(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】乾燥コンテナ
(51)【国際特許分類】
F26B 9/06 20060101AFI20220929BHJP
B27K 5/00 20060101ALI20220929BHJP
F26B 3/06 20060101ALI20220929BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F26B9/06 Z
B27K5/00 F
F26B3/06
F26B21/00 B
(21)【出願番号】P 2018206473
(22)【出願日】2018-11-01
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】則武 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政登
(72)【発明者】
【氏名】柏原 一仁
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132146(JP,A)
【文献】国際公開第2015/048185(WO,A1)
【文献】特開2010-071561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 9/06
B27K 5/00
F26B 3/06
F26B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の粒状体を収容して送風により乾燥させるために用いる乾燥コンテナにおいて、
箱状のコンテナ本体と、
複数の貫通孔を有する板状の部分であり、前記コンテナ本体の内底面から一定高さを空けて設けられたデッキと、を備え、
前記コンテナ本体
の周壁には、
前記コンテナ本体の内外を連通させる送風口であって、前記コンテナ本体の外部から
前記コンテナ本体の内部に風を供給するための連結管を接続する送風口
が形成され、
前記送風口には、
前記内底面と前記デッキの間のエリアである送風室
につながる位置に形成される主送風領域と、
前記主送風領域とは別の領域であって、前記送風室から上方側又は下方側にずれた場所
にある空間につながる位置に形成される別の領域とが含まれ、
前記コンテナ本体は、前記送風室から上方側又は下方側にずれた位置で
前記別の領域を通じて前記コンテナ本体内に入る風を前記送風室に誘導するように構成される送風ガイド部を有することを特徴とする、乾燥コンテナ。
【請求項2】
前記別の領域には、前記コンテナ本体内における前記デッキよりも上方の
空間である収容室に
つながる位置に形成される収容室側送風領
域が含まれ、
前記送風ガイド部は、前記収容室内で前記収容室側送風領域と前記送風室とを連通させるように構成され、
該送風ガイド部が、前記デッキから上方に立設される一対の壁部であって、前記収容室側送風領域の両側から前記収容室の内側に向かって延出し且つ互いの先端が交わるように傾斜する一対の壁部を有することを特徴とする、請求項1に記載の乾燥コンテナ。
【請求項3】
前記コンテナ本体の底部には、幅方向で間隔をあけて並ぶ一対のローラが設けられ、
前記別の領域には、前記コンテナ本体の前記送風室よりも下方側
の空間につながる位置に形成される下側送風領
域が含まれ、
前記送風ガイド部は、該送風ガイド部自身の少なくとも下端部が、前記コンテナ本体の底部よりも下方側であり且つ前記幅方向において前記一対のローラの設置位置よりも内側の領域に位置するようにして前記コンテナ本体の前記底部に設けられるとともに、前記下側送風領域と前記送風室とを連通させるように構成されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の乾燥コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材チップ等の多数の粒状体を収容して送風により乾燥させるために用いる乾燥コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材チップ用の乾燥コンテナとして、例えば特許文献1に従来例として開示された構造が存在している(特許文献1の
図4)。
【0003】
この乾燥コンテナは、底部が2重底とされており、該乾燥コンテナ内における上側の底部よりも上方の空間が木材チップを収容する収容室、上側の底部と下側の底部との間の空間が風を供給するための送風室となっている。
