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特許7149247固有ベクトル、非線形動的反転、及びフィードフォワード制御を用いた人工衛星姿勢制御システム
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  • 特許-固有ベクトル、非線形動的反転、及びフィードフォワード制御を用いた人工衛星姿勢制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】固有ベクトル、非線形動的反転、及びフィードフォワード制御を用いた人工衛星姿勢制御システム
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/28 20060101AFI20220929BHJP
   G05D 1/08 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B64G1/28 300
G05D1/08 A
【請求項の数】 30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019185086
(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2020066427
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2019-12-16
(31)【優先権主張番号】16/170,157
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591235304
【氏名又は名称】ゼネラル・アトミックス
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ATOMICS
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】デリック 2世,ジョン ベントン
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/159156(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0040950(US,A1)
【文献】特開2001-260996(JP,A)
【文献】米国特許第09745082(US,B2)
【文献】特開平11-184522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/00
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工衛星の向きを制御する方法であって、
第1のループ及び第2のループを有する二重フィードバックループシステムを含む人工衛星向き制御システムを、プロセッサを用いて適用することであって、前記第1のループが、前記人工衛星をある向きから所望の向きに回転させる固有ベクトルを決定することと、決定された前記固有ベクトルに基づいて所望のボディ回転速度を決定することと、を実行し、前記第2のループが、前記第1のループの前記固有ベクトル及び前記所望のボディ回転速度と、前記人工衛星に設けられたナビゲーションシステムから測定されたボディ回転速度と、前記人工衛星の少なくとも1つのリアクションホイールのために測定されたリアクションホイール速度と、前記少なくとも1つのリアクションホイールの慣性テンソルの質量モーメントと、を少なくとも入力として受け取るとともに、前記少なくとも1つのリアクションホイールの所望の回転加速度を決定して出力信号とする非線形動的反転アルゴリズムを実行することと、
前記出力信号に応答して前記少なくとも1つのリアクションホイールを回転させることと、
前記少なくとも1つのリアクションホイールの回転に応答して、前記所望の向きに前記人工衛星の向きを調整することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のループがさらに、前記人工衛星の前記所望の向き及び前記人工衛星の推定された向きを入力として受け取ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のループがさらに、前記人工衛星の前記推定された向き及び前記人工衛星の前記所望の向きに基づいて人工衛星向き誤差コマンドを実行することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のループは、前記人工衛星向き誤差コマンドを受け取り、それに応答してスカラー成分及びベクトル成分を生成することを実行する分解関数を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のループがさらに、フィードフォワード制御システムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記フィードフォワード制御システムが、前記少なくとも1つのリアクションホイールの回転とターゲットへの指向とのタイミング誤差を調整する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フィードフォワード制御システムが、前記人工衛星に設けられた追跡パラボラアンテナ、アンテナ、カメラ、ロボットアーム、及び太陽電池パネルの動きを考慮する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記フィードフォワード制御システムがさらに、前記所望の向きを入力として受け取ることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのリアクションホイールの前記測定されたリアクションホイール速度は、前記人工衛星に設けられた回転ホイールタコメータから受け取られる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記非線形動的反転アルゴリズムがさらに、前記少なくとも1つのリアクションホイールの回転軸ベクトルと、前記人工衛星の慣性テンソルの質量モーメントと、を入力として受け取ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
