(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】アセナピンおよびポリシロキサンまたはポリイソブチレンを含有する経皮治療システム
(51)【国際特許分類】
A61K 31/407 20060101AFI20220929BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220929BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220929BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220929BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61K31/407
A61K9/70 401
A61K47/22
A61K47/32
A61K47/34
A61P25/18
A61P25/24
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2019554017
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2017083640
(87)【国際公開番号】W WO2018115010
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-09
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・モーア
(72)【発明者】
【氏名】レネ・リーチェル
(72)【発明者】
【氏名】レネ・アイフラー
(72)【発明者】
【氏名】オールガ・ブルクアイン
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/127674(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/017595(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/027052(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造は:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含み、
アセナピン含有層は、アセナピン含有層の総重量に基づいて、0.5重量%から10重量%の量で結晶化阻害剤を含む、前記経皮治療システム。
【請求項2】
アセナピン含有層は、アセナピン含有マトリックス層である;および/またはアセナピン含有層の面積重量は、50g/m
2から120g/m
2を範囲とする、
請求項1に記載の経皮治療システム。
【請求項3】
アセナピン含有層におけるアセナピンの量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から10重量%を範囲とする、および/または経皮治療システムに含有されるアセナピンの量は、3mgから21mgを範囲とする、
請求項1または2に記載の経皮治療システム。
【請求項4】
ポリマーの量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて55重量%から98重量%を範囲とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項5】
ポリマーの量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて80重量%から98重量%を範囲とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項6】
ポリマーの量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて92重量%から98重量%を範囲とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項7】
ポリマーは、ポリシロキサンである、
請求項1から6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項8】
アセナピン含有層は、アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項9】
アセナピン含有層は:
1.アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて
1重量%から7重量%の量で、遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて92重量%から98重量%の量でポリシロキサン;
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤;およ
び
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で結晶化阻害剤
を含むアセナピン含有マトリックス層である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項10】
アセナピン含有層は:
1.アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて
1重量%から7重量%の量で、遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて92重量%から98重量%の量でポリシロキサン;
3.アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量でトコフェロール;およ
び
4.アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量でポリビニルピロリドン;
を含むアセナピン含有マトリックス層であり、
該マトリックス層の面積重量は、70g/m
2から100g/m
2を範囲とする、
請求項1から9のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項11】
治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造は:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて
1重量%から7重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のシリコーンポリマー;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤;および
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で結晶化阻害剤;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、前記経皮治療システム。
【請求項12】
自己接着層構造は、
A)バッキング層;
B)以下を含む、アセナピン含有マトリックス層であるアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて
1重量%から7重量%の量でアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のシリコーンポリマー;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量でトコフェロール;および
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量でポリビニルピロリドン;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、請求項11に記載の経皮治療システム。
【請求項13】
アセナピン含有層の面積重量は、50g/m
2から120g/m
2を範囲とする、請求項11または12に記載の経皮治療システム。
【請求項14】
シリコーンポリマーは、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサンとシリケート樹脂との重縮合によって得られ、該シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサン対該シリケート樹脂の比は、70:30から50:50の範囲であり、少なくとも1種のシリコーンポリマーの残留の官能基は、トリメチルシロキシ基でキャップされている、請求項11から13のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項15】
治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造は:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて
1重量%から15重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン;
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から20重量%の量で親水性ポリマー;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、前記経皮治療システム。
【請求項16】
自己接着層構造は、
A)バッキング層;
B)以下を含む、アセナピン含有マトリックス層であるアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて4重量%から12重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から90重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から20重量%の量でポリビニルピロリドン;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、請求項15に記載の経皮治療システム。
【請求項17】
アセナピン含有層の面積重量は、40g/m
2から250g/m
2を範囲とする、請求項15または16のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項18】
アセナピン含有層の面積重量は、40g/m
2から125g/m
2を範囲とする、請求項15または16のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項19】
少なくとも1種のポリイソブチレンは、99:1から50:50の比における低分子量ポリイソブチレンおよび高分子量ポリイソブチレンの組合せであり、該低分子量ポリイソブチレンは、38,000g/molから42,000g/molの粘度平均分子量および/または34,000g/molから40,000g/molの重量平均分子量を有し、該高分子量ポリイソブチレンは、1,100,000g/molから1,120,000g/molの粘度平均分子量および/または1,540,000g/molから1,560,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項15から18のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項20】
ヒト患者を処置する方法における使用のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項21】
双極性障害および/または統合失調症を処置する方法における使用のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項22】
20時間から30時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される、請求項20または21に記載の使用のための経皮治療システム。
【請求項23】
請求項1から19のいずれか1項に記載の経皮治療システムにおける使用のための、アセナピン含有層を製造するための方法であって:
1)少なくとも構成成分
1.アセナピン塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で結晶化阻害剤;
を組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)該コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、アセナピン含有層を形成する工程
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体循環へのアセナピンの経皮投与のための経皮治療システム(TTS)、ならびに製造のプロセス、処置の方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
活性薬剤アセナピン(3aRS,12bRS)-rel-5-クロロ-2,3,3a,12b-テトラヒドロ-2-メチル-1H-ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5-c]ピロール)は、四環式構造が、オランザピン、クエチアピンまたはクロザピン(三環式構造)、リスペリドン、ジプラシドンまたはアリピプラゾール(二環式構造)など他の抗精神病薬のものに非関連であるジベンゾ-オキセピノピロールファミリーに属する非定型抗精神病薬である。アセナピンは、後者に対する高い親和性を有するドーパミンD2およびセロトニン5-HT2A受容体でのアンタゴニストであり、双極性障害に関連する統合失調症および急性躁病の処置のためにSchering-Plough/Organonによって開発されてきた。
【0003】
現在、アセナピンは、商標名Sycrest(Swissmedic)およびSaphris(Schering-Plough)の下で、1日2回(BID)5mgまたは10mgの投与量強度で投与される舌下錠の形態で市販されている。
【0004】
舌下投与経路は、経口投与の初回通過代謝を回避することで、生物学的利用能を増加させ、舌下で摂取される場合に35%および経口摂取されるならば<2%である。しかしながら、舌下投与は、苦いまたは不快な味、同様に局所性麻酔効果、吐き気および頭痛によって誘発される舌/口腔粘膜の知覚麻痺に関連する。さらに、10分間舌下投薬した直後に摂食、飲水および喫煙することは許可されていない。これらの不便さは、患者コンプライアンスの低減、および不適切な投与、例えば用量低減、用量飛び越し、不規則な薬物摂取、または意図されたアセナピン摂取からの完全な離脱に至ることがある。舌下投与は、その上、施設に収容された精神医学患者をモニタリングすることが難しく、嚥下が難しい小児、高齢および他の患者に、または自ら薬物療法を受けられない人々に適当でないことがある。
【0005】
