(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ラックバーの製造装置
(51)【国際特許分類】
B21K 1/76 20060101AFI20220929BHJP
B21J 5/12 20060101ALI20220929BHJP
B21J 3/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B21K1/76 A
B21J5/12 A
B21J3/00
(21)【出願番号】P 2018186973
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390029089
【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山脇 崇
(72)【発明者】
【氏名】野村 聖人
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-229675(JP,A)
【文献】特開2010-046705(JP,A)
【文献】特開2006-122924(JP,A)
【文献】特開2008-229676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21K 1/76
B21J 5/02 - 5/12
B21J 3/00
B21J 9/02 - 9/08
B21J 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型によって外周を囲まれた中空の軸材に芯金を圧入することにより、前記金型の形状を前記軸材の外周に転写して、前記軸材の外周にラックを形成するラックバーの製造装置であって、
前記金型と、
前記金型を保持するホルダと、
を備え、
前記金型は、
下型と、
前記軸材の外周を囲む成形空間を前記下型との間に形成する成形溝を有する上型と、
を含み、
前記ホルダは、
前記上型を保持する可動な上型ホルダと、
前記下型を保持する保持溝を有し、前記上型ホルダと一体に移動される前記上型が前記保持溝内において上下動される下型ホルダと、
を含み、
前記金型が閉じられている状態で、前記上型の下面から前記成形溝の深さ以上の範囲に亘る前記上型の下部と前記保持溝の幅方向両側の側面との間のクリアランスは、前記上型の上部と前記保持溝の幅方向両側の側面との間のクリアランスよりも小さ
く、
前記保持溝を当該保持溝の幅方向に挟んで設けられており、前記保持溝の幅方向両側の側面から突出可能な一対の押圧部材を備え、
前記金型が閉じられている状態で、前記一対の押圧部材は、前記保持溝の幅方向両側の側面から突出し、前記上型の前記下部を挟持するラックバーの製造装置。
【請求項2】
請求項1記載のラックバーの製造装置であって、
前記上型の前記下部の幅方向両側の側面は、前記上型の前記上部の幅方向両側の側面に対して凸設されているラックバーの製造装置。
【請求項3】
請求項1記載のラックバーの製造装置であって、
前記保持溝の幅方向両側の側面において、前記上型の前記上部と対向する上領域は、前記上型の前記下部と対向する下領域に対して凹設されているラックバーの製造装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のラックバーの製造装置であって、
前記上型の前記下部の幅方向両側の側面及び/又は前記保持溝の幅方向両側の側面における前記下領域に、潤滑剤を保持する一つ以上の凹部が設けられているラックバーの製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項記載のラックバーの製造装置であって、
前記軸材の軸方向一端側の第1の開口を通して前記軸材に挿入される第1の芯金押棒と、
前記軸材の軸方向他端側の第2の開口を通して前記軸材に挿入される第2の芯金押棒と、
を備え、
前記芯金は、回り止め部を有し、
前記第1の芯金押棒は、前記回り止め部と係合する先端部を有し、
前記第1の芯金押棒の先端部と前記芯金の回り止め部とが係合しており且つ前記芯金が前記第1の芯金押棒と前記第2の芯金押棒とによって挟まれた状態で、前記芯金は、前記第1の芯金押棒によって前記軸材に圧入され、前記第2の芯金押棒によって押し戻されるラックバーの製造装置。
【請求項6】
請求項5記載のラックバーの製造装置であって、
前記第1の芯金押棒と一体に移動される第1の連結部材と、
前記第2の芯金押棒と一体に移動される第2の連結部材と、
前記第1の連結部材と前記第2の連結部材を連結し、前記芯金が前記第1の芯金押棒と前記第2の芯金押棒とによって挟まれた状態を維持する連結手段と、
前記第1の連結部材と前記第2の連結部材とが連結された状態で、前記第1の芯金押棒及び前記第2の芯金押棒を移動させる単一の押棒駆動部と、
を備えるラックバーの製造装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項記載のラックバーの製造装置であって、
前記金型は、前記軸材の少なくとも一端側の端部が当該金型の外部に突出した状態に前記軸材を保持し、