【0004】
上側の底部は、多数の貫通孔が設けられた多孔板とされている。また、前記乾燥コンテナには、送風室と外部とを連通させる送風口が形成されており、該送風口には外部から風を供給するための連結管(例えば、ダクト等)が接続される。
【0005】
前記乾燥コンテナによれば、連結管から送り出された風が送風口を通じて送風室内に供給され、送風室内の風が多孔板を通り抜けて収容室に流れ込むことで収容室内の木材チップが乾燥するようになっている。
【0006】
ところで、前記乾燥コンテナでは、使用環境(例えば、乾燥コンテナの置き場の環境や、求められる乾燥性能等)に合わせて連結管の取付位置を変更したり、連結管をサイズアップしようとすると、送風室が乾燥コンテナ内の限られた部分に存在することから、連結管の端部と前記送風口との位置関係や、両者のサイズ関係にずれが生じるため、連結管から送り出された風の一部が漏れてしまい、連結管から送り出された風の全てがコンテナ内に供給されず、風の供給効率(連結管から送り出される風の量と乾燥コンテナ内に供給される風の量の割合)が低下するという問題が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、使用環境に合わせて送風室内に風を供給する連結管の取付位置を柔軟に設定できる乾燥コンテナを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、多数の粒状体を収容して送風により乾燥させるために用いる乾燥コンテナにおいて、箱状のコンテナ本体と、複数の貫通孔を有する板状の部分であり、前記コンテナ本体の内底面から一定高さを空けて設けられたデッキと、を備え、前記コンテナ本体には、外部から風を供給するための連結管を接続する送風口であって、少なくとも一部の領域が前記内底面と前記デッキの間のエリアである送風室から上方側又は下方側にずれた場所に位置するように構成される送風口が形成され、前記コンテナ本体は、前記送風室から上方側又は下方側にずれた位置で前記少なくとも一部の領域を通じて前記コンテナ本体内に入る風を前記送風室に誘導するように構成される送風ガイド部を有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、コンテナ本体に風を供給するための送風口が、少なくとも一部の領域が前記送風室から上方側又は下方側にずれた場所に位置するように形成され、さらに、送風ガイド部が送風室の外側で前記少なくとも一部の領域を通じて前記コンテナ本体内に入る風を前記送風室に誘導するため、送風室から上方側又は下方側にずれた場所に位置する前記少なくとも一部の領域を通過する風を収容室側ガイド空間で送風室内に誘導することができる。
【0011】
従って、前記乾燥コンテナによれば、連結管を送風室から上方側又は下方側にずれ場所にかかるように接続したうえで、該連結管から送られる風を漏らさずにコンテナ本体内に供給できる。
【0012】
また、前記送風口には、前記送風室に対応する位置に形成される主送風領域と、前記コンテナ本体内における前記デッキよりも上方のエリアである収容室に対応する位置に形成される収容室側送風領域と、が含まれ、前記送風ガイド部は、前記収容室内で前記収容室側送風領域と前記送風室とを連通させるように構成され、該送風ガイド部が、前記デッキ上に立設される一対の壁部であって、前記収容室側送風領域の両側から前記収容室の内側に向かって延出し且つ互いの先端が交わるように傾斜する一対の壁部を有するように構成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、連結管を送風室から収容室側にずらしてコンテナ本体に接続でき、また、該連結管から送られる風を漏らさずにコンテナ本体内に供給することができる。
【0014】
また、デッキから上に立設される一対の壁部は、収容室内に配置されているが、互いの先端が交わるように傾斜する、すなわち、収容室の内側に向かうにつれて先細りとなるように構成されているため、コンテナ本体内の粒状体を送風口が設けられている一側面から排出する際に、粒状体が壁部に引っ掛かってしまうことを防止でき、これにより、木材チップの排出性を高めることができる。
【0015】
