(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】増粘多糖類含有製剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 29/269 20160101AFI20220929BHJP
A23L 29/25 20160101ALI20220929BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20220929BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20220929BHJP
A23L 29/206 20160101ALI20220929BHJP
A23L 29/225 20160101ALI20220929BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220929BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A23L29/269
A23L29/25
A23L29/256
A23L29/238
A23L29/206
A23L29/225
A61K9/20
A61K9/16
A61K47/36
(21)【出願番号】P 2019507001
(86)(22)【出願日】2018-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2018011544
(87)【国際公開番号】W WO2018174207
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2017056515
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛之
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-120538(JP,A)
【文献】特開2016-146780(JP,A)
【文献】特開2007-006745(JP,A)
【文献】国際公開第2011/136017(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/024402(WO,A1)
【文献】特開2015-136315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 29/20-29/206
A23L 29/231-29/30
A61K 9/20
A61K 9/16
A61K 47/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー液を用いて増粘多糖類を造粒する工程を有する、増粘多糖類含有製剤の製造方法であり、
前記バインダー液の成分として、プルラン、グァーガム
、アラビアガム、
及び大豆多糖
類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を用いることを特徴とする、増粘多糖類含有製剤の製造方法。
【請求項2】
前記造粒工程において、プルラン、グァーガム
、アラビアガム、
及び大豆多糖
類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いることを特徴とする、請求項1に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
【請求項3】
前記増粘多糖類が、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ウェランガム、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸類及びデンプン類からなる群から選択される1種以上を含有するものである、請求項1又は2に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
【請求項4】
前記バインダー液の成分として用いるプルラン、グァーガム
、アラビアガム、
及び大豆多糖
類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物の割合が、プルラン、グァーガム
、アラビアガム、
及び大豆多糖
類からなる群から選択される1種以上1質量部に対して、DE1以上50以下のデンプン分解物0.03~40質量部である、請求項1~3のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
【請求項5】
バインダー液を用いて増粘多糖類を造粒する工程を有する、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法であり、
前記バインダー液の成分として、プルラン、グァーガム
、アラビアガム、
及び大豆多糖
類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を用いることを特徴とする、増粘多糖類含有製剤の液体への分散性を向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘多糖類含有製剤の製造方法、及び、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キサンタンガム等の、増粘多糖類を含有する製剤は、飲食品などの各種組成物に粘度を付与する機能(粘度付与機能)や、各種組成物をゲル化させる機能(ゲル化機能)を有する。
【0003】
増粘多糖類の粘度付与機能又はゲル化機能を十分に発揮させるためには、増粘多糖類を十分に膨潤、水和させることが必要である。しかしながら、粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を、水などの液体に添加すると、増粘多糖類の表面のみが溶解し、内部が膨潤、水和せずに粉体の状態で残る、いわゆる、「ダマ」が発生する。発生したダマは、完全に溶解させることが非常に難しく、例えば、撹拌速度を上げる方法や、撹拌時間を長くする方法を用いた場合であっても、発生したダマを完全に溶解させることは難しい。
【0004】
ダマの発生を抑制する技術(ダマを改善する技術)として、例えば、増粘多糖類の粒子径に着目する技術が知られている。その一例として、特許文献1には、平均粒子径80μm以下のキサンタンガム粉末を造粒する技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、平均粒子径が80μm以下である、微粉タイプのキサンタンガムは、粉末を取り扱う際に粉が飛散しやすいという問題を有する。また、本技術に基づいて得られるキサンタンガム含有製剤は、液体への分散性が十分とはいえず、依然としてダマが発生しやすいという問題を有する。
【0006】
また、ダマを改善するその他の技術として、バインダー液を用いて、増粘多糖類を造粒する技術が知られている。例えば、特許文献2には、増粘多糖類及びデキストリンを含有する粉末に対して、デキストリンを18~35質量%含有するバインダー液を噴霧し、造粒する技術が提案されている。特許文献3には、キサンタンガム粉末に対して、グァーガム酵素分解物を含有する溶液を噴霧した後に、流動乾燥する技術が提案されている。特許文献4には、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて、キサンタンガム粉末を造粒した例が、比較例4として開示されている。特許文献5には、アラビアガムを含有するバインダー液を用いてキサンタンガム粉末を造粒し、次いで、得られた造粒物を崩壊剤及び賦形剤と混合したものを錠剤状に成型した製剤が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献2乃至5に開示された技術による、増粘多糖類の分散性向上効果は十分とはいえず、また、本発明に係る特定の組みあわせに着目することについて何ら開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-304605号公報
【文献】特開2011-120538号公報
【文献】特開2007-110983号公報
【文献】特許第4672596号公報
【文献】特開2015-136315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、液体への分散性が改善され、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、ダマの発生は、増粘多糖類の膨潤、水和(溶解)速度が速いことに基づく。そのため、ダマの発生抑制を目的とする従来技術は、増粘多糖類の溶解速度の遅延を招き、結果として、増粘多糖類が本来有する、粘度付与機能又はゲル化機能の低下を引き起こすという問題を有する。
【0011】
本発明は、かかる課題にも鑑みてなされた発明であり、ダマの発生が抑制され、また、増粘多糖類が本来有する、粘度付与機能又はゲル化機能の発現に優れる、増粘多糖類含有製剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、鋭意研究した結果、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物をバインダー液の成分として使用し、増粘多糖類を造粒することで、液体への分散性が改善され、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤を提供できることを見出した。また、本発明者らは、本発明を用いて製造された増粘多糖類含有製剤は、優れた粘度付与機能又はゲル化機能を発揮できることを見出し、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明は以下の態様を有する、増粘多糖類含有製剤の製造方法、並びに、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法に関する。
(1)増粘多糖類含有製剤の製造方法
項1-1.バインダー液を用いて増粘多糖類を造粒する工程を有する、増粘多糖類含有製剤の製造方法であり、
前記バインダー液の成分として、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を用いることを特徴とする、増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1-2.前記造粒工程において、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いることを特徴とする、項1-1に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1-3.前記増粘多糖類が、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ウェランガム、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸類、及びデンプン類からなる群から選択される1種以上を含有するものである、項1-1又は1-2に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1-4.前記バインダー液の成分として用いるプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物の割合が、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上1質量部に対して、DE1以上50以下のデンプン分解物0.03~40質量部である、項1-1~1-3のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
