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特許7149248洗浄モジュール、切断装置及び切断品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】洗浄モジュール、切断装置及び切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20220929BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20220929BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20220929BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20220929BHJP
   B65G 51/02 20060101ALI20220929BHJP
   B65G 51/04 20060101ALI20220929BHJP
   B08B 3/06 20060101ALI20220929BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L21/78 P
H01L21/78 F
H01L21/78 N
B24B27/06 M
B24B55/06
B65G49/07 G
B65G51/02 A
B65G51/04 C
B08B3/06
B08B3/04 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019199320
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021072395
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和志
(72)【発明者】
【氏名】黄 善夏
(72)【発明者】
【氏名】石橋 幹司
(72)【発明者】
【氏名】森下 慎也
(72)【発明者】
【氏名】大西 将馬
(72)【発明者】
【氏名】堀本 京太郎
(72)【発明者】
【氏名】尾関 貴俊
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-84893(JP,A)
【文献】特開2019-126749(JP,A)
【文献】特開平6-124928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 27/06
B24B 55/06
B65G 49/07
B65G 51/02
B65G 51/04
B08B 3/06
B08B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ基板が切断されて形成された複数の切断品を収容する容器と、
前記容器を回転させる回転機構と、
前記容器内に洗浄液を供給する給液機構と、
前記容器内の前記洗浄液を排出する排液機構と、を備え、
複数の前記切断品は、前記洗浄液に浸漬された状態で前記回転機構により回転させた前記容器内で洗浄される洗浄モジュール。
【請求項2】
前記容器内に気体を供給する給気機構と、前記容器内の前記気体を排出する排気機構とをさらに備えた請求項1に記載の洗浄モジュール。
【請求項3】
前記容器を上下反転させる反転機構をさらに備えた請求項1又は2に記載の洗浄モジュール。
【請求項4】
前記容器は、少なくとも底壁に前記切断品が通過しない大きさの貫通孔が形成された内容器と、当該内容器の外側に配置された外容器と、を含んでおり、
前記内容器と前記外容器との間には区画壁が形成されており、前記内容器に供給された前記洗浄液が前記貫通孔を通って前記内容器及び前記区画壁の内側に存在し、
前記洗浄液のうち、前記区画壁の頂部を乗り越えた前記洗浄液を前記外容器から排水するドレン機構をさらに備えた請求項1~3の何れか一項に記載の洗浄モジュール。
【請求項5】
前記容器は、重力方向に対して傾いて配置されている請求項1~4の何れか一項に記載の洗浄モジュール。
【請求項6】
前記容器の底壁の内面は、前記回転機構の回転軸に近付くほど重力方向に向かって傾斜した傾斜面で形成されている請求項1~5の何れか一項に記載の洗浄モジュール。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の洗浄モジュールと、
前記パッケージ基板を切断する切断機構と、
前記切断機構で切断されて形成された複数の前記切断品を前記容器に搬送する搬送機構と、を備えた切断装置。
【請求項8】
前記搬送機構は、吸引ノズルで複数の前記切断品を吸引して前記容器に搬送する請求項7に記載の切断装置。
【請求項9】
前記搬送機構は、複数の前記切断品を液流により前記容器に搬送する請求項7又は8に記載の切断装置。
【請求項10】
前記搬送機構は、複数の前記切断品を収納する収納部を有し、複数の前記切断品が収納された前記収納部を前記容器の近傍まで搬送し、前記収納部から前記容器に複数の前記切断品を移し替える請求項7に記載の切断装置。
【請求項11】
パッケージ基板を切断して複数の切断品を形成する切断工程と、
複数の前記切断品を容器に収容する収容工程と、
前記容器内に洗浄液を供給し、前記容器を回転させて複数の前記切断品を洗浄する洗浄工程と、
前記容器を上下反転させて、複数の前記切断品を取り出す取出工程と、を含む切断品の製造方法。
【請求項12】
前記洗浄工程により複数の前記切断品を洗浄した後に前記洗浄液を排出し、前記容器内に気体を供給して前記容器を回転させながら複数の前記切断品を乾燥させる乾燥工程をさらに含む請求項11に記載の切断品の製造方法。
【請求項13】
前記切断工程の後で且つ前記洗浄工程の前に複数の前記切断品を前記容器に搬送する搬送工程をさらに含み、
前記搬送工程は、吸引ノズルで複数の前記切断品を吸引して前記容器に搬送する請求項11又は12に記載の切断品の製造方法。
【請求項14】
前記切断工程の後で且つ前記洗浄工程の前に複数の前記切断品を前記容器に搬送する搬送工程をさらに含み、
前記搬送工程は、複数の前記切断品を液流により前記容器に搬送する請求項11又は12に記載の切断品の製造方法。
