(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】小型電気機器
(51)【国際特許分類】
A61F 7/10 20060101AFI20220929BHJP
A61F 7/03 20060101ALI20220929BHJP
A61H 15/02 20060101ALI20220929BHJP
A61H 23/02 20060101ALI20220929BHJP
A61N 1/30 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61F7/10 351
A61F7/08 333
A61H15/02 A
A61H15/02 B
A61H23/02 332
A61N1/30
(21)【出願番号】P 2019078715
(22)【出願日】2019-04-17
(62)【分割の表示】P 2018236500の分割
【原出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中島 久雄
(72)【発明者】
【氏名】岡村 武則
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-200496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/10
A61F 7/03
A61H 15/02
A61N 1/30
A61H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース(1)のヘッド部(2)に、熱電変換素子(8)と、熱電変換素子(8)の前面に接合される刺激付与体(3)と、熱電変換素子(8)の後面に接合されるヒートシンク(9)とを備えた肌刺激構造が配置されており、
本体ケース(1)は、前後に分割された前ケース(1a)と後ケース(1b)を接合して中空ケース状に構成されており、
本体ケース(1)のヘッド部(2)の前ケース(1a)にはシンク開口(13)が開口されて、シンク開口(13)の外面に刺激付与体(3)が配置され、シンク開口(13)の内面にヒートシンク(9)が配置されており、
後ケース(1b)は前ケース(1a)に接合された状態で、後ケース(1b)の後面側から刺激付与体(3)にねじ込んだ締結具(72)で締結固定されて、刺激付与体(3)と熱電変換素子(8)、およびヒートシンク(9)が前ケース(1a)および後ケース(1b)と一体化されており、
一体化された状態における熱電変換素子(8)とヒートシンク(9)が、刺激付与体(3)と後ケース(1b)で挟持固定されており、
さらに、前ケース(1a)がヒートシンク(9)および後ケース(1b)と刺激付与体(3)で挟持固定されており、
刺激付与体(3)が前ケース(1a)に対してパッキン(39)を介して接合されていることを特徴とする小型電気機器。
【請求項2】
刺激付与体(3)に締結具(72)用のねじボス(37)が設けられ、後ケース(1b)にねじボス(37)に連結される締結ボス(18)が設けられており、
ヒートシンク(9)に前後貫通状の筒ボス(48)が形成されており、
締結ボス(18)およびねじボス(37)は、筒ボス(48)の内部で係合連結されて、ねじボス(37)に挿通した締結具(72)を締結ボス(18)にねじ込むことにより固定されていることを特徴とする請求項1に記載の小型電気機器。
【請求項3】
シンク開口(13)の周囲壁の外面および内面に、刺激付与体(3)およびヒートシンク(9)がそれぞれ接合されて、刺激付与体(3)およびヒートシンク(9)がシンク開口(13)の周囲壁を内外に挟持しており、
シンク開口(13)の周囲壁の内面と、同壁と対向するヒートシンク(9)に、互いに係合して、ヒートシンク(9)を前ケース(1a)に対して位置決めする位置決め凹部(50)と位置決めリブ(51)が設けられており、
刺激付与体(3)およびヒートシンク(9)に作用する締結具(72)の締結力を、シンク開口(13)の周囲壁で受止めていることを特徴とする請求項1または2に記載の小型電気機器。
【請求項4】
本体ケース(1)のヘッド部(2)に、熱電変換素子(8)と、熱電変換素子(8)の前面に接合される刺激付与体(3)と、熱電変換素子(8)の後面に接合されるヒートシンク(9)を備えた肌刺激構造が配置されており、
本体ケース(1)のヘッド部(2)の後面に後側の刺激付与体(4)が配置されて、後側の刺激付与体(4)の内面に、ヒートシンク(9)の熱を後側の刺激付与体(4)に伝導する伝熱体(10)が設けられており、
刺激付与体(4)の内面に、振動を生起するバイブレーター(19)が配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかひとつに記載の小型電気機器。
【請求項5】
伝熱体(10)は、後側の刺激付与体(4)の内面に密着する部分球殻状の本体部(10a)と、本体部(10a)の内面に突設されて、ヒートシンク(9)の熱を本体部(10a)へ伝導する複数の受熱軸(10b)を一体に備えており、
