(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】自律車両用の交通信号応答
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220929BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220929BHJP
B60W 30/14 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 D
B60W30/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019176562
(22)【出願日】2019-09-27
(62)【分割の表示】P 2018091058の分割
【原出願日】2015-07-16
【審査請求日】2019-10-03
(32)【優先日】2014-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】グートマン,イェンス-シュテファン ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデル,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フェアフィールド,ナサニエル
(72)【発明者】
【氏名】ドルゴフ,ドミトリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ドナルド ジェイソン
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-065235(JP,A)
【文献】特開2009-151801(JP,A)
【文献】米国特許第08761991(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/09
B60W 30/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律運転モードを有する車両を制御する方法であって、
1つ以上のプロセッサによって、前記車両から交差点までの距離を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記車両が前記交差点から前記距離にあるときの交通信号の第1の状態を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記車両の速度特性を用いて、前記交通信号が第2の状態に移行するときに前記車両が前記交差点の開始地点から特定の距離を過ぎているかどうかを決定することであって、前記特定の距離は、
前記車両から前記交差点までの前記距離に基づいて決定されることと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記車両が前記特定の距離を過ぎているかどうかの前記決定に基づき、前記自律運転モードで前記交差点を通過する前記車両を制御することと、を含む方法。
【請求項2】
前記車両から前記交差点までの前記距離が減少するにしたがって、前記交差点の前記開始地点を過ぎた前記特定の距離も減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の状態は、点灯した黄信号を有する前記交通信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の状態は、点灯した赤信号を有する前記交通信号を含み、前記交差点を通過する前記車両を制御することは、前記交差点の前で前記車両を停止させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記交差点を通過する前記車両を制御することは、前記車両を停止させずに前記交差点を前進することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記交差点を通過する前記車両を制御することは、
前記車両から前記交差点までの前記距離及び前記車両の現在の速度に基づき、前記交差点によって前記車両を停止させるためにどの程度の制動力が必要とされるかにさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記車両が停止することなく前記交差点を前進するべきかどうかを決定するために閾値と前記制動力を比較することをさらに含み、前記交差点を通過する前記車両を制御することは、前記車両が停止することなく前記交差点を前進するべきかどうかの決定にさらに基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記制動力が前記閾値より大きいと前記比較が示すと、前記交差点を通過する前記車両を制御することは、前記車両を停止させずに前記交差点を前進することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記制動力が前記閾値より小さいと前記比較が示すと、前記交差点を通過する前記車両を制御することは、前記交差点の前に前記車両を停止させることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記交通信号が状態を変化する時間を確認することをさらに含み、前記交差点を通過する前記車両を制御することは、前記交通信号が状態を変化する前記時間にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の状態は、前記第1の状態とは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記交通信号が前記第1の状態のままになる時間の長さを確認することをさらに含み、前記車両が前記特定の距離を過ぎているかどうか決定することは、前記時間の長さにさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記時間の長さは、デフォルトの推定時間に基づく、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記時間の長さは、前記車両が走行している道路の制限速度に基づく、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記時間の長さは、前記車両から離れた装置から受信される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記時間の長さに基づいて、前記交通信号がいつ前記第2の状態に移行するかを決定することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
自律運転モードを有する車両を制御するシステムであって、
前記車両から交差点までの距離を決定し、
前記車両が前記交差点から前記距離にあるときの交通信号の第1の状態を決定し、
前記車両の速度特性を用いて、前記交通信号が第2の状態に移行するときに前記車両が前記交差点の開始地点から特定の距離を過ぎているかどうかを決定し、前記特定の距離は、
前記車両から前記交差点までの前記距離に基づいて決定され、
前記車両が前記特定の距離を過ぎているかどうかの前記決定に基づき、前記自律運転モードで前記交差点を通過する前記車両を制御する、
ように構成された1つ以上のプロセッサを含むシステム。