【請求項15】
前記切断工程の後で且つ前記洗浄工程の前に複数の前記切断品を前記容器に搬送する搬送工程をさらに含み、
前記搬送工程は、複数の前記切断品を収納部に収容し、当該収納部を前記容器の近傍まで搬送した後、前記収納部から前記容器に複数の前記切断品を移し替える請求項11又は12に記載の切断品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄モジュール、洗浄モジュールを備えた切断装置及び切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップが搭載されたリードフレームや基板等は、一般的に樹脂封止することにより電子部品として用いられる。従来、複数のチップを搭載して配線した基板を一括して樹脂封止してパッケージ基板を製造した後、このパッケージ基板を切断(個片化)して複数の切断品(電子部品)を製造する切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の切断装置は、パッケージ基板を複数の切断品に切断する切削手段と、複数の切断品を吸引して搬送する搬送手段と、複数の切断品の上面を噴射した洗浄液にて洗浄する上面洗浄手段と、複数の切断品の下面をスポンジ等から成る洗浄ローラにて洗浄する下面洗浄手段と、ヒータ又は温風により複数の切断品の上面及び下面を乾燥する乾燥手段と、を備えている。切断、洗浄、乾燥後の複数の切断品は、ブラシでバリ取り容器に落とされ、揺動機構がバリ取り容器を揺動させることにより、切断品に振動を与えてバリが除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-084893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の切断装置では、パッケージ基板が切断されて形成された複数の切断品を搬送、洗浄、乾燥するが、切断品のサイズが例えば2mm角未満と小さくなると搬送等が困難となる。特に、切断品のサイズが小さくなると、洗浄時にチップシフト(切断品が吸引位置から移動すること)や切断品の飛散が発生し易くなる。
【0006】
そこで、切断品のサイズが小さい場合でも、洗浄効率を高めることができる洗浄モジュール、切断装置及び切断品の製造方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る洗浄モジュールの特徴構成は、パッケージ基板が切断されて形成された複数の切断品を収容する容器と、前記容器を回転させる回転機構と、前記容器内に洗浄液を供給する給液機構と、前記容器内の前記洗浄液を排出する排液機構と、を備え、複数の前記切断品は、前記洗浄液に浸漬された状態で前記回転機構により回転させた前記容器内で洗浄される点にある。
【0008】
本発明に係る切断装置の特徴構成は、前記洗浄モジュールと、前記パッケージ基板を切断する切断機構と、前記切断機構で切断されて形成された複数の前記切断品を前記容器に搬送する搬送機構と、を備えた点にある。
【0009】
本発明に係る切断品の製造方法の特徴は、パッケージ基板を切断して複数の切断品を形成する切断工程と、複数の前記切断品を容器に収容する収容工程と、前記容器内に洗浄液を供給し、前記容器を回転させて複数の前記切断品を洗浄する洗浄工程と、前記容器を上下反転させて、複数の前記切断品を取り出す取出工程と、を含む点にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、切断品のサイズが小さい場合でも、洗浄効率を高めることができる
洗浄モジュール、切断装置及び切断品の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】切断装置を示す模式図である。
図2】搬送機構を示す概略斜視図である。
図3】洗浄モジュールを示す概略斜視図である。
図4図3のIV-IV線断面図である。
図5】洗浄モジュールの駆動形態を示す図である。
図6】複数の切断品を容器内に収容する状態を示す断面図である。
図7】複数の切断品を容器内で洗浄する状態を示す断面図である。
図8】複数の切断品を容器内で乾燥する状態を示す断面図である。
図9】洗浄モジュールの容器を移動させる状態を示す断面図である。
図10】洗浄モジュールの容器を移動させる状態を示す平面図である。
図11】洗浄モジュールの反転機構を示す概略斜視図である。
図12】別実施形態に係る搬送機構を示す概略図である。
図13】別実施形態に係る搬送機構の切断品搬送状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る洗浄モジュール、切断装置及び切断品の製造方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0013】
[装置構成]
チップが搭載されたリードフレームや基板等の成形対象物は樹脂封止することにより電子部品として用いられる。成形対象物を樹脂封止する技術として、コンプレッション方式やトランスファ方式が挙げられる。コンプレッション方式は、例えば、離型フィルム上に液状又は粉粒体状の樹脂を供給した後、成形型のキャビティにその離型フィルムを載置し、離型フィルム上の樹脂に成形対象物を浸し入れて樹脂成形する方式である。トランスファ方式は、例えば、成形対象物を成形型のキャビティに収容し、成形型のポットに樹脂タブレットを供給して加熱、溶融した後、溶融樹脂をキャビティに供給して樹脂成形する方式である。
【0014】
コンプレッション方式やトランスファ方式の樹脂成形装置は、製造効率化の観点から、複数のチップを搭載して配線した基板を一括して樹脂封止するMAP(molded array packaging)等のパッケージ基板を製造する装置が用いられることがある。この装置にてパッケージ基板を製造した後、切断装置にて切断され(個片化され)、形成された切断品が品質検査を経た上で電子部品として用いられる。切断装置では、パッケージ基板が切断されて形成された複数の切断品を搬送、洗浄、乾燥するが、切断品のサイズが例えば2mm角未満と小さくなると搬送等が困難となる。特に、切断品のサイズが小さくなると、洗浄時にチップシフト(切断品が吸引位置から移動すること)や切断品の飛散が発生し易くなる。そこで、本実施形態では、切断品のサイズが小さい場合でも、洗浄効率を高めることができる洗浄モジュール、切断装置及び切断品の製造方法を提供する。以下において、複数の半導体チップが搭載されたパッケージ基板を切断対象物の一例として説明し、重力方向を下、重力方向とは反対方向を上として説明することがある。