舌下投与の不利な点は、アセナピンの経皮投与によって回避することができる。これに関して、アセナピンの受動的輸送が望ましい。皮膚を介する経皮治療システム(TTS)からの活性薬剤の受動的輸送は、経皮システムにおけるおよび皮膚の外表面上の活性薬剤の濃度と血流における濃度との間の濃度勾配に基づく駆動力を利用する。こうした受動的輸送は、イオントフォレーシスまたはマイクロポレーションなどの能動的輸送手段を利用するTTSと比較して、TTSの複雑性および投与の便利性の観点から有利である。
【0006】
アセナピンの経皮送達は調査されてきたが、アセナピンの受動的経皮送達は、例えば活性成分利用の点から難題であると思われる。さらに、アセナピンの経皮送達は、皮膚刺激問題を伴うことがある。現在まで、市販のアセナピンTTSは入手可能でない。
【0007】
したがって、当技術分野において、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムの必要がしたがってある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在のアセナピン投与の上述の不利な点を克服するTTSを提供することは、本発明の目的である。
【0009】
したがって、治療有効用量を達成するのに十分である浸透率を提供する、アセナピンの経皮投与のためのTTSおよび特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明の目的である。
【0010】
少なくとも20時間、好ましくは少なくとも1日の間の患者の皮膚への投与期間中に少なくとも20時間、好ましくは少なくとも1日の間、治療有効量のアセナピンを提供するアセナピンの経皮投与のためのTTS、特にマトリックス型TTSを提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0011】
治療有効量のアセナピンが、1日の患者の皮膚への投与期間中、前記経皮治療システムによって1日間提供され、24時間処置において1日1回のTTS交換を可能にする、アセナピンの経皮投与のためのTTSおよび特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明のある特定の実施形態のさらなる目的である。
【0012】
アセナピン血中血漿濃度における増減が、特に定常状態において舌下投与と比較した場合に低減される、アセナピンの経皮投与のためのTTS、特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明のさらなる目的である。
【0013】
アセナピンの生物学的利用能が改善された、アセナピンの経皮投与のためのTTS、特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明の別の目的である。
【0014】
高度な活性成分利用を有するアセナピンの経皮投与のためのTTS、特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明のさらなる目的である。
【0015】
著しい皮膚刺激問題を引き起こすことがないアセナピンの経皮投与のためのTTS、特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明の別の目的である。
【0016】
サイズおよび厚さの観点から好都合な適用の必要に応じる、ならびに/または製造するのに容易でありコスト効果的である、アセナピンの経皮投与のためのTTSおよび特にマトリックス型TTSを提供することは、本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的および他の目的は、第1の態様によると治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む経皮治療システムに関する本発明によって達成される。
【0018】
好ましい実施形態において、ポリマーの量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて、55重量%から98重量%、好ましくは70重量%から98重量%、または80重量%から98重量%、より好ましくは92重量%から98重量%を範囲とする。さらに好ましい実施形態において、ポリマーはポリシロキサンである。
【0019】
好ましい実施形態において、本発明は、治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて92重量%から98重量%の量でポリシロキサン;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む経皮治療システムに関する。
【0020】
好ましい実施形態において、アセナピン含有層は、結晶化阻害剤、可溶化剤、充填剤、スキンケア用物質、pH調節剤、保存料、粘着付与剤、軟化剤、安定剤および浸透増強剤からなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤をさらに含む。好ましくは、アセナピン含有層は、アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤、および/またはアセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で結晶化阻害剤を含む。
【0021】
本発明のある特定の実施形態によると、本発明による経皮治療システムは、処置の方法における使用のため、特に統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のためのものである。
【0022】
したがって、本発明のある特定の実施形態によると、本発明による経皮治療システムは、統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のためのものであり、ここで、本発明による経皮治療システムは、20時間から30時間の、好ましくは約24時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される。
【0023】
他の実施形態によると、本発明は、処置の方法に、特に、本発明による経皮治療システムを患者の皮膚に適用することを含む統合失調症および/または双極性障害を処置する方法に関する。
【0024】
本発明のある特定の他の実施形態によると、本発明による経皮治療システムは、特に長時間期間の間の投与中、例えば20時間から30時間、好ましくは約24時間の投与期間中、一般に精神病を処置する方法における使用のため、特に、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法における使用のためのものである。こうした投与モードは、好ましくは、24時間処置、即ち約24時間の投薬間隔においてTTSの1日1回交換を必要とする。
【0025】
したがって、ある特定の他の実施形態によると、本発明は、本発明による経皮治療システムが、20時間から30時間の、好ましくは約24時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される、統合失調症および/または双極性障害を処置する方法に関する。
【0026】
本発明のある特定の他の実施形態によると、本発明は、特に長時間期間の間の投与中、例えば20時間から30時間の、好ましくは約24時間の投与期間中、一般に精神病を処置する方法に、特に、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法に関する。こうした投与モードは、好ましくは、24時間処置、即ち約24時間の投薬間隔において1日1回のTTS交換を必要とする。
【0027】
さらに、本発明は:
1)少なくとも構成成分
1.アセナピン塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー;および
3.場合により、少なくとも1種の添加剤;
を組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、アセナピン含有層を形成する工程
を含む、本発明による経皮治療システムにおける使用のためのアセナピン含有層を製造するためのプロセスに関する。
上記および後文に記載されている本発明の経皮治療システムに関する好ましい実施形態は、上記に定義されている本発明のプロセスの文脈においても関連する。
【0028】
ある特定の実施形態によると、本発明は、治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて少なくとも50重量%の量で、ポリシロキサン;および
3.安定剤;および
4.結晶化阻害剤;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む経皮治療システムにも関する。
【0029】
ある特定の実施形態によると、本発明は、治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構成が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量で、遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、ポリシロキサン;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤;および
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で、結晶化阻害剤
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層;
を含む経皮治療システムにも関し、
ここで、マトリックス層の面積重量は、70g/m2から100g/m2を範囲とする。
【0030】
好ましい実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は:
1.アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量で、遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて92重量%から98重量%の量で、ポリシロキサン;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤;ならびに/または
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で、結晶化阻害剤
を含む。
【0031】
ある特定の好ましい実施形態によると、本発明は、治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて少なくとも50重量%の量で、ポリシロキサン;および
3.トコフェロール;および
4.ポリビニルピロリドン;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む経皮治療システムにも関する。
【0032】
ある特定の実施形態によると、本発明は、治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量で、遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、ポリシロキサン;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で、トコフェロール;および
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で、ポリビニルピロリドン;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層;
を含む経皮治療システムにも関し、
ここで、マトリックス層の面積重量は、70g/m2から100g/m2を範囲とする。
【0033】
好ましい実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は:
1.アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量で、遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて92重量%から98重量%の量でポリシロキサン;
3.アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量でトコフェロール;および/または
4.アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量でポリビニルピロリドン;
を含み、
ここで、マトリックス層の面積重量は、70g/m2から100g/m2を範囲とする。
【0034】
第2の態様によると、本発明は、治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のシリコーンポリマー;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む経皮治療システムに関する。
少なくともシリコーンポリマーについて提供されている量は、少なくとも1種のシリコーンポリマーの総量、即ち1種またはそれ以上のシリコーンポリマーの総量を指すことが理解されるべきである。例えば、2種のシリコーンポリマーがアセナピン含有層中に存在するならば、85重量%から98重量%の量は、2種のシリコーンポリマーの総量を指す。
【0035】
この第2の態様の好ましい実施形態において、本発明は、治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含む、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量でアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のシリコーンポリマー;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤;および
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で、結晶化阻害剤;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む経皮治療システムに関する。
上記に示されている通り、少なくとも1種のシリコーンポリマーの量は、アセナピン含有層に含有されるシリコーンポリマー(単数または複数)の総量である。面積重量、安定剤、結晶化阻害剤、アセナピンおよびシリコーンポリマーに関する優先は、さらに下記で提供されている。例えば、アセナピン含有層の面積重量は、50g/m2から120g/m2、より好ましくは70g/m2から100g/m2を範囲とするのが好ましい。さらに、安定剤は、トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、またはその組合せであり、結晶化阻害剤は、ポリビニルピロリドンであるのが好ましい。さらに、アセナピンは、遊離塩基の形態であるのが好ましい。さらに、シリコーンポリマーは、好ましくは、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサンとシリケート樹脂との重縮合によって得られる。より好ましくは、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサン対シリケート樹脂の比は、70:30から50:50、好ましくは56:44から54:46、例えば約55:45の範囲である。特に好ましくは、少なくとも1種のシリコーンポリマーの残留の官能基は、トリメチルシロキシ基でキャップされている。これは、シリコーンポリマーのアミン適合性を提供する。