【請求項18】
前記第1の状態は、点灯した黄信号を有する前記交通信号を含み、前記交差点を通過する前記車両を制御することは、前記車両を停止させずに前記交差点を前進することを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記車両から前記交差点までの前記距離及び前記車両の現在の速度に基づき、前記交差点によって前記車両を停止させるためにどの程度の制動力が必要とされるかにさらに基づき、前記交差点を通過する前記車両を制御するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記車両をさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記速度特性は、前記車両を制御するための現在の速度プロファイルを含み、前記現在の速度プロファイルは、前記車両の予想される将来の速度を識別する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記現在の速度プロファイルは、前記車両の将来の加速をさらに識別する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記現在の速度プロファイルは、前記車両の将来の減速をさらに識別する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上のプロセッサによって、道路の制限速度、前記車両の軌跡に沿った曲率、前記車両が実行できる最小及び最大加速度、及び加速の滑らかさの組み合わせに基づいて、前記現在の速度プロファイルを決定することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2014年7月31日に出願された米国特許出願第14/448,299号の継続出願であり、その開示は本明細書において参考として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 人間のドライバーを必要としない自律車両は、ある位置から別の位置への乗客又は物品の輸送を援助するために使用され得る。自律車両の重要な構成要素は、車両がカメラ、レーダー、センサ、及び他の同様の装置を使用し、その周囲を知覚して解釈することを可能にする知覚システムである。知覚システムは、自律車両が動いている間に、加速、減速、停止、旋回、その他などの多数の決定を実行する。自律車両は、その周囲環境、例えば、駐車自動車、木々、建物などについての画像及びセンサデータを収集して解釈するためにカメラ、センサ、及び全地球測位装置も使用し得る。
【0003】
[0003] 知覚システムからの情報は、車両のコンピュータが様々な環境で車両を安全に操縦できるように、非常に詳細な地図情報と組み合わせられ得る。この非常に詳細な地図情報は、道路、交通信号、及びその他の物体の形状及び位置などの車両環境の予想される状態を記述し得る。これに関して、知覚システムからの情報及び詳細な地図情報は、交差点及び交通信号を含む運転の決定を行う際に車両のコンピュータを支援するために使用され得る。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本開示の一態様は、方法を提供する。この方法は、1つ以上のコンピューティング装置によって、交通信号灯が黄色から赤に変わる時間を確認することと、1つ以上のコンピューティング装置によって、交通信号灯が黄色から赤に変わる推定時間に車両の位置を推定することと、1つ以上のコンピューティング装置によって、交通信号灯と関連した交差点の開始地点を確認することと、1つ以上のコンピューティング装置によって、車両の推定位置が、開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離にあるかどうかを決定することと、車両の推定位置が開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離であると決定されたときに、1つ以上のコンピューティング装置によって、車両が交差点を通過し続けるべきであると決定することとを含む。
【0005】
[0005] 一例では、この方法はまた、車両の推定位置が、開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離にはないと決定されると、車両が開始地点又はその前で停止するべきであると決定することを含む。別の例では、この方法は、交通信号灯が青から黄色に変わった時間を確認することを含み、交通信号灯が黄色から赤に変わる時間を確認することは、交通信号灯が青から黄色に変わった時、及び交通信号灯が黄色のままになる時間に基づく。この例では、時間の長さを確認することは、車両が走行している車道の制限速度に基づき時間の長さを計算することを含む。あるいは、時間の長さを確認することは、デフォルト値を検索することを含む。別の代替案では、時間の長さを確認することは、様々な交通信号灯の複数の時間の長さにアクセスし、交通信号灯に対応する値を検索することを含む。別の例では、この方法はまた、車両が交差点を通過するべきであると決定した後、交通信号が赤になる時点で車両の第2の位置を推定し、推定された車両の第2の位置が、開始地点を通り過ぎて少なくとも第2の閾距離にあるかどうか決定することを含む。この例では、第2の閾距離は閾距離未満である。別の例では、車両の推定位置は、車両の後部に近接する車両の一部の推定位置に対応する。別の例では、交通信号灯が黄色から赤に変わる時間を確認することは、車両から離れた装置から受信した情報に基づく。
【0006】
[0006] 本開示の別の態様は、1つ以上のコンピューティング装置を有するシステムを含む。1つ以上のコンピューティング装置は、交通信号灯が黄色から赤に変わる時間を確認するように構成されている。交通信号灯が黄色から赤に変わる推定時間に車両の位置を推定する。交通信号灯と関連した交差点の開始地点を確認し、車両の推定位置が開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離にあるかどうかを決定し、車両の推定位置が開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離にあると決定されると、車両が交差点を通過し続けるべきと決定される。
【0007】
[0007] 一例では、1つ以上のコンピューティング装置は、車両の推定位置が、開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離にはないと決定されると、車両が開始地点又はその前で停止するべきであると決定する。別の例では、1つ以上のコンピューティング装置は、交通信号灯が青から黄色に変わった時間を確認し、交通信号灯が黄色のままになる時間の長さを確認し、交通信号灯が青から黄色に変わった時と、交通信号灯が黄色のままになる時間の長さに基づき、交通信号灯が黄色から赤に変わる時間を確認するようにも構成されている。この例では、1つ以上のコンピューティング装置は、車両が走行している車道の制限速度に基づき時間の長さを計算することによって、時間の長さを確認するようにさらに構成されている。あるいは、1つ以上のコンピューティング装置は、デフォルト値を検索することによって時間の長さを確認するように構成される。別の代替案では、1つ以上のコンピューティング装置は、様々な交通信号灯のための複数の時間の長さにアクセスし、交通信号灯に対応する値を検索することによって、時間の長さを確認するように構成される。別の例では、1つ以上のコンピューティング装置は、車両が交差点を通過するべきと決定した後、交通信号が赤に変わる時点で車両の第2の位置を推定し、推定された第2の車両の位置は、開始地点を通り過ぎて少なくとも第2の閾距離にある。この例では、第2の閾距離は閾距離未満である。別の例では、車両の推定位置は、車両の後部に近接する車両の一部の推定位置に対応する。別の例では、1つ以上のコンピューティング装置は、車両から離れた装置から受信した情報に基づき交通信号灯が黄色から赤に変わる時間を確認するようにさらに構成されている。
