(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】航空機用タイヤ管理システム、航空機用タイヤ管理装置、及び航空機用タイヤプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220929BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20220929BHJP
【FI】
G06Q10/08 320
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2019538007
(86)(22)【出願日】2018-07-24
(86)【国際出願番号】 JP2018027660
(87)【国際公開番号】W WO2019039171
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2017159141
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石山 誠
(72)【発明者】
【氏名】加唐 巧
(72)【発明者】
【氏名】堀田 大輔
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0232202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0123911(US,A1)
【文献】国際公開第2009/073945(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0128691(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用タイヤを生産するタイヤ生産機関と、前記航空機用タイヤとホイールとの着脱を行ったり、前記ホイールの点検及び補修を行ったりするMRO提供機関と、前記航空機用タイヤを航空機に取り付けて使用する航空機関とが利用する航空機用タイヤ管理システムにおいて、
前記タイヤ生産機関と、前記MRO提供機関と、前記航空機関とがネットワークを介して通信可能な管理装置と、
前記航空機用タイヤのタイヤ個体情報、及び前記ホイールのホイール個体情報を取得する取得装置と、
を備え、
前記タイヤ個体情報は、少なくとも前記航空機用タイヤに設けられたタイヤ識別情報と、
前記取得装置によって前記タイヤ識別情報が取得された場所の位置情報及び前記タイヤ識別情報が取得された際の日時情報
とを含み、
前記ホイール個体情報は、少なくとも前記ホイールに設けられたホイール識別情報と、
前記取得装置によって前記ホイール識別情報が取得された場所の位置情報及び前記ホイール識別情報が取得された際の日時情報
とを含み、
前記取得装置は、
前記タイヤ生産機関において取得した前記タイヤ個体情報を前記管理装置に送信し、
前記MRO提供機関において取得した前記ホイールに取り付けられた前記航空機用タイヤに係る前記タイヤ個体情報及び前記ホイール個体情報を前記管理装置に送信し、
前記航空機関において取得した前記ホイール個体情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、
前記取得装置から取得した情報を用いて、前記ホイールに取り付けられた前記航空機用タイヤに係る前記タイヤ個体情報と、前記航空機用タイヤに取り付けられた前記ホイールに係る前記ホイール個体情報とを紐付け、
前記取得装置から取得した情報を用いて、少なくとも前記タイヤ識別情報と、前記位置情報と、前記日時情報とを含むタイヤ管理情報を出力する
ことを特徴とする航空機用タイヤ管理システム。
【請求項2】
前記取得装置は、
前記タイヤ生産機関から前記MRO提供機関に前記航空機用タイヤが入荷される際と、前記MRO提供機関から前記航空機関に前記航空機用タイヤが出荷される際と、前記MRO提供機関から前記航空機関に前記航空機用タイヤが入荷される際と、前記航空機関から前記MRO提供機関に前記航空機用タイヤが出荷される際に取得した前記タイヤ個体情報または前記ホイール個体情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、
前記取得装置から取得した情報を用いて、前記MRO提供機関または前記航空機関において、前記航空機用タイヤが入荷されてから出荷されるまでの期間が、所定期間を超えたか否かを判断し、
前記管理装置は、前記所定期間を超えたと判断した場合に、前記所定期間を超えたことを通知することを特徴とする請求項1に記載の航空機用タイヤ管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記ホイールに取り付け可能な前記航空機用タイヤに係る前記タイヤ識別情報と、前記航空機用タイヤに取り付け可能な前記ホイールに係る前記ホイール識別情報との組合せを通知することを特徴とする請求項1または2に記載の航空機用タイヤ管理システム。
【請求項4】
航空機用タイヤを生産するタイヤ生産機関と、前記航空機用タイヤとホイールとの着脱を行ったり、前記ホイールの点検及び補修を行ったりするMRO提供機関と、前記航空機用タイヤを航空機に取り付けて使用する航空機関とが利用する航空機用タイヤ管理装置において、
前記タイヤ生産機関と、前記MRO提供機関と、前記航空機関とネットワークを介して通信する通信部と、
少なくとも前記航空機用タイヤに設けられたタイヤ識別情報と、
取得装置によって前記タイヤ識別情報が取得された場所の位置情報及び前記タイヤ識別情報が取得された際の日時情報
とを含むタイヤ個体情報、及び少なくとも前記ホイールに設けられたホイール識別情報と、
前記取得装置によって前記ホイール識別情報が取得された場所の位置情報及び前記ホイール識別情報が取得された際の日時情報
とを含むホイール個体情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報を用いて、前記ホイールに取り付けられた前記航空機用タイヤに係る前記タイヤ個体情報と、前記航空機用タイヤに取り付けられた前記ホイールに係る前記ホイール個体情報とを紐付ける情報処理部と、
