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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】洗車装置及び洗車方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B60S3/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018246745
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020104758
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 治幸
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-239207(JP,A)
【文献】特開昭53-144166(JP,A)
【文献】特開平7-309215(JP,A)
【文献】特開2008-230299(JP,A)
【文献】特開平5-229407(JP,A)
【文献】特開2007-210560(JP,A)
【文献】特開2009-160967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を車両を跨ぐように走行する門型の洗車装置本体に、左右一対で相互に開閉するサイドブラシと、昇降可能なトップブラシとを備えた洗車装置において、
洗車装置本体に設けられ、洗車装置本体が走行停止した状態で車両が移動したのを検出する手段と、以下a~cの工程を順次実行して、洗車装置本体の走行可能範囲だけではその前端から後端までを洗浄できないサイズの車両を洗車するよう制御する手段とを備えたことを特徴とする洗車装置。
a.洗車装置本体の走行可能範囲で、車両の一端から所定位置までサイドブラシとトップブラシとを車体面に作用させて洗浄を行う第1の洗車工程。
b.第1の洗車工程の後、サイドブラシとトップブラシとを車体面から離間させて車両の移動を促し、前記検出手段により車両が移動したのを確認する中間処理工程。
c.中間処理工程の後、前記所定位置から他端までを含む範囲をサイドブラシとトップブラシとを車体面に作用させて洗浄を行う第2の洗車工程。
【請求項2】
レール上を車両を跨ぐように走行する門型の洗車装置本体に、車体面に作用させてブラッシング洗浄するブラシを備えた洗車装置を用いて、洗車装置本体の走行可能範囲だけではその前端から後端までを洗浄できないサイズの車両を洗車する方法において、
洗車装置本体の走行可能範囲で、車両の一端から所定位置まで前記ブラシを車体面に作用させて洗浄を行う第1の洗車工程と、
前記第1の洗車工程の後、前記ブラシを車体面から離間させて車両の移動を促し、車両が移動したことを確認する中間処理工程と、
前記中間処理工程の後、前記所定位置から他端までを含む範囲を前記ブラシを車体面に作用させて洗浄を行う第2の洗車工程と、
からなることを特徴とする洗車方法。
【請求項3】
レール上を車両を跨ぐように走行する門型の洗車装置本体に、車体面に作用させてブラッシング洗浄するブラシを備えた洗車装置を用いる洗車方法であって、
車両の一端から他端までにおいて車体面に作用させて前記ブラシで洗浄を行う複数の洗車工程の間に、前記ブラシを車体面から離間させて車両の移動を促し、車両が移動したことを確認する中間処理工程を有することを特徴とする洗車方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗車装置本体の走行可能範囲だけではその前端から後端までを洗浄できないサイズの車両を洗車する洗車装置及び洗車方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として特許文献1・2に記載されるように、トラック等の大型車両を跨ぐように走行する門型の洗車装置本体に、左右一対で相互に開閉するサイドブラシと、昇降可能なトップブラシを備えた洗車装置が知られている。特許文献1・2それぞれに記載の洗車装置は、ブラシを車体に作用させる構造や制御方法が異なるが、いずれの洗車装置本体も、床面に敷設したレール上を走行し、このレールが敷設された範囲を往復走行して洗車動作を与えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-170054号公報