【0014】
(2)増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法
項2-1.バインダー液を用いて増粘多糖類を造粒する工程を有する、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法であり、
前記バインダー液の成分として、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を用いることを特徴とする、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法。
項2-2.前記造粒工程において、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いることを特徴とする、項2-1に記載の方法。
項2-3.前記増粘多糖類が、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ウェランガム、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸類及びデンプン類からなる群から選択される1種以上を含有するものである、項2-1又は2-2に記載の方法。
項2-4.前記バインダー液の成分として用いるプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物の割合が、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上1質量部に対して、DE1以上50以下のデンプン分解物0.03~40質量部である、項2-1~2-3のいずれか1項に記載の方法。
項2-5.更に、前記増粘多糖類を含有する製剤が液体への粘度発現性を有する、項2-1~2-4のいずれか1項に記載の方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、液体への分散性が改善され、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤を提供できる。また、本発明により、このようにダマの発生が抑制されることから、水や牛乳などの液体に対して優れた粘度付与機能又はゲル化機能を発揮できる増粘多糖類含有製剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実験例1において、実施例1-1の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果を示す写真である。
【
図2】実験例1において、比較例1の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果を示す写真である。
【
図3】実験例6において、実施例6-2及び比較例6-2の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果を示す写真である。
【
図4】実験例7において、実施例7-1~7-4、比較例7-1及び比較例7-2の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果を示す写真である。
【
図5】実験例8において、実施例8-1~8-6の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果を示す写真である。
【
図6】実験例9において、実施例9-1及び9-2の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、バインダー液を用いて増粘多糖類を造粒する工程を有する、増粘多糖類含有製剤の製造方法であり、前記バインダー液の成分として、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を用いることを特徴とする。
【0018】
本発明で用いる増粘多糖類は特に限定されないが、本発明では、好ましくは、飲食品又は経口医薬品への使用が許可されている可食性の増粘多糖類を用いる。
【0019】
かかる増粘多糖類としては、例えば、キサンタンガム、カラギナン(例えば、κ-(カッパ型)カラギナン、ι-(イオタ型)カラギナン、λ-(ラムダ型)カラギナン等)、ガラクトマンナン(例えば、ローカストビーンガム、タラガム、グァーガム等)、アルギン酸類(例えば、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等)、アルギン酸エステル(例えば、アルギン酸プロピレングリコール等)等)、ペクチン(例えば、HM(ハイメトキシル)ペクチン、LM(ローメトキシル)ペクチン等)、ジェランガム(例えば、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム等)、アラビアガム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンドシードガム、グルコマンナン、ウェランガム、サイリウムシードガム、カラヤガム、カードラン、デンプン類(例えば、未加工デンプン(生デンプン)、アルファ化デンプン、加工・化工デンプン、物理処理デンプン等)、ファーセレラン、発酵セルロース、結晶セルロース、大豆多糖類、スクシノグリカン等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
また、上記増粘多糖類の中でも、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ウェランガム、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸類、及びデンプン類、特に、キサンタンガム及びデンプン類は、膨潤、水和速度が速いため、ダマの発生を抑制することが格段に難しい。しかし、本発明によれば、このような増粘多糖類を含有する製剤であっても液体に添加した際に発生するダマを顕著に抑制することができ、分散性に優れる増粘多糖類含有製剤を提供することができる。本観点から、本発明は、増粘多糖類として、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ウェランガム、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸類、及びデンプン類からなる群から選択される1種以上を含有する製剤の製造に好適に使用でき、増粘多糖類としてキサンタンガム及び/又はデンプン類を含有する製剤の製造に、より好適に使用することができる。
【0021】
なお、本発明では、造粒原料として好ましくは、粉末状または顆粒状の増粘多糖類を用いる。造粒原料は、増粘多糖類以外に、必要に応じて更に賦形剤等を含有していてもよい。造粒原料は増粘多糖類を含んでいれば良く、すなわち、造粒原料は、増粘多糖類からなるものであってもよく、増粘多糖類と共に、必要に応じて更に賦形剤等を含有していてもよい。
【0022】
本発明の増粘多糖類含有製剤の製造方法は、バインダー液を用いて増粘多糖類を造粒する工程を有するが、造粒方法は特に限定されない。例えば、造粒方法として、流動層造粒法、撹拌造粒法、押出造粒法、及び転動造粒法などが例示でき、好ましい造粒方法は、流動層造粒法、又は撹拌造粒法である。
【0023】
流動層造粒法による造粒は特に限定されず、常法に従って実施することができる。例えば、流動層造粒法による造粒の一実施態様を以下に示す。
【0024】
粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含む造粒のための原料(造粒原料)を造粒機に入れ、機械の下方から熱風を送り込むことで、造粒原料を流動させる。該造粒原料の流動層にバインダー液を噴霧し、造粒原料表面にバインダー液を付着させ、造粒原料どうしの凝集粒をつくり、これを乾燥させることで造粒物を製造する。
【0025】
同様に、撹拌造粒法による造粒も特に限定されず、常法に従って実施できる。例えば、撹拌造粒法による造粒の一実施態様を以下に示す。
【0026】
粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含む造粒原料を造粒機に入れ、バインダー液を噴霧または直接投入し、高速で撹拌させる。撹拌によって造粒原料どうしが凝集粒をつくり、これを乾燥させることで造粒物を製造する。
【0027】
その他の押出造粒法及び転動造粒法による造粒も特に限定されず、常法に従って実施することができる。
【0028】
本発明において、造粒原料として好ましくは、粉末状又は顆粒状の造粒原料である。
【0029】
本発明では、造粒工程で用いるバインダー液の成分として、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を用いることを特徴とする。本発明では、バインダー液の成分としてのプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を、1つのバインダー液に含有してもよいし、各成分を異なるバインダー液に含有してもよい。バインダー液の成分として、本発明を制限するものではないが、より好ましくは、プルラン、グァーガム、アラビアガム、及び大豆多糖類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物が例示される。
【0030】
本発明で用いるプルランは公知であり、黒酵母の1種であるAureobasidium pullulas(糸状菌)によって産生されるα-グルカンである。その構造は、マルトトリオースが規則正しくα-1,6-グルコシド結合を繰り返した直鎖状の多糖類である。
【0031】
本発明で用いるグァーガムは公知であり、主に南アジアで栽培される豆科植物グァーの種子の胚乳部分から得られる多糖類である。グァーガムの分子構造は、β-1,4-D-マンナンの主鎖骨格に側鎖としてD-ガラクトースがα-1,6結合しており、グァーガム中のマンノースとガラクトースの比率は約2:1であることが知られている。グァーガムは商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ビストップ[登録商標]D-20」等が挙げられる。
【0032】
本発明で用いるグァーガム分解物は公知であり、グァーガムを加水分解し低分子化することにより得られる。加水分解の方法は制限されず、酵素分解法、酸分解法等が例示され、好ましくは酵素分解法が例示される。グァーガム分解物は、これらの方法に膜処理や分子量分画用カラムを組み合わせて、分子量が調整されたものであってもよい。酵素分解法に用いられる酵素は、マンノース直鎖を加水分解する酵素であれば制限されず、これらの酵素は公知であり、β-マンナナーゼが好ましく例示される。
【0033】
本発明で用いるアラビアガムは公知であり、マメ科植物であるアカシア属の植物(例えば、アカシア・セネガル(Acacia senegal)やアカシア・セイアル(Acacia seyal)等)の樹液から得られる多糖類である。アラビアガムの分子構造は、完全に明らかにはされていないが、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸を構成糖とすることが知られている。アラビアガムは商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ガムアラビックSD」等が挙げられる。
