(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】熱収縮性筒状ラベルおよびラベル付き容器
(51)【国際特許分類】
G09F 3/04 20060101AFI20220929BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20220929BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20220929BHJP
B65D 23/08 20060101ALI20220929BHJP
B65D 81/30 20060101ALI20220929BHJP
B65D 65/16 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G09F3/04 C
G09F3/00 Q
G09F3/02 F
B65D23/08 B
B65D81/30 B
B65D65/16
(21)【出願番号】P 2018170300
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101823
【氏名又は名称】大前 要
(74)【代理人】
【識別番号】100181412
【氏名又は名称】安藤 康浩
(72)【発明者】
【氏名】田頭 秀識
(72)【発明者】
【氏名】宮本 寛之
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-197199(JP,A)
【文献】特開2006-208473(JP,A)
【文献】特開2017-114041(JP,A)
【文献】特開2005-029245(JP,A)
【文献】特開平11-241040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/04
G09F 3/00
G09F 3/02
B65D 23/08
B65D 81/30
B65D 65/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、
基材フィルムの表面及び/又は裏面に形成された下地層と、を備える熱収縮性筒状ラベルにおいて、
前記下地層は、銀色層と、前記銀色層よりも表面側の白色層と、を備え
るとともに他の色の層を含まず、
前記銀色層は、40~70質量%のアルミニウム粒子を有し、
前記白色層は、70~95質量%の酸化チタン粒子を有
し、
前記白色層は、前記銀色層全面上に形成されている、
ことを特徴とする熱収縮性筒状ラベル。
【請求項2】
基材フィルムと、
基材フィルムの表面及び/又は裏面に形成された下地層と、を備える熱収縮性筒状ラベルにおいて、
前記下地層は、銀色層と、前記銀色層よりも表面側の白色層と、
前記銀色層よりも容器に接する面側に設けられた灰色層と、を備え
るとともに他の色の層を含まず、
前記銀色層は、40~70質量%のアルミニウム粒子を有し、
前記白色層は、70~95質量%の酸化チタン粒子を有
し、
前記灰色層は、3~20質量%の炭素粒子と、40~65質量%の酸化チタン粒子を有し、
前記白色層は、前記銀色層全面上に形成されている、
ことを特徴とする熱収縮性筒状ラベル。
【請求項3】
前記熱収縮性筒状ラベルの明度が90%以上であり、280~800nmの波長の遮光率が95%以上である、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項4】
前記白色層は、2回の印刷により形成された層である、
ことを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載の熱収縮性筒状ラベルが装着されたラベル付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に熱収縮性筒状ラベルに関するものであり、より特定的には、遮光機能を有する熱収縮性筒状ラベル、及びそのようなラベルが装着されたラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PETボトル飲料の普及に伴い、各飲料メーカからは様々な商品が販売されている。これらPETボトル飲料は、他社との違いを明確にするため、また消費者層に対するイメージをよくするため、などの目的でデザイン性を重視したラベルが装飾されている。
【0003】
ところで、内容物によっては、光によって劣化が早まるものがある。このため、ペットボトルを覆うラベルに遮光機能を持たせる技術が提案されている(たとえば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-314559号公報