【0008】
[0008] 本開示のさらなる態様は、プログラムのコンピュータ可読命令が記録されている、非一時的で有形のコンピュータ可読記憶媒体を提供する。命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに方法を実行させる。この方法は、交通信号灯が黄色から赤に変わる時間を確認すること、交通信号灯が黄色から赤に変わる推定時間に車両の位置を推定すること、交通信号灯と関連した交差点の開始地点を確認すること、車両の推定位置が開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離にあるかどうかを決定すること、及び車両の推定位置が開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離にあると決定されると、車両が交差点を通過し続けるべきかを決定することを含む。
【0009】
[0009] 一例では、この方法はまた、車両の推定位置が、開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離にはないと決定されると、車両が開始地点又はその前で停止するべきであると決定することを含む。別の例では、この方法は、交通信号灯が青から黄色に変わった時間を確認し、交通信号灯が黄色のままになる時間の長さを確認することを含み、交通信号灯が黄色から赤に変わる時間を確認することは、交通信号灯が青から黄色に変わった時と、交通信号灯が黄色のままになる時間の長さに基づく。この例では、時間の長さを確認することは、車両が走行している車道の制限速度に基づく時間の長さを計算することを含む。あるいは、時間の長さを確認することは、デフォルト値を検索することを含む。別の代替案では、時間の長さを確認することは、様々な交通信号灯のための複数の時間の長さにアクセスし、交通信号灯に対応する値を検索することを含む。別の例では、方法はまた、車両が交差点を通過するべきであると決定した後、交通信号が赤になる時点で車両の第2の位置を推定し、推定された車両の第2の位置が、開始地点を通り過ぎて少なくとも第2の閾距離となる。この例では、第2の閾距離は閾距離未満である。別の例では、車両の推定位置は、車両の後部に近接する車両の一部の推定位置に対応する。別の例では、交通信号灯が黄色から赤色に変わる時間を確認することは、車両から離れた装置から受信した情報に基づく。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010] 本開示の態様に従う機能図である。
【
図2】[0011] 本開示の態様に従う自律車両の内部を示す図である。
【
図3】[0012] 本開示の態様に従う詳細な地図情報の例を示す図である。
【
図4】[0013] 本開示の態様に従う自律車両の外部を示す図である。
【
図5】[0014] 本開示の態様に従う交差点を含む車道の区域を示す例示的な図である。
【
図6】[0015] 本開示の態様に従う車両の予想位置を示す例示的な図である。
【
図7】[0016] 本開示の態様に従う詳細な地図情報を示す別の例である。
【
図8】[0017] 本開示の態様に従う交差点を含む車道の区域の例示的な図と組み合わされた詳細な地図情報を示す例である。
【
図9】[0018] 本開示の態様に従う交差点を含む車道の区域の例示的な図と組み合わされた詳細な地図情報を示す別の例である。
【
図10】[0019] 本開示の態様に従う例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0020] 本技術は、自律車両、又は自律モードで運転する車両が、黄色の交通信号灯に応答して前進するべきか又は停止するべきかを決定することに関する。黄信号の場合は、扱うことが特に困難であり得る。例えば、すべての黄信号で単に制動することは良い決定ではあり得ず、近くに他の車両、特に自律車両の後方に他の車両が存在する場合は、そのような他の車両は、まだ黄信号を通過する時間があるときに突然の停止を予期しないことがある。これは事故につながる可能性がある。応答を決定するのを複雑にし得る他の要因として、ゆっくりと移動しているが、交通信号が黄色に変わるときに交差点にすでに到達している他の車両が自律車両の前に存在するかどうかを含み得る。このような場合、交通信号が実際に赤であるときに、交差点を前進して自律車両が交差点に入ることがある。したがって、本明細書で述べられる特徴は、交通信号灯が赤に変わったときに自律車両が交差点を通過し続けるべきかどうかをコンピュータがどのように決定できるかを扱う。
【0012】
[0021] 自律車両の1つ以上のコンピューティング装置は、任意の既知の技術を使用して交通信号の状態を確認することができる。例えば、センサデータと詳細な地図情報の組み合わせを使用して、コンピュータは交通信号のほぼ正確な位置を推定することができる。その後、テンプレート、画像内での色の一致の検出などを使用して、コンピュータは交通信号(赤、黄色、又は青)の状態を決定することができる。あるいは、この情報は、交通信号灯と関連した送信機及び/又は決定を行った他の車両からの送信機などの別の装置から受信され得る。したがって、コンピュータは、上の例のいずれかを使用して交通信号が青から黄色に変わるときを決定することもできる。
【0013】
[0022] 1つの態様では、黄色の交通信号で停止するかどうかの決定は、交差点の前で停止するために車両がどれだけの制動を必要とするかに基づく。例えば、交通交差点までの所与の距離において車両を停止させるのに必要な減速度が閾値より大きい場合、車両のコンピュータは、車両が交差点を通過し続けるべきであると決定し得る。そうでない場合、車両のコンピュータは、交差点の前で車両を停止させられ得る。このようなロジックは多くのシナリオではうまく機能するが、自律車両が(1)すでに制動している(したがって、自律車両がもう少し制動すると停止する可能性がある)、(2)加速している(したがって、急ブレーキは無理である)、又は(3)交差点に達する前に信号灯がよく赤に変わるが、自律車両は上記のロジックに基づき通過することを決定した状況下ではうまくいかないことがある。
【0014】
[0023] このような問題に対処するために、追加の要因が考慮され得る。例えば、交通信号に近づくと、自律車両のコンピュータは、交通信号が赤に変わる時間を確認し得る。例えば、この時間は、黄色の交通信号が黄色のままになる時間の長さに関する予め記憶された情報にアクセスすることによってコンピュータによって推定され得る。この情報は、デフォルトの推定値、いくらかの交通信号又は交差点の測定値、又は自律車両が現在走行している道路の制限速度に基づき数学的に基づくものであり得る。あるいは、信号灯が黄色から赤に変わるこの時間の長さ又は将来の時間は、交通信号灯と関連した送信機などの別の装置から、及び/又は決定を行った別の車両から受信され得る。
