(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】研削加工方法
(51)【国際特許分類】
B24B 19/00 20060101AFI20220929BHJP
B24B 1/00 20060101ALI20220929BHJP
B24B 41/047 20060101ALI20220929BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20220929BHJP
【FI】
B24B19/00 Z
B24B1/00 Z
B24B41/047
B24B41/06 Z
(21)【出願番号】P 2018238548
(22)【出願日】2018-12-20
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(73)【特許権者】
【識別番号】504279326
【氏名又は名称】株式会社アマダマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三谷 知範
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108436605(CN,A)
【文献】特開2008-124292(JP,A)
【文献】特開2013-086208(JP,A)
【文献】特開2007-019461(JP,A)
【文献】特開平11-207612(JP,A)
【文献】特開平06-091510(JP,A)
【文献】実開平07-033418(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0328409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B1/00-1/04
B24B9/00-19/28
B24B41/00-51/00
B21D28/14
H01L23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを支持するワークテーブルと砥石車とを相対的に移動させて、前記ワークを前記砥石車によって
被固定部と薄肉形状
とを有する工作物に研削加工する研削加工方法であって、
前記ワークを前記工作物の最終的な薄肉形状よりも厚い厚肉形状に粗加工する粗研削工程と、
前記厚肉形状のワークを前記最終的な薄肉形状に仕上げ加工する仕上げ研削工程と
を含み、
前記ワークの平面視における一方側の端部から他方側の端部に至る領域を複数の加工領域に分割し、
前記他方側の端部の加工領域をワーク支持部として残しつつ、前記一方側の端部の加工領域から前記ワーク支持部に向けて、一の加工領域に対して前記粗加工及び前記仕上げ加工を行なった後に、次の加工領域に対して前記粗加工及び前記仕上げ加工を行
い、
前記一の加工領域に対する前記粗加工及び前記仕上げ加工は、前記次の加工領域以降の加工領域を補強材として作用させた状態で行われ、
前記ワーク支持部の直前の加工領域に対する前記粗加工及び前記仕上げ加工は、前記ワーク支持部を補強材として作用させた状態で行われる
ことを特徴とする研削加工方法。
【請求項2】
前記ワーク支持部以外の加工領域に対して前記粗研削工程及び前記仕上げ研削工程が行われた後、前記ワーク支持部を前記ワークから研削除去する
ことを特徴とする請求項1記載の研削加工方法。
【請求項3】
前記ワークテーブルは、前記ワークを前記砥石車に対して回転可能に支持する回転テーブルを有し、
前記粗研削工程及び前記仕上げ研削工程は、前記各加工領域毎における前記各工程毎に、前記回転テーブルによって前記ワークの被加工部分を前記砥石車に対して相対的に反転させて行われる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の研削加工方法。
【請求項4】
前記砥石車は、第1の砥石車と、この第1の砥石車よりも番手の大きな砥石を有する第2の砥石車とを含み、
前記粗研削工程は前記第1の砥石車を用いて行われ、前記仕上げ研削工程は前記第2の砥石車を用いて行われる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の研削加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを研削加工する研削加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スリット等を打ち抜き形成するための薄肉形状のパンチは、近年更に薄型化が進行している。