バイブレーター(19)が、後側の刺激付与体(4)の内面に設けたホルダー枠(20)に装着されて、バイブレーター(19)およびホルダー枠(20)が、本体部(10a)の中央に形成した逃げ開口(69)を介して伝熱体(10)の内面側に位置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかひとつに記載の小型電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ケースの内部にヒートシンクが設けてある小型電気機器に関する。本発明の小型電気機器の具体例としては、例えば、肌面に対して温度刺激、電流刺激、振動刺激などの美容刺激を与えてスキンケアを行う美容器具を挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、この種の美容器具を先に提案している(特許文献1)。特許文献1の美容器具では、本体ケースの上半部にヘッド支持部が設けられ、ヘッド支持部の前部および後部に肌刺激体と肌ヘッドが設けられている。肌刺激体の内部にはヒーターとバイブレーターが設けられており、肌ヘッドの内部にはペルチェ素子とヒートシンクが設けられている。本体ケースの内部には電池と制御基板が設けられており、制御基板に設けた複数のスイッチをスイッチボタンで切換えることにより、美容器具の運転モードを変更することができる。肌刺激体は温熱刺激と電流刺激と振動刺激を肌面に付与することができ、肌ヘッドは冷熱刺激を肌面に付与することができる。市販の美容器具においては、2次電池を電源にして上記の各機器を駆動しており、その場合には充電電流や充電電圧を制御する充電制御ICが本体ケースの内部の制御基板に実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、組立に要する手間とコストを軽減できる小型電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る小型電気機器は、本体ケース1のヘッド部2に、熱電変換素子8と、熱電変換素子8の前面に接合される刺激付与体3と、熱電変換素子8の後面に接合されるヒートシンク9とを備えた肌刺激構造が配置されている。本体ケース1は、前後に分割された前ケース1aと後ケース1bを接合して中空ケース状に構成されている。本体ケース1のヘッド部2の前ケース1aにはシンク開口13が開口されて、シンク開口13の外面に刺激付与体3が配置され、シンク開口13の内面にヒートシンク9が配置されている。後ケース1bは前ケース1aに接合された状態で、後ケース1bの後面側から刺激付与体3にねじ込んだ締結具72で締結固定されて、刺激付与体3と熱電変換素子8、およびヒートシンク9が前ケース1aおよび後ケース1bと一体化されている。一体化された状態における熱電変換素子8とヒートシンク9が、刺激付与体3と後ケース1bで挟持固定されている。さらに、前ケース1aがヒートシンク9および後ケース1bと刺激付与体3で挟持固定されている。刺激付与体3が前ケース1aに対してパッキン39を介して接合されていることを特徴とする。
【0006】
刺激付与体3に締結具72用のねじボス37が設けられ、後ケース1bにねじボス37に連結される締結ボス18が設けられている。ヒートシンク9に前後貫通状の筒ボス48が形成されている。締結ボス18およびねじボス37は、筒ボス48の内部で係合連結されて、ねじボス37に挿通した締結具72を締結ボス18にねじ込むことにより固定されていることを特徴とする。
【0007】
シンク開口13の周囲壁の外面および内面に、刺激付与体3およびヒートシンク9がそれぞれ接合されて、刺激付与体3およびヒートシンク9がシンク開口13の周囲壁を内外に挟持している。シンク開口13の周囲壁の内面と、同壁と対向するヒートシンク9に、互いに係合して、ヒートシンク9を前ケース1aに対して位置決めする位置決め凹部50と位置決めリブ51が設けられている。刺激付与体3およびヒートシンク9に作用する締結具72の締結力を、シンク開口13の周囲壁で受止めていることを特徴とする。
【0008】
本体ケース1のヘッド部2に、熱電変換素子8と、熱電変換素子8の前面に接合される刺激付与体3と、熱電変換素子8の後面に接合されるヒートシンク9を備えた肌刺激構造が配置されている。本体ケース1のヘッド部2の後面に後側の刺激付与体4が配置されて、後側の刺激付与体4の内面に、ヒートシンク9の熱を後側の刺激付与体4に伝導する伝熱体10が設けられている。刺激付与体4の内面に、振動を生起するバイブレーター19が配置されていることを特徴とする。
【0009】
伝熱体10は、後側の刺激付与体4の内面に密着する部分球殻状の本体部10aと、本体部10aの内面に突設されて、ヒートシンク9の熱を本体部10aへ伝導する複数の受熱軸10bを一体に備えている。バイブレーター19が、後側の刺激付与体4の内面に設けたホルダー枠20に装着されて、バイブレーター19およびホルダー枠20が、本体部10aの中央に形成した逃げ開口69を介して伝熱体10の内面側に位置されていることを特徴する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の小型電気機器によれば、刺激付与体3、熱電変換素子8、およびヒートシンク9を前ケース1aに仮組みし、さらに後ケース1bを前ケース1aに接合した状態で、後ケース1bの後面側から刺激付与体3に締結具72をねじ込むことで、肌刺激構造を前後ケース1a・1bと一体化できる。つまり、刺激付与体3、熱電変換素子8、ヒートシンク9と前後ケース1a・1bの5者を、1個の締結具72のみで一体化し固定できるので、刺激付与体3、熱電変換素子8、ヒートシンク9を、例えば前ケース1aに順に締結固定する必要がなく、しかも締結具72の使用個数を最小限化して、その分だけ組立に要する手間とコストを軽減できる。さらに、刺激付与体3を前ケース1aに対してパッキン39を介して接合するので、化粧液を併用して刺激付与体3でスキンケアを行う場合に、化粧液がヘッド部2の内部に浸入するのを確実に防止でき、化粧液の侵入を原因とする電気的故障を解消できる。なお、シンク基部47の後面の複数個所に締結構造が設けてある場合でも、個々の締結構造を1個の締結具72のみで一体化し固定できる。
