(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】マルチコントロールバルブユニット及び油圧ショベル用油圧駆動装置
(51)【国際特許分類】
F15B 11/00 20060101AFI20220929BHJP
F16K 27/04 20060101ALI20220929BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20220929BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20220929BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F15B11/00 D
F16K27/04
F16K27/00 D
F15B11/08 A
E02F9/22 Z
(21)【出願番号】P 2018173914
(22)【出願日】2018-09-18
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】畑 直希
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-013169(JP,A)
【文献】特表2009-527695(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021288(WO,A1)
【文献】特開2011-002018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22;21/14
F16K 27/00-27/12
E02F 3/42- 3/43; 3/84- 3/85; 9/20- 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1弁室及び第2弁室を内部に備え、前記第1弁室の軸方向と前記第2弁室の軸方向とが互いに平行となるように前記第1弁室及び前記第2弁室が配置されたハウジングと、
前記第1弁室の内部に軸方向に移動可能に配置された第1スプールと、
前記第2弁室の内部に軸方向に移動可能に配置された第2スプールと、
前記第1スプールのパイロット圧受圧部へパイロット圧を導くための第1パイロット室と、前記第2スプールのパイロット圧受圧部へパイロット圧を導くための第2パイロット室とを内部に備え、かつ、前記ハウジングに取り付けられたパイロット室形成部材と、
前記第1パイロット室と、前記第2パイロット室との両方へ所定の圧油を供給可能であり、かつ前記パイロット室形成部材に設けられた、電磁比例減圧弁とを備え、
前記第1スプールは、
前記第1パイロット室における前記パイロット圧である第1パイロット圧に応じて、前記第1弁室の内部で軸方向に移動することにより前記第1弁室の内部で複数のポートの間の接続状態を切換えると共に前記第1弁室の内部の複数のポートの間の開口面積を調整し、
前記第2スプールは、
前記第2パイロット室における前記パイロット圧である第2パイロット圧に応じて、前記第2弁室の内部で軸方向に移動することにより前記第2弁室の内部で複数のポートの間の接続状態を切換えると共に前記第2弁室の内部の複数のポートの間の開口面積を調整することを特徴とするマルチコントロールバルブユニット。
【請求項2】
前記電磁比例減圧弁は、前記第1スプールの軸と前記第2スプールの軸を含む平面に垂直な方向に見たときに、前記第1スプールの軸と、前記第2スプールの軸との間の位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマルチコントロールバルブユニット。
【請求項3】
前記第1スプール及び前記第2スプールは、それぞれ異なる油圧ポンプによって供給される圧油についてのポートの間の接続状態の切換と開口面積の調整を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のマルチコントロールバルブユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のマルチコントロールバルブユニットを用いてアクチュエータの駆動を制御する油圧ショベル用油圧駆動装置であって、
前記アクチュエータは、アームに押し動作及び引き動作を実行させるアームシリンダを備え、
前記第1スプール及び前記第2スプールを移動させることによって、前記アームシリンダの駆動を制御して、アームの動作を制御することを特徴とする油圧ショベル用油圧駆動装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のマルチコントロールバルブユニットを用いてアクチュエータの駆動を制御する油圧ショベル用油圧駆動装置であって、
前記アクチュエータは、ブームの上げ動作及び下げ動作を実行させるブームシリンダを備え、
前記第1スプール及び前記第2スプールを移動させることによって、前記ブームシリンダの駆動を制御して、ブームの動作を制御することを特徴とする油圧ショベル用油圧駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコントロールバルブを有するマルチコントロールバルブユニット及び油圧ショベル用油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ポンプから吐出された圧油の流量を制御しつつアクチュエータの駆動方向を切換えるマルチコントロールバルブを有する油圧駆動装置が用いられている。このような油圧駆動装置において、異なるコントロールバルブのパイロット室同士を接続し、これらのパイロット室に共通して接続された圧力調整弁を有する油圧駆動装置が特許文献1に開示されている。また、複数のコントロールバルブを用いたマルチコントロールバルブユニットについて特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-110672号公報
