(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/34 20060101AFI20220929BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20220929BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B29C43/34
B29C43/18
H01L21/56 R
(21)【出願番号】P 2019147130
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】中尾 聡
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-179507(JP,A)
【文献】特開平9-76281(JP,A)
【文献】実開平3-74920(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/34
B29C 43/18
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の成形型
である下型及び第2の成形型
である上型と、
前記
下型及び前記
上型を型締めする型締め機構と、
シート状樹脂を前記
下型に供給する樹脂供給機構とを具備し、
前記樹脂供給機構は、一方面に保護フィルムが設けられた前記シート状樹脂における他方面を吸着する吸着孔が形成された吸着部材を備え
、
前記吸着部材は、上下反転可能に構成されており、
前記樹脂供給機構は、前記吸着孔が形成された表面が上を向いた状態で前記シート状樹脂における前記他方面を吸着し、前記シート状樹脂から前記保護フィルムが剥がされた状態で前記吸着部材を上下反転して前記シート状樹脂が下となるようにして、前記シート状樹脂を前記下型に供給する樹脂成形装置。
【請求項2】
前記吸着部材の前記吸着孔が形成された表面に、複数の凹凸が形成されている、請求項1記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記吸着部材に、前記吸着孔が複数形成されている、請求項1又は2記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
前記樹脂供給機構は、前記複数の吸着孔に連通する複数の吸引流路を有している、請求項3記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
前記吸着部材は、吸着した前記シート状樹脂の前記他方面にガスを噴出可能に構成されている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
前記吸着部材に、吸着した前記シート状樹脂の前記他方面にガスを噴出するガス噴出孔が形成されている、請求項5記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
前記吸着孔は、前記ガス噴出孔として兼用されるものである請求項6記載の樹脂成形装置。
【請求項8】
前記吸着部材は、前記シート状樹脂を位置合わせするための目印部を有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項9】
互いに対向する第1の成形型
である下型及び第2の成形型
である上型を型締めして樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法であって、
一方面に保護フィルムが設けられたシート状樹脂における他方面を吸着する吸着孔が形成されて上下反転可能に構成された吸着部材を用いて、前記吸着孔が形成された表面が上を向いた状態の前記吸着部材に前記シート状樹脂における前記他方面を吸着させ、前記シート状樹脂を保持する吸着保持ステップと、
前記吸着部材に吸着保持された前記シート状樹脂から前記保護フィルムを剥がす剥離ステップと、
前記吸着部材を上下反転して前記保護フィルムが剥がされた前記シート状樹脂
が下となるようにして、前記
下型に供給する樹脂供給ステップと、
前記
下型及び前記
上型を型締めして、前記シート状樹脂を用いて樹脂成形を行う樹脂成形ステップとを備える、樹脂成形品の製造方法。
【請求項10】
前記吸着部材は、吸着した前記シート状樹脂の前記他方面にガスを噴出可能に構成されており、
前記樹脂供給ステップにおいて、前記吸着保持ステップにおける吸着を解除し、前記他方面にガスを噴出して、前記シート状樹脂を前記
下型に供給する、請求項9記載の樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の樹脂成形装置としては、特許文献1に示すように、シート状樹脂を用いて樹脂成形を行うものが考えられている。
【0003】