【0011】
また、締結ボス18およびねじボス37を筒ボス48の内部で接合し、両ボス18・37を締結具72で一体化すると、締結ボス18およびねじボス37、あるいはいずれか一方のボスで筒ボス48を支持することにより、ヒートシンク9を刺激付与体3および後ケース1bに対して正確に位置決めし、さらにヒートシンク9が刺激付与体3および後ケース1bに対して遊動するのを阻止できる。従って、刺激付与体3、熱電変換素子8、ヒートシンク9と前後ケース1a・1bの5者を、1個の締結具72のみで一体化できるにも拘らず、ヒートシンク9を刺激付与体3および後ケース1bに対して、常に適正に組立てることができる。シンク基部47の後面の複数個所に締結構造が設けてある場合でも、個々の締結構造を1個の締結具72のみで一体化し固定しながら、ヒートシンク9を刺激付与体3および後ケース1bに対して、常に適正に組立てることができる。
【0012】
また、刺激付与体3およびヒートシンク9に作用する締結具72の締結力を、シンク開口13の周囲壁で受止めるようにすると、刺激付与体3とヒートシンク9の間に配置した熱電変換素子8を常に適正な挟持力で挟持固定して、仕様通りの熱特性を発揮させることができる。因みに、刺激付与体3およびヒートシンク9の締結力が、熱電変換素子8の前後面に直接作用する場合には、刺激付与体3に過剰な挟持力が作用して、熱特性が変化するなどの故障を発生し、あるいは破損するおそれがある。また、位置決め凹部50と位置決めリブ51を互いに係合させることにより、ヒートシンク9を前ケース1aに対して位置決めした状態で常に適正に組むことができる。
【0013】
また、本体ケース1のヘッド部2の後面に、後側の刺激付与体4を設けるようにした美容器具によれば、熱電変換素子8からヒートシンク9に伝導された冷熱または温熱を、伝熱体10で後側の刺激付与体4に伝導して、後側の刺激付与体4によって肌面に熱刺激を付与しながらスキンケアを行うことができる。また、刺激付与体4の内面に配置したバイブレーター19を作動させてスキンケアを行うことにより、振動刺激と熱刺激を同時に付与して、後側の刺激付与体4によるスキンケアをさらに効果的に行うことができる。
【0014】
また、本体部10aと複数の受熱軸10bで伝熱体10を構成し、ヒートシンク9の熱を受熱軸10bで本体部10aへ伝導し、さらに本体部10aの熱を後側の刺激付与体4に伝導するようにすると、ヒートシンク9の冷熱または温熱を部分球殻状の本体部10aで後側の刺激付与体4にむらなく伝導でき、同時に後側の刺激付与体4の中央付近に配置したバイブレーター19で、刺激付与体4の全体をむらなく振動させながら、肌接触面61によるスキンケアをさらに効果的に行うことができる。また、バイブレーター19およびホルダー枠20が、本体部10aの中央に形成した逃げ開口69を介して伝熱体10の内面側に位置されているので、伝熱体10がバイブレーター19およびホルダー枠20と直接接触してがたつき、騒音源になるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例1に係る小型電気機器のヘッド部の縦断側面図である。
【
図2】実施例1に係る小型電気機器の側面図である。
【
図3】実施例1に係る小型電気機器の分解断面図である。
【
図5】実施例1に係る小型電気機器のグリップ部分の縦断側面図である。
【
図6】電池充電ICと受熱部の接合構造を示す要部の正面図である。
【
図8】本発明の実施例2に係る小型電気機器における、電池充電ICと受熱部の接合構造を示す縦断側面図である。
【
図9】本発明の実施例3に係る小型電気機器における、電池充電ICと受熱部の接合構造を示す正面図である。
【
図11】本発明の実施例4に係る小型電気機器における、電池充電ICと受熱部の接合構造を示す正面図である。
【
図13】本発明の実施例5に係る小型電気機器における、電池充電ICと受熱部の接合構造を示す正面図である。
【
図14】本発明の実施例6に係る小型電気機器における、電池充電ICと受熱部の接合構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例1)
図1から
図7に、本発明に係る小型電気機器を美容器具に適用した実施例1を示す。本発明における前後、左右、上下とは、
図1、
図2、および
図4に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後、左右、上下の表記に従う。
図2において美容器具は、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1の上側のヘッド部2を備えており、ヘッド部2の前後に、スキンケア用の前熱刺激体(刺激付与体)3と後熱刺激体(刺激付与体)4とが設けられている。本体ケース1の内部には電源用の2次電池5と縦長四角形状の制御基板6が配置されており、2次電池5の下方のケース端に給電ソケット(電力供給部)7が設けられている。ヘッド部2の内部には、前熱刺激体3に冷熱または温熱を送給する熱電変換素子(ペルチェ素子)8と、熱電変換素子8の温熱を放出するヒートシンク9とが配置されている。後熱刺激体4の前面(内面)には、ヒートシンク9の熱を後熱刺激体4に伝導する伝熱体10が配置されている。
図2において符号11は、2次電池5の充電時に給電ソケット7に接続される給電プラグであり、充電用アダプターの直流電流を供給する。