【文献】特開2018-86862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の洗車装置は、レールを敷設した範囲で洗車装置本体が走行して洗車動作するため、洗車対象とする大型車両の長さに合わせた長さのレールを敷設して運用されていた。ところで、昨今は、規制が緩和されたこともあって車両の長さが20mを超えるような超大型のトレーラーが運行されるようになってきているが、既設の洗車装置ではこうした超大型の車両まで洗車することができず、またこれを洗車可能とするには、敷設するレールの長さを延長し洗車装置本体の走行可能範囲を拡大する必要があり、洗車装置設置のための広大な敷地と多額の工事費用を必要とする問題があった。
【0005】
この発明は、上記の問題点に対処して、洗車装置本体の走行可能範囲で、大型車両の一端から洗車可能な位置まで洗車を行い、この後、大型車両の移動を促し車両が移動したのを確認すると、洗い残した車両他端までを含む範囲を洗車するようにして、従来と大差ないレール長さの装置であっても大型車両を洗い残しなく洗車できる洗車装置及び洗車方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、レール上を走行する洗車装置本体に、左右一対のサイドブラシと昇降可能なトップブラシとを備え、車両を洗車する装置において、洗車装置本体に設けられ、洗車装置本体が走行停止した状態で車両が移動したのを検出する手段と、この検出手段からの信号に基づいて、洗車装置本体の走行可能範囲だけではその前端から後端までを洗浄できないサイズの車両を洗車するよう制御する手段とを備え、この制御手段では、洗車装置本体の走行可能範囲で、車両の一端から所定位置までサイドブラシとトップブラシとを車体面に作用させて洗浄を行う第1の洗車工程と、この後サイドブラシとトップブラシとを車体面から離間させて車両の移動を促し、前記検出手段により車両が移動したのを確認する中間処理工程と、中間処理工程の後、所定位置から他端までを含む範囲をサイドブラシとトップブラシとを車体面に作用させて洗浄を行う第2の洗車工程とを順次に実行するよう制御するようにした洗車装置を提供することで、上記課題の解決をはかったものである。
【0007】
また、上記同様な大型車両を洗車する装置であって、車長が長く洗車装置本体の走行可能範囲だけではその前端から後端までを洗浄できないサイズの車両を洗車する方法において、洗車装置本体の走行可能範囲で、車両の一端から所定位置までサイドブラシとトップブラシとを車体面に作用させて洗浄を行う第1の洗車工程と、第1の洗車工程の後、サイドブラシとトップブラシとを車体面から離間させて車両の移動を促す中間処理工程と、中間処理工程の後、所定位置から他端までを含む範囲をサイドブラシとトップブラシとを車体面に作用させて洗浄を行う第2の洗車工程とからなる洗車方法を提供することで、上記課題の解決をはかったものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、洗車装置本体の走行可能範囲で、車両の一端から洗車可能な位置まで洗車を行い、この後、車両の移動を促し車両が移動したのを確認すると、洗い残した車両他端までを含む範囲を洗車するようにして、従来と大差ないレール長さの装置であっても、超大型トレーラーのような洗車装置本体の走行可能範囲だけではその前端から後端までを洗浄できないサイズの車両を洗い残しなく洗車できるものである。このため、従来と大差ない占有面積で洗車装置を設置でき、また大幅な追加投資を必要とすることもなく、大型車両を洗車できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の洗車装置を示す正面図である。
図2】同装置の側面図である。
図3】トップブラシ5の構造を示す説明図である。
図4】サイドブラシ6・6の構造を示す説明図である。
図5】同装置の制御系を示すブロック図である。
図6】実施例における制御手順を説明するフローチャート図である。
図7】実施例の動作例を図解した側面説明図である。
図8】第2の実施例の動作例を図解した側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を基に、本発明の実施態様について説明する。図1は本発明の洗車装置を示す正面図、図2は同側面図である。1は洗車装置本体で、洗車する車両Aを跨ぐように門型に形成され、正転逆転可能な走行モータ4・4により、車輪2・2を回転駆動してレール3・3に沿って往復走行する。5はトップブラシで、洗車装置本体1に昇降自在に設けられ、主に車両Aの上面をブラッシングする。6・6はサイドブラシで、洗車装置本体1に相互に開閉するよう設けられ、主に車両Aの前後面及び側面をブラッシングする。なお、洗車装置本体1には、特に図示しないが、上記以外に車両Aに向けて洗浄水を放出する散水ノズルを複数備え、洗車に際しては洗浄水を散布しつつ車体面をブラッシング洗浄する。
