1突起部84d、第2突起部84hとを収容するとともに、当該各突起部の移動を案内可能なガイド孔として機能する。
【0057】
第4通孔90nは、第5突起部84eの方向Pへの移動を可能とするための開口である。第3通孔90mは、第4突起部84gおよび第3突起部84kの方向Pへの移動を可能とするための開口である。
【0058】
第4筒状部90sは、基台部90bの中央に設けられた第2通孔90jを取り囲む中空の筒状をなす。第4筒状部90sは、ボタン部材80の第2突起部84hを収容する。第2突起部84hは、第4筒状部90sの内部を方向Pに移動することができる。
【0059】
図16に示すように、本実施形態の基台部90bには、上下に離隔された2つの第1補強部90kと、4つの第2補強部90qと、が設けられる。第1補強部90kは、第4通孔90nを左右に跨ぐように設けられており、基台部90bの第4通孔90nの周辺を補強するリブとして機能する。第4通孔90nは、第1補強部90kにより上下に分割されている。4つの第2補強部90qは、第4筒状部90sの周方向に所定の間隔(例えば、90°間隔)で配置され、第4筒状部90sを補強するリブとして機能する。
【0060】
ガイド部材90には、カバー部材76に係合する第2係止部90pが設けられる。図11図15に示すように、第2係止部90pは、カバー部材76の第1係止部76eと係合可能である。本実施形態のガイド部材90には、左右に離隔された2つの第2係止部90pが設けられている。2つの第2係止部90pは、方向Pに視てカバー部材76の開口部76bを挟んで対称に配置される。
【0061】
図15に示すように、第2係止部90pは、第3筒状部90aから方向P1に延びる棒状をなす。図11に示すように、第2係止部90pの延伸端に、第1係止部76eの内向きのフックが引っ掛かることにより互いに係止される。第1係止部76eに第2係止部90pが係止されることによって、ボタンアッセンブリ86は、カバー部材76に装着される。
【0062】
ガイド部材90は、カバー部材76より摺動性の高い材料で形成されてもよい。本実施形態では、カバー部材76はABS樹脂で形成されており、ガイド部材90はPOM(Polyoxymethylene, Polyacetal)で形成されている。ガイド部材90は、ボタン部材80より摺動性の高い材料で形成されてもよい。
【0063】
図9(a)、図9(b)、図17図18を参照して、ガイド部材90の通孔と、ボタン部材80の突起部の関係についてさらに説明する。図18(a)は、本実施形態のガイド部材90とボタン部材80を模式的に示す模式図である。図18(b)は、比較例のガイド部材90とボタン部材80を模式的に示す模式図である。これらの図では、方向P2側に移動したボタン部材80を実線で示し、方向P1側に移動したボタン部材80を破線で示す。
【0064】
先に、比較例を説明する。この比較例は、本発明を形成する過程で、本発明者によって創案されたものである。比較例のボタン部材80は、第1突起部84dを備えず、ボタン部材80の移動は、中央の第2突起部84hのみによってガイドされる。この場合、小型化等のためボタン部材80の操作ストロークを単に短くすると、突起部の支持スパンが短くなって、ボタン部材80のガタによる傾斜Sが大きくなり許容範囲を超えることが判明した。このため、中央の第2突起部84hを延ばしてその支持スパンを長くすることも考えられるが、中央で突起部を長く延ばすと小型化が困難になる。
【0065】
比較例を踏まえ、本発明者らは、周縁部であれば突起部を長く延ばしても大型化を抑制可能であり、この構成により、ボタン部材80のガタを減らすことが可能であることを見出した。そこで、本実施形態では、ガイド部材90には、第1通孔90d、第2通孔90jが設けられ、ボタン部材80には、その周縁近傍に配置された第1突起部84dと、第1突起部84dよりボタン部材80の中心寄りの位置に配置された第2突起部84hと、が設けられる。第1突起部84dは、第1通孔90dにガイドされ、第2突起部84hは、第2通孔90jにガイドされる。この構成では、ボタン部材80は、周縁近傍でもガイドされるから操作ストロークが短い場合でも、傾斜Sを抑制できる。
【0066】
また、本実施形態では、図17において、突出状態と表示した符号Bで示す破線枠に示すように、ボタン部材80が方向P1に移動するとき、第1突起部84dは、第1通孔90dから突出する。また、図9(a)に示すように、ボタン部材80が方向P1に移動するとき、第2突起部84hは、第2通孔90d、90jから突出する。突起部が突出しない場合と比較して、支持スパンが大きくなり傾斜Sがさらに抑制される。なお、水路形成機構54における第1、第2突起部84d、84hに対向する領域には、これらの突起部の突出端を避けるための凹部54dが設けられてもよい。
【0067】