この樹脂成形装置は、予めパッケージに合わせて最適に計量カットされた複数のシート状樹脂を、下型に設けられた複数のキャビディに一括して搬入するように構成されており、樹脂材料としてシート状樹脂を用いることで、計量精度を高め、各キャビティへの樹脂供給量の均一化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シート状樹脂には、その片面又は両面に保護フィルムが設けられており、下型等の成形型に供給する前にシート状樹脂から保護フィルムを剥がさなければならない。シート状樹脂は、形状を維持できないほど柔らかくて脆いため、保護フィルムを剥がす際又は剥がした後に、シート状樹脂が折れ曲がりやすく、皺になりやすく、破損しやすい。特に成型対象物である基板やウエハが大型になる程、シート状樹脂が大きくなるため、これらの問題が顕著となる。このようなことから、保護フィルムを剥がしたシート状樹脂を適切な状態で成形型に供給することが難しく、その結果、成形不良の原因となってしまう。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点を解決すべくなされたものであり、シート状樹脂の折れ曲がりや皺又は破損を抑制してシート状樹脂を成形型に供給することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る樹脂成形装置は、互いに対向する第1の成形型及び第2の成形型と、前記第1の成形型及び前記第2の成形型を型締めする型締め機構と、シート状樹脂を前記第1の成形型又は前記第2の成形型に供給する樹脂供給機構とを具備し、前記樹脂供給機構は、一方面に保護フィルムが設けられた前記シート状樹脂における他方面を吸着する吸着孔が形成された吸着部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シート状樹脂の折れ曲がりや皺又は破損を抑制して、シート状樹脂を成形型に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の樹脂成形装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】同実施形態の樹脂成形モジュールの構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】シート状樹脂の(a)保護フィルムを剥がす前の状態と(b)保護フィルムを剥がして皺になった状態とを模式的に示す斜視図である。
【
図4】同実施形態の吸着機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図5】同実施形態の吸着機構の構成を模式的に示す平面図である。
【
図6】同実施形態の吸着機構の構成を模式的に示す断面図である。
【
図7】同実施形態の吸着部材の表面の凹凸を模式的に示す部分拡大断面図である。
【
図8】同実施形態の樹脂成形の動作を示す模式図である。
【
図9】同実施形態の吸着部材を下型に位置決めした状態を模式的に示す断面図である。
【
図10】変形実施形態の吸着機構の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0011】
本発明の樹脂成形装置は、前述のとおり、互いに対向する第1の成形型及び第2の成形型と、前記第1の成形型及び前記第2の成形型を型締めする型締め機構と、シート状樹脂を前記第1の成形型又は前記第2の成形型に供給する樹脂供給機構とを具備し、前記樹脂供給機構は、一方面に保護フィルムが設けられた前記シート状樹脂における他方面を吸着する吸着孔が形成された吸着部材を備えることを特徴とする。
【0012】
このように構成された樹脂成形装置であれば、一方面に保護フィルムが設けられたシート状樹脂の他方面を吸着部材に吸着させた状態でシート状樹脂から保護フィルムを剥がすことができるので、保護フィルムを剥がす際又は剥がした後においてシート状樹脂の形状を維持することができる。これにより、シート状樹脂の折れ曲がりや皺又は破損を抑制して、シート状樹脂を成形型に供給することができる。その結果、シート状樹脂を用いた樹脂成形の成形不良を低減することができる。
なお、樹脂材料としてシート状樹脂を用いているので、液状樹脂や顆粒状樹脂を用いた場合に比べて、成形型内への樹脂材料の供給量を均一化することができ、樹脂成形品を薄くしたい等といった要求に応えることもできる。
【0013】
吸着部材に対してシート状樹脂を確実に吸着させるためには、前記吸着部材の前記吸着孔が形成された表面に、複数の凹凸が形成されていることが望ましい。
この構成であれば、複数の凹凸によって吸着部材とシート状樹脂との間に隙間ができ、当該隙間からも吸着孔によって空気が吸引されることになる。その結果、シート状樹脂は吸着孔からだけでなく、凹部からも吸着されることになり、シート状樹脂の受圧面積が大きくなり、吸着部材に対してシート状樹脂を確実に吸着させることができる。また、シート状樹脂が受ける圧力が分散化されるため、シート状樹脂の変形や破損を低減できるとともに、吸着孔にシート状樹脂が入り込んで剥がれにくくなるという不具合を抑制できる。
【0014】
前記吸着部材に、前記吸着孔が複数形成されていることが望ましい。