【0017】
本体ケース1は、前後に分割された前ケース1aと後ケース1bとを接合して中空ケース状に構成されている。前ケース1aのヘッド部2の側の前面中央には、ヒートシンク9用の円形のシンク開口13が開口され、シンク開口13の周囲壁に設けた円形の前装着座14に前熱刺激体3が装着固定されている。前ケース1aの左右両側には、外部空気の出入りを許す一群の通気スリット30が形成されている。後ケース1bのヘッド部2の側の後面中央に後熱刺激体4用の円形の後開口15が開口され、後開口15の周囲壁に設けられた円形の後装着座16に後熱刺激体4が装着固定されている。後開口15の内面(前面)には、垂直の内壁17が後ケース1bと一体に設けられており、内壁17の前面中央に筒軸状の締結ボス18が一体に設けられている。後熱刺激体4の内面には、バイブレーター19を支持するホルダー枠20が一体に設けられている。後ケース1bの後面下部には、前熱刺激体3と協同して肌面に電流刺激を付与するためのグリップ電極21が設けられている。
【0018】
図5において、制御基板6の下半部には、電源スイッチ23と、イオン導入/導出スイッチ24と、バイブレーター19用のスイッチ25と、運転モードを切換える切換えスイッチ26とが実装されており、各スイッチ23~26に対応して本体ケース1の前面に設けたスイッチボタン23a~26aをオン・オフ操作することにより、美容器具の作動状態を種々に切換えることができる。制御基板6には上記のスイッチ以外に、刺激レベルを調整するスイッチを設けることができる。電源スイッチ23の上方の制御基板6には、美容器具の各モード切換え状態に対応して点灯する3個のLED27が実装されており、各LED27の発光を本体ケース1に設けた導光体27aで表示することで、ユーザーに現在の運転モードを視認させることができる。
【0019】
制御基板6の後面には、2次電池5を支持する電極端子28が固定されており、制御基板6の後面の最下部には、給電ソケット7から導出したリード線が固定されている。また、制御基板6の上部には矩形状の充電用実装領域R(
図6参照)が設けられており、同領域Rの後面に2次電池5に充電電流を供給する充電回路32が実装されている。充電回路32は、充電時に充電回路32から出力される充電電流および充電電圧を制御する電池充電IC33を含んで構成してあり、電池充電IC33は制御基板6に半田付けされている。制御基板6はその4個所に挿通したビス29(
図5参照)で前ケース1aに固定されている。
【0020】
前熱刺激体3はアルミニウム合金などの金属製のダイキャスト成形品からなり、鏡面処理された部分球面状の肌接触面35を有し、その内面に熱電変換素子8用の平坦な素子接合座36が形成され、素子接合座36の中央部分にねじボス37が後ろ向きに突設されている。前熱刺激体3の周縁にはリング状の接合座38が後向きに突設されており、この接合座38とパッキン39とを前装着座14に接合することで、前熱刺激体3は前ケース1aと一体化されている。熱電変換素子8は円形リング状に形成されており、その前後面が先の素子接合座36と、ヒートシンク9の前端の平坦な素子接合座46に対して、シリコン樹脂製の伝熱シート40を介して密着接合されている。伝熱シート40は、熱電変換素子8から各素子接合座36・46への熱伝導を促進するために設けられている。
【0021】
ヒートシンク9は、アルミニウム合金などの金属製のダイキャスト成形品からなり、後面に一群の放熱フィン43が形成された円形の放熱部44と、放熱部44から制御基板6に向かって延出される矩形状の受熱部45とを備えている。放熱部44の前面には、素子接合座46を備えた円形のシンク基部47が設けられており、シンク基部47の後面中央に前後面が開口する筒ボス48が設けられ、筒ボス48の上下に一対の伝熱ボス49が設けられている。また、シンク基部47の基端周囲の平坦壁と、同壁と正対する前装着座14の内面には、互いに係合してヒートシンク9を位置決めするV字状の位置決め凹部50と、V字状の位置決めリブ51とがリング状に形成されている。なお、放熱部44を構成する放熱フィン43は省略してもよい。なお、締結ボス18、ねじボス37、および筒ボス48とビス72は、シンク基部47の後面中央の1個所に設けたが、シンク基部47の後面の複数個所に設けることができる。その場合には、前熱刺激体3がヒートシンク9に対して回転変位し、あるいはずれ動くのを確実に防止できる。
【0022】
2次電池5を充電するとき、電池充電IC33は発熱し、100℃前後にまで温度が上がる。そのため、2次電池5が繰返し充電されると、電池充電IC33の機能劣化が進んで、電池充電IC33の寿命が短くなるおそれがある。こうした不具合を解消するために、本実施例では、電池充電IC33の後面をヒートシンク9の受熱部45にシリコン樹脂製の伝熱シート53を介して接合することにより、電池充電IC33の熱を受熱部45の側へ効果的に逃がすようにしている。
【0023】
具体的には、
図6および
図7に示すように、電池充電IC33を間に挟んで、充電用実装領域Rの左右に挿通したビス(締結体)54を、ディスタンスカラー55を介して受熱部45のねじ穴56にねじ込んで、電池充電IC33および伝熱シート53が受熱部45に密着する状態で、充電用実装領域Rを受熱部45に締結固定している。このように、電池充電IC33の熱を表面積が大きなヒートシンク9の側へ逃がすことにより、2次電池5を充電するときの電池充電IC33の温度が高温になるのを防止できる。従って、2次電池5が繰返し充電される場合でも、電池充電IC33の機能が劣化することを抑えて、2次電池5の充電を効率良く行うことができる。