前記取得部が取得した情報を用いて、少なくとも前記タイヤ識別情報と、前記位置情報と、前記日時情報とを含むタイヤ管理情報を出力する出力部と
を備えることを特徴とする航空機用タイヤ管理装置。
【請求項5】
航空機用タイヤを生産するタイヤ生産機関と、前記航空機用タイヤとホイールとの着脱を行ったり、前記ホイールの点検及び補修を行ったりするMRO提供機関と、前記航空機用タイヤを航空機に取り付けて使用する航空機関とが利用する航空機用タイヤ管理プログラムにおいて、
コンピュータに、
前記タイヤ生産機関と、前記MRO提供機関と、前記航空機関とネットワークを介して通信するステップと、
少なくとも前記航空機用タイヤに設けられたタイヤ識別情報と、
取得装置によって前記タイヤ識別情報が取得された場所の位置情報及び前記タイヤ識別情報が取得された際の日時情報
とを含むタイヤ個体情報、及び少なくとも前記ホイールに設けられたホイール識別情報と、
前記取得装置によって前記ホイール識別情報が取得された場所の位置情報及び前記ホイール識別情報が取得された際の日時情報
とを含むホイール個体情報を取得するステップと、
前記ホイールに取り付けられた前記航空機用タイヤに係る前記タイヤ個体情報と、前記航空機用タイヤに取り付けられた前記ホイールに係る前記ホイール個体情報とを紐付けるステップと、
少なくとも前記タイヤ識別情報と、前記位置情報と、前記日時情報とを含むタイヤ管理情報を出力するステップと
を実行させるための航空機用タイヤ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用タイヤ管理システム、航空機用タイヤ管理装置、及び航空機用タイヤプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤの使用履歴を管理するシステムが知られている(特許文献1)。特許文献1に係る管理システムは、タイヤの識別情報、タイヤの装着位置、タイヤ交換時の走行距離などを用いて、タイヤの交換履歴を含む使用履歴を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る管理システムは、一般車両、トラック、バスなどのタイヤを管理することを想定しており、航空機用タイヤを管理することは想定していない。
【0005】
航空機用タイヤは、少なくともタイヤメーカ、MROサービスを提供する会社、航空会社の3社間に流通する(MRO:Maintenance Repair Overhaul)。タイヤメーカは、航空機用タイヤを生産する。MROサービスを提供する会社は、航空機用タイヤやホイールの補修、点検、整備関連などを行う会社である。例えば、MROサービスを提供する会社は、航空機用タイヤとホイールとの着脱を行う。航空会社は、航空機用タイヤを航空機に取り付けて使用する。航空機用タイヤ及びホイールには、それぞれ識別情報が設けられる。タイヤメーカは、航空機用タイヤの識別情報を用いて航空機用タイヤを管理しているが、MROサービスを提供する会社及び航空会社は、ホイールの識別情報を用いてホイールを管理している。このため、タイヤメーカは、ホイールの識別情報から航空機用タイヤを追跡しなければならず、航空機用タイヤの追跡に時間がかかっていた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、航空機用タイヤを効率よく追跡できる航空機用タイヤ管理システム、航空機用タイヤ管理装置、及び航空機用タイヤプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る航空機用タイヤ管理システムは、タイヤ生産機関と、MRO提供機関と、航空機関とがネットワークを介して通信可能な管理装置と、航空機用タイヤのタイヤ個体情報、及びホイールのホイール個体情報を取得する取得装置と、を備える。タイヤ個体情報は、少なくとも航空機用タイヤに設けられたタイヤ識別情報と、タイヤ識別情報が取得された場所の位置情報及びタイヤ識別情報が取得された際の日時情報を含み、ホイール個体情報は、少なくともホイールに設けられたホイール識別情報と、ホイール識別情報が取得された場所の位置情報及びホイール識別情報が取得された際の日時情報を含む。取得装置は、タイヤ生産機関において取得したタイヤ個体情報を管理装置に送信し、MRO提供機関において取得したホイールに取り付けられた航空機用タイヤに係るタイヤ個体情報及びホイール個体情報を管理装置に送信し、航空機関において取得したホイール個体情報を管理装置に送信する。管理装置は、取得装置から取得した情報を用いて、ホイールに取り付けられた航空機用タイヤに係るタイヤ個体情報と、航空機用タイヤに取り付けられたホイールに係るホイール個体情報とを紐付ける。管理装置は、少なくともタイヤ識別情報と、位置情報と、日時情報とを含むタイヤ管理情報を出力する。
【0008】
また、取得装置は、タイヤ生産機関からMRO提供機関に航空機用タイヤが入荷される際と、MRO提供機関から航空機関に航空機用タイヤが出荷される際と、MRO提供機関から航空機関に航空機用タイヤが入荷される際と、航空機関からMRO提供機関に航空機用タイヤが出荷される際に取得したタイヤ個体情報またはホイール個体情報を管理装置に送信する。管理装置は、取得装置から取得した情報を用いて、MRO提供機関または航空機関において、航空機用タイヤが入荷されてから出荷されるまでの期間が、所定期間を超えたか否かを判断し、管理装置は、所定期間を超えたと判断した場合に、所定期間を超えたことを通知する。
【0009】