このように吸着部材に複数の吸着孔を形成することによって、シート状樹脂が各吸着孔から受ける圧力を小さくすることができる。その結果、シート状樹脂の変形や破損を低減できるとともに、吸着孔にシート状樹脂が入り込んで剥がれにくくなるという不具合を抑制できる。
【0015】
複数の吸着孔に1つの吸引流路が連通している場合、その吸引流路から近い位置にある吸着孔と遠い位置にある吸着孔とでは吸着力にばらつきが生じてしまう。この問題を解決して複数の吸着孔の吸着力のばらつきを抑えるためには、前記樹脂供給機構が、前記複数の吸着孔に連通する複数の吸引流路を有していることが望ましい。
【0016】
吸着したシート状樹脂を成形型に供給する際に吸着を解除するだけでは確実にシート状樹脂を離すことができない場合が想定される。また、シート状樹脂が吸着部材から離れる際にシート状樹脂が部分的に捲れてしまい、成形型に供給されたシート状樹脂が折れ曲がったり皺になったりする恐れがある。
これらの問題を解決するためには、前記吸着部材は、吸着した前記シート状樹脂の前記他方面にガスを噴出可能に構成されていることが望ましい。
この構成であれば、吸着したシート状樹脂の他方面にガスを噴射しているので、吸着部材からシート状樹脂を確実に離すことができるとともに、離れた後のシート状樹脂が部分的に捲れて折れ曲がったり皺になったりすることを抑制することができる。
【0017】
吸着部材からガスを噴出可能にする具体的な実施の態様としては、前記吸着部材に、吸着した前記シート状樹脂の前記他方面にガスを噴出するガス噴出孔が形成されていることが考えられる。
【0018】
このとき、吸着部材の構成を簡略化するためには、前記吸着孔は、前記ガス噴出孔として兼用されていることが望ましい。また、シート状樹脂において吸着孔に入り込んだ部分がガスにより直接押されることになるため、吸着部材からシート状樹脂を確実に離すことができる。
【0019】
成形型に対して精度良くシート状樹脂を供給するためには、まずは吸着部材に対してシート状樹脂を位置合わせした状態で吸着させることが望ましい。この位置合わせを容易に行えるようにするためには、前記吸着部材は、前記シート状樹脂を位置合わせするための目印部を有することが望ましい。
【0020】
また、本発明に係る樹脂成型品の製造方法は、互いに対向する第1の成形型及び第2の成形型を型締めして樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法であって、一方面に保護フィルムが設けられたシート状樹脂の他方面を吸着部材に吸着させ、前記シート状樹脂を保持する吸着保持ステップと、前記吸着部材に吸着保持された前記シート状樹脂から前記保護フィルムを剥がす剥離ステップと、前記保護フィルムが剥がされた前記シート状樹脂を、前記第1の成形型又は前記第2の成形型に供給する樹脂供給ステップと、前記第1の成形型及び前記第2の成形型を型締めして、前記シート状樹脂を用いて樹脂成形を行う樹脂成形ステップとを備えることを特徴とする。
【0021】
このような樹脂成形品の製造方法であれば、上述した樹脂成形装置と同様、一方面に保護フィルムが設けられたシート状樹脂の他方面を吸着部材に吸着させた状態でシート状樹脂から保護フィルムを剥がすことができるので、保護フィルムを剥がす際又は剥がした後においてシート状樹脂の形状を維持することができる。これにより、シート状樹脂の折れ曲がりや皺又は破損を抑制して、シート状樹脂を成形型に供給することができる。その結果、シート状樹脂を用いた樹脂成形の成形不良を低減することができる。
【0022】
成形型に対して精度良くシート状樹脂を供給するためには、前記樹脂供給ステップにおいて、前記吸着部材を前記第1の成形型又は前記第2の成形型に対して位置決めすることが望ましい。
【0023】
前記吸着部材は、吸着した前記シート状樹脂の前記他方面にガスを噴出可能に構成されており、前記樹脂供給ステップにおいて、前記吸着保持ステップにおける吸着を解除し、前記他方面にガスを噴出して、前記シート状樹脂を前記第1の成形型又は前記第2の成形型に供給することが望ましい。
この構成であれば、吸着したシート状樹脂の他方面にガスを噴射しているので、吸着部材からシート状樹脂を確実に離すことができるとともに、シート状樹脂が部分的に捲れて折れ曲がったり皺になったりすることを抑制することができる。
【0024】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る樹脂成形装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0025】
<樹脂成形装置100の全体構成>
本実施形態の樹脂成形装置100は、電子部品が搭載された基板Wに対して電子部品が搭載された部品搭載面を樹脂で封止して樹脂成形品Pを製造するものである。なお、基板としては、例えば金属基板、樹脂基板、ガラス基板、セラミックス基板、回路基板、半導体基板、リードフレーム等を挙げることができる。
【0026】
この樹脂成形装置100は、