【0011】
7はリミットスイッチで、洗車装置本体1の脚部下端に設けられ、前記レール3の前端及び後端付近に設置したドッグ3a・3bに接触して洗車装置本体1の前進及び後進の限界位置を検出する。ここでは、リミットスイッチ7がドッグ3aに接触すると走行後端位置が検出され、ドッグ3bに接触すると走行前端位置が検出されるものである。なお、この洗車装置は主にトラックやバス等の大型車両の洗浄に用いられため、洗車装置本体1の走行可能範囲を与えるレール3・3は、対象とするトラックやバスを問題なく洗車できる長さに敷設され、同じくトラックやバスに合わせてドッグ3a・3bが設置されている。
【0012】
8a・8bは電装ボックスで、洗車装置本体1前面に前方へ膨出するように取り付けられ、その一方のボックス8a前面には洗車受付を行う操作パネル9を設けている。10・11は光電スイッチで、それぞれ発光部と受光部とを対面配置し、受光部から受光部へ送られる光信号の透光/遮光によって車体の有無を検出する。光電スイッチ10・11は、電装ボックス8a・8bの対向する内面において前後に一定間隔をおいて設けられ、本体1に対して進入する車両Aを検知する。12は表示灯12で、主に光電スイッチ10・11で車両Aを検知するのに伴い点灯して、車両Aを洗車に適正な位置に停車させるために設けられるが、点滅させたり点灯色を変えたりして、車両Aの移動や退車を促す表示にも使用される。この表示灯12は、例えば光電スイッチ10・11の双方で車体検知すると表示灯12を赤色(位置不正)に点灯させ、前側の光電スイッチ10だけで車体検知すると表示灯12を青色(適正位置)に点灯させるものとして、進入する車両Aの前端が光電スイッチ10・11の間に位置した、所定の停止位置となるよう案内する。13は洗車装置本体1の後端部に設けられる光電スイッチで、洗車中又は洗車後の車両Aの移動を検知するものである。
【0013】
図3はトップブラシ5の構造を示す説明図である。トップブラシ5は、ブラシ軸の両端に直結されたキャリア14・14によって洗車装置本体1内に垂設した昇降レール15・15に沿って昇降移動するように構成され、一方のキャリア14に固定されたブラシモータ16により正逆転駆動される。キャリア14・14は、チェーン機構17と昇降モータ18とにより昇降される。19・20は昇降レール15・15の上下端部に位置するリミットスイッチで、一方のキャリア14との接触によりスイッチングしてトップブラシ5の上限位置及び下限位置を与える。このように構成されるトップブラシ5は、通常はリミットスイッチ19で与える上端の待機位置にあり、洗車が始まると昇降モータ18により降下されて車体面に作用するよう操作される。
【0014】
図4はサイドブラシ6・6の構造を示す説明図である。サイドブラシ6・6は、ブラシ軸の上端に直結したキャリア21・21によって洗車装置本体1内の後方上部に水平に横架された開閉レール22に沿って開閉移動するように構成され、ブラシモータ23・23により正逆転駆動される。キャリア21・21は、チェーン機構24・24と開閉モータ25・25とにより相互に開閉される。26・26は開閉レール22の端部に位置するリミットスイッチ、また27・27は開閉レール22の中央近く位置するリミットスイッチで、キャリア21・21との接触によりスイッチングしてサイドブラシ6・6のそれぞれ開位置と閉位置とを与える。このように構成されるサイドブラシ6・6は、通常はリミットスイッチ26・26で与える開位置に待機され、洗車が始まると開閉モータ25・25により相互に閉じる方向へ移動し車体面に作用するよう操作される。
【0015】
以上のように構成される実施例装置は、通常は、洗車装置本体1をレール3・3後端の待機位置に停止させ、トップブラシ5を上限位置に、またサイドブラシ6・6を開位置に保持した状態で待機している。ここで、洗浄する車両Aを光電スイッチ10・11で与える停止位置まで進入させ、操作パネル9で任意の洗車プログラムを選択した後にスタートすると、洗車装置本体1が前進し、図示しない散水ノズルから洗浄水を散布しながら各ブラシ5・6・6を回転させながら車体面に作用させブラッシング洗浄を行うものである。
【0016】