また、管理装置は、ホイールに取り付け可能な航空機用タイヤに係るタイヤ識別情報と、航空機用タイヤに取り付け可能なホイールに係るホイール識別情報との組合せを通知する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、航空機用タイヤを容易に追跡できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤ管理システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤ管理システムの詳細構成図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤ管理システムの動作例を説明するシーケンス図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤ管理システムの動作例を説明するシーケンス図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤ管理システムの動作例を説明するシーケンス図である。
【
図3D】
図3Dは、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤ管理システムの動作例を説明するシーケンス図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るタイヤ管理情報である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る管理装置の警報画面である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るタイヤIDとホイールIDとの組合せを説明する図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤの使用日数を説明する図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤの使用日数を説明する図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る航空機用タイヤの使用日数を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0013】
(航空機用タイヤ管理システムの構成)
図1を参照して航空機用タイヤ管理システムの構成を説明する。
図1に示すように、航空機用タイヤ管理システムは、タイヤメーカ10と、MROサービスを提供する会社20と、航空会社30と、管理装置40とを含む。以下では、記載を簡略するため、MROサービスを提供する会社20を、MRO提供会社20とよぶ。
【0014】
タイヤメーカ10と、MRO提供会社20と、航空会社30とは、ネットワークを介して管理装置40と双方向通信を行う。管理装置40は、ネットワークを介して、タイヤメーカ10、MRO提供会社20、及び航空会社30から情報を取得する。ネットワークは、各種情報を送受信可能な通信網である。例えば、ネットワークは、電気通信事業者により設置された専用線、公衆交換電話網、衛星通信回線、移動体通信回線等の各種通信回線で構成される。管理装置40は、タイヤメーカ10、MRO提供会社20、航空会社30のそれぞれに設置されるが、これに限定されない。管理装置40は、タイヤメーカ10のみに設置されてもよい。
【0015】
タイヤメーカ10(タイヤ生産機関)は、航空機用タイヤ60を生産する。また、タイヤメーカ10の作業員90は、携帯端末50を用いて、航空機用タイヤ60に関する各種情報を取得する。例えば、作業員90は、携帯端末50を用いて航空機用タイヤ60の識別情報を取得する。識別情報とは、航空機用タイヤ60を識別するための情報であり、航空機用タイヤ60に設けられる。識別情報は、例えば、航空機用タイヤ60に刻印されたセリアル番号であるが、これに限定されない。識別情報は、航空機用タイヤ60に凹凸パターンでモールディングされた二次元模様でもよく、航空機用タイヤ60に貼り付けられたRFID(Radio Frequency Identifier)でもよく、航空機用タイヤ60に貼り付けられたバーコードでもよい。なお、航空機用タイヤ60の識別情報を、以下では単にタイヤIDと呼ぶ場合がある。
【0016】
MRO提供会社20(MRO提供機関)は、MROサービスを提供する会社であって、航空機用タイヤ60やホイール70の補修、点検、整備関連などを行う会社である(MRO:Maintenance Repair Overhaul)。例えば、MRO提供会社20は、航空機用タイヤ60とホイール70との着脱を行う。なお、以下では、ホイール70に取り付けられた航空機用タイヤ60のことを、ホイール付きタイヤ80と呼ぶことがある。MRO提供会社20の作業員91は、携帯端末51を用いて、航空機用タイヤ60やホイール70に関する各種情報を取得する。例えば、作業員91は、携帯端末51を用いてホイール70の識別情報を取得する。ホイール70の識別情報とは、タイヤIDと同様に、ホイール70を識別するための識別情報であり、ホイール70に設けられる。なお、ホイール70の識別情報を、以下では単にホイールIDと呼ぶ場合がある。なお、MRO提供会社20は、会社であることに限定されない。MRO提供会社20は、所定の組織でもよく、所定の機関でもよい。
【0017】
航空会社30(航空機関)は、ホイール付きタイヤ80を航空機に取り付けて使用する。航空会社30の作業員92は、ホイール付きタイヤ80のホイール70に関する各種情報を取得する。例えば、作業員92は、携帯端末52を用いてホイールIDを取得する。なお、航空会社30は、会社であることに限定されない。航空会社30は、所定の組織でもよく、所定の機関でもよい。
【0018】
携帯端末50、51、52はそれぞれ、管理装置40と通信可能であり、取得した情報を管理装置40に送信する。携帯端末50、51、52は、画像からセリアル番号を認識する機能(例えば、光学文字認識機能)を有する。また、携帯端末50、51、52は、二次元模様を読み取るリーダ、バーコードリーダ、RFID受信器などを備えてもよい。携帯端末50、51、52は、携帯可能な装置であり、例えば、スマートフォンである。また、携帯端末50、51、52は、タイヤIDやホイールIDを取得した際の日時情報を取得することができる。また、携帯端末50、51、52は、GPSなどを利用して、タイヤIDやホイールIDを取得した場所の位置情報を取得することができる。なお、携帯端末50、51、52は、これらの情報を取得できる機器であればよく、スマートフォンに限定されない。また、携帯端末50、51、52は、互いに異なる装置として説明するが、これに限定されない。携帯端末50、51、52は、同じ装置であってもよい。