図1に示すように、基板供給・収納モジュールAと、2つの樹脂成形モジュールBと、樹脂供給モジュールCとを、それぞれ構成要素として備える。各構成要素(各モジュールA~C)は、それぞれの構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0027】
以下に示す各モジュールA~Cを含む樹脂成形装置100の動作制御は、例えば、基板供給・収納モジュールAに設けた制御部CTLが行う。この制御部CTLは、基板供給・収納モジュールA以外の他のモジュールB、Cに設けてもよい。また、制御部CTLは、複数に分割して、基板供給・収納モジュールA、樹脂成形モジュールB及び樹脂供給モジュールCのうちの少なくとも2つのモジュールに設けてもよい。
【0028】
<基板供給・収納モジュールA>
基板供給・収納モジュールAは、
図1に示すように、封止前基板Wを供給する基板供給部11と、封止済基板W(樹脂成形品P)を収納する基板収納部12と、封止前基板W及び樹脂成形品Pを受け渡しする基板載置部13と、封止前基板W及び樹脂成形品Pを搬送する基板搬送機構14とを有する。基板載置部13は、基板供給・収納モジュールA内において、基板供給部11に対応する位置と基板収納部12に対応する位置との間でY方向に移動する。基板搬送機構14は、基板供給・収納モジュールA及びそれぞれの樹脂成形モジュールB内において、X方向及びY方向に移動する。
【0029】
<樹脂成形モジュールB>
各樹脂成形モジュールBは、
図1及び
図2に示すように、キャビティ15Cが形成された第1の成形型である下型15と、基板Wを保持する第2の成形型である上型16と、下型15及び上型16を型締めする型締め機構17とを有する。
【0030】
型締め機構17は、
図2に示すように、下型15が取り付けられる可動盤171と、上型16が取り付けられる上部固定盤172と、可動盤171を昇降移動させるための駆動機構173とを有している。
【0031】
可動盤171は、その上面に下型15が取り付けられるものであり、下部固定盤174に立て設けられた複数の支柱部175により昇降移動可能に支持されている。
【0032】
上部固定盤172は、その下面に上型16が取り付けられるものであり、複数の支柱部175の上端部において可動盤171と対向するように固定されている。
【0033】
駆動機構173は、可動盤171及び下部固定盤174の間に設けられており、可動盤171を昇降移動させることによって下型15及び上型16を型締めするとともに所定の成形圧を加えるものである。本実施形態の駆動機構173は、サーボモータ等の回転を直線移動に変換するボールねじ機構を用いて可動盤171に伝達する直動方式のものであるが、サーボモータ等の動力源を例えばトグルリンクなどのリンク機構を用いて可動盤171に伝達するリンク方式のものであっても良い。
【0034】
そして、下型15と可動盤171との間には、下型保持部176が設けられている。この下型保持部176は、下型15を加熱するヒータプレート176aと、当該ヒータプレート176aの下面に設けられた断熱部材176bと、ヒータプレート176aの上面に設けられて下型15の周囲を取り囲む側壁部材176cと、当該側壁部材176cの上端に設けられたシール部材176dとを有している。
【0035】
上型16と上部固定盤172との間には、上型保持部177が設けられている。この上型保持部177は、上型16を加熱するヒータプレート177aと、当該ヒータプレート177aの上面に設けられた断熱部材177bと、ヒータプレート177aの下面に設けられて上型16の周囲を取り囲む側壁部材177cと、当該側壁部材177cの下端に設けられたシール部材177dとを有している。そして、駆動機構173による型締め時において側壁部材176cのシール部材176d及び側壁部材177cのシール部材177dが密着して、下型15及び上型16を収容する空間が外気と遮断される。なお、シール部材176d又はシール部材177dの一方を設けない構成としても良い。
【0036】
上型16は、基板Wの裏面を吸着して保持するものである。上型16の下面には吸着孔(不図示)が形成されており、上型16の内部には吸引流路(不図示)が形成されている。この吸引流路は外部の吸引装置(不図示)に接続されている。
【0037】
下型15には、
図2に示すように、基板Wに搭載された電子部品及び樹脂材料を収容するキャビティ15Cが形成されている。具体的に下型15は、キャビティ15Cの底面を形成する単一の部材である底面部材151と、当該底面部材151を取り囲む側面部材152とを有している。この底面部材151の上面と側面部材152の内周面によってキャビティ15Cが形成される。本実施形態の底面部材151は平面視で矩形状をなす平板であり、側面部材152は平面視で矩枠状をなすものである。また、側面部材152は、底面部材151に対して相対的に上下移動可能に設けられている。具体的は、下型15のベースプレート153に対してコイルばね等の複数の弾性部材154によって支持されている。
【0038】
<樹脂供給モジュールC>
樹脂供給モジュールCは、
図1に示すように、樹脂材料としてシート状樹脂Jを下型15に供給する樹脂供給機構2を有する。