人工衛星の向きを制御するための装置であって、
メモリと、前記メモリと通信するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは
人工衛星向き制御システムを適用することであって、前記人工衛星向き制御システムは、第1のループ及び第2のループを有する二重フィードバックループシステムを備え、前記第1のループは、前記人工衛星をある向きから所望の向きに回転させる固有ベクトルを決定することと、決定された前記固有ベクトルに基づいて所望のボディ回転速度を決定することと、を実行し、前記第2のループは、前記第1のループの前記固有ベクトル及び前記所望のボディ回転速度と、前記人工衛星に設けられたナビゲーションシステムから測定されたボディ回転速度と、前記人工衛星の少なくとも1つのリアクションホイールのために測定されたリアクションホイール速度と、前記少なくとも1つのリアクションホイールの慣性テンソルの質量モーメントと、を少なくとも入力として受け取るとともに、前記少なくとも1つのリアクションホイールの所望の回転加速度を決定して出力信号とする非線形動的反転アルゴリズムを実行することと、
前記出力信号に応答して前記少なくとも1つのリアクションホイールを回転させることと、
前記少なくとも1つのリアクションホイールの回転に応答して、前記所望の向きに前記人工衛星の向きを調整することと、
を行うように構成された、装置。
【請求項12】
前記第1のループがさらに、前記人工衛星の前記所望の向き及び前記人工衛星の推定された向きを入力として受け取ることを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のループがさらに、前記人工衛星の前記推定された向き及び前記人工衛星の前記所望の向きに基づいて人工衛星向き誤差コマンドを実行することを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のループは、前記人工衛星向き誤差コマンドを受け取り、それに応答してスカラー成分及びベクトル成分を生成することを実行する分解関数を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のループがさらに、フィードフォワード制御システムを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記フィードフォワード制御システムが、前記少なくとも1つのリアクションホイールの回転とターゲットへの指向とのタイミング誤差を調整する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記フィードフォワード制御システムが、前記人工衛星に設けられた追跡パラボラアンテナ、アンテナ、カメラ、ロボットアーム、及び太陽電池パネルの動きを考慮する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記フィードフォワード制御システムがさらに、前記所望の向きを入力として受け取ることを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのリアクションホイールの前記測定されたリアクションホイール速度は、前記人工衛星に設けられた回転ホイールタコメータから受け取られる、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
前記非線形動的反転アルゴリズムがさらに、前記少なくとも1つのリアクションホイールの回転軸ベクトルと、前記人工衛星の慣性テンソルの質量モーメントと、を入力として受け取ることを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項21】
人工衛星の向きを制御するためのコードを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コードが、プロセッサにより実行可能であり、
制御システムの第1のループにおいて、前記人工衛星をある向きから所望の向きに回転させる固有ベクトルを決定し、かつ、決定された前記固有ベクトルに基づいて所望のボディ回転速度を決定し、
前記制御システムの第2のループにおいて、非線形動的反転アルゴリズムを実行し、前記非線形動的反転アルゴリズムは、前記第1のループの前記固有ベクトル及び前記所望のボディ回転速度と、前記人工衛星に設けられたナビゲーションシステムから測定されたボディ回転速度と、前記人工衛星の少なくとも1つのリアクションホイールのために測定されたリアクションホイール速度と、前記少なくとも1つのリアクションホイールの慣性テンソルの質量モーメントと、を少なくとも入力として受け取るとともに、前記少なくとも1つのリアクションホイールの所望の回転加速度を決定して出力信号とし、
前記出力信号に応答して前記少なくとも1つのリアクションホイールを回転させ、
前記少なくとも1つのリアクションホイールの回転に応答して、前記所望の向きに前記人工衛星の向きを調整する、