図5は本発明の制御系を示すブロック図である。30は洗車制御部で、操作パネル9における操作入力と、上記したリミットスイッチ7・19・20・26・26・27・27、光電スイッチ10・11・13等からの信号とに基づき、本体走行モータ4・4、ブラシモータ16・23・23、昇降モータ18、開閉モータ25・25等を洗車プロクラムに従って作動させ、洗車動作を与えるよう制御するものである。31は音声出力部で、車両Aのドライバーに向けて音声案内をするものである。
【0017】
操作パネル9には、車種選択キー32、洗車コースキー33、スタートキー34等が備えられ、顧客の希望に応じた洗車内容を選択入力できる。このうち、車種選択キー32では、「トラック」「バス」「トレーラー」「超大型」といった車種が選択でき、洗車コースキー33では、「水洗車」「洗剤洗車1」「洗剤洗車2」「ワックス洗車」といった洗車コースが選択できる。ここで、「超大型」とは、全長が20m近くあり、レール3・3で与えられる洗車装置本体1の走行可能範囲を超えるサイズの超大型車両であることを選択するものである。また、洗車コースのうち「水洗車」「洗剤洗車1」は、洗車装置本体1が前方へ往行するのに伴い車体を1回だけブラッシング洗浄する洗車コースであり、「洗剤洗車2」「ワックス洗車」とは、洗車装置本体1が往復走行して車体を2回にわたりブラッシング洗浄する洗車コースである。なお、ここでキー選択される車種や洗車コースは必要に応じて増やすことが可能で、特に洗車コースは、往復の有無といった動作選択だけでなく、使用する洗剤、ワックス等に応じ数々のバリエーションが考えられる。
【0018】
洗車制御部30には、洗車装置本体1の走行位置を検出する走行位置検出部30a、各ブラシ5・6・6の回転負荷を検出するブラシ負荷検出部30b、洗車装置本体1の走行を制御する走行制御部30c、トップブラシ5の回転駆動や昇降動作を制御するトップブラシ制御部30d、サイドブラシ6・6の回転駆動や開閉動作を制御するサイドブラシ制御部30e、洗車する車両Aのドライバーに向けて案内出力する報知制御部30f等を設けている。走行位置検出部30aは、リミットスイッチ7で検知した限界位置からの走行モータ4・4の駆動時間をカウントして本体1の走行位置を検出している。ブラシ負荷検出部30bは、ブラシモータ16・23・23の負荷電流を監視して各ブラシ5・6・6の回転負荷を検出している。
【0019】
走行制御部30cは、操作パネル9で選択される洗車プログラムに従い、また検出部30a・30bで与える走行位置やブラシ負荷に応じて、走行モータ4・4に対し起動/停止や加速/減速といった制御を行う。トップブラシ制御部30dは、操作パネル9で選択される洗車プログラムに従い、また検出部30a・30bで与える走行位置やブラシ負荷に応じて、ブラシモータ16及び昇降モータ18を駆動してトップブラシ5を一定範囲のブラシ負荷で車両Aの車体面に作用させるよう制御する。サイドブラシ制御部30eは、操作パネル9で選択される洗車プログラムに従い、また検出部30a・30bで与える走行位置やブラシ負荷に応じて、ブラシモータ23・23及び開閉モータ25・25を駆動してサイドブラシ6・6を一定範囲のブラシ負荷で車両Aの車体面に作用させる制御する。
【0020】
報知制御部30fは、操作パネル9への操作入力や光電スイッチ10・11・13による車体検知に伴い、表示灯12や音声出力部31を作動させて車両Aのドライバーに向けて点灯表示や音声案内で報知するもので、操作パネル9での操作案内、車両Aの停止位置の案内、車両Aの移動を促す案内等を行う。
【0021】
以上のように構成される洗車装置において、洗車する車両Aが通常のトラックやバスである場合は、例えば上記した特許文献2に記載される公知技術と特に変わることなく洗車が行われる。なお、操作パネル9で「超大型」が選択された場合は、レール3・3で与えられる洗車装置本体1の走行可能範囲を超えるサイズの超大型車両であるとして、図6で説明する洗車動作を実行する。
【0022】
図6は実施例における超大型車両を洗車する場合の制御手順を説明するフローチャート図である。通常、洗車装置本体1はレール3・3後端の待機位置にあり、ここへ洗浄する車両Aを洗車装置本体1の前方より進入させ、車両Aのドライバーは表示灯12の点灯表示と音声案内に従い、光電スイッチ10・11で与える所定位置に車両Aを停車させる。ここで、操作パネル9において車種選択キー32で「超大型」が選択され、洗車コースキー33で希望の洗車コースが選択入力されて、スタートキー34が押されると洗車がスタートする。
【0023】