【0036】
上記で定義されている本発明の第2の態様の別の好ましい実施形態およびそれの好ましい実施形態において、本発明は、ヒト患者を処置する方法における使用のための、好ましくは双極性障害および/または統合失調症、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のための、上記で定義されている通りの経皮治療システムに関する。好ましくは、経皮治療システムは、20時間から30時間、好ましくは約24時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される。
【0037】
本発明は:
1)少なくとも構成成分
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量でアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のシリコーンポリマー;
3.場合により、安定剤;および
4.場合により、結晶化阻害剤;
を組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、アセナピン含有層を形成する工程
を含む、本発明の第2の態様による経皮治療システムにおける使用のためのアセナピン含有層を製造するためのプロセスにも関する。
本発明の第2の態様による経皮治療システムの、上記に定義されている優先は、本発明の上記プロセスにも当てはまる。
【0038】
第3の態様によると、本発明は、治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から15重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む経皮治療システムに関する。
少なくともポリイソブチレンについて提供されている量は、少なくとも1種のポリイソブチレンの総量、即ち1種またはそれ以上のポリイソブチレンの総量を指すと理解されるべきである。例えば、2種のポリイソブチレンが、本発明による好ましいアセナピン含有層中に存在するならば、85重量%から98重量%の量は、2種のポリイソブチレンの総量を指す。
【0039】
この第3の態様の好ましい実施形態において、本発明は、治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から15重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から20重量%の量で親水性ポリマー;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む経皮治療システムに関する。
上記に示されている通り、少なくとも1種のポリイソブチレンの量は、アセナピン含有層に含有されるポリイソブチレン(単数または複数)の総量である。面積重量、親水性ポリマー、アセナピンおよびポリイソブチレンに関する優先は、さらに下記で提供されている。例えば、アセナピン含有層の面積重量は、40g/m2から250g/m2を範囲とするのが好ましい。親水性ポリマーは、TTSが水を吸収することを可能にし、これは、皮膚浸透特性にとって有利である。好ましくは、親水性ポリマーはポリビニルピロリドンである。さらに、アセナピンは遊離塩基の形態であるのが好ましい。アセナピンの量は、好ましくは、アセナピン含有層の総重量に基づいて4重量%から12重量%、好ましくは6重量%から10重量%の範囲である。さらに、少なくとも1種のポリイソブチレンは、99:1から50:50、好ましくは90:10から60:40、より好ましくは85:15から70:30の比における低分子量ポリイソブチレンおよび高分子量ポリイソブチレンの組合せであるのが好ましい。特に好ましくは、低分子量ポリイソブチレンは、38,000g/molから42,000g/molの粘度平均分子量および/または34,000g/molから40,000g/molの重量平均分子量を有し、高分子量ポリイソブチレンは、1,100,000g/molから1,120,000g/molの粘度平均分子量および/または1,540,000g/molから1,560,000g/molの重量平均分子量を有する。少なくとも1種のポリイソブチレンの量は、好ましくは、アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から90重量%である。
【0040】
上記で定義されている本発明の第3の態様の別の好ましい実施形態およびそれの好ましい実施形態において、本発明は、ヒト患者を処置する方法における使用のための、好ましくは双極性障害および/または統合失調症、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のための、上記で定義されている通りの経皮治療システムに関する。好ましい一実施形態において、経皮治療システムは、20時間から30時間、好ましくは約24時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される。この文脈において、経皮治療システムのアセナピン含有層は、好ましくは40g/m2から125g/m2、より好ましくは60g/m2から100g/m2の面積重量を有する。別の好ましい実施形態において、経皮治療システムは、少なくとも72時間、好ましくは約84時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される。この文脈において、経皮治療システムのアセナピン含有層は、好ましくは125g/m2超から250g/m2、より好ましくは150g/m2から250g/m2の面積重量を有する。驚くべきことに、TTSの面積重量に依存して、それは、上記に示されている優先とともに異なる投薬間隔における使用に適当であり得ることが、本発明の発明者らによって見出された。
【0041】
本発明は:
1)少なくとも構成成分
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から15重量%の量でアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン;および
3.場合により、親水性ポリマー;
を組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、アセナピン含有層を形成する工程を含む、本発明の第3の態様による経皮治療システムにおける使用のためのアセナピン含有層を製造するためのプロセスにも関する。
本発明の第3の態様による経皮治療システムの、上記に定義されている優先は、本発明の上記プロセスにも当てはまる。
【0042】
この発明の意味内で、「経皮治療システム」(TTS)という用語は、活性薬剤(アセナピン)が経皮送達を介して体循環に投与されるシステムを指し、患者の皮膚に適用される全体的な個々の投薬単位を指し、これは、自己接着性層構造中に治療有効量のアセナピン、および場合によりアセナピン含有自己接着性層構造の上部に追加の接着剤オーバーレイを含む。自己接着性層構造は、剥離ライナー(剥脱可能な保護層)上に位置することができ、したがって、TTSは、剥離ライナーをさらに含むことができる。この発明の意味内で、「TTS」という用語は、特に、イオントフォレーシスまたはマイクロポレーションを含めた方法のような能動的輸送を排除する受動的経皮送達を提供するシステムを指す。
【0043】
この発明の意味内で、「アセナピン含有自己接着性層構造」または「治療有効量のアセナピンを含む自己接着性層構造」という用語は、投与中アセナピンのための放出面積を提供する活性薬剤含有構造を指す。接着剤オーバーレイは、TTSの全体的サイズを増やすが、放出面積を増やさない。アセナピン含有自己接着層構造は、バッキング層、少なくとも1つのアセナピン含有層、および場合により、少なくとも1つの追加の皮膚接触層を含む。
【0044】
この発明の意味内で、「治療有効量」という用語は、TTSによって患者に投与されるならば、前に定義されている長時間期間(例えば1日、3.5日および7日)にわたって1日2回5mgの舌下アセナピンの定常状態投与で得られる血中レベルと比較した場合に同様の範囲(即ち、AUCとして測定される場合の約10%から約1000%)のアセナピン血中レベルを提供するのに十分なTTS中の活性薬剤の定量を指す。TTSは通常、皮膚および体循環に実際に提供されるよりも多くの活性物を該システムに含有する。この過剰量の活性薬剤は、通常、TTSから体循環への受動的輸送手段のための十分な駆動力を提供するために必要である。しかしながら、本発明によると、TTSは、高度な活性成分利用を提供するのが好ましい。
【0045】
この発明の意味内で、「活性物」および「活性薬剤」などという用語、同様に「アセナピン」という用語は、任意の薬学的に許容される化学的および形態学的形態ならびに物理的状態におけるアセナピンを指す。これらの形態としては、一般に、それの遊離塩基形態におけるアセナピン、プロトン化または部分プロトン化アセナピン、アセナピン塩、および特に、無機酸または有機酸の添加によって形成される酸付加塩、例えば塩酸アセナピンまたはマレイン酸アセナピン、水和物、複合体など、同様にミクロン化、結晶性および/または非晶質であってよい粒子の形態におけるアセナピン、ならびに前に記述の形態の任意の混合物が挙げられる。アセナピンは、溶媒などの媒体に含有される場合、溶解もしくは分散させるまたは一部溶解および一部分散させることができる。
【0046】
この発明の意味内で、「遊離塩基の形態におけるアセナピン」という用語は、任意の薬学的に許容される化学的および形態学的形態ならびに物理的状態におけるアセナピンを指す。好ましくは、該用語は、アセナピン塩の形態におけるアセナピンを含まない。特に、該用語は、プロトン化された形態またはアセナピン塩の形態におけるアセナピンを含まない。
【0047】
別段に表示されていない限り、特に、自己接着性層構造におけるアセナピンの量は、TTSの製造中にTTSに含まれるアセナピンの量に関連し、遊離塩基の形態におけるアセナピンに基づいて算出される。例えば、a)0.1mmol(28.6mgに等しい)のアセナピン塩基またはb)0.1mmol(40.2mgに等しい)のマレイン酸アセナピンが製造中にTTSに含まれる場合、自己接着性層構造におけるアセナピンの量は、本発明の意味内で、両方の場合0.1mmolまたは28.6mgである。
【0048】
TTSの製造中にTTSに含まれるアセナピン出発材料は、粒子の形態であってよい。アセナピンは、好ましくは、粒子の形態で自己接着性層構造に存在することができる。
【0049】
この発明の意味内で、「粒子」という用語は、個々の粒子を含む固体の粒子状材料であって、寸法が材料と比較して無視できる粒子状材料を指す。特に、粒子は、非晶質および結晶性の材料を含めて、プラスチック/変形可能な固体を含めた固体である。
【0050】
この発明の意味内で、「分散させること」という用語は、出発材料(例えばアセナピン)が全体的に溶解されていない工程または工程の組合せを指す。本発明の意味における分散させることは、出発材料の可溶性(例えば、コーティング組成物におけるアセナピンの可溶性)に依存して、出発材料(例えばアセナピン粒子)の一部の溶解を含む。
【0051】
受動的活性薬剤送達を使用するTTSの2つの主な型、即ちマトリックス型TTSおよびリザーバー型TTSがある。マトリックス型TTSにおいて、活性薬剤はマトリックスに含まれ、一方、リザーバー型TTSにおいて、活性薬剤は、液体または半液体リザーバーに含まれる。
【0052】
この発明の意味内で、「マトリックス型TTS」は、活性物がポリマー担体内で均質に溶解および/または分散されているシステムまたは構造、即ち、活性薬剤および場合により残りの成分でマトリックス層を形成するマトリックスを指す。こうしたシステムにおいて、マトリックス層は、TTSからの活性薬剤の放出を制御する。したがって、アセナピン含有層は、一実施形態において、アセナピン含有マトリックス層であってよく、ここで好ましくは、アセナピンは、ポリマーマトリックス内に均質に分布されている。さらに、アセナピン含有マトリックス層は、TTSからの活性薬剤の放出を制御するために、速度制御膜を場合により含むことができる。さらに、ある特定の実施形態において、アセナピン含有マトリックス層は、一緒に積層することができるまたは活性薬剤の放出を制御する速度制御膜によって分離することができる2つのマトリックス層を含むことができる。したがって、アセナピン含有マトリックス層という用語は、場合により速度制御膜を含む単層系および多層系の両方を包含する。好ましくは、アセナピン含有マトリックス層は、ポリマーマトリックス内に均質に溶解および/または分散された活性薬剤を含む単層である。マトリックス型TTSにおける活性薬剤の放出は、主に、活性薬剤それ自体を含めたマトリックスによって制御される。マトリックス型TTSは、リザーバー型TTSと比較して、通常、速度制御膜が必要でないとともに用量ダンピングが膜破断により発生することがないという点において有利である。つまり、マトリックス型経皮治療システム(TTS)は、典型的に、製造においてあまり複雑でなく、患者による使用に容易および好都合である。
【0053】
活性薬剤含有リザーバーを有するTTSは、「リザーバー型TTS」という用語によって言及される。こうしたシステムにおいて、活性薬剤の放出は、しばしば速度制御膜によって制御される。したがって、アセナピン含有層は、一実施形態において、アセナピンを含む液体または半液体リザーバー、およびポリマー層を好ましくは含む、アセナピン含有リザーバー層であってよく、ここで、リザーバーおよびポリマー層は、場合により、速度制御膜によって分離することができる。リザーバーにおいて、アセナピンは、好ましくは、エタノールもしくは水などの溶媒中またはシリコーン油中に溶解されている。ポリマー層は、好ましくは皮膚接触層として働き、接着特性を有する。リザーバー型TTSは、本発明の意味内でマトリックス型であると理解されるべきでない。特に、この発明の意味内で、当技術分野においてマトリックス型TTSとリザーバー型TTSとの間の混合物であると考えられるマイクロリザーバーシステム(外部マトリックス相に内部の活性物含有相を有する二相システム)は、本発明の意味内でマトリックス型であると考えられる。マトリックス型TTSは、特に、活性物が圧力感受性接着剤マトリックス内に均質に溶解および/または分散されるシステムを指す「接着剤中薬物」型TTSの形態であってよい。
【0054】
