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特許7149236パディング及びミッドソール構造体を有する履物並びにそれを作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】パディング及びミッドソール構造体を有する履物並びにそれを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 35/04 20100101AFI20220929BHJP
   B29D 35/08 20100101ALI20220929BHJP
【FI】
B29D35/04
B29D35/08
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019137100
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2020015317
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2019-09-02
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】16/047,687
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジョゼフ レズリー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ニエト ペリラ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ウェブリング
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】関口 哲生
【審判官】熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-83557(JP,A)
【文献】国際公開第2013/121578(WO,A1)
【文献】特表2009-504268(JP,A)
【文献】特開昭53-61459(JP,A)
【文献】特公昭52-12624(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D35/04
B29D35/08
D06F58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の構成要素を製造する方法であって、
靴型にアッパーを位置決めするステップであって、前記靴型は前記靴型内の第1のチャネルによって接続された第1の開口部と前記靴型内の第2のチャネルによって接続された第2の開口部とを画定し、前記靴型は前記アッパーの内部に配置されている、ステップと、
前記第1のチャネルを通じて第1のポリマー材料を注入して、前記アッパーの外側に配設されるパディングを形成するステップであって、内面にキャビティまたは凹部を有するモジュール付属物が、前記アッパーの外側に配設され、前記第1のポリマー材料が、前記アッパーを通じて染み出て、前記キャビティまたは前記凹部を充填することで、前記パディングが形成される、ステップと、
前記第2のチャネルを通じて第2のポリマー材料を注入するステップであって、前記第2のポリマー材料が、前記アッパーを通じて染み出て、ミッドソールを形成する、ステップとを備える、前記方法。
【請求項2】
着用者に関連付けられた足のデータを取得するステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ミッドソール及び前記パディングをカスタマイズするように、前記着用者に関連付けられた前記足のデータを用いるステップをさらに備える請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概略として、履物の構成要素に関し、より具体的には、靴型などの3D体の種々のポートを通じて注入されるポリマー材料から作製される履物の構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
ミッドソール、アウトソール及びスパイクプレートなどの種々の履物の構成要素を作製する履物の製造には、射出成型が用いられる。射出成型の公知の使用においては、材料が、成型プレートのセットのインゲートを通じて注入され、成型プレートのスタイルに基づいて成形される。これらのシステムは、履物の構成要素を創造性豊かに形作り及び成形するには柔軟性に欠けているため、製造に限界がある(例えば、成型プレートの形状への限界、処理に最適な材料への限界など)。さらに、処理が、煩雑であり時間が掛かる。したがって、効率的でカスタマイズ可能でありかつ迅速な態様で履物の構成要素の成形を向上させる必要がある。
【発明の概要】
【0003】
パディング(padding)及びミッドソール構造体を有する履物と、さらにそのような履物の構成要素を作製する方法とが開示される。ある実施形態では、履物の構成要素は、靴型などの3D体の種々のポートを通じて注入される少なくとも1つのポリマー材料から作製される。履物の構成要素は、限定されることなく、ミッドソール、ヒールカウンタ、足首及び踵のパディング、内側及び外側支持部、並びに他の内部又は外部構造体を含む。ある実施形態では、履物の構成要素は、構造内にチャネルを有する靴型を通じて少なくとも1つのポリマー材料を注入することによって作製される。ある実施形態では、チャネルは、材料が吐出して所望の履物の構成要素を形成する開口部を含む。ある実施形態では、履物の構成要素は、編み靴下又は同様の材料などの3D履物アッパー構成要素及びその周辺に形成される。
【0004】
ある実施形態では、履物の物品を製造する方法は、靴型にアッパーを位置決めするステップを含む。ある実施形態では、靴型は、靴型における1以上のチャネルによって接続された開口部を画定する。ある実施形態では、履物の物品を製造する方法は、靴型における1以上のチャネルを通じて材料を注入するステップと、材料でアッパーに構造体を形成するステップとを含む。
【0005】
ある実施形態では、構造体はミッドソールを含む。ある実施形態では、構造体は、アッパーのパディングを含む。ある実施形態では、開口部は、靴型の上部に注入口及び靴型の底部に排出口を含む。