【文献】特開2015-148300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された油圧駆動装置では、コントロールバルブを収納する形式については開示されていない。また、特許文献2に開示された油圧駆動装置では、各油圧制御弁(コントロールバルブ)のパイロット室同士を連通させる形式については開示されていない。そのため、あるパイロット室と別のパイロット室を接続し、これらのパイロット室に共通して接続された圧力調整弁を備えた構成をマルチコントロールバルブユニットに適用すると、一方のコントロールバルブのパイロット室から他方のコントロールバルブのパイロット室へ延びる流路が、複数のコントロールバルブの間でそれぞれ互いに関係なく配置され、流路の構成が複雑になる可能性がある。また、パイロット室同士を接続するための外部配管を行う場合、接続部材と配管が必要で、配管接続作業も必要となる。そのため、マルチコントロールバルブユニットが大型化し、コストが上昇する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、圧油の流路の構成が簡易なマルチコントロールバルブユニット及び油圧ショベル用油圧駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマルチコントロールバルブユニットは、第1弁室及び第2弁室を内部に備え、前記第1弁室の軸方向と前記第2弁室の軸方向とが互いに平行となるように前記第1弁室及び前記第2弁室が配置されたハウジングと、前記第1弁室の内部に軸方向に移動可能に配置された第1スプールと、前記第2弁室の内部に軸方向に移動可能に配置された第2スプールと、前記第1スプールのパイロット圧受圧部へパイロット圧を導くための第1パイロット室と、前記第2スプールのパイロット圧受圧部へパイロット圧を導くための第2パイロット室とを内部に備え、かつ、前記ハウジングに取り付けられたパイロット室形成部材と、前記第1パイロット室と、前記第2パイロット室との両方へ所定の圧油を供給可能であり、かつ前記パイロット室形成部材に設けられた、電磁比例減圧弁とを備え、前記第1スプールは、前記第1パイロット圧に応じて、前記第1弁室の内部で軸方向に移動することにより前記第1弁室の内部で複数のポートの間の接続状態を切換えると共に前記第1弁室の内部の複数のポートの間の開口面積を調整し、前記第2スプールは、前記第2パイロット圧に応じて、前記第2弁室の内部で軸方向に移動することにより前記第2弁室の内部の複数のポートの間の接続状態を切換えると共に前記第2弁室の内部の複数のポートの間の開口面積を調整することを特徴とする。
【0007】
上記構成のマルチコントロールバルブユニットでは、第1パイロット室及び第2パイロット室が一つのパイロット室形成部材に設けられると共に、電磁比例減圧弁がパイロット室形成部材に設けられているので、第1パイロット室と第2パイロット室との間の流路及び電磁比例減圧弁が1つの部材にまとめられて、マルチコントロールバルブがコンパクトに形成される。そのため、圧油の流路の構成が簡易になり、マルチコントロールバルブの構成を小型化させることができる。また、複数のパイロット室を接続する配管部品が不要となるだけでなく、配管を接続する作業も低減できる。
【0008】
また、前記電磁比例減圧弁は、前記第1スプールの軸と前記第2スプールの軸を含む平面に垂直な方向に沿って見たときに、前記第1スプールの軸と、前記第2スプールの軸との間の位置に設けられていてもよい。
【0009】
電磁比例減圧弁が、第1スプールの軸と、第2スプールの軸との間の位置に設けられるので、電磁比例減圧弁の配置のためのスペースを第1スプール及び第2スプールの配置のためのスペースとスプールの軸方向で重複させることができ、マルチコントロールバルブユニットを小型化させることができる。
【0010】
また、前記第1スプール及び前記第2スプールは、それぞれ異なる油圧ポンプによって供給される圧油についてのポートの間の接続状態切換と開口面積の調整を行ってもよい。
【0011】
第1スプール及び第2スプールは、それぞれ異なる油圧ポンプによって供給される圧油についてのポートの間の接続状態の切換と開口面積の調整を行うので、異なる油圧ポンプによって圧油が供給されるコントロールバルブの間で電磁比例減圧弁を共通化させることができる。
【0012】
また、上記構成のマルチコントロールバルブユニットを用いてアクチュエータの駆動を制御する油圧ショベル用油圧駆動装置であって、前記アクチュエータは、アームに押し動作及び引き動作を実行させるアームシリンダを備え、前記第1スプール及び前記第2スプールを移動させることによって、前記アームシリンダの駆動を制御して、アームの動作を制御することを特徴とする。
【0013】
第1スプール及び第2スプールが移動することによってアームシリンダの駆動を制御して、アームの動作を制御するので、アームの動作の制御のための構成を簡易にすることができる。
【0014】
また、上記構成のマルチコントロールバルブユニットを用いてアクチュエータの駆動を制御する油圧ショベル用油圧駆動装置であって、前記アクチュエータは、ブームの上げ動作及び下げ動作を実行させるブームシリンダを備え、前記第1スプール及び前記第2スプールを移動させることによって、前記ブームシリンダの駆動を制御して、ブームの動作を制御してもよい。
【0015】
第1スプール及び第2スプールが移動することによってブームシリンダの駆動を制御して、ブームの動作を制御するので、ブームの動作の制御のための構成を簡易にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1パイロット室、第2パイロット室及び電磁比例減圧弁がパイロット室形成部材に設けられるので、第1パイロット室と第2パイロット室との間の流路及び電磁比例減圧弁をパイロット室形成部材にまとめることができる。そのため、マルチコントロールバルブユニットの構成を小型化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る油圧ショベル用油圧駆動装置についての回路図である。
【
図2】
図1の回路図においてアームシリンダに接続されたコントロールバルブの周辺部分についてより詳細に示した回路図である。
【
図3】
図1の油圧ショベル用油圧駆動装置で用いられるマルチコントロールバルブユニットについての斜視図である。
【
図4】