本発明ではまた、アラビアガムとして、前記アラビアガムを改質した、改質アラビアガムを用いることも可能である。改質の方法としては、例えば、90~180℃で15分~72時間加熱処理する方法や、アラビアガムから金属塩を除去又は低減する方法などが挙げられる。アラビアガムから金属塩を除去又は低減する方法としては、例えば、有機溶媒中でのイオン交換処理、電気透析膜、又はイオン交換樹脂等による脱塩処理が例示できる。これら改質アラビアガムは、例えば、特表2006-522202号公報、又は特開2005-179417号公報に記載された方法などに従って、製造することができる。
【0034】
本発明で用いるガティガムは公知であり、シクンシ科ガティノキ(AnogeissusLatifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して得られる、多糖類を主成分とする天然由来の植物性ガム質である。ガティガムは商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ガティガムSD」等が挙げられる。
【0035】
本発明で用いる大豆多糖類は公知であり、大豆から抽出した多糖類であれば特に制限されず、例えば、分離大豆蛋白を製造する過程で生じる水溶性食物繊維(オカラ)より抽出した大豆多糖類を使用することができる。大豆多糖類は、例えば、特開平05-32701号公報に記載された方法などに従って、製造することができる。大豆多糖類の分子構造は、ガラクトース、アラビノース、ガラクツロン酸、ラムノース、キシロース、フコース、グルコース等の糖から構成され、ラムノガラクツロン酸鎖にガラクタンとアラビナンが結合した構造が推定される。大豆多糖類は商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「SM-700」、「SM-1200」等が挙げられる。
【0036】
本発明で用いるペクチンは公知であり、主として、ガラクツロン酸とそのメチルエステルで構成される多糖類である。ペクチンは、エステルの形で存在するガラクツロン酸の割合(DE=エステル化度)によって、HM(ハイメトキシル)ペクチンとLM(ローメトキシル)ペクチンに大別されている。一般的にDEが50%以上のものをHMペクチン、50%未満のものをLMペクチンと呼ぶ。本発明では、用いるペクチンとしてHMペクチン、LMペクチンのいずれも使用することが可能である。ペクチンは商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ビストップ[登録商標]D-402」等が挙げられる。
【0037】
本発明で用いるアルギン酸類は公知であり、褐藻類から得られる多糖類であり、C-6位がCOOHになった、いわゆるウロン酸から構成される直鎖状の多糖類である。アルギン酸類は、前述と同様に説明される。アルギン酸類は商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンサポート[登録商標]P-90」等が挙げられる。
【0038】
本発明で用いるバインダー液における、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上(総量)の含量は特に限定されないが、例えば、0.01~20質量%が挙げられ、好ましくは0.02~18質量%、より好ましくは0.03~15質量%、更に好ましくは0.05~12質量%、更により好ましくは0.08~10質量%、特に好ましくは0.1~10質量%である。また、本発明で用いるバインダー液における、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上(総量)の含量は、特に限定されないが、例えば0.1~20質量%、0.2~18質量%、0.3~15質量%、0.5~12質量%、0.8~10質量%、1~10質量%等であってもよい。
【0039】
本発明で用いるDE1以上50以下のデンプン分解物は公知であり、デンプンを水とともに加熱した糊液を、酸又は酵素で加水分解することにより得られる各種中間体である。デンプン分解物の分解の程度は、本分野で分解の指標とされるDE(Dextrose Equivalent)値で表すことができる。本発明で用いるデンプン分解物は、通常DE1以上であり、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。また、本発明で用いるデンプン分解物は、通常DE50以下であり、好ましくは40以下であり、より好ましくは40未満、更に好ましくは35以下、更により好ましくは30以下、特に好ましくは25以下である。この観点から、本発明で用いるデンプン分解物として、より好ましくはDE2以上40以下、更に好ましくはDE2以上35以下、更により好ましくはDE2以上30以下、特に好ましくはDE2以上25以下が例示される。DEが該範囲のデンプン分解物を使用することで、液体への分散性が改善され、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤を調製することができる。DE1以上50以下のデンプン分解物は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
本発明で用いるバインダー液における、DE1以上50以下のデンプン分解物の含量(総量)は特に限定されないが、例えば、0.1~20質量%が挙げられ、好ましくは0.2~18質量%、より好ましくは0.3~15質量%、更に好ましくは0.5~12質量%、更により好ましくは0.8~10質量%、特に好ましくは1~10質量%である。
【0041】
バインダー液は、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、アルギン酸類、及びDE1以上50以下のデンプン分解物からなる群から選択される1種以上を水に溶解させることで調製できる。このことから、本発明においてプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、アルギン酸類、及びDE1以上50以下のデンプン分解物からなる群から選択される1種以上を含有するバインダー液は、好ましくは水を含有する。なお、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、アルギン酸類、及びDE1以上50以下のデンプン分解物は共に、常温付近(例えば、20℃)の水に溶解可能であるため、バインダー液の調製時に加熱工程は不要であるが、必要に応じて、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、アルギン酸類、及びDE1以上50以下のデンプン分解物からなる群から選択される1種以上を含有する液を加熱しても良い。
【0042】
また、本発明で用いるバインダー液は、炭素数が3以下であるアルコール(例えば、メタノール、エタノール、グリセリン等)、金属塩、又は有機酸などを含有しても良い。
【0043】
本発明では、バインダー液を用いて増粘多糖類を造粒する工程において、バインダー液の成分として、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を用いることを特徴とするが、バインダー液の使用方法は特に限定されない。
【0044】
例えば、前述のように、流動層造粒法又は撹拌造粒法であれば、(i)粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含む造粒原料に、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を噴霧する方法、(ii)粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含有する造粒原料にプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有するバインダー液を噴霧後、DE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を噴霧する方法、又は(iii)粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含有する造粒原料にDE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を噴霧後、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有するバインダー液を噴霧する方法などが挙げられる。
【0045】
また、撹拌造粒法の場合は、前記のバインダー液を噴霧する方法に加えて、(iv)増粘多糖類を含む造粒原料に、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を添加する方法、(v)増粘多糖類を含む造粒原料に、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有するバインダー液を添加後、DE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を添加する方法、(vi)増粘多糖類を含む造粒原料に、DE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を添加後、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有するバインダー液を添加する方法等が例示できる。
【0046】
なお、増粘多糖類含有製剤の液体への分散性をより一層向上させる観点からは、前記造粒工程において、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いることが好ましい(上記方法(i)、及び(iv)等)。
【0047】
造粒時における、増粘多糖類に対するバインダー液の量は特に限定されないが、造粒原料における増粘多糖類1質量部に対する、バインダー液の量は0.1~4質量部であることが好ましく、0.12~3.5質量部であることがより好ましく、0.15~3質量部であることが更に好ましい。また、造粒時におけるバインダー液の量は特に限定されないが、造粒原料1質量部に対するバインダー液の量は、例えば0.1~4質量部であることが好ましく、0.12~3.5質量部であることがより好ましく、0.15~3質量部であることが更に好ましい。
【0048】
以上のように本発明では、バインダー液を用いて増粘多糖類を造粒する工程において、バインダー液の成分として、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を用いることで、液体への分散性に優れ、また、これにより増粘多糖類が本来有する機能(粘度付与機能、ゲル化機能)の発揮に優れる(増粘多糖類が本来有する機能を効果的に発揮する)、増粘多糖類含有製剤を製造することができる。
【0049】