また、前記コンテナ本体の底部には、幅方向で間隔をあけて並ぶ一対のローラが設けられ、前記送風口には、前記送風室に対応する位置に形成される主送風領域と、前記コンテナ本体の前記送風室よりも下方側に形成される下側送風領域と、が含まれ、前記送風ガイド部は、該送風ガイド部自身の少なくとも下端部が、前記コンテナ本体の底部よりも下方側であり且つ前記幅方向において前記一対のローラの設置位置よりも内側の領域に位置するようにして前記コンテナ本体の前記底部に設けられるとともに、前記下側送風領域と前記送風室とを連通させるように構成されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、連結管を送風室から下方側にずらしてコンテナ本体に接続でき、また、該連結管から送られる風を漏らさずにコンテナ本体内に供給することができる。
【0017】
また、送風ガイド部全体がデッキよりも下方側に設けられているため、コンテナ本体内から排出する粒状体が該送風ガイドに引っ掛かることが防止され、これにより、木材チップの排出性を高めることができる。
【0018】
さらに、送風ガイド部の少なくとも下端部を一対のローラの間、すなわち、デッドスペースに配置することによって、乾燥コンテナのサイズを大型化せずに、送風室から下方側にずれた位置でコンテナ本体に接続された連結管からの風を漏らさずにコンテナ本体内に供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、送風口のうちの少なくとも一部の領域を送風室の外側にずれた場所に形成したうえで、該領域を通過する風を送風ガイド部により送風室に誘導することができるため、使用環境に合わせて送風室内に風を供給する連結管の取付位置を柔軟に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥コンテナを含む乾燥コンテナシステムを示す正面図である。
【
図3】
図2のIII-III断面線の断面拡大図である。
【
図5】前記乾燥コンテナの平面図であって、デッキを除いた状態の平面図である。
【
図6】前記乾燥コンテナの送風ガイド部の正面側の斜視図である。
【
図7】前記乾燥コンテナの送風ガイド部の平面図である。
【
図8】前記乾燥コンテナの送風ガイド部の側面図である。
【
図9】前記乾燥コンテナの送風ガイド部の背面側の斜視図である。
【
図10】本発明の他実施形態に係る乾燥コンテナの背面図である。
【
図12】本発明の別の実施形態に係る乾燥コンテナの断面拡大図である。
【
図13】本発明のさらに別の実施形態に係る乾燥コンテナの断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明につき一実施形態を取り上げて説明を行う。なお、説明の都合上、以下の方向の表現は、上下方向については
図1に示す方向を基準とする。また、前後方向については、
図1、
図4に示す状態における左方が車載時に車両前方に位置することから前方とし、同右方が車載時に車両後方に位置することから後方とする。また、幅方向とは車載時の車幅方向に一致する方向であって、
図4に示す上下方向である。
【0022】
本実施形態に係る乾燥コンテナ1は、
図1に示すような乾燥コンテナシステムの一構成要素である。ここで、乾燥コンテナシステムについて説明する。乾燥コンテナシステムは主に、乾燥コンテナ1、気流供給機構2、連結管3から構成されている。
【0023】
乾燥コンテナ1は、図示はしないが車載可能に構成されている。乾燥コンテナ1の内部には多数の粒状体である木材チップ(以下「チップ」)が収容される。収容された多数のチップは送風により、外面に付着した水分及び木材組織内に含まれた水分が蒸発することで乾燥させられる。乾燥したチップは、例えば木質バイオマス発電に用いられる。乾燥により、発電時の燃焼がしやすくなり、かつ、水分が抜けた分軽量化されるため、例えば運搬時において有利である。
【0024】
気流供給機構2は、例えば熱風を発生できる機構であって、図示しないが、送風機とヒーターとを備えている。なお、気流を加熱するための熱源は、例えば、他の装置の排熱を利用して加熱を行う場合、気流供給機構2の外側に設けることもできる。気流の加熱は、乾燥コンテナ1に収容されたチップの乾燥度合や収容量に応じて適宜行うことができる。また、状況によっては加熱を行わず、送風だけを行うこともできる。連結管3は、気流供給機構2で生じた気流(熱風)を乾燥コンテナ1に送るため、乾燥コンテナ1と気流供給機構2とを連結する管であって、パイプやホースを用いることができる。本実施形態では、横断面形状が円形のホース(ダクトホース)が用いられている。