【0015】
図1には、切断装置Dの模式図が示されている。本実施形態における切断装置Dは、樹脂成形装置Eと別体で構成されており、樹脂成形装置Eにて樹脂封止されたパッケージ基板Sを受け入れ、このパッケージ基板Sを切断、洗浄、乾燥して、複数の切断品Saを製造する。この製造された切断品Saは、所定の品質検査を経た上で電子部品として用いられる。
【0016】
切断装置Dは、切断モジュール1と洗浄モジュール2と制御部3とを有している。切断モジュール1と洗浄モジュール2とは、独立して装着又は取り外しすることができる。また、切断装置Dは、切断モジュール1と洗浄モジュール2とに亘って搬送機構4を有している。制御部3は、切断装置Dの動作を制御するソフトウェアとして、HDDやメモリ等のハードウェアに記憶されたプログラムで構成されており、コンピュータのCPUにより実行される。つまり、制御部3は、切断モジュール1、洗浄モジュール2及び搬送機構4の動作を制御する。
【0017】
切断モジュール1は、受入部11と切断機構12とを有している。なお、受入部11や切断機構12の個数は、1つ又は2つ以上設けても良く、特に限定されない。
【0018】
受入部11は、樹脂成形装置Eから、切断対象物として平面視矩形状のパッケージ基板Sを受け入れる。受け入れられたパッケージ基板Sはプレステージ11a上に載置される。切断機構12は、パッケージ基板Sを移送する2つの切断用移送機構12aと、切断用移送機構12a上に配置された2つの切断テーブル12bと、2つの切断部12cと、を含んでいる。切断用移送機構12aは、パッケージ基板Sが切断テーブル12b上に固定された状態で、Y方向に移動可能、且つ、θ方向に回転可能に構成されている。切断用移送機構12a及び切断部12cの駆動源は、特に限定されないが、例えば、サーボモータ等の電動モータを用いることができる。
【0019】
切断テーブル12bでは、受入部11から受け取ったパッケージ基板Sが、樹脂封止された側を下面として、エア吸着等で固定されている。切断部12cは、スピンドル部12c1と回転ブレード12c2とを含んでおり、回転ブレード12c2により切断テーブル12bに固定されたパッケージ基板Sを切断する。また、切断テーブル12bの上面、すなわちパッケージ基板Sが固定される固定面には、回転ブレード12c2が進入可能なように溝が形成されている。回転ブレード12c2は、スピンドル部12c1の回転軸に固定されており、X方向及びZ方向に移動可能、且つ、高速回転可能に構成されている。切断用移送機構12aがY方向及びθ方向に移動及び回転し、回転ブレード12c2がX方向及びZ方向に移動することにより、回転ブレード12c2とパッケージ基板Sとの相対位置が調整される。この相対位置の調整を繰り返しながら、回転ブレード12c2により、パッケージ基板Sが、上面から下面に向かって貫通するように切断され、平面視矩形状の複数の切断品Saが形成される。このとき、回転ブレード12c2とパッケージ基板Sとの接触部位に切削水を供給しながら、切断しても良い。なお、切断用移送機構12a又は回転ブレード12c2の何れかを移動させて相対位置の調整を行っても良い。また、2つの切断部12cは、スピンドル部12c1が直線状で回転ブレード12c2が互いに対向するように位置することができ、2つの回転ブレード12c2の間隔の距離が可変で、X方向において2つの切断テーブル12bのいずれの上部にも移動可能である。
【0020】
洗浄モジュール2は、洗浄機構2Aと流体給排機構2Bと平面視矩形状の回収ボックス2Cとを有している。洗浄機構2Aは、複数の切断品Saを水等の洗浄液と共に容器21内に収容して、この容器21を回転させることで液流を発生させて複数の切断品Saを洗浄する。流体給排機構2Bは、洗浄機構2Aの容器21内に圧縮空気(気体の一例)を供給する、又は、後述する流体管42内の空気を吸引して排出する気体給排ポンプ(不図示)を含んでいる。また、流体給排機構2Bは、給水源(例えば上水道、工場内の純水供給パイプ)から容器21内に洗浄液を供給することが可能である。洗浄モジュール2の詳細は後述する。
【0021】
搬送機構4は、切断機構12で切断されて形成された複数の切断品Saを洗浄機構2Aの容器21に搬送する。図2に示すように、本実施形態における搬送機構4は、側面視三角形状の中空板部材で形成されたノズル41(吸引ノズルの一例)と、気体及び液体が切断品Saと共に流通する流体管42と、流体給排機構2Bに設けられた気体給排ポンプと、液体供給機構43とを含んでいる。ノズル41の一端に形成された開口は、パッケージ基板Sの一辺(短辺)を覆っており、ノズル41の他端に形成された開口は、流体管42と連通している。ノズル41は、流体給排機構2Bに含まれる気体給排ポンプの駆動力により切断テーブル12b上の全ての切断品Saを吸引する。具体的には、ノズル41は、X方向及びZ方向に移動可能に構成されており、パッケージ基板Sの一辺上に配置された一列の複数の切断品Saを、一端に形成された開口が覆うように位置合わせした後、パッケージ基板Sの他辺(長辺、X方向)に沿って移動しながら全ての切断品Saを吸引する。流体管42の一端42aは、水等の液体を供給する液体供給機構43が接続されており、流体管42の他端42bは、容器21の内部と連通している。この液体供給機構43は、上述した流体給排機構2Bの給水源(例えば上水道、工場内の純水供給パイプ)からの液体を流体管42内に供給する。ノズル41から吸引された複数の切断品Saは流体管42に流入し、液体供給機構43から供給された液流により容器21まで搬送される。
【0022】
以下、図3図4を用いて、洗浄モジュール2の洗浄機構2Aについて詳述する。
【0023】