前記金型から突出している前記軸材の前記端部に上方から当接する離型部材を有し、前記ラックが形成された前記軸材を前記上型から離型させる離型機構を備えるラックバーの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のステアリング装置等に使用されるラックバーの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラックバーは、軸材にラックが形成されているものであり、軽量化のため、中空の軸材からなるラックバーも知られている。中空の軸材からなるラックバーは、例えば金型によって外周を保持された中空の軸材に芯金が圧入されて製造される。芯金が圧入されることにより、金型の形状が軸材の外周に転写され、軸材の外周にラックが形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたラックバーの製造装置は、ラック歯型を有する上型と、下型と、上型を保持する可動な上型ホルダと、下型を保持する固定の下型ホルダとを備える。下型ホルダは溝を有し、下型は溝の底部に固定されている。上型は、上型ホルダと一体に移動され、下型ホルダの溝内において上下動される。軸材は、上型と下型との間に挟まれて保持され、上型と下型とによって保持された軸材に芯金が圧入される。
【0004】
また、中空の軸材からなるラックバーは、典型的には、ラックの硬度を高めるために焼入される。しかし、軸材のラック形成区間の断面形状が非対称であり、且つラック加工時の残留応力が高いため、焼入に起因して曲がりが生じやすい。そこで、中空の軸材からなるラックバーの焼入方法として、ラック形成区間を上下方向及び左右方向から拘束した状態で焼入する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-229675号公報
【文献】特開2000-119739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたラックバーの製造装置において、上型は、上下動に応じて下型ホルダの溝の側面を摺動する。このため、上型と下型ホルダの溝の側面との間には、適宜なクリアランスが設けられている。ここで、芯金が圧入された軸材は、芯金によって外径側に押圧され、軸材を保持する上型及び下型もまた、軸材を介して径方向に押圧される。上型及び下型に作用する荷重は、上型ホルダ及び下型ホルダによって支持されるが、上型と下型ホルダの溝の側面との間には、上型の摺動を可能とするクリアランスが設けられている。このため、軸材によって径方向に押圧された上型は、上型と下型ホルダの溝の側面との間のクリアランスだけ、左右方向に押し広げられる。
【0007】
上型が左右方向に押し広げられると、軸材も左右方向に膨らみ、軸材のラック形成区間の真直度や真円度が低下する虞がある。そして、ラック形成区間の真直度や真円度が低下すると、ラックバーが焼入される際に、ラック形成区間の拘束が長さ方向に一定とならず、ラックの精度が低下する虞がある。一方、上型と下型ホルダの溝の側面との間のクリアランスが狭められた場合に、上型の変形は抑制されるが、上型の円滑な移動が妨げられ、ラックバーの製造装置の動作に支障が生じる虞がある。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、動作性を確保でき、ラックの精度を高めることができるラックバーの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様のラックバーの製造装置は、金型によって外周を囲まれた中空の軸材に芯金を圧入することにより、前記金型の形状を前記軸材の外周に転写して、前記軸材の外周にラックを形成するラックバーの製造装置であって、前記金型と、前記金型を保持するホルダと、を備え、前記金型は、下型と、前記軸材の外周を囲む成形空間を前記下型との間に形成する成形溝を有する上型と、を含み、前記ホルダは、前記上型を保持する可動な上型ホルダと、前記下型を保持する保持溝を有し、前記上型ホルダと一体に移動される前記上型が前記保持溝内において上下動される下型ホルダと、を含み、前記金型が閉じられている状態で、前記上型の下面から前記成形溝の深さ以上の範囲に亘る前記上型の下部と前記保持溝の幅方向両側の側面との間のクリアランスは、前記上型の上部と前記保持溝の幅方向両側の側面との間のクリアランスよりも小さい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、動作性を確保でき、ラックの精度を高めることができるラックバーの製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態を説明するための、ラックバーの一例の斜視図である。
【
図2】
図1のラックバーの製造工程の概略を示す模式図である。
【
図3】
図1のラックバーの製造工程及び製造装置の概略を示す模式図である。
【
図4】
図1のラックバーの製造装置の断面図である。
【
図6】
図4の製造装置によって製造されるラックバーの平面図である。
【
図8】
図4の製造装置の他の変形例の断面図である。
【
図9】
図4の製造装置が備える芯金の好ましい構成例の平面図である。
【
図11】
図4の製造装置が備える第1の芯金押棒の好ましい構成例の平面図である。
【
図12】
図9及び
図10の芯金と
図11の第1の芯金押棒を備える製造装置を用いた、ラックバーの好ましい製造工程例を示す模式図である。
【
図13】
図9及び