【0006】
ある実施形態では、方法は、着用者に関連付けられたデータに基づいて構造体をカスタマイズするステップを含む。ある実施形態では、構造体をカスタマイズするステップは、構造体の位置をカスタマイズするステップを含む。ある実施形態では、構造体をカスタマイズするステップは、構造体の形状をカスタマイズするステップを含む。ある実施形態では、構造体をカスタマイズするステップは、構造体の材料をカスタマイズするステップを含む。ある実施形態では、方法は、着用者に関連付けられたデータに基づいてアッパーをカスタマイズするステップを含む。
【0007】
ある実施形態では、靴型は、靴型の底部分にキャビティを画定する。ある実施形態では、キャビティは、靴型の長さの大部分及び靴型の幅の大部分に延在する。ある実施形態では、アッパーに構造体を形成するステップは、キャビティにインソールを形成するステップを含む。
【0008】
ある実施形態では、靴型は、彫刻加工されたフィーチャ及びエンボス加工されたフィーチャの少なくとも一方を有するパターンを含む。
【0009】
ある実施形態では、履物の物品を製造する方法は、靴型にアッパーを位置決めするステップと、靴型を通じて材料を注入するステップと、単一の連続処理において材料でアッパーのパディング及びミッドソールを形成するステップとを含む。ある実施形態では、方法は、靴型を通じて第2の材料を注入するステップを含む。ある実施形態では、方法は、アッパーのパディングを成形するようにモジュール付属物を用いるステップを含む。ある実施形態では、方法は、着用者に関連付けられた足のデータを取得するステップを含む。ある実施形態では、方法は、ミッドソール及びアッパーのパディングをカスタマイズするように着用者に関連付けられた足のデータを用いるステップを含む。
【0010】
ある実施形態では、履物の物品は、アッパーと、アッパーに配設された単回注入ミッドソール及びパディングとを含む。ある実施形態では、単回注入ミッドソール及びパディングは、アッパーとは異なる。ある実施形態では、パディングは、アッパーの外側に配設される。ある実施形態では、パディングは、アッパーの内側に配設される。ある実施形態では、パディングは、着用者に関連付けられた足のデータに基づいてカスタマイズされる。ある実施形態では、ミッドソールは複数の材料を含む。ある実施形態では、ミッドソールは複数密度(multi-density)の材料を含む。
【0011】
ある実施形態では、靴型は、注入開口部から排出開口部に延在するチャネルを画定する本体を含む。ある実施形態では、靴型の本体は、複数のチャネルを画定する。ある実施形態では、靴型は、本体の外面に1以上のパターンを含む。ある実施形態では、パターンは、外面にエンボス加工される。ある実施形態では、パターンは、外面に彫刻加工される。ある実施形態では、パターンは、エンボス加工及び彫刻加工されたフィーチャを含む。ある実施形態では、パターンは、リッジ部、すなわち隆起した構造体を含む。ある実施形態では、パターンは、踵領域、中間足領域及び前足領域の1以上に配設される。ある実施形態では、パターンは、靴型の先芯、バンプ、クォータ又はタン領域の1以上に配設される。
【0012】
ここに組み込まれ明細書の一部を構成する添付図面は、本発明を示し、説明とともに、さらに発明の原理を説明し、関連技術の当業者が発明を製造及び使用することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、ある実施形態による靴型の側面図を示す。
図2図2は、ある実施形態による履物の物品を製造する方法を示す。
図3図3は、ある実施形態による足首のパディングパターンを有する靴型の斜視図を示す。
図4図4は、ある実施形態による足首のパディングパターン及び内部チャネルを有する靴型の側面図を示す。
図5図5は、ある実施形態によるアッパーの側面図を示す。
図6図6は、ある実施形態による中間足支持パターンを有する靴型の斜視図を示す。
図7図7は、ある実施形態による中間足支持パターン及び内部チャネルを有する靴型の側面図を示す。
図8図8は、ある実施形態による前足パターンを有する靴型の斜視図を示す。
図9図9は、ある実施形態による前足パターン及び内部チャネルを有する靴型の側面図を示す。
図10図10は、ある実施形態による内部チャネルを有する靴型の側面図を示す。
図11図11は、ある実施形態によるソールパターン及び内部チャネルを有する靴型の側面図を示す。
図12図12は、ある実施形態によるソールパターン及び内部チャネルを有する靴型の前面図を示す。
図13図13は、ある実施形態による履物の物品の側面図を示す。
図14図14は、ある実施形態によるモジュール付属物を有する靴型の斜視図を示す。
図15図15は、ある実施形態による履物の物品の側面図を示す。
図16図16は、ある実施形態によるアッパーの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、本発明は、添付図面に示すようにその実施形態を参照して詳細に説明され、同様の符号は一致する又は機能的に類似する要素を示すのに用いられる。「一実施形態」、「実施形態」、「例示の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定のフィーチャ、構造又は特徴を含み得るが、すべての実施形態が必ずしもその特定のフィーチャ、構造又は特徴を含まなくてもよいことを示す。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を言及していない。また、特定のフィーチャ、構造又は特徴が実施形態に関連して説明される場合には、明示されるか否かに関わらず、他の実施形態に関連してそのようなフィーチャ、構造又は特徴に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0015】
ここで用いられる「発明」又は「本発明」の用語は、非限定的な用語であり、特定の発明のいずれか1つの実施形態のことを言う意図はないが、本出願に説明するような可能なすべての実施形態を含む。
【0016】
以下の例は、本発明の限定ではなく例示的なものである。本分野で通常見られる多様な状況及びパラメータの適切な他の変形例及び適用例は、当業者には明らかであり、発明の趣旨及び範囲内のものである。