【0025】
乾燥コンテナ1は、一般的な車載コンテナと同様の略直方体形状であって、
図1、
図2に示す乾燥コンテナシステムとしての使用状態において上面が開口しており、底面については閉鎖され、側面については、連結管3が接続される送風口を除いて閉鎖された箱状体である。チップは、乾燥コンテナ1の上面から内部に投入される。
【0026】
乾燥コンテナ1は、気流供給機構2から連結管3を経由して送られた気流(熱風)を底面近傍の部分である底部で受け、その後、収容された多数のチップに気流を当てることができるよう、2重底構造とされている。
【0027】
本実施形態に係る乾燥コンテナ1は、主に、コンテナ本体11、デッキ12、フレーム13(
図5参照)、送風ガイド部14(
図3参照)、を備える。
【0028】
コンテナ本体11は、乾燥コンテナ1の外観に現れる部分である。コンテナ本体11は、上面を開放した箱状に形成されており、底床110と、底床110の外周全周から起立する周壁111と、を有する。
【0029】
底床110は、長方形状であり、周壁111は、前記前後方向における前方の端辺から起立する前壁部1110と、前記前後方向における後方の端辺から起立する後壁部1111と、前記幅方向における端辺から起立する一対の横壁部1112と、を有する。
【0030】
前壁部1110の外面(コンテナ本体11の前部側面)には、
図1に示すように、乾燥コンテナ1を車載する際に、車両側の可動アームが備えるフックが引っ掛けられるフック係合部112が突出している。また、車両への上げ下ろしの際に、地面または路面に対して転がるローラ113が底部の後方に設けられている。このローラ113は、コンテナ本体11の幅方向に一対設けられている。また、設置時に前記ローラ113と共に接地する脚部114が底部の前方に設けられている。この脚部114も、コンテナ本体11の幅方向に一対設けられている。
【0031】
送風口Pは、
図2に示すように、後壁部1111(コンテナ本体11の後部側面)における下部で幅方向中央の位置に形成されており、コンテナ本体11の内外を連通するものである。また、送風口Pには、外部の連結管3を接続可能である。
【0032】
また、後壁部1111には扉115が設けられており、例えばチップの取り出しを行う際、または、コンテナ本体11の内部を清掃する際に、送風口Pの周囲部分を除いて開放できる。なお、コンテナ本体11の底面及び側面は、リブ等が形成されることで補強されている。
【0033】
次に、デッキ12は、厚さ方向に貫通した複数の貫通孔121…121を有する板状の部分であり(
図4参照)、
図3に示すように、コンテナ本体11の底面から一定高さを空けて、底面と平行に設けられている。そのため、コンテナ本体11内は、デッキ12よりも上方のエリアである収容室S1と、底床110(コンテナ本体11の内底面)とデッキ12の間のエリアである送風室S2とに区画されている。
【0034】
本実施形態では、デッキ12にパンチングプレートが用いられている。ただしこれに限らず、例えば、金網と開口率を調整するための部材(スリットを設けた板状体等)との組み合わせを用いてもよく、構成は種々に選択できる。
【0035】
ここで、送風口Pの上下方向での高さ寸法は、送風室S2の上下方向での高さ寸法(すなわち、上下方向におけるコンテナ本体11の内底面からデッキ12までの距離)よりも大きく設定されている。
【0036】
また、送風口Pは、送風室S2に対応する位置(周壁111のうちの送風室S2を画定する部分)と、送風室S2から上方に外れた位置(周壁111のうちの収容室S1を画定する部分)とに跨るようにして形成されている。なお、本実施形態では、送風口Pのうちの送風室S2に対応する位置に形成されている領域を主送風領域R1と称し、送風室S2から上方に外れた位置に形成されている領域を収容室側送風領域R2と称して以下の説明を行うこととする。つまり、上下方向におけるデッキ12の配置位置と同じ位置を境として、かかる位置よりも下方の領域が主送風領域R1、かかる位置よりも上方の領域が収容室側送風領域R2である。
【0037】
次に、フレーム13は、コンテナ本体11の内底面上に設置されており、デッキ12をコンテナ本体11の底床110(内底面)から一定高さを空けた位置で支持するように構成されている。