従来、このようなパンチを研削加工する際には、研削加工中にワークが振動したり剛性が足りなくて歪んだりして加工精度が悪くなることを防止するために、当て板をワークと共にワークテーブルに固定して、研削加工が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された研削方法のように、ワークに当て板等の補強材を取り付けて研削加工を行う方法では、補強材の取り付けに関して技量が必要となると共に、加工段取りに時間が掛かってしまうため、研削加工が全般的に煩雑になってしまうという問題がある。また、補強材の取り付けや加工段取りに合わせた取付位置変更等、必ず人手が介入するため、研削加工のオートメーション化が図りにくいという問題もある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、研削加工においてワークの補強材を不要としながらも高い加工精度を維持しつつ、オートメーション化を図ることができる研削加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る研削加工方法は、ワークを支持するワークテーブルと砥石車とを相対的に移動させて、前記ワークを前記砥石車によって薄肉形状の工作物に研削加工する研削加工方法であって、前記ワークを前記工作物の最終的な薄肉形状よりも厚い厚肉形状に粗加工する粗研削工程と、前記厚肉形状のワークを前記最終的な薄肉形状に仕上げ加工する仕上げ研削工程とを含み、前記ワークの平面視における一方側の端部から他方側の端部に至る領域を複数の加工領域に分割し、前記他方側の端部の加工領域をワーク支持部として残しつつ、前記一方側の端部の加工領域から前記ワーク支持部に向けて、一の加工領域に対して前記粗加工及び前記仕上げ加工を行った後に、次の加工領域に対して前記粗加工及び前記仕上げ加工を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の研削加工方法において、前記ワーク支持部以外の加工領域に対して前記粗研削工程及び前記仕上げ研削工程が行われた後、前記ワーク支持部を前記ワークから研削除去するようにしても良い。
【0008】
また、前記ワークテーブルは、前記ワークを前記砥石車に対して回転可能に支持する回転テーブルを有し、前記粗研削工程及び前記仕上げ研削工程は、前記各加工領域毎における前記各工程毎に、前記回転テーブルによって前記ワークの被加工部分を前記砥石車に対して相対的に反転させて行われるようにしても良い。
【0009】
また、前記砥石車は、第1の砥石車と、この第1の砥石車よりも番手の大きな砥石を有する第2の砥石車とを含み、前記粗研削工程は前記第1の砥石車を用いて行われ、前記仕上げ研削工程は前記第2の砥石車を用いて行われるようにしても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、研削加工においてワークの補強材を不要としながらも高い加工精度を維持しつつ、オートメーション化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る研削加工方法により成形された工作物を概略的に示す斜視図である。
【
図3】同研削加工方法を実現可能な研削装置の全体構成を概略的に示す正面図である。
【
図4】同研削装置の一部を省略して概略的に示す平面図である。
【
図5】同研削装置の一部を省略して概略的に示す背面図である。
【
図6】同研削装置の全体構成を機能的に示す機能ブロック図である。
【
図7】同研削装置における未加工のワークを概略的に示す平面図である。
【
図8】同研削加工方法による研削加工を説明するための加工工程図である。
【
図9】同研削加工方法による研削加工を説明するための加工工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る研削加工方法を詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
[研削加工された工作物]
まず、本実施形態に係る研削加工方法により成形された工作物の一例について説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の研削加工方法により未加工のワークから成形された工作物は、例えば薄肉形状の成形部分を有する薄刃パンチ30である。薄刃パンチ30は、ワーククランプ等に固定される被固定部31と、この被固定部31の
図1中上方に位置するパンチ本体部32と、このパンチ本体部32の
図1中上方に位置するパンチ刃先部33とを備える。パンチ本体部32及びパンチ刃先部33のうち、少なくともパンチ刃先部33は、薄刃パンチ30の全体的な刃先形状を構成し、本実施形態の研削加工方法により研削加工されて成形される。
【0014】
[研削装置の全体構成]
ここで、本実施形態に係る研削加工方法を実現可能な研削装置の一例について説明する。
図3~