【0017】
本発明の実施形態は、パディング及びミッドソール構造体を有する履物、パディング及びミッドソール構造体を作製する方法、並びにパディング及びミッドソール構造体を作製するための靴型を提供する。ある実施形態では、提供される履物は、運動靴であってもよい。例えば、提供される履物は、ランニングシューズ、サッカーシューズ、バスケットボールシューズ、フットボールシューズ、テニスシューズ又は他の任意の運動靴であり得る。ある実施形態では、提供される履物は、運動用ではない靴であってもよい。
【0018】
ある実施形態では、1以上のチャネルによって接続される開口部を画定する靴型が提供される。ポリマー材料は、アッパーにおける種々の位置に構造体を形成するように、開口部及びチャネルを通じて注入され得る。例えば、履物の構成要素は、編み靴下などの3Dアッパー構成要素とその周辺に形成され得る。ある実施形態では、複雑な形状が、靴型の使用によりアッパーの内側及び/又は外側に形成可能である。ある実施形態では、靴型の外部のツール(すなわち、付属物)は、履物の構成要素を形成し、ポリマー材料をチャネルを通して送るのに役立ち得る。
【0019】
ある実施形態では、靴型10は、例えば図1に示すように、パディング及びミッドソール構造体を作るのに用いられる。構造体は、履物の物品のアッパー又はソールの一部として、快適性、フィット性、支持性、触覚フィードバック、剛性、柔軟性又は他の目的のために用いられ得る。ある実施形態では、靴型10は、1以上のポート又は開口部12、13を含む(図3参照)。ある実施形態では、開口部12は注入ポートを備える。ある実施形態では、開口部13は排出ポートを備える。ある実施形態では、開口部12、13は、靴型10における1以上のチャネル11によって接続される(図4参照)。ある実施形態では、チャネル11は、靴型10の内部部分に配設される。ある実施形態では、チャネル11及び開口部12、13は、ポリマー材料などの材料が流動し得る経路のネットワークを形成する。ある実施形態では、1以上のチャネル11は、ある経路から他の経路に材料が流動し得るように交差し得る。
【0020】
ある実施形態では、ポリマー材料は、軟性ノズルカバーを通じて注入開口部12に転送される。軟性ノズルカバーは、シリコーン又は同様のエラストマー材料製であり得る。ある実施形態では、軟性ノズルカバーは、ノズルと注入開口部12の間に気密シールを生成するように、注入開口部12内で拡張する。ある実施形態では、他の装置又は方法は、ノズルと注入開口部12の間にシールを生成するのに用いられ得る。例えば、Oリングが、ノズルと注入開口部12の間のシールを促進させるのに用いられ得る。
【0021】
ある実施形態では、注入開口部12は、靴型10の平坦面に配設される。ある実施形態では、注入開口部12は、例えば図3に示すように、足型の上の靴型10のアッパー部分に配設される。注入開口部12の他の配置もまた可能である。排出開口部13は、様々な位置(例えば、履物の構成要素が作られることが望まれるいずれかの箇所)に配設され得る。ある実施形態では、1以上の排出開口部13は、靴型10の外側に配設される。ある実施形態では、1以上の排出開口部13は、靴型10の内側に配設される。ある実施形態では、1以上の排出開口部13は、靴型10の底側に配設される。ある実施形態では、1以上の排出開口部13は、靴型10の上側(例えば、前足の上)に配設される。ある実施形態では、1以上の排出開口部13は、靴型10の踵エリアに配設される。ある実施形態では、1以上の排出開口部13は、靴型10のつま先エリアに配設される。これらの位置の組合せも、用いられ得る。排出開口部13の他の配置もまた(例えば、バンプ、クォータ、タンなどにおいて)可能である。
【0022】
ある実施形態では、注入開口部12は靴型10の上部に配設され、排出開口部13は靴型10の底部に配設される。ある実施形態では、注入開口部12は靴型10の底部に配設され、排出開口部13は靴型10の上部に配設される。ある実施形態では、注入開口部12又は排出開口部13は、靴型10の上部と底部の間に配設される。
【0023】
ある実施形態では、ポリマー材料は、ポリウレタン発泡体を備える。ある実施形態では、ポリウレタン発泡体(又は他のポリマー材料)は、単一密度であり得る。ある実施形態では、ポリウレタン発泡体(又は他のポリマー材料)は、複数密度の材料であり得る。ある実施形態では、ポリマー材料は、シリコーン、ウレタン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリマー、エラストマー又は他の液体プラスチックを備える。空気又は他のガスなどの他の材料はまた、チャネル11及び開口部12、13を通じて注入され得る。例えば、特定の添加剤が、ポリマー材料の硬化処理を加速又は減速するようにポリマー材料とともに注入され得る。
【0024】
ある実施形態では、靴型10は、靴型10の領域にエンボス加工及び/又は彫刻加工された1以上のパターンを含む。パターンは、踵領域、中間足領域及び前足領域の1以上に配設され得る。パターンは、靴型10の上部、底部又は側部に配設され得る。
【0025】
ある実施形態では、靴型10は、靴型10の外部面に1以上の彫刻加工されたフィーチャ14(例えば、キャビティ又は凹部)を含む。ある実施形態では、靴型10は、靴型10の外部面に1以上のエンボス加工されたフィーチャ15を含む。ある実施形態では、彫刻加工されたフィーチャ14及び/又はエンボス加工されたフィーチャ15は、靴型10に種々のパターンを形成する。ある実施形態では、彫刻加工されたフィーチャ14及び/又はエンボス加工されたフィーチャ15は、排出開口部13に又はその近くに配設される。ある実施形態では、排出開口部13は、彫刻加工されたフィーチャ14内に配設される。ある実施形態では、排出開口部13は、エンボス加工されたフィーチャ15によって囲まれる。ある実施形態では、エンボス加工されたフィーチャ15のリッジ部、すなわち隆起した構造体45(又は彫刻加工されたフィーチャ14のエッジ部44)は、閉じられたエリアを画定し、チャネル11及び排出開口部13を通じて注入される場合に、ポリマー材料のフラッシュを制御するのに役立ち得る。ある実施形態では、彫刻加工されたフィーチャ14及び/又はエンボス加工されたフィーチャ15は、例えば図1に示すように、凹状エリアを画定する。