この発明の意味内で、「アセナピン含有層」という用語は、活性薬剤およびポリマーを含有する任意の単層系または多層系を指す。該用語は、アセナピン含有マトリックス層およびアセナピン含有リザーバー層を包含する。アセナピン含有層がアセナピン含有マトリックス層であるならば、前記層は、好ましくは、マトリックス型TTS中に存在し、アセナピンはポリマーマトリックス内に均質に溶解および/または分散されている。ポリマーが圧力感受性接着剤であるならば、マトリックス層は、TTSの皮膚接触層、即ち接着剤層を表すこともできる。代替として、追加の皮膚接触層は、接着剤層として存在することができ、ここで、前記追加の皮膚接触層は、典型的に、活性薬剤フリーである。皮膚接触層は、アセナピン含有マトリックス層上に存在するまたは速度制御膜によってアセナピン含有マトリックス層から分離ことができる。好ましくは、アセナピン含有マトリックス層は、十分な接着特性を有することで、それは皮膚接触層も表し、追加の皮膚接触層は存在しない。アセナピン含有層がアセナピン含有リザーバー層であるならば、前記層は典型的にリザーバー型TTS中に存在し、該層は、リザーバーおよびポリマー層中にアセナピンを含む。場合により、速度制御膜は、ポリマー層からリザーバーを分離する。ポリマー層は、典型的に、TTSの皮膚接触層として働く。ポリマー層は、典型的に、活性薬剤フリーである。代替として、追加の皮膚接触層は、接着剤層として存在することができる。皮膚接触層は、典型的に、活性薬剤フリーである。リザーバー型TTSの接着特性は、周辺接着剤を有する構造を含むアセナピン含有リザーバー層で得ることもでき、ここで、リザーバーおよび場合により速度制御膜は、リザーバーおよび膜よりも大きい面積および直径を有する接着剤層上に適用されることで、隆起接着剤層は接着特性を提供する。
【0055】
本明細書で使用される場合、アセナピン含有層は、好ましくはアセナピン含有マトリックス層であり、それは、最終の好ましくは固化層に言及される。好ましくは、アセナピン含有マトリックス層は、本明細書に記載されている通り、溶媒含有コーティング組成物をコーティングおよび乾燥させた後に得られる。アセナピン含有マトリックス層は、所望の面積重量を提供するために同じ組成物の2つ以上のこうした固化層(例えば、乾燥させた層)を積層することによって製造することもできる。マトリックス層は自己接着性である(感圧接着剤マトリックスの形態で)、またはTTSは、十分な粘着を提供するために感圧接着剤の追加の皮膚接触層を含むことができる。好ましくは、マトリックス層は感圧接着剤マトリックスである。
【0056】
この発明の意味内で、「圧力感受性接着剤」という用語は、特に指圧を用いて接着し、恒久的に粘着性であり、強い保持力を発揮し、残留物を残すことなく滑らかな表面から除去可能であるべきである材料を指す。市販されている、ポリシロキサンを含む有用な圧力感受性接着剤の例としては、標準的なBIO-PSAシリーズ(7-4400、7-4500および7-4600シリーズ)、アミン適合性(エンドキャップされている)BIO-PSAシリーズ(7-4100、7-4200および7-4300シリーズ)、Soft Skin Adhesivesシリーズ(7-9800)、およびDow Comingによって製造されたBIO-PSA Hot Melt Adhesiveが挙げられる。ポリシロキサンを含む好ましい圧力感受性接着剤は、BIO-PSA 7-4201およびBIO-PSA 7-4301を含めて、ヘプタン溶媒和圧力感受性接着剤である。その上、ポリイソブチレンは、圧力感受性接着剤として作用することができる。本発明による適当なポリイソブチレンは、商標Oppanol(登録商標)の下で入手可能である。高分子量ポリイソブチレン(B100/B80)および低分子量ポリイソブチレン(B10、B11、B12、B13)の組合せも使用することができる。感圧接着剤層は、皮膚と接触している場合、「自己接着性」であり、即ち、皮膚への接着を提供するので、典型的に、皮膚上の固定のためのさらなる助剤は必要とされない。「自己接着性」層構造は、感圧接着剤マトリックスの形態でまたは追加層の形態で提供することができる、皮膚接触のための感圧接着剤層、即ち感圧接着剤皮膚接触層を含む。接着剤オーバーレイもまた、接着を向上させるために用いることができる。
【0057】
この発明の意味内で、「皮膚接触層」という用語は、投与中に患者の皮膚と直接接触するために、TTSに含まれる層を指す。TTSが皮膚接触層を含む場合、他の層は皮膚に接触せず、自己接着特性を必ずしも有さない。放出面積は、アセナピン含有層の面積によって提供される。皮膚接触層は、接着を増強するために使用することができる。追加の皮膚接触層およびアセナピン含有層のサイズは、通常、同延であり、放出面積に対応する。典型的に、追加の皮膚接触層が存在するならば、皮膚接触層は活性薬剤フリーである。
【0058】
この発明の意味内で、「面積重量」という用語は、g/m2で提供される、特定の層の、例えばマトリックス層の乾燥重量を指す。面積重量値は、製造変動により±10%、好ましくは±7.5%の誤差を受ける。
【0059】
別段に示されていない限り、「%」は、重量%を指す。
【0060】
この発明の意味内で、「ポリマー」という用語は、1種またはそれ以上のモノマーを重合することによって得られるいわゆる繰り返し単位からなる任意の物質を指し、モノマーの1つの型からなるホモポリマー、およびモノマーの2つ以上の型からなるコポリマーを含む。ポリマーは、コポリマー、例えば交互コポリマー、統計コポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトポリマーの場合における任意のモノマー配列の、線状ポリマー、スターポリマー、コームポリマー、ブラシポリマーなど任意の構築物であってよい。最小分子量は、ポリマー型に依存して変動し、当技術者に知られている。ポリマーは、例えば、2,000ダルトン超、好ましくは5,000ダルトン超、より好ましくは10,000ダルトン超の分子量を有することができる。それに応じて、2,000ダルトン未満、好ましくは5,000ダルトン未満、またはより好ましくは10,000ダルトン未満の分子量を有する化合物は、通常、オリゴマーと称される。
【0061】
この発明の意味内で、「接着剤オーバーレイ」という用語は、活性薬剤がなく、活性薬剤含有構造よりも面積が大きく、皮膚に接着する追加の面積を提供するが活性薬剤の放出面積を提供しない自己接着性層構造を指す。それによって、それはTTSの全体的接着特性を増強する。接着剤オーバーレイは、バッキング層および接着剤層を含む。
【0062】
この発明の意味内で、「バッキング層」という用語は、例えばアセナピン含有層を支持する層または接着剤オーバーレイのバッキング物を形成する層を指す。TTSの少なくとも1つのバッキング層は、好ましくは、貯蔵および投与の期間中に、層に含有されている活性薬剤に対して閉塞性、即ち実質的に不浸透性であり、したがって、規制要件に従って活性損失または相互汚染を防止する。
【0063】
本発明によるTTSは、インビトロ皮膚浸透試験において測定される場合のある特定のパラメータを特徴とすることができる。
【0064】
インビトロ浸透試験は、Franz拡散細胞において、ヒトまたは動物の皮膚を用いて、好ましくは800μmの厚さを有する皮節化されたスプリット厚のヒト皮膚および無傷の表皮を用いて、ならびにレセプター媒体が、例えば、60vol-%リン酸緩衝液pH5.5、30vol-%ジプロピレングリコールおよび10vol-%アセトニトリルを含有することができるように最大40vol-%の有機溶媒、例えばエタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、ジプロピレングリコール、PEG400の添加の有無におけるリン酸緩衝液pH5.5または7.4(0.1%生理食塩水アジ化物を有する32℃)をレセプター媒体として用いて行われる。
【0065】
別段に示されていない場合、インビトロ浸透試験は、800μmの厚さを有する皮節化されたスプリット厚のヒト皮膚および無傷の表皮を用いて、およびレセプター媒体(0.1%生理食塩水アジ化物を有する32℃)としてリン酸緩衝液pH5.5を用いて行われる。レセプター媒体に浸透させた活性物の量は、サンプル体積を採取することによってUV光度検出器を用いて検証HPLC方法を使用して規則的な間隔で決定される。レセプター媒体は、サンプル体積を採取する時に新鮮な培地によって完全にまたは部分的に置き換えられ、浸透された活性物の測定量は、2つの最後のサンプル採取点の間に浸透された量に関連し、それまでに浸透された総量に関連しない。
【0066】
したがって、この発明の意味内で、「浸透量」というパラメータは、μg/cm2で提供され、ある特定の経過時間にてサンプル間隔で浸透された活性物の量に関連する。例えば、レセプター媒体に浸透された活性物の量が例えば0時間目、2時間目、4時間目、8時間目、12時間目および24時間目で測定された、上に記載されている通りのインビトロ浸透試験において、活性物の「浸透量」は、例えば、8時間目から12時間目のサンプル間隔について示されており、12時間目の測定に対応する。
【0067】
浸透量は、ある特定の時点で浸透された活性物の累積量に対応する「累積浸透量」として示すこともできる。例えば、レセプター媒体に浸透された活性物の量が、例えば0時間目、2時間目、4時間目、8時間目、12時間目および24時間目に測定された、上に記載されている通りのインビトロ浸透試験において、12時間目の活性物の「累積浸透量」は、0時間目から2時間目、2時間目から4時間目、4時間目から8時間目、および8時間目から12時間目の浸透量の和に対応する。
【0068】
この発明の意味内で、ある特定の経過時間でのある特定のサンプル間隔についての「皮膚浸透率」というパラメータは、μg/cm2―hr(μg/cm2*h)に対応する)で提供され、前記サンプル間隔の時間で割られた、μg/cm2で上に記載されている通りのインビトロ浸透試験によって測定された前記サンプル間隔における浸透量から算出される。例えば、レセプター媒体に浸透された活性物の量が、例えば0時間目、2時間目、4時間目、8時間目、12時間目および24時間目に測定される、上に記載されている通りのインビトロ浸透試験での「皮膚浸透率」において、12時間目の「皮膚浸透率」は、4時間で割られた8時間目から12時間目のサンプル間隔における浸透量として算出される。
【0069】
「累積皮膚浸透率」は、累積浸透量を経過時間で割ることによってそれぞれの累積浸透量から算出することができる。例えば、レセプター媒体に浸透された活性物の量が、例えば0時間目、2時間目、4時間目、8時間目、12時間目および24時間目に測定された、上に記載されている通りのインビトロ浸透試験において、12時間目の「累積皮膚浸透率」は、12時間で割られた12時間目についての累積浸透量(上記を参照されたい)として算出される。
【0070】
この発明の意味内で、「浸透量」および「皮膚浸透率」(同様に「累積浸透量」および「累積皮膚浸透率」)という上記パラメータは、3つのインビトロ浸透試験実験から算出された平均値を指す。
【0071】
本発明によるTTSは、インビボ臨床研究において測定された通りのある特定のパラメータを特徴とすることもできる。
【0072】
この発明の意味内で、「平均放出速度」というパラメータは、活性薬剤がヒト皮膚を介して体循環に放出される投与期間(例えば1日)にわたるμg/hr、mg/hr、μg/日またはmg/日での平均放出速度を指し、臨床研究における前記投与期間にわたって得られたAUCに基づいている。平均放出速度は、TTSの用量または強度を識別するために使用されるパラメータである。例えば静脈内または経口投与と対照的に、ならびに(上にも記載されている通り)TTSは通常、皮膚および体循環に実際に提供されるよりも多くの活性物をシステムに含有するので、TTSに含有される活性物の量は、用量についてのパラメータとして有意義でない。こういうわけで、TTSについて、用量または強度は通常、時間をかけて対象に送達される活性物の量をより正確に記載する平均放出速度を特徴とする。
【0073】
連続的な薬物処置について、薬物投与の頻度は、好ましくは、治療的に有効な血中血漿濃度を維持するように十分高く保持される。言い換えると、投薬間隔とも呼ばれる2つの剤形投与の間の間隔は、適宜適応される必要がある。本発明の意味内で、「投薬間隔」という用語は、2つの連続したTTS投与の間の時間期間、即ち、TTSが患者の皮膚に適用される2つの連続した時点の間の間隔を指す。一旦適用されると、TTSは通常、全的的な投薬間隔の間、患者の皮膚上に維持され、投薬間隔の終わりに除去されるだけであり、この時点で、新たなTTSが皮膚に適用される。例えば、投薬間隔が24時間または1日であるならば、TTSは、24時間または1日の間、患者の皮膚に適用および維持される。24時間または1日後、TTSは皮膚から除去され、新たなTTSが適用される。したがって、24時間または1日の投薬間隔は、24時間処置における日1回TTS交換モードを可能にする。
【0074】
この発明の意味内で、「長時間期間」という用語は、少なくとも20時間または少なくとも24時間、好ましくは20時間から48時間、より好ましくは20時間から30時間、最も好ましくは約24時間の期間に関する。
【0075】
この発明の意味内で、「室温」という用語は、実験が行われる実験室において室内で見出される非変更温度を指し、通常15℃から35℃、好ましくは18℃から25℃内にある。
【0076】
この発明の意味内で、「患者」という用語は、処置の必要を示唆する特別な症状(単数または複数)の臨床病態を表している、状態について防止的または予防的に処置される対象または処置されるべき状態と診断された対象を指す。
【0077】
この発明の意味内で、「薬物動態学的パラメータ」という用語は、例えば、健康なヒト対象への活性薬剤TTS、例えばアセナピンTTSの単一用量、多用量または定常状態投与によって、臨床研究において得られた血中血漿曲線、例えばCmax、CtおよびAUCt1-t2を記載するパラメータを指す。個々の対象の薬物動態学的パラメータは、算術平均および相乗平均、例えば平均Cmax、平均AUCtおよび平均AUCINF、ならびに追加の統計、例えばそれぞれの標準偏差および標準誤差、最小値、最大値、および値のリストがランク付けされる場合の中心値(中央)を使用して要約される。本発明の文脈において、薬物動態学的パラメータ、例えばCmax、CtおよびAUCt1-t2は、算術平均値または相乗平均値を指し、好ましくは相乗平均値を指す。臨床研究におけるある特定のTTSについて得られた絶対平均値は、研究毎にある程度変動することは除外できない。研究間の絶対平均値の比較を可能にするため、参照製剤、例えば将来において、本発明に基づく任意の生成物は、内部標準として使用することができる。早期および後期の研究におけるそれぞれの参照生成物の放出面積当たりのAUCの比較は、研究毎の差異を考慮するための補正因子を得るために使用することができる。
【0078】
本発明による臨床研究は、医薬品規制調和国際会議(ICH)ならびに全ての適用可能な現地の優良臨床試験基準(GCP)および規制に完全に遵守して行われる研究を指す。
【0079】
この発明の意味内で、「健康なヒト対象」という用語は、55kgから100kgを範囲とする体重および18から29を範囲とする肥満度指数(BMI)ならびに正常の生理学的パラメータ、例えば血圧などを有する男性または女性の対象を指す。本発明の目的のための健康なヒト対象は、ICHの推奨に基づくとともに従う包含および除外基準に従って選択される。
【0080】
この発明の意味内で、「対象集団」という用語は、少なくとも10人の個々の健康なヒト対象を指す。