図10の芯金と
図11の第1の芯金押棒を備える製造装置を用いた、ラックバーの好ましい製造工程例を示す模式図である。
【
図14】
図9及び
図10の芯金と
図11の第1の芯金押棒を備える製造装置を用いた、ラックバーの好ましい製造工程例を示す模式図である。
【
図15】
図4の製造装置の好ましい構成例の模式図である。
【
図17】
図4の製造装置の他の好ましい構成例の模式図である。
【
図18】
図17の製造装置を用いた、ラックバーの好ましい製造工程例を示す模式図である。
【
図19】
図17の製造装置を用いた、ラックバーの好ましい製造工程例を示す模式図である。
【
図20】
図17の製造装置を用いた、ラックバーの好ましい製造工程例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、ラックバーの一例を示す。
【0013】
ラックバー1は、断面円形状の中空の軸材2からなるラックバーであり、軸材2の軸方向の両端は開口している。軸材2の長さの一部区間にはラック3が形成されている。ラック3が形成されている区間(以下、ラック形成区間という)の断面形状は非円形状であり、ラック形成区間から外れた区間の断面形状は円形状である。ラックバー1は、例えば次のようにして製造される。
【0014】
図2及び
図3は、ラックバー1の製造装置及び製造工程の概略を示す。
【0015】
軸材2は、例えばJIS-S45C等の鋼からなる中空の軸材である。軸材2には、典型的には、成形性及び防食性を高めるボンデライジング処理が施されている。
【0016】
図2に示すように、軸材2の長さの一部区間には、軸材2の軸方向に延びる平潰し部4が形成される。この平潰し部4の平坦な外面には、以下に説明する中空ラックバーの製造装置10によってラック3が形成される。平潰し部4は、例えば軸材2の長さの一部区間がラック3の歯底高さ付近までプレス加工で平坦状に押し潰されることによって形成される。
【0017】
図3に示すように、中空ラックバーの製造装置10は、金型11と、複数の芯金12と、複数の芯金12を保持する芯金ホルダ13と、第1の芯金押棒14と、第2の芯金押棒15とを備える。
【0018】
平潰し部4を含む軸材2の長さの一部区間が金型11によって保持される。金型11は上型16と下型17とを備える。上型16と下型17とは、図示しない型締め機構により開閉され、軸材2を上下方向に挟み、軸材2の外周を保持する。上型16にはラック歯型18が取外し可能に装着されており、ラック歯型18は平潰し部4の略平坦な外面に当接した状態で固定される。平潰し部4の外面に接するラック歯型18の成形面18aには、ラック3を成形する複数の歯溝が設けられている。
【0019】
芯金ホルダ13に保持されている複数の芯金12のうち一つの芯金12が、軸材2の軸方向一端側の第1の開口5から軸材2に挿入され、第1の芯金押棒14によって平潰し部4の内部に圧入される。そして、圧入された芯金12は、軸材2の軸方向他端側の第2の開口6から軸材2に挿入される第2の芯金押棒15によって押し戻され、軸材2から排出される。芯金12が平潰し部4の全長に亘って往復移動される過程で、平潰し部4の材料が芯金12によってしごかれ、ラック歯型18に向けて塑性流動する。芯金12が次第に大きなものに替えられ、芯金12の圧入が繰り返されることにより、平潰し部4の材料がラック歯型18の成形面18aの歯溝に次第に食い込み、成形面18aの形状が平潰し部4に転写され、平潰し部4にラック3が形成される。
【0020】
ラック3が形成された軸材2は、必要に応じて、歯の成形に伴う曲りの矯正、外周面の研削が施され、そして、ラック3の硬度を高めるために焼入が施される。焼入の際の加熱は、例えば高周波誘導加熱によって行うことができるが、高周波誘導加熱に限定されない。また、焼入の際の加熱範囲は、ラック形成区間を含む限りにおいて特に限定されず、ラック形成区間だけでもよいし、軸材2の全長でもよい。また、焼入の際には、好ましくは、特許文献2に記載された焼入方法のように、ラック形成区間が上下方向及び左右方向から拘束され、焼入に起因する軸材2の曲がりが抑制される。
【0021】
図4及び
図5は、金型11と、金型11を保持するホルダの構成を示す。
【0022】
金型11は、上型16と下型17とを備え、金型11を保持するホルダ20は、上型を保持する上型ホルダ21と、下型17を保持する下型ホルダ22とを備える。上型ホルダ21は、上記型締め機構(不図示)によって上下動される。下型ホルダ22は、ホルダ支持フレーム23によって支持されており、ホルダ支持フレーム23は、製造装置10の基台24に固定されている。
【0023】
下型ホルダ22は保持溝25を有し、保持溝25は、下型ホルダ22の上面に開放され且つ保持溝25の長さ方向に下型ホルダ22を横断して形成されている。下型17は、保持溝25に嵌め入れられ、保持溝25の底部に固定されている。上型ホルダ21と一体に上下動される上型16は、保持溝25内において上下動され、上下動に伴って保持溝25の幅方向両側の側面25a,25bを摺動する。上型16の上下動に応じ、金型11が開閉される。
【0024】