図5に示すように、研削装置1は、研削加工すべきワークWを支持するワークテーブル2と、砥石車3と、制御装置4とを備え、ワークテーブル2と砥石車3とを相対的に移動させて、ワークテーブル2上のワークWを研削加工する。ワークテーブル2は、基台(ベース)5上に搭載され、制御装置4によって制御される3軸駆動機構6を介して、例えばX軸方向(
図3において紙面に垂直な方向)、Y軸方向(
図3において左右方向)及びZ軸方向(
図3において上下方向)に移動位置決め自在に備えられている。
【0015】
また、ワークテーブル2は、
図4及び
図5に示すように、ワークWを
図4中矢印A方向に回転自在に支持する回転テーブル7を備えている。ワークWは、この回転テーブル7上に、図示しないワーククランプ等によって着脱可能に固定される。なお、ワークテーブル2には、ダミーワークDWが着脱可能に取り付けてある。
【0016】
砥石車3は、ワークWやダミーワークDW(以下、「ワークW等」と呼ぶ。)の研削加工を行うための円盤状の部材である。砥石車3は、基台5上に設けられた砥石車架台8によって、回転自在且つ例えばZ軸方向に移動(往復動)自在に備えられている。砥石車3は、例えば番手の小さな砥石を有する第1の砥石車と、この第1の砥石車よりも番手の大きな砥石を有する第2の砥石車とを含んで構成されている。
【0017】
第1の砥石車は、例えばその先端形状が砥石軸と平行な面を形成する平砥石であり、第2の砥石車は、例えばその先端形状が鋭角(約15°)な刃先を有する仕上げ砥石である。砥石車3は、その他、更に異なる番手の砥石を有する複数の砥石車を含んでいても良い。
【0018】
また、研削装置1は、ワークテーブル2の上方に設置されたカメラ9を有する。カメラ9は、基台5上に設けられたカメラ架台10に取り付けられており、ワークテーブル2上のワークW等を垂直上方から撮像する。なお、カメラ架台10を砥石車架台8上に設ける構成としても良いし、カメラ9に代えて投影機等を備えた構成としても良い。
【0019】
このような構成により、制御装置4の制御によって砥石車3を回転させると共に上下動させ、更にワークテーブル2をX,Y,Z軸方向に移動させつつ回転テーブル7を回転させることによって、砥石車3によりワークW等の研削加工を行うことが可能となる。ワークW等は、カメラ9の下方位置に位置決めされることにより撮像される。
【0020】
一方、制御装置4は、
図6に示すように、画像メモリ11と、形状メモリ13と、CPU15と、表示インタフェース(以下、「表示I/F」と記す。)16と、位置データメモリ18とを備える。また、制御装置4は、NCプログラム(NC指令データ)生成手段19と、パラメータテーブル21と、サーボモータ制御手段22とを備える。
【0021】
画像メモリ11は、カメラ9により撮像されたワークWの研削加工形状等の画像データを格納する。形状メモリ13は、例えばキーボードやCAD等の外部デバイスから適宜入力手段12を介して入力されたワークWの加工形状のデータを格納する。CPU15は、研削装置1全体を制御すると共に、本実施形態に係る研削加工方法を実現する研削加工プログラム(NCプログラム)を実行する。
【0022】
CPU15及び表示I/F16は、形状メモリ13に格納されているデータに基づいてワークWの加工形状をディスプレイ14に表示すると共に、画像メモリ11に格納されている画像データに基づく砥石車3の先端形状をディスプレイ14に表示する。なお、砥石車3の先端形状とは、砥石車3の砥石軸(回転軸)に対して直交する方向に砥石車3を移動してダミーワークDWに形成された研削加工跡の砥石先端部付近の形状のことをいう。また、ディスプレイ14には、表示されたワークWの加工形状の画像等に対して、拡大縮小表示や回転表示等、適宜表示態様を変更指示可能な表示操作用アイコンやボタン類が表示されている。
【0023】
なお、制御装置4には、画像操作手段17が備えられている。画像操作手段17は、ディスプレイ14に表示されたワークWの加工形状の画像に対して、砥石車3の先端形状を例えばX,Y軸方向へ移動するための、ジョイスティックやマウス等の操作デバイスにより構成されている。画像操作手段17は、ディスプレイ14上にX,Y軸の移動方向を示す複数の矢印アイコン等を表示する構成であっても良い。
【0024】
位置データメモリ18は、ディスプレイ14上において、ワークWの加工形状の画像に対して、砥石車3の先端形状をX,Y軸方向へ移動して順次接触したときの、ワークWに対する砥石車3のX,Y軸方向の教示位置の位置データを順次格納する。なお、位置データメモリ18に位置データを格納するには、例えば入力手段12を介して、ワークWの加工形状の画像に対して砥石車3の先端形状の画像が接触した状態において、キーボードの確定キー等を操作することにより行う。
【0025】