【0019】
次に、
図2を参照して、航空機用タイヤ管理システムの詳細な構成を説明する。管理装置40は、例えばCPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。管理装置40は、通信部41と、情報処理部42と、記憶装置43と、ディスプレイ44とを備える。通信部41(取得部)は、ネットワークを介して、タイヤメーカ10、MRO提供会社20、及び航空会社30と通信する。情報処理部42は、タイヤメーカ10、MRO提供会社20、及び航空会社30から取得した各種情報を処理する。記憶装置43は、情報処理部42によって処理された情報を記憶する。ディスプレイ44は、各種情報を表示する。
【0020】
図2に示すように、タイヤメーカ10は、工場11と倉庫12を有する。タイヤメーカ10は、工場11で航空機用タイヤ60を生産し、倉庫12に航空機用タイヤ60を保管する。タイヤメーカ10は、MRO提供会社20の要求に応じて、倉庫12から航空機用タイヤ60を出荷する。
【0021】
MRO提供会社20は、航空会社30の要求に応じて、ホイール付きタイヤ80を出荷する。
航空会社30は、ホイール付きタイヤ80が摩耗するまでホイール付きタイヤ80を使用する。ホイール付きタイヤ80が摩耗した後、航空会社30は、ホイール付きタイヤ80をMRO提供会社20に返却する。
【0022】
摩耗したホイール付きタイヤ80を入荷したMRO提供会社20は、ホイール70から航空機用タイヤ60を取り外す。MRO提供会社20は、摩耗した航空機用タイヤ60をタイヤメーカ10(倉庫12)に返却する。
【0023】
タイヤメーカ10は、摩耗した航空機用タイヤ60をリトレッドする。リトレッドとは、摩耗したタイヤのトレッドゴムの上に新しいゴムを張り付け、再利用することである。
【0024】
(航空機用タイヤ管理システムの動作例)
次に、
図3A~
図3D、
図4~
図5を参照して、航空機用タイヤ管理システムの動作例について説明する。
【0025】
ステップS101において、タイヤメーカ10は、工場11にて航空機用タイヤ60を生産する。タイヤメーカ10は、生産した航空機用タイヤ60を倉庫12に出荷する。
【0026】
次にステップS103において、タイヤメーカ10の作業員90は、携帯端末50を用いて倉庫12に入荷された航空機用タイヤ60のタイヤIDを取得する。このとき、携帯端末50は、タイヤIDを取得した場所を取得する。ステップS103では、携帯端末50は、タイヤIDを取得した場所を、倉庫12として取得する。また、携帯端末50は、タイヤIDを取得した際の日時情報を取得する。
【0027】
次にステップS105において、タイヤメーカ10の作業員90は、携帯端末50を用いて取得したタイヤID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。
【0028】
次にステップS107において、管理装置40は、ステップS105で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報を受信する。また、管理装置40は、
図4に示すように、タイヤID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成し、作成したタイヤ管理情報をディスプレイ44に表示する。例えば、管理装置40は、
図4のNo.8に示すように、ステップS105で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。また、管理装置40は、ステップS105で送信されたタイヤIDは、倉庫12では1回目に送信されたタイヤIDであるため、備考欄に「工場から入荷」と表示することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60が工場11から入荷された状態であることを一目で把握することができる。
【0029】
次にステップS117において、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60をMRO提供会社20に出荷する際に、携帯端末50を用いてタイヤID、場所情報、日時情報を取得する。次にステップS119において、タイヤメーカ10の作業員90は、携帯端末50を用いて取得したタイヤID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。
【0030】
次にステップS121において、管理装置40は、ステップS119で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報を受信する。また、管理装置40は、
図4のNo.9に示すように、ステップS119で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。また、管理装置40は、ステップS119で送信されたタイヤIDは、倉庫12では2回目に送信されたタイヤIDであるため、備考欄に「MRO提供会社に出荷」と記憶することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60がMRO提供会社20に出荷される状態であることを一目で把握することができる。
【0031】
また、管理装置40は、ステップS109において、ステップS107で受信した日時から、次に同じタイヤIDを受信するまでの期間が、所定期間経過したか否かを判断する。この所定期間は、航空機用タイヤ60が倉庫12に保管される標準的な期間(以下、滞留期間ともいう)であり、例えば10日間である。もちろん、所定期間は、10日間に限定されない。
図4に示す例では、タイヤT101の倉庫12における滞留期間は、8日間である。よって、
図4に示すタイヤT101の倉庫12における滞留期間は、10日間を超えていないため(ステップS109でNo)、管理装置40は、警報を表示しない(ステップS115)。