【0081】
この発明の意味内で、「相乗平均」という用語は、元のスケールに逆変換された対数変換データの平均を指す。
【0082】
この発明の意味内で、「算術平均」という用語は、観察の合計数で割られた観察の全ての値の和を指す。
【0083】
この発明の意味内で、「AUC」というパラメータは、血漿濃度-時間曲線下の面積に対応する。AUC値は、合計で血液循環に吸収された活性薬剤の量に比例し、それゆえ、生物学的利用能についての尺度である。
【0084】
この発明の意味内で、「AUCt1-t2」というパラメータは、(ng/ml)hで提供され、t1時間目からt2時間目の血漿濃度-時間曲線下の面積に関連し、線形台形方法によって算出される。
【0085】
この発明の意味内で、「Cmax」というパラメータは、(ng/ml)で提供され、活性薬剤の最大観察血中血漿濃度に関連する。
【0086】
この発明の意味内で、「Ct」というパラメータは、(ng/ml)で提供され、t時間目に観察された活性薬剤の血中血漿濃度に関連する。
【0087】
この発明の意味内で、「tmax」というパラメータは、hrで提供され、Cmax値が達せられる時点に関連する。言い換えると、tmaxは、最大観察血漿濃度の時点である。
【0088】
この発明の意味内で、「平均血漿濃度」という用語は、(ng/ml)で提供され、各時点での、活性薬剤、例えばアセナピンの個々の血漿濃度の平均である。
【0089】
この発明の意味内で、「コーティング組成物」という用語は、溶媒中にアセナピン含有層、好ましくはアセナピン含有マトリックス層の全ての構成成分を含む組成物を指し、これは、バッキング層または剥離ライナーにコーティングされることで、乾燥にて活性薬剤含有層を形成することができる。
【0090】
この発明の意味内で、「溶解する」という用語は、清澄であるとともに裸眼に見えるようないずれの粒子も含有しない溶液を得るプロセスを指す。
【0091】
この発明の意味内で、「溶媒」という用語は、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレン、ヘキサン、ヘプタン、特にn-ヘプタン、トルエンおよびその混合物などの揮発性有機液体である任意の液体物質を指す。
【0092】
この発明の意味内で、および別段に特定されていない限り、「約」という用語は、開示されている量の±10%である量を指す。一部の実施形態において、「約」という用語は、開示されている量の±5%である量を指す。一部の実施形態において、「約」という用語は、開示されている量の±2%である量を指す。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】実施例1に従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図2】実施例2に従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図3】
図3aは、実施例3aaおよび3baに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
図3bは、実施例3abおよび3bbに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図4】実施例4a、4bおよび4cに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図5】実施例5a、5bおよび5cに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図6】実施例6a、6bおよび6cに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図7】実施例7aおよび7bに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図8】実施例8aおよび8bに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図9】実施例9aおよび9bに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図10】ミニブタにおいて、実施例10に従って調製された、シリコーン油を含むリザーバー系によって提供されたアセナピン血中血漿濃度を示す図である。
【
図11】実施例11aおよび11bに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図12】実施例12aおよび12bに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率を示す図である。
【
図13】
図13aおよび
図13bは、実施例13a~fに従って調製されたTTSのアセナピン皮膚浸透率および物質利用を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0094】
TTS構造
本発明は、治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。これに関する本発明のいくつかの態様が上に記載されてきた。
【0095】
好ましくは、本発明による自己接着層構造は、A)バッキング層、およびB)1.遊離塩基の形態におけるアセナピン、および2.アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマーを含むアセナピン含有層;ならびにC)場合により、追加の皮膚接触層を含む。
【0096】
したがって、本発明の一実施形態によると、アセナピンの経皮投与のための経皮治療システムは、アセナピンの治療有効量を含有する自己接着層構造を含み、前記自己接着層構造は:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む。
【0097】
一実施形態において、バッキング層は、実質的にアセナピン不浸透性である。こうしたバッキング層は、閉塞性バッキング層と称することもできる。
【0098】
本発明によるTTSは、マトリックス型TTSまたはリザーバー型TTSであってよく、好ましくはマトリックス型TTSである。
【0099】
本発明によるマトリックス型TTSにおいて、アセナピンは、アセナピン含有マトリックス層に含まれる。したがって、アセナピン含有層は、好ましくは、上記で詳細に定義されている通りのアセナピン含有マトリックス層である。こうしたマトリックス型TTSにおける自己接着層構造は、追加の皮膚接触層など1つまたはそれ以上のさらなる層を含むことができる。好ましくは、皮膚接触層は活性薬剤フリーである。皮膚接触層およびアセナピン含有マトリックス層は、同じポリマーまたは異なるポリマーを含むことができる。アセナピン含有マトリックス層およびさらなる層(単数または複数)のいずれも、互いに直接接触しているまたは速度制御膜などの膜によって分離される。アセナピン含有マトリックス層が、実質的に同じ組成物である2つのアセナピン含有マトリックス層を積層することによって調製されるならば、結果として得られた二重層は、1つのマトリックス層とみなされるべきである。
【0100】
本発明によるとリザーバー型TTSにおいて、アセナピンは、液体または半液体リザーバーに含まれる。したがって、アセナピン含有層は、アセナピンを含むリザーバーおよびポリマー層を含むアセナピン含有リザーバー層であってもよく、ここで、リザーバーおよびポリマー層は、場合により、速度制御膜によって互いに分離することができる。こうしたリザーバー型TTSにおける自己接着層構造は、追加の皮膚接触層など1つまたはそれ以上のさらなる層を含むことができる。好ましくは、皮膚接触層は活性薬剤フリーである。アセナピン含有リザーバー層およびさらなる層(単数または複数)のいずれも、互いに直接接触しているまたは速度制御膜などの膜によって分離することができる。
【0101】
特定の一実施形態において、本発明による自己接着性層構造は、追加の皮膚接触層を含む。追加の皮膚接触層は、自己接着性であり、投与中に自己接着性層構造と患者の皮膚との間の接着を提供する。
【0102】
別の実施形態において、本発明による自己接着性層構造は、追加の皮膚接触層を含まない。投与中の自己接着層構造と患者の皮膚との間の十分な接着は、次いで、他の手段によって、例えばアセナピン含有層、好ましくはアセナピン含有マトリックス層によって提供される。代替としてまたは追加として、接着剤オーバーレイが使用されることがある。
【0103】
したがって、本発明のある特定の実施形態によると、TTSは、接着剤オーバーレイをさらに含むことができる。この接着剤オーバーレイは、特に、アセナピン含有自己接着性層構造よりも大きく、全体的な経皮治療システムの接着特性を増強するためにそこに付着されている。前記接着剤オーバーレイは、バッキング層も含む。前記接着剤オーバーレイの面積は、TTSの全体的サイズを増やすが、放出面積を増やさない。接着剤オーバーレイは、活性薬剤含有自己接着性層構造に含まれる任意のポリマーまたはポリマー混合物と同一または異なっていてよいアクリルポリマー、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、ポリシロキサン、およびその混合物の群から選択される自己接着性ポリマーまたは自己接着性ポリマー混合物を含む。
【0104】
本発明による自己接着性層構造は、通常、剥脱可能な保護層(剥離ライナー)上に位置され、ここから、それは患者の皮膚の表面に適用される直前に除去される。したがって、TTSは、剥離ライナーをさらに含むことができる。このやり方で保護されたTTSは、通常、ブリスターパックまたは継ぎ目密閉パウチに貯蔵される。包装は、子供に安全および/または高齢者に優しくあり得る。
【0105】
アセナピン含有層
より詳細に上記で概説されている通り、本発明によるTTSは、アセナピン含有層を含む自己接着性層構造を含む。
【0106】
一実施形態において、アセナピン含有層は:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;ならびに
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー
を含む。
【0107】
本発明の一実施形態において、アセナピン含有層は、マトリックス層である。別の実施形態において、アセナピン含有層は、リザーバー層である。アセナピン含有層は、アセナピン含有マトリックス層であるのが好ましい。
【0108】
本発明の一実施形態において、アセナピン含有層は、遊離塩基の形態でアセナピンを組み込むことによって得られる。結果として、本発明によるTTSのアセナピン含有層は、典型的に、遊離塩基の形態でアセナピンを含む。加えて、アセナピンは、部分的に、プロトン化された形態で存在することができる。しかしながら、アセナピン含有層におけるアセナピンの少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも75mol%は、遊離塩基の形態で存在するのが好ましい。特別な好ましい実施形態において、アセナピン含有層におけるアセナピンの少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも99mol%は、遊離塩基の形態で存在する。好ましくは、アセナピン含有層は、マレイン酸アセナピンを含まない。ある特定の実施形態において、アセナピン含有層はアセナピン塩がない。
【0109】
本発明の一実施形態において、アセナピン含有層におけるアセナピンの量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から10重量%、好ましくは2重量%から7重量%を範囲とする。
【0110】
本発明の一実施形態において、アセナピン含有層におけるアセナピンの量は、3mgから21mg、好ましくは3.5mgから14mgを範囲とする。
【0111】
一実施形態において、アセナピン含有層におけるポリマーは、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択される。好ましくは、アセナピン含有層におけるポリマーは、ポリシロキサンである。本発明のある特定の実施形態において、ポリマーは圧力感受性接着性ポリマーである。この場合において、アセナピン含有層は、好ましくは、接着特性を有するマトリックス層であることで、追加の皮膚接触層は必要とされない。マトリックス層組成物は、第2のポリマーを含むことができる、または2つ以上のさらなるポリマーを含むことができる。
【0112】
本発明の一実施形態において、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマーの量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて55重量%から98重量%、好ましくは70重量%から98重量%、または80重量%から98重量%である。本発明の好ましい実施形態において、アセナピン含有層は、80重量%から96重量%、好ましくは90重量%から96重量%の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマーを含む。ポリマーの混合物がアセナピン含有層中に存在することができることも理解されるべきである。したがって、アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量における、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマーに加えて、さらなるポリマー、例えば、追加のポリシロキサンもしくはポリイソブチレン、アクリルポリマーまたはスチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、またはその混合物が存在することができる。アセナピン含有層は、ポリシロキサンまたはポリイソブチレン、および場合により、ポリシロキサン、ポリイソブチレン、アクリルポリマーおよびスチレン-イソプレン-スチレンコポリマーを含めて他のポリマーから選択することができる少なくとも1種の追加のポリマーを少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも70重量%含むのが好ましい。特に好ましいのは、アセナピン含有層の総重量に基づいて55重量%から98重量%、好ましくは70重量%から98重量%、または80重量%から98重量%の量でポリシロキサンを含むアセナピン含有層である。本発明の殊に好ましい実施形態において、アセナピン含有層は、80重量%から96重量%、好ましくは90重量%から96重量%の量でポリシロキサンを含む。
【0113】