洗浄モジュール2の洗浄機構2Aは、パッケージ基板Sが切断されて形成された複数の切断品Saを収容する容器21と、容器21を回転させる回転機構22と、容器21内に洗浄液を供給する給液機構23と、容器21内の洗浄液を排出する排液機構24と、容器21内に圧縮空気(気体の一例)を供給する給気機構25と、容器21内の空気(気体の一例)を排出する排気機構26と、容器21を回動及び反転させる回動反転機構27とを含んでいる。また、洗浄機構2Aは、容器21内が所定の水位を超過したときに中間筒T(区画壁の一例)の上端面(頂部)を乗り越えた切屑等の微小ゴミを含む洗浄液を排水するドレン機構28と、上述した搬送機構4の流体管42内の空気を吸引するバキューム機構29とを含んでいても良い。
【0024】
容器21は、重力方向に対して所定角度傾いて配置されている。この所定角度は、5°~50°であり、好ましくは10°~40°であり、より好ましくは20°~30°の範囲内で設定されている。容器21は、底壁が円錐形状で形成された有底筒状の内筒21b(内容器の一例)と、内筒21bの外側に配置された外筒28a(外容器の一例)と、を有しており、内筒21b及び外筒28aは一体回転可能に構成されている。内筒21bの底壁の内面には、中央(回転機構22の回転軸22b)に近付くほど重力方向に向かって傾斜した傾斜面21b1が形成されている。
【0025】
内筒21bと外筒28aとの間には、中間筒T(区画壁の一例)が回転不能に固定されている。内筒21bのうち、側壁における中間筒Tの上端面より少し高い位置(所定の水位)から底壁まで、切屑等の微小ゴミは通過するが、切断品Saが通過しない大きさの多数の微細孔21c(貫通孔の一例)が形成されている。つまり、内筒21bは、中間筒Tの上端面付近の側壁から底壁にかけてメッシュ構造を有している。また、内筒21bには、径方向外側に環状に延出した環状フランジ21dが形成されており、この環状フランジ21dの下面には、回転方向視で傾斜面を有する複数の傾斜突起21d1が形成されている(図3の拡大図参照)。中間筒Tの底壁は、排液機構24の排液管24aが固定された円錐台形状で構成されている。外筒28aは、容器21内が所定の水位を超過したときに内筒21bの微細孔21cを介して中間筒Tの上端面を乗り越えた切屑等の微小ゴミを含む洗浄液を排水するドレン機構28として構成されている。外筒28aの底壁は、排水先(例えば下水道、工場内の排水パイプ)に洗浄液を排出するドレン管28bに対して相対回転可能に内挿された内挿管28a1が突出した円錐台形状で構成されている(図4参照)。また、外筒28aの上端外表面には、内筒21bの傾斜突起21d1の傾斜面に対して、回転方向で当接する傾斜面を有する複数の傾斜突起28a2が突出形成されている(図3の拡大図参照)。
【0026】
また、洗浄モジュール2には、内筒21bの上部開口を閉塞する蓋30が設けられており、この蓋30を上下移動させるエアシリンダ等で構成される蓋移動機構31が設けられている。蓋30には、搬送機構4の流体管42、給液機構23の給液管23a及び給気機構25の給気管25aが固定されている。蓋30を内筒21bに密着させた状態で、内筒21b内に流体管42から複数の切断品Saが液流により供給され、内筒21b内に給液管23aから洗浄液が供給される。このとき、内筒21bには多数の微細孔21cが形成されているため、内筒21b内の洗浄液は中間筒T内に流出するが、切断品Saは微細孔21cを通過できない。本実施形態では、複数の切断品Saを液流により内筒21b内に供給しているため、切断品Saが流体管42の管内に付着して残存するといった不都合を防止できる。
【0027】
回転機構22は、回転軸22b周りに内筒21b及び外筒28aを回転させる電動モータ22aと、上述した内筒21bの傾斜突起21d1及び外筒28aの傾斜突起28a2とを含んでいる。電動モータ22aの駆動力により外筒28aが回転することで、外筒28aの傾斜突起28a2が内筒21bの傾斜突起21d1に当接して、内筒21bも一体回転する。回転機構22により内筒21b及び外筒28aが回転してメッシュ構造の内筒21bの内部に液流が発生し、内筒21b内で洗浄液に浸漬された複数の切断品Saが旋回する洗浄液により洗浄される。
【0028】
給液機構23は一端が上水道又は工場内の純水供給パイプに接続され他端が蓋30に接続された給液管23aを含んでいる。排液機構24は、一端が下水道又は工場内の排水パイプに接続され他端が中間筒Tの底壁に接続された排液管24aを含んでいる。給液機構23の給液管23a及び排液機構24の排液管24aには、夫々電磁弁等で構成される開閉バルブVa及び開閉バルブVbが設けられている。
【0029】
給気機構25は、流体給排機構2Bに設けられた気体給排ポンプと、圧縮空気等を導入可能に一端が気体給排ポンプに接続され他端が蓋30に接続された給気管25aと、を含んでいる。排気機構26は、一端が外気に接続され他端が分岐部20aを介して中間筒T及び外筒28aの底壁に接続された排気管26aを含んでいる。給気機構25の給気管25a及び排気機構26の排気管26aには、夫々電磁弁等で構成される開閉バルブVc及び開閉バルブVdが設けられている。なお、給気機構25は、気体給排ポンプを含む必要はなく、給気管25aに圧縮空気等が導入可能な構成であればよく、例えば工場内の圧縮空気供給用の配管パイプが給気管25aの一端に電磁弁を介して接続される構成としても良い。
【0030】
回動反転機構27は、内筒21bを挟持するクランプ部材27a1を作動させるチャック機構27aと、クランプ部材27a1で挟持された内筒21bを上下させる内筒上下機構27dと、回動軸27b1周りに内筒21bを回動させる回動機構27bと、内筒21bを反転軸27c1周りに回転させて上下反転させる内筒反転機構27c(反転機構の一例)とを含んでいる。回動反転機構27の駆動源は、電動モータやエアシリンダ等で構成されている。
【0031】