【0032】
一方で、例えば、
図4に示すタイヤT101の倉庫12における滞留期間が、12日間であったと仮定する。この場合、管理装置40は、滞留期間が10日間を超えた時点(つまり、11日目)で、
図5に示すように、ディスプレイ44に警報を表示する(ステップS111)。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、滞留期間を超えた航空機用タイヤ60(タイヤT101)を一目で把握することができる。そして、管理装置40は、同じタイヤIDを12日目に受信した時点で(ステップS113でYes)、警報の表示を停止する。なお、警報は、ディスプレイ44に表示する方法に限定されない。例えば、管理装置40は、音声で警報を通知してもよい。
【0033】
次にステップS123において、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60をMRO提供会社20に出荷する。次にステップS125において、MRO提供会社20の作業員91は、航空機用タイヤ60を入荷する。
【0034】
次にステップS127において、MRO提供会社20の作業員91は、航空機用タイヤ60を入荷した際に、携帯端末51を用いて航空機用タイヤ60のタイヤID、場所情報、日時情報を取得する。次にステップS129について、MRO提供会社20の作業員91は、携帯端末51を用いて取得したタイヤID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。
【0035】
次にステップS131において、管理装置40は、ステップS129で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報を受信する。また、管理装置40は、
図4のNo.10に示すように、ステップS129で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。また、管理装置40は、ステップS129で送信されたタイヤIDは、MRO提供会社20では1回目に送信されたタイヤIDであるため、備考欄に「倉庫から入荷」と表示することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60がMRO提供会社20に入荷された状態であることを一目で把握することができる。
【0036】
次にステップS133において、MRO提供会社20の作業員91は、ホイール70に航空機用タイヤ60を取り付ける。
【0037】
次にステップS135において、MRO提供会社20の作業員91は、携帯端末51を用いてタイヤIDとホイールIDを取得する。ホイール70に航空機用タイヤ60が取り付けられた場合、タイヤIDとホイールIDは、紐付けられて管理されることが好ましい。タイヤIDとホイールIDが紐付けられている場合、どちらか一方のIDを入力すれば、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60を容易に追跡できるからである。そこで、MRO提供会社20の作業員91は、例えば、携帯端末51を用いて、航空機用タイヤ60とホイール70がリム組みされた状態、かつ、タイヤIDとホイールIDが同時に映る画像を取得する。これにより、管理装置40は、1枚の画像に表示されるタイヤIDとホイールIDを紐付けることができる。なお、タイヤIDとホイールIDとを紐付ける方法はこれに限定されない。例えば、管理装置40は、タイヤIDを受信してからホイールIDを受信するまでの時間を計測し、この時間が所定時間より短い場合に、タイヤIDとホイールIDとを紐付けてもよい。また、MRO提供会社20の作業員91は、リム組みした際に、リム組みに係るタイヤIDとホイールIDと手入力して登録してもよい。
【0038】
次にステップS137において、MRO提供会社20の作業員91は、携帯端末51を用いて取得したタイヤID、ホイールID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。次にステップS139において、管理装置40は、ステップS137で送信されたタイヤID、ホイールID、場所情報、日時情報を受信する。
【0039】
次にステップS141において、管理装置40は、ステップS137で送信されたタイヤIDとホイールIDとを紐付ける。また、管理装置40は、
図4のNo.11に示すように、ステップS137で送信されたタイヤID、ホイールID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。
図4のNo.11に示すように、タイヤIDとホイールIDとが紐付けられているため、どちらか一方のIDを入力すれば、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60を容易に追跡できる。また、管理装置40は、ステップS137で送信されたタイヤIDは、MRO提供会社20では2回目に送信されたタイヤIDであるため、備考欄に「ホイールに取り付け」と表示することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60がホイール70に取り付けられた状態であることを一目で把握することができる。
【0040】
ステップS143~ステップS149の動作例は、ステップS109~ステップS115の動作例と同じため、詳細な説明を省略する。なお、MRO提供会社20における航空機用タイヤ60の滞留期間は、特に限定されないが、例えば5日間である。
【0041】
次にステップS151において、MRO提供会社20の作業員91は、ホイール付きタイヤ80を航空会社30に出荷する際に、携帯端末51を用いてホイールID、場所情報、日時情報を取得する。なお、MRO提供会社20の作業員91は、ホイールIDの代わりにタイヤIDを取得してもよく、両方のIDを取得してもよい。
【0042】
次にステップS153において、MRO提供会社20の作業員91は、携帯端末51を用いて取得したホイールID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。