【0026】
ある実施形態では、彫刻加工されたフィーチャ14及び/又はエンボス加工されたフィーチャ15は、履物の構成要素の形成を促進させるように構成される。例えば、図1における靴型10は、彫刻加工されたフィーチャ14及びエンボス加工されたフィーチャ15を有する足首のパディングパターン16、並びに彫刻加工されたフィーチャ14及びエンボス加工されたフィーチャ15を有する中間足支持パターン17を含む。ある実施形態では、足首のパディングパターン16は、チャネル11及び開口部13を通じて注入されるポリマー材料で足首のパディング36を形成するように構成される(図5参照)。ある実施形態では、中間足支持パターン17は、チャネル11及び開口部13を通じて注入されるポリマー材料で中間足支持ケージ67を形成するように構成される(図16参照)。
【0027】
ある実施形態では、彫刻加工されたフィーチャ14は、内部パディング及び支持部を形成するのに用いられる。ある実施形態では、エンボス加工されたフィーチャ15は、触覚テクスチャ及び/又は3Dデザインを与える構成要素を形成するのに用いられる。ある実施形態では、彫刻加工されたフィーチャ14及び/又はエンボス加工されたフィーチャ15は、外部構成要素を形成するのに用いられる。靴型10のパターンは、彫刻加工されたフィーチャ14のみ、エンボス加工されたフィーチャ15のみ、又は彫刻加工されたフィーチャ14及びエンボス加工されたフィーチャ15の組合せで形成され得る。ある実施形態では、エンボス加工されたフィーチャ15のエッジ部は、靴型10に配設された3Dの履物アッパー構成要素の一部の周辺にシールを作り、ポリマー材料が彫刻加工されたフィーチャ14及びエンボス加工されたフィーチャ15の外側に染み出るのを防止する。
【0028】
ある実施形態では、靴型10は、足首のパディングパターン16及び中間足の支持パターン17の代わりに又はそれに加えて他のパターンを含み得る。さらに、ある実施形態では、足首のパディングパターン16及び/又は中間足の支持パターン17の異なる構成が用いられ得る。ある実施形態では、靴型10は、靴型10の先芯、バンプ、クォータ、タン又は他の領域にエンボス加工及び/又は彫刻加工されたパターンを含み得る。以下でより詳細に説明するように、靴型10は、特注のパディング及び他の構造体を有する特注の履物の物品を提供するように構成され得る。したがって、多種多様な靴型の構成及びフィーチャが可能である。
【0029】
ある実施形態では、靴型10は、履物の物品及び履物の構成要素を作製するのに用いられる。例えば、履物の物品を作製するための方法20が、図2に示される。以下で説明する方法20の動作は、例示的なものである。ある実施形態では、追加の動作が、方法の一部であってもよい。ある実施形態では、図2に示す動作のすべてが完了するわけではない。ある実施形態では、動作の順序は、図2に示す順序とは異なっていてもよい。
【0030】
ある実施形態では、動作21では、着用者に関連付けられたデータが取得される。ある実施形態では、データは、着用者の足のデータ、性能データ、及び着用者に対してカスタマイズされた履物の物品を作るのに関連した他のデータを含む。ある実施形態では、データは、着用者の足プロファイルを評価するのに(例えば、カメラ及び/又はセンサを用いて)フットスキャンを実行することによって取得され得る。ある実施形態では、着用者の足接地プロファイルは、着用者に対する理想的プロファイルを生成するように(例えば、加速度計又は他のセンサを用いて)測定及び分析される。データは、他の方法で取得されてもよい。ある実施形態では、データは、小売り環境において取得され得る。ある実施形態では、データは、2017年4月4日に出願され、米国特許出願公開第2017/0280828A1号として公開された米国特許出願第15/478902号において説明するような態様で取得されてもよく、その開示はその全体においてここに参照として取り込まれる。これらの方法の1以上を用いて取得されるデータは、特定の着用者に対して履物の物品をカスタマイズするのに用いられ得る。
【0031】
ある実施形態では、動作22では、(靴型10のような)靴型が作られる。ある実施形態では、靴型の構成は、動作21で取得されたデータに基づく。したがって、靴型は特定の着用者に対してカスタマイズされ得る。ある実施形態では、靴型は、2017年4月4日に出願され、米国特許出願公開第2017/0280828A1号として公開された米国特許出願第15/478902号において説明するように、事前に規定されたデジタル靴型に基づいて作られ、その開示はその全体においてここに参照として取り込まれる。事前に規定されたデジタル靴型は、着用者の足データに基づいて変更され得る。
【0032】
ある実施形態では、靴型には、ポリマー材料が注入され得る経路のネットワークを形成するように、(靴型10に対して上記のもののような)開口部及びチャネルが作られる。ある実施形態では、靴型には、(靴型10に対して上記のもののような)靴型におけるパターンが生成される。ある実施形態では、変更された靴型は、特定の着用者に対して、(パディングパターン又は支持パターンなどの)靴型におけるパターンと、さらにソールデザインとの配置を決定するのに用いられ得る。変更された靴型はまた、例えば、靴型におけるパターンの数、靴型におけるパターンのサイズ、及び靴型におけるパターンの形状を含む、靴型におけるパターンに対する他のパラメータを決定するのにも用いられ得る。
【0033】
ある実施形態では、動作23では、(アッパー31のような(図5参照))アッパーが作られる。ある実施形態では、アッパーは、主にニット材料である。ある実施形態では、アッパーは、3Dニット材料製である。ある実施形態では、アッパーは、織り、不織、編み及び他の形式のテキスタイル材料製であり得る。ある実施形態では、アッパーは皮革製であり得る。ある実施形態では、アッパーの構成は、動作21で取得されたデータに基づく。例えば、材料のタイプ、材料の物理的特性及び他のパラメータは、動作21で取得されたデータに基づき得る。
【0034】