ボタン部材80の操作ストロークが大きいことによる、壁部16からの出寸法を抑制する観点から、操作ストロークは7mm以下が好ましく、5mm以下は一層好ましい。上述したように、ボタン部材80の操作ストロークが小さすぎると、傾斜Sが大きくなるおそれがある。操作ストロークが2mm以上であれば、実用範囲内の傾斜Sを実現できることが確認されている。この観点から、操作ストロークは3mm以上がより好ましく、3.5mm以上は一層好ましい。
【0068】
次に、水路形成機構54の製造工程を説明する。水路形成機構54の製造工程は、操作ユニット70を製造する工程を含む。
(1)操作ユニット70の製造工程では、まず、第1部材82および第2部材84を連結してボタン部材80を製造する(図12を参照)。この工程では、第2部材84の各貫通孔84fに第1部材82の各延出部82cを貫通させた状態で、第2延出部82eのフックを第4突起部84gの段部に掛止する。なお、ボタン部材80が一体部材であるときは、この連結工程は用いなくてもよい。
【0069】
(2)次に、ガイド部材90にボタン部材80を装着してボタンアッセンブリ86を製造する(図17を参照)。この工程では、ガイド部材90の各通孔90fにボタン部材80の各突起部を貫通させる。この状態では、図9(b)に示すように、ボタン部材80(第2部材84)の第3突起部84kのフック84pがガイド部材90の第3筒状部90aの縁に係合するので、ボタン部材80の脱落が抑制され、ボタン部材80の可動範囲が制限される。
【0070】
(3)次に、ボタン部材80が装着されたガイド部材90(ボタンアッセンブリ86)をカバー部材76に係止する。この工程では、図11に示すように、カバー部材76の第1係合部78にガイド部材90の第2係合部92を係合させ、カバー部材76にボタンアッセンブリ86を嵌め込む。この状態で、ガイド部材90の第2係止部90pに、カバー部材76の第1係止部76eを係止させることにより、これらは連結され操作ユニット70が完成する。
【0071】
(4)次に、操作ユニット70が未装着状態の水路形成機構54に操作ユニット70を装着することにより、水路形成機構54が製造される。
【0072】
本発明の一の態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様の水路形成機構54は、給水路の弁機構58を操作可能な操作ユニット70を有する水路形成機構であって、操作ユニット70は、操作に応じて第1方向に移動するボタン部材80と、ボタン部材80の移動を案内するガイド部材90と、を含み、ボタン部材80には、第1方向に延び、互いに離れて配置される複数の突起部84cが設けられ、ガイド部材90には、複数の突起部84cをそれぞれ収容する複数の貫通孔(通孔90f)が設けられる。
【0073】
この態様によれば、複数の突起部84cがそれぞれ複数の通孔90fによってガイドされるので、ガイド部材90に対するボタン部材80のガタを減らし、ボタン部材80の傾斜を抑制できる。この結果、ボタン部材80の操作ストロークを短縮することが可能になる。
【0074】
上述の水路形成機構54は、水栓装置18から分離しているとともに浴室壁部16に固定される浴室用の機能部品36と一体化され、弁機構58の状態に応じて、水栓装置18からの原水と、原水から改質した改質水と、を切替えて吐水装置20に至る通水路32に供給可能に構成されてもよい。この場合、水路形成機構54が機能部品36と一体化されるので、機能部品36を使用する際には、その近傍で水路形成機構54を操作でき、入浴者の利便性を向上できる。
【0075】
複数の突起部84cは、ボタン部材80に設けられた第1、第2突起部84d、84hを含み、第2突起部84hは、ボタン部材80の操作を弁機構58に伝達するための突起であり、第1突起部84dは、第2突起部84hの径方向外側に設けられてもよい。この場合、中心寄りの第2突起部84hと外側寄りの第1突起部84dとがそれぞれガイドされるので、ボタン部材80の傾斜を一層抑制できる。
【0076】
ボタン部材80は、第1突起部84dを複数備えもよい。この場合、周縁近傍において、複数の第1突起部84dとがそれぞれガイドされるので、ボタン部材80の傾斜を一層抑制できる。
【0077】
ボタン部材80は、第2突起部84hを挟んで対称に配置される複数の第1突起部84dを備えていてもよい。この場合、ボタン部材80の中央近傍を挟んで対称に配置される複数の第1突起部84dがそれぞれガイドされるので、1突起部84dの間隔を広くしてボタン部材80の傾斜を一層抑制できる。
【0078】
ガイド部材90は第1方向から視て略矩形形状を有し、ボタン部材80は、ガイド部材90の四隅にそれぞれ配置される4つの第1突起部84dを備えていてもよい。この場合、ボタン部材80の四隅に配置される4つの第1突起部84dがそれぞれガイドされるので、ボタン部材80の傾斜を一層抑制できる。
【0079】