【0043】
次にステップS155において、管理装置40は、ステップS153で送信されたホイールID、場所情報、日時情報を受信する。また、管理装置40は、
図4のNo.12に示すように、ステップS153で送信されたホイールID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。また、管理装置40は、ステップS153で送信された情報は、MRO提供会社20では3回目に送信された情報であるため、備考欄に「航空会社に出荷」と表示することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、ホイール付きタイヤ80が航空会社30に出荷される状態であることを一目で把握することができる。
【0044】
次にステップS157において、MRO提供会社20の作業員91は、ホイール付きタイヤ80を航空会社30に出荷する。次にステップS159において、航空会社30の作業員92は、ホイール付きタイヤ80を入荷する。
【0045】
次にステップS161において、航空会社30の作業員92は、ホイール付きタイヤ80を入荷した際に、携帯端末52を用いてホイール付きタイヤ80のホイールID、場所情報、日時情報を取得する。次にステップS163について、航空会社30の作業員92は、携帯端末52を用いて取得したホイールID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。
【0046】
次にステップS165において、管理装置40は、ステップS163で送信されたホイールID、場所情報、日時情報を受信する。また、管理装置40は、
図4のNo.13に示すように、ステップS163で送信されたホイールID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。なお、航空会社30は、ホイールIDを用いてホイール付きタイヤ80を管理しているため、航空会社30は、管理装置40にタイヤIDを送信しない。一方、タイヤIDとホイールIDが紐付けられているため、管理装置40は、
図4のNo.13に示すように、ホイールIDを受信すれば、ホイールIDに対応したタイヤIDを表示することができる。
【0047】
また、管理装置40は、ステップS163で送信されたホイールIDは、航空会社30では1回目に送信されたホイールIDであるため、備考欄に「MRO提供会社から入荷」と表示することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、ホイール付きタイヤ80が航空会社30に入荷された状態であることを一目で把握することができる。
【0048】
次にステップS175において、航空会社30の作業員92は、ホイール付きタイヤ80を航空機に取り付ける。
【0049】
ステップS167~ステップS173の動作例は、ステップS109~ステップS115の動作例と同じため、詳細な説明を省略する。なお、航空会社30におけるホイール付きタイヤ80の滞留期間は、特に限定されないが、例えば1ヶ月である。
【0050】
次にステップS177において、ホイール付きタイヤ80が摩耗したため、航空会社30の作業員92は、ホイール付きタイヤ80をMRO提供会社20に返却する。返却の際に、航空会社30の作業員92は、携帯端末52を用いてホイールID、場所情報、日時情報を取得する。次にステップS179において、航空会社30の作業員92は、携帯端末52を用いて取得したホイールID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。
【0051】
次にステップS181において、管理装置40は、ステップS179で送信されたホイールID、場所情報、日時情報を受信する。また、管理装置40は、
図4のNo.14に示すように、ステップS179で送信されたホイールID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。また、管理装置40は、ステップS179で送信されたホイールIDは、航空会社30では2回目に送信されたホイールIDであるため、備考欄に「MRO提供会社に返却」と表示することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、ホイール付きタイヤ80がMRO提供会社20に返却される状態であることを一目で把握することができる。
【0052】
次にステップS183において、航空会社30の作業員92は、ホイール付きタイヤ80をMRO提供会社20に返却する。次にステップS185において、MRO提供会社20の作業員91は、ホイール付きタイヤ80を入荷する。
【0053】
次にステップS187において、MRO提供会社20の作業員91は、ホイール付きタイヤ80を入荷した際に、携帯端末51を用いてホイール付きタイヤ80のホイールID、場所情報、日時情報を取得する。なお、MRO提供会社20の作業員91は、ホイールIDの代わりにタイヤIDを取得してもよく、両方のIDを取得してもよい。
【0054】
次にステップS189について、MRO提供会社20の作業員91は、携帯端末51を用いて取得したホイールID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。
【0055】
次にステップS191において、管理装置40は、ステップS189で送信されたホイールID、場所情報、日時情報を受信する。また、管理装置40は、
図4のNo.15に示すように、ステップS189で送信されたホイールID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。また、管理装置40は、ステップS189で送信された
ホイールIDは、MRO提供会社20では1回目に送信されたホイールIDであるため、備考欄に「航空会社から返却」と表示することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、ホイール付きタイヤ80が航空会社30から返却された状態であることを一目で把握することができる。