【0039】
ここで、シート状樹脂Jについて説明しておくと、
図3(a)に示すように、シート状樹脂Jの片面又は両面には、汚れや損傷等からシート状樹脂Jを保護するための保護フィルムPFが設けられており、下型15に供給する前にこの保護フィルムPFを剥がす必要がある。なお、
図3(a)では、シート状樹脂Jの片面に保護フィルムPFが設けられたものを例示している。シート状樹脂Jは、自身の形状を維持できない厚みや柔軟性を有するものであり、保護フィルムPFが剥がされると、
図3(b)に示すように、折れ曲がり、皺になりやすい。
【0040】
具体的に樹脂供給機構2は、
図1に示すように、一方面に保護フィルムPFが設けられたシート状樹脂Jの他方面を吸着する吸着機構3と、当該吸着機構3を移動させる移動機構4とを備えている。
【0041】
なお、シート状樹脂Jの他方面は、保護フィルムPFが設けられていない露出面であり、以下の説明においては、シート状樹脂Jの他方面のことを露出面という。
【0042】
吸着機構3は、
図4~
図6に示すように、吸着孔311が形成された吸着部材31を備えている。この吸着部材31は、シート状樹脂Jの露出面を吸着する複数の吸着孔311が形成されたものである。具体的に吸着部材31は、シート状樹脂Jを吸着して保持する平面状の吸着保持面31Xを有するものであり、当該吸着保持面31Xに複数の吸着孔311が開口している。複数の吸着孔311は、例えば互いに同一の開口形状(例えば円形状)をなすものである。本実施形態の吸着部材31は、平板状(プレート状)をなすものであり、その一方の面(上面)が吸着保持面31Xとなる。この吸着保持面31Xにおいて、複数の吸着孔311は、例えば、平面視において規則的に配置されており、互いに直交する方向(縦横)それぞれに沿って等間隔に配置されている(
図5参照)。
【0043】
そして、この吸着部材31における吸着保持面31Xとは反対側の面(下面)には、複数の吸着孔311に連通する内部空間3Sを形成する空間形成部材32が設けられている。この空間形成部材32には、内部空間3Sを介して吸着孔311からシート状樹脂Jの露出面に吸着力を作用させる真空エジェクタを含む真空発生器33が接続されている。また、この空間形成部材32は、後述する回転軸部材37及び支持部材38に連結されている。さらに、真空発生器33は、吸着部材31とともに移動可能に設けられている。
【0044】
また、真空発生器33と内部空間3Sとは、吸引流路34により接続されている。本実施形態では、複数の吸着孔311に連通する複数の吸引流路34が設けられている。各吸引流路34は、空間形成部材32に接続されることにより内部空間3Sに連通している。また、各吸引流路34は、吸着保持面31Xに設定した複数の吸着領域に対応して接続されている。例えば、吸着保持面31Xには中央に設定された中央領域と、その中央領域の周りに設定された複数の周囲領域とが設定されており、これらそれぞれの領域に対応して吸引流路34を接続することが考えられる。これにより、1つの吸引流路34により吸引する場合に比べて、吸着保持面31X全体の吸着力を均一化することができる。なお、複数の吸引流路34は、配管により構成されており、その一部が共通の配管とされて真空発生器33に接続された構成であっても良い。また、空間形成部材32により形成される内部空間3Sを複数の吸着領域に対応させた複数の空間に仕切っても良い。
【0045】
さらに、吸着部材31の吸着孔311が形成された表面(吸着保持面31X)には、
図7に示すように、複数の凹凸35が形成されている。この複数の凹凸35は、例えばブラスト加工により形成されたものである。このような凹凸35を形成することで、凹部とシート状樹脂Jの露出面との間には、吸着孔311と連通する隙間Sが生じる。これにより、吸着孔311からの吸着力が、この隙間Sを介して、露出面において吸着孔311に対向しない部分にも作用する。その結果、シート状樹脂Jは吸着孔311からだけでなく、凹部からも吸着されることになり、シート状樹脂Jの受圧面積が大きくなり、吸着部材31に対してシート状樹脂Jを確実に吸着させることができる。なお、複数の凹凸35は、ブラスト加工により形成されたものに限らず、その他の表面加工により形成されたものであってもよいし、表面粗さの大きい素材を用いることで吸着保持面31Xに複数の凹凸が形成されたものであっても良い。
【0046】
また、吸着部材31は、吸着したシート状樹脂Jの露出面にガス(例えば空気)を噴出可能に構成されている。具体的には吸着部材31に、吸着したシート状樹脂Jの露出面にガスを噴出するガス噴出孔が形成されている。本実施形態では、複数の吸着孔311がガス噴出孔として兼用されている。そして、吸引流路34に設けられた切換弁(不図示)を切り替えることにより、真空発生器33を用いて複数の吸着孔311からガスが噴出するように構成されている。例えば、吸引流路34及び吸引流路34に設けた切換弁からなる配管構成により、真空発生器33内の真空エジェクタの吸込ポートが内部空間3Sに接続される吸着用流体回路と、真空発生器33内の真空エジェクタの排気ポートが内部空間3Sに接続される噴出用流体回路とが切り替えられるように構成されている。このように吸着したシート状樹脂Jの露出面にガスを噴射することにより、吸着部材31からシート状樹脂Jを確実に離すことができるとともに、離れた後のシート状樹脂Jが部分的に捲れて折れ曲がったり皺になったりすることを抑制することができる。なお、真空エジェクタとは別にガスを噴出するための圧縮空気供給部を真空発生器33に接続してもよい。圧縮空気供給部としては、コンプレッサ、工場内に配管されている圧縮空気などを用いることが考えられる。