【0015】
[0024] 車両のコンピュータはまた、車両の速度プロファイルも決定し得る。この速度プロファイルは、道路の制限速度、自律車両の軌跡に沿った湾曲、自律車両が実行できる最小及び最大加速、加速度の滑らかさ、並びに軌跡に沿った他の交通参加者を含むが、これに限定されない任意の数の制約を使用して、将来、短時間に反復的に決定され得る。例えば、速度プロファイルは、自律車両が望ましい状態にある場合は各コスト関数がより小さい値であり、それ以外の場合にはより高い値であるコスト関数として次の20秒間又はそれ以上の毎秒のすべての制約を分析することによって決定され得る。各コスト関数値を合計することによって、コンピュータは、総コスト値が最も低い速度プロファイルを選択し得る。非線形最適化は、短時間での解の決定を可能にし得る。加えて、決定論理の以前の反復で計算された速度プロファイルも使用して、現在の速度プロファイルを決定し得る。全体的な交通状況が急激に変化しなければ、速度プロファイルは通常、ほとんど変化しないので、決定をより迅速に行うための時間を節約することができる。
【0016】
[0025] 速度プロファイルを使用して、コンピュータは、交通信号が黄色から赤に変化する時点で、自律車両の将来の位置を推定し得る。この時間は、黄色の交通信号が黄色のままになる時間の長さに関する情報と、交通信号が青から黄色に変化したとコンピュータが決定した時間に関する情報を用いて決定し得る。次に、この時間と速度プロファイルを使用して、交通信号灯が黄色から赤に変わるとき、自律車両がどこに位置しているかをコンピュータが推定し得る。あるいは、車両のコンピュータが、交通信号灯が他の装置から黄色から赤に変わる将来の時間を確認する情報を受信した場合は、この将来の時間を用いて、自律車両がどこに位置するかを推定し得る。
【0017】
[0026] 推定された将来の位置は、自律車両に対する基準位置を使用して決定され得る。例えば、この基準位置は、自律車両の最も後ろに面する点、自律車両の後車軸の中心の点、自律車両の後部バンパーの点又は面などであり得る。いくつかの例では、交通信号が赤に変わる前に車両の後輪が交差点内にあるという要件などの法的要件に基づき、基準は選択され得る。そのような例では、点又は基準は、後タイヤの1つの上の点又は後タイヤ間に延びる平面を含み得る。
【0018】
[0027] 推定された将来の位置を使用して、コンピュータは、交通信号が黄色から赤に変化するときに基準位置が交差点内の特定の位置に到達するかどうかを決定し得る。例えば、詳細な地図情報は、交差点が開始及び終了する位置並びに閾情報を規定し得る。あるいは、交差点の位置は、カメラ及び/又はレーザからのデータなどのセンサ情報を使用して車両のコンピュータによって決定され、白い停止線、交通信号の位置などの交差点の典型的な特徴、又は車両が走行している車道と出会う1つ以上の他の車道が存在する位置を検出する。この情報は、交差点における最初の交通信号以外などの、車両が停止するべき交差点の開始地点を規定する位置を確認するために使用され得る。車両の推定位置が、交差点及び交差点の開始地点を規定する位置からの少なくとも閾距離である場合、自律車両は交差点を通過し続けることができる。そうでない場合、自律車両は停止し得る。
【0019】
[0028] 閾距離は、最初は所定の距離であり得る。しかし、車両が交差点に近づくにつれ、他の要因(例えば他の車両など)に基づく速度プロファイルの変化の可能性のために、この閾値は、自律車両が交差点に近づくにつれて実際に減少することがある。
【0020】
[0029] したがって、本明細書に記載の態様は、自律車両のコンピュータが、黄色の交通信号に応答して交差点に入るかどうかの決定を行うことを可能にする。さらに、そのような態様は、自律車両が交通信号が赤に変わるときに車両が交差点内で最も後ろの車軸を有することを要求する法的要件を遵守することを可能にする。
【0021】
例示的システム
[0030]
図1に示されているように、本開示の一態様による車両100は、様々な構成要素を含む。本開示のいくつかの態様は、特定のタイプの車両に関連して特に有用であるが、車両は、自動車、トラック、オートバイ、バス、ボート、飛行機、ヘリコプター、芝刈り機、レクリエーション用車両、遊園地の車両、農業機器、建設機器、トラム、ゴルフカート、電車、トロリーを含むが、これらに限定されない任意のタイプの車両であってよい。車両は、1つ以上のプロセッサ120、メモリ130及び汎用コンピューティング装置において典型的に存在する他の構成要素を含むコンピューティング装置110などの1つ以上のコンピューティング装置を有し得る。
【0022】
[0031] メモリ130は、1つ以上のプロセッサ120によって実行される、又はそうでなければ使用され得るデータ132及び命令134を含む1つ以上のプロセッサ120によってアクセス可能な情報を記憶する。メモリ130は、ハードディスク、メモリカード、ROM、RAM、DVD又は他の光ディスク、並びに他の書き込み可能及び読み出し専用メモリなどの電子機器を用いて読み取ることができるデータを記憶する、コンピューティング装置可読媒体、又は他の媒体を含むプロセッサによってアクセス可能な情報を記憶することが可能な任意のタイプであり得る。システム及び方法は、前述のものの異なる組み合わせを含み、それによって命令及びデータの異なる部分が異なるタイプの媒体に記憶され得る。
【0023】
[0032] データ132は、命令132に従ってプロセッサ120により、検索され、記憶され又は変形され得る。例えば、特許請求された主題は、特定のデータ構造によって制限されないが、データは、コンピューティング装置のレジスタ、複数の異なるフィールド及びレコード、XMLドキュメント又はフラットファイルを有する表としてのリレーショナルデータベースに記憶され得る。データはまた、コンピューティング装置が読み取り可能なフォーマットでフォーマットされ得る。
【0024】
[0033] 命令134は、プロセッサによって直接的に(例えば、機械コードなど)又は間接的に(例えば、スクリプトなど)実行される命令の任意のセットであってもよい。例えば、命令は、コンピューティング装置読み取り可能媒体上にコンピューティング装置コードとして記憶され得る。この点については、用語「命令」及び「プログラム」は、本明細書では交換可能に使用され得る。命令は、プロセッサによる直接処理のための目的コード形式で、又は必要に応じて解釈されるか、又は事前にコンパイルされた独立したソースコードモジュールのスクリプト又はコレクションを含む任意の他のコンピューティング装置言語で記憶され得る。命令の機能、方法及びルーチンについては、以下でより詳細に説明される。
【0025】
[0034] 1つ以上のプロセッサ120は、市販のCPUなどの任意の従来のプロセッサであってもよい。あるいは、1つ以上のプロセッサは、ASICなどの専用装置、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの他のハードウェアベースのプロセッサであってもよい。