ある実施形態では、動作24では、アッパーが靴型に位置決めされる。ある実施形態では、アッパーは、その内部側が靴型に面する状態で靴型に位置決めされる。ある実施形態では、アッパーは、靴型に面するその外部側を有する(すなわち、裏表で)靴型に位置決めされる。
【0035】
ある実施形態では、動作25では、材料が靴型を通じて注入される。ある実施形態では、材料はポリマー材料である。ある実施形態では、2以上の材料が、同時に又は順番にいずれかで靴型を通じて注入される。ある実施形態では、材料は、注入開口部(例えば、開口部12)を通じて注入される。ある実施形態では、注入開口部12は、靴型10の上面に配設される(図3参照)。ある実施形態では、材料は、注入開口部12を通じて1以上のチャネル11へと移動する。チャネル11は、経路のネットワークを形成し、靴型10の種々の領域において材料を1以上の排出開口部13に転送し得る。
【0036】
ある実施形態では、動作26では、構造体(例えば、パディング、支持部、ミッドソールなど)が、アッパー(例えば、アッパー31)においてポリマー材料から形成される。ある実施形態では、構造体は、アッパーの内部側に形成され得る。ある実施形態では、構造体は、アッパーの外部側に形成され得る。ある実施形態では、アッパーのパディング及びミッドソールなどの構造体は、単一の連続処理において形成される。ある実施形態では、構造体は同時に形成される。例えば、ミッドソール及び足首のパディングは、ポリマー材料の単回注入で同時に形成され得る。ある実施形態では、構造体は順番に形成され得る(例えば、足首のパディングが、ミッドソールの後に形成される)。ある実施形態では、構造体は、動作21で取得されたデータに基づいてカスタマイズされる。例えば、構造体の位置、形状、サイズ及び/又は材料は、カスタマイズされ得る。
【0037】
アッパーは、ここでは追加の構造体又は履物の構成要素を含み、構造体が形成された後に、靴型から除去され得る。上記のように、追加の動作が実行され得る。例えば、ある実施形態では、靴型は、注入が完了しアッパーが除去された後に、洗浄され得る。
【0038】
種々の靴型、履物の構成要素及び履物の物品の例を、図3~13に示す。ある実施形態では、図3~13の靴型、履物の構成要素及び履物の物品に示されるフィーチャは、靴型、履物の構成要素及び履物の物品の他の変形を生じるように組み合わされ又は変更され得る。例えば、図3の足首のパディングパターン16及び図6の中間足の支持パターン17が、単一の靴型に含まれ得る。他の組合せ及び変形も可能である。これらの変形は、上記のように、特定の着用者に対するカスタマイズに依存し得る。
【0039】
ある実施形態では、例えば図3及び4に示す靴型10は、注入開口部12及び排出開口部13を含む。チャネル11は、注入開口部12を排出開口部13と接続する。図4に示すように、チャネル11は、靴型10内に配設された(点線で示される)内部チャネルである。ある実施形態では、注入開口部12、排出開口部13及びチャネル11は、ポリマー材料を靴型の種々の位置に方向付けるために、靴型を通じて経路のネットワークを形成する。ある実施形態では、注入開口部12は、靴型10の上部に、例えば、図3に示すように、着用者の足を収納するようにアッパーにおける開口部に関連付けられた靴型10の部分に配設される。ある実施形態では、靴型10は、例えば図4に示すように、注入開口部12を囲む構造体42を含む。構造体42は、ポリマー材料を、それが注入開口部12に浸入する直前に保持するように構成され得る。
【0040】
ある実施形態では、靴型10は、足首のパディングパターン16を含む。図3は靴型10における外側足首のパディングパターン16を示すが、靴型10は内側足首のパディングパターン16を追加的又は代替的に含み得る。ある実施形態では、内側足首のパディングパターン16は、靴型10において外側足首のパディングパターン16よりも高く配設され得る。ある実施形態では、足首のパディングパターン16は、2つの排出開口部13を含む。ある実施形態では、靴型10は、注入開口部12から下方に延在するチャネル11を含む。ある実施形態では、チャネル11は2つのチャネル11に分かれ、一方が各排出開口部13に対する。ある実施形態では、靴型10が内側及び外側足首のパディングパターン16を含む場合には、チャネル11は4つのチャネル11に分かれ得る。
【0041】
異なる数及び構成のチャネル11が、排出開口部13の数及び位置に基づいて含まれる。ある実施形態では、足首のパディングパターン16は、彫刻加工されたフィーチャ14及びエンボス加工されたフィーチャ15の双方を含む。ある実施形態では、足首のパディングパターン16は、ポリマー材料がチャネル11を通じて排出開口部13に移動された場合に、足首のパディング36を生じるように構成される(図5参照)。
【0042】
ある実施形態では、靴型10は、図5に示すように、アッパー31を作製するのに用いられ得る。ベース層32は、靴型10の周辺に配置される。ある実施形態では、ベース層32は、ニット又は織り材料などのテキスタイル材料を備える。ある実施形態では、ベース層32は、三次元のニットテキスタイル材料を備える。ある実施形態では、ポリマー材料は、ベース層32が靴型10に配設される場合に、チャネル11を通じて排出開口部13に移動される。ある実施形態では、ポリマー材料は、それが足首のパディング36を形成するように凝固又は硬化するとベース層32に付着する。
【0043】
ある実施形態では、ポリマー材料は、ベース層32の外部面に足首のパディング36を形成するようにベース層32を通じて染み出る。ある実施形態では、ポリマー材料は、ベース層32の内面に足首のパディング36を形成する。ある実施形態では、ベース層32は靴型10の裏表に配置されてもよく、それにより足首のパディング36は、ベース層32を通過することなくベース層32の外部面に形成される。足首のパディング36が形成された後に、(ベース層32及び足首のパディング36を含む)アッパー31は靴型10から除去され得る。
【0044】
ある実施形態では、例えば図6及び7に示すように靴型10は、注入開口部12、排出開口部13、及び注入開口部12を排出開口部13に接続するチャネル11を含む。図7に示すように、チャネル11は、靴型10内に配設された(点線で示される)内部チャネルである。ある実施形態では、注入開口部12は、靴型10の上部、例えば、図6に示すように、着用者の足を収納するようにアッパーにおける開口部に関連付けられた靴型10の部分に配設される。ある実施形態では、靴型10は、例えば図7に示すように、注入開口部12を囲む構造体42を含む。構造体42は、ポリマー材料を、それが注入開口部12に浸入する直前に保持するように構成され得る。