金型11が閉じられている状態で、上型16の下面16aと、下型17の上面17aとは突合されている。上型16の下面16aには、保持溝25の長さ方向に下面16aを横切る成形溝26が形成されており、下型17の上面17aにも、保持溝25の長さ方向に上面17aを横切る成形溝27が形成されている。上型16の成形溝26と下型17の成形溝27とが合わさることにより、平潰し部4を含む軸材2の長さの一部区間の外周を囲む成形空間が、上型16と下型17との間に形成される。ラック歯型18の成形面18aが上記成形空間に突出した状態で、ラック歯型18は上型16に装着されている。
【0025】
下型ホルダ22及びホルダ支持フレーム23の内部には主冷却路28が設けられており、上型16の内部には副冷却路29が設けられている。主冷却路28は、下型ホルダ22の内部において下型17を囲むように形成されている。副冷却路29は、金型11が閉じられている状態では主冷却路28と連通し、金型11が開かれている状態では主冷却路28から外れる。主冷却路28と連通される副冷却路29の連通部位は、金型11が開かれている状態では、上型16の側面によって閉じられる。
【0026】
主冷却路28の流入口30及び流出口31には、液冷却器を備える冷却液循環装置(不図示)が接続される。例えば製造装置10の運転中、冷却液循環装置は継続して運転され、主冷却路28及び副冷却路29に冷却液が流通される。主冷却路28及び副冷却路29に冷却液が流通されることにより、上型16、下型17、及びラック歯型18の温度上昇が抑制され、温度上昇に伴う熱膨張が抑制される。これにより、ラック3の精度が高まる。
【0027】
また、下型ホルダ22及びホルダ支持フレーム23の内部には給油路32が設けられている。また、保持溝25の幅方向両側の側面25a,25bには噴射ノズル33が設けられており、給油路32は一対の噴射ノズル33に接続されている。噴射ノズル33は保持溝25の長さ方向に延びており、噴射ノズル33には複数の噴射孔が長さ方向に間隔をあけて設けられている、
【0028】
給油路32の流入口34には、給油装置(不図示)が接続される。例えば金型11が開かれる都度、給油装置は所定量の加工油を圧送し、加工油が一対の噴射ノズル33の各噴射孔からラック歯型18の成形面18aに向けて噴射される。加工油がラック歯型18の成形面18aに噴き付けられることにより、成形面18aが洗浄される。ラック3の成形に伴い、ボンデライジング処理によって軸材2の外面に生成された皮膜の一部が成形面18aに付着する場合があるが、成形面18aが加工油によって洗浄されることにより、被膜等の異物が成形面18aから除去される。これにより、成形面18aに付着した異物に起因するラック3の成形不良が回避される。
【0029】
図5に示すように、上型16の下面16aから成形溝26の深さ以上の範囲に亘る部分を上型16の下部35として、上型16の下部35の幅方向両側の側面35a,35bは、上型16の上部36の幅方向両側の側面36a,36bに対して凸設されている。上型16の下部35の両側面35a,35bが相対的に凸設されていることにより、金型11が閉じられている状態で、上型16の下部35と保持溝25の幅方向両側の側面25a,25bとの間のクリアランスC1は、上型16の上部36と保持溝25の幅方向両側の側面25a,25bとの間のクリアランスC2よりも小さくなっている。
【0030】
ここで、芯金12が圧入された軸材2は、芯金12によって外径側に押圧され、軸材2を保持する上型16及び下型17もまた、軸材2を介して径方向に押圧される。特に、成形溝26が設けられている上型16の下部35には、上部36に比べて押圧力が幅方向に強く作用する。しかし、上型16の下部35と保持溝25の両側面25a,25bとの間のクリアランスC1が相対的に小さくなっており、押圧力に起因する下部35の幅方向の広がりが抑制される。
【0031】
上型16の下部35の幅方向の広がりが抑制されることにより、
図6において二点鎖線で示す、軸材2のラック形成区間の左右方向の膨らみもまた抑制される。これにより、軸材2のラック形成区間の真直度や真円度が維持される。上述したとおり、ラック3が形成された軸材2は、ラック形成区間が上下方向及び左右方向から拘束された状態で焼入れされるが、ラック形成区間の真直度や真円度が維持されていることにより、ラック形成区間の拘束が長さ方向に一定となり、ラック3の精度が高まる。
【0032】
一方、上型16の上部36と保持溝25の両側面25a,25bとの間のクリアランスC2は相対的に大きくなっており、上型16の円滑な移動も確保される。これにより、製造装置10の動作が安定する。
【0033】
なお、
図7に示すように、金型11が閉じられている状態で、保持溝25の幅方向両側の側面25a,25bのうち、上型16の上部36と対向する領域を上領域25a1,25b1とし、上型16の下部35と対向する領域を下領域25a2,25b2として、上領域25a1,25b1が下領域25a2,25b2に対して凹設され、これにより、上型16の下部35と保持溝25との間のクリアランスC1が、上型16の上部36と保持溝25との間のクリアランスC2よりも小さくされてもよい。
【0034】
上型16の下部35の両側面35a,35bが相対的に凸設される場合(
図5参照)、及び保持溝25の両側面25a,25bの上領域25a1,25b1が相対的に凹設される場合(
図7参照)のいずれの場合にも、好ましくは、上型16の下部35の両側面35a,35b及び/又は保持溝25の両側面25a,25bの下領域25a2,25b2に一つ以上の凹部37が設けられ、凹部37に潤滑剤が保持される。これにより、上型16の移動が一層円滑となり、製造装置10の動作がさらに安定する。