ように前記人工衛星を制御する命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記第1のループがさらに、前記人工衛星の前記所望の向き及び前記人工衛星の推定された向きを入力として受け取ることを含む、請求項21に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記第1のループがさらに、前記人工衛星の前記推定された向き及び前記人工衛星の前記所望の向きに基づいて人工衛星向き誤差コマンドを実行することを含む、請求項22に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項24】
前記第1のループは、前記人工衛星向き誤差コマンドを受け取り、それに応答してスカラー成分及びベクトル成分を生成することを実行する分解関数を含む、請求項23に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記第1のループがさらに、フィードフォワード制御システムを含む、請求項22に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記フィードフォワード制御システムが、前記少なくとも1つのリアクションホイールの回転とターゲットへの指向とのタイミング誤差を調整する、請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記フィードフォワード制御システムが、前記人工衛星に設けられた追跡パラボラアンテナ、アンテナ、カメラ、ロボットアーム、及び太陽電池パネルの動きを考慮する、請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項28】
前記フィードフォワード制御システムがさらに、前記所望の向きを入力として受け取ることを含む、請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記非線形動的反転アルゴリズムがさらに、前記人工衛星に設けられた回転ホイールタコメータから前記少なくとも1つのリアクションホイールの前記測定されたリアクションホイール速度を受け取ることを含む、請求項21に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
前記非線形動的反転アルゴリズムがさらに、前記少なくとも1つのリアクションホイールの回転軸ベクトルと、前記人工衛星の慣性テンソルの質量モーメントと、を入力として受け取ることを含む、請求項21に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して人工衛星の向きを調整することに関し、より具体的には固有ベクトル回転及び非線形動的反転を用いて人工衛星の向きを調整することに関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星の向きを調整する技術分野において様々なシステムやプロセスが知られている。人工衛星は、姿勢決定及び制御システム(ADACS)として知られているシステムによって制御することができる。例えばADACSシステムは、人工衛星の姿勢すなわち向きを、人工衛星内のコンピュータで実行されるソフトウェアアルゴリズムに従い回転するリアクションホイールを使用して制御することができる。一部の例では、高度に非線形なダイナミクスによって人工衛星リアクションホイールシステムを特徴付けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一部の制御アルゴリズムは、比例積分微分(PID)制御などの線形制御技術に依存して人工衛星の姿勢を制御する。非線形システムに適用された線形制御システムは、振動、オーバーシュート、そして不安定性さえも示す可能性がある。また、一部のADACSシステムは、ヨーピッチロールシーケンスに似た方法で指向コマンドに応答する。この操縦方法は、エネルギー利用及び時間の観点から非効率な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
固有ベクトル回転及び非線形動的反転を用いて人工衛星の向きを調整する方法が説明される。この方法は、第1のループが人工衛星をある向きから別の向きに回転させる固有ベクトルを決定することを実行し、第2のループが第1のループの固有ベクトルを入力として受け取り、非線形動的反転アルゴリズムを実行して人工衛星の少なくとも1つのリアクションホイールに信号を出力する、二重フィードバックループシステムを含む人工衛星向き制御システムを、処理装置を用いて適用することと、出力信号に応答して少なくとも1つのリアクションホイールを回転させることと、少なくとも1つのリアクションホイールの回転に基づいて人工衛星の向きを調整することと、を含むことができる。
【0005】
固有ベクトル回転及び非線形動的反転を用いて人工衛星の向きを調整するための装置が説明される。この装置は、メモリと、メモリと通信するプロセッサ装置と、を備え、プロセッサ装置は、第1のループが人工衛星をある向きから別の向きに回転させる固有ベクトルを決定することを実行し、第2のループが第1のループの固有ベクトルを入力として受け取り、非線形動的反転アルゴリズムを実行して人工衛星の少なくとも1つのリアクションホイールに信号を出力する、二重フィードバックループシステムを含む人工衛星向き制御システムを適用し、出力信号に応答して少なくとも1つのリアクションホイールを回転させ、少なくとも1つのリアクションホイールの回転に基づいて人工衛星の向きを調整する、ように構成されることができる。