【0045】
ある実施形態では、靴型10は、中間足の支持パターン17を含む。図6は靴型10における外側中間足の支持パターン17を示すが、靴型10は内側中間足の支持パターン17を追加的又は代替的に含み得る。ある実施形態では、中間足の支持パターン17は、1つの排出開口部13を含む。ある実施形態では、中間足の支持パターン17は、2以上の排出開口部13を含む。ある実施形態では、靴型10は、注入開口部12から直接排出開口部13に延在するチャネル11を含む。ある実施形態では、靴型10が内側及び外側中間足の支持パターン17を含む場合には、チャネル11は2つのチャネル11に分かれてもよく、一方が内側中間足の支持パターン17に通じ、他方が外側中間足の支持パターン17に通じる。ある実施形態では、中間足の支持パターン17は、彫刻加工されたフィーチャ14及びエンボス加工されたフィーチャ15の双方を含む。ある実施形態では、中間足の支持パターン17は、ポリマー材料がチャネル11を通じて排出開口部13に移動された場合には、中間足の支持ケージ67を生じるように構成される(図16参照)。
【0046】
ある実施形態では、靴型10は、足首のパディング36を含むアッパー31に関して上記と同様に、中間足の支持ケージ67を含むアッパーを作製するのに用いられ得る。靴型10はまた、中間足の支持ケージ67及び足首のパディング36の双方を有する(又は他の履物の構成要素を有する)アッパーを作製するのにも用いられ得る。
【0047】
ある実施形態では、例えば図8及び9に示すように靴型10は、注入開口部12、排出開口部13、及び注入開口部12を排出開口部13に接続するチャネル11を含む。図9に示すように、チャネル11は、靴型10内に配設された(点線で示される)内部チャネルである。ある実施形態では、注入開口部12は、靴型10の上部、例えば、図8に示すように、着用者の足を収納するようにアッパーにおける開口部に関連付けられた靴型10の部分に配設される。ある実施形態では、靴型10は、例えば図9に示すように、注入開口部12を囲む構造体42を含む。構造体42は、ポリマー材料を、それが注入開口部12に浸入する直前に保持するように構成され得る。
【0048】
ある実施形態では、靴型10は、前足パターン18を含む。前足パターン18は、明瞭化のためにのみ平面図として図9に示される。前足パターン18は、図8に示すように、前足領域において靴型10の上部にわたって配設される。ある実施形態では、前足パターン18は、1つの排出開口部13を含む。ある実施形態では、前足パターン18は、図8に示すように、2以上の排出開口部13を含む。ある実施形態では、靴型10は、注入開口部12から直接排出開口部13に延在するチャネル11を含む。ある実施形態では、前足パターン18は、彫刻加工されたフィーチャ14及びエンボス加工されたフィーチャ15の双方を含む。ある実施形態では、前足パターン18は、ポリマー材料がチャネル11を通じて排出開口部13に移動された場合には、アッパーの前足の上に固有受容性フィーチャを生じるように構成される。
【0049】
ある実施形態では、靴型10は、足首のパディング36を含むアッパー31に関して上記と同様に、前足の固有受容性フィーチャを含むアッパーを作製するのに用いられ得る。靴型10はまた、前足の固有受容性フィーチャ及び(中間足の支持ケージ67及び/又は足首のパディング36などの)追加の構成要素の双方を有するアッパーを作製するのにも用いられ得る。
【0050】
ある実施形態では、例えば図10~12に示すように靴型10は、ソール39を作製するのに用いられ得る。靴型10は、1以上の注入開口部12及び1以上の排出開口部13を含み得る。ある実施形態では、靴型10は2つの注入開口部12を含み、各々靴型10の上部、例えば、図10に示すように、着用者の足を収納するようにアッパーにおける開口部に関連付けられた靴型10の部分に位置決めされる。ある実施形態では、靴型10は、靴型10の底部分に配設された2つの排出開口部13を含む。ある実施形態では、靴型10は、注入開口部12を排出開口部13に接続する1以上のチャネル11を含む。ある実施形態では、靴型10は2つのチャネル11を含む。図10に示すように、チャネル11は、靴型10内に配設された(点線で示される)内部チャネルである。ある実施形態では、排出開口部13は注入開口部12の真下に配設され、それによりチャネル11は、靴型10が直立する場合には垂直となる。
【0051】
ある実施形態では、ソール39はミッドソールを備える。ある実施形態では、アッパーは(アッパー31について上記のように)靴型10において形成され、アッパーがさらに靴型10に配設される間に、ソール39は形成され得る。ある実施形態では、ポリマー材料は、ソール39を形成するように(チャネル11を通じて移動した後に)アッパーを通じて染み出す。
【0052】
ある実施形態では、図11及び12に示すように、靴型10は、ソールパターン19を含む。ある実施形態では、ソールパターン19は、靴型10の底部分に配設される。ある実施形態では、ソールパターン19は、靴型10の長さの大部分及び靴型10の幅の大部分に延在するキャビティを備える。ある実施形態では、ソールパターン19は、インソールを形成するのに用いられ得る。ベース層は、(アッパー31に関して上記のように)靴型10の周辺に配置され得る。そして、ポリマー材料は、ベース層の内部側におけるソールパターン19を充填するように1以上のチャネル11を通じて移動され得る。図11及び12に示すように、チャネル11は、靴型10内に配設された(点線で示される)内部チャネルである。埋め込まれたインソールを有し結果として生じるアッパーは、履物の物品への組込みのために除去され得る。
【0053】