図1のマルチコントロールバルブユニットにおいて、2つのコントロールバルブのそれぞれにおけるパイロット室形成部材に形成されたパイロット室と、電磁比例減圧弁について示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るマルチコントロールバルブユニットの用いられた油圧ショベル用油圧駆動装置について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1に、油圧ショベル用油圧駆動装置についての回路図を示す。本実施形態の油圧ショベル用油圧駆動装置2000では、2つの油圧ポンプ200a、200bが用いられている。また、油圧ショベル用油圧駆動装置2000は、タンク300を備えている。油圧ポンプ200a、200bは、斜板ポンプであってもよいし斜軸ポンプであってもよい。
【0020】
油圧ショベル用油圧駆動装置2000は、複数のコントロールバルブを備えている。複数のコントロールバルブは、2列に並べられて配置されている。すなわち、2つの油圧ポンプ200a、200bのうち、一方の油圧ポンプ200aから圧油が供給される方向に沿って並べられたコントロールバルブの列と、他方の油圧ポンプ200bから圧油が供給される方向に沿って並べられたコントロールバルブの列との2列に並べられている。それぞれのコントロールバルブの列は、スプールの軸方向が平行となるように並べられている。
【0021】
油圧ポンプ200a側には、油圧ポンプ200aに近い方から順に、バケットを駆動するためのコントロールバルブ510、アームを駆動するためのコントロールバルブ520、ブームを駆動するためのコントロールバルブ530、一方の履帯を駆動するためのコントロールバルブ540が設けられている。ただし、これらのコントロールバルブの並び順については変更可能である。
【0022】
また、油圧ポンプ200b側には、油圧ポンプ200bに近い方から順に、旋回モータを駆動するためのコントロールバルブ550、アームを駆動するためのコントロールバルブ560、ブームを駆動するためのコントロールバルブ570、他方の履帯を駆動するためのコントロールバルブ580が設けられている。ただし、これらのコントロールバルブの並び順については変更可能である。
【0023】
本実施形態では、油圧ポンプ200a、200bから供給される圧油の流路である供給ライン310、320を各コントロールバルブの位置で分岐させ、分岐された圧油の流路を各コントロールバルブのポートに接続している。これにより、各コントロールバルブに対して油圧ポンプ200a、200bからの圧油が供給されている。
【0024】
本実施形態の油圧ショベル用油圧駆動装置2000は、油圧アクチュエータとして、油圧ショベルにおけるバケットの駆動を制御するためのバケットシリンダ610を備えている。バケットシリンダ610には、バケットシリンダ610のヘッド側とロッド側の何れか一方へ圧油を供給すると共に、同いずれか他方から排出される圧油の流量を調整するとともに、供給・排出の方向を切換えるコントロールバルブ510が接続されている。
【0025】
また、油圧ショベル用油圧駆動装置2000は、油圧ショベルにおけるアームの動作の駆動を制御するためのアームシリンダ620を備えている。アームシリンダ620には、アームシリンダ620のヘッド側とロッド側の何れか一方へ圧油を供給すると共に、同いずれか他方から排出される圧油の流量を調整するコントロールバルブ520、560が接続されている。アームシリンダ620は、アームに押し動作及び引き動作を実行させる。アームシリンダ620の駆動を制御することにより、アームの動作を制御することができる。
【0026】
また、油圧ショベル用油圧駆動装置2000は、油圧ショベルにおけるブームの動作の駆動を制御するブームシリンダ630を備えている。ブームシリンダ630には、ブームシリンダ630のヘッド側とロッド側の何れか一方へ圧油を供給すると共に、同いずれか他方から排出される圧油の流量を調整するコントロールバルブ530、570が接続されている。ブームシリンダ630は、ブームの上げ動作及び下げ動作を実行させる。ブームシリンダ630の駆動を制御することにより、ブームの動作を制御することができる。
【0027】
また、油圧ショベル用油圧駆動装置2000は、油圧ショベルにおける一方の履帯の駆動を制御する油圧モータ640を備えている。油圧モータ640には、油圧モータ640に給排する圧油の流量を調整するコントロールバルブ540が接続されている。
【0028】
また、油圧ショベル用油圧駆動装置2000は、油圧ショベルにおける旋回体を駆動する油圧モータ650を備えている。油圧モータ650には、油圧モータ650に給排する圧油の流量を調整するコントロールバルブ550が接続されている。
【0029】
また、油圧ショベル用油圧駆動装置2000は、油圧ショベルにおける他方の履帯の駆動を制御する油圧モータ660を備えている。油圧モータ660には、油圧モータ660の各パイロット室に給排する圧油の流量を調整するコントロールバルブ580が接続されている。
【0030】
コントロールバルブ510は、そこからの流路がバケットシリンダ610に接続されて構成されている。コントロールバルブ510における弁室の内部でスプールがスライド移動を行うことによって、バケットシリンダ610に対する作動油の供給、排出を制御する。本実施形態では、スプールは、パイロット室に供給されるパイロット圧に応じて、弁室の内部で軸方向に移動する。具体的には、パイロット圧力に応じた推力と、図示しないリターンスプリング力とが釣り合う位置までコントロールバルブ510内部のスプールが移動する。コントロールバルブ510によってバケットシリンダ610のヘッド側、ロッド側の一方のポートとポンプポートとが、スプールの移動量に応じた開口面積で連通される。このようにして、作動油が適切な流量でバケットシリンダ610のヘッド側、ロッド側の一方へ供給される。同時に、バケットシリンダ610のヘッド側、ロッド側の他方のポートとタンク通路のポートとが、スプールのストロークに応じて定まる開口面積で連通され作動油が排出される。
【0031】