NCプログラム生成手段19は、位置データメモリ18に順次格納された教示位置の位置データに基づいて、ワークWに対する砥石車3の移動経路を算出してNCプログラム(NC指令データ)を生成する。NCプログラム生成手段19は、位置データメモリ18から順次読み出した複数の位置データ(円弧の場合は3点の位置データ)と、位置データによる複数の教示位置を結ぶ線が、直線又は時計回り方向の円弧若しくは反時計回り方向の円弧であることを示す方向指示手段20からの入力信号とに基づいて、ワークWの加工形状に沿った砥石車3の移動経路を算出する。
【0026】
算出された移動経路に沿ったワークWに対する砥石車3の移動速度は、例えばX軸又はY軸に対する直線の傾斜角や円弧の曲率等に対応して移動速度が予めパラメータとして与えられているパラメータテーブル21から、算出された移動経路に含まれる直線部分や円弧部分に対応した速度パラメータを検索して、NCプログラムを生成するものである。なお、パラメータテーブル21には、NCプログラムの生成に用いられるその他の各種パラメータが与えられている。
【0027】
生成されたNCプログラムは、サーボモータ制御手段22において、3軸駆動機構6におけるX軸サーボモータ23、Y軸サーボモータ24及びZ軸サーボモータ25のサーボ制御、及び回転テーブル7における回転サーボモータ26のサーボ制御を行うために用いられる。
【0028】
[研削装置による研削加工]
次に、このように構成された研削装置1を用いた本実施形態に係る研削加工方法について説明する。
まず、研削加工前(未加工)のワークWについて説明する。
図7に示すように、未加工のワークWは、例えば平面視で矩形状のブロック体により構成され、複数の加工領域に分けられる。具体的には、長手方向の中心軸WPに沿って、例えば長手方向の一方側の端部から他方側の端部に向かって、第1加工領域41、第2加工領域42、第3加工領域43、及び第4加工領域44に分けられている。なお、複数の加工領域は、その研削加工態様によって、適宜第1加工領域41、第2加工領域42、…、第n加工領域4nと複数分けられれば良い。
【0029】
そして、各加工領域41~44は、中心軸WPを境に更に複数の加工領域、すなわち第1a加工領域41a、第1b加工領域41b、第2a加工領域42a、第2b加工領域42b、第3a加工領域43a、第3b加工領域43b、第4a加工領域44a、及び第4b加工領域44bに分けられている。
【0030】
本実施形態に係る研削加工方法では、ワークWを最終的な薄肉形状の工作物、すなわち薄肉形状の成形部分を有する薄刃パンチ30に研削加工するに際し、例えば、ワークWをこの薄肉形状よりも厚い第1厚肉形状に粗加工する工程(第1工程;粗研削工程)と、粗加工されたワークWをこれよりも薄く且つ最終的な薄肉形状よりも厚い第2厚肉形状に中仕上げ加工する工程(第2工程)と、中仕上げ加工されたワークWを最終的な薄肉形状に仕上げ加工する工程(第3工程;仕上げ研削工程)とが行われる。なお、研削加工態様によっては、これら粗研削工程及び仕上げ研削工程のみが実行されるようにしても良い。
【0031】
そして、未加工のワークWの一部(他方側の端部)の第4加工領域をワーク支持部50(
図9(f)参照)として残しつつ、これら粗加工、中仕上げ加工及び仕上げ加工を、ワーク支持部50から遠い側(一方側の端部)の第1加工領域41からワーク支持部50にかけて、ワークWの各加工領域41~44毎に組み合わせて段階的に複数回に亘って行うことで、薄刃パンチ30を成形する。すなわち、一の加工領域(例えば、第1加工領域41)に対して上記の各加工を行った後に、次の加工領域(例えば、第2加工領域42)に対して上記の各加工を行うことによって、研削加工が行われている次段の加工領域が補強材として作用するので、各加工領域毎に従来技術の当て板のような補強材を不要とすることができる。なお、ワーク支持部50は、本実施形態においては第4加工領域44に含まれ、ワークWの研削加工時の補強材の機能及び役割を担うが、薄刃パンチ30が成形されて最終的にはワークWから研削除去される。
【0032】
研削加工においては、まず、
図8(a)に示すように、ワークWの第1a加工領域41aを、第1の砥石車である平砥石3aによって、ワークWと平砥石3aとをX軸方向及びY軸方向(並びにZ軸方向、以下同じ)に相対的に移動させながら粗加工する。次に、
図8(b)に示すように、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第1b加工領域41bを平砥石3aにほぼ正対させて、ワークWと平砥石3aとを上記と同様に各軸方向に相対的に移動(以下、単に「相対移動」と呼ぶ。)させながら第1b加工領域41bを粗加工する。
【0033】
続いて、
図8(c)に示すように、平砥石3aを第2の砥石車である仕上げ砥石3bに交換した後、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第1a加工領域41aを仕上げ砥石3bにほぼ正対させて、ワークWと仕上げ砥石3bとを相対移動させながら第1a加工領域41aを中仕上げ加工する。