理論によって束縛されることを望むことなく、良好なインビトロ皮膚浸透、24時間の投薬間隔に対する適合性、同様に高度な活性成分利用など、本発明によるTTSの有利な特性は、とりわけ、アセナピンが遊離塩基の形態で存在するという事実によって、ならびにポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるとともにアセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で存在するアセナピン含有層におけるポリマーの選択によって達成されると思われる。特に、アセナピン含有層におけるアセナピンの総量の少なくとも90mol%が遊離塩基の形態で存在するとともに、アセナピン含有層が、アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超、好ましくは少なくとも55重量%、より好ましくは少なくとも70重量%の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマーをさらに含むならば、有利であることが見出された。ポリシロキサンは、24時間の投薬間隔に適当なTTSを提供するのに特に有利である。
【0114】
浸透増強剤がアセナピン含有層中に存在することは必ずしも必要とされないが、それでもなお良好なインビトロ皮膚浸透は達成することができることが見出された。一実施形態において、アセナピン含有層は、そのため、浸透増強剤を含まない。好ましい一実施形態において、アセナピン含有層は、パルミチン酸イソプロピルを含まない。好ましい一実施形態において、アセナピン含有層は、オレイン酸、オレインアルコールおよびトリグリセリドから選択される浸透増強剤を含まない。別の実施形態において、アセナピン含有層は、酢酸ナトリウムまたは二酢酸ナトリウムを含まない。なお別の実施形態において、アセナピン含有層は、ジカルボン酸アルカリ塩を含まない。なお別の実施形態において、アセナピン含有層は、マレイン酸アルカリ塩を含まない。
【0115】
本発明のある特定の実施形態において、放出の面積は、5cm2から60cm2、好ましくは10cm2から40cm2を範囲とする。ある特定の好ましい実施形態において、放出の面積は、10cm2から50cm2、例えば10cm2から25cm2、または25cm2から50cm2である。ある特定の特に好ましい実施形態において、放出の面積は、20cm2から40cm2を範囲とする。
【0116】
本発明のある特定の実施形態において、アセナピン含有層の面積重量は、50g/m2から120g/m2、好ましくは70g/m2から100g/m2を範囲とする。ある特定の好ましい実施形態において、面積重量は、75g/m2から85g/m2を範囲とする。
【0117】
別の実施形態において、アセナピン含有層は:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のシリコーンポリマー
を含む。
好ましくは、アセナピン含有層は、
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量でアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のシリコーンポリマー;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤;ならびに
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で、結晶化阻害剤
を含むアセナピン含有マトリックス層である。
アセナピン含有層の面積重量は、好ましくは、70g/m2から100g/m2を範囲とする。好ましくは、安定剤は、トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、またはその組合せであり、結晶化阻害剤は、ポリビニルピロリドンである。さらに、アセナピンは遊離塩基の形態であるのが好ましい。さらに、シリコーンポリマーは、好ましくは、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサンとシリケート樹脂との重縮合によって得られる。より好ましくは、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサン対シリケート樹脂の比は、70:30から50:50、好ましくは56:44から54:46、例えば約55:45の範囲である。特に好ましくは、少なくとも1種のシリコーンポリマーの残留の官能基は、トリメチルシロキシ基でキャップされている。これは、シリコーンポリマーのアミン適合性を提供する。
【0118】
なお別の実施形態において、アセナピン含有層は、
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から15重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン
を含む。
好ましくは、アセナピン含有層は、
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から15重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から20重量%の量で、親水性ポリマー
を含むアセナピン含有マトリックス層である。
上記に示されている通り、少なくとも1種のポリイソブチレンの量は、アセナピン含有層に含有されるポリイソブチレン(単数または複数)の総量である。アセナピン含有層の面積重量は、好ましくは、40g/m2から250g/m2を範囲とし、特に好ましくは20時間から30時間の投薬間隔の間40g/m2から125g/m2であり、好ましくは24時間が意図される。好ましくは、親水性ポリマーはポリビニルピロリドンである。さらに、アセナピンは遊離塩基の形態であるのが好ましい。アセナピンの量は、好ましくは、アセナピン含有層の総重量に基づいて4重量%から12重量%、好ましくは6重量%から10重量%の範囲である。さらに、少なくとも1種のポリイソブチレンは、99:1から50:50、好ましくは90:10から60:40、より好ましくは85:15から70:30の比における低分子量ポリイソブチレンおよび高分子量ポリイソブチレンの組合せであるのが好ましい。特に好ましくは、低分子量ポリイソブチレンは、38,000g/molから42,000g/molの粘度平均分子量および/または34,000g/molから40,000g/molの重量平均分子量を有し、高分子量ポリイソブチレンは、1,100,000g/molから1,120,000g/molの粘度平均分子量および/または1,540,000g/molから1,560,000g/molの重量平均分子量を有する。少なくとも1種のポリイソブチレン、特に低分子量および高分子量ポリイソブチレンの上記組合せの量は、好ましくは、アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から90重量%である。
【0119】
アセナピン
本発明によると、自己接着層構造は、アセナピンを、特に治療有効量で含む。好ましくは、治療有効量のアセナピンは、自己接着層構造のアセナピン含有層中に提供され、遊離塩基の形態で存在する。
【0120】
本発明の一実施形態において、アセナピン含有層は、遊離塩基の形態でアセナピンを組み込むことによって得られる。
【0121】
本発明の一実施形態において、アセナピン含有層におけるアセナピンの少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも75mol%は、遊離塩基の形態で存在する。特別な好ましい実施形態において、アセナピン含有層におけるアセナピンの少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも99mol%は、遊離塩基の形態で存在する。
【0122】
本発明の一実施形態において、TTSにおけるアセナピンの総量の少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも75mol%は、遊離塩基の形態で存在する。特別な好ましい実施形態において、TTSにおけるアセナピンの総量の少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも99mol%は、遊離塩基の形態で存在する。
【0123】
一実施形態において、アセナピン含有層は、マレイン酸アセナピンを含まない。ある特定の実施形態において、アセナピン含有層はアセナピン塩がない。
【0124】
一実施形態において、本発明のTTSは、マレイン酸アセナピンを含まない。
【0125】
アセナピン含有層におけるアセナピンは、アセナピン粒子の形態で存在することができ、好ましくはアセナピン遊離塩基からなり得る。該粒子は、好ましくは、アセナピン含有層内に均質に分布される。
【0126】
上記で概説されている通り、本発明のTTSは、高度な活性成分利用を提供する。典型的に、治療有効量のアセナピンは、24時間の投薬間隔にわたってTTSから放出される。高度な活性成分利用により、アセナピン含有層においてむしろ低い量のアセナピンで十分である。
【0127】
ある特定の実施形態において、アセナピン含有層におけるアセナピンの量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から10重量%、好ましくは2重量%から7重量%を範囲とする。
【0128】
ある特定の実施形態において、経皮治療システムに含有されるアセナピンの量は、3mgから21mg、好ましくは3.5mgから14mgを範囲とする。
【0129】
ある特定の実施形態において、アセナピンは、定量的HPLCによって決定される場合に少なくとも95%の、好ましくは少なくとも98%の、より好ましくは少なくとも99%の純度を有する。定量的HPLCは、UV検出を用いる逆相HPLCで行うことができる。特に、HPLCが均一濃度で行われるならば、以下の条件が使用される:
カラム: オクタデシル相acc.Ph.Eur. 2.2.29(USP相L1)
Kromasil C18 125mm×4.0mm;5μmまたは同等のもの
移動相: KH2PO4/メタノール/TEA(45:55:0.1;v:v:v);pH2.5±0.05(TEA=トリエチルアミン)
勾配: 均一濃度
フラックス: 1.0mL
注入体積: 30μL
カラム温度: 40℃
波長: 225nm、270nmおよび3Dフィールド;評価は270nmで行われる
実行時間: 10分
さらに、HPLCが勾配で行われるならば、以下の条件が使用される:
カラム: オクタデシル相acc.Ph.Eur. 2.2.29(USP相L1)
Kinetex C18 EVO 100mm×4.6mm;2.1μmまたは同等のもの
移動相: A:0.02molのKH2PO4緩衝液/メタノール/TEA(70:30:0.1;v:v:v)pH2.5まで調整
B:0.02molのKH2PO4緩衝液/メタノール/TEA(30:70:0.1;v:v:v);pH2.5まで調整(TEA=トリエチルアミン)
フラックス: 1.0mL
注入体積: 30μL
カラム温度: 40℃
波長: 225nm、270nmおよび3Dフィールド;評価は225nmで行われる
実行時間: 32分
勾配プロファイル: 0.00分:A:100%B:0%
12.00分:A:40% B:60%
18.00分:A:0% B:100%
27.00分:A:0% B:100%
27.01分:A:100% B:0%
32.00分:A:100% B:0%
【0130】
ポリマー
上記で概説されている通り、本発明の特定の実施形態によるTTSは、アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量でポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマーを含むアセナピン含有層を含む自己接着層構造を含む。アセナピン含有層におけるポリシロキサンまたはポリイソブチレンの使用は、活性成分利用およびTTSの浸透特性の点から有利であることが見出された。結果として得られた本発明によるTTSは、24時間の投薬間隔に特に適当である。
【0131】
ある特定の実施形態において、ポリマー、即ちポリシロキサンまたはポリイソブチレンは、圧力感受性接着性ポリマーであるので、良好な接着特性も得られる。これは、アセナピン含有層が本発明による好ましいアセナピン含有マトリックス層であるならば、特に関連する。好ましくは、追加の皮膚接触層は、アセナピン含有マトリックス層が50重量%超の量でポリシロキサンまたはポリイソブチレンを含むならば必要とされず、ここで、前記ポリシロキサンまたはポリイソブチレンは、圧力感受性接着性ポリマーである。この場合において、TTSは、好ましくは、バッキング層上に存在する唯一の層としてアセナピン含有マトリックス層を有する単層構造に基づいている。圧力感受性接着性ポリマーは、マトリックス層の十分な密着および接着を提供する。
【0132】
本発明のある特定の実施形態において、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンから選択されるポリマーは、アセナピン含有層の総重量に基づいて少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の量でアセナピン含有層中に存在する。好ましくは、該量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて55重量%から98重量%、好ましくは70%重量から98重量%、または80重量%から98重量%を範囲とする。本発明の好ましい実施形態において、アセナピン含有層は、80重量%から98重量%、好ましくは90重量%から98重量%、より好ましくは92重量%から98重量%の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマーを含む。上記で定義されている通りの量でアセナピン含有層中に存在するポリマーが、ポリシロキサンから選択されるならば、ポリシロキサンの組合せも包含されると理解されるべきである。好ましくは、ポリシロキサンの1つの型のみが、アセナピン含有層中に存在する。上記で定義されている通りの量でアセナピン含有層中に存在するポリマーが、ポリイソブチレンから選択されるならば、ポリイソブチレンの組合せも包含されると理解されるべきである。一実施形態において、ポリイソブチレンの1つの型のみが、アセナピン含有層中に存在する。別の実施形態において、ポリイソブチレンの2つの異なる型の組合せが、アセナピン含有層中に存在する。
【0133】
加えて、少なくとも1種のさらなるポリマーが、アセナピン含有層中に存在することができる。少なくとも1種のさらなるポリマーは、ポリシロキサン、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーおよびアクリルポリマーから選択することができる。例えば、追加のポリマーは、アクリルポリマーであってよい。
【0134】