なお、バインダー液の成分として用いるプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物の割合は特に限定されないが、例えば、使用するバインダー液の合計量において、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上(総量)1質量部に対するDE1以上50以下のデンプン分解物(総量)の使用量(割合)が、0.03~40質量部であることが好ましく、0.05~35質量部であることがより好ましく、0.1~32質量部であることが更に好ましく、0.12~30質量部であることが更により好ましく、0.15~28質量部であることが特に好ましく、0.15~25質量部であることが特により好ましい。また、本発明において同様に限定されないが、例えば、使用するバインダー液の合計量において、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上(総量)1質量部に対するDE1以上50以下のデンプン分解物(総量)の使用量(割合)は、例えば0.05~20質量部、0.1~15質量部、0.12~10質量部、0.15~8質量部、0.15~6量部等であってもよい。
【0050】
本発明では、該割合でプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物をバインダー液の成分として併用することで、増粘多糖類含有製剤の分散性をより一層向上させ、また、これにより増粘多糖類が本来有する機能を十分に発揮させることができる。
【0051】
また、本発明では、増粘多糖類含有製剤における、バインダー液に由来するプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物の含量(総量)が、例えば、0.3~15質量%、好ましくは0.3~12質量%、より好ましくは0.4~12質量%、更に好ましくは0.4~10質量%、更により好ましくは0.5~10質量%、特に好ましくは0.5~8質量%となるように、バインダー液におけるプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物の含量、並びに造粒原料における増粘多糖類に対するバインダー液の量を適宜調整することが好ましい。
【0052】
本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤における、造粒原料に由来する増粘多糖類含量(総量)は特に限定されないが、例えば、5~90質量%が挙げられ、好ましくは10~85質量%、より好ましくは10~80質量%、更に好ましくは15~80質量%、更により好ましくは18~80質量%、更に特に好ましくは18~75質量%、殊更に好ましくは20~75質量%、殊更により好ましくは25~75質量%である。なお、本発明において「造粒原料に由来する」とは、言い換えれば「製造において使用するバインダー液に由来しない」ことを意味する。また、本発明において説明される、増粘多糖類含有製剤における「造粒原料に由来する増粘多糖類」の含量は、デキストリンを含まない値である。
【0053】
また、本発明を制限するものではないが、造粒原料に由来する増粘多糖類にキサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ウェランガム、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸類、及びデンプン類からなる群から選択される1種以上を含む場合、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤における、造粒原料に由来するキサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ウェランガム、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸類、及びデンプン類からなる群から選択される1種以上の増粘多糖類含量(総量)は、好ましくは5~90質量%、より好ましくは10~85質量%、更に好ましくは10~80質量%、更により好ましくは15~80質量%、特に好ましくは18~80質量%、更に特に好ましくは18~75質量%、殊更に好ましくは20~75質量%、殊更により好ましくは25~75質量%が例示される。
【0054】
また、増粘多糖類の中でもキサンタンガム及びデンプン類は、水などの液体に対する粘度発現性に優れ、増粘化剤などに有用であるが、ダマが顕著に発生しやすいという問題を有する。しかし、本発明の製造方法によれば、増粘多糖類含有製剤における造粒原料に由来するこれらの増粘多糖類の含量(すなわちキサンタンガム及び/又はデンプン類の含量)が総量で5質量%以上、8質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上、18質量%以上、20質量%以上、又は25質量%以上と、キサンタンガム及び/又はデンプン類の含量が高い場合においても、キサンタンガム及び/又はデンプン類のダマの発生が抑制され、且つ、優れた粘度付与機能を有する増粘多糖類含有製剤を提供できる。
【0055】
増粘多糖類含有製剤における造粒原料に由来するこれらの増粘多糖類の含量(キサンタンガム及び/又はデンプン類の含量)の上限は特に制限されないが、例えば、90質量%以下、88質量%以下、85質量%以下、82質量%以下、80質量%以下、78質量%以下、又は75質量%以下が例示される。
【0056】
本発明を制限するものでないが、これらの観点から、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤が造粒原料に由来するキサンタンガム及び/又はデンプン類を含有する場合、増粘多糖類含有製剤における造粒原料に由来するこれらの増粘多糖類(キサンタンガム及び/又はデンプン類)の含量(総量)は、例えば、好ましくは5~90質量%が挙げられ、より好ましくは8~88質量%、更に好ましくは10~85質量%、更により好ましくは12~82質量%、特に好ましくは15~80質量%、更に特に好ましくは18~78質量%、殊更に好ましくは20~78質量%、殊更により好ましくは20~75質量%、殊更に特に好ましくは25~75質量%である。
【0057】
また、本発明における増粘多糖類含有製剤は、賦形剤を含有することが好ましい。本発明の増粘多糖類含有製剤の製造方法において、賦形剤を添加する時期は特に限定されず、例えば、増粘多糖類を造粒する際の造粒原料の一成分として賦形剤を含有させても良く、また、造粒後の増粘多糖類と賦形剤を混合し、増粘多糖類含有製剤を製造しても良い。
【0058】
賦形剤としては、例えば、デンプン分解物(例えば、デキストリン、粉飴等)、糖類(例えば、単糖(例えば、グルコース、フルクトース等)、二糖(例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース等)、オリゴ糖(例えば、セロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖等)、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール等)、還元糖化物等)、食物繊維(例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グァーガム酵素分解物等)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。賦形剤を用いるときの、増粘多糖類含有製剤における賦形剤の含量は特に限定されないが、例えば、9~90質量%、10~90質量%が挙げられ、好ましくは15~85質量%、より好ましくは18~80質量%、更に好ましくは20~80質量%、特に好ましくは20~75質量%、特により好ましくは25~78質量%、更に好ましくは25~70質量%である。
【0059】
また、本発明を制限するものではないが、本発明では造粒原料にプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、アルギン酸類、及びDE1以上50以下のデンプン分解物からなる群から選択される1種以上が含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。造粒原料にプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含む場合、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤における、造粒原料に由来するプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上の含量(総量)は、0.1~80質量%、好ましくは0.1~70質量%、より好ましくは0.1~65質量%、更に好ましくは0.2~65質量%、更により好ましくは0.3~60質量%、特に好ましくは0.3~55質量%が例示される。造粒原料にDE1以上50以下のデンプン分解物を含む場合、造粒原料に由来するDE1以上50以下のデンプン分解物の含量は適宜決定すればよく、本発明の効果が得られる限り制限されない。
【0060】
本発明において、増粘多糖類含有製剤の液体への分散性向上の観点からは、増粘多糖類含有製剤における、バインダー液に由来するプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、アルギン酸類、及びDE1以上50以下のデンプン分解物の配合割合が、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上(総量)1質量部に対して、DE1以上50以下のデンプン分解物(総量)0.03~40質量部であることが好ましく、0.05~35質量部の割合であることがより好ましく、0.1~32質量部の割合であることが更に好ましく、0.12~30質量部の割合であることが更により好ましく、0.15~28質量部の割合であることが特に好ましく、0.15~25質量部の割合であることが特により好ましい。また、本発明において限定されないが、バインダー液に由来するプルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、アルギン酸類、及びDE1以上50以下のデンプン分解物の配合割合は、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上(総量)1質量部に対して、DE1以上50以下のデンプン分解物(総量)が、例えば0.05~20質量部、0.1~15質量部、0.12~10質量部、0.15~8質量部、0.15~6量部等であってもよい。
【0061】
その他、本発明で製造する増粘多糖類含有製剤には、更なる分散性の向上を目的として、金属塩、乳化剤等を含有させることも可能である。金属塩、乳化剤等を添加する時期も特に限定されず、例えば、増粘多糖類を造粒する際の造粒原料の一成分として金属塩及び/又は乳化剤等を含有させても良く、また、造粒後の増粘多糖類と金属塩及び/又は乳化剤等を混合し、増粘多糖類含有製剤を製造しても良い。
【0062】
金属塩の種類は特に限定されないが、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩等が挙げられ、具体的には、これらの塩化物、水酸化物、乳酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、リンゴ酸塩などが挙げられる。なお、本発明では、飲食品又は経口医薬品への使用が許可されている金属塩を用いることが好ましい。例えば、このような金属塩としては、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、乳酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム等が挙げられる。好ましい金属塩は、塩化カルシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム及びグルコン酸ナトリウムからなる群から選択される1種以上である。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0063】