【0006】
固有ベクトル回転及び非線形動的反転を用いて人工衛星の向きを調整するためのコードを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体が説明される。一部の実施例では、コードはプロセッサにより実行可能であり、人工衛星をある向きから別の向きに回転させる固有ベクトルを決定し、非線形動的反転アルゴリズムを実行して人工衛星の少なくとも1つのリアクションホイールに信号を出力し、出力信号に応答して少なくとも1つのリアクションホイールを回転させ、少なくとも1つのリアクションホイールの回転に基づいて人工衛星の向きを調整する、命令を含む。
【0007】
上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、第1のループはさらに、人工衛星の所望の向き及び人工衛星の推定された向きを入力として受け取ることを含む。上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、第1のループはさらに、人工衛星の推定された向き及び人工衛星の所望の向きに基づいて人工衛星向き誤差コマンドを実行することを含む。
【0008】
上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、固有ベクトルコマンドは、人工衛星向き誤差コマンドをスカラー成分及びベクトル成分に分解することを実行する。上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、第1のループはさらにフィードフォワード制御システムを含む。
【0009】
上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、フィードフォワード制御システムは、少なくとも1つのリアクションホイールの回転とターゲットへの指向とのタイミング誤差を調整する。
【0010】
上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、フィードフォワード制御システムは、人工衛星に設けられた追跡パラボラアンテナ、アンテナ、カメラ、ロボットアーム、及び太陽電池パネルの動きを考慮する。上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、フィードフォワード制御システムはさらに、所望の向きを入力として受け取ることを含む。
【0011】
上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、第2のループはさらに、第1のループから決定された固有ベクトルを入力として受け取ることを含む。上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、第2のループはさらに、人工衛星に設けられたナビゲーションシステムから測定された人工衛星回転速度を受け取ることを含む。
【0012】
上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、第2のループはさらに、人工衛星に設けられた回転ホイールタコメータから少なくとも1つのリアクションホイールの測定されたリアクションホイール速度を受け取ることを含む。上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、第2のループはさらに、少なくとも1つのリアクションホイールの所望の回転加速度を決定することを含む。上記の方法、装置、及び非一時的コンピュータ可読媒体の一部の実施例では、第2のループはさらに、少なくとも1つのリアクションホイールの慣性テンソルの質量モーメントと、少なくとも1つのリアクションホイールの回転軸ベクトルと、人工衛星の慣性テンソルの質量モーメントと、を受け取ることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の態様に係る人工衛星の例を示す図である。
図2】本開示の態様に係る動的反転を用いた姿勢制御システムの例を示す図である。
図3】本開示の態様に係る図2の姿勢制御システムの外側ループの例を示す図である。
図4】本開示の態様に係る図2の姿勢制御システムの内側ループの例を示す図である。
図5】本開示の態様に係る人工衛星の向きを調整するためのプロセスの例を示す図である。
図6】本開示の態様に係る姿勢制御システムの応答グラフの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明は限定的な意味に解されるべきではなく、単に例示的な実施形態の一般的原理を説明する目的でなされたものである。本発明の範囲は特許請求の範囲を参照して判断すべきである。
【0015】
本明細書を通じて「一実施形態」、「ある実施形態」、又は類似の言葉に対して行う参照は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも本発明の一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じた語句「一実施形態では」、「ある実施形態では」、及び類似の言葉の出現は、一概には言えないが、全て同じ実施形態を参照する場合がある。
【0016】