ドレン機構28は、外筒28aと、一端が下水道又は工場内の排水パイプに接続され他端が外筒28aの底壁に接続されたドレン管28bと、を含んでいる。バキューム機構29は、流体給排機構2Bに設けられた気体給排ポンプと、排気可能に一端が気体給排ポンプに接続され他端が分岐部20aを介して中間筒T及び外筒28aの底壁に接続されたバキューム管29aと、を含んでいる。ドレン機構28のドレン管28b及びバキューム機構29のバキューム管29aには、夫々電磁弁等で構成される開閉バルブVe及び開閉バルブVfが設けられている。上述したドレン管28bは分岐部20aで排液管24aと合流して下方に延在しており、排気管26a及びバキューム管29aは分岐部20aでドレン管28bと合流して上方に延在している。この構成により、液体は排液管24a及びドレン管28b内を流下し、気体は排気管26a及びバキューム管29a内を流通する。本実施形態における分岐部20aは、中間筒Tの上端面(中間筒Tの上端面を乗り越える最高水位20b)よりも上方に位置しており、切断品Saの洗浄、乾燥時に中間筒Tの上端面を乗り越えた洗浄液は、分岐部20aと容器21内の最高水位20bとの水頭差により排気管26a及びバキューム管29aに流入することがない。また、切断品Saの洗浄中において排液機構24の開閉バルブVbが閉弁状態にあるとき、排液管24aに滞留する洗浄液は、分岐部20aと容器21内の最高水位20bとの水頭差により排気管26a及びバキューム管29aに流入することがない。万が一、排液管24aに滞留する洗浄液が分岐部20aの水位に達した場合でも、分岐部20aと接続されたドレン管28bから排水される。なお、バキューム機構29は、外筒28a内を負圧にさせないのであれば、気体給排ポンプを含む必要はなく、分岐部20aを介してバキューム管29aから排気可能な構成であれば良く、例えば工場内の排気ダクトがバキューム管29aの一端に接続される構成としても良い。
【0032】
[切断品の製造方法]
図1図11を用いて切断品Saの製造方法について説明する。
【0033】
図1に示すように、樹脂成形装置Eで樹脂成形されたパッケージ基板Sが受入部11に搬送され、このパッケージ基板Sがプレステージ11a上に載置される。次いで、切断用移送機構12aは、受入部11から受け取った切断対象物としてのパッケージ基板Sを、樹脂封止された側を下面として切断テーブル12bに固定し、切断部12cまで移送する。そして、切断用移送機構12a及び切断部12cにより、パッケージ基板Sと回転ブレード12c2との相対位置が調整され、回転ブレード12c2により、パッケージ基板Sが、上面から下面に向かって貫通するように切断され、平面視矩形状の複数の切断品Saが形成される(切断工程)。
【0034】
次いで、搬送機構4は、切断機構12で切断されて形成された複数の切断品Saを洗浄機構2Aの容器21に搬送する(搬送工程)。図2に示すように、本実施形態における搬送機構4は、切断テーブル12b上にある切断品Saのエア吸着を停止した状態で、ノズル41が切断テーブル12b上の複数の切断品Saを吸引して流体管42に流入させると共に液体供給機構43から供給された液流により容器21まで搬送し、複数の切断品Saを流体管42の他端42bから容器21の内部に収容する(搬送工程、収容工程)。このとき、図5の搬送収容工程に示すように、給液機構23,排液機構24,給気機構25,排気機構26及びドレン機構28の開閉バルブVa~Veを閉状態、回転機構22の非駆動状態としたまま、バキューム機構29の開閉バルブVfを開く。その結果、図6に示すように、流体給排機構2Bに含まれる気体給排ポンプにより、バキューム機構29のバキューム管29aと連通した容器21及び流体管42を介してノズル41に負圧を作用させ、複数の切断品Saが吸引される(図2も参照)。このように、ノズル41で複数の切断品Saを吸引し、液流により容器21に搬送するため、切断品Saのサイズが例えば2mm角未満と小さくなった場合でも、一気に吸引、搬送することができる。
【0035】
次いで、洗浄機構2Aは、給液機構23により容器21(内筒21b)内に洗浄液を供給することで、複数の切断品Saが洗浄液と共に容器21(内筒21b)内に収容され、洗浄液が微細孔21cを通って中間筒Tの内側に存在することとなる。そして、回転機構22により容器21(内筒21b及び外筒28a)を回転させることで複数の切断品Saを洗浄する(洗浄工程)。このとき、図5の洗浄工程に示すように、排液機構24及び給気機構25の開閉バルブVb,Vcを閉状態としたまま、バキューム機構29の開閉バルブVfを閉め、回転機構22を駆動させると共に、給液機構23,排気機構26及びドレン機構28の開閉バルブVa,Vd,Veを開く。その結果、図7に示すように、給液機構23により容器21の内筒21b内に洗浄液が供給され、回転機構22により容器21を回転させることで複数の切断品Saが洗浄される。また、内筒21bの微細孔21cを介して中間筒Tの上端面を乗り越えた切屑等の微小ゴミを含む洗浄液は、ドレン機構28により排水され、内筒21b内の空気は、排気機構26により排気される。
【0036】
このように、本実施形態では、容器21(内筒21b及び外筒28a)を回転させることにより、洗浄液に浸漬された切断品Saの周辺には液流が発生するため、切断品Saの全域をまんべんなく洗浄することができる。つまり、切断品Saのサイズが例えば2mm角未満と小さくなった場合でも、隅々まで洗浄することが可能となり、洗浄効率を高めることができる。また、洗浄液が供給された容器21(内筒21b及び外筒28a)を回転させるため、切断品Saの洗浄構成が簡便であり、洗浄液の供給、排出も極めて容易である。しかも、容器21が重力方向に対して傾いて配置されているため、容器21を回転させたとき、複数の切断品Saの位置が上下方向に変動し易く、洗浄効率を高めることができる。また、所定の水位を超過したときに切屑等の微小ゴミを含む洗浄液を排水するドレン機構28を設けていれば、内筒21b内における水位調整機構が簡便である。
【0037】