【0038】
本実施形態に係るフレーム13は、
図5に示すように、送風口Pからコンテナ本体11に導入される気流の方向(前後方向)に平行に延びる支持板130と、該支持板130に直交し且つ該支持板130とコンテナ本体11の幅方向内側面とを連結する副支持板131と、を有する。
【0039】
送風ガイド部14は、
図3に示すように、送風口Pのうちの送風室S2から外れた位置に形成されている領域を通過する風を送風室S2に誘導するように構成されている。なお、送風ガイド部14は、平面視で二等辺三角形状、縦断面視で台形状とされた箱状の部分である。
【0040】
本実施形態では、送風口Pの一部が送風室S2から上方にずれた位置に形成されている、すなわち、送風口Pには送風室S2から上方にずれた位置に形成されている収容室側送風領域R2が含まれているため、該収容室側送風領域R2を通過した風を送風室S2に誘導する収容室側ガイド空間S3を形成するように構成されている。なお、送風口Pの一部が送風室S2から上方にずれた位置に形成されているとは、コンテナ本体11の周壁111のうちの送風口Pが形成された壁部(本実施形態では、後壁部1111)をコンテナ本体11内に向かう方向から見たときに(すなわち、壁部を真っ直ぐに見たときに)送風口Pの上端部がデッキ12のうちの送風口P側の一端よりも上方(高い位置)で開口することである。
【0041】
本実施形態にかかる送風ガイド部14は、
図6乃至
図9に示すように、コンテナ本体11内において、前記幅方向における収容室側送風領域R2の両側から前記前後方向における前方に向かって延出し且つ先端が互いに交わることで該前方に向かって先鋭な角部を構成する一対の側壁部140と、該一対の側壁部140のそれぞれの上端に連設され且つ該一対の側壁部140の間の空間を塞ぐ上壁部141と、を有する。
【0042】
各横壁部1112には、デッキ12に固定される下側横壁部1400と、該下側横壁部1400から上方に延出するとともに、他方の横壁部1112側に向かって傾斜する上側横壁部1401とを有する。
【0043】
下側横壁部1400は、
図6に示すように、デッキ12から上方に延出するとともに他方の横壁部1112側に向かって傾斜するが、下側横壁部1400の傾きよりも上側横壁部1401の傾きの方が大きくなっている。
【0044】
上壁部141は、デッキ12に対しては平行又は略平行である。また、上壁部141は、コンテナ本体11内において、収容室側送風領域R2の上方から前記前後方向における前方に向かって延出し且つ各横壁部1112の上側横壁部1401の上端のそれぞれに連設されている。
【0045】
そのため、
図3に示すように、送風ガイド部14における内部空間のうち後端部は送風口Pにつながっている。また、送風ガイド部14における内部空間のうち下端部は送風室S2につながっている。このように、送風ガイド部14は、コンテナ本体11の内面(本実施形態では後壁部1111)とデッキ12と協働して収容室S1内に、収容室側送風領域R2を通過した風を収容室S1に送るための空間を区画するように構成されている。
【0046】
なお、上壁部141は、工作の都合上発生が不可避のもの(例えば、
図6、
図7における頂点部の穴)を除き、開口部や貫通孔121は設けられていない。このため、送風口Pから導入された気流(熱風)は、送風ガイド部14を介して送風室S2に流れていく。このように、送風口Pは送風ガイド部14を介してコンテナ本体11の外側へと連通している。
【0047】
本実施形態に係る乾燥コンテナ1で木材チップを乾燥させる場合、コンテナ本体11内に木材チップを投入し、気流供給機構2で発生させた風を連結管3からコンテナ本体11内に供給することによって、木材チップを乾燥させる。そして、乾燥コンテナ1を移動させて後壁部1111を木材チップの収集場所に向けた後、扉115を開放し、コンテナ本体11の前方側を吊り上げることにより、乾燥した木材チップを扉115からコンテナ本体11外に排出する。
【0048】
以上のように、コンテナ本体11内には、送風口Pのうちの送風室S2に対応する位置に形成されている主送風領域R1と、送風室S2から上方にずれた位置に形成されている収容室側送風領域R2とから風が供給され、主送風領域R1を通過した風は送風室S2内に直接流れ込み、収容室側送風領域R2を通過した風は収容室側ガイド空間S3を介して送風室S2内に流れ込む。
【0049】