【0047】
また、吸着部材31には、
図4及び
図5に示すように、シート状樹脂Jを位置合わせするための目印部36が設けられている。本実施形態の目印部36は、上述した吸着保持面31Xに設けられた複数の目盛りであり、吸着保持面31Xにおいて互いに直交する方向に沿って設けられている。なお、目印部36としては、シート状樹脂Jを位置合わせするための目印になるものであれば必ずしも目盛りである必要はなく、例えば一定距離毎に離間して設けられた印など、種々のものを用いて構わない。
【0048】
上述した吸着部材31は、吸着保持面31Xを上下反転可能に構成されている。具体的に吸着部材31は、
図4~
図6に示すように、吸着保持面31Xと平行な回転軸部材37によって支持部材38に回転可能に支持されており、当該回転軸部材37周りに上下反転可能とされている。ここで、回転軸部材37は、吸着保持面31Xの平面視において、吸着保持面31Xの中心を通るように設けられている。本実施形態の回転軸部材37は、空間形成部材32に接続されることにより吸着部材31を支持する構成であるが、吸着部材31に接続される構成としても良い。また、吸着部材31の上下反転動作は、回転軸部材37に設けられた取っ手37Hにより手動で行うように構成しているが、モータ等を用いて自動で反転させる構成としても良い。
【0049】
吸着機構3の移動機構4は、
図1に示すように、吸着機構3を、吸着部材31がシート状樹脂Jを受け取る受け取り位置と、吸着部材31からシート状樹脂Jを下型15に受け渡す受け渡し位置との間で移動させるものであり、樹脂供給モジュールC及びそれぞれの樹脂成形モジュールB内において、少なくともX方向及びY方向に移動するように構成されている。本実施形態の移動機構4は、シート状樹脂Jを吸着保持した吸着部材31を、下型15の上方に設定された受け渡し位置に移動させるように構成されている。この受け渡し位置は、型開きされている下型15の上方に設定されており、吸着されたシート状樹脂Jが下型15のキャビティ15Cの直上となる位置である。なお、
図1では、説明の便宜上、移動機構4の移動経路と基板搬送機構14の移動経路とが一部共通とされているが、これに限られない。
【0050】
<樹脂成形装置100の動作>
この樹脂成形装置100における樹脂成形(樹脂封止)の動作について
図8を参照して説明する。
【0051】
まず基板供給・収納モジュールAにおいて、基板供給部11から基板載置部13に封止前基板Wを送り出す。次に、所定の待機位置にある基板搬送機構14を移動させて、基板載置部13から封止前基板Wを受け取る。そして、基板搬送機構14を樹脂成形モジュールBに移動させて、封止前基板Wを型開きされた上型16に保持する。その後、基板搬送機構14を、所定の待機位置に戻す。
【0052】
樹脂供給モジュールCにおいては、吸着機構3を所定の受け取り位置に待機させておく。そして、一方面に保護フィルムPFが設けられたシート状樹脂Jを、その露出面が吸着部材31の吸着保持面31Xに接触するように載置する(
図8の<載置ステップ>)。この際、吸着保持面31Xに設けられた目盛り等の目印部36を見ながら、吸着保持面31Xにおける所望の位置にシート状樹脂Jを位置決めする。ここで、シート状樹脂Jの一方面には保護フィルムPFが設けられていることから、シート状樹脂Jは変形しにくくその取り扱いが容易である。なお、シート状樹脂Jの両面に保護フィルムPFが設けられている場合には、片面の保護フィルムPFを剥がした後に、その露出面が吸着保持面31Xに接触するように載置する。
【0053】
次に、真空発生器33による吸引動作を開始させて、シート状樹脂Jの露出面を吸着部材31に吸着させ、シート状樹脂Jを吸着保持する(
図8の<吸着保持ステップ>)。このとき、複数の吸着孔311からの吸着力がシート状樹脂Jの露出面に作用するとともに、吸着保持面31Xに凹凸35を設けていることから、その吸着力が凹部とシート状樹脂Jとの間の隙間Sを介してシート状樹脂Jの露出面に伝わり、露出面の全体が吸着保持面31Xに吸着されることになる。
【0054】
このようにシート状樹脂Jを吸着部材31に吸着保持した状態において、シート状樹脂Jの一方面(上面)に設けられている保護フィルムPFを手動又は自動で剥がす(
図8の<剥離ステップ>)。これにより、シート状樹脂Jから保護フィルムPFが取り除かれた状態となる。
【0055】