さらに、本発明に関して説明する特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態においてあらゆる適切な方法で組み合わせることができる。以下の説明では、プログラミング、ソフトウエアモジュール、ユーザ選択、ネットワーク処理、データベースクエリ、データベース構造、ハードウェアモジュール、ハードウェア回路、ハードウェアチップ等の例のような非常に多くの具体的な詳細を提供し、本発明の実施形態の完全な理解を提供する。しかし、当業者は、具体的な詳細のうちの1つ以上を用いることなく、又は他の方法、構成要素、及び材料等を用いて本発明を実施できることを認識するであろう。他の事例では、本発明の態様を曖昧にすることを回避するために公知の構造、材料、又は動作について図示又は詳述していない。
【0017】
本開示は、固有ベクトル外側ループ制御アルゴリズムと結合した非線形動的反転内側ループ制御アルゴリズムを実装することにより安定性が改善され、効率性が向上した人工衛星制御システムを提供する。したがって、姿勢決定及び制御システム(ADACS)は、固有ベクトル周りの直接回転(すなわち、ある向きから別の向きへの直接移動)コマンドを使用して動作することができる。また、外側ループ制御システムは、移動ターゲットを追跡する際の指向精度を高めるためのフィードフォワード制御素子を装備する。
【0018】
図1は、本開示の態様に係る人工衛星100の例を示している。人工衛星100は、指向コマンド生成器105と、ナビゲーションシステム110と、リアクションホイール115と、リアクションホイールタコメータ120と、(人工衛星制御システムと呼ばれることもある)姿勢制御システム125と、を備えることができる。
【0019】
姿勢制御システム125は、広範囲の動作モード及び軌道上条件にわたる安定性及びロバスト性と、姿勢コマンドに対する円滑、迅速かつ正確な制御システム応答と、電池寿命を最大限に延ばすためのエネルギー効率の良い動作と、制御システム125の設定のしやすさと、制御システム125の使用を大型で複雑な人工衛星100に拡大する能力と、を提供することができる。システム125は、非線形動的反転内側ループ制御アルゴリズムと結合された固有ベクトル外側ループ制御アルゴリズムを実装することによってこれらの結果を得る。これらの結果は、既存の人工衛星100を制御する技術の改善を示すが、本システムの特徴又は利点の包括的なリストではない。
【0020】
まず、姿勢制御システム125の外側ループは固有ベクトル外側ループ制御アルゴリズムを使用する。つまり、人工衛星100の姿勢の任意の2つの向きの間には、固有ベクトルと呼ばれる回転軸が存在する。回転軸はある向きから別の向きに人工衛星100を直接導く。この軸に沿って回転することによって、姿勢操作を完了するのに必要とされる時間及びエネルギーを最小限に抑えることができる。
【0021】
次に、姿勢制御システム125の内側ループは非線形動的反転制御を使用する。システムは、高非線形システムに対して円滑で切り離された線形応答をもたらす、リアクションホイール115及び人工衛星100に蓄えられた運動量を考慮する。一例として、人工衛星100のリアクションホイール115は、10,000RPMの最高速度を有することができる。ただし、人工衛星100は、人工衛星100の制御軸の非線形結合に起因して、リアクションホイール115に蓄えられた運動量が4,000RPMになると制御できなくなる可能性がある。
【0022】
また、姿勢制御システム125の動的反転制御は、複数のリアクションホイール115(例えば4個以上)を有し、リアクションホイールスピン軸が任意の方向を向いた人工衛星100に作用するように設計することができる。制御システム125のこの態様は、冗長で軸が傾斜したリアクションホイール115を有する高度な人工衛星100で用いることもできる。本明細書に開示されるシステムはまた、人工衛星100の制御軸と軸外のリアクションホイール115との相互結合を考慮に入れる。
【0023】
姿勢制御システム125の動的反転制御は、次のパラメータに基づいて動作することができる。リアクションホイール115の数、各リアクションホイールの質量慣性モーメント、人工衛星100(リアクションホイール115を含む)の慣性テンソルの質量モーメント、各リアクションホイールのスピン軸に沿って指向する単位ベクトルの座標、各リアクションホイールのトルク及び速度限界、人工衛星100の姿勢のスルーレート限界、回転速度及び姿勢制御ループの閉ループ帯域幅。
【0024】
比例的誤差フィードバックのみで動作する制御システムは、コマンドの変更中に人工衛星100の姿勢が所望の向きについて行けなくなるという結果を招くことになる。コマンドの変更は、人工衛星100が地球の表面上の又は天底向きと一致する点などの移動ターゲットを追跡しようとしているときに行われる。遅れ応答は、重大な定常状態指向誤差(例えば約10度)をもたらす可能性がある。
【0025】
この定常状態誤差は、積分制御アルゴリズムを追加することによって減らす又はなくすことができる。しかしながら、人工衛星100の姿勢は、リアクションホイールトルクコマンドから離れた2つの積分であり、システムの自然減衰はほとんどない。これらの2つの態様は、積分制御が姿勢コマンドの振動及びオーバーシュートをもたらすことになるため、積分制御を魅力のないものにする。
【0026】
フィードフォワード制御は、望ましくない振動やオーバーシュートを引き起こすことなく定常状態誤差をほぼゼロにするという目的を実現することができる。唯一のトレードオフは、これらのアルゴリズムの開発が若干困難であることである。さらなる開発作業が必要であるが、2つの異なるフィードフォワード制御アルゴリズムが遅れ応答の問題を解決する。1つのフィードフォワードアルゴリズムは、指向ベクトル制御(例えば地球位置指向)用に設計され、第2のフィードフォワードアルゴリズムは、天底指向などの完全拘束姿勢コマンド用に設計される。モデリング誤差や外乱がない場合に、姿勢コマンドに完全に追従するフィードフォワード制御システムを備えることが望まれる。