また、コントロールバルブ520は、そこからの流路がアームシリンダ620に接続されて構成されている。コントロールバルブ520における弁室の内部でスプールがスライド移動を行うことによって、アームシリンダ620に対する作動油の供給、排出を制御する。コントロールバルブ510と同様に、コントロールバルブ520においても、スプールは、パイロット室に供給されるパイロット圧に応じて、弁室の内部で軸方向に移動する。具体的には、パイロット圧力に応じた推力と、図示しないリターンスプリング力とが釣り合う位置までコントロールバルブ520が移動する。コントロールバルブ520によって作動油がアームシリンダ620のヘッド側、ロッド側の一方のポートとポンプポートとが、スプールの移動量に応じた開口面積で連通される。このようにして、作動油が適切な流量でアームシリンダ620のヘッド側、ロッド側の一方へ供給される。これにより、コントロールバルブ520が複数のポートの間の接続状態を切換える。また、アームシリンダ620のヘッド側、ロッド側の他方のポートとタンク通路のポートとが、スプールのストロークに応じて定まる開口面積で連通され作動油が排出される。すなわち、アームシリンダ620内の作動油がタンク300に向けて流れるようにコントロールバルブ520が複数のポートの間の接続状態を切換えてタンク300に作動油を排出させる。
【0032】
また、コントロールバルブ530は、そこからの流路がブームシリンダ630に接続されて構成されている。コントロールバルブ530における弁室の内部でスプールがスライド移動を行うことによって、ブームシリンダ630に対する作動油の供給、排出を制御する。コントロールバルブ510、520と同様に、コントロールバルブ530においても、スプールは、パイロット室に供給されるパイロット圧に応じて、弁室の内部で軸方向に移動する。具体的には、パイロット圧力に応じた推力と、図示しないリターンスプリング力とが釣り合う位置までコントロールバルブ530が移動する。コントロールバルブ530によって作動油がブームシリンダ630のヘッド側、ロッド側の一方のポートとポンプポートとが、スプールの移動量に応じた開口面積で連通される。このようにして、作動油が適切な流量でブームシリンダ630のヘッド側、ロッド側の一方のポートへ供給される。このように、コントロールバルブ530が複数のポートの間の接続状態を切換える。同時に、ブームシリンダ630のヘッド側、ロッド側の他方のポートとタンク通路のポートとが、スプールのストロークに応じて定まる開口面積で連通されブームシリンダ630から作動油が排出される。ブームシリンダ630内の作動油がタンク300に向けて流れるようにコントロールバルブ530が複数のポートの間の接続状態を切換えてタンク300に作動油を排出させる。
【0033】
コントロールバルブ540は、そこからの流路が油圧モータ640に接続されて構成されている。コントロールバルブ540における弁室の内部でスプールがスライド移動を行うことによって、一方の履帯を駆動させる油圧モータ640の駆動を制御するように構成されている。本実施形態では、スプールは、パイロット室に供給されるパイロット圧に応じて、弁室の内部で軸方向に移動する。具体的には、パイロット圧力に応じた推力と、図示しないリターンスプリング力とが釣り合う位置までコントロールバルブが移動する。コントロールバルブ540によって油圧モータ640のポートの一方とポンプポートとが、スプールの移動量に応じた開口面積で連通される。このようにして、作動油が適切な流量で油圧モータの一方のポートへ供給される。同時に、油圧モータ640の他方のポートとタンク通路のポートとが、スプールのストロークに応じて定まる開口面積で連通され、作動油がタンク300に向けて排出される。
【0034】
コントロールバルブ550は、そこからの流路が旋回体を旋回させるための油圧モータ650に接続され、油圧モータ650の駆動を制御するように構成されている。コントロールバルブ550における弁室の内部でスプールがスライド移動を行うことによって、油圧モータ650の駆動を制御するように構成されている。
【0035】
コントロールバルブ560は、そこからの流路がアームシリンダ620に接続されて構成されている。コントロールバルブ560における弁室の内部でスプールがスライド移動を行うことによって、アームシリンダ620に対する作動油の供給、排出を制御する。本実施形態では、スプールは、パイロット室に供給されるパイロット圧に応じて、弁室の内部で軸方向に移動する。具体的には、パイロット圧力に応じた推力と、図示しないリターンスプリング力とが釣り合う位置までコントロールバルブ560内部のスプールが移動する。コントロールバルブ560によってアームシリンダ620のヘッド側、ロッド側の一方のポートとポンプポートとが、スプールの移動量に応じた開口面積で連通される。このようにして、作動油が適切な流量でアームシリンダ620のヘッド側、ロッド側の一方へ供給される。同時に、アームシリンダ620のヘッド側、ロッド側の他方のポートとタンク通路のポートとが、スプールのストロークに応じて定まる開口面積で連通され作動油が排出される。
【0036】
コントロールバルブ570は、そこからの流路がブームシリンダ630に接続されて構成されている。コントロールバルブ570における弁室の内部でスプールがスライド移動を行うことによって、ブームシリンダ630に対する作動油の供給を制御する。本実施形態では、スプールは、パイロット室に供給されるパイロット圧に応じて、弁室の内部で軸方向に移動する。具体的には、パイロット圧力に応じた推力と、図示しないリターンスプリング力とが釣り合う位置までコントロールバルブ630内部のスプールが移動する。コントロールバルブ630によってブームシリンダ630のヘッド側ポートとポンプポートとが、スプールの移動量に応じた開口面積で連通される。このようにして、作動油が適切な流量でブームシリンダ630のヘッド側へ供給される。本実施形態では、コントロールバルブ570には、タンク300に接続される流路は形成されていない。そのため、コントロールバルブ570を通してブームシリンダ630から圧油を排出することはできない。ブームシリンダ630からの圧油の排出は、コントロールバルブ530を通してのみ行われる。従って、コントロールバルブ570は、ブームの上げ動作について駆動させることができ、ブームの下げ動作のときには駆動に関与しない。コントロールバルブ570によって作動油がブームシリンダ630に供給される際には、作動油が適切な流量でブームシリンダ630へ供給されるように、コントロールバルブ570がポートの間の接続状態を切換える。ただし、タンクに接続されたコントロールバルブが代わりに用いられ、コントロールバルブを通してブームシリンダからの圧油の排出を行うことができるように構成されてもよい。これにより、ブームの下げ動作にも適応したコントロールバルブがコントロールバルブ570の代わりに用いられてもよい。つまり、コントロールバルブ570の代わりに、コントロールバルブ530と同じ形式のコントロールバルブが適用されてもよい。