【文献】特開2005-350097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、デザイン性の高い印刷を行うためには、デザイン層の下地となる下地層の白さが重要になる。この要望は、白地を多く(たとえば50%以上)残したデザインにおいて、特に求められる。しかしながら、遮光性能と白さとの両立が困難であるという問題があった。
【0006】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、白さと遮光性とを兼ね備えた熱収縮性筒状ラベルを提供することを目的とする。
【0007】
この発明の他の目的は、そのような熱収縮性筒状ラベルが装着された容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明にかかる熱収縮性筒状ラベルは、基材フィルムと、基材フィルムの表面及び/又は裏面に形成された下地層と、を備える。下地層は、銀色層と、銀色層よりも表面側の白色層とを備えており、他の色の層は含まない。銀色層は、40~70質量%のアルミニウム粒子を有し、白色層は、70~95質量%の酸化チタン粒子を有する。白色層は、銀色層全面上に形成されている。
【0009】
上記本発明では、下地層は、銀色層と、表面側(容器と反対側)の白色層と、を備えている。白色層や銀色層は、光を反射によって遮光するが、白色の酸化チタン粒子の反射と、銀色のアルミニウム粒子の反射とは、その作用が異なる。このように、異なる作用の反射を行う下地層を組み合わせることにより、高い遮光率を実現できる。
【0010】
また、銀色層は、容器内部側の色を透過させることを防止する(表面側の白色層に影響を及ぼさない)ように作用する。さらに、白色層は白色成分である酸化チタンを70質量%以上有し、白色度(明度)を高くしやすい。これらによって、高い明度をも実現することができる。
【0011】
第2の本発明にかかる熱収縮性筒状ラベルは、基材フィルムと、基材フィルムの表面及び/又は裏面に形成された下地層と、を備える。下地層は、銀色層と、銀色層よりも表面側の白色層と、銀色層よりも容器に接する面側に設けられた灰色層を備えており、他の色の層は含まない。銀色層は、40~70質量%のアルミニウム粒子を有し、白色層は、70~95質量%の酸化チタン粒子を有する。灰色層は、3~20質量%の炭素粒子と、40~65質量%の酸化チタン粒子を有する。白色層は、銀色層全面上に形成されている。灰色層は黒色の炭素粒子を含み、この炭素粒子は白色層や銀色層を通過した光を吸収して遮光するため、さらに高い遮光性を示す。なお、灰色層は、炭素粒子の量が3~20質量%、酸化チタン粒子の量が40~65質量%に規制され、炭素粒子の黒色の影響が表面側の白色層にまで及ぶことはない。
【0012】
下地層は、白色層及び銀色層のみからなる構成や、白色層、銀色層及び灰色層のみからなる構成とし、他の色層(たとえば黒色層)を含まない構成とする。この場合、白色層と銀色層は、直接、又は基材フィルムを介して隣接する。また、灰色層を有する場合、灰色層と銀色層は、直接、又は基材フィルムを介して隣接する。また、白色層と銀色層との間に、上記要件を満たさない白色層や銀色層が介在していてもよく、灰色層と銀色層との間に、白色層や上記要件を満たさない灰色層や銀色層が介在していてもよい。さらに、容器と接する側の面にさらなる白色層や銀色層が積層されていてもよい。なお、黒色粒子のみを顔料成分として含んだ黒色層は備えない構成である。
【0013】
ここで、灰色層、銀色層、白色層の厚みはそれぞれ、1~3μmであることが好ましく、1.5~2.5μmであることがより好ましく、1.8~2.3μmであることがさらに好ましい。また、白色層はより高い明度を実現するため、2層以上有していてもよい(白色層の合計厚みは、2層の場合上記の2倍となる)。灰色層、銀色層は、1層であることが好ましい。
【0014】
また、灰色層中の炭素粒子の量は、高い遮光性能と高い明度とを実現するため、上記の如く規制し、より好ましくは3~10質量%とし、さらに好ましくは3~8質量%とする。また、灰色層中の酸化チタン粒子の量は、遮光性能と高い明度、コストなどの兼ね合いから、上記の如く規制し、より好ましくは40~60質量%とし、さらに好ましくは40~55質量%とする。
【0015】
また、銀色層中のアルミニウム粒子の量は、高い遮光性能と高い明度とを実現するため、上記の如く規制し、より好ましくは40~60質量%とする。
【0016】
また、白色層中の酸化チタン粒子の量は、高い明度とコストとの観点から、上記のごとく規制し、より好ましくは70~90質量%とし、さらに好ましくは70~85質量%とする。