同様に、乳化剤の種類も特に限定されないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、有機酸モノグリセリド等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、キラヤ抽出物、サポニン、ポリソルベート(例、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80)等が挙げられる。これらも1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0064】
増粘多糖類含有製剤における金属塩や乳化剤の含量は特に限定されないが、金属塩及び/または乳化剤を含有する場合、例えば、増粘多糖類含有製剤中、金属塩であれば0.5~10質量%が挙げられ、好ましくは0.8~8質量%、より好ましくは0.8~7質量%、更に好ましくは1~6質量%、特に好ましくは1~5.5質量%、特により好ましくは1.5~5.5質量%である。例えば、増粘多糖類含有製剤中、乳化剤であれば0.1~10質量%が挙げられ、好ましくは0.5~8質量%が挙げられる。また、本発明で製造する増粘多糖類含有製剤には、栄養成分や機能性成分等を含有させることも可能である。栄養成分又は機能性成分としては、例えば、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ペプチド、蛋白質、コラーゲン等が挙げられる。これらについても添加する時期は特に限定されず、例えば、増粘多糖類を造粒する際の造粒原料の一成分として栄養成分、機能性成分等を含有させても良く、また、造粒後の増粘多糖類と栄養成分、機能性成分等を混合し、増粘多糖類含有製剤を製造しても良い。
【0065】
本発明はこの限りにおいて制限されないが、以下に本発明の一例を記載する。
【0066】
例えば、本発明の増粘多糖類含有製剤が、増粘多糖類、賦形剤及び金属塩を含む造粒原料を用いて一段階造粒により製造される場合、造粒原料中の増粘多糖類含量は5~90質量%、好ましくは10~85質量%、より好ましくは10~80質量%、更に好ましくは15~80質量%、更により好ましくは18~80質量%、特に好ましくは18~75質量%、殊更に好ましくは20~75質量%、殊更により好ましくは25~75質量%とすることが例示される。なお、ここで説明する「造粒原料中の増粘多糖類」の含量は、デキストリンを含まない値である。該造粒原料中の賦形剤含量は9~90質量%、10~90質量%、好ましくは15~85質量%、より好ましくは18~80質量%、更に好ましくは20~80質量%、更により好ましくは25~78質量%、特に好ましくは25~70質量%とすることが例示される。該造粒原料中の金属塩含量は0.5~10質量%、好ましくは0.8~8質量%、より好ましくは0.8~7質量%、更に好ましくは1~6質量%、更により好ましくは1~5.5質量%とすることが例示される。
【0067】
このように、本発明の増粘多糖類含有製剤は、前述のように造粒原料を造粒して得た造粒物そのものであってもよく、前述のように造粒原料を造粒して得た造粒物と必要に応じて金属塩等とを混合等したものであってもよい。
【0068】
本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、水などの液体への分散性に優れる。このため、機械による高速撹拌だけでなく、手による撹拌などの弱い撹拌条件下(例えば、低速撹拌条件)で使用される増粘多糖類含有製剤としても、好適に用いられ得るという利点を有する。例えば、本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、回転数が400rpm以下の撹拌、更には180~300rpmの撹拌条件下で使用される増粘多糖類含有製剤として、好適に用いられ得る。この観点から、本発明の増粘多糖類含有製剤として好ましくは、例えば、2gの増粘多糖類含有製剤を100gの水(20℃)に分散させた際、回転数が400rpm以下の撹拌、更には180~300rpmの撹拌条件下で使用できる増粘多糖類含有製剤であるといえる。
【0069】
また、本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、このように分散性に優れるため、水などの液体に添加することで、増粘多糖類が本来有する粘度付与機能又はゲル化機能を迅速に発揮できるという利点を有する。特に、増粘多糖類として、常温付近(例えば、20℃)の水に溶解可能な増粘多糖類、例えば、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ウェランガム、ペクチン、アルギン酸類、及びデンプン類からなる群から選択される1種以上を用いた場合には、通常、これらの増粘多糖類はダマが発生しやすいが、本発明の製造方法によれば、これらの増粘多糖類が水などの液体に容易に溶解し、該液体に粘度を迅速に付与することができる。
【0070】
本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、各種分野で広く用いることができる。例えば、飲食品分野、医薬品分野(例えば、医薬品、医薬部外品等)、化粧品分野(例えば、メーキャップ化粧品、基礎化粧品、香水、シャンプー、リンス、歯磨き、石鹸、入浴剤等)、家庭用品分野(例えば、洗剤等)、農業分野(例えば、農薬等)、工業分野(例えば、塗料等)、土木分野(例えば、セメント、コンクリート、土壌浄化剤等)等の分野が挙げられる。これらの分野において、好ましくは、飲食品分野である。対象となる飲食品は特に限定されず、水、茶飲料、清涼飲料、果汁入り飲料、コーヒー飲料、乳飲料、栄養バランス飲料、アイソトニック飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、粉末飲料、アルコール飲料、スープ、味噌汁、シチュー、カレー、粥、濃厚流動食、経腸栄養剤、ミキサー食、キザミ食、ムース食、ペースト食、調味料、デザート、糖菓、冷菓、ジャム、畜肉加工食品、農産加工食品、魚肉加工食品、麺類、惣菜などの各種飲食品が挙げられる。
【0071】
また、本発明の製造方法により製造された増粘多糖類含有製剤は、水分含量が50質量%以上である液体(望ましくは液体の飲食品)に適用されることが好ましく、水分含量が60質量%以上である液体(望ましくは液体の飲食品)に適用されることがより好ましい。これにより、増粘多糖類含有製剤に含まれる増粘多糖類が十分に膨潤、水和し、増粘多糖類が本来有する機能(例えば、粘度付与機能又はゲル化機能)を発揮することができるためである。なお、増粘又はゲル化したい対象物が、上記水分含量を下回る場合は、適宜、水などの液体を追加した後に、増粘多糖類含有製剤を適用することができる。
【0072】
また、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤の形態も制限されず、好ましくは粉末、顆粒、錠剤等の固形形態が例示され、使用目的に応じて適宜決定すればよい。該増粘多糖類含有製剤として、より良い使い勝手の観点から、好ましくは粉末形態、顆粒形態、より好ましくは顆粒形態が例示される。
【0073】
また、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤は、水などの液体に添加することで、増粘多糖類が本来有する粘度付与機能を迅速に発揮できるため、対象組成物の粘度を増加させる増粘化剤として好適である。また、手撹拌のような弱い撹拌条件によっても、対象組成物に粘度を迅速に付与できる観点からは、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食用にとろみを付与させる、咀嚼・嚥下機能低下者向けの増粘化剤(例えば、とろみ調整食品等)として有用である。また、同様に、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤は、水などの液体に添加することで、増粘多糖類が本来有するゲル化機能を迅速に発揮できるため、ゲル化剤として好適である。
【0074】
本発明はまた、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法に関する。本方法は、バインダー液を用いて増粘多糖類を造粒する場合において、バインダー液の成分として、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を用いることで実施できる。すなわち、本発明は、バインダー液を用いて増粘多糖類を造粒する工程を有する、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法であり、前記バインダー液の成分として、プルラン、グァーガム、グァーガム分解物、アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、ペクチン、及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上、並びにDE1以上50以下のデンプン分解物を用いることを特徴とする、増粘多糖類含有製剤の液体への分散性を向上させる方法を提供する。増粘多糖類を、前記バインダー液を用いて造粒する方法は、上述の方法と同様に実施することができる。また、本方法に使用可能な成分、その含量、手順等はいずれも上述の方法と同様に実施することができる。本発明によれば、このように増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上できることから、増粘多糖類が本来有する粘度付与機能やゲル化の機能をより良好に発揮させることができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
実施例における試験は以下の方法で行った。
<増粘多糖類含有製剤の分散性試験>
(1)200mLビーカーに100gのイオン交換水(20℃)を入れ、そこへ、調製した増粘多糖類含有製剤を2g添加し、3秒間、5秒間又は10秒間静置した。
(2)静置後、スパーテルを用いて30秒間撹拌した。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行った(240rpmの手撹拌)。
(3)30秒間撹拌後のダマの様子を目視で評価した。ダマの様子は以下の基準に従って評価した。
【0077】
+++:大きいダマ(目安:直径5mm以上)及び/又は小さいダマが極多数ある(目安:30個以上)。
++:大きいダマ(目安:直径5mm以上)が僅かにある(目安:10個未満)、又は大きいダマがないが、小さいダマ(目安:直径5mm未満)が多数ある(目安:20個以上)。
+:小さいダマ(目安:直径5mm未満)がある(目安:10個以上20個未満)。
±:小さいダマ(目安:直径5mm未満)が僅かに(目安:5個以上10個未満)ある。
-:小さいダマ(直径5mm未満)が極僅かに(目安:5個未満)ある、又はダマがない。
【0078】
<増粘多糖類含有製剤の粘度発現性試験>