【0024】
上記の接合構造によれば、充電用実装領域Rと受熱部45を一対のビス54で締結固定するだけの簡単な構造を付加するだけで、電池充電IC33と受熱部45の密着度合いを高めて、電池充電IC33の熱をさらに効果的に受熱部45へ伝導することができる。また、電池充電IC33の周囲複数個所において、金属製のビス54で、充電用実装領域Rを受熱部45に締結固定するので、電池充電IC33から受熱部45への直接的な熱伝導に加えて、電池充電IC33の周囲の基板面の熱をビス54で受熱部45に伝導して、電池充電IC33から受熱部45へ伝導される総熱量を増加できる。従って、電池充電IC33が高温に晒されるのをさらに確実に解消して、充電回路32の制御機能を長期にわたって正常な状態に維持できる。
【0025】
しかし、美容器具の使用時、例えば熱電変換素子8の冷熱が前熱刺激体3に供給され、熱電変換素子8の温熱がヒートシンク9の放熱部44から放出される状況では、放熱部44の熱が受熱部45側へ伝導されて、電池充電IC33の温度が上昇するおそれがある。こうした不具合を解消するために、放熱部44と受熱部45の間に熱遮断部57を設け、熱遮断部57に放熱部44の熱が受熱部45へ伝導するのを規制する熱遮断構造を設けている。
図6に示すようにこの実施例では、熱遮断部57に縦長長方形状の3個の熱遮断穴58を前後に貫通する状態で設けて熱遮断構造とした。このように熱遮断部57に熱遮断穴58を設けると、熱遮断部57における伝熱断面積を減少させることができるので、その分だけ放熱部44から受熱部45へ伝導される熱量を減少して、電池充電IC33の温度が上昇するのを防止できる。また、熱遮断穴58を形成するのに伴い熱遮断部57の表面積を大きくして、熱遮断部57における放熱作用を向上できる。
【0026】
後熱刺激体4はプラスチック成形品からなり、部分球面状の肌接触面61を有し、その周縁内面の4個所に弾性係合爪62が一体に設けられている(
図1参照)。また、後熱刺激体4の内面中央にはバイブレーター19を水平姿勢で支持するホルダー枠20が設けられている。後熱刺激体4の周縁にはリング状の接合部63が設けられており、この接合部63をパッキン64と共に後装着座16に接合し、弾性係合爪62を後ケース1bの係合壁65に係合することにより、後熱刺激体4を後ケース1bと一体化できる。
図4に示すように、バイブレーター19は、小型のモーター66と、その出力軸に固定した偏心錘67を備えており、モーター66を回転駆動することにより振動を発生させることができる。後熱刺激体4の肌接触面61の球面半径は、前熱刺激体3の肌接触面35の球面半径より大きく設定してある。このように、後熱刺激体4の肌接触面61の球面半径が大きく設定してあると、肌接触面61の肌面に対する当りをソフトにして、バイブレーター19による振動刺激が肌面に対して必要以上に付与されるのを防止できる。
【0027】
伝熱体10は、アルミニウム合金などの金属製のダイキャスト成形品からなり、後熱刺激体4の内面(前面)に密着する部分球殻状の本体部10aと、本体部10aの内面の上下に突設される受熱軸10bとを一体に備えている。本体部10aの中央部分にはバイブレーター19を受入れる逃げ開口69が形成されている。受熱軸10bを伝熱ボス49に内嵌連結させるために、後ケース1bの内壁17には上下一対の挿通穴70が形成されている。また、挿通穴70の上下にはヒートシンク9の放熱フィン43に接当する押圧リブ71が突設されている。
【0028】
前熱刺激体3、熱電変換素子8、ヒートシンク9と、制御基板6は、以下の手順で前ケース1aに組むことができる。まず、給電ソケット7が接続された制御基板6の充電用実装領域Rを、ヒートシンク9の受熱部45に正対させ、伝熱シート53および電池充電IC33が受熱部45に密着する状態で、充電用実装領域Rを2個のビス54で受熱部45に締結して、制御基板6とヒートシンク9を一体化する。次に、前ケース1aの前装着座14にパッキン39と前熱刺激体3を仮組みし、さらに前熱刺激体3の素子接合座36に伝熱シート40と熱電変換素子8を組み、熱電変換素子8の後面に2枚目の伝熱シート40を組む。この状態で、制御基板6が一体化されたヒートシンク9を、前ケース1aの内面に組んで、位置決め凹部50を位置決めリブ51に係合させて、ヒートシンク9を前ケース1aに対して位置決めしたのち、制御基板6を4個のビス29で前ケース1aに固定し、給電ソケット7を前ケース1aの係合溝に嵌め込む。
【0029】
以上の組付けが終了したら、後ケース1bを前ケース1aに被付けて締結ボス18を筒ボス48の内部に挿入し、締結ボス18の前端を前熱刺激体3のねじボス37に外嵌させる。この状態で、筒ボス48に挿入したビス(締結具)72をねじボス37にねじ込み、さらに後ケース1bの下部に挿通したビス73(
図3参照)を前ケース1aのねじボス74にねじ込むことにより、前後ケース1a・1bを一体化できる。前後ケース1a・1bを一体化した状態では、前熱刺激体3が後ケース1b側へ引寄せられ、さらに、後ケース1bに設けた押圧リブ71が放熱フィン43に接当して、ヒートシンク9を前ケースに押付けている。つまり、熱電変換素子8とヒートシンク9は、前ケース1aに装着した前熱刺激体3と後ケース1bで挟持固定されており、前ケース1aは、前熱刺激体3と後ケース1bで挟持固定されている。以後は、伝熱体10の受熱軸10bの前部を挿通穴70から伝熱ボス49のボス内に係合して、伝熱体10をヒートシンク9に連結する。最後に、パッキン64と後熱刺激体4を後ケース1bの後装着座16に接合し、後熱刺激体4の弾性係合爪62を後ケース1bの係合壁65に係合することにより、美容器具を完成できる。