【0035】
また、
図8に示すように、一対の押圧部材38と、一対の押圧部材38を移動させる駆動部39とを備えてもよい。駆動部39は一対の圧力室40を有し、一対の圧力室40は、保持溝25を幅方向に挟んでホルダ支持フレーム23に設けられている。そして、各圧力室40には、保持溝25の幅方向に各圧力室40から保持溝25まで延びる挿通孔41が設けられている。押圧部材38は、隔壁42と、隔壁42から延びる押圧ロッド43とを有し、隔壁42は圧力室40に収容されており、押圧ロッド43は挿通孔41に収容されている。隔壁42は、保持溝25の幅方向に圧力室40を二分しており、圧力室40内を保持溝25の幅方向に前後移動可能である。隔壁42の前後移動に応じて、押圧ロッド43の先端部は、保持溝25に突出し、又は挿通孔41に収納される。
【0036】
駆動部39は、例えば油等の圧力媒体を給排する給排装置44と、圧力媒体を流通させる給排路45a,45bとをさらに有する。圧力室40は、隔壁42によって第1の圧力室40aと第2の圧力室40bとに二分されており、給排路45aは第1の圧力室40aに連通しており、給排路45bは第2の圧力室40bに連通している。第1の圧力室40aに圧力媒体が供給され、第2の圧力室40bから圧力媒体が排出されることにより、押圧ロッド43の先端部は保持溝25に突出し、逆に、第1の圧力室40aから圧力媒体が排出され、第2の圧力室40bに圧力媒体が供給されることにより、押圧ロッド43の先端部は挿通孔41に収納される。
【0037】
給排装置44は、金型11が閉じられている状態では、一対の圧力室40それぞれの第1の圧力室40aに圧力媒体を供給する。圧力媒体が第1の圧力室40aに供給されることにより、一対の押圧ロッド43の先端部が保持溝25の両側面25a,25bから突出し、上型16の下部35が一対の押圧ロッド43によって幅方向に挟持される。すなわち、上型16の下部35(
図5、
図7参照)と保持溝25の両側面25a,25bとの間のクリアランスC1はゼロとなる。これにより、芯金12の圧入によって上型16に作用する押圧力に対し、上型16の下部35の幅方向の広がりが一層抑制される。
【0038】
一方、給排装置44は、金型11が開閉される際には、一対の圧力室40それぞれの第2の圧力室40bに圧力媒体を供給する。圧力媒体が第2の圧力室40bに供給されることにより、一対の押圧ロッド43の先端部は挿通孔41に収納される。すなわち、上型16の下部35(
図5、
図7参照)と保持溝25の両側面25a,25bとの間のクリアランスC1が、上型16の上部36(
図5、
図7参照)と保持溝25の両側面25a,25bとの間のクリアランスC2と同等に拡大される。これにより、上型16が一層円滑に移動可能となる。
【0039】
以下、上述した製造装置10の好ましい構成例について説明する。
【0040】
図9及び
図10は、芯金12の好ましい構成例を示し、
図11は、第1の芯金押棒14の好ましい構成例を示す。
【0041】
図9及び
図10に示すように、芯金12は、軸材2の内周面に沿う円筒状の底面12aと、この底面12aの両端から上向きに略平行に延びる一対の側面12b,12cと、一対の側面12b,12cの上端をつなぐ上面12dとを有する。芯金12の上面12dには、複数の凸部50が設けられており、複数の凸部50は、芯金12の長さ方向に間隔をあけて配置されている。軸材2に圧入される複数の芯金12それぞれの凸部50の高さは互いに異なっており、相対的に低い凸部50を有する芯金12から順に軸材2に圧入される。そして、凸部50が軸材2の平潰し部4(
図3参照)を摺動するように、芯金12は軸材2に圧入される。
【0042】
芯金12の長さ方向の一方の端部には、回り止め部51が設けられている。
図9に示す例では、回り止め部51は、円筒状の凹曲面51aによって形成されており、凹曲面51aの中心軸は芯金12の上下方向と略平行である。なお、回り止め部51は、円筒状の凹曲面によって形成されるものに限定されず、例えば、円筒状の凸曲面によって形成されてもよいし、芯金12の円筒状の底面12aの中心軸から外れて配置される凹部又は凸部によって形成されてもよい。
【0043】
図11に示すように、芯金12を軸材2に圧入する第1の芯金押棒14は、芯金12と共に軸材2に挿入される挿入部52を有し、挿入部52の長さ方向に垂直な断面形状は、芯金12の長さ方向に垂直な断面形状と略同じである。そして、挿入部52の先端部53は、芯金12の回り止め部51と係合可能である。
図11に示す例では、円筒状の凹曲面51aによって形成される回り止め部51に対応して、挿入部52の先端部53は、円筒状の凸曲面53aによって形成されている。
【0044】
なお、芯金12の回り止め部51が円筒状の凸曲面によって形成される場合に、挿入部52の先端部53は、円筒状の凹曲面によって形成される。また、回り止め部51が、芯金12の円筒状の底面12aの中心軸から外れて配置される凹部によって形成される場合に、挿入部52の先端部53は、回り止め部51の凹部に嵌合する凸部によって形成され、回り止め部51が、底面12aの中心軸から外れて配置される凹部によって形成される場合に、挿入部52の先端部53は、回り止め部51の凸部に嵌合する凹部によって形成される。