(上記のように)靴型10で作製される履物の物品30を、例えば、図13に示す。履物の物品30は、アッパー31及びソール39を含む。ある実施形態では、アッパー31は、ベース層32及び1以上の履物の構成要素を含む。履物の構成要素は、上記の構成要素と、さらに上記の方法で作製された他の構成要素とを含む、内部又は外部構成要素であり得る。例えば、図13において、アッパー31は、内側足首のパディング36を含む。ある実施形態では、足首のパディング36及びミッドソール39は、靴型10を通じたポリマー材料の単回注入で形成される。したがって、足首のパディング36及びソール39は、アッパー31に配設された単回注入ミッドソール及びパディングであり得る。単回注入ミッドソール及びパディングは、アッパー31とは異なっていてもよい。
【0054】
ある実施形態では、靴型10を通じて注入されるポリマー材料による履物の構成要素を形成するのに役立つように、モジュール付属物が用いられる。例えば、図14に示すように、モジュール付属物40は、足首のパディングパターン16を有する足首のパディング36を形成するのに役立ち得る。ある実施形態では、モジュール付属物40は、靴型10の外面とインターフェース接続する。例えば、モジュール付属物40の内面は、形状において靴型10の外面に対応し得る。ある実施形態では、ベース層32は、靴型10とモジュール付属物40の間に配設される。ある実施形態では、モジュール付属物40は、内部の履物の構成要素をより良好に形成するように、ポリマー材料がベース層32を通じて染み出るのを防止するのに役立つ。
【0055】
モジュール付属物は、特定の着用者に対してより優れたカスタマイズを可能とするように種々の形状及びサイズであり得る。モジュール付属物の形状及びサイズは、作られている履物の構成要素の位置に依存し得る。モジュール付属物は、特定の履物の構成要素に対してパディングのレベルを調整するのに用いられ得る。
【0056】
ある実施形態では、モジュール付属物40は、その内面にフィーチャ(例えば、キャビティ又は凹部)を含み得る。ある実施形態では、この構成は、外部の履物の構成要素を形成することを促進させる。例えば、ポリマー材料は、ベース層32を通じて染み出し、モジュール付属物40におけるキャビティ又は凹部を充填し得る。キャビティ又は凹部の形状は、外部の履物の構成要素を所望の形状に成形する。
【0057】
ある実施形態では、複数のモジュール付属物40が用いられる。例えば、2つのモジュール付属物40が、注入処理中に靴型10を囲むように相互に取り付けられて、履物の構成要素を形成するのに役立ち得る。ある実施形態では、モジュール付属物は、靴型10とベース層32の間に配設され得る。
【0058】
ある実施形態では、モジュール付属物は、靴型10における所望の領域に及び、所望の領域からポリマー材料を迂回させ及び/又はチャネルを通して送るのに用いられる。ある実施形態では、モジュール付属物40は、チャネルを含み得る。例えば、ポリマー材料は、履物の構成要素を形成するようにモジュール付属物40を通じて注入され得る。
【0059】
ある実施形態では、履物の物品50は、例えば図15に示すように、二重密度を有するソール52で作製され得る。例えば、ソール52は、第1密度の材料53及び第2密度の材料54で構成され得る。ある実施形態では、第1密度の材料53及び第2密度の材料54は、順番に(いずれの順序でも)靴型10を通じて注入される。ある実施形態では、第1密度の材料53及び第2密度の材料54は、同時に注入される。
【0060】
ある実施形態では、靴型10の構成は、二重密度のソール52を促進させる。例えば、靴型10は、靴型の踵部分の排出口に方向付けられたチャネルを有する第1の開口部、及び靴型の前足部分の排出口に方向付けられたチャネルを有する第2の開口部を含み得る。異なる材料が、二重密度のソール52を形成するように各チャネルを通じて方向付けられ得る。ある実施形態では、異なる材料は、二重密度のソール52を形成するように単一のチャネルを通じて方向付けられ得る。
【0061】
二重密度のソール52(又は二重以上の密度を有するソール)を作ることによって、特定の着用者に対する履物の物品50のカスタマイズが容易化する。
【0062】
ある実施形態では、他の構成要素が、例えば図16に示すように、2以上の材料で作製され得る。ある実施形態では、アッパー61は、踵構成要素65、つま先構成要素66及び中間足支持ケージ67を含む。踵構成要素65、つま先構成要素66及び中間足支持ケージ67は各々、他の構成要路に関して上記のように、靴型10を通じて注入される材料で形成され得る。ある実施形態では、踵構成要素65、つま先構成要素66及び中間足支持ケージ67は各々、二重の密度を有する。例えば、踵構成要素65、つま先構成要素66及び中間足支持ケージ67は、第1密度の材料62及び第2密度の材料63で構成され得る。ある実施形態では、第1密度の材料62及び第2密度の材料63は、順番に(いずれの順序でも)靴型10を通じて注入される。ある実施形態では、第1密度の材料62及び第2密度の材料63は、同時に注入される。
【0063】
ここで説明する種々の実施形態は、効率的でカスタマイズ可能でありかつ迅速な態様で履物の構成要素を成形することを可能とする向上した履物の製造を提供する。快適性、支持性、フィット性、剛性、柔軟性及び/又は触覚フィードバックのための内部及び/又は外部の履物の構成要素が、アッパーに直接生成され得る。これらの構成要素は、アッパーの種々のエリアへの経路(例えば、注入口、チャネル及び排出口)の内部ネットワークを有する靴型を通じて材料を注入することによって、カスタマイズされた態様で精密に形成され得る。靴型は、履物の構成要素を形成するように、その外面に彫刻加工及び/又はエンボス加工されたフィーチャを含み得る。ある実施形態では、モジュール付属物は、履物の構成要素の形成を支援するのに用いられ得る。他の変形例も可能である。例えば、靴型の代わりに、同様の足の形状又は成形ツールが、同様にして履物の構成要素を形成するのに利用され得る。
【0064】
さらなる実施形態では、履物の物品を製造する方法は、靴型にアッパーを位置決めするステップであって、靴型は靴型における1以上のチャネルによって接続された開口部を画定する、ステップと、靴型における1以上のチャネルを通じて材料を注入するステップと、その材料でアッパーに構造体を形成するステップとを備える。
【0065】
さらなる実施形態では、構造体はミッドソールを備える。
【0066】
さらなる実施形態では、構造体はアッパーのパディングを備える。