このように、本実施形態に係る乾燥コンテナ1は、送風室S2の上下方向での高さ寸法よりも内径が大きい連結管3を、送風室S2と収容室S1側とに跨るようにして接続したうえで、該連結管3から供給される風を漏らさずにコンテナ本体11内に供給することができる。従って、本実施形態に係る乾燥コンテナ1は、高い乾燥性能が求められる場合に、送風口Pを拡大することでサイズ(内径)の大きい連結管3、すなわち、風の供給量が多い連結管3を接続し、この連結管3から供給される風を漏らさずにコンテナ本体11内に送るようにすることができる。
【0050】
このように、送風口Pのうちの一部の領域を送風室S2の外側にずれた場所に形成したうえで、該領域を通過する風を送風ガイド部14により送風室S2に誘導することができるため、気流を供給する連結管3の取付位置を使用環境に合わせて設定しても気流の供給効率の低下を防止できる。
【0051】
また、本実施形態では、連結管3の送風口の一部が、収容室側送風領域R2に連通する。すなわち、連結管3の送風口の一部が、木材チップが投入されている収容室S1に対応する位置に形成されている。しかし、コンテナ本体11内においては、送風ガイド部14、コンテナ本体11内、デッキ12(デッキ12の上面)により収容室側送風領域R2の周囲が収容室S1に対して仕切られているため、収容室側送風領域R2には木材チップが侵入しないようになっている。
【0052】
さらに、送風ガイド部14は、前方に向かって先鋭となっている。より具体的に説明すると、送風ガイド部14の一対の側壁部140は、コンテナ本体11内において、幅方向における開口の両側から前後方向における前方に向かって延出し且つ先端が互いに交わることで該前方に向かって先鋭な角部を構成するため、コンテナ本体11の前方側を吊り上げて木材チップを排出する際に、木材チップが送風ガイド部14の前面に引っ掛かることを防止することができる。従って、木材チップの排出性を高めることができる。
【0053】
なお、本発明の乾燥コンテナ1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0054】
上記実施形態では、乾燥コンテナ1は車載が可能に構成されていたが、これに限られず、車載しないものであってもよい。この場合、乾燥コンテナ1を一定位置で動かさない固定式としてもよいし、適宜移動できる可搬式としてもよい。特に、車載を前提としない場合、乾燥コンテナ1は、前記実施形態のような略直方体形状に限られず、例えば円筒形状とする等、種々の形状とできる。
【0055】
また、前記実施形態の乾燥コンテナ1は上面が常に開放されていた。しかしこれに限定されず、例えばチップに雨水が当たらないようにするため、上面を必要により閉じることができる、硬質材料または軟質材料からなる蓋を設けることもできる。
【0056】
さらに、前記実施形態の送風口Pは、コンテナ本体11の後部側面に設けられていた。しかし、これに限定されず、送風口Pをコンテナ本体11の幅方向側面、底面、また、角部に設けることもできる。
【0057】
上記実施形態において、送風口Pは送風室S2と収容室S1とに跨るように形成し、該送風口Pの収容室側送風領域R2を通過する風を送風ガイド部14により送風室S2に誘導していたが、この構成に限定されない。例えば、
図10、
図11に示すように、送風口Pを送風室S2と送風室S2よりも下方側の領域とに跨るように形成し、送風ガイド部14は、該送風口Pの送風室S2よりも下方側に位置している下側送風領域R3を通過する風を収容室S1に誘導する下側ガイド空間S4を形成するように構成されていてもよい。
【0058】
すなわち、送風口Pの一部が送風室S2から下方にずれた位置に形成されていてもよい、なお、送風口Pの一部が送風室S2から下方にずれた位置に形成されるとは、コンテナ本体11の周壁111のうちの送風口Pが形成された壁部(本実施形態では、後壁部1111)をコンテナ本体11内に向かう方向から見たときに(すなわち、壁部を真っ直ぐに見たときに)送風口Pの下端部がコンテナ本体11の内底面のうちの送風口P側の一端よりも下方(低い位置)で開口することである。
【0059】
なお、
図10、
図11に示す乾燥コンテナ1では、送風ガイド部14がデッキ12よりも上方、すなわち、収容室S1内に進出していないため、収容室S1から排出するチップが送風ガイド部14に引っ掛からないようにすることができる。従って、チップの排出性を高めることができる。