(1)200mLビーカーに100gの水道水(20℃)、牛乳(20℃)又は茶(市販のペットボトル茶、20℃)を入れ、スパーテルを用いて撹拌しながら、調製した増粘多糖類含有製剤を2g添加し、30秒間撹拌した。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行った(240rpmの手撹拌)。
(2)撹拌後の溶液を、スクリュー瓶に移しかえて静置し、粘度の経時変化を測定した。粘度の経時変化は、水道水又は牛乳へ増粘多糖類含有製剤を添加してから1分後を0分として、0分、3分、5分、10分、15分、30分及び60分後の粘度を測定し、又は茶へ増粘多糖類含有製剤を添加してから1分後を0分として、0分、3分、5分、10分後の粘度を測定した。粘度は、このようにして得た水道水、牛乳又は茶と増粘多糖類含有製剤との混合物(20℃)において、BL型回転粘度計(型番TVB-10M、東機産業(株)製)を用いて、12rpmで1分間回転して測定した。
【0079】
実験例1 増粘多糖類含有製剤の調製
表1に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0080】
(バインダー液の調製)
表1中に示すとおり、実施例1-1~1-6では、プルラン及びDE1以上50以下のデンプン分解物を、バインダー液の成分として用いた。具体的には、実施例1-1~1-6では、イオン交換水(20℃)にプルラン及びDE1以上50以下のデンプン分解物を添加、及び溶解してバインダー液を調製した。なお、実施例1-1~1-6、及び比較例1の増粘多糖類含有製剤の調製時には、以下に示すバインダー液を用いた。
実施例1-1:プルランを3質量%及びDE4のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例1-2:プルランを3質量%及びDE8のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例1-3:プルランを3質量%及びDE11のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例1-4:プルランを3質量%及びDE18のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例1-5:プルランを3質量%及びDE22のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例1-6:プルランを3質量%及びDE25のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
比較例1:プルランを3質量%含有する水溶液
【0081】
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例1-1~1-6の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム84g及びデキストリン205.5gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)289.5gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0082】
なお、本実験例においてデキストリンは賦形剤として用いた。以下の全ての実験例についても同様である。
【0083】
一方、比較例1の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム84g及びデキストリン211.5gの造粒混合物295.5gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0084】
【0085】
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。分散性試験の結果を表2に、及び粘度発現性試験の結果を表3に示す。
【0086】
【0087】
【0088】
本実施例の分散性試験は、水に増粘多糖類含有製剤を添加後に3秒間静置し、更に、手撹拌という弱い撹拌条件で撹拌することにより実施されるため、ダマが非常に発生しやすい苛酷な試験である。そのため、比較例1の増粘多糖類含有製剤は、小さいダマが多数(20個以上)発生した(
図2)。
【0089】
以上の結果より、プルランのみを含有するバインダー液を用いて造粒された増粘多糖類含有製剤(比較例1)は、水に添加したときのダマの発生が十分に抑制されていないことが判明した。
【0090】
一方、プルラン及びDE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて造粒された増粘多糖類含有製剤(実施例1-1~1-6)は、水に添加したときのダマの発生が顕著に抑制されており、その分散性試験結果は、ダマが発生しないか、又はダマが発生した場合であっても、そのダマの大きさは小さく、また、数が極僅かであった。
【0091】
具体的には、実施例1-1、1-2、1-5の増粘多糖類含有製剤を用いた場合はダマが0個であり(
図1)、実施例1-3、1-4、1-6の増粘多糖類含有製剤を用いた場合は2mm未満のダマが1個であった。
【0092】
また、実施例1-1~1-6の増粘多糖類含有製剤は、表3に示すように、良好な粘度発現性を有していた。これらの実施例によれば、増粘多糖類含有製剤の分散性が向上し、増粘多糖類が本来有する機能(粘度付与機能、ゲル化機能)の発揮に優れる(増粘多糖類が本来有する機能を効果的に発揮する)、増粘多糖類含有製剤を製造できたことが確認された。
【0093】
実験例2 増粘多糖類含有製剤の調製
表4に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0094】
(バインダー液の調製)
表4中に示すとおり、実施例2では、プルラン及びDE22のデンプン分解物を、バインダー液の成分として用いた。具体的には、実施例2では、イオン交換水(20℃)にプルラン及びDE22のデンプン分解物を添加、及び溶解してバインダー液を調製した。なお、実施例2及び比較例2-1~2-3の増粘多糖類含有製剤の調製時には、以下に示すバインダー液を用いた。
実施例2:プルランを4質量%及びDE22のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
比較例2-1:プルランを4質量%含有する水溶液
比較例2-2:プルランを8質量%含有する水溶液
比較例2-3:DE22のデンプン分解物を8質量%含有する水溶液
【0095】
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例2及び比較例2-2~2-3の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム99g及びデキストリン189gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)288gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0096】
一方、比較例2-1の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム99g及びデキストリン195gの造粒混合物294gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0097】
【0098】
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。分散性試験の結果を表5に、及び粘度発現性試験の結果を表6及び表7に示す。
【0099】
【0100】
【0101】
表5に示すように、プルランのみを4質量%含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(比較例2-1)は、添加後3秒間静置した場合は小さいダマが多数(10個以上)発生し、添加後5秒間静置した場合は小さいダマが多数(20個以上)発生した。
また、プルランのみを8質量%含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(比較例2-2)は、添加後3秒間静置した場合は目立つダマが認められないものの、粒子が膨潤していない状態で残存し、添加後5秒間静置した場合は小さいダマが5個発生した。
また、DE22のデンプン分解物のみを8質量%含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(比較例2-3)は、添加後3秒間静置した場合は小さいダマが多数(20個以上)発生し、添加後5秒間静置した場合は大きいダマと小さいダマが極多数(30個以上)発生した。
以上の結果より、比較例2-1~比較例2-3は、水に添加したときのダマの発生が十分に抑制されていないことが判明した。
【0102】
一方、表5に示すように、プルラン及びDE22のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(実施例2)は、添加後3秒間静置した場合はダマが発生せず、添加後5秒間静置した場合はダマが発生したものの、その大きさは2mm未満であり、数は僅か2個であった。
以上の結果より、実施例2は、水に添加したときのダマの発生が顕著に抑制されていることが判明した。
【0103】
また、比較例2-2は比較的ダマの発生は少なかったが、前述の通り、添加後3秒間静置では粒子が膨潤していない状態で存在し、表6及び表7に示すように、実施例2と比較して、水道水及び牛乳に対する粘度発現性が劣っており、特に牛乳に対する粘度発現性が顕著に劣っていた。一方、実施例2は、比較例2-2と比較して、水道水及び牛乳に対する粘度発現性が優れており、特に牛乳に対する粘度発現性が顕著に優れていた。
【0104】
実験例3 増粘多糖類含有製剤の調製
表8に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0105】
(バインダー液の調製)
表8中に示すとおり、実施例3では、プルラン及びDE30のデンプン分解物を、バインダー液の成分として用いた。具体的には、実施例3では、イオン交換水(20℃)にプルラン及びDE30のデンプン分解物を添加、及び溶解してバインダー液を調製した。なお、実施例3及び比較例3の増粘多糖類含有製剤の調製時には、以下に示すバインダー液を用いた。
実施例3:プルランを4質量%及びDE30のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
比較例3:プルランを4質量%及びDE100の含水結晶ブドウ糖を4質量%含有する水溶液
【0106】
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例3及び比較例3の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム99g及びデキストリン189gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)288gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0107】
【0108】
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験を行った。分散性試験の結果を表9に示す。
【0109】
【0110】
表9に示すように、プルラン及びDE100の含水結晶ブドウ糖を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(比較例3)は、添加後3秒間静置した場合は小さいダマが多数(15個以上)発生し、添加後5秒間静置した場合は小さいダマが多数(30個以上)発生した。