第1突起部84dは、ガイド部材90の外形に沿った形状を有してもよい。この場合、第1突起部84dを周縁に接近させて配置できるので、第1突起部84dの間隔を広くしてボタン部材80の傾斜を一層抑制できる。
【0080】
ガイド部材90は、ボタン部材80を環囲する第3筒状部90aを有し、複数の突起部84cは、第2突起部84hを挟んで対称に配置される複数の第3突起部84kを含み、複数の第3突起部84kの延伸端には、第3筒状部90aの縁と協働してボタン部材80の可動範囲を規定するストッパ構造(84p)が設けられてもよい。この場合、簡単な構造により、ボタン部材80の可動範囲を規定することができる。
【0081】
ボタン部材80は、ボタン部材80を第1方向に移動させたとき、突起部84cは、貫通孔(通孔90f)から第1方向に突出してもよい。この場合、突起部が突出しない場合と比較して、突起部84cを長くできるので、突起部84cの支持スパンが大きくなり、ボタン部材80の傾斜を一層抑制できる。
【0082】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0083】
[変形例]
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0084】
実施の形態の説明では、弁機構58が、流路を開閉する開閉弁である例を示したが、これに限定されない。例えば、弁機構は、複数の流路を切り換え可能な切替弁であってもよい。
【0085】
実施の形態の説明では、水路形成機構54が水栓装置18とは別体のものである例を示したが、これに限定されない。例えば、水路形成機構は、水栓装置に含まれるものであってもよい。この場合、操作ユニット70は水栓装置の弁機構を操作するものであってもよい。
【0086】
実施の形態の説明では、カバー部材76が水路形成機構54の3面をカバーする例を示したが、これに限定されない。例えば、カバー部材は、水路形成機構の1面、2面または4面をカバーするものであってもよいし、ケーシング、ハウジングや筐体と称されるものであってもよい。
【0087】
実施の形態の説明では、変換機構56bが、傾斜面部を用いるカム機構である例を示したが、これに限定されない。変換機構は、公知の原理に基づく運動方向変換機構であってもよい。また、変換機構56bが設けられることは必須ではなく、操作力によって弁機構を直接開閉するようにしてもよい。
【0088】
実施の形態の説明では、機能部品36の「機能」は、シャワーヘッドなどの浴室用物品や入浴者の荷重を受ける例を示したが、これに限定されない。この「機能」は、浴室に関連する別の機能であってもよい。
【0089】
実施の形態の説明では、長尺部42が鉛直方向に延びる例を示したが、これに限定されない。長尺部42は、例えば水平方向など、鉛直方向とは別の方向に延伸してもよい。
【0090】
実施の形態の説明では、カートリッジ62が原水を浄化する例を示したが、これに限定されない。例えば、カートリッジ62は、美容成分、臭い成分、炭酸成分、水素成分等の追加成分を原水に添加するものであってもよい。
【0091】
実施の形態の説明では、改質部62eは、外周面から中空部62jに原水を通す例を示したが、これに限定されない。改質部62eは、中空部から外周面に原水を通すようにしてもよい。
【0092】
実施の形態の説明では、弁体部58cが、カートリッジ62と一体的に設けられる例を示したが、これに限定されない。弁体部は、カートリッジと別体に設けられてもよい。
【0093】
実施の形態の説明では、付勢部材Spが、カートリッジ62に反発力を加えるコイルスプリングである例を示したが、これに限定されない。付勢部材Spは、コイルスプリングとは別の種類の付勢手段を含んでもよいし、カートリッジ62に引張力を加えるものであってもよい。付勢部材Spはカートリッジ62に設けられてもよい。
【0094】
上述の変形例は、実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0095】
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0096】
16・・浴室壁部、 18・・水栓装置、 20・・吐水装置、 28・・給水路、 54・・水路形成機構、 56・・切替機構、 58・・弁機構、 60・・操作部材、 70・・操作ユニット、 76・・カバー部材、 76b・・開口部、 76e・・第1係止部、 78・・第1係合部、 78s・・段部、 80・・ボタン部材、 82・・第1部材、 84・・第2部材、 84c・・突起部、 84d・・第1突起部、 84h・・第2突起部、 84k・・第3突起部、 84f・・貫通孔、 90・・ガイド部材、 90a・・第3筒状部、 90d・・第1通孔、 90j・・第2通孔、 90p・・第2係止部、 92・・第2係合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18