【0045】
図12から
図14は、芯金12及び第1の芯金押棒14が上記構成を備える場合の、ラックバー1の好ましい製造工程例を示す。
【0046】
図12に示すように、芯金ホルダ13に保持されている複数の芯金12のうち一つの芯金12が、芯金ホルダ13により、軸材2の第1の開口5に対向して配置される。そして、第1の芯金押棒14が移動され、軸材2の第1の開口5に対向して配置された芯金12の回り止め部51と、第1の芯金押棒14の挿入部52の先端部53とが係合する。なお、第2の芯金押棒15は待機位置P1にあって、第2の芯金押棒15の挿入部54の先端部は、軸材2の第2の開口6に対向して配置されている。
【0047】
次に、
図13に示すように、第2の芯金押棒15がセット位置P2に移動され、第2の芯金押棒15の挿入部54が、軸材2の第2の開口6から軸材2に挿通される。軸材2に挿通された挿入部54の先端部は、軸材2の第1の開口5から突出し、第1の開口5に対向して配置されている芯金12に当接する。これにより、芯金12が、第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とによって挟持される。
【0048】
次に、
図14に示すように、芯金12を挟持した第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とが同期して移動され、芯金12が、軸材2の第1の開口5を通して軸材2に挿入され、平潰し部4の内部に圧入される。引き続き、第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とが同期して移動され、圧入された芯金12が押し戻され、軸材2から排出される。
【0049】
第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とが同期して移動されることにより、芯金12が第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とによって挟持されている状態が維持される。したがって、芯金12の回り止め部51と第1の芯金押棒14の先端部53との係合も維持され、芯金12の回転が阻止される。これにより、芯金12の凸部50が軸材2の平潰し部4を適正に摺動し、平潰し部4に形成されるラック3の精度が高まる。
【0050】
図15及び
図16は、第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とが同期して移動される場合の、製造装置10の好ましい構成例を示す。
【0051】
第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とが同期して移動される場合に、第1の芯金押棒14及び第2の芯金押棒15の押棒毎に押棒駆動部が設けられてもよいが、好ましくは、第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とが連結され、連結された第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とが単一の押棒駆動によって移動される。
図15及び
図16に示す製造装置10は、第1の芯金押棒14と一体に移動される第1の連結部材60と、第2の芯金押棒15と一体に移動される第2の連結部材61と、第1の連結部材60と第2の連結部材61とを連結する連結手段62と、一つの押棒駆動部63とを備える。
【0052】
第1の芯金押棒14は、基台24上に設置された第1の移動台64によって保持されており、第1の移動台64は、軸材2に対して挿抜される第1の芯金押棒14の移動方向に移動可能である。第1の連結部材60は、第1の移動台64に固定されており、基台24の下部において第1の芯金押棒14及び第1の移動台64と一体に移動される。
【0053】
第2の芯金押棒15は、基台24上に設置された第2の移動台65によって保持されており、第2の移動台65は、軸材2に対して挿抜される第2の芯金押棒15の移動方向に移動可能である。第2の連結部材61は、第2の移動台65に固定されており、基台24の下部において第2の芯金押棒15及び第2の移動台65と一体に移動される。そして、第2の芯金押棒15のセット位置P2に対応する位置に第2の連結部材61が移動された際に、第1の連結部材60と第2の連結部材61とは連結手段62によって連結される。
【0054】
連結手段62は、第1の連結部材60と第2の連結部材61とを切断可能に連結する。連結手段62は、例えば第1の連結部材60と第2の連結部材61とを一続きに貫通するピンであり、第1の連結部材60及び第2の連結部材61に対するピンの着脱は、モータ等を用いて自動的に行われる。
【0055】
押棒駆動部63は、直動アクチュエータを含み、第1の芯金押棒14を保持している第1の移動台64を往復移動させる。第1の連結部材60と第2の連結部材61とが連結手段62によって連結されている状態では、第1の移動台64が移動されることによって第2の移動台65も移動され、第2の移動台65に保持されている第2の芯金押棒15が第1の芯金押棒14と同じ方向に移動される。
【0056】