洗車が開始されると、まず、レール3・3で与えられる洗車装置本体1の走行可能範囲において車両Aを洗車する第1の洗車工程を実行する(1)。すなわち、洗車装置本体1を走行させると共にブラシ5・6・6を待機位置から車両Aへ接近させ、車体面をブラッシング洗浄する。この第1の洗車工程(1)において、洗車装置本体1が車両Aの後端に達してサイドブラシ6・6がリミットスイッチ27・27で与える閉位置に達したのを検知したか否かを確認し(2)、車両Aの後端に達していれば洗車終了と判断して後述する退車処理工程(5)へ移行する。ステップ(2)で洗車終了を検知することなく、第1の洗車工程(1)において洗車装置本体1がリミットスイッチ7で与えるレール3・3の後端位置に達していれば、中間処理工程(3)へ移行する。
【0024】
中間処理工程(3)において、洗車動作を停止し各ブラシ5・6・6をリミットスイッチ19・26・26で与える待機位置まで退避させた後、表示灯12を点灯すると共に音声出力部31より音声出力して車両Aを前方へ移動させるよう促す。この移動案内に従い、ドライバーが車両Aを前進させ車両Aの後端が洗車装置本体1より前側へ達すると、これを光電スイッチ10・11・13で検知し、車両Aの移動を確認できれば、第2の洗車工程(4)へ移行する。
【0025】
第2の洗車工程(4)では、第1の洗車工程(1)で洗い残した車両Aの後方部分を含めた範囲を洗浄するもので、洗車装置本体1を走行させると共にブラシ5・6・6を待機位置から車両Aへ接近させ車体面のブラッシング洗浄を行い、最後に洗車装置本体1がレール3・3後端の待機位置に戻って洗車工程を終える。この第2の洗車工程(4)終えると退車処理工程(5)に移行し、洗浄した車両Aの退車を促す。退車処理工程(5)において、洗車装置を設置した敷地の状況等に応じて、洗浄した車両Aを前後どちらへ退出させるかが予め洗車制御部30に設定されており、前進で通り抜ける設定の場合は、洗車装置本体1をレール3・3の前端部へ移動して退車を容易にするよう動作し、後退して退車する設定の場合は、洗車装置本体1を待機位置に保持したまま表示灯12の点灯表示と音声案内とで退車を促す。
【0026】
図7は実施例における洗車動作の一例を示すもので、図6の制御手順に沿って洗車装置本体1と車両Aとの動作位置を図解した説明図であり、操作パネル9において「水洗車」または「洗剤洗車1」の洗車コースが選択され車体を1回だけブラッシング洗浄する場合の動作例を示している。
【0027】
第1の洗車工程(1)において、洗車開始に際し、洗車装置本体1はドッグ3aとリミットスイッチ7で与えるレール3・3後端位置にあり、車両Aは光電スイッチ10・11で与える開始位置に進入し、洗車装置本体1と車両Aとは図7(a)に示す位置関係となる。洗車開始に伴い、洗車装置本体1は車両Aの車体面をブラッシング洗浄しながら前方へ往行し、洗車装置本体1がドッグ3bとリミットスイッチ7で与えるレール3・3の前端位置に達すると、第1の洗車工程(1)を終了する。この時、洗車装置本体1と車両Aとは図7(b)に示す位置関係となる。ここで、第1の洗車工程(1)は車両Aの後端に達することなく終了したため、中間処理工程(3)へ移行することとなる。
【0028】
中間処理工程(3)において、洗車装置本体1では、洗車動作を停止し各ブラシ5・6・6をリミットスイッチ19・26・26で与える待機位置まで退避させた後、表示灯12を点灯すると共に音声出力部31より音声出力して車両Aを前方へ移動させるよう促す。ここで、洗車装置の敷地面には車両Aの前方位置にマーカーMが設けられており、車両Aのドライバーは、このマーカーMの位置まで前進させればよい。こうして、車両Aを前進すると、洗車装置本体1では光電スイッチ10・11・13でこれを検知し、車両Aの移動を確認する。この時、洗車装置本体1と車両Aとは図7(c)に示す位置関係となる。こうして、車両Aの移動を確認すると、表示灯12を点灯すると共に音声出力部31より音声出力して洗車再開を案内出力し、第2の洗車工程(4)に移行する。尚、洗車装置本体1と車両Aとが図7(c)に示す位置関係となったことを確認する手段として、マーカーMの付近にタイヤ検出等の検出手段を備えることが望ましい。
【0029】
第2の洗車工程(4)では、洗車装置本体1を後退させて第1の洗車工程(1)で洗い残した車両Aの後方部分を洗車する。すなわち、洗車装置本体1を復行させると共にブラシ5・6・6を待機位置から車両Aへ接近させ、車体後面からのブラッシング洗浄を行い、洗車装置本体1がドッグ3aとリミットスイッチ7で与えるレール3後端位置まで戻ると、第2の洗車工程(4)を終了する。この時、洗車装置本体1と車両Aとは図7(d)に示す位置関係となる。こうして洗車が終了すると退車処理工程(5)へ移行する。