【0037】
コントロールバルブ580は、そこからの流路が油圧モータ660に接続されて構成されている。コントロールバルブ580における弁室の内部でスプールがスライド移動を行うことによって、他方の履帯を駆動させる油圧モータ660の駆動を切換えるように構成されている。
【0038】
上述のように、それぞれのコントロールバルブは、弁室と、弁室の内部でスライド移動可能なスプールとを備えている。スプールが、パイロット圧に応じて、弁室の内部で軸方向に移動可能に構成されている。それぞれのコントロールバルブで、スプールが移動を行うことにより、コントロールバルブ内で連通するポート同士の接続先を切換え、開口面積も調整してそれぞれの油圧アクチュエータの駆動を切換えている。
【0039】
油圧ショベル用油圧駆動装置2000においては、それぞれの弁室の軸方向が互いに平行となるように、複数の弁室が配置されている。また、弁室の内部のスプールの軸方向が互いに平行となるように、弁室の内部にスプールが配置されている。
【0040】
図1に示されるコントロールバルブ510~580のうち、アームシリンダ620に接続されたコントロールバルブ520、560についてのより詳細な油圧システムの回路図について、
図2に示す。
【0041】
図2に示されるように、コントロールバルブ520は、パイロット室521、522を備えている。また、コントロールバルブ560は、パイロット室561、562を備えている。パイロット室(第1パイロット室)521とパイロット室(第2パイロット室)561とが接続されて圧油の流路900が形成されている。また、流路900には、電磁比例減圧弁800が取り付けられている。本実施形態では、パイロット室521とパイロット室561との間の位置に電磁比例減圧弁800が配置されている。電磁比例減圧弁800は、流路900の内部の圧油の圧力を調整することが可能に構成されている。
【0042】
パイロット室521及びパイロット室561は、パイロット室形成部材130aの内部に形成されている。電磁比例減圧弁800は、パイロット室521とパイロット室561とを接続する流路900に設けられている。従って、電磁比例減圧弁800は、パイロット室521の圧油の圧力とパイロット室561の圧油の圧力との両方を同時に調整することが可能に構成されている。
【0043】
本実施形態では、パイロット室521、561とは反対側のパイロット室522と、パイロット室562とが接続されている。パイロット室522と、パイロット室562とが接続されて形成された流路910に、電磁比例減圧弁810が配置されている。
【0044】
操作レバーが運転者によって倒されたときに、操作レバーの傾斜角に応じた電気信号が制御装置(不図示)に出力される。操作レバーが運転者によって倒されたことを制御装置が検出すると、流路900、910内部の圧油の圧力が操作レバーの傾斜角に応じた圧力となるように、制御装置が電磁比例減圧弁800、810に供給する電流を制御する。これにより、電磁比例減圧弁800、810を介して、流路900、910内部の圧油の圧力が操作レバーの傾斜角に応じた圧力となるように流路900、910に圧油が流入する。その結果、パイロット室521、561内部のパイロット圧受圧部におけるパイロット圧が操作レバーの傾斜角に応じたパイロット圧となるように、パイロット圧が制御される。
【0045】
コントロールバルブ520におけるパイロット室521と、コントロールバルブ560におけるパイロット室561とが、流路を介して接続されているので、パイロット室521の圧油の圧力とパイロット室561の圧油の圧力とが同じになる。同様に、コントロールバルブ520におけるパイロット室522と、コントロールバルブ560におけるパイロット室562とが、流路を介して接続されているので、パイロット室522の圧油の圧力とパイロット室562の圧油の圧力とが同じになる。
【0046】
図1に示されるコントロールバルブ510~580は、ハウジング100(
図3、4参照)の内部に収められてマルチコントロールバルブユニット1000を構成している。
【0047】
図3に、マルチコントロールバルブユニット1000の斜視図を示す。
図3では、マルチコントロールバルブユニット1000において、
図1に示されるコントロールバルブ510~580のそれぞれの位置している領域が、破線で区分けされ、符号によって示されている。
【0048】
マルチコントロールバルブユニット1000は、ハウジング100を備えている。ハウジング100は、直方体の箱状の形状を有している。ハウジング100の内部には、各種のアクチュエータをコントロールするためのコントロールバルブ510~580における弁室が複数収められている。
【0049】
ハウジング100には、油圧ポンプ200a、200bからの圧油を通すポンプポート110a、110bが形成されている。本実施形態のマルチコントロールバルブユニット1000では、ハウジング100に2つのポンプポート110a、110bが形成されている。そのため、2つの油圧ポンプから供給される圧油を、2つのポンプポート110a、110bに連通する圧油の流路を通じてそれぞれ別系統でハウジング100の内部に導くことができる。
【0050】
ハウジング100の内部には、一方の油圧ポンプ200aからの圧油がポンプポート110aを通って供給される方向に沿って並べられたコントロールバルブの列と、他方の油圧ポンプ200bからポンプポート110bを通って圧油が供給される方向に沿って並べられたコントロールバルブの列とが形成されている。従って、本実施形態では、コントロールバルブは、ハウジング100の内部で2列に並べられている。
【0051】
それぞれのコントロールバルブにおいて、ハウジング100の内部には、コントロールバルブのうち、弁室のみが配置されている。ハウジング100の内部には、パイロット室は形成されていない。ハウジング100の内部において、弁室は、それぞれ軸方向が互いに平行となるように配置されている。
【0052】