【0017】
また、灰色層中の炭素粒子は、灰色層と容器との摩擦を低減させる効果も奏する。
【0018】
また、上記の黒色粒子、白色粒子の平均粒子径は、0.01~1μmであることが好ましく、0.05~0.8μmであることがより好ましく、0.05~0.5μmであることがさらに好ましい。また、上記の銀色粒子の平均粒子径は、1~150μmであることが好ましく、1~75μmであることがより好ましく、1~35μmであることがさらに好ましい。
【0019】
また、灰色層、銀色層、白色層ともに、粒子を密着させるバインダ樹脂を含んでいる構成であることが好ましく、硬化剤を用いて硬化するバインダ樹脂を含んでいる構成であることがより好ましい。
【0020】
バインダ樹脂としては、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができ、中でもウレタン樹脂を用いることがより好ましい。
【0021】
硬化剤としては、イソシアネート系化合物、アジリジン系化合物、オキサゾリン系化合物等を用いることができ、中でもイソシアネート系化合物を用いることがより好ましい。下地層を製造するためのインキに含ませる硬化剤の質量は、1~10質量%であることが好ましく、2~8質量%であることがより好ましく、3~5質量%であることがさらに好ましい。
【0022】
下地層は、色成分である上記粒子と、バインダ樹脂と、硬化剤と、からなり、他の成分を含まない構成とすることができる。また、これら以外の各種添加剤や、上記粒子以外の顔料成分をさらに含んだ構成としてもよい。
【0023】
下地層上には、通常、パッケージデザイン等が印刷された層(デザイン層)が設けられるが、デザイン層は下地層の全面に形成される必要はなく、下地層の一部が視認できるものであってもよい。また下地層は、筒状ラベルを一周分覆うように形成されていることが好ましい。
【0024】
デザイン層及び下地層は以下のような構成とすることができる。
基材フィルムの裏面側(容器側)に各層を設ける場合、基材フィルム側から、デザイン層/白色層/銀色層、デザイン層/白色層/銀色層/白色層、あるいはデザイン層/白色層/銀色層/灰色層の順に各層が設けられるのが好ましい。また、デザイン層側の白色層は、1層のみ設けてもよく、2層以上の複数層設けてもよい。
【0025】
また、熱収縮性筒状ラベルは、デザイン層が形成されていない領域(白色の領域)において、JIS K7105(反射法)に準拠して測定した明度が、黒色台紙上、白色台紙上ともに90%以上であることが好ましい。
【0026】
また、熱収縮性筒状ラベルは、280~800nmの波長の遮光率(光のカット率)が、95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。この遮光率は、デザイン層が形成されていない領域においても実現されているものであることが好ましい。
【0027】
基材フィルムは、熱収縮性を有し且つシール溶剤で接着できるものであればよく、特に限定されないが、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂あるいはこれらの積層物で形成されるのが好ましい。基材フィルムは、透明、半透明、不透明のいずれでもよいが、透明や半透明の基材フィルムに本発明を適用することにより、本発明の効果をより高めることができる。
【0028】
また、上記容器は、ポリオレフィン系の樹脂あるいはポリエステル系樹脂で形成されるのが好ましいが、特に限定されない。容器は、透明、半透明、不透明のいずれでもよいが、透明や半透明の容器に本発明を適用することにより、本発明の効果をより高めることができる。
【0029】
なお、熱収縮性筒状ラベルの上下端部近傍は、印刷層が形成されないで基材フィルムのみ、あるいはこれにオーバーコート層が設けられた構成や、下地層のみが印刷された構成とすることができる。このような上下の基材フィルム部や下地部は、熱収縮性筒状ラベルを連続的に生産する際に、切断のずれなどが生じた場合にもデザイン性を損なわないようにする緩衝スペースとして利用できる。しかし、基材フィルム部は遮光性が低いため、これを透明あるいは半透明な容器に装着する場合、容器の透明胴部と重ならないようにする。
【0030】
容器の透明胴部とは、容器の底部から口部までの領域であって、透明あるいは半透明である領域全てを意味する。本発明にかかる熱収縮性筒状ラベルは、透明胴部以外の部分(口部や底部の一部ないし全部)をも覆う構成であってもよいが、これらの領域(たとえば透明な底部や、白色の口部)を覆う部分は、遮光機能があってもよく、なくてもよい。
【0031】