【0056】
ステップS193~ステップS199の動作例は、ステップS109~ステップS115の動作例と同じため、詳細な説明を省略する。次にステップS201において、MRO提供会社20の作業員91は、ホイール70から航空機用タイヤ60を取り外す。
【0057】
次にステップS203において、MRO提供会社20の作業員91は、携帯端末51を用いて、摩耗した航空機用タイヤ60のタイヤID、場所情報、日時情報を取得する。次にステップS205について、MRO提供会社20の作業員91は、携帯端末51を用いて取得したタイヤID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。
【0058】
次にステップS207において、管理装置40は、ステップS205で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報を受信する。また、管理装置40は、
図4のNo.16に示すように、ステップS205で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。
図4のNo.16に示すように、航空機用タイヤ60はホイール70から取り外されているため、ホイールIDは記憶されない。また、管理装置40は、ステップS205で送信されたタイヤIDは、MRO提供会社20では2回目に送信されたタイヤIDであるため、備考欄に「ホイールから取り外し」と表示することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60がホイール70から取り外された状態であることを一目で把握することができる。
【0059】
次にステップS209において、MRO提供会社20の作業員91は、航空機用タイヤ60を工場11に返却する際に、携帯端末51を用いてタイヤID、場所情報、日時情報を取得する。次にステップS211において、MRO提供会社20の作業員91は、携帯端末51を用いて取得したタイヤID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。
【0060】
次にステップS213において、管理装置40は、ステップS211で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報を受信する。また、管理装置40は、
図4のNo.17に示すように、ステップS211で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。また、管理装置40は、ステップS211で送信された情報は、MRO提供会社20では3回目に送信された情報であるため、備考欄に「工場に返却」と表示することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、摩耗した航空機用タイヤ60が工場11に返却される状態であることを一目で把握することができる。
【0061】
次にステップS215において、MRO提供会社20の作業員91は、摩耗した航空機用タイヤ60を工場11に返却する。次にステップS217において、タイヤメーカ10の作業員90は、摩耗した航空機用タイヤ60を入荷する。
【0062】
次にステップS219において、タイヤメーカ10の作業員90は、摩耗した航空機用タイヤ60を入荷した際に、携帯端末50を用いて航空機用タイヤ60のタイヤID、場所情報、日時情報を取得する。次にステップS221について、タイヤメーカ10の作業員90は、携帯端末50を用いて取得したタイヤID、場所情報、日時情報を管理装置40に送信する。
【0063】
次にステップS223において、管理装置40は、ステップS221で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報を受信する。また、管理装置40は、
図4のNo.18に示すように、ステップS221で送信されたタイヤID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を作成する。また、管理装置40は、ステップS221で送信されたタイヤIDは、
工場11では1回目に送信されたタイヤIDであるため、備考欄に「MRO提供会社から返却」と表示することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60がMRO提供会社20から返却された状態であることを一目で把握することができる。
【0064】
次にステップS225において、タイヤメーカ10の作業員90は、航空機用タイヤ60をリトレッドする。その後処理はステップS103に戻る。
【0065】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る航空機用タイヤ管理システムによれば、以下の作用効果が得られる。
【0066】
タイヤメーカ10は、携帯端末50を用いて航空機用タイヤ60のタイヤ個体情報を取得し、取得したタイヤ個体情報を管理装置40に送信する。タイヤ個体情報は、少なくとも、タイヤID、タイヤIDが取得された場所の位置情報及びタイヤIDが取得された際の日時情報を含む。MRO提供会社20は、ホイール70に航空機用タイヤ60を取り付ける。また、MRO提供会社20は、携帯端末51を用いてホイール付きタイヤ80のタイヤ個体情報及びホイール個体情報を取得し、取得したタイヤ個体情報及びホイール個体情報を管理装置40に送信する。ホイール個体情報は、少なくとも、ホイールID、ホイールIDが取得された場所の位置情報及びホイールIDが取得された際の日時情報を含む。航空会社30は、携帯端末52を用いてホイール付きタイヤ80のホイール個体情報を取得し、取得したホイール個体情報を管理装置40に送信する。
【0067】