ハウジング100の内部に配置されたコントロールバルブの弁室からハウジング100の外側に延び、対応するコントロールバルブについてのパイロット室が内部に形成されたパイロット室形成部材120、130がハウジング100に取り付けられている。パイロット室形成部材120、130の内部には、対応するコントロールバルブのパイロット室が形成されている。パイロット室形成部材120、130の先端部がハウジング100の外側に突出するように、それぞれのパイロット室形成部材120、130がハウジング100に取り付けられている。
【0053】
パイロット室形成部材120、130は、1つのコントロールバルブに対応したパイロット室形成部材120と、2つのコントロールバルブに跨いで取り付けられたパイロット室形成部材130とを備えている。コントロールバルブ510に対応してパイロット室形成部材120aが取り付けられ、コントロールバルブ550に対応してパイロット室形成部材120bが取り付けられている。コントロールバルブ520、560に跨いでパイロット室形成部材130aが取り付けられ、コントロールバルブ530、570に跨いでパイロット室形成部材130bが取り付けられている。コントロールバルブ540に対応してパイロット室形成部材120cが取り付けられ、コントロールバルブ580に対応してパイロット室形成部材120dが取り付けられている。
【0054】
1つのコントロールバルブに対応したパイロット室形成部材120については、ポンプポート110a、110bに比較的近い位置にパイロット室形成部材120a、120bが設けられ、ポンプポート110a、110bから比較的遠い位置にパイロット室形成部材120c、120dが設けられている。また、油圧ポンプ200a、200bからの圧油がポンプポート110a、110bを通ってハウジング100内部に供給される方向に沿って、パイロット室形成部材120a、120bと、パイロット室形成部材120c、120dとの間の位置に、パイロット室形成部材130a、130bが配置されている。パイロット室形成部材130aは、パイロット室形成部材130bよりもポンプポート110a、110bに近い位置に配置されている。本実施形態では、これらのパイロット室形成部材120、130の内部に、それぞれのコントロールバルブのパイロット室が形成されている。
【0055】
パイロット室形成部材130a、130bは、対応する2つのコントロールバルブについてのパイロット室を内部に備えている。本実施形態では、アームシリンダ620のポートに供給される圧油の流量を調整する2つのコントロールバルブ520、560についてのパイロット室を備えたパイロット室形成部材130aがハウジング100に取り付けられている。また、ブームシリンダ630のポートに供給される圧油の流量を調整するコントロールバルブ530、570についてのパイロット室を備えたパイロット室形成部材130bがハウジング100に取り付けられている。
【0056】
アームシリンダ620のポートに供給される圧油の流量を調整するコントロールバルブ520は、ポンプポート110aからの流路に対応して形成され、コントロールバルブ560は、ポンプポート110bからの流路に対応して形成されている。アームシリンダ620についてのコントロールバルブ520、560に対応するパイロット室形成部材130aは、2つのコントロールバルブ520、560についてのパイロット室の両方を有するように、2つのコントロールバルブ520、560を跨いで取り付けられている。
【0057】
また、ブームシリンダ630のポートに供給される圧油の流量を調整するコントロールバルブ530は、ポンプポート110aからの流路に対応して形成され、コントロールバルブ570は、ポンプポート110bからの流路に対応して形成されている。ブームシリンダ630についてのコントロールバルブ530、570に対応するパイロット室形成部材130bは、2つのコントロールバルブ530、570についてのパイロット室の両方を有するように、2つのコントロールバルブ530、570を跨いで取り付けられている。
【0058】
パイロット室形成部材130a、130bには、パイロット室形成部材130a、130bから外側に向けて突出するように、電磁比例減圧弁800a、800bが設けられている。本実施形態では、2つのパイロット室形成部材130a、130bのうち、ポンプポート110a、110bに比較的近い位置に設けられたパイロット室形成部材130aから電磁比例減圧弁800aが外側に突出して設けられている。また、ポンプポート110a、110bから比較的遠い位置に設けられたパイロット室形成部材130bから外側に突出して電磁比例減圧弁800bが設けられている。
【0059】
このように、本実施形態では、2つのパイロット室形成部材130a、130bのうち、ポンプポート110a、110bに比較的近い位置に設けられたパイロット室形成部材130aが、アームシリンダ620に接続されたコントロールバルブ520、560のパイロット室を形成する。また、ポンプポート110a、110bから比較的遠い位置に設けられたパイロット室形成部材130bが、ブームシリンダ630に接続されたコントロールバルブ530、570のパイロット室を形成する。
【0060】
図4に、コントロールバルブ520におけるパイロット室形成部材130aに形成されたパイロット室521と、コントロールバルブ560におけるパイロット室形成部材130aに形成されたパイロット室561と、これらを接続する流路900の周辺部分について示した断面図を示す。
図4に示されるように、パイロット室521と、パイロット室561との間の流路900に、電磁比例減圧弁800aが配置されている。
【0061】
電磁比例減圧弁800aは、コントロールバルブ520の弁室(第1弁室)524の内部のスプール(第1スプール)525及びコントロールバルブ560の弁室(第2弁室)564の内部のスプール(第2スプール)565の軸方向に沿って見たときに、パイロット室521と、パイロット室561との間の位置に設けられている。つまり、コントロールバルブ520及びコントロールバルブ560を、スプール525の軸とスプール565の軸を含む平面に垂直な方向に見たときに、電磁比例減圧弁800aは、スプール525の軸と、スプール565の軸との間の位置に設けられている。パイロット室521は、パイロット室形成部材130aにおいて、コントロールバルブ520における弁室524内部に配置されたスプール525の軸方向の延長線上の位置に形成されている。パイロット室561は、パイロット室形成部材130aにおいて、コントロールバルブ560における弁室564内部に配置されたスプール565の軸方向の延長線上の位置に形成されている。電磁比例減圧弁800aは、パイロット室形成部材130aに設けられている。