【0027】
ベクトル指向フィードフォワード制御アルゴリズムは、外積及びドット積の導関数を用いることによって指向ベクトルコマンドの変化率を追跡する。このアルゴリズムの出力は、内側ループ回転速度制御システムに直接送られるボディフレーム回転速度コマンドである。シミュレーション研究は、このアルゴリズムを使用すれば地球指向誤差が約10度から0.2度未満に減ることを示している。
【0028】
完全拘束姿勢コマンドフィードフォワード制御アルゴリズムは、まず四元数姿勢コマンドの時間導関数を計算する。四元数計算(すなわち積、共役など)を使用して、四元数及び四元数導関数を、内側ループ回転速度制御システムに直接送られるボディフレーム回転速度コマンドに変換する。ベクトル指向フィードフォワード制御アルゴリズムの場合と同様、天底指向モードにおける定常状態指向誤差は実質的に取り除かれる。
【0029】
制御システム内側ループは、測定されたボディ回転速度、所望のボディ回転速度、及び測定されたリアクションホイール速度を入力とし、リアクションホイール115の所望のリアクションホイール回転加速度を生じさせることができる。
【0030】
指向コマンド生成器105は、図2を参照して説明される対応要素の一例であってよい、又はこの対応要素の特徴を含んでよい。ナビゲーションシステム110は、図2及び図4を参照して説明される対応要素の一例であってよい、又はこの対応要素の特徴を含んでよい。
【0031】
リアクションホイール115は、外側ループが生成する出力信号に応答して回転することができる。リアクションホイール115はまた、少なくとも1つのリアクションホイール115の回転に基づいて人工衛星100の向きを調整することができる。リアクションホイール115及びリアクションホイールタコメータ120は、図2及び図4を参照して説明される対応要素の一例であってよい、又はこの対応要素の特徴を含んでよい。
【0032】
姿勢制御システム125は、図2を参照して説明される対応要素の一例であってよい、又はこの対応要素の特徴を含んでよい。
【0033】
図2は、本開示の態様に係る動的反転を用いた姿勢制御システム220の例を示す。図示されている例は、指向コマンド生成器200と、ナビゲーションシステム205と、リアクションホイール210と、リアクションホイールタコメータ215と、姿勢制御システム220と、を備える。
【0034】
指向コマンド生成器200は、姿勢制御システム220に入力される所望の姿勢を提供することができる。ナビゲーションシステム205は、推定された姿勢と測定されたボディ回転速度の両方を姿勢制御システム220への入力として提供することができる。リアクションホイールタコメータ215は、リアクションホイール210を監視し、姿勢制御システム220に入力される測定されたリアクションホイール速度を提供することができる。
【0035】
制御システム外側ループ225は、推定された姿勢と所望の姿勢とを入力とし、所望のボディ回転速度を生じさせることができる。制御システム内側ループ230は、測定されたボディ回転速度、所望のボディ回転速度、及び測定されたリアクションホイール速度を入力とし、リアクションホイール210の所望のリアクションホイール回転加速度を生じさせることができる。
【0036】
指向コマンド生成器200は、図1を参照して説明される対応要素の一例であってよい、又はこの対応要素の特徴を含んでよい。ナビゲーションシステム205は、図1及び図4を参照して説明される対応要素の一例であってよい、又はこの対応要素の特徴を含んでよい。
【0037】
リアクションホイール210及びリアクションホイールタコメータ215は、図1及び図4を参照して説明される対応要素の一例であってよい、又はこの対応要素の特徴を含んでよい。
【0038】
姿勢制御システム220は、図1を参照して説明される対応要素の一例であってよい、又はこの対応要素の特徴を含んでよい。姿勢制御システム220は、外側ループ225と内側ループ230とを備えることができる。
【0039】
外側ループ225(第1のループとも称される)は、人工衛星をある向きから別の向きに回転させる固有ベクトルを決定することができる。一部の実施例では、第1のループはさらに、人工衛星の所望の向き及び人工衛星の推定された向きを入力として受け取ることをさらに含む。一部の実施例では、第1のループはさらに、人工衛星の推定された向き及び人工衛星の所望の向きに基づいて人工衛星向き誤差コマンドを実行することを含む。一部の実施例では、固有ベクトルコマンドは、人工衛星向き誤差コマンドをスカラー成分とベクトル成分とに分解することを実行する。
【0040】
一部の実施例では、第1のループはさらに、フィードフォワード制御システムを含む。一部の実施例では、フィードフォワード制御システムは、少なくとも1つのリアクションホイールの回転とターゲットへの指向とのタイミング誤差を調整する。一部の実施例では、フィードフォワード制御システムは、人工衛星に設けられた追跡パラボラアンテナ、アンテナ、カメラ、ロボットアーム、及び太陽電池パネルの動きを考慮する。一部の実施例では、フィードフォワード制御システムはさらに、所望の向きを入力として受け取ることを含む。
【0041】
外側ループ225は、図3及び図4を参照して説明される対応要素の一例であってよく、又は、この対応要素の特徴を含んでよい。
【0042】