管理装置40は、タイヤIDとホイールIDとが紐付けする。また、管理装置40は、少なくともタイヤID、場所情報、日時情報に関するタイヤ管理情報を表示する。本実施形態において、タイヤIDとホイールIDとが紐付けられているため、管理装置40は、ホイールIDを受信すれば、ホイールIDに対応したタイヤIDを表示することができる。したがって、管理されるIDが異なっていても、タイヤメーカ10の作業員90は、タイヤIDを入力することにより、航空機用タイヤ60を容易に追跡できる。換言すれば、タイヤメーカ10の作業員90は、
図4に示すように、タイヤIDを入力することにより、航空機用タイヤ60がどこにあり、どのような状態なのかを一目で把握することができる。
【0068】
また、管理装置40は、倉庫12、MRO提供会社20、航空会社30において、予め定められた滞留期間を超えた場合に警報を通知する。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、滞留期間を超えた航空機用タイヤ60を一目で把握することができる。これにより、タイヤメーカ10の作業員90は、効率よく航空機用タイヤ60を管理できる。
【0069】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0070】
管理装置40は、タイヤ個体情報として、タイヤID、タイヤIDが取得された場所の位置情報及びタイヤIDが取得された際の日時情報を管理するが、これに限定されない。例えば、管理装置40は、航空機用タイヤ60の製造情報、リトレッド情報、入出荷情報を管理してもよい。また、管理装置40は、航空機用タイヤ60が機体に取り付けられた場合は、その機体の識別番号や取り付けられた位置の情報を管理してもよい。
【0071】
本実施形態では、管理装置40は、航空機用タイヤ60がどこにどのような状態でいるのか管理すると説明したが、これに限定されない。例えば、管理装置40は、
図6に示すように、リム組みが可能なタイヤIDとホイールIDとの組合せを作成し、組合せに係る一覧表を通知してもよい。
図6に示すT101~T108は、タイヤIDであり、W101~W106は、ホイールIDである。例えば、タイヤT101は、ホイールW101~W106とリム組み可能であることを示す。また、
図6に示す「空」とは、該当するタイヤがホイールに取り付けられていないことを示す。なお、以下では、航空機用タイヤ60を単にタイヤと表現する。
【0072】
タイヤには様々なサイズがあるが、
図6に示す一覧表により、MRO提供会社20の作業員91は、リム組みが可能なタイヤIDとホイールIDとを一目で把握することができる。これにより、効率的なリム組みが実現する。MRO提供会社20の作業員91が、タイヤT102とホイールW101をリム組みしたことを携帯端末51に登録すると、管理装置40は、使用タイヤの欄にT102を入力する。これにより、MRO提供会社20の作業員91は、使用中のタイヤを一目で把握することができる。
【0073】
また、管理装置40は、機体への使用日数を管理してもよい。例えば、
図7に示すように、管理装置40は、機体への使用日数をカウントして、使用日数に応じてタイヤの状態を管理してもよい。
図8に示すように、航空会社30の作業員92が、タイヤT102を機体に取り付けたことを携帯端末52に登録すると、管理装置40は、タイヤT102が使用中であることを入力する。そして、管理装置40は、タイヤT102が機体に取り付けられてから経過した日数をカウントして入力する。
図8に示す例では、タイヤT102が機体に取り付けられてから経過した日数は、10日である。管理装置40は、機体への使用日数が、所定日数未満の場合は、タイヤT102の状態はOKであると入力する。所定日数とは、特に限定されるものではないが、例えば、航空会社30が定めている標準使用日数(40日)である。
【0074】
図8に示すように、機体への使用日数が40日以上となった場合、管理装置40は、タイヤT102とタイヤT104の状態をエラーと入力する。エラーとなったタイヤT102とタイヤT104は、交換時期が近いことを意味する。そのため、新たなタイヤが必要となる。
図8に示すように、MRO提供会社20には空のタイヤT107とタイヤT108があるため、在庫は足りる。しかし、MRO提供会社20がタイヤT107とタイヤT108を航空会社30に出荷すると、タイヤの在庫がなくなるため、タイヤメーカ10は、タイヤT109とタイヤT110を出荷する。これにより、在庫不足が解消し、サプライチェーンの効率化が実現する。また、タイヤメーカ10の作業員90は、タイヤT102とタイヤT104のリトレッド作業が近いことを予測できるため、前もってリトレッドの準備を行うことができる。これにより、迅速なリトレッドが実現する。そして、
図9に示すように、ホイールW101が新品のタイヤT107とリム組みされて、機体に取り付けられる。これにより、すべてのタイヤの状態がOKとなる。
【0075】
なお、上述した実施形態において、タイヤIDなどの航空機用タイヤ60に関する各種情報を取得する方法として、携帯端末50、51、52を用いる方法を説明したが、航空機用タイヤ60に関する各種情報を取得する方法は、これに限定されない。例えば、ベルトコンベア、ローラーコンベアなどに航空機用タイヤ60を載せ、別途設けられたカメラ、バーコードリーダなどが航空機用タイヤ60に関する各種情報を取得してもよい。この場合、タイヤメーカ10、MRO提供会社20、航空会社30のそれぞれにベルトコンベア、ローラーコンベアなどが設置されていればよい。また、ベルトコンベア、ローラーコンベアなどに別途設けられたカメラ、バーコードリーダなどが管理装置40と通信可能であればよい。携帯端末50、51、52、カメラまたはバーコードリーダを備えるベルトコンベア(ローラーコンベア)は、航空機用タイヤ60に関する各種情報を取得する取得装置である。
【0076】
日本国特許出願第2017-159141号(出願日:2017年8月22日)の全内容は、ここに援用される。
【符号の説明】
【0077】
10 タイヤメーカ
11 工場
12 倉庫
20 MRO提供会社
30 航空会社
40 管理装置
41 通信部
42 情報処理部
43 記憶装置
44 ディスプレイ
50、51、52 携帯端末
60 航空機用タイヤ
70 ホイール
80 ホイール付きタイヤ