次いで、洗浄工程により複数の切断品Saを洗浄した後に排液機構24及びドレン機構28により切屑等の微小ゴミを含む洗浄液を排出し、給気機構25により容器21の内筒21b内に圧縮空気を供給すると共に回転機構22により容器21(内筒21b及び外筒28a)を回転させながら複数の切断品Saを乾燥させる(乾燥工程)。このとき、図5の乾燥工程に示すように、バキューム機構29の開閉バルブVfの閉状態、排気機構26及びドレン機構28の開閉バルブVd,Veの開状態を維持し、回転機構22の駆動を継続したまま、給液機構23の開閉バルブVaを閉め、排液機構24及び給気機構25の開閉バルブVb,Vcを開く。その結果、図8に示すように、排液機構24及びドレン機構28により容器21内の切屑等の微小ゴミを含む洗浄液が排出され、流体給排機構2Bの気体給排ポンプにより給気管25aを介して容器21の内筒21b内に圧縮空気が供給され、回転機構22により容器21(内筒21b及び外筒28a)を回転させながら複数の切断品Saを乾燥させる。つまり、容器21を回転させながら複数の切断品Saを乾燥するため、複数の切断品Saを流動させて切断品Sa全域を乾燥することができる。このとき、内筒21bの底壁の内面が傾斜面21b1で形成されているので、容器21を回転させたとき、容器21の底壁中央部分に堆積した複数の切断品Saの位置が径方向外側に移動する。その結果、複数の切断品Saの重なりを減少させることが可能となり、切断品Saの乾燥効率を高めることができる。このように、切断品Saのサイズが例えば2mm角未満と小さくなった場合でも、効率的に乾燥させることができる。しかも、容器21内で、切断品Saの洗浄及び乾燥を完結すれば、乾燥容器を別途設ける必要がなく、洗浄モジュール2(切断装置D)のコンパクト化が図られる。
【0038】
次いで、排液機構24,給気機構25,排気機構26及びドレン機構28の開閉バルブVb~Veを閉じ、回転機構22の駆動を停止させた後、回動反転機構27により内筒21bを回動及び上下反転させて、複数の切断品Saを取り出す(取出工程)。この取出工程について、図9図11を用いて説明する。
【0039】
図9に示すように、蓋移動機構31により蓋30を上昇させると共に、チャック機構27aのクランプ部材27a1により内筒21bを挟持した状態で内筒上下機構27dにより内筒21bを上昇させて、内筒21bを中間筒Tから離脱させる。次いで、図10に示すように、回動機構27bにより、回動軸27b1周りに内筒21bを回動させて回収ボックス2Cの上方に移動させる。次いで、図11に示すように、内筒反転機構27cにより内筒21bを反転軸27c1周りに上下反転させ、内筒21b内に収容された複数の切断品Saを回収ボックス2Cに落下させて取り出す。そして、回収ボックス2Cに収納された洗浄、乾燥済みの切断品Saが回収される。このように、容器21の内筒21bを上下反転させて切断品Saを取り出しているため、従来のように、吸引された状態の切断品Saを単にブラシで払い出すものではなく、ブラシに切断品Saが挟まったり、飛散したりする不都合がない。
【0040】
[別実施形態]
以下、上述した実施形態と同様の部材については、理解を容易にするため、同一の用語、符号を用いて説明する。
【0041】
<1>図12図13に示すように、搬送機構4は、複数の切断品Saを収納する収納部45を有し、複数の切断品Saが収納された収納部45を内筒21bまで移動し、収納部45から内筒21bに複数の切断品Saを移し替えても良い(搬送工程)。より詳述すると、本実施形態における搬送機構4は、切断機構12の切断テーブル12b上に配置され、パッケージ基板Sが切断されて形成された複数の切断品Saと接触しながら移動可能な移動体44と、複数の切断品Saを収納可能な収納部45と、移動体44を駆動させる駆動機構46とを有しており、これら移動体44,収納部45及び駆動機構46は、搬送ボックス4A内に一体ユニットとして構成されている。また、搬送機構4は、搬送ボックス4Aを洗浄機構2Aの容器21まで搬送する。
【0042】
移動体44は、回転軸44a1を中心に回転する回転本体44aと、回転本体44aの周囲から径方向外側に突出した複数の突出部44bと、回転軸44a1を支持し、回転本体44aのスライド移動を案内するガイド溝44cと、を含んでいる。複数の突出部44bは、切断品Saと接触して切断テーブル12bから引き離す際に変形し難く、切断品Saを傷つけないナイロン、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂材料で構成されている。後述するスライド駆動機構46bにより、回転本体44aがガイド溝44cに沿って切断テーブル12b上を前進又は後進移動可能に構成されている。
【0043】
駆動機構46は、移動体44を回転駆動させる回転駆動機構46aと、移動体44を切断テーブル12bの表面に沿ってスライド移動させるスライド駆動機構46bとを有している。この駆動機構46の駆動源は、サーボモータ等の電動モータやエアシリンダ等で構成されている。
【0044】
切断品Saの搬送方法として、まず、図12に示すように、切断テーブル12b上にある切断品Saのエア吸着を停止した状態で、パッケージ基板Sが切断されて形成された複数の切断品Saを、回転駆動機構46aにより回転させた移動体44の突出部44bと接触させて切断テーブル12bから引き離す。次いで、移動体44の突出部44bが切断品Saに接触した状態で、移動体44をスライド駆動機構46bにより前進させ、切断品Saを収納部45に向けて押し出す。このとき、回転駆動機構46aにより回転させた移動体44の突出部44bが次の切断品Saに接触して切断テーブル12bから引き離す。切断テーブル12b上の切断品Saの引き離しと押し出しが繰り返されて、最終的に全ての複数の切断品Saが収納部45に収納される。
【0045】
次いで、搬送機構4は、搬送ボックス4A(複数の切断品Saが収納された収納部45)を、容器21の開口が収納部45の下方となるように、洗浄機構2Aの容器21の近傍まで搬送する。次いで、搬送機構4は、搬送ボックス4Aを傾動させると共に振動させ、複数の切断品Saを容器21内に落下させる。このように、内筒21bに移し替える前に収納部45に切断品Saを収納すれば、複数の切断品Saが収納された収納部45を搬送するだけで良く、搬送効率を高めることができる。しかも、搬送ボックス4Aを傾動させて振動させれば、複数の切断品Saを一度に容器21に収容することが可能となるため、液流や吸引により切断品Saを搬送する場合に比べて、切断品Saの回収不良が発生し難い。なお、図12図13に示す構成においては、上述した実施形態における切断後の切断品Saの搬送及び容器21への収容の説明と異なる。すなわち、複数の切断品Saを流体管42の他端42bから容器21の内部に収容するのではなく、複数の切断品Saを搬送機構4の搬送ボックス4Aから直接容器21の内部に収容することになる。