また、基材フィルムには、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、滑剤、静電気防止剤、抗菌剤、安定剤等、各種公知の添加剤や異なる樹脂等を合目的的に添加してもよい。
【0032】
シール溶剤は、基材フィルムにポリエステル系フィルムを使用する場合、1,3ジオキソランまたはテトラヒドロフランが好ましい、またポリスチレン系フィルムを使用する場合は、テトラヒドロフランまたはメチルエチルケトンが好ましい。
【0033】
本発明のラベル付き容器は、例えば、お茶、コーヒー、紅茶、水、清涼飲料水、炭酸飲料、ジュース、乳酸菌飲料などの飲料;日本酒、ワイン等の酒類;液状の洗剤類;しょうゆ、みりん、めんつゆ、油などの調味料類;化粧水、乳液などの化粧品類などの容器として利用でき、特に光により内容物が劣化しやすく、デザイン性の高い印刷が求められる用途に適している。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、遮光機能と白色性に優れた熱収縮性筒状ラベルを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】(a)は実施の形態1に係る熱収縮性筒状ラベルの正面斜視図であり、(b)は当該熱収縮性筒状ラベルを装着した容器の正面斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る熱収縮性筒状ラベルの断面図である。
【
図3】実施の形態2に係る熱収縮性筒状ラベルの断面図である。
【
図4】熱収縮性筒状ラベルの層構成の変形例を説明する断面図である。
【
図5】(a)は実施の形態3に係る熱収縮性筒状ラベルの正面斜視図であり、(b)は当該熱収縮性筒状ラベルを装着した容器の正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、この発明の実施例を、図面を参照説明する。なお、各図中、同一部分には同一の参照番号を付し、その説明を繰り返さない。
【0037】
(実施の形態1)
図1(a)は本発明に係る熱収縮性筒状ラベルの正面斜視図であり、図(b)は当該熱収縮性筒状ラベルを装着した容器の正面斜視図であり、
図2は実施の形態1に係る当該熱収縮性筒状ラベルの断面図である。
図1に示すように実施の形態1に係る熱収縮性筒状ラベル1は、一方端部3aと他方端部3bを有する基材フィルム3を備える。熱収縮性筒状ラベル1は、基材フィルム3を筒状になるように曲げ、一方端部3aを他方端部3bの上に重ね合わせてシール溶剤により接着された接着部15を有している。
【0038】
図2に示すように、基材フィルム3の裏面には、銀色層4b、白色層4aからなる下地層4を有している。本実施の形態では、熱収縮性筒状ラベル1は、容器2に接する側から順に、銀色層4b、2層の白色層4a、デザイン層5、基材フィルム3、オーバーコート層6が積層されている。なお、オーバーコート層は、本発明の必須の構成ではない。
【0039】
白色層には、酸化チタン粒子を70~95質量%(固形分質量比)含む白色インキを用いることができる。銀色層には、アルミニウム粒子を40~70質量%(固形分質量比)含む銀色インキを用いることができる。なお、各インキには、これらに加えて、バインダ樹脂や硬化剤、添加剤、各層の色味を害さないその他の顔料などが含まれていてもよい。
【0040】
このような、反射作用の異なる2つの下地層4(銀色層4b、白色層4a)の協働によって、確実な遮光が確保されるとともに、表面側に位置する白色層の白さを高めるように作用して、白色度(明度)を高めることができる。
【0041】
熱収縮性筒状ラベル1は、
図1(b)に示すように、ペットボトルなどの容器2に装着し、熱収縮させて用いられる。熱収縮は、熱収縮性筒状ラベル1をペットボトル等の容器2の胴部に装着し、装着した容器をシュリンクトンネルに通して、収縮させることにより行われる。容器2への内容物の充填は、容器に熱収縮性筒状ラベル1を装着する前に行っても良いし、シュリンクトンネルを通して収縮させた後に行っても良い。
【0042】
(実施の形態2)
図3は実施の形態2に係る当該熱収縮性筒状ラベルの断面図である。
図3に示すように、実施の形態2に係る熱収縮性筒状ラベル1は、その下地層が銀色層4bよりも容器に接する側に、灰色層4cをさらに備えていること以外は、上記実施の形態1と同様である。
【0043】
灰色層には、酸化チタン粒子と、カーボンブラックなどの炭素粒子を3~20質量%(固形分質量比)と、を含む灰色インキを用いることができる。なお、灰色インキは、上記と同様に、バインダ樹脂や硬化剤、添加剤、色味を害さないその他の顔料などがさらに含まれていてもよい。
【0044】