続いて、シート状樹脂Jを吸着した吸着部材31を回転軸部材37周りに180度回転させて上下反転して、シート状樹脂Jが下となるようにする。この状態にした後に、移動機構4により吸着機構3を、樹脂供給モジュールCから樹脂成形モジュールBに移動させる(
図8の<移動ステップ>)。
【0056】
この移動ステップにおいて、移動機構4により吸着機構3を、シート状樹脂Jを型開きされた下型15に受け渡す受け渡し位置まで移動させる。ここで、本実施形態では、吸着部材31を下型15に対して位置決めするべく、吸着部材31に位置決め部39が設けられている(
図4等参照)。位置決め部39としては、例えば凸部であり、
図9に示すように、下型15又は下型15と一体的な部材に設けられた凹部15Mに係合するように構成されている。このため、移動機構4は、型開きされた下型15の上方において吸着機構3をZ方向に下降させて、凹部15Mに位置決め部39を係合させて、吸着部材31を下型15に対して位置決めする。この位置決めされた状態が、吸着部材31がシート状樹脂Jを受け渡す受け渡し位置である。なお、下型15をZ方向に上昇させて、凹部15Mに位置決め部39を係合させても良い。また、支持部材38にガイド部を設けて、下型15の一部の面に対してガイド部が接触してスライドするように位置決めする構成としても良い。
【0057】
その後、真空発生器33による吸引動作を停止させて、シート状樹脂Jの吸着を解除する。また、この吸着の解除後、真空発生器33の排気ポートを内部空間3Sに連通して真空発生器33による吐出動作を開始させて、吸着孔311からシート状樹脂Jの露出面にガス(空気)を噴出する。これにより、シート状樹脂Jが吸着保持面31Xから剥がれて落下し、シート状樹脂Jが下型15のキャビティ15Cに供給される(
図8の<樹脂供給ステップ>)。なお、シート状樹脂Jを下型15のキャビティ15Cに供給する前に、下型15に離型フィルムを設けておいても良い。
【0058】
シート状樹脂Jの供給後、吸着機構3は移動機構4により樹脂供給モジュールCに移動して、上述した受け取り位置に戻る。受け取り位置に戻った吸着機構3の吸着部材31は、吸着保持面31Xが上を向くように再度上下反転される。
【0059】
上記の工程の後、樹脂成形モジュールBにおいて、駆動機構173によって可動盤171を上昇させて、上型保持部47のシール部材474と下型保持部176のシール部材464とを密着させることで密閉空間を形成する。この状態で、図示しない排気機構によって密閉空間を真空状態とする。
【0060】
そして、駆動機構173によって可動盤171を更に上昇させて、側面部材22が上型16に押されて弾性部材24が圧縮変形するとともに、基板Wの電子部品が樹脂材料であるシート状樹脂Jに浸漬するとともに基板Wの部品搭載面がシート状樹脂Jにより被覆される。この状態で下型15と上型16とは所定の成形圧により型締めされる(
図8の<樹脂成形ステップ>)。所定時間が経過した後、型締め機構17により下型15を下降させて下型15と上型16とを型開きする。なお、型締めの途中で、密閉空間を大気圧に戻しても良い。
【0061】
次に、基板供給・収納モジュールAの基板搬送機構14を移動させて、型開きされた上型16から封止済基板Wを受け取る。基板搬送機構14を基板載置部13に移動させて、基板載置部13に封止済基板Wを受け渡す。基板載置部13から基板収納部12に封止済基板Wを収納する。このようにして、シート状樹脂Jを用いた樹脂封止が完了する。
【0062】
<本実施形態の効果>
本実施形態の樹脂成形装置100によれば、一方面に保護フィルムPFが設けられたシート状樹脂Jの露出面を吸着部材31に吸着させた状態でシート状樹脂Jから保護フィルムPFを剥がすことができるので、保護フィルムPFを剥がす際又は剥がした後においてシート状樹脂Jの形状を維持することができる。これにより、シート状樹脂Jの折れ曲がりや皺又は破損を抑制して、シート状樹脂Jを下型15に供給することができる。その結果、シート状樹脂Jを用いた樹脂成形の成形不良を低減することができる。
なお、樹脂材料としてシート状樹脂Jを用いているので、液状樹脂や顆粒状樹脂を用いた場合に比べて、下型15のキャビティ15C内への樹脂材料の供給量を均一化することができ、樹脂成形品を薄くしたい等といった要求に応えることもできる。
【0063】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0064】
例えば、前記実施形態の吸着部材31は、シート状樹脂Jを吸着する吸着孔311を有する平板状のものであったが、その他の形状をなすものであっても良い。また、吸着部材31として、多孔質材(ポーラス材)からなるものを用いても良く、この場合は多孔質材の有する多数の孔が吸着孔311となる。
【0065】
また、前記実施形態では、吸着機構3を移動機構4により自動で樹脂成形モジュールBに移動させる構成であったが、吸着機構3を手動で樹脂成形モジュールBに移動させる構成の場合には、吸着機構3を移動させる移動機構4を有さない構成であっても良い。
【0066】