【0030】
美容器具を使用するときは、電源スイッチ23をオン状態に切換えたのち、運転モードの切換えスイッチ26を操作して、温熱モードと、冷熱モードと、温冷交互モードのいずれかを選択する。さらに、イオン導入/導出スイッチ24をオン操作し、さらにバイブレーター19用のスイッチ25をオン操作することにより、美容器具をユーザーの目的に応じた運転状態に設定できる。温熱モードにおいては、前熱刺激体3が熱電変換素子8で加熱され、冷熱モードにおいては、前熱刺激体3が熱電変換素子8で冷却される。
【0031】
イオン導入時には、前熱刺激体3にマイナス極性のパルス電流が供給され、グリップ電極21にはプラス極性のパルス電流が供給されている。グリップ電極21を手で握り、前熱刺激体3を顔肌に押し付けることにより閉ループが形成されて、顔肌に電流刺激を付与しながら化粧水をしみこませることができる。イオン導出時には、前熱刺激体3にプラス極性、グリップ電極21にマイナス極性のパルス電流が供給される。グリップ電極21を手で握り、前熱刺激体3を顔肌に押し付けることにより閉ループが形成されて、顔肌に電流刺激を付与しながら毛穴などに入り込んでいる汚れを取除くことができる。バイブレーター19用のスイッチ25はユーザーの好みでオン・オフできるが、特定の運転モードではバイブレーター19が自動的に起動される。
【0032】
以上のように構成した実施例1の小型電気機器は、以下のように表現できる。
本体ケース1のヘッド部2(一端)に、熱電変換素子8と、熱電変換素子8の前面に接合される刺激付与体3と、熱電変換素子8の後面に接合されるヒートシンク9とを備えた肌刺激構造が配置されており、
本体ケース1は、前後に分割された前ケース1aと後ケース1bを接合して中空ケース状に構成されており、
本体ケース1のヘッド部2(一端)の前ケース1aにはシンク開口13が開口されて、
シンク開口13の外面に刺激付与体3が配置され、シンク開口13の内面にヒートシンク9が配置されており、
後ケース1bは前ケース1aに接合された状態で、後ケース1bの後面側から刺激付与体3にねじ込んだ締結具72で締結固定されて、刺激付与体3と熱電変換素子8、およびヒートシンク9が前ケース1aおよび後ケース1bと一体化されており、
一体化された状態における熱電変換素子8とヒートシンク9が、刺激付与体3と後ケース1bで挟持固定されており、
さらに、前ケース1aがヒートシンク9および後ケース1bと刺激付与体3で挟持固定されており、
刺激付与体3が前ケース1aに対してパッキン39を介して接合されている小型電気機器。
【0033】
上記のように構成した小型電気機器によれば、刺激付与体3、熱電変換素子8、およびヒートシンク9を前ケース1aに仮組みし、さらに後ケース1bを前ケース1aに接合した状態で、後ケース1bの後面側から刺激付与体3に締結具72をねじ込むことで、肌刺激構造を前後ケース1a・1bと一体化できる。つまり、刺激付与体3、熱電変換素子8、ヒートシンク9と前後ケース1a・1bの5者を、1個の締結具72のみで一体化し固定できるので、刺激付与体3、熱電変換素子8、ヒートシンク9を、例えば前ケース1aに順に締結固定する必要がなく、しかも締結具72の使用個数を最小限化して、その分だけ組立に要する手間とコストを軽減できる。さらに、刺激付与体3を前ケース1aに対してパッキン39を介して接合するので、化粧液を併用して刺激付与体3でスキンケアを行う場合に、化粧液がヘッド部2の内部に浸入するのを確実に防止でき、化粧液の侵入を原因とする電気的故障を解消できる。なお、シンク基部47の後面の複数個所に締結構造が設けてある場合でも、個々の締結構造を1個の締結具72のみで一体化し固定できる。
【0034】
刺激付与体3に締結具72用のねじボス37が設けられ、後ケース1bにねじボス37に連結される締結ボス18が設けられており、
ヒートシンク9に前後貫通状の筒ボス48が形成されており、
締結ボス18およびねじボス37は、筒ボス48の内部で係合連結されて、ねじボス37に挿通した締結具72を締結ボス18にねじ込むことにより固定されている美容器具。
【0035】
上記のように、締結ボス18およびねじボス37を筒ボス48の内部で接合し、両ボス18・37を締結具72で一体化すると、締結ボス18およびねじボス37、あるいはいずれか一方のボスで筒ボス48を支持することにより、ヒートシンク9を刺激付与体3および後ケース1bに対して正確に位置決めし、さらにヒートシンク9が刺激付与体3および後ケース1bに対して遊動するのを阻止できる。従って、刺激付与体3、熱電変換素子8、ヒートシンク9と前後ケース1a・1bの5者を、1個の締結具72のみで一体化できるにも拘らず、ヒートシンク9を刺激付与体3および後ケース1bに対して、常に適正に組立てることができる。シンク基部47の後面の複数個所に締結構造が設けてある場合でも、個々の締結構造を1個の締結具72のみで一体化し固定しながら、ヒートシンク9を刺激付与体3および後ケース1bに対して、常に適正に組立てることができる。
【0036】
シンク開口13の周囲壁の外面および内面に、刺激付与体3およびヒートシンク9がそれぞれ接合されて、刺激付与体3およびヒートシンク9がシンク開口13の周囲壁を内外に挟持しており、
シンク開口13の周囲壁の内面と、同壁と対向するヒートシンク9に、互いに係合して、ヒートシンク9を前ケース1aに対して位置決めする位置決め凹部50と位置決めリブ51が設けられており、