【0034】
そして、
図8(d)に示すように、回転テーブル7を回転させてワークWの第1b加工領域41bを仕上げ砥石3bにほぼ正対させて、ワークWと仕上げ砥石3bとを相対移動させながら第1b加工領域41bを中仕上げ加工する。その後、図示は省略するが、中仕上げ加工と同様に回転テーブル7を含むワークテーブル2及び仕上げ砥石3bを適宜制御して、第1a加工領域41a及び第1b加工領域41bをそれぞれ仕上げ加工する。このようにして、第1加工領域41における薄刃パンチ30の刃先形状が成形される。なお、第1加工領域41が研削加工されている際には、第2加工領域42以降の未加工のワークWが第1加工領域41の補強材として作用する。
【0035】
次に、
図8(e)に示すように、仕上げ砥石3bを平砥石3aに再び交換した後、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第2a加工領域42aを平砥石3aにほぼ正対させて、ワークWと平砥石3aとを相対移動させながら第2a加工領域42aを粗加工する。そして、
図8(f)に示すように、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第2b加工領域42bを平砥石3aにほぼ正対させて、ワークWと平砥石3aとを相対移動させながら第2b加工領域42bを粗加工する。
【0036】
続いて、
図8(g)に示すように、平砥石3aを仕上げ砥石3bに交換した後、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第2a加工領域42aを仕上げ砥石3bにほぼ正対させて、ワークWと仕上げ砥石3bとを相対移動させながら第2a加工領域42aを中仕上げ加工する。
【0037】
そして、
図8(h)に示すように、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第2b加工領域42bを仕上げ砥石3bにほぼ正対させて、ワークWと仕上げ砥石3bとを相対移動させながら第2b加工領域42bを中仕上げ加工する。その後、再び図示は省略するが、中仕上げ加工と同様に回転テーブル7を含むワークテーブル2及び仕上げ砥石3bを適宜制御して、第2a加工領域42a及び第2b加工領域42bをそれぞれ仕上げ加工する。このようにして、第2加工領域42における薄刃パンチ30の刃先形状が成形される。なお、第2加工領域42が研削加工されている際には、第3加工領域43以降の未加工のワークWが第2加工領域42の補強材として作用する。
【0038】
次に、
図9(a)に示すように、仕上げ砥石3bを再び平砥石3aに交換したのち、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第3a加工領域43aを、第4a加工領域44aの一部まで含めた状態で平砥石3aにほぼ正対させて、ワークWと平砥石3aとを相対移動させながら、第4a加工領域44aの一部までオーバーラップして入り込んだ形で第3a加工領域43aを粗加工する。なお、これにより、第1加工領域41から第4加工領域44に向かう方向において、平面視で上述した長手方向の中心軸WPから徐々に離れる形状の粗加工済みのテーパ研削面53aが第4a加工領域44aにおいて形成される。
【0039】
その後、
図9(b)に示すように、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第3b加工領域43bを、第4b加工領域44bの一部まで含めた状態で平砥石3aにほぼ正対させて、ワークWと平砥石3aとを相対移動させながら、第4b加工領域44bの一部までオーバーラップして入り込んだ形で第3b加工領域43bを粗加工する。なお、これにより、第1加工領域41から第4加工領域44に向かう方向において、平面視で上述した長手方向の中心軸WPから徐々に離れる形状の粗加工済みのテーパ研削面53bが第4b加工領域44aにおいて形成される。
【0040】
続いて、
図9(c)に示すように、平砥石3aを仕上げ砥石3bに交換した後、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第3a加工領域43aを、第4a加工領域44aの一部まで含めた状態で仕上げ砥石3bにほぼ正対させて、ワークWと仕上げ砥石3bとを相対移動させながら、第4a加工領域44aの一部までオーバーラップして入り込んだ形で第3a加工領域43aを中仕上げ加工する。なお、このとき、仕上げ砥石3bの先端刃角度よりもテーパ研削面53aの中心軸WP又は砥石軸に対する角度は大きくなっているので、仕上げ砥石3bが第4a加工領域44aの未加工のワークWに干渉することなく、上記のような中仕上げを行うことができる。
【0041】
そして、