灰色層4cを含むことにより、灰色層の炭素粒子が、他の下地層を透過した光を吸収して、さらに遮光率を高めることができる。なお、この灰色層に含まれる白色の酸化チタン粒子は、この層に含まれる炭素粒子の黒さが、白色度(明度)に影響を及ぼさないように作用する。
【0045】
(変形例)
灰色層4c、銀色層4b、白色層4a、基材フィルム3、及びデザイン層5の位置関係は上記に限定されない。たとえば、
図4(a)、(b)に示すように、デザイン層5や白色層4aの一部ないし全部を、基材フィルム3の表面側に設けてもよい。このような場合、デザイン層上には、デザイン層が傷付くことを防止するオーバーコート層が設けられていることが好ましい。また、容器との摩擦を低減させるインナーコート層が、容器と接する表面に設けられている構成であってもよい。また、灰色層を含まない構成についても、同様の積層構成とすることができる。
【0046】
(実施の形態3)
本実施の形態は、
図5(a)に示すように、熱収縮性筒状ラベルの上下に、下地層が設けられていない基材フィルムのみからなる透明な部分(上透明部8及び下透明部9)を有していること以外は、上記実施の形態1と同様である。
【0047】
このような上下の透明部は、熱収縮性筒状ラベルを連続的に生産する際に、切断のずれなどが生じた場合にもデザイン性を損なわないようにする緩衝スペースとして利用される。
【0048】
ここで、
図5(b)に示すように、熱収縮性筒状ラベルの下透明部全体が容器の底面と接し、容器上方からの光がこの透明部分に全く当たらない(上方から視認できない)場合には、この下透明部は何ら加工をしなくてもよい。また、
図5(b)に示すように、遮光機能を有する容器の口部(
図5(b)の半楕円状の一点鎖線2aよりも上側部分)熱収縮性筒状ラベルの上透明部8が、遮光機能を有する容器の口部と重なり、容器上方からの光が口部を透過しない場合には、この上透明部は何ら加工をしなくてもよい。
【0049】
この一方、このような形態をとっていない場合には、たとえば上下の透明部を設けずに白色(本発明にかかる下地層が形成された構成)とし、緩衝スペースを確保しつつ遮光する構成とすることができる。
【0050】
(実施例)
本発明を、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【0051】
(材料の準備)
基材フィルム
熱収縮性の厚み40μmのハイブリッドスチレンフィルム(グンゼ株式会社製「HST」タイプ)を用意した。
【0052】
白色インキ1
0.1~0.6μmの範囲の平均粒子径を有する酸化チタン粒子、ウレタンからなるバインダ樹脂、イソシアネート系化合物からなる硬化剤、及びその他の白色顔料を酢酸エチル等の混合溶剤に混合した。この白色インキ1を印刷してなる層の質量構成比率(乾燥後)は、酸化チタン85質量%、その他の顔料5質量%、硬化したバインダ樹脂10質量%となる。
【0053】
白色インキ2
0.1~0.6μmの範囲の平均粒子径を有する酸化チタン粒子、ウレタンからなるバインダ樹脂、イソシアネート系化合物からなる硬化剤、及びその他の白色顔料、及び添加剤を、酢酸エチル等の混合溶剤に混合した。この白色インキ2を印刷してなる層の質量構成比率(乾燥後)は、酸化チタン65質量%、その他の顔料5質量%、硬化したバインダ樹脂15質量%、添加剤15質量%となる。
【0054】
銀色インキ
1~150μmの範囲の平均粒子径を有するアルミニウム粒子、ウレタンからなるバインダ樹脂、及びイソシアネート系化合物からなる硬化剤を、酢酸エチル等の混合溶剤に混合した。この銀色インキを印刷してなる層の質量構成比率(乾燥後)は、アルミニウム48質量%、硬化したバインダ樹脂52質量%となる。
【0055】
灰色インキ
0.1~0.6μmの範囲の平均粒子径を有する酸化チタン粒子、0.01~0.5の範囲の平均粒径を有するカーボンブラック粒子、ウレタンからなるバインダ樹脂、イソシアネート系化合物からなる硬化剤、その他の顔料、及び添加剤を、酢酸エチル等の混合溶剤に混合した。この灰色インキを印刷してなる層の質量構成比率(乾燥後)は、酸化チタン65質量%、カーボンブラック4質量%、その他の白色顔料3質量%、硬化したバインダ樹脂16質量%、添加剤12質量%となる。
【0056】
黒色インキ
0.01~0.5μmの範囲の平均粒径を有するカーボンブラック粒子、及びウレタンからなるバインダ樹脂を、酢酸エチル等の混合溶剤に混合した。この黒色インキを印刷してなる層の質量構成比率(乾燥後)は、カーボンブラック43質量%、バインダ樹脂57質量%となる。
【0057】
(実施例1)