刺激付与体3およびヒートシンク9に作用する締結具72の締結力を、シンク開口13の周囲壁で受止めている小型電気機器。
【0037】
上記のように、刺激付与体3およびヒートシンク9に作用する締結具72の締結力を、シンク開口13の周囲壁で受止めるようにすると、刺激付与体3とヒートシンク9の間に配置した熱電変換素子8を常に適正な挟持力で挟持固定して、仕様通りの熱特性を発揮させることができる。因みに、刺激付与体3およびヒートシンク9の締結力が、熱電変換素子8の前後面に直接作用する場合には、刺激付与体3に過剰な挟持力が作用して、熱特性が変化するなどの故障を発生し、あるいは破損するおそれがある。また、位置決め凹部50と位置決めリブ51を互いに係合させることにより、ヒートシンク9を前ケース1aに対して位置決めした状態で常に適正に組むことができる。
【0038】
本体ケース1のヘッド部2(一端)に、熱電変換素子8と、熱電変換素子8の前面に接合される刺激付与体3と、熱電変換素子8の後面に接合されるヒートシンク9を備えた肌刺激構造が配置されており、
本体ケース1のヘッド部2(一端)の後面に後側の刺激付与体4が配置されて、後側の刺激付与体4の内面に、ヒートシンク9の熱を後側の刺激付与体4に伝導する伝熱体10が設けられており、
刺激付与体4の内面に、振動を生起するバイブレーター19が配置されている小型電気機器。
【0039】
本体ケース1のヘッド部2の後面に、後側の刺激付与体4を設けるようにした美容器具によれば、熱電変換素子8からヒートシンク9に伝導された冷熱または温熱を、伝熱体10で後側の刺激付与体4に伝導して、後側の刺激付与体4によって肌面に熱刺激を付与しながらスキンケアを行うことができる。また、刺激付与体4の内面に配置したバイブレーター19を作動させてスキンケアを行うことにより、振動刺激と熱刺激を同時に付与して、後側の刺激付与体4によるスキンケアをさらに効果的に行うことができる。
【0040】
伝熱体10は、後側の刺激付与体4の内面に密着する部分球殻状の本体部10aと、本体部10aの内面に突設されて、ヒートシンク9の熱を本体部10aへ伝導する複数の受熱軸10bを一体に備えており、
バイブレーター19が、後側の刺激付与体4の内面に設けたホルダー枠20に装着されて、バイブレーター19およびホルダー枠20が、本体部10aの中央に形成した逃げ開口69を介して伝熱体10の内面側に位置されている小型電気機器。
【0041】
上記のように、本体部10aと複数の受熱軸10bで伝熱体10を構成し、ヒートシンク9の熱を受熱軸10bで本体部10aへ伝導し、さらに本体部10aの熱を後側の刺激付与体4に伝導するようにすると、ヒートシンク9の冷熱または温熱を部分球殻状の本体部10aで後側の刺激付与体4にむらなく伝導でき、同時に後側の刺激付与体4の中央付近に配置したバイブレーター19で、刺激付与体4の全体をむらなく振動させながら、肌接触面61によるスキンケアをさらに効果的に行うことができる。また、バイブレーター19およびホルダー枠20が、本体部10aの中央に形成した逃げ開口69を介して伝熱体10の内面側に位置されているので、伝熱体10がバイブレーター19およびホルダー枠20と直接接触してがたつき、騒音源になるのを防止できる。
【0042】
(実施例2)
図8に、電池充電IC33とヒートシンク9の接合構造を変更した、本発明の実施例2に係る小型電気機器(美容器具)を示す。実施例2では、ヒートシンク9の受熱部45の肉壁に受熱凹部77を形成し、受熱凹部77の内部に制御基板6の充電用実装領域Rと電池充電IC33を収容して、充電用実装領域Rの基板面と電池充電IC33を、受熱凹部77の前後の対向面に伝熱シート53を介して密着させるようにした。受熱凹部77は、受熱部45の左右両側と下面に向かって開口している。充電回路32は、受熱凹部77より下方の基板面に配置した。また、実施例2では、熱遮断部57の前後面に、断面が半円状の熱遮断溝58を形成して、当該熱遮断溝58を熱遮断構造とした。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0043】
上記のように、充電用実装領域Rの基板面と電池充電IC33を、受熱凹部77の前後の対向面に密着させると、電池充電IC33の熱を、電池充電IC33と充電用実装領域Rの基板面の各接合面から受熱部45に同時に伝導して、電池充電IC33の温度が高くなるのをさらに効果的に防止できる。従って、電池充電IC33の機能が劣化するのを防止して、2次電池5の充電を効率良く行うことができる。
【0044】
(実施例3)
図9および
図10に、電池充電IC33とヒートシンク9の接合構造を変更した本発明の実施例3に係る小型電気機器(美容器具)を示す。実施例3では、ヒートシンク9の受熱部45と制御基板6の充電用実装領域Rを本体ケース1の下端寄りにまで連出し、充電用実装領域Rに実装した電池充電IC33を受熱部45の下端寄りに密着接合した。受熱部45と充電用実装領域Rは、2次電池5の下端を越えた位置まで連出されている。また、この実施例では、熱遮断部57に一群の熱遮断穴58を前後に貫通する状態で設けて、当該熱遮断穴58を熱遮断構造とした。熱遮断穴58の一群は、上下一対の4個の直線列の間に3個の直線列を配置して、熱伝導通路がジグザグになるようにした。
【0045】