図1は、プロセッサ、メモリ、及び他のコンピューティング装置110が同じブロック内にあることを機能的に示しているが、プロセッサ、コンピューティング装置、又はメモリは、実際には、同じ物理的筐体内に記憶されていてもいなくてもよい複数のプロセッサ、コンピューティング装置、又はメモリを含むことが当業者によって理解されるであろう。例えば、メモリは、コンピューティング装置110とは異なる筐体に設置されたハードドライブ又は他の記憶媒体であってもよい。したがって、プロセッサ又はコンピューティング装置への言及は、並列に動作しても動作しなくてもよいプロセッサ又はコンピューティング装置又はメモリの集合への参照を含むと理解される。
【0026】
[0035] コンピューティング装置110は通常、上記のプロセッサ及びメモリなどのコンピューティング装置に関連して使用される構成要素のすべて、並びにユーザ入力150(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン及び/又はマイクロホン)、及び様々な電子ディスプレイ(例えば、画面を有するモニタ、小型LCDタッチスクリーン、又は情報を表示するように動作可能である他の電気装置)を有し得る。この例では、車両は、内部電子ディスプレイ152を含む。この点において、内部電子ディスプレイ152は、車両100のキャビン内に設置されてもよく、車両100内の乗客に情報を提供するために、コンピューティング装置110によって使用され得る。
【0027】
[0036] 一例では、コンピューティング装置110は、車両100に組み込まれた自律運転計算システムであってもよい。自律運転計算システムは、車両を完全自律(ドライバーからの入力なし)及び半自動モード(ドライバーからのいくつかの入力)の運転モードで制御するために、必要に応じて車両の様々な構成要素と通信することができる。
【0028】
[0037] 一例として、
図2は、自律、半自動、手動(ドライバーからの連続入力)運転モードを有する車両の内部設計を示す。この点では、自律車両は、例えば、非自律車両の特徴のすべて、例えば、ハンドル210などの操舵器具を、(電子ディスプレイ152の一部であり得る)ナビゲーションディスプレイ215などのナビゲーションディスプレイ器具、及びギアシフタ220などのギアセレクタ器具を含み得る。車両はまた、1つ以上の自律運転モードを作動化又は非作動化するために、及びドライバー又は乗客290が、ナビゲーション目的地などの情報を、例えば、コンピューティング装置110に提供することを可能にするために、(さらに、電子ディスプレイ152の一部であり得る)タッチスクリーン217などの前述の、又はボタン入力219に加えて、様々なユーザ入力装置140も有し得る。
【0029】
[0038]
図1に戻ると、活動状態になると、コンピュータ110は、車両100のこれらの機能の一部又はすべてを制御し、したがって、完全に又は部分的に自律的であり得る。様々なシステム及びコンピューティング装置110が車両100内に示されているが、これらの要素は、車両100の外部又は物理的に大きな距離によって分離され得ることが理解されるであろう。
【0030】
[0039] この点において、コンピューティング装置110は、減速システム160、加速システム162、操舵システム164、シグナル伝達システム166、ナビゲーションシステム168、位置決めシステム170、及び知覚システム172などの、車両100の様々なシステムと通信し、一緒に作用する1つ以上のシステムが、メモリ130に記憶された命令134に従って車両100の移動、速度、方向などを制御できるようになっている。これらのシステムは、コンピューティング装置110の外部として示されているが、実際には、これらのシステムはまた、再び車両100を制御する自律運転計算システムとして、コンピューティング装置110に組み込まれ得る。
【0031】
[0040] 一例として、コンピューティング装置110は、車両の速度を制御するために、減速システム160、加速システム162と相互作用し得る。同様に、操舵システム164は、車両100の方向を制御するために、コンピューティング装置110によって使用され得る。例えば、車両100は、自動車やトラックなどの道路上での使用のために構成されている場合は、操舵システムは、車両を回転させるホイールの角度を制御するための構成要素を含み得る。シグナル伝達システム166は、例えば、必要なときに方向指示灯又はブレーキライトを点灯することによって、他のドライバー又は車両に車両の意図を合図するために、コンピューティング装置110によって使用され得る。
【0032】
[0041] ナビゲーションシステム168は、ある位置へのルートを決定し、追跡するために、コンピューティング装置110によって使用され得る。この点において、ナビゲーションシステム168及び/又はデータ132は、地図情報、例えば、車道の形状及び高さ、車線境界線、交差点、横断歩道、制限速度、交通信号、建物、標識、リアルタイム交通情報、植物、又は他のかかる物体及び情報を確認する非常に詳細な地図を記憶し得る。
【0033】
[0042]
図3は、交差点302を含む車道の区域のための詳細な地図情報300の一例である。この例では、詳細な地図情報300は、車線境界線310、312、314、交通信号320、322、324、326、横断歩道330、332、334、336の形状、位置、及び他の特性を確認する情報を含む。ここでの例は、単純化された3灯3状態の交通信号(例えば、車両が交差点を通過することができることを示す青信号状態、車両が慎重に進むことができるが、交差点では停止する必要もあり得る移行状態を示す黄信号状態、車両が交差点より前に停止する必要があることを示す赤色の点灯状態など)に関するが、他のタイプの交通信号、例えば右折又は左折専用車線用の信号も使用され得る。
【0034】
[0043] 加えて、詳細な地図情報は、車両がレールに従い、かつ交通法規に従うように車両を操縦するためのガイドラインを車両のコンピュータに提供するレール340、342、344のネットワークを含む。一例として、車両のコンピュータは、交差点302で左折するために、レール340に従い、レール342に移行し、その後にレール344に移行することによって、地点Aから地点B(詳細な地図情報の実際の部分ではない2つの架空の位置)に車両を操縦し得る。
【0035】
[0044] 詳細な地図情報300は、車両の現在の車線に対応する交通信号が赤信号を知らせるところだった場合は、車両が停止しなければならない交差点又は地点の開始を示す多くのマーカ350、352、354、及び356も含み得る。簡略化のため、交差点302の追加の交通信号及びレールなどの追加の詳細は示されていない。本明細書の例は、右車線の走行位置について画像表示されているが、詳細な地図情報は、データベース、道路図などを含む任意の数の異なるやり方で記憶されてもよく、また左車線の走行位置の地図を含んでもよい。
【0036】
[0045] 位置決めシステム170は、地図上の又は地球上の車両の相対的又は絶対的な位置を決定するために、コンピューティング装置110によって使用され得る。例えば、位置決めシステム170は、装置の緯度、経度、及び/又は高度位置を決定するGPS受信機を含み得る。レーザベースの定位システム、慣性支援GPS、又はカメラベースの定位などの他の位置確認システムもまた、車両の位置を確認するために使用され得る。車両の位置は、緯度、経度、高度などの絶対地理的位置と、絶対的な地理的位置よりもノイズが少ないことが多く、その周りの他の車両に対する相対的位置情報などの相対的位置情報を含み得る。
【0037】