内側ループ230(第2のループとも称される)は、非線形動的反転アルゴリズムを実行して人工衛星の少なくとも1つのリアクションホイール210に信号を出力することができる。一部の実施例では、第2のループはさらに、第1のループから決定された固有ベクトルを入力として受け取ることを含む。一部の実施例では、第2のループはさらに、測定された人工衛星回転速度を人工衛星に設けられたナビゲーションシステム205から受け取ることを含む。一部の実施例では、第2のループはさらに、少なくとも1つのリアクションホイールの測定されたリアクションホイール速度を人工衛星に設けられた回転ホイールタコメータから受け取ることを含む。
【0043】
一部の実施例では、第2のループはさらに、少なくとも1つのリアクションホイールの所望の回転加速度を決定することを含む。一部の実施例では、第2のループはさらに、少なくとも1つのリアクションホイールの慣性テンソルの質量モーメントと、少なくとも1つのリアクションホイールの回転軸ベクトルと、人工衛星の慣性テンソルの質量モーメントと、を受け取ることを含む。
【0044】
内側ループ230は、図3及び図4を参照して説明される対応要素の一例であってよく、又は、この対応要素の特徴を含んでよい。
【0045】
図3は、本開示の態様に係る図2の姿勢制御システム220などの姿勢制御システムの外側ループ300の例を示す。図示されている例は、外側ループ300と内側ループ330とを備える。
【0046】
制御システム外側ループ300は、推定された姿勢305及び所望の姿勢310を入力とすることができる。これらの姿勢のそれぞれは、四元数によって表すことができる。推定された姿勢305と所望の姿勢310とを結合して向き誤差コマンドを形成することができ、向き誤差コマンドを分解関数315に渡すことができる。分解関数315はベクトル成分(すなわち固有ベクトル)及びスカラー成分を生成することができる。所望の姿勢310をフィードフォワード制御装置320に渡すことができる。
【0047】
スカラー成分はリミッタ325に渡すことができる。リミッタ325の出力をベクトル成分と結合することができ、次にこの結合された積をフィードフォワード制御装置320の出力と結合して所望のボディ回転速度を生じさせることができる。所望のボディ回転速度は、制御システム外側ループ300から制御システム内側ループ330に渡すことができる。
【0048】
外側ループ300は、図2及び図4を参照して説明される対応要素の一例であってよく、又は、この対応要素の特徴を含んでよい。外側ループ300は、推定された姿勢305と、所望の姿勢310と、分解関数315と、フィードフォワード制御装置320と、リミッタ325と、を備えることができる。
【0049】
内側ループ330は、図2及び図4を参照して説明される対応要素の一例であってよく、又は、この対応要素の特徴を含んでよい。
【0050】
図4は、本開示の態様に係る図2の姿勢制御システム220などの姿勢制御システムの内側ループ420の例を示す。図示されている例は、外側ループ400と、ナビゲーションシステム405と、リアクションホイールタコメータ410と、リアクションホイール415と、内側ループ420と、を備える。
【0051】
制御システム外側ループ400から所望のボディ回転速度を受け取ることができる。ナビゲーションシステム405は、1つ以上の測定されたボディ回転速度を提供することができる。ボディ回転速度を所望のボディ回転速度と結合して、所望のボディ回転加速度を生じさせることができる。リアクションホイールタコメータ410は、測定されたホイール速度を提供することができる。
【0052】
人工衛星慣性モーメント(MOI)テンソル425が人工衛星質量慣性モーメントを示すことができる。リアクションホイール質量慣性モーメント及び回転軸からホイールMOI行列430を得ることができる。クロス積関数435が、測定されたボディ回転速度と、人工衛星MOIテンソル425を含む測定されたボディ回転速度と測定されたホイール速度との組み合わせと、を入力とすることができる。クロス積関数435はオイラーモーメントを出力することができる。逆関数440がホイールMOI行列430の逆行列を生成することができる。
【0053】
人工衛星MOIテンソル425を所望のボディ回転加速度と結合してモーメントコマンドを生成することができ、モーメントコマンドは次にオイラーモーメントと結合することができる。この結果は反転された行列430と結合され、リミッタ445に渡すことができる。次にリミッタ445は、所望のリアクションホイール回転加速度を出力し、これをリアクションホイール415に渡すことができる。
【0054】
一実施例では、リアクションホイール角加速度のベクトルは次式によって与えられてよい。
【数1】
ここで、Iは(リアクションホイール415を含む)ボディの質量慣性モーメントであり、
【数2】
は慣性空間に対するボディフレーム角速度ベクトルであり、
【数3】
は慣性空間に対するボディフレーム加速度ベクトルであり、Iはホイール質量慣性モーメント行列であり、
【数4】
はリアクションホイール角回転ベクトルであり、
【数5】
はリアクションホイール415の角加速度ベクトルである。
【0055】
外側ループ400は、図2及び図3を参照して説明される対応要素の一例であってよく、又は、この対応要素の特徴を含んでよい。
【0056】
ナビゲーションシステム405、リアクションホイールタコメータ410及びリアクションホイール415は、図1及び図2を参照して説明される対応要素の一例であってよく、又は、この対応要素の特徴を含んでよい。
【0057】
内側ループ420は、図2及び図3を参照して説明される対応要素の一例であってよく、又は、この対応要素の特徴を含んでよい。
【0058】