実施例3の接合構造では、ヒートシンク9の受熱部45を本体ケース1の下端寄りにまで連出するだけの単純な構造のみで、受熱部45の放熱面積を大きくして、その分だけ受熱部45の放熱熱量を向上し、電池充電IC33の温度上昇を抑止できる。従って、2次電池5が繰返し充電される場合でも、電池充電IC33が高温に晒されて、充電制御機能が劣化するのを効果的に防止して、2次電池5の充電を効率良く行うことができる。また、電池充電IC33を受熱部45の下端寄りに密着接合するので、放熱部44から電池充電IC33に至る熱伝導経路長を大きくすることができ、その分だけ放熱部44から電池充電IC33へ伝導する熱量を減少できる。さらに、熱遮断部57における熱伝導通路をジグザグに設けたため、放熱部44から電池充電IC33への熱移動を阻害できる利点もある。
【0046】
(実施例4)
図11および
図12に、電池充電IC33とヒートシンク9の接合構造を変更した本発明の実施例4に係る小型電気機器(美容器具)を示す。実施例4では、本体ケース1の下端寄りに位置する制御基板6に縦長のスリット状の切欠79を形成し、この切欠79に沿って制御基板6の厚み方向へ弾性変形可能な充電用実装領域Rを形成した。また、充電用実装領域Rに充電回路32と電池充電IC33を配置し、電池充電IC33を充電用実装領域Rの下端側に位置させるようにした。制御基板6を前ケース1aの内部に固定し、ヒートシンク9を本体ケース1の内部に組んだ状態では、
図12に示すように、電池充電IC33が受熱部45で伝熱シート53を介して押圧されるので、充電用実装領域Rが弾性変形する。
【0047】
実施例4の接合構造では、電池充電IC33が充電用実装領域Rの基板の弾性力で、ヒートシンク9の受熱部45に密着されるので、電池充電IC33の熱をさらに効果的に受熱部45へ伝導することができる。また、充電用実装領域Rを受熱部45に締結するためのビス54やディスタンスカラー55を省略できる分だけ接合構造のコストを削減できる。
【0048】
(実施例5)
図13に、電池充電IC33とヒートシンク9の接合構造を変更した本発明の実施例5に係る小型電気機器(美容器具)を示す。実施例5では、本体ケース1の下端寄りに位置する制御基板6に上下一対の横長のスリット状の切欠79を形成し、この切欠79の間を充電用実装領域Rとして、同領域Rの受熱部45との対向面の先端寄りに電池充電IC33を配置した。充電用実装領域Rは、実施例4の充電用実装領域Rと同様に、制御基板6の厚み方向へ弾性変形可能であり、電池充電IC33を充電用実装領域Rの基板の弾性力で、受熱部45に密着付勢する。充電回路32は、下側の切欠79より下方の基板に配置されている。
【0049】
実施例5の接合構造によれば、実施例4の接合構造と同様に、充電用実装領域Rの基板の弾性力で、電池充電IC33が受熱部45に密着付勢されるので、電池充電IC33の熱をさらに効果的に受熱部45へ伝導することができる。また、充電用実装領域Rを受熱部45に締結するためのビス54やディスタンスカラー55を省略できる分だけ接合構造のコストを削減できる。
【0050】
(実施例6)
図14および
図15に、電池充電IC33とヒートシンク9の接合構造を変更した本発明の実施例6に係る小型電気機器(美容器具)を示す。実施例6では、制御基板6の下部の充電用実装領域Rに、充電回路32と電池充電IC33を配置した。また、放熱部44の下部一側に上下寸法が小さな受熱部45と熱遮断部57を設け、電池充電IC33と受熱部45を上下に長い銅製の伝熱具80で接続して、電池充電IC33の熱を伝熱具80で受熱部45に伝導するようにした。帯板状の伝熱具80の上端はビス81で受熱部45に締結されており、伝熱具80の下部はビス54とナット82で制御基板6に締結されている。伝熱具80の厚みは、受熱部45の前後厚みより薄く設定されており、伝熱具80の左右幅は、受熱部45の左右幅より小さく設定されている。また、熱遮断部57の前面に、スリット状の熱遮断溝58を形成して、当該熱遮断溝58を熱遮断構造とした。
【0051】
実施例6の接合構造によれば、電池充電IC33の熱を伝熱具80で受熱部45へ伝導できるので、2次電池5が繰返し充電される場合でも、電池充電IC33の機能が劣化するのを防止して、2次電池5の充電を効率良く行うことができる。また、伝熱具80の厚みを受熱部45の前後厚みより薄く設定したので、受熱部45が充電用実装領域Rにまで連出されている場合に比べて、ヒートシンク9の重量を小さくでき、その分だけ持重りのしない美容器具を提供できる。
【0052】
実施例で説明した制御基板6は、ガラス系の絶縁基材で形成することが多いが、必要があれば、アルミニウム板材の表面に絶縁層と銅の配線層を形成した熱伝導性に優れた金属基板や、さらに放熱特性が大きなセラミック基板で形成することができる。位置決め凹部50および位置決めリブ51の断面形状はV字状に形成する必要はなく、矩形や半円形など任意の形状に形成することができる。また、締結体54はビスである必要はなく、ボルトやリベットであってもよい。本発明は美容器具以外に、熱電変換素子を備えた温熱治療器(小型電気機器)に適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 本体ケース
2 ヘッド部
3 前熱刺激体(刺激付与体)
4 後熱刺激体(刺激付与体)
5 2次電池
6 制御基板
8 熱電変換素子
9 ヒートシンク
10 伝熱体
13 シンク開口
14 前装着座
15 後開口
16 後装着座
19 バイブレーター
20 ホルダー枠
21 グリップ電極
32 充電回路
33 電池充電IC
36 素子接合座
43 放熱フィン
44 放熱部
45 受熱部
46 素子接合座
54 締結体(ビス)
57 熱遮断部
58 熱遮断穴
77 受熱凹部
80 伝熱具