以上の結果より、比較例3は、水に添加したときのダマの発生が十分に抑制されていないことが判明した。
【0111】
一方、表9に示すように、プルラン及びDE30のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(実施例3)は、添加後3秒間静置した場合はダマが発生せず、添加後5秒間静置した場合はダマが発生したものの、その大きさは2mm未満であり、数は僅か1個であった。
以上の結果より、実施例3は、水に添加したときのダマの発生が顕著に抑制されていることが判明した。
【0112】
実験例4 増粘多糖類含有製剤の調製
表10に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0113】
(バインダー液の調製)
表10中に示すとおり、実施例4-1~4-3では、プルラン及びDE1以上50以下のデンプン分解物を、バインダー液の成分として用いた。具体的には、実施例4-1~4-3では、イオン交換水(20℃)にプルラン及びDE1以上50以下のデンプン分解物を添加、及び溶解してバインダー液を調製した。なお、実施例4-1~4-3及び比較例4の増粘多糖類含有製剤の調製時には、以下に示すバインダー液を用いた。
実施例4-1:プルランを4質量%及びDE22のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例4-2:プルランを4質量%及びDE22のデンプン分解物を6質量%含有する水溶液
実施例4-3:プルランを4質量%及びDE2~5のデンプン分解物を6質量%含有する水溶液
比較例3:プルランを4質量%含有する水溶液
【0114】
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例4-1の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム60g、α化デンプン120g、及びデキストリン108gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)288gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例4-2及び4-3の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム60g、α化デンプン180g、及びデキストリン45gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)285gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0115】
一方、比較例4の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム60g、α化デンプン180g、及びデキストリン54gの造粒混合物294gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0116】
【0117】
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験を行った。分散性試験の結果を表11に示す。
【0118】
【0119】
表11に示すように、プルランのみを4質量%含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム及びα化デンプン)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(比較例4)は、添加後3秒間静置すると小さいダマが多数(10個以上)発生した。
以上の結果より、比較例4は、水に添加したときのダマの発生が十分に抑制されていないことが判明した。
【0120】
一方、表11に示すように、プルラン及びDE1以上50以下のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム及びα化デンプン)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(実施例4-1~4-3)は、添加後3秒間静置してもダマが発生しなかった。
以上の結果より、実施例4-1~4-3は、水に添加したときのダマの発生が顕著に抑制されていることが判明した。このように、実施例4-1~4-3ではダマの発生が抑制されていることから、増粘多糖類が本来有する機能(粘度付与機能、ゲル化機能)の発揮に優れる(増粘多糖類が本来有する機能を効果的に発揮する)、増粘多糖類含有製剤を製造できたことが確認された。
【0121】
実験例5 増粘多糖類含有製剤の調製
表12に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0122】
(バインダー液の調製)
表12中に示すとおり、プルラン及びDE8のデンプン分解物を、バインダー液の成分として用いた。具体的には、イオン交換水(20℃)にプルラン及びDE8のデンプン分解物を添加、及び溶解してバインダー液を調製した。なお、実施例5-1~5-4の増粘多糖類含有製剤の調製時には、以下に示すバインダー液を用いた。
実施例5-1:プルランを2質量%及びDE8のデンプン分解物を12質量%含有する水溶液
実施例5-2:プルランを4質量%及びDE8のデンプン分解物を8質量%含有する水溶液
実施例5-3:プルランを6質量%及びDE8のデンプン分解物を3質量%含有する水溶液
実施例5-4:プルランを8質量%及びDE8のデンプン分解物を1.6質量%含有する水溶液
【0123】
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例5-1の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム99g、及びデキストリン180gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)279gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例5-2の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム108g、及びデキストリン174gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)282gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例5-3の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム120g、及びデキストリン166.5gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)286.5gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例5-4の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム120g、及びデキストリン165.6gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)285.6gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0124】
【0125】
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験を行った。分散性試験の結果を表13に示す。
【0126】
【0127】
表13に示すように、プルラン及びDE8のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(実施例5-1~5-4)は、添加後3秒間静置してもダマが発生しなかった。
以上の結果より、実施例5-1~5-4は、水に添加したときのダマの発生が顕著に抑制されていることが判明した。
【0128】
実験例6 増粘多糖類含有製剤の調製
表14に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0129】
(バインダー液の調製)
表14中に示すとおり、実施例6-1及び6-2では、プルラン及びDE8のデンプン分解物を、バインダー液の成分として用いた。具体的には、実施例6-1及び6-2では、イオン交換水(20℃)にプルラン及びDE8のデンプン分解物を添加、及び溶解してバインダー液を調製した。なお、実施例6-1~6-2及び比較例6-1~6-2の増粘多糖類含有製剤の調製時には、以下に示すバインダー液を用いた。
実施例6-1:プルランを4質量%及びDE8のデンプン分解物を8質量%含有する水溶液
実施例6-2:プルランを5質量%及びDE8のデンプン分解物を6質量%含有する水溶液
比較例6-1~6-2:イオン交換水
【0130】
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例6-1の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のウェランガム90g、及びデキストリン192gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)282gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例6-2の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム90g、λ-カラギナン9g、及びデキストリン184.5gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)283.5gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0131】
一方、比較例6-1の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のウェランガム90g、及びデキストリン210gの造粒混合物300gに対して、バインダー液としてイオン交換水150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
比較例6-2の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム90g、λ-カラギナン9g、及びデキストリン201gの造粒混合物300gに対して、バインダー液としてイオン交換水150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0132】
【0133】
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験を行った。分散性試験の結果を表15及び16に示す。
【0134】
【0135】
【0136】
表15及び16に示すように、バインダー液としてイオン交換水を用いて増粘多糖類(ウェランガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(比較例6-1)は、添加後10秒間静置すると小さいダマが多数(15個以上)発生した。また、バインダー液としてイオン交換水を用いて増粘多糖類(キサンタンガム及びλ-カラギナン)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(比較例6-2)は、添加後3秒間静置すると小さいダマが多数(25個以上、