【0067】
さらなる実施形態では、開口部は、靴型の上部に注入口及び靴型の底部に排出口を備える。
【0068】
さらなる実施形態では、方法は、着用者に関連付けられたデータに基づいて構造体をカスタマイズするステップをさらに備える。
【0069】
さらなる実施形態では、靴型は、靴型の底部分にキャビティを画定する。
【0070】
さらなる実施形態では、キャビティは、靴型の長さの大部分及び靴型の幅の大部分に延在する。
【0071】
さらなる実施形態では、アッパーに構造体を形成するステップは、キャビティにインソールを形成するステップを備える。
【0072】
さらなる実施形態では、靴型は、彫刻加工されたフィーチャ及びエンボス加工されたフィーチャの少なくとも一方を有するパターンを備える。
【0073】
さらなる実施形態では、履物の物品を製造する方法は、靴型にアッパーを位置決めするステップと、靴型を通じて材料を注入するステップと、単一の連続処理において材料でアッパーのパディング及びミッドソールを形成するステップとを備える。
【0074】
さらなる実施形態では、方法は、靴型を通じて第2の材料を注入するステップをさらに備える。
【0075】
さらなる実施形態では、方法は、アッパーのパディングを成形するようにモジュール付属物を用いるステップをさらに備える。
【0076】
さらなる実施形態では、方法は、着用者に関連付けられた足のデータを取得するステップをさらに備える。
【0077】
さらなる実施形態では、方法は、ミッドソール及びアッパーのパディングをカスタマイズするように着用者に関連付けられた足のデータを用いるステップをさらに備える。
【0078】
さらなる実施形態では、履物の物品は、アッパー、並びにアッパーに配設された単回注入ミッドソール及びパディングを備え、単回注入ミッドソール及びパディングがアッパーとは異なる。
【0079】
さらなる実施形態では、パディングは、アッパーの外側に配設される。
【0080】
さらなる実施形態では、パディングは、アッパーの内側に配設される。
【0081】
さらなる実施形態では、パディングは、着用者に関連付けられた足のデータに基づいてカスタマイズされる。
【0082】
さらなる実施形態では、ミッドソールは複数の材料を備える。
【0083】
さらなる実施形態では、ミッドソールは複数密度の材料を備える。
【0084】
特定の実施形態の前述の説明は、本技術の技能内の知識を適用することによって、他者が、過度な実験を要することなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を種々の用途に対して直ちに変更し及び/又は適合することができる発明の一般的性質を相当完全に明らかにする。したがって、そのような適合及び変更は、ここで提示される教示及びガイダンスに基づいて、開示される実施形態の意味するもの及び均等物の範囲内となるように意図される。ここでの文言又は技術用語は、本明細書の技術用語又は文言が教示及びガイダンスの観点において当業者によって解釈されるものとなるように、説明を目的とし限定的ではないことが分かるはずである。
【0085】
本発明の拡がり及び範囲は上記の任意の例示的な実施形態によって限定されるべきでなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ規定されるべきである。
【0086】
本発明は、以下の実施形態を含む。
【0087】
[1]
履物の物品を製造する方法であって、
靴型にアッパーを位置決めするステップであって、前記靴型は該靴型における1以上のチャネルによって接続された開口部を画定する、ステップと、
前記靴型における前記1以上のチャネルを通じて材料を注入するステップと、
前記材料で前記アッパーに構造体を形成するステップと
を備える方法。
[2]
前記構造体がミッドソールを備える、[1]の方法。
[3]
前記構造体がアッパーのパディングを備える、[1]の方法。
[4]
前記開口部が、前記靴型の上部に注入口及び前記靴型の底部に排出口を備える、[1]の方法。
[5]
着用者に関連付けられたデータに基づいて、前記構造体をカスタマイズするステップをさらに備える[1]の方法。
[6]
前記靴型が前記靴型の底部分にキャビティを画定する、[1]の方法。
[7]
前記キャビティが、前記靴型の長さの大部分及び前記靴型の幅の大部分に延在する、[6]の方法。
[8]
前記アッパーに前記構造体を形成するステップが、前記キャビティにインソールを形成するステップを備える、[7]の方法。
[9]
前記靴型が、彫刻加工されたフィーチャ及びエンボス加工されたフィーチャの少なくとも一方を有するパターンを備える、[1]の方法。
[10]
履物の物品を製造する方法であって、
靴型にアッパーを位置決めするステップと、
前記靴型を通じて材料を注入するステップと、
単一の連続処理において前記材料でアッパーのパディング及びミッドソールを形成するステップと
を備える方法。
[11]
前記靴型を通じて第2の材料を注入するステップをさらに備える[10]の方法。
[12]
前記アッパーのパディングを成形するようにモジュール付属物を用いるステップをさらに備える[10]の方法。
[13]
着用者に関連付けられた足のデータを取得するステップをさらに備える[10]の方法。
[14]
前記ミッドソール及び前記アッパーのパディングをカスタマイズするように、前記着用者に関連付けられた前記足のデータを用いるステップをさらに備える[13]の方法。
[15]
アッパーと、
前記アッパーに配設された単回注入ミッドソール及びパディングと
を備えた履物の物品であって、
前記単回注入ミッドソール及びパディングが前記アッパーとは異なる、履物の物品。
[16]
前記パディングが前記アッパーの外側に配設される、[15]の履物の物品。
[17]
前記パディングが前記アッパーの内側に配設される、[15]の履物の物品。
[18]
前記パディングが、着用者に関連付けられた足のデータに基づいてカスタマイズされる、[15]の履物の物品。
[19]
前記ミッドソールが複数の材料を備える、[15]の履物の物品。
[20]
前記ミッドソールが複数密度の材料を備える、[15]の履物の物品。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16