第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とが連結手段62によって連結され、連結された第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とが単一の押棒駆動部63によって移動されることにより、第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とが容易に且つ確実に同期して移動される。したがって、芯金12が第1の芯金押棒14と第2の芯金押棒15とによって挟持されている状態もまた確実に維持される。また、第1の芯金押棒14及び第2の芯金押棒15の押棒毎に押棒駆動部が設けられる場合に比べて、製造装置10の小型化も図られる。
【0057】
なお、第1の連結部材60と第2の連結部材61との連結が切断されている状態では、第2の移動台65は駆動部66によって移動される。例えば第2の芯金押棒15が待機位置P1からセット位置P2に移動され、第1の連結部材60と第2の連結部材61とが連結手段62によって連結されるまで、第2の移動台65は駆動部66によって移動される。駆動部66は、例えばエアーシリンダ等であり、芯金12を軸材2に圧入し且つ圧入された芯金12を押し戻すための押棒駆動部63に比べて小型の直動アクチュエータで足りる。
【0058】
図17は、製造装置10の他の好ましい構成例を示す。
【0059】
図17に示す製造装置10は、離型機構70と、セット機構80とを備え、金型11に対する軸材2の供給及び排出が自動的に行われるように構成されている。なお、軸材2は、平潰し部4を含む軸材2の長さの一部区間が金型11によって保持された際に、軸材2の第2の開口6側の端部が金型11から突出して配置されるだけの長さを有する。以下、軸材2において金型11から突出して配置される部位を突出部位7という。
【0060】
離型機構70は、ラック3が成形された軸材2を上型16及びラック歯型18から離すためのものであり、離型部材71と、昇降手段72とを有する。離型部材71は、金型11と待機位置P1に配置された第2の芯金押棒15との間に設けられている。離型部材71は、軸材2が挿通可能な通し部73を有する。通し部73の孔形状は円形に限定されず、切れ目を有するC字状であってもよい。昇降手段72は、モータ等を用いて離型部材71を昇降させる。離型部材71が昇降手段72によって下降されることにより、ラック3が形成された軸材2が上型16及びラック歯型18から離される。
【0061】
セット機構80は、金型11が開かれている状態で、金型11に対して軸材2を供給しまた排出するものであり、セット部材81と、駆動部82とを有する。セット部材81は、離型部材71を境に金型11とは反対側に設けられている。セット部材81は、軸材2を着脱可能に把持するチャック83を有する。駆動部82は、チャック83が金型11に対して接離する方向及び上下方向に移動されるよう、モータ等を用いてセット部材81を移動させる。
【0062】
図18から
図20は、製造装置10が、離型機構70と、セット機構80とを備える場合の、ラックバー1の好ましい製造工程例を示す。
【0063】
図18に示すように、金型11が開かれている状態で、離型機構70の離型部材71は待機位置に配置されており、セット機構80のチャック83は待機位置に配置されている。離型部材71は、待機位置において、最も下降した状態に保持されており、離型部材71の通し部73は、下型17の成形溝27の一端に対向している。
【0064】
次に、セット機構80の駆動部82が動作され、チャック83が軸材2の突出部位7を把持し、チャック83に把持された軸材2が金型11内に挿入される。平潰し部4を含む軸材2の長さの一部区間が、離型部材71の通し部73に挿通されて下型17の成形溝27にセットされる。この後、金型11が閉じられる。チャック83に把持されている軸材2の突出部位7は、金型11から突出して配置されている。
【0065】
金型11によって保持された軸材2に対し、第1の芯金押棒14及び第2の芯金押棒15によって芯金12の圧入が繰り返し行われ、軸材2の平潰し部4にラック3が形成される。芯金12の圧入及びラック3の形成工程は、
図12から
図14に示したとおりである。
【0066】
次に、ラック3が形成された軸材2が金型11から取り出される。
図19に示すように、金型11が開かれる際に、ラック3がラック歯型18に付着しており、軸材2は、上昇する上型16及びラック歯型18と一体に移動される。上型16及びラック歯型18の上昇に同期してセット機構80の駆動部82が動作され、軸材2の突出部位7を把持しているチャック83も上昇される。併せて、上型16及びラック歯型18の上昇に同期して離型機構70の昇降手段72が動作され、離型部材71も上昇される。
【0067】
図20に示すように、金型11の型開きが完了した後、離型機構70の昇降手段72及びセット機構80の駆動部82が同期して動作されて、離型部材71及びチャック83が下降される。離型部材71の通し部73に挿通されている軸材2が離型部材71によって下方に押圧され、軸材2が上型16及びラック歯型18から離される。
【0068】
最後に、軸材2の突出部位7を把持しているチャック83が、セット機構80の駆動部82によって金型11から離れる方向に移動される。これにより、軸材2が、離型部材71の通し部73を通って金型11から引き出される。