さらに、吸着したシート状樹脂Jを自然落下により下型15に供給する構成の場合には、吸着部材31はガス(空気)を噴出可能に構成しなくても良い。また、吸着機構3は、吸着したシート状樹脂Jを押圧部材(不図示)により機械的に押すことによって、シート状樹脂Jを吸着部材31から離す構成を備えていても良い。
【0067】
前記実施形態の樹脂供給機構2は、シート状樹脂Jを下型15に供給するものであったが、上型16に供給しても良いし、一対の成形型が上下方向とは異なる方向に対向配置されている場合であれば、それらの成形型の少なくとも一方に供給しても良い。
【0068】
加えて、複数の吸着孔311の大きさ、配置、形状は前記実施形態に限られるものではない。例えば吸着保持面31Xの異なる領域(例えば中央領域と周囲領域)に応じて、吸着孔311の大きさを異ならせても良いし、単位面積当たりの個数(粗密)を異ならせても良い。また、複数の吸着孔311は、必ずしも互いに直交する方向に沿って配置されている必要はなく、例えば円周状や渦巻状に配置されていても良いし、不規則に配置されていても良い。さらに、吸着孔311は、円形状に限らず、長孔形状、楕円形状、四角形状や多角形状などに適宜変更して構わない。
【0069】
また、前記実施形態では吸着部材31は複数の吸着孔311を有する構成であったが、1つの吸着孔311を有するものであっても良い。この場合、例えば、吸着孔311を蛇行した長孔や渦巻状の長孔などにすることで、シート状樹脂Jを広範囲に亘って吸着することができる。
【0070】
前記実施形態では、吸着部材31に空間形成部材32を設けて内部空間3Sを形成する構成であったが、空間形成部材32を設けることなく、吸着部材31の吸着孔311に吸引流路34を接続する構成としても良い。
【0071】
前記実施形態では、吸着孔311をガス噴出孔としても用いていたが、吸着孔311とは別にガス噴出孔を設けても良い。
【0072】
また、前記実施形態では、吸着孔311から空気を吸引する吸引源として真空エジェクタを含む真空発生器33を用いていたが、真空ポンプを用いても良い。真空ポンプを用いた場合には、真空ポンプに接続される吸引流路34をフレキシブルな配管により構成して、ポンプを吸着機構とともに移動させないように構成することが考えられる。
【0073】
また、真空発生器33を用いてガス噴出孔(吸着孔311)にガスを供給する構成の他に、
図10に示すように、ガス噴出孔(吸着孔311)にガスを供給するガス供給部5を設けても良い。このガス供給部5は、吸着部材31の内部空間3Sを介して吸着孔311にガスを供給するものであり、空気源51と、当該空気源51と内部空間3Sとを接続する供給流路52とを有している。空気源51としては、真空エジェクタ、コンプレッサ、工場内に配管されている圧縮空気などを用いることが考えられる。なお、空気源51は吸着機構3とともに移動可能に設けられても良いし、吸着機構3とともに移動しように設けられても良い。また、ガス供給部5は、吸引流路34と同様に、複数のガス噴出孔に連通する複数の供給流路52を有する構成であっても良い。
【0074】
前記実施形態では、樹脂供給モジュールCにおいてシート状樹脂Jを吸着部材31に吸着した直後に吸着部材31を上下反転させているが、吸着部材31を上下反転させるタイミングは、シート状樹脂Jを吸着保持して保護フィルムPFを剥がした後、そのシート状樹脂Jを成形型に供給する前であれば、適宜変更して構わない。また、例えばシート状樹脂Jを上型16に供給する場合などは、必ずしも吸着部材31を回転させる必要はない。
【0075】
また、吸着部材31に吸着保持されたシート状樹脂Jを精度良く下型15に供給するためには、シート状樹脂Jの吸着を解除する前に、吸着部材31又は下型15の少なくとも一方をZ方向に昇降移動させてそれらの距離を小さくした後に、シート状樹脂Jの吸着を解除することが考えられる。
【0076】
さらに、下型15に離型フィルムを設ける構成の場合には、当該離型フィルム又は吸着部材31の少なくとも一方を昇降移動させてそれらの距離を小さくした後に、シート状樹脂Jの吸着を解除することが考えられる。離型フィルムにシート状樹脂Jを載置した後に離型フィルムを下型15に下ろすことで、シート状樹脂Jを精度良く下型15に供給することができる。
【0077】
前記実施形態においては、基板供給・収納モジュールAと樹脂供給モジュールCとの間に、2個の樹脂成形モジュールBを接続した構成であるが、基板供給・収納モジュールAと樹脂供給モジュールCとを1つのモジュールにして、そのモジュールに樹脂成形モジュールBを接続した構成としても良い。また、樹脂成形装置は、前記実施形態のように各モジュールにモジュール化されていなくても良い。
【0078】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
100・・・樹脂成形装置
15 ・・・第1の成形型(下型)
16 ・・・第2の成形型(上型)
17 ・・・型締め機構
2 ・・・樹脂供給機構
J ・・・シート状樹脂
PF ・・・保護フィルム
31 ・・・吸着部材
311・・・吸着孔(ガス噴出孔)
34 ・・・吸引流路
35 ・・・凹凸
36 ・・・目印部