図9(d)に示すように、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第3b加工領域43bを、第4b加工領域44bの一部まで含めた状態で仕上げ砥石3bにほぼ正対させて、ワークWと仕上げ砥石3bとを相対移動させながら、第4b加工領域44bの一部までオーバーラップして入り込んだ形で第3b加工領域43bを中仕上げ加工する。なお、このときも、仕上げ砥石3bの先端刃角度よりもテーパ研削面53aの中心軸WP又は砥石軸に対する角度は大きくなっているので、仕上げ砥石3bが第4b加工領域44bの未加工のワークWに干渉することはない。その後、再び図示は省略するが、中仕上げ加工と同様に回転テーブル7を含むワークテーブル2及び仕上げ砥石3bを適宜制御して、第4a加工領域44aの一部まで含めた第3a加工領域43a及び第4b加工領域44bの一部まで含めた第3b加工領域43bをそれぞれ仕上げ加工する。このようにして、第3加工領域43における薄刃パンチ30の刃先形状が成形される。
【0042】
なお、第3加工領域43が研削加工されている際には、第4加工領域44の未加工のワークWがワーク支持部50となり、第3加工領域43の補強材として作用する。ワーク支持部50は、平面視で最終的な薄肉形状のワークWとほぼ同じ肉厚で繋がる接続部51と、この接続部と繋がり未加工のワークWの肉厚と同じ肉厚部を有し、更に上述したテーパ研削面53a,53bを有する土台部52とを有する。
【0043】
次に、
図9(e)に示すように、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第4a加工領域44aを仕上げ砥石3bにほぼ正対させて、ワークWと仕上げ砥石3bとを相対移動させながら、第4a加工領域44aにおけるワーク支持部50の接続部51を中仕上げ加工する。
【0044】
続いて、
図9(f)に示すように、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第4b加工領域44bを仕上げ砥石3bにほぼ正対させて、ワークWと仕上げ砥石3bとを相対移動させながら、第4b加工領域44bにおけるワーク支持部50の接続部51を中仕上げ加工する。その後、再び図示は省略するが、中仕上げ加工と同様に回転テーブル7を含むワークテーブル2及び仕上げ砥石3bを適宜制御して、第4a加工領域44a及び第4b加工領域44bにおけるワーク支持部50の接続部51をそれぞれ仕上げ加工する。このとき、接続部51は、
図9(d)に示した接続部51よりも肉厚が薄くなるように研削加工される。
【0045】
そして、
図9(g)に示すように、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第4a加工領域44aを再び仕上げ砥石3bにほぼ正対させて、ワークWと仕上げ砥石3bとを相対移動させながら、第4a加工領域44aにおけるワーク支持部50の接続部51を、肉厚が徐々に薄くなって最終的には第4加工領域44から除去されるまで中仕上げ加工する。この中仕上げ加工により、
図1に示すパンチ本体部32の一部及びパンチ刃先部33が成形される。その後、接続部51を除去した部分におけるパンチ本体部32の一部及びパンチ刃先部33を仕上げ加工する。
【0046】
最後に、
図9(h)に示すように、仕上げ砥石3bを平砥石3aに交換した後、回転テーブル7を図中矢印A方向に回転させてワークWの第4加工領域44の中心軸WP方向端部側を平砥石3aにほぼ正対させて、ワークWと平砥石3aとを相対移動させながら、第4加工領域44に残ったワーク支持部50の土台部52を粗加工して第4加工領域44から除去し、薄刃パンチ30の全体的な刃先形状が成形される。
【0047】
このように、本実施形態の研削加工方法によれば、研削加工において、ワークWの施工されている部分の次段の加工領域が補強材として機能すると共に、最終的に除去されるまで残るワーク支持部50が補強材として機能するので、ワークWの補強材を不要としながらも高い加工精度を維持しながら研削加工を行うことができる。また、一旦セットされたワークWを工程毎に取り外すことなく研削加工を行うことができるので、研削加工のオートメーション化を図ることが可能となる。なお、上述した粗加工、中仕上げ加工及び仕上げ加工の施工順や平砥石3a及び仕上げ砥石3bの使用態様、或いは各加工領域41~44の割り付け方やワーク支持部50の平面視形状等は、任意に設定することが可能である。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 研削装置
2 ワークテーブル
3 砥石車
4 制御装置
5 基台(ベース)
6 3軸駆動機構
7 回転テーブル
9 カメラ
30 薄刃パンチ
41 第1加工領域
42 第2加工領域
43 第3加工領域
44 第4加工領域
50 ワーク支持部