[0046] 位置決めシステム170は、車両の方向及び速度又はそれの変化を検出するための加速度計、ジャイロスコープ又は別の方向/速度検出装置などの、コンピューティング装置110と通信する他の装置をも含み得る。単なる例として、加速装置は、重力の方向又はそれに垂直な平面に対してピッチ、ヨー又はロール(又はその変化)を決定し得る。また、この装置は、速度の増加又は減少、及びそのような変化の方向も追跡し得る。本明細書に記載された位置及び/又は方向の装置の供給は、コンピューティング装置110、他のコンピューティング装置、及び前記のものの組み合わせに自動的に提供され得る。
【0038】
[0047] 知覚システム172はまた、他の車両、車道の障害物、交通信号、標識、木々などの車両の外部の物体を検出し、分析を行うための1つ以上の構成要素を含む。例えば、知覚システム172は、レーザ、ソナー、レーダー、1つ以上カメラ、又は、コンピューティング装置110によって処理され得るデータを記録する任意の他の検出装置を含み得る。車両が自動車のような小型の乗用車である場合、自動車は、屋根又は他の便利な位置に取り付けられたレーザ、並びにカメラ、レーダー、ソナー、及び追加のレーザなどの他のセンサを含み得る。コンピューティング装置110は、様々な構成要素を制御することにより、車両の方向及び速度を制御し得る。一例として、車両が完全に自律的に動作している場合は、コンピューティング装置110は、詳細な地図情報及びナビゲーションシステム168からのデータを使用して、ある位置に車両をナビゲートし得る。コンピューティング装置110は、位置決めシステム170を使用して車両の位置を決定し、知覚システム172を使用して、その位置に安全に到達する必要があるときに、物体を検出して反応し得る。そうするために、コンピューティング装置110は、車両を加速させ(例えば、加速システム162によってエンジンに供給される燃料又は他のエネルギーを増加させることによって)、減速させ(例えば、減速システム160によってエンジンに供給される燃料を減少させ、又はブレーキをかけることによって)、方向を変化させ(例えば、操舵システム164によって車両100の前輪又は後輪を回転させることによって)、及びそのような変化を知らせる(例えば、シグナル伝達システム166の方向指示灯を点灯することによって)ことができる。
【0039】
[0048]
図4は、上記の車両100の例示的な外面図である。図示したように、知覚システム172の様々な構成要素は、車両が駆動されている間に外部の物体をより良く検出するために、車両100の上又は中に配置され得る。この点に関して、レーザ距離計410及び412などの1つ以上のセンサが、車両に配置され、又は取り付けられ得る。一例として、1つ以上のコンピューティング装置110(図示せず)は、例えば、それを180度回転させることによって、レーザ距離計410を制御し得る。加えて、知覚システムは、環境に関する様々な画像を受信し、分析するために、車両100のフロントガラスの内部に取り付けられた1つ以上のカメラ420を含み得る。レーザ距離計410に加えて、
図4の知覚システム172の上部に配置され、フロントガラスの内部に取り付けられた1つ以上のカメラ420、ソナー、レーダー、GPSその他などの他の検出装置も同様の仕方で配置され得る。
【0040】
[0049] 1つ以上のコンピューティング装置110は、1つ以上の装置が他の装置へ及びそれらからの情報を送受信することを可能にする送信機及び受信機としての機能をも含み得る。例えば、1つ以上のコンピューティング装置は、交通信号灯の現在の状態に関する情報、及び交通信号灯の状態がいつ変化するかについての情報(青から黄色へ赤へ青へ)を決定し得る。1つ以上のコンピューティング装置は、この情報を他の車両と関連した他のコンピューティング装置に送信し得る。同様に、1つ以上のコンピューティング装置は、他のコンピューティング装置からそのような情報を受信し得る。例えば、1つ以上のコンピューティング装置は、交通信号灯の現在の状態に関する情報、及び交通信号灯の状態が他の自律車両又は非自律車両と関連した1つ以上の他のコンピューティング装置からいつ変化するかに関する情報を受信し得る。別の例として、1つ以上のコンピューティング装置は、交通信号灯と関連した装置でこのような情報を受信し得る。この点に関して、いくつかの交通信号灯は、交通信号灯の現在の状態に関する情報、及び交通信号灯の状態がいつ変化するかに関する情報を送信する送信機を含み得る。
【0041】
[0050] この情報は、ラジオ、移動体通信、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、広域ネットワーク、ローカルネットワーク、1つ以上の企業に所有権を有する通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、イーサネット、WiFi及びHTTP、並びに前述の様々な組み合わせなどの任意の無線伝送方法を介して、送受信され得る。そのような通信は、モデム及び無線インターフェースなどの他のコンピュータとの間でデータを送信することができる任意の装置によって促進され得る。
【0042】
例示的方法
[0051] 上記の、図示されている動作に加えて、様々な動作をこれから説明する。以下の動作は、以下で説明する正確な順序で実行される必要はないことを理解されたい。むしろ、様々なステップを異なる順序又は同時に扱うことができ、ステップを追加又は省略することもできる。
【0043】
[0052] 上述の通り、車両の1つ以上のコンピューティング装置は、上記の様々なシステムを使用して車両を操縦し得る。例えば、
図5は、交差点502を含む車道500の断面を示している。車両100が交差点502に近づいており、例えば、上記の通り自律運転モードの1つ以上のコンピューティング装置110によって、制御され得る。
【0044】
[0053] この例では、交差点502は、詳細地図情報300の交差点302に対応する。この点に関して、車線境界線510、512、及び514は、それぞれ、車線境界線310、312、及び314の形状、位置、及び他の特性に対応する。同様に、横断歩道530、532、530、534、及び536は、それぞれ、横断歩道330、332、334、及び336の形状、位置、及び他の特性に対応し、交通信号526は、交通信号326の形状、位置、及び他の特性に対応する。簡略化のために、単一の交通信号526のみが示されているが、交通信号320、322、及び324の形状、位置、及び他の特性に対応する他の交通信号も存在し得る。
【0045】
[0054] 自律車両の1つ以上のコンピューティング装置は、任意の既知の技術を使用して交通信号の状態を確認し得る。例えば、センサデータと詳細な地図情報における交通信号の予想位置との組み合わせを用いて、コンピュータは、車両の位置と関係がある交通信号のほぼ正確な位置を推定し得る。例えば、
図3に戻ると、車両が地点A(
図5の車両100の位置に対応する)にあるとき、車両のコンピュータは、交通信号320、322、324、及び326がすべて車両100の位置に関連していることを決定するために、詳細な地図情報にアクセスし得る。したがって、
図3の地点B又は地点C(実際に詳細な地図情報の一部ではない2つの追加の架空の位置)に配置された車両に関連するであろうものなどの他の交通信号はすべて無視され得る。次には、テンプレート、画像内の画像マッチング色検出などを用いて、コンピュータはこれらの交通信号(赤信号、黄信号、又は青信号)の状態を決定し得る。あるいは、交通信号の位置は、詳細な地図情報を参照することなく、センサデータからのみ推定され得る。別の例として、交通信号の位置は、交通信号灯及び/又は決定を行った別の車両と関連した送信機などの別の装置から受信され得る。