基材フィルムの一方面に、上記白色インキ1を用いて白色層を印刷により2層形成した。この白色層上に上記銀色インキを用いて銀色層を、印刷により1層形成し、実施例1にかかる熱収縮性筒状ラベル(デザイン層なし)用の原反を得た。白色層の厚みは合計5.0μm、銀色層の厚みは2.3μmであった。
【0058】
(実施例2)
銀色層上に上記白色インキ1を用いた白色層を、印刷により1層形成し、この白色層の厚みは2.3μmとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例2にかかる熱収縮性筒状ラベル用の原反を得た。
【0059】
(実施例3)
基材フィルムの一方面に、上記白色インキ1を用いて白色層を印刷により2層形成した。この白色層上に上記銀色インキを用いて銀色層を、銀色層上に上記灰色インキを用いて灰色層を、それぞれ印刷により1層ずつ形成し、実施例1にかかる熱収縮性筒状ラベル用の原反を得た。白色層の厚みは合計5.0μm、銀色層の厚みは2.3μm、灰色層の厚みは2.3μmであった。
【0060】
(比較例1)
上記白色インキ1に代えて、上記白色インキ2を用いて全ての白色層を形成したこと以外は、実施例2と同様にして比較例1にかかる熱収縮性筒状ラベル用の原反を得た。
【0061】
(比較例2)
銀色層を形成せずに、2層目の白色層上に灰色層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2にかかる熱収縮性筒状ラベル用の原反を得た。
【0062】
(比較例3)
銀色層を形成せずに、2層目の白色層上に黒色層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3にかかる熱収縮性筒状ラベル用の原反を得た。
【0063】
(比較例4)
銀色層を形成せずに、2層目の白色層上にさらに白色層を形成した(白色層を3層重ねた)こと以外は、実施例1と同様にして比較例4に係る熱収縮性筒状ラベル用の原反を得た。
【0064】
実施例1~3、比較例1~4にかかる熱収縮性筒状ラベルの明度(JIS K7105準拠)を、コニカミノルタ株式会社製分光測色計CM-2600dを用いて測定した。測定サンプルは、上記熱収縮性筒状ラベル用原反から100mm×100mmの大きさに切り出して作成した。また、上記測定は、測定用サンプルを明度42の黒色台紙上に置き、基材フィルム上(白色層側)から測定した。この結果を下記表1に示す。
【0065】
実施例1~3、比較例1~4にかかる熱収縮性筒状ラベルの遮光度(波長280~800nm)を、日本分光株式会社製分光光度計V-700を用いて測定した。この結果を下記表1に示す。
【0066】
【0067】
上記表1から、白インキ1を用いた白色層と、銀色層とを有する実施例1~3は、明度92.0%以上、遮光率96.5%以上と、ともに高い値を示している。特に、白色層、銀色層、灰色層を順に形成した実施例3では、明度が92%以上で、且つ遮光率99.1%を実現できていることが分かる。
【0068】
これに対し、銀色層を設けずに黒色層を有する比較例3では、黒色層により99.5%という高い遮光率を実現できるものの、明度が88.3%と高くすることができない。
【0069】
また、白色層に含まれる酸化チタン粒子が65質量%(乾燥時)である比較例1では、遮光率は96.3%と実施例2と大きな差はないものの、明度が85.3%以下と不十分となっている。
【0070】
また、銀色層を設けずに灰色層を設けた比較例2では、明度が88.4%、遮光率が82.5%と、いずれも不十分な値となっている。
【0071】
また、銀色層を設けずに白色層のみを3層設けた比較例4では、白色層を通過した光を、白色層とは異なる作用を有する銀色層が反射するという効果が得られず、黒色台紙の影響も受けやすくなるため、明度が89.2%と低く、遮光率も77.7%と低い値となっている。
【0072】
つまり、酸化チタン粒子を70質量%以上含む白色層と、銀色層とにより、高い遮光率と、高い明度を実現できることが分かる。また、灰色層を銀色層よりも容器側にさらに設けることにより、遮光率をさらに高められることが分かる。
【0073】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明にかかる熱収縮性筒状ラベルによれば、光による内容物の劣化を防止しつつも、デザイン性の高いデザイン層を形成することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 熱収縮性筒状ラベル
2 容器
2a 口部と透明胴部との境界
3 基材フィルム
3a 一方端部
3b 他方端部
4 下地層
4a 白色層
4b 銀色層
4c 灰色層
5 デザイン層
6 オーバーコート層
8 上透明部
9 下透明部
15 接着部