図3)発生した。
以上の結果より、比較例6-1~6-2は、水に添加したときのダマの発生が十分に抑制されていないことが判明した。
【0137】
一方、表15及び16に示すように、プルラン及びDE8のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(ウェランガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(実施例6-1)は、添加後10秒間静置してもダマが発生しなかった。また、プルラン及びDE8のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム及びλ-カラギナン)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(実施例6-2)は、添加後3秒間静置してもダマが発生しなかった(
図3)。
以上の結果より、実施例6-1~6-2は、水に添加したときのダマの発生が顕著に抑制されていることが判明した。
【0138】
実験例7 増粘多糖類含有製剤の調製
表17に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0139】
(バインダー液の調製)
表17中に示すとおり、実施例7-1~7-4では、プルラン、グァーガム、アラビアガム、又は大豆多糖類、及びDE22のデンプン分解物を、バインダー液の成分として用いた。具体的には、実施例7-1~7-4では、イオン交換水(20℃)にプルラン、グァーガム、アラビアガム、又は大豆多糖類、及びDE22のデンプン分解物を添加、及び溶解してバインダー液を調製した。なお、実施例7-1~7-4及び比較例7-1~7-2の増粘多糖類含有製剤の調製時には、以下に示すバインダー液を用いた。
実施例7-1:プルランを5質量%及びDE22のデンプン分解物を5質量%含有する水溶液
実施例7-2:グァーガムを0.2質量%及びDE22のデンプン分解物を5質量%含有する水溶液
実施例7-3:アラビアガムを5質量%及びDE22のデンプン分解物を5質量%含有する水溶液
実施例7-4:大豆多糖類を5質量%及びDE22のデンプン分解物を5質量%含有する水溶液
比較例7-1:λ-カラギナンを0.4質量%及びDE22のデンプン分解物を5質量%含有する水溶液
比較例7-2:DE22のデンプン分解物を5質量%含有する水溶液
【0140】
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例7-1、7-3、及び7-4の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム90g、及びデキストリン195gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)285gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例7-2の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム90g、及びデキストリン202.2gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)292.2gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0141】
一方、比較例7-1の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム90g、及びデキストリン201.9gの造粒混合物291.9gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
比較例7-2の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム90g、及びデキストリン202.5gの造粒混合物292.5gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0142】
【0143】
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験を行った。分散性試験の結果を表18に示す。
【0144】
【0145】
表18に示すように、λ-カラギナン及びDE22のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(比較例7-1)は、添加後3秒間静置すると小さいダマが多数(10個以上、
図4)発生した。また、DE22のデンプン分解物のみを含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(比較例7-2)は、添加後3秒間静置すると小さいダマが多数(20個以上、
図4)発生した。
以上の結果より、比較例7-1~7-2は、水に添加したときのダマの発生が十分に抑制されていないことが判明した。
【0146】
一方、表18に示すように、プルラン、グァーガム、アラビアガム、又は大豆多糖類、及びDE22のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(実施例7-1~7-4、
図4)は、添加後3秒間静置してもダマが発生しなかった。
以上の結果より、実施例7-1~7-4は、水に添加したときのダマの発生が顕著に抑制されていることが判明した。
【0147】
実験例8 増粘多糖類含有製剤の調製
表19に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0148】
(バインダー液の調製)
表19中に示すとおり、グァーガム、アラビアガム、又は大豆多糖類、及びDE2~5又は40のデンプン分解物を、バインダー液の成分として用いた。具体的には、イオン交換水(20℃)にグァーガム、アラビアガム、又は大豆多糖類、及びDE2~5又は40のデンプン分解物を添加、及び溶解してバインダー液を調製した。なお、実施例8-1~8-6の増粘多糖類含有製剤の調製時には、以下に示すバインダー液を用いた。
実施例8-1:グァーガムを0.2質量%及びDE2~5のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例8-2:グァーガムを0.2質量%及びDE40のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例8-3:アラビアガムを5質量%及びDE2~5のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例8-4:アラビアガムを5質量%及びDE40のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例8-5:大豆多糖類を5質量%及びDE2~5のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
実施例8-6:大豆多糖類を5質量%及びDE40のデンプン分解物を4質量%含有する水溶液
【0149】
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例8-1~8-2の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム90g、及びデキストリン203.7gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)293.7gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例8-3~8-6の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム90g、及びデキストリン196.5gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)286.5gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0150】
【0151】
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験を行った。分散性試験の結果を表20に示す。
【0152】
【0153】
表20に示すように、グァーガム、アラビアガム、又は大豆多糖類、及びDE2~5又はDE40のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(実施例8-1~8-6、
図5)は、添加後3秒間静置してもダマが発生しなかった。
以上の結果より、実施例8-1~8-6は、水に添加したときのダマの発生が顕著に抑制されていることが判明した。
【0154】
実験例9 増粘多糖類含有製剤の調製
表21に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0155】
(バインダー液の調製)
表21中に示すとおり、プルラン又はアラビアガム、及びDE22のデンプン分解物を、バインダー液の成分として用いた。具体的には、イオン交換水(20℃)にプルラン又はアラビアガム、及びDE22のデンプン分解物を添加、及び溶解してバインダー液を調製した。なお、実施例9-1及び9-2の増粘多糖類含有製剤の調製時には、以下に示すバインダー液を用いた。
実施例9-1:プルランを4質量%及びDE22のデンプン分解物を5質量%含有する水溶液
実施例9-2:アラビアガムを4質量%及びDE22のデンプン分解物を5質量%含有する水溶液
【0156】
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例9-1及び9-2の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム60g、及びデキストリン226.5gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)286.5gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
【0157】
【0158】
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。分散性試験の結果を表22に、粘度発現性試験の結果を表23示す。
【0159】
【0160】
【0161】
表22に示すように、プルラン、又はアラビアガム、及びDE22のデンプン分解物を含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された増粘多糖類含有製剤(実施例9-1、実施例9-2、
図6)は、添加後10秒間静置という極めて過酷な条件であっても、ダマが発生しないか、又はダマが発生した場合であっても、そのダマの大きさは小さく、また、数が4個であり、水に添加したときのダマの発生が顕著に抑制されていることが判明した。また、表23に示すように、実施例9-1及び実施例9-2の増粘多糖類含有製剤は良好な粘度発現性を有していた。
【0162】
これらの実施例によれば、増粘多糖類含有製剤の分散性が向上し、増粘多糖類が本来有する機能(粘度付与機能、ゲル化機能)の発揮に優れる(増粘多糖類が本来有する機能を効果的に発揮する)、増粘多糖類含有製剤を製造できたことが確認された。