【0046】
[0055] 1つ以上のコンピューティング装置110は、交通信号が状態を変化するときにも確認し得る。例えば、車両の1つ以上のコンピューティング装置110は、これらの交通信号の状態を短時間にわたって監視し、交通信号が状態を変化するときを決定し得る。
図5の例では、車両の1つ以上のコンピューティング装置は、交通信号が、交通信号の状態を確認するために使用される情報に基づき状態を変化する時間を推定し得る。例えば、車両のカメラによって取り込まれた画像と関連したタイムスタンプ情報を毎秒数回使用して、車両の1つ以上のコンピューティング装置は、交通信号が、青信号から黄信号(青から黄色)の状態などの、ある信号の色から別の色に状態を変化する時間を推定し得る。この情報は、車両を停止させるかどうか(交通信号灯が最終的に赤くなる可能性があるため)、又は停止することなく交差点を通過するかどうかを決定するために使用され得る。あるいは、交通信号が、ある信号の色から他の色へと状態を変化する時間は、交通信号灯と関連した送信機及び/又は決定を行った他の車両からの他の装置から受信され得る。
【0047】
[0056] 車両の1つ以上のコンピューティング装置は、交差点によって車両を停止させるためにどの程度の制動力が必要とされるかに基づき、関連する交通信号が黄信号状態にあるときに交差点を通過するか停止するかを決定し得る。例えば、
図3に戻ると、「d」が地点Aと(交差点302の開始を示す)マーカ350との残りの距離であり、「v」は車両100の現在の速度である場合は、停止に必要な減速「a」は、a=0.5v^2/dで表される。vが毎秒メートルであり、dがメートルである場合は、減速度aは毎秒メートルの平方メートルになる。車両の1つ以上のコンピューティング装置110は、車両が交差点を通過する必要があるかどうかを決定するために閾値と減速度aを比較し得る。閾値は、車両の乗客にとって快適な破壊力に基づき選択され得る。多すぎる減速は乗客にとって恐怖であり得る(例えば、交差点で停止するためにブレーキを「急に踏む」ことになる場合など)。したがって、この減速が閾値よりも大きい場合は、車両の1つ以上のコンピューティング装置110は、車両が交差点を通過し続けることを可能にし、大きくない場合は、車両の1つ以上のコンピューティング装置は車両を停止し得る。
【0048】
[0057] 他の例では、関連する交通信号が黄信号状態であるときに交差点を通過し続けるかどうか車両の1つ以上のコンピューティング装置が推定しているときに、追加の要因が考慮に入れられ得る。例えば、交通信号に近づくと、自律車両の1つ以上のコンピューティング装置110は、交通信号灯が黄信号状態から赤信号(黄色から赤)に変化する時間を確認し得る。
【0049】
[0058] 一例では、コンピュータは、最初に、交通信号が黄信号状態のままになる時間の長さを確認し得る。これは、黄色の交通信号が黄色のままになる時間の長さに関する情報にアクセスすることを含み得る。この情報は、デフォルトの推定値(例えば、常に2.5秒)、特定の交通信号又は交差点(例えば、交通信号326に特異的な)測定値、又は車両100が現在走行している道路の制限速度に基づき数学的であり得る。一例として、1時間当たり25マイルの道路では、交通信号灯は、4秒未満の指示の黄信号を有するが、一方、1時間当たりの35マイルの道路では、交通信号灯は、4秒以上などの長時間の黄信号を有し得る。あるいは、この情報は、交通信号灯と関連した送信機などの別の装置、及び/又は決定を行った別の車両から受信され得る。
【0050】
[0059] 確認された時間の長さに基づき、車両の1つ以上のコンピューティング装置は、交通信号が黄信号状態から赤信号状態(黄色~赤)に変わる時間を確認し得る。これは、交通信号が青信号状態から黄信号状態に変わった推定時間までの確認された時間の長さを単純に加算することによって行われ得る。あるいは、交通信号が黄信号状態から赤信号状態に変わる将来の時間が、交通信号灯と関連した送信機など別の装置から、及び/又は決定を行った別の車両から受信され得る。
【0051】
[0060] 車両の1つ以上のコンピューティング装置はまた、車両の速度プロファイルも決定し得る。速度プロファイルは、将来の複数の異なる時間に対する予想される将来の速度、及び場合によっては予想される将来の加速及び減速を記述し得る。上述の通り、この速度プロファイルは、短時間(例えば、1秒ごと、又はそれより多い、又はそれ未満、次の20秒間、又はそれより長い、又はそれ未満の間)繰り返して決定され得る。より複雑な要因を無視する単純な速度プロファイルの一例として、車両の1つ以上のコンピューティング装置は、短時間にわたって車両の現在の速度が継続する(例えば、加速又は減速がなくなる)を想定し、又は車両の現在の速度及び加速と減速を使用して車両の将来の速度を推定し得る。
【0052】
[0061] 速度プロファイルは、道路の制限速度、自律車両の軌跡に沿った曲率、自律車両が実行できる最小及び最大加速度、加速の滑らかさ、並びに軌跡に沿った他の交通参加者を含むがこれに限定されない任意の数の追加の制約を使用しても決定され得る。例えば、速度プロファイルは、次の20秒間又はそれ以降のコスト関数として毎秒のようなすべてのそのような制約を分析することによっても決定され得るが、自律車両が望ましい状態にあり、そうでなければ高値にある場合は、各コスト関数は低い値になる。各コスト関数値を合計することによって、コンピュータは、最も低い総コスト値を有する速度プロファイルを選択し得る。非線形最適化は、短時間での解の決定を可能にし得る。
【0053】
[0062] 加えて、決定論理の以前の反復で計算された速度プロファイルを使用して、現在の速度プロファイルも決定し得る。これにより、全体的な交通状況が急激に変化しなければ、速度プロファイルは通常、ほとんど変化しないので、決定をより迅速に行うための時間を節約することができる。
【0054】
[0063] 速度プロファイルを使用して、車両の1つ以上のコンピューティング装置は、交通信号が黄信号状態から赤信号状態に変化する時点で自律車両の将来の位置を推定し得る。例えば、最も単純な速度プロファイル(車両の速度が変化しない場合)を使用して、将来の位置は、現在の時間と交通信号が黄信号状態から赤信号状態に変化する推定時間との差を車両の速度に掛けることによって決定され得る。あるいは、車両のコンピュータが、交通信号灯が黄色から赤に変わる将来の時間を確認する情報を別の装置から受信する場合は、この将来の時間を用いて、交通信号灯が黄色から赤に変化するときに自律車両がどこに位置するかを推定し得る。
【0055】
[0064] もちろん、速度プロファイルがより複雑な場合、将来の位置を推定することは、交通信号が黄信号状態から赤信号状態に変化する時間までは、車両の平均速度を見出すことによって、かつこの値に現在の時間と交通信号が黄信号状態から赤信号状態に変化する推定時間との差を掛けることによって簡易化され得る。さらに、車両のコンピュータが、交通信号灯が黄色から赤に変わる将来の時間を確認する情報を別の装置から受信する場合は、この将来の時間を用いて、交通信号灯が黄色から赤に変化するときに自律車両がどこに位置するかを推定し得る。