【0030】
退車処理工程(5)において、ブラシ5・6・6を待機位置へ退避させ、この実施例では車両Aを前進させて退出させるので、洗車装置本体1をドッグ3bとリミットスイッチ7で与えるレール3・3前端位置まで移動して車両Aが退出し易い状態とし、表示灯12を点灯すると共に音声出力部31より音声出力して車両Aの退出を促す。この時、洗車装置本体1と車両Aとは図7(e)に示す位置関係となる。車両Aの退車後、洗車装置本体1をレール3・3後端位置に戻すように制御し、一連の洗車動作を終了する。
【0031】
図8は実施例における洗車動作の別の一例を示すもので、図6の制御手順に沿って洗車装置本体1と車両Aとの動作位置を図解した説明図であり、操作パネル9において「洗剤洗車2」または「ワックス洗車」の洗車コースが選択され、車体を往復2回にわたりブラッシング洗浄する場合の動作例を示している。
【0032】
第1の洗車工程(1)において、洗車開始に際し、洗車装置本体1はドッグ3aとリミットスイッチ7で与えるレール3・3後端位置にあり、車両Aは光電スイッチ10・11で与える開始位置に進入し、洗車装置本体1と車両Aとは図8(a)に示す位置関係となる。洗車開始に伴い、洗車装置本体1は車両Aの車体面をブラッシング洗浄しながら前方へ往行し、洗車装置本体1がドッグ3bとリミットスイッチ7で与えるレール3・3前端位置に達すると、今度は洗車装置本体1を復行させてブラッシング洗浄を行い、洗車装置本体1がドッグ3aとリミットスイッチ7で与えるレール3・3後端位置に復帰すると第1の洗車工程(1)を終了する。第1の洗車工程(1)が終了すると、洗車装置本体1と車両Aは図8(b)に示す位置関係となる。ここで、第1の洗車工程(1)において車両Aの後端に達することがなかったため、中間処理工程(3)へ移行することとなる。
【0033】
中間処理工程(3)において、洗車装置本体1では、洗車動作を停止し各ブラシ5・6・6をリミットスイッチ19・26・26で与える待機位置まで退避させた後、表示灯12を点灯すると共に音声出力部31より音声出力して車両Aを前方へ移動させるよう促す。これに伴い、車両Aのドライバーは、洗車装置の敷地面に設けられたマーカーMの位置まで前進させると、洗車装置本体1では光電スイッチ13でこれを検知し車両Aの移動を確認する。中間処理工程(3)が終了すると、洗車装置本体1と車両Aとは図8(c)に示す位置関係となる。こうして、車両Aの移動を確認すると、表示灯12を点灯すると共に音声出力部31より音声出力して洗車再開を案内出力し、第2の洗車工程(4)に移行する。尚、車両Aの停止位置を確認する手段として、マーカーMの付近にタイヤ検出等の検出手段を備えることが望ましい。
【0034】
第2の洗車工程(4)では、洗車装置本体1を再び往復走行させて第1の洗車工程(1)で洗い残した車両Aの後方部分を洗車する。すなわち、洗車装置本体1を前端位置から光電スイッチ13で与える車両Aの後端との間を往復走行させると共にブラシ5・6・6を待機位置から車両Aへ接近させ、車体A後方部のブラッシング洗浄を行い、洗車装置本体1がドッグ3aとリミットスイッチ7で与える待機位置まで戻ると、第2の洗車工程(4)を終了する。この第2の洗車工程(4)において、洗車装置本体1は図8(d)に示すように移動する。こうして洗車が終了すると退車処理工程(5)へ移行する。
【0035】
退車処理工程(5)において、この実施例では車両Aを後退させて退出させるので、洗車装置本体1を待機位置に停止させたままブラシ5・6・6を待機位置へ退避させ、表示灯12を点灯すると共に音声出力部31より音声出力して車両Aの退出を促す。この時、洗車装置本体1と車両Aとは図8(e)に示す位置関係となる。この後、光電スイッチ10で車両Aの退出を検出すると一連の洗車動作を終了する。
【0036】
以上説明したように、この実施例では、超大型トレーラーに合わせてレール3・3を延長させたり、特別な追加機器を設けたりすることなく、超大型トレーラーのブラッシング洗浄を可能にしたものである。
【符号の説明】
【0037】
1 洗車装置本体
3・3 レール
5 トップブラシ
6・6 サイドブラシ
10・11・13 車両検出手段たる光電スイッチ
30 制御手段たる洗車制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8