【0062】
パイロット室形成部材130aは、コントロールバルブ520に対応する位置に、バネ室523を備えている。バネ室523には、バネ523aが設けられている。本実施形態では、バネ523aはスプール525がパイロット室521側にストロークするときに付勢すると共に、スプール525がパイロット室521とは反対側にストロークするときにも付勢する。また、コントロールバルブ560についても同様に、パイロット室形成部材130aが、コントロールバルブ560に対応する位置に、バネ室563を備えている。バネ室563には、バネ563aが設けられている。本実施形態では、バネ563aはスプール565がパイロット室561側にストロークするときに付勢すると共に、スプール565がパイロット室561とは反対側にストロークするときにも付勢する。
【0063】
このように、ハウジング100の内部には、複数の弁室が形成されると共に、それぞれの弁室の内部にスプールが配置されている。ハウジング100には、パイロット室形成部材120、130が取り付けられる。パイロット室形成部材120、130には、それぞれのコントロールバルブのパイロット室が形成されている。ハウジング100にパイロット室形成部材130が取り付けられたときに、弁室に対向する位置にパイロット室形成部材120、130内部のパイロット室が配置されて、コントロールバルブが形成される。
【0064】
このように構成された油圧ショベル用油圧駆動装置2000において、操作レバーが運転者によって倒されると、操作レバーの倒された量に応じて、圧油が、コントロールバルブ520のパイロット室521と、コントロールバルブ560のパイロット室561に供給される。
【0065】
流路900を介して、パイロット室521とパイロット室561とが接続されているので、パイロット室521の圧油の圧力(第1パイロット圧)とパイロット室561の圧油の圧力(第2パイロット圧)とは、同じになる。従って、パイロット室521及びパイロット室561の圧油の圧力に応じて、コントロールバルブ520のスプール525と、コントロールバルブ560のスプール565とが移動する。コントロールバルブ520のスプール525と、コントロールバルブ560のスプール565とは、同様に移動する。
【0066】
本実施形態によれば、パイロット室形成部材130aに、パイロット室521と、パイロット室561と、電磁比例減圧弁800aとが設けられて、マルチコントロールバルブユニット1000が構成される。1つのパイロット室形成部材130aにパイロット室521と、パイロット室561と、電磁比例減圧弁800aとが設けられるので、部品点数が少なくなり、その分マルチコントロールバルブユニット1000の構成が簡易になる。また、パイロット室521と、パイロット室561とに接続される流路が1つのパイロット室形成部材130aにまとめられて形成されるので、流路の構成が簡易になる。従って、マルチコントロールバルブユニット1000の流路の構成が簡易になる。このように、マルチコントロールバルブユニット1000の構成が簡易になるので、マルチコントロールバルブユニット1000の製造コストを少なく抑えることができる。
【0067】
また、このようにコントロールバルブ520におけるパイロット室形成部材130aに形成されたパイロット室521と、コントロールバルブ560におけるパイロット室形成部材130aに形成されたパイロット室561とが接続され、これらの間の圧油の流路900に電磁比例減圧弁800aが設けられている。つまり、コントロールバルブ520及びコントロールバルブ560において、パイロット室521、561の間で電磁比例減圧弁800aを共通化させている。従って、パイロット室521とパイロット室561とのそれぞれに、別々に電磁比例減圧弁が設けられた構成と比べ、電磁比例減圧弁の数を減少させることができる。従って、マルチコントロールバルブユニット1000の構成を簡易にすることができ、マルチコントロールバルブユニット1000の製造コストを低く抑えることができる。
【0068】
また、電磁比例減圧弁の個数を少なくすることができるので、その分マルチコントロールバルブユニット1000を小型化することができる。従って、マルチコントロールバルブユニット1000の取り付けのためのスペースが限られたスペースであっても、そのスペースの内部にマルチコントロールバルブユニット1000を取り付けることができる。また、スペース上の制限が少ないので、マルチコントロールバルブユニット1000を広く適用させることができる。
【0069】
また、電磁比例減圧弁の個数を少なくすることができるので、圧油をそれぞれの電磁比例減圧弁に導くための圧油の流路の構成を簡易にすることができる。圧油の流路の構成が簡易になるので、マルチコントロールバルブユニット1000の製造コストを低く抑えることができる。
【0070】
また、スプール525及びスプール565の軸方向に沿って見たときに、電磁比例減圧弁800aがパイロット室521とパイロット室561との間の位置に設けられるので、電磁比例減圧弁800aの配置のためのスペースと、弁室524、564及びスプール525、565の配置のためのスペースとをスプール525、565の軸方向で重複させることができる。従って、スプール525、565の軸方向に交差する方向に対し、マルチコントロールバルブユニット1000を小型化させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、それぞれ異なる油圧ポンプ200a、200bによって供給される圧油についての流路の間の接続状態の切換を行うコントロールバルブ520、560の間で、電磁比例減圧弁800aを共通化させている。従って、異なる油圧ポンプ200a、200bによって圧油が供給されるコントロールバルブ520、560における、パイロット室521、561について、電磁比例減圧弁800aを共通化させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、アームシリンダ620についての駆動を制御するコントロールバルブ520及びコントロールバルブ560において、パイロット室521、561の間で電磁比例減圧弁800aを共通化させている。従って、アームシリンダ620に接続されたコントロールバルブ520、560において、電磁比例減圧弁800aが共通化され、構成が簡易になっている。また、アームシリンダ620に接続されたコントロールバルブ520、560において、パイロット室521、561の間の流路の構成が簡易になっている。