【0046】
<2>上述した実施形態では、容器21内に中間筒Tを設けたが、中間筒Tを省略して内筒21bの側壁(区画壁の一例)に形成されたドレン孔から流出した洗浄液を、ドレン機構28により排出させても良い。この場合、排液機構24の排液管24aが内筒21bに接続されることとなる。また、中間筒T及び外筒28aを省略し、容器21を内筒21bのみで構成して、給液機構23や排液機構24により洗浄液の供給量を制御しても良い。
【0047】
<3>上述した実施形態では、給気機構25により容器21の内筒21b内に空気を供給して複数の切断品Saを乾燥させたが、容器21外に複数の切断品Saを乾燥させる乾燥装置を設けても良い。
【0048】
<4>上述した実施形態では、回動反転機構27により容器21の内筒21bを回動及び反転させて複数の切断品Saを落下させたが、回動反転機構27を省略して、吸引等により容器21内の切断品Saを取り出しても良い。
【0049】
<5>上述した実施形態では、乾燥工程において、回転機構22により容器21(中間筒T)を回転させながら、給気機構25により供給された圧縮空気を用いて複数の切断品Saを乾燥させたが、容器21の回転を停止した状態で給気機構25により供給された圧縮空気を用いて複数の切断品Saを乾燥させても良い。
【0050】
<6>上述した実施形態における搬送機構4では、流体管42の一端42aに液体供給機構43を接続して、液流により複数の切断品Saを搬送したが、液体供給機構43を省略して、バキューム機構29による吸引のみで複数の切断品Saを搬送しても良い。
【0051】
<7>上記<1>で示した搬送機構4では、搬送ボックス4Aを容器21まで搬送したが、移動体44により切断テーブル12bから引き離された複数の切断品Saを吸引や液流により容器21まで搬送しても良い。
【0052】
<8>上述した実施形態では、回転機構22により容器21の内筒21b及び外筒28aを回転させたが、容器21の内筒21bのみを回転させても良いし、容器21の内筒21b及び中間筒Tを回転させても良く、回転対象は特に限定されない。
【0053】
<9>上述した実施形態では、給液管23aの一端を上水道又は工場内の純水供給パイプに接続し、排液管24a及びドレン管28bの一端を下水道又は工場内の排水パイプに接続したが、流体給排機構2Bに洗浄液槽を設け、給液管23a、排液管24a及びドレン管28bの一端を洗浄液槽に接続して、洗浄液を循環させても良い。この場合、給液管23a、又は、排液管24a及びドレン管28bに洗浄液を濾過するための濾過機構を設けることが好ましい。
【0054】
<10>容器21を重力方向に対して傾斜させずに、重力方向に沿う直立姿勢であっても良い。また、内筒21bの底壁は、傾斜面21b1を設けずにフラットに形成しても良い。
【0055】
[上記実施形態の概要]
以下、上述の実施形態において説明した洗浄モジュール2、切断装置D及び切断品Saの製造方法の概要について説明する。
【0056】
(1)洗浄モジュール2の特徴構成は、パッケージ基板Sが切断されて形成された複数の切断品Saを収容する容器21と、容器21を回転させる回転機構22と、容器21内に洗浄液を供給する給液機構23と、容器21内の洗浄液を排出する排液機構24と、を備え、複数の切断品Saは、洗浄液に浸漬された状態で回転機構22により回転させた容器21内で洗浄される点にある。
【0057】
本構成によると、回転機構22により回転させた容器21内で旋回する液流が発生し、複数の切断品Saが洗浄液で洗浄される。つまり、従来のように静止状態の切断品Saに対して洗浄液を吹き付けたり、洗浄ブラシを押し当てて洗浄したりするものではなく、切断品Saを洗浄液に浸漬した状態で洗浄しているため、切断品Saのチップシフトや飛散を防止でき、切断品Saの全域をまんべんなく洗浄することができる。その結果、切断品Saのサイズが小さいものであっても、隅々まで洗浄することが可能となり、洗浄効率を高めることができる。
【0058】
また、洗浄液が供給された容器21を回転させるため、切断品Saの洗浄構成が簡便であり、洗浄液の供給、排出も極めて容易である。このように、洗浄効率を高めることができる洗浄モジュール2を提供できた。
【0059】
(2)容器21内に圧縮空気(気体)を供給する給気機構25と、容器21内の空気(気体)を排出する排気機構26とをさらに備えても良い。
【0060】
本構成のように給気機構25及び排気機構26を備えれば、容器21内において洗浄後の切断品Saを乾燥させることができる。その結果、容器21外に乾燥容器を別途設ける必要がなく、洗浄モジュール2のコンパクト化が図られる。
【0061】
(3)内筒21b(容器21)を上下反転させる回動反転機構27(反転機構)をさらに備えても良い。
【0062】
本構成のように内筒21bを反転させる回動反転機構27を設ければ、切断品Saの払い出しを円滑に行うことができる。また、従来のように、吸引された状態の切断品Saをブラシで払い出すものではないため、ブラシに切断品Saが挟まったり、飛散したりする不都合もない。
【0063】
(4)容器21は、少なくとも底壁に切断品Saが通過しない大きさの微細孔21c(貫通孔)が形成された内筒21b(内容器)と、内筒21bの外側に配置された外筒28a(外容器)と、を含んでおり、内筒21bと外筒28aとの間には中間筒T(区画壁)が形成されており、内筒21bに供給された洗浄液が微細孔21cを通って内筒21b及び中間筒Tの内側に存在し、洗浄液のうち、中間筒Tの頂部を乗り越えた洗浄液を外筒28aから排水するドレン機構28をさらに備えても良い。
【0064】
本構成のように、中間筒Tの頂部を乗り越えた洗浄液を外筒28aから排水するドレン機構28を設けていれば、水位調整のための機構が簡便である。
【0065】
(5)容器21は、重力方向に対して傾いて配置されていても良い。
【0066】
本構成のように容器21が重力方向に対して傾いて配置されていれば、容器21を回転させたとき、複数の切断品Saの位置が上下方向に変動し易い。つまり、複数の切断品Saの流動性が向上するため、切断品Saの洗浄効率や乾燥効率を高めることができる。
【0067】