図6は、車道500の区域に対して交通信号526が黄信号状態から赤信号状態に変化する時点で車両100(推定値として破線で示されている)の推定された将来の位置の例である。
【0056】
[0065] 推定された将来の位置は、自律車両に対する基準位置を用いて決定され得る。例えば、この基準位置は、車両100の最も後方に面する位置、矢印620で示された車両の後車軸の中央又は平面に沿った地点、矢印622で示された車両の後部バンパーの地点又は平面などであり得る。いくつかの例では、基準は、交通信号が赤に変わる前に車両の後輪が交差点内にあることとする要件などの法的要件に基づき選択され得る。このような例では、地点又は基準は、矢印620で示されているように、後部タイヤの1つの地点又は後部タイヤ間に延びる平面を含み得る。
【0057】
[0066] 車両の1つ以上のコンピューティング装置は、関連する交通信号と関連した交差点の開始地点も確認し得る。例えば、上述の通り、詳細な地図情報は、交差点が開始し、終了する位置、並びに閾値情報を含み得る。交差点の関連マーカは、車両が特定のレールに沿って交差点前に通過するマーカであり得る。
図3に戻ると、レール340に沿って地点1から交差点302に向かって走行しているとき、車両は、最初にマーカ350を通過することになる。したがって、マーカ350は交差点302の関連マーカであり得る。
【0058】
[0067] あるいは、交差点の位置は、車両のコンピュータによって、カメラ及び/又はレーザからのデータなどのセンサ情報を用いて、白い停止線、交通信号の位置、又は車両が走行している車道と出会う1つ以上の他の車道の位置などの交差点の典型的な特徴を検出することによって決定され得る。この情報を用いて、交差点で最初の交通信号よりも先ではないなどの車両が停止するべき交差点の開始地点を規定する位置を確認し得る。
【0059】
[0068] 車両の1つ以上のコンピューティング装置は、車両、及び場合によっては車両の基準位置が、交通信号が黄信号状態から赤信号状態に変わるときに開始地点を通り過ぎた少なくとも閾距離になるかどうか決定し得る。例えば、閾距離は、最初に、上記の例のように車両の制動力に基づき、選択された所定の距離、例えば、5メートル以上又は以下であり得る。例えば、
図7は、詳細な地図情報300の別の例であるが、マーカ350を通り過ぎたレール340に沿った閾距離Thを示す基準点710を含む。
【0060】
[0069] 車両の推定された将来の位置が、開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離であると決定されているかどうかに基づき、車両の1つ以上コンピューティング装置は、車両が交差点を通過し続けるべきかどうかを決定し得る。推定された将来の位置が関連マーカの位置を通り過ぎて少なくとも閾距離(又は交差点内で少なくとも閾距離)であれば、車両の1つ以上のコンピューティング装置110は、車両が交差点を通過し続けることを可能にし得る。そうでない場合は、1つ以上のコンピューティング装置110は、マーカの位置によって車両を停止し得る。
【0061】
[0070] 例えば、
図8は、交通信号526が黄信号状態から赤信号状態に変化する時点で車両100の将来の推定位置を含む車道500の区域の一例である。ただし、この例ではまた、マーカ350の位置及び
図7の基準点710も含む。ここでは、車両100の将来の推定位置(矢印620及び622の平面に対しても)は、基準点710を通り過ぎている。この点では、車両の1つ以上のコンピューティング装置は、車両が交差点を通過し続けることを可能にする。同様に、車両100が、交通信号526が黄信号状態から赤信号状態に変化するときまでに基準点710の位置を通り過ぎない場合は、車両の1つ以上のコンピューティング装置は、マーカ350の位置で、又はその前で車両を停止し得る。
【0062】
[0071] 車両は交差点に近くなるにつれて、他の要因(他の車両、その他などの)に基づき速度プロファイルの変化の可能性のため、閾値は実際に減少し得る。例えば、
図9に示されているように、車両100が交差点502に近づくにつれて、閾距離ThはTh’に減少し得る。したがって、車両100が地点Eの位置から地点Fの位置に移動すると、基準点710は基準点910の位置に再配置され得る。したがって、車両100が交差点502の近くに移動するにつれて、車両の1つ以上のコンピューティング装置により車両が交差点を通過し続けることを可能にするために、車両は交差点502まで入る必要はない。
【0063】
[0072]
図10は、車両100の1つ以上のコンピューティング装置110などの1つ以上のコンピューティング装置によって実行され得る上記の態様のいくつかを示す、例示的なフローチャート1000である。この例では、交通信号灯が青から黄色になった時間を確認する情報は、ブロック1010で受信される。交通信号灯が黄色のままになる時間の長さが、ブロック1020で確認される。交通信号灯が青から黄色に変わった時間に基づき交通信号灯が黄色から赤に変わる時間、及び交通信号灯が黄色のままになる時間の長さが、ブロック1030で推定される。交通信号灯が黄色から赤に変わる推定時間での車両の位置が、ブロック1040で推定される。詳細な地図情報に基づく交通信号灯と関連した交差点の開始地点が、ブロック1050で確認される。車両の推定位置が開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離となるかどうかが、ブロック1060で決定される。車両の推定位置が、開始地点を通り過ぎて少なくとも閾距離にあると決定されると、車両が交差点を通過し続けるべきであることがブロック1070で決定される。
【0064】
[0073] いくつかの例では、交通信号灯は、交通信号灯が赤から黄色に変わる推定時間前に赤に変わることがある。交通信号灯の状態を決定する際に信号の色の誤分類、交通信号が黄信号状態のままになる時間の長さを不正確に確認すること、又は単に特定の交通信号灯のタイミングがいくつかの異常を含むためなどの様々な理由があり得る。このような場合、車両のコンピューティング装置は、例えば、上記の制動力の例を用いて、交差点内に入りすぎることなく(例えば、安全上の理由で、1メートル以下または未満)、車両が時間内に停止することができるかどうか直接計算し得る。
【0065】
[0074] 別段の記載がない限り、前述の代替的な例は、相互に排他的ではなく、特有の利点を達成するために、様々な組み合わせで実施され得る。これら及び他の変形及び請求項によって定義された主題から逸脱することなく利用することができるので、実施形態の前述の説明は、請求項によって定義された主題を限定するものとしてではなく、説明としてみなすべきである。加えて、本明細書に記載の実施例、及び「などの(such as)」、「含む(including)」などと表現された句の規定は、請求項の主題を特定の例に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの例は、多くの可能な実施形態の1つのみを説明することが意図されている。さらに、異なる図面における同一の参照番号は、同一又は類似の要素であることを確認することができる。
【0066】
産業上の利用可能性
[0075] 本発明は、自律車両、又は自律モードで運転する車両が、黄色の交通信号灯に応答して前進し続けるべきか、又は停止するべきかを決定することを含むが、これに限定されない、広範な産業上の利用可能性を持っている。