【0073】
また、ブームの動作を制御するブームシリンダ630に接続されたコントロールバルブ530及びコントロールバルブ570においても、それぞれのコントロールバルブ530、570の間で、1つのパイロット室形成部材にお互いのパイロット室と電磁比例減圧弁を設けるように構成されている。
図1に示されるように、マルチコントロールバルブユニット1000においては、アームシリンダ620に接続されたコントロールバルブ520、560のパイロット室521、561が形成されたパイロット室形成部材130aだけでなく、ブームシリンダ630に接続されたコントロールバルブ530、570のパイロット室と電磁比例減圧弁が、これらのコントロールバルブ530、570に対応したパイロット室形成部材130bに形成されている。このように、アームシリンダ620だけでなく、ブームシリンダ630に接続されたコントロールバルブ530、570についても、パイロット室及び電磁比例減圧弁が1つのパイロット室形成部材にまとめて設けられるように構成されている。1つのパイロット室形成部材にパイロット室と電磁比例減圧弁をまとめるコントロールバルブの組の数を増加させることにより、マルチコントロールバルブユニットをより簡易な構成にすると共に、小型化させることができる。
【0074】
なお、上記実施形態では、アームシリンダ620に接続されたコントロールバルブ520、560のパイロット室521、561がパイロット室形成部材130aに形成され、ブームシリンダ630に接続されたコントロールバルブ530、570のパイロット室が、パイロット室形成部材130bに形成されている形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。アームシリンダ620に接続されたコントロールバルブ520、560のパイロット室521、561と、ブームシリンダ630に接続されたコントロールバルブ530、570のパイロット室とのうち、いずれか一方のみについて、2つのコントロールバルブに形成されたパイロット室が1つのパイロット室形成部材に形成されるように構成されてもよい。その際、アームシリンダ620に接続されたコントロールバルブと、ブームシリンダ630に接続されたコントロールバルブとの間で、どちらのコントロールバルブに形成されたパイロット室が1つのパイロット室形成部材に形成されるように構成されてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、油圧ポンプが2つ設けられ、異なる油圧ポンプに接続されたコントロールバルブ同士の間で、電磁比例減圧弁が共通化されて構成されている。しかしながら、油圧ポンプの数は2つに限定されない。3つ以上の油圧ポンプが用いられた油圧システムにおいて、そのうち2つの油圧ポンプについて、それぞれ異なる油圧ポンプに接続されたコントロールバルブ同士の間で、電磁比例減圧弁が共通化されて構成されていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、油圧ポンプ200a、200bからの圧油が供給ライン310、320を通って供給されると共に、供給ライン310、320が各コントロールバルブの位置で分岐され、分岐した圧油の流路を各コントロールバルブのポートに接続することにより、各コントロールバルブに圧油が供給されている。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されず、油圧ポンプ200a、200bから供給される圧油が、供給ライン310、320以外の流路を通って各コントロールバルブに供給されるように構成されてもよい。例えば、油圧ポンプ200a、200bから各コントロールバルブに直接的に圧油が供給されるセンターバイパスラインを通して、各コントロールバルブに圧油が供給されてもよい。油圧ポンプ200aから、コントロールバルブ510~540を順に通って、各コントロールバルブに圧油を供給するように、センターバイパスラインとしての圧油の流路が構成されてもよい。また、油圧ポンプ200bから、コントロールバルブ550~580を順に通って、各コントロールバルブに圧油を供給するように、センターバイパスラインとしての圧油の流路が構成されてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、ハウジング100の内部に、ブーム、アーム及びバケットの駆動を制御するためのコントロールバルブや、キャビンの旋回操作及び走行駆動のための油圧モータの駆動の制御を行うコントロールバルブが、それぞれ設けられている構成について説明した。しかしながら本発明は上記実施形態に限定されない。コントロールバルブによって駆動を制御されるアクチュエータは、他の構成であってもよい。例えば、上記のアクチュエータのうち、一部のアクチュエータのみの駆動を制御するために、一部の種類のコントロールバルブを有するマルチコントロールバルブユニットが用いられてもよい。また、本実施形態で用いられていない種類のアクチュエータを駆動するコントロールバルブを有するマルチコントロールバルブユニットが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0078】
100 ハウジング
130a、130b パイロット室形成部材
200a、200b 油圧ポンプ
510、520、530、540、550、560、570、580 コントロールバルブ
521 パイロット室(第1パイロット室)
524 弁室(第1弁室)
525 スプール(第1スプール)
561 パイロット室(第2パイロット室)
564 弁室(第2弁室)
565 スプール(第2スプール)
620 アームシリンダ
630 ブームシリンダ
800a、800b 電磁比例減圧弁
1000 マルチコントロールバルブユニット