(6)内筒21b(容器21)の底壁の内面は、回転機構22の回転軸22bに近付くほど重力方向に向かって傾斜した傾斜面21b1で形成されていても良い。
【0068】
本構成のように内筒21bの底壁の内面が傾斜面21b1で形成されていれば、容器21を回転させたとき、容器21の底壁中央部分に堆積した複数の切断品Saの位置が径方向外側に移動する。その結果、複数の切断品Saの重なりを減少させることが可能となり、切断品Saの洗浄効率や乾燥効率を高めることができる。
【0069】
(7)切断装置Dの特徴構成は、上記(1)~(6)の何れかに記載の洗浄モジュール2と、パッケージ基板Sを切断する切断機構12と、切断機構12で切断されて形成された複数の切断品Saを容器21に搬送する搬送機構4と、を備えた点にある。
【0070】
本構成では、洗浄効率の高い洗浄モジュール2を備えると共に、洗浄するための容器21に切断品Saを搬送する搬送機構4を備えているため、洗浄効率の高い切断装置Dを提供できる。
【0071】
(8)搬送機構4は、ノズル41(吸引ノズル)で複数の切断品Saを吸引して容器21に搬送しても良い。
【0072】
本構成では、ノズル41で切断品Saを吸引して容器21に搬送するため、切断品Saのサイズが小さい場合でも一気に吸引、搬送することができる。
【0073】
(9)搬送機構4は、複数の切断品Saを液流により容器21に搬送しても良い。
【0074】
本構成のように、切断品Saを液流により容器21に搬送すれば、切断品Saを円滑に搬送することができる。
【0075】
(10)搬送機構4は、複数の切断品Saを収納する収納部45を有し、複数の切断品Saが収納された収納部45を容器21の近傍まで搬送し、収納部45から容器21に複数の切断品Saを移し替えても良い。
【0076】
本構成のように、容器21に移し替える前に収納部45に切断品Saを収納すれば、複数の切断品Saが収納された収納部45を搬送するだけで良く、搬送効率を高めることができる。
【0077】
(11)切断品Saの製造方法の特徴は、パッケージ基板Sを切断して複数の切断品Saを形成する切断工程と、複数の切断品Saを容器21に収容する収容工程と、容器21内に洗浄液を供給し、容器21を回転させて複数の切断品Saを洗浄する洗浄工程と、内筒21b(容器21)を上下反転させて、複数の切断品Saを取り出す取出工程と、を含む点にある。
【0078】
本方法によると、回転機構22により回転させた容器21内で液流が発生し、複数の切断品Saが洗浄液で洗浄される。つまり、従来のように静止状態の切断品Saに対して洗浄液を吹き付けたり、洗浄ブラシを押し当てて洗浄したりするものではなく、切断品Saを洗浄液に浸漬した状態で洗浄しているため、切断品Saのチップシフトや飛散を防止でき、切断品Saの全域をまんべんなく洗浄することができる。その結果、切断品Saのサイズが小さいものであっても、隅々まで洗浄することが可能となり、洗浄効率を高めることができる。また、内筒21bを上下反転させて切断品Saを取り出しているため、従来のように、吸引された状態の切断品Saをブラシで払い出すものではなく、ブラシに切断品Saが挟まったり、飛散したりする不都合がない。
【0079】
(12)洗浄工程により複数の切断品Saを洗浄した後に洗浄液を排出し、容器21内に圧縮空気(気体)を供給して前記容器を回転させながら複数の切断品Saを乾燥させる乾燥工程をさらに含んでも良い。
【0080】
本方法のように、容器21内で、切断品Saの洗浄及び乾燥を完結すれば、乾燥容器を別途設ける必要がなく、切断装置Dのコンパクト化が図られる。しかも、容器21を回転させながら複数の切断品Saを乾燥するため、複数の切断品Saを流動させて切断品Sa全域を乾燥することができる。
【0081】
(13)切断工程の後で且つ洗浄工程の前に複数の切断品Saを容器21に搬送する搬送工程をさらに含み、搬送工程は、ノズル41(吸引ノズル)で複数の切断品Saを吸引して容器21に搬送しても良い。
【0082】
本方法では、ノズル41で切断品Saを吸引して容器21に搬送するため、切断品Saのサイズが小さい場合でも一気に吸引、搬送することができる。
【0083】
(14)切断工程の後で且つ洗浄工程の前に複数の切断品Saを容器21に搬送する搬送工程をさらに含み、搬送工程は、複数の切断品Saを液流により容器21に搬送しても良い。
【0084】
本方法のように、切断品Saを液流により容器21に搬送すれば、切断品Saを円滑に搬送することができる。
【0085】
(15)切断工程の後で且つ洗浄工程の前に複数の切断品Saを容器21に搬送する搬送工程をさらに含み、搬送工程は、複数の切断品Saを収納部45に収容し、収納部45を容器21の近傍まで搬送した後、収納部45から容器21に複数の切断品Saを移し替えても良い。
【0086】
本方法のように、容器21に移し替える前に収納部45に切断品Saを収納すれば、複数の切断品Saが収納された収納部45を搬送するだけで良く、搬送効率を高めることができる。
【0087】
なお、上述した実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、洗浄モジュール、洗浄モジュールを備えた切断装置及び切断品の製造方法に利用可能であり、特に切断品のサイズが2mm角未満と小さくなる場合に有効である。
【符号の説明】
【0089】
1 :切断モジュール
2 :洗浄モジュール
2A :洗浄機構
3 :制御部
4 :搬送機構
12 :切断機構
21 :容器
21b :内筒(内容器)
21b1 :傾斜面
21c :微細孔(貫通孔)
22 :回転機構
22b :回転軸
23 :給液機構
24 :排液機構
25 :給気機構
26 :排気機構
27 :回動反転機構
27a :チャック機構
27b :回動機構
27c :内筒反転機構(反転機構)
27d :内筒上下機構
28 :ドレン機構
28a :外筒(外容器)
29 :バキューム機構
41 :ノズル(吸引ノズル)
42 :流体管
43 :液体供給機構
44 :移動体
45 :収納部
D :切断装置
E :樹脂成形装置
S :パッケージ基板
Sa :切断品
T :中間筒(区画壁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13