【0069】
以上、説明したとおり、本明細書に開示されたラックバーの製造装置は、金型によって外周を囲まれた中空の軸材に芯金を圧入することにより、前記金型の形状を前記軸材の外周に転写して、前記軸材の外周にラックを形成するラックバーの製造装置であって、前記金型と、前記金型を保持するホルダと、を備え、前記金型は、下型と、前記軸材の外周を囲む成形空間を前記下型との間に形成する成形溝を有する上型と、を含み、前記ホルダは、前記上型を保持する可動な上型ホルダと、前記下型を保持する保持溝を有し、前記上型ホルダと一体に移動される前記上型が前記保持溝内において上下動される下型ホルダと、を含み、前記金型が閉じられている状態で、前記上型の下面から前記成形溝の深さ以上の範囲に亘る前記上型の下部と前記保持溝の幅方向両側の側面との間のクリアランスは、前記上型の上部と前記保持溝の幅方向両側の側面との間のクリアランスよりも小さい。
【0070】
また、本明細書に開示されたラックバーの製造装置は、前記上型の前記下部の幅方向両側の側面は、前記上型の前記上部の幅方向両側の側面に対して凸設されている。
【0071】
また、本明細書に開示されたラックバーの製造装置は、前記保持溝の幅方向両側の側面において、前記上型の前記上部と対向する上領域は、前記上型の前記下部と対向する下領域に対して凹設されている。
【0072】
また、本明細書に開示されたラックバーの製造装置は、前記上型の前記下部の幅方向両側の側面及び/又は前記保持溝の幅方向両側の側面における前記下領域に、潤滑剤を保持する一つ以上の凹部が設けられている。
【0073】
また、本明細書に開示されたラックバーの製造装置は、前記保持溝を当該保持溝の幅方向に挟んで設けられており、前記保持溝の幅方向両側の側面から突出可能な一対の押圧部材を備え、前記金型が閉じられている状態で、前記一対の押圧部材は、前記保持溝の幅方向両側の側面から突出し、前記上型の前記下部を挟持する。
【0074】
また、本明細書に開示されたラックバーの製造装置は、前記軸材の軸方向一端側の第1の開口を通して前記軸材に挿入される第1の芯金押棒と、前記軸材の軸方向他端側の第2の開口を通して前記軸材に挿入される第2の芯金押棒と、を備え、前記芯金は、回り止め部を有し、前記第1の芯金押棒は、前記回り止め部と係合する先端部を有し、前記第1の芯金押棒の先端部と前記芯金の回り止め部とが係合しており且つ前記芯金が前記第1の芯金押棒と前記第2の芯金押棒とによって挟まれた状態で、前記芯金は、前記第1の芯金押棒によって前記軸材に圧入され、前記第2の芯金押棒によって押し戻される。
【0075】
また、本明細書に開示されたラックバーの製造装置は、前記第1の芯金押棒と一体に移動される第1の連結部材と、前記第2の芯金押棒と一体に移動される第2の連結部材と、前記第1の連結部材と前記第2の連結部材を連結し、前記芯金が前記第1の芯金押棒と前記第2の芯金押棒とによって挟まれた状態を維持する連結手段と、前記第1の連結部材と前記第2の連結部材とが連結された状態で、前記第1の芯金押棒及び前記第2の芯金押棒を移動させる単一の押棒駆動部と、を備える。
【0076】
また、本明細書に開示されたラックバーの製造装置は、前記金型は、前記軸材の少なくとも一端側の端部が当該金型の外部に突出した状態に前記軸材を保持し、前記金型から突出している前記軸材の前記端部に上方から当接する離型部材を有し、前記ラックが形成された前記軸材を前記上型から離型させる離型機構を備える。
【符号の説明】
【0077】
1 ラックバー
2 軸材
3 ラック
4 平潰し部
5 第1の開口
6 第2の開口
7 突出部位
10 製造装置
11 金型
12 芯金
12a 芯金の底面
12b,12c 芯金の側面
12d 芯金の上面
13 芯金ホルダ
14 第1の芯金押棒
15 第2の芯金押棒
16 上型
16a 上型の下面
17 下型
17a 下型の上面
18 ラック歯型
18a ラック歯型の成形面
20 ホルダ
21 上型ホルダ
22 下型ホルダ
23 ホルダ支持フレーム
24 基台
25 保持溝
25a,25b 保持溝の側面
25a1,25b1 保持溝側面の上領域
25a2,25b2 保持溝側面の下領域
26 上型の成形溝
27 下型の成形溝
28 主冷却路
29 副冷却路
30 主冷却路の流入口
31 主冷却路の流出口
32 給油路
33 噴射ノズル
34 給油路の流入口
35 上型の下部
35a,35b 上型下部の側面
36 上型の上部
36a,36b 上型上部の側面
37 凹部
38 押圧部材
39 駆動部
40 圧力室
40a 第1の圧力室
40b 第2の圧力室
41 挿通孔
42 隔壁
43 押圧ロッド
44 給排装置
45a,45b 給排路
50 芯金の凸部
51 回り止め部
51a 凹曲面
52 第1の芯金押棒の挿入部
53 第1の芯金押棒の先端部
53a 凸曲面
54 第2の芯金押棒の挿入部
60 第1の連結部材
61 第2の連結部材
62 連結手段
63 押棒駆動部
64 第1の移動台
65 第2の移動台
66 駆動部
70 離型機構
71 離型部材
72 昇降手段
73 通し部
80 セット機構
81 セット部材
82 駆動部
83 チャック
C1 上型下部と保持溝とのクリアランス
C2 上型上部と保持溝とのクリアランス
P1 第2の芯金押棒の待機位置
P2 第2の芯金押棒のセット位置