一実施形態において、50重量%超の量でアセナピン含有層中に存在するポリマーは、ポリシロキサンまたはポリシロキサンの組合せである。好ましい実施形態において、ポリシロキサンまたはポリシロキサンの組合せは、少なくとも55重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%の量で存在する。別の好ましい実施形態において、ポリシロキサンまたはポリシロキサンの組合せは、アセナピン含有層の総重量に基づいて55重量%から98重量%、好ましくは70%重量から98重量%または80重量%から98重量%を範囲とする量で存在する。好ましくは、アセナピン含有層は、50重量%超の量で1種のみのポリシロキサンを含む。好ましい実施形態において、ポリシロキサンは、少なくとも55重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%の量で存在する。別の好ましい実施形態において、ポリシロキサンは、アセナピン含有層の総重量に基づいて55重量%から98重量%、好ましくは70重量%から98重量%、または80重量%から98重量%を範囲とする量で存在する。本発明の殊に好ましい実施形態において、アセナピン含有層は、80重量%から98重量%、好ましくは90重量%から98重量%、より好ましくは92重量%から98重量%の量でポリシロキサンを含む。ある特定の実施形態において、ポリシロキサンは別にして、追加のポリマーは存在しないのが好ましい。他の実施形態において、殊に、ポリシロキサンの量がアセナピン含有層の総重量に基づいて例えば55重量%から80重量%の範囲であるならば、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーおよびアクリルポリマーから選択される追加のポリマーは、アセナピン含有層中に存在することができる。次いで、アセナピン含有層における全てのポリマーの総量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて80重量%から98重量%であるのが好ましい。
【0135】
別の実施形態において、50重量%超の量でアセナピン含有層中に存在するポリマーは、ポリイソブチレンまたはポリイソブチレンの組合せである。好ましい実施形態において、ポリイソブチレンまたはポリイソブチレンの組合せは、少なくとも55重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%の量で存在する。別の好ましい実施形態において、ポリイソブチレンまたはポリイソブチレンの組合せは、アセナピン含有層の総重量に基づいて55重量%から98重量%、好ましくは70重量%から98重量%、殊に好ましくは70重量%から90重量%を範囲とする量で存在する。ある特定の実施形態において、ポリイソブチレンは別にして、追加のポリマーは存在しないのが好ましい。他の実施形態において、殊に、ポリイソブチレンまたはポリイソブチレンの組合せがアセナピン含有層の総重量に基づいて例えば55重量%から80重量%の範囲であるならば、ポリシロキサン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーおよびアクリルポリマーから選択される追加のポリマーは存在することができる。次いで、アセナピン含有層における全てのポリマーの総量は、アセナピン含有層の総重量に基づいて80重量%から98重量%であるのが好ましい。
【0136】
本発明による適当なポリマーは、例えば商標名BIO-PSA(ポリシロキサン)、Oppanol(商標)(ポリイソブチレン)、JSR-SIS(スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー)またはDuro-Tak(商標)(アクリルポリマー)の下で市販されている。
【0137】
「ポリシロキサン」という用語は、本明細書で使用される場合、ポリシロキサンに基づいているポリマーを指し、シリコーンベースのポリマー、シリコーンポリマーまたはシリコーンと称することもできる。圧力感受性ポリシロキサン、即ちポリシロキサンに基づく圧力感受性接着剤は、シリコーンベースの圧力感受性接着剤、またはシリコーン圧力感受性接着剤と称することもできる。本発明には、圧力感受性接着剤ポリシロキサンが好ましい。これらの圧力感受性接着剤は、適当な粘着、および湿った皮膚を含めて様々な皮膚型に対する迅速な結合、適当な接着性および密着性品質、皮膚に対して長く続く接着、高程度の可撓性、水分への浸透性、ならびに多くの活性物およびフィルム基材に対する適合性を提供する。十分なアミン耐性、およびそのためアミンの存在下での安定性の増強をそれらに提供することが可能である。こうした感圧接着剤は、樹脂-イン-ポリマー概念に基づいており、ここで、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサンとシリケート樹脂との縮合反応によって、ポリシロキサンが調製され、ここで、アミン安定性にため、残留のシラノール官能基は、トリメチルシロキシ基で追加的にキャップされている。シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサン含有量は、粘度-弾性挙動の粘性構成成分に寄与し、接着剤の湿潤および展延特性に影響する。該樹脂は、粘着付与剤および補強剤として作用し、弾性構成成分に関与する。ジメチコノールと樹脂との間の補正バランスは、補正接着特性を提供する。
【0138】
上記の観点から、本発明のシリコーンポリマー(本明細書において、「ポリシロキサン」とも称される)は、一般に、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサとシリケート樹脂との重縮合によって得られる。アミン適合性シリコーンポリマーは、ポリマーのシラノール含有量を低減するためにシリコーンポリマーをトリメチルシリル(例えばヘキサメチルジシラザン)と反応させることによって得ることができる。結果として、残留のシラノール官能基は、トリメチルシロキシ基で少なくとも部分的に、好ましくは大部分または完全にキャップされている。
【0139】
上記に示されている通り、シリコーンポリマーの粘着性は、樹脂対ポリマー比、即ちシラノール末端ブロックポリジメチルシロキサン対シリケート樹脂の比を変更することができ、好ましくは、70:30から50:50、好ましくは65:35から55:45の範囲である。粘着性は、樹脂に相対した漸増量のポリマーで増加される。高粘着性シリコーンポリマーは、好ましくは55:45の樹脂対ポリマー比を有し、中粘着性シリコーンポリマーは、好ましくは60:40の樹脂対ポリマー比を有し、低い粘着性シリコーンポリマーは、好ましくは65:35の樹脂対ポリマー比を有する。高粘着性シリコーンポリマーは、好ましくは、0.01rad/sおよび30℃で5×106ポアズの複素粘度を有し、中粘着性シリコーンポリマーは、好ましくは、0.01rad/sおよび30℃で5×107ポアズの複素粘度を有し、低い粘着性シリコーンポリマーは、好ましくは、0.01rad/sおよび30℃で5×108ポアズの複素粘度を有する。高粘着性アミン適合性シリコーンポリマーは、好ましくは、0.01rad/sおよび30℃で5×106ポアズの複素粘度を有し、中粘着性アミン適合性シリコーンポリマーは、好ましくは、0.01rad/sおよび30℃で5×108ポアズの複素粘度を有し、低粘着性アミン適合性シリコーンポリマーは、好ましくは、0.01rad/sおよび30℃で5×109ポアズの複素粘度を有する。
【0140】
市販されているポリシロキサンに基づく有用な圧力感受性接着剤の例としては、Dow Comingによって製造される標準BIO-PSAシリーズ(7-4400、7-4500および7-4600シリーズ)、アミン適合性(末端キャップされている)BIO-PSAシリーズ(7-4100、7-4200および7-4300シリーズ)およびSoft Skin Adhesivesシリーズ(7-9800)が挙げられる。ポリシロキサンに基づく好ましい圧力感受性接着剤は、BIO-PSA 7-4201、BIO-PSA 7-4301、BIO-PSA 7-4501を含めて、ヘプタン溶媒和圧力感受性接着剤である。例えば、BIO-PSA 7-4201は、25℃およびヘプタン中約70%の固形分で450mPa sの溶液粘度ならびに0.01rad/sにて30℃で1×108ポアズの複素粘度を特徴とする。BIO-PSA 7-4301は、25℃でおよびヘプタン中約70%の固形分で500mPa sの溶液粘度ならびに0.01rad/sにて30℃で5×106ポアズの複素粘度を有する。
【0141】
シリコーンポリマーは、n-ヘプタン、酢酸エチルまたは他の揮発性シリコーン流体のような溶媒中で供給および使用される。本発明には、n-ヘプタンが好ましい。溶媒におけるシリコーンポリマーの固形分は、通常、60%から80%の間、好ましくは70%から80%の間、または60%から70%の間である。当技術者は、固形分が、適当な量の溶媒を添加することによって修飾することができることを承知している。
【0142】
例えばDow Corningから入手可能であるシリコーンポリマーは、以下のスキームに従って得ることができる:
【化1】
こうしたシリコーンポリマーは、標準シリコーン接着剤とも称され、Dow Corningから、例えば、溶媒n-ヘプタン(コード「01」によって示されている)中で提供される商標BIO-PSA 7-4401、BIO-PSA-7-4501またはBIO-PSA 7-4601の下で、または溶媒酢酸エチル(コード「02」によって示されている)中で提供される商標BIO-PSA 7-4402、BIO-PSA 7-4502およびBIO 7-4602の下で入手可能である。溶媒中の典型的な固形分は、60%から75%の範囲である。コード「44」は、低い粘着性をもたらす65:35の樹脂対ポリマー比を示し、コード「45」は、中程度の粘着性をもたらす60:40の樹脂対ポリマー比を示し、コード「46」は、高い粘着性をもたらす55:45の樹脂対ポリマー比を示す。
【0143】
例えばDow Corningから入手可能であるアミン適合性シリコーンポリマーは、以下のスキームに従って得ることができる:
【化2】
こうしたアミン適合性シリコーンポリマーは、Dow Corningから、例えば、溶媒n-ヘプタン(コード「01」によって示されている)中で提供される商標BIO-PSA 7-4101、BIO-PSA-7-4201またはBIO-PSA 7-4301の下で、または溶媒酢酸エチル(コード「02」によって示されている)中で提供される商標BIO-PSA 7-4102、BIO-PSA 7-4202およびBIO 7-4302の下で入手可能である。溶媒中の典型的な固形分は、60%から75%の範囲である。コード「41」は、低い粘着性をもたらす65:35の樹脂対ポリマー比を示し、コード「42」は、中程度の粘着性をもたらす60:40の樹脂対ポリマー比を示し、コード「43」は、高い粘着性をもたらす55:45の樹脂対ポリマー比を示す。
【0144】
本発明に従ってポリシロキサンに基づく好ましい圧力感受性接着剤は、25℃およびn-ヘプタン中60%の固形分で、好ましくは50rpmでスピンドル番号5が備えられているブルックフィールドRVT粘度計を使用して測定された場合の約150mPa s超、または約200mPa sから約700mPa sの溶液粘度を特徴とする。これらは、0.01rad/sにて30℃で約1×109ポアズ未満、または約1×105から約9×108ポアズの複素粘度も特徴とし得る。
【0145】
ポリシロキサンの接着強度は、所望の皮膚接触に十分であり得る。本発明のある特定の実施形態において、可塑剤または粘着付与薬剤は、圧力感受性接着剤の接着特徴を改善するために製剤に組み込まれる。ポリテルペン、ロジン誘導体またはシリコーン油など少量の粘着付与剤を添加することによって粘着を改善することは、個々の場合において有利であり得る。好ましい実施形態において、粘着付与薬剤は、シリコーン油(例えば、Dow Coming Corporation、Midland、Mich.から入手可能な360 Medical Fluid)である。
【0146】
圧力感受性接着剤は、n-ヘプタン、酢酸エチルまたは他の揮発性シリコーン流体のような溶媒中で供給および使用される。本発明には、n-ヘプタンが好ましい。溶媒におけるポリシロキサンの固形分は、通常60%から85%の間、好ましくは70%から80%の間である。溶媒におけるポリイソブチレンの固形分は、通常30%から50%の間、好ましくは35%から40%の間である。当技術者は、固形分が、適当な量の溶媒を添加することによって変更することができることを承知している。本発明に従ってポリシロキサンに基づく好ましい圧力感受性接着剤は、25℃でおよびn-ヘプタン中60%の固形分で約150mPa s超、または約200mPa sから約700mPa sの溶液粘度を特徴とする。これらは、0.01rad/sにて30℃で約1×109ポアズ未満、または約1×105から約9×108ポアズの複素粘度も特徴とし得る。
【0147】
ポリシロキサンに基づく適当な圧力感受性接着剤は、Dow CORNING(登録商標)BIO-PSA標準シリコーン接着剤から得ることができる。好ましいのはBIO-PSA 7 4301である。
【0148】
本発明による適当なポリイソブチレンは、Oppanol(登録商標)という商標下で入手可能である。高分子量ポリイソブチレン(B100/B80)および低分子量ポリイソブチレン(B10、B11、B12、B13)の組合せが使用されることがある。低分子量ポリイソブチレン対高分子量ポリイソブチレンの適当な比は、100:1から1:100、好ましくは95:5から40:60、より好ましくは90:10から80:20の範囲である。特に、少なくとも1種のポリイソブチレンは、99:1から50:50、好ましくは90:10から60:40の比における低分子量ポリイソブチレンおよび高分子量ポリイソブチレンの組合せであるのが好ましい。典型的に、低分子量ポリイソブチレンは、10,000g/molから70,000g/molの粘度平均分子量、および/または10,000g/molから70,000g/molの重量平均分子量を有し、高分子量ポリイソブチレンは、1,000,000g/molから1,200,000g/molの粘度平均分子量、および/または1,400,000g/molから1,600,000g/molの重量平均分子量を有する。特に好ましくは、低分子量ポリイソブチレンは、38,000g/molから42,000g/molの粘度平均分子量および/または34,000g/molから40,000g/molの重量平均分子量を有し、高分子量ポリイソブチレンは、1,100,000g/molから1,120,000g/molの粘度平均分子量および/または1,540,000g/molから1,560,000g/molの重量平均分子量を有する。ポリイソブチレン組合せのための好ましい例は、85/15または90/10の比におけるB10/B100である。Oppanol(登録商標)B100は、1,110,000の粘度平均分子量Mv、および1,550,000の重量平均分子量Mwを有する。Oppanol(登録商標)B10は、40,000の粘度平均分子量Mv、および36,000の重量平均分子量Mwを有する。ある特定の実施形態において、ポリブテンは、ポリイソブチレンに添加することができる。
【0149】
追加のポリマーおよび添加剤は、密着および/または接着を増強するために添加することもできる。
【0150】