図5は、本開示の態様に係る人工衛星の向きを調整するためのプロセスの例を示している。一部の実施例では、これらの動作は、装置の機能要素を制御する一セットのコードを実行するプロセッサによって行うことができる。付加的又は代替的に、プロセスは特殊目的のハードウェアを使用して行うことができる。一般にこれらの動作は、本開示の態様に従って説明される方法及びプロセスに従って行うことができる。例えば、これらの動作は、様々なサブステップから構成されてよい、又は本明細書に記載の他の動作と共に行われてよい。
【0059】
ステップ500において、システムは、人工衛星をある向きから別の向きに回転させるための固有ベクトルを決定することができる。一部の実施例では、このステップの動作は、図2から図4を参照して説明された外側ループを参照してよく、又は、この外側ループによって行われてよい。
【0060】
ステップ505において、システムは、非線形動的反転アルゴリズムを実行して、人工衛星の少なくとも1つのリアクションホイールに信号を出力することができる。一部の実施例では、このステップの動作は、図2から図4を参照して説明された内側ループを参照してよく、又は、この内側ループによって行われてよい。
【0061】
ステップ510において、システムは、出力信号に応答して少なくとも1つのリアクションホイールを回転させることができる。一部の実施例では、このステップの動作は、図1図2、及び図4を参照して説明されたリアクションホイールを参照してよく、又は、このリアクションホイールによって行われてよい。
【0062】
ステップ515において、システムは、少なくとも1つのリアクションホイールの回転に基づいて人工衛星の向きを調整することができる。一部の実施例では、このステップの動作は、図1図2、及び図4を参照して説明されたリアクションホイールを参照してよく、又は、このリアクションホイールによって行われてよい。
【0063】
図6は、本開示の態様に係る姿勢制御システム応答グラフ600の例を示している。姿勢制御システム応答グラフ600は、本開示の特徴を実装していない別のシステムと比較したときの本明細書に開示されているシステムの人工衛星の向き調整時間の改善の例を示す。
【0064】
制御システム応答グラフ600は、縦軸605と、横軸610と、第1の太陽指向コマンド615と、第1の地球表面指向コマンド620と、第2の太陽指向コマンド625と、第1の改善応答630と、第1の比較応答635と、第2の改善応答640と、第2の比較応答645と、第3の改善応答650と、第3の比較応答655と、を含むことができる。
【0065】
制御システム応答グラフ600は、既存の技術(比較応答)に対する本明細書に開示された姿勢制御システム(改善応答)のシミュレーション研究を示す。他のシミュレーション(図示せず)は、初期設定がゼロ速度のホイールを有する人工衛星の姿勢応答と、初期設定が5,000RPMのホイールを有する別の場合と、を比較した。初期ホイール速度が5,000RPMの本明細書に開示されたシステムの姿勢応答は、初期ホイール速度がゼロの場合の応答と同じであった。ホイールに蓄えられている運動量は完全に考慮され、望ましくないカップリング、オーバーシュート、振動、又は不安定性はもたらされなかった。
【0066】
縦軸605は、度単位の人工衛星指向誤差を表すことができる。横軸610は、秒単位の時間を表すことができる。第1の改善応答630は、第1の比較応答635と比較して第1の太陽指向コマンド615に対する応答時間が短いことを示す。第2の改善応答640は、第2の比較応答645と比較して第1の地球表面指向コマンド620に対する応答時間が短いことを示す。第3の改善応答650は、第3の比較応答655と比較して第2の太陽指向コマンド625に対する応答時間が短いことを示す。
【0067】
実装の独立性をよりはっきりと強調するために、本明細書に記載の機能ユニットの一部をモジュールとして示した。例えば、モジュールは、カスタム超大規模集積(VLSI)回路又はゲートアレイ、ロジックチップ、トランジスタ、又はその他の個別構成要素などのオフザシェルフ半導体を含むハードウェア回路として実装可能である。モジュールは、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイスなどのプログラマブルハードウェアデバイスで実装することもできる。
【0068】
モジュールは、様々な種類のプロセッサにより実行されるソフトウェアで実装することもできる。例えば、実行可能コードの識別されたモジュールは、例えばオブジェクト、プロシージャ又は関数として編成可能なコンピュータ命令の1つ以上の物理ブロック又は論理ブロックを含むことができる。しかし、識別されたモジュールの実行ファイルは物理的に一緒に配置される必要はなく、論理的に一緒に結合されるとモジュールを構成し、モジュールの言及された目的を実現する、異なる場所に記憶された別々の命令を含んでもよい。
【0069】
実際に、実行可能コードのモジュールは、単一の命令又は多くの命令とすることができ、異なるプログラムにわたり、いくつかのメモリデバイスにわたっていくつかの異なるコード区分に均等に分散されてもよい。同様に、本明細書ではモジュール内で動作データを特定し、示している場合があり、これは、任意の適切な形態で具現化可能であり、任意の適切な種類のデータ構造内で編成可能である。動作データは、単一のデータセットとしてまとめてもよく、又は、異なる記憶デバイスを含む異なる場所に分散してもよく、少なくとも一部が、単にシステム又はネットワーク上の電子信号として存在してもよい。
【0070】
本願明細書に開示した本発明は、具体的な実施形態、実施例及びその応用によって説明してきたが、当業者であれば、請求項に記載の本発明の範囲から逸脱することなく数多くの変更及び変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6