【0060】
なお、図示しないが、送風口Pが収容室側送風領域R2と下側送風領域R3とを含むように形成され、送風ガイド部14が収容室側ガイド空間S3と下側送風領域S4とを含むように形成されていてもよい。このようにすれば、送風室S2と収容室S1と送風室S2よりも下方側の領域とに跨るサイズの連結管3を接続したうえで、該連結管3から供給される風を漏らさずにコンテナ本体11内に供給することができる。
【0061】
また、送風ガイド部14の少なくとも下端部(
図10、
図11に示す乾燥コンテナ1では送風ガイド部14全体)が、コンテナ本体11の底部よりも下方側であり且つ幅方向において一対のローラ113の設置位置よりも内側の領域に位置するようにしてコンテナ本体11の底部に設けられていれば、デッドスペースとなる領域(コンテナ本体11の底部よりも下方側であり且つ幅方向において一対のローラ113の設置位置よりも内側の領域)に送風ガイド部14の少なくとも下端部を配置することによって、乾燥コンテナ1のサイズを大型化せずに、送風室S2から下方側にずれた位置でコンテナ本体11に接続された連結管3からの風を漏らさずにコンテナ本体11内に供給することができる。
【0062】
上記実施形態では、送風口Pの上下方向での高さ寸法が、送風室S2の上下方向での高さ寸法よりも大きくなっていたが、送風口Pの上下方向での高さ寸法は、
図12に示すように、送風室S2の上下方向での高さ寸法以下であってもよい。
【0063】
また、
図12では、送風口Pの形成位置を収容室S1側にずらしているが、
図13に示すように、送風口Pの形成位置を収容室S1の下側にずらしてもよい。なお、送風口Pの形成位置を収容室S1側にずらす場合は、送風ガイド部14が収容室側ガイド空間S3を形成するように構成されていればよいし、送風口Pの形成位置を送風室S2の下側にずらす場合は、送風ガイド部14が下側ガイド空間S4を形成するように構成されていればよい。
【0064】
このようにすれば、例えば、乾燥コンテナ1の置き場に連結管3に干渉する障害物等がある場合には、開口の形成位置、すなわち、連結管3の接続位置を送風室S2から収容室S1側、若しくは送風室S2の下側にずらすことにより、乾燥コンテナ1の置き場の環境に適した構造にすることができる。
【0065】
なお、上記実施形態や、
図10、
図11に示す乾燥コンテナ1では、連結管3のサイズを拡張する場合の構造についての説明を行ったが、連結管3のサイズを拡張したうえで、連結管3の接続位置を収容室S1側若しくは送風室S2の下側にずらすことも可能である。
【0066】
上記実施形態において、送風口Pは、送風室S1と収容室S2とに跨るようにして形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、送風口P全体が収容室S2と対応する位置、若しくは送風室収容室S2よりも下側に形成されていてもよい。
【0067】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、送風ガイド部14の側壁部140、上壁部141は通気性(収容室S2と収容室側ガイド空間S3、若しくは下側ガイド空間S4との間の通気性)が無くてもよいが、例えば、側壁部140、上壁部141に粒状態よりも小径の穴等を形成することで、通気性を持たせてもよい。
【0068】
また、乾燥コンテナシステムの乾燥対象物は、前記実施形態では木材チップであったが、これに限定されず、例えば鉱石、石材、樹脂、金属、木材以外の動植物由来の素材、食品材料、燃料等、種々の粒状体とできる。また、水分が外面にのみ存在するものであってもよいし、外面及び内部に存在するものであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…乾燥コンテナ、2…気流供給機構、3…連結管、11…コンテナ本体、12…デッキ、13…フレーム、14…送風ガイド部、110…底床、111…周壁、112…フック係合部、113…ローラ、114…脚部、115…扉、121…貫通孔、130…支持板、131…副支持板、140…側壁部、141…上壁部、1110…前壁部、1111…後壁部、1112…横壁部、1400…下側横壁部、1401…上側横壁部、P…送風口、R1…主送風領域、R2…収容室側送風領域、S1…収容室、S2…送風室、S3…収容室側ガイド空間、S4…下側ガイド空間