ある特定のポリマーは、特に、低温流を低減し、したがって、追加のポリマーとして特に適当である。ポリマー性マトリックスは、低温流を示すことがあり、というのは、こうしたポリマー組成物は、非常に高い粘度にもかかわらず、非常にゆっくり流れるという能力をしばしば呈するからである。したがって、貯蔵中、マトリックスは、バッキング層の端部をある程度流れることがある。これは、貯蔵安定性の問題であり、ある特定のポリマーの添加によって防止することができる。塩基性アクリレートポリマー(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートに基づくコポリマーであるEudragit(登録商標)E100)は、例えば、低温流を低減するために使用することができる。したがって、ある特定の実施形態において、マトリックス層組成物は、塩基性ポリマー、特に、例えばEudragit(登録商標)E100などのアミン官能性アクリレートを追加として含む。Eudragit(登録商標)E100は、2:1:1の比を有するジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートに基づくカチオン性コポリマーである。該モノマーは、コポリマー鎖に沿って無作為に分布されている。SEC方法に基づき、Eudragit(登録商標)E100の重量平均モル質量(Mw)は、およそ47,000g/molである。
【0151】
さらなる添加剤
本発明によるTTS、特にアセナピン含有層は、少なくとも1種の添加剤または賦形剤をさらに含むことができる。前記添加剤または賦形剤は、好ましくは、結晶化阻害剤、可溶化剤、親水性ポリマー、充填剤、スキンケア用物質、pH調節剤、保存料、粘着付与剤、軟化剤、安定剤および浸透増強剤から、特に結晶化阻害剤、スキンケア用物質、粘着付与剤、軟化剤、安定剤および浸透増強剤からなる群から選択される。さらに、前記添加剤または賦形剤は、好ましくは、結晶化阻害剤、可溶化剤、充填剤、スキンケア用物質、pH調節剤、保存料、粘着付与剤、軟化剤、安定剤および浸透増強剤から、特に結晶化阻害剤、スキンケア用物質、粘着付与剤、軟化剤、安定剤および浸透増強剤からなる群から選択される。こうした添加剤は、添加剤当たり、アセナピン含有層の総重量に基づいて0.001重量%から20重量%、または0.001重量%から15重量%、例えば1重量%から10重量%、または0.01重量%から5重量%の量でアセナピン含有層中に存在することができる。ある特定の実施形態において、全ての添加剤の総量は、アセナピン含有層の0.001%から25%である。後文で、特定の添加剤の量についての範囲が与えられている場合、こうした範囲は、個々の添加剤当たりの量を指す。
【0152】
特に好ましい添加剤は、結晶化阻害剤および安定剤から選択される。本発明の好ましい実施形態において、TTSは、アセナピン含有層の総重量に基づいて、0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤および/または0.5重量%から10重量%の量で結晶化阻害剤を含む。これらの添加剤は、アセナピン含有層中にシリコーンポリマーを含むTTSに関して特に好ましい。
【0153】
アセナピン含有層中にポリイソブチレンを含むTTSに関して、TTSは、1重量%から20重量%、好ましくは5重量%から15重量%の量で親水性ポリマーを含むのが好ましい。親水性ポリマーは、TTSが水を吸収するのを可能にし、これが放出特性を改善することができる。
【0154】
医薬製剤において、製剤構成成分は、それらの物理化学的および生理学的特性に従って、およびそれらの機能に従ってカテゴリー化されることが留意されるべきである。これは、特に、1つのカテゴリーに入る物質または化合物が、製剤構成成分の別のカテゴリーに入るのを排除されないことを意味する。例えば、ある特定のポリマーは、結晶化阻害剤であるが、粘着付与剤でもあり得る。一部の物質は、例えば、典型的な軟化剤であるが、同時に浸透増強剤として作用することができる。当技術者は、ある特定の物質または化合物が属する製剤構成成分のカテゴリー(単数または複数)における彼の一般的な知識に基づいて決定することができる。以下において、賦形剤および添加剤に関する詳細が提供されるが、しかしながら、排他的であると理解されるべきでない。本記載に明白にリストされていない他の物質は、本発明に従って同様に使用することができ、製剤構成成分の1つのカテゴリーのために明白にリストされている物質および/または化合物は、本発明の意味において別の製剤構成成分として使用されることから排除されない。
【0155】
一実施形態において、アセナピン含有層は、結晶化阻害剤をさらに含む。一部の実施形態において、結晶化阻害剤は、アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で存在することができる。結晶化阻害剤の適当な例としては、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル/ビニルピロリドンコポリマーおよびセルロース誘導体が挙げられる。結晶化阻害剤は、好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンである。結晶化阻害剤は、活性薬剤の可溶性を増加させることまたは活性薬剤の結晶化を阻害することができる。
【0156】
一実施形態において、アセナピン含有層は、安定剤をさらに含み、ここで、安定剤は、好ましくは、トコフェロールおよびそのエステル誘導体、ならびにアスコルビン酸およびそのエステル誘導体から選択される。アセナピン含有層が安定剤を含むならば、安定剤は、アセナピン含有層の総重量に基づいて0.001重量%から2.0重量%、好ましくは0.01重量%から1.0重量%の量で存在する。一部の実施形態において、好ましい安定剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、脂肪酸のアスコルビルエステル、例えばパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリルおよびリノール酸トコフェリルが挙げられる。好ましい安定剤としては、脂肪酸のアスコルビルエステル、アスコルビン酸、トコフェロール、酢酸トコフェリルおよびリノール酸トコフェリルが挙げられる。特に好ましいのはトコフェロールである。その上、特に好ましいのは、トコフェロールおよびパルミチン酸アスコルビルの組合せである。
【0157】
一実施形態において、アセナピン含有層は、軟化剤/可塑剤をさらに含む。例証的な軟化剤/可塑剤としては、6個から20個の炭素原子を有する線状または分枝状、飽和または不飽和アルコール、トリグリセリドおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0158】
一実施形態において、アセナピン含有層は、可溶化剤をさらに含む。好ましい可溶化剤としては、例えば、中鎖および/または長鎖脂肪酸のグリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、プロピレングリコールエステルおよびポリオキシエチレンエステル、例えばモノリノール酸グリセリル塩、中鎖グリセリドおよび中鎖トリグリセリド、ヒマシ油を酸化エチレンと反応させることによって作製された非イオン性可溶化剤、ならびに脂肪酸または脂肪アルコールをさらに含有することができるその任意の混合物;セルロースおよびメチルセルロースならびにその誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロースアセテートスクシネート;様々なシクロデキストリンおよびその誘導体;ポロキサマーとして知られているポリオキシエチレンの2つの親水性鎖が側面にあるポリオキシプロピレンの中央疎水性鎖を有する非イオン性トリ-ブロックコポリマー;PVAc-PVCap-PEGとして省略されているとともにSoluplus(登録商標)として知られている、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー;天然誘導ヒマシ油の、ポリエチレングリコール400の、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80など)のまたはプロピレングリコールの精製グレード;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;同様に、下に記述されている可溶性ポリビニルピロリドンのいずれかだけでなく、Kollidon(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL-MおよびKollidon(登録商標)CL-SFなどクロスポビドンとしても知られている不溶性/架橋ポリビニルピロリドン、ならびにKollidon(登録商標)VA64などコポビドンとしても知られているポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーが挙げられる。
【0159】
しかしながら、その上、下に記述されている浸透増強剤は、可溶化剤として作用することができる。さらに、その上、結晶化阻害剤は、可溶化剤として作用することができる。
【0160】
一実施形態において、アセナピン含有層は、親水性ポリマーをさらに含み、これは、好ましくは、TTSが水を吸収するのを可能にする。上述されている可溶化剤の一部は、親水性ポリマーとしても有用であり得る。好ましい親水性ポリマーとしては、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、プロピレングリコールエステルおよびポリオキシエチレンエステル、セルロースおよびメチルセルロースならびにその誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロースアセテートスクシネート;ポロキサマーとして知られているポリオキシエチレンの2つの親水性鎖が側面にあるポリオキシプロピレンの中央疎水性鎖を有する非イオン性トリ-ブロックコポリマー;PVAc-PVCap-PEGとして省略されているとともにSoluplus(登録商標)としても知られている、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー;天然誘導ヒマシ油の、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80など)のまたはプロピレングリコールの精製グレード;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;同様に、下に記述されている可溶性ポリビニルピロリドンのいずれかだけでなく、Kollidon(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL-MおよびKollidon(登録商標)CL-SFなどクロスポビドンとしても知られている不溶性/架橋ポリビニルピロリドン、ならびにKollidon(登録商標)VA64などクロスポビドンとしても知られているポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーが挙げられる。特に好ましい親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドンである。
【0161】
一実施形態において、アセナピン含有層は、pH調節剤をさらに含む。適当なpH調節剤としては、アミン誘導体、無機アルカリ誘導体、および塩基性または酸性の官能基を有するポリマーを含めて、緩酸および塩基が挙げられる。
【0162】
一実施形態において、アセナピン含有層は、保存料をさらに含む。適当な保存料としては、パラベン、ホルムアルデヒド放出剤、イソチアゾリノン、フェノキシエタノール、および有機酸、例えば安息香酸、ソルビン酸、レブリン酸およびアニス酸が挙げられる。
【0163】
一実施形態において、アセナピン含有層は、スキンケア用物質をさらに含む。こうした物質は、皮膚応答スコアによって検出可能な場合の皮膚刺激を回避または低減するために使用することができる。適当なスキンケア用物質としては、コレステロール、デクスパンテノール、アルファ-ビサボロール、および抗ヒスタミン薬などステロール化合物が挙げられる。スキンケア用物質は、好ましくは、アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から10重量%の量で使用される。
【0164】
アセナピン含有層が自己接着特性を有するために必要とされるとともに、十分な自己接着特性を提供する/提供しない1種またはそれ以上のポリマーが選択されるならば、粘着付与剤が添加される。好ましい粘着付与剤としては、植物由来の長鎖不飽和偶数脂肪酸および長鎖不飽和偶数脂肪アルコールに基づく液体ワックスエステルであるミグリオール、ならびにポリエチレングリコールが挙げられる。特に、粘着付与剤は、ポリビニルピロリドン(水を吸収するというそれの能力により、マトリックス層の接着特性を維持することができ、したがって、広義において粘着付与剤とみなすことができる)、トリグリセリド、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペンおよびその誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、ならびにポリブテン、好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンから選択することができる。好ましくは、粘着付与剤は、ポリビニルピロリドン、トリグリセリド、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペンおよびその誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、ならびにポリブテン、好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンから選択することができる。一部の実施形態において、粘着付与剤は、アセナピン含有層の総重量に基づいて5重量%から15重量%の量で存在することができる。
【0165】
「可溶性ポリビニルピロリドン」という用語は、少なくともエタノール中で、好ましくは水、ジエチレングリコール、メタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、クロロホルム、塩化メチレン、2-ピロリドン、マクロゴール400、1,2プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、グリセリン、トリエタノールアミン、プロピオン酸および酢酸中でも、10%超で可溶性である、ポビドンとしても知られているポリビニルピロリドンを指す。市販されているポリビニルピロリドンの例としては、BASFによって供給されるKollidon(登録商標)12 PF、Kollidon(登録商標)17 PF、Kollidon(登録商標)25、Kollidon(登録商標)30およびKollidon(登録商標)90 F、またはポビドンK90Fが挙げられる。Kollidon(登録商標)の異なるグレードは、ポリビニルピロリドングレードの平均分子量を反映するK値によって定義される。Kollidon(登録商標)12 PFは、12の公称K値に対応する10.2から13.8のK値範囲を特徴とする。Kollidon(登録商標)17 PFは、17の公称K値に対応する15.3から18.4のK値範囲を特徴とする。Kollidon(登録商標)25は、25の公称K値に対応する22.5から27.0のK値範囲を特徴とし、Kollidon(登録商標)30は、30の公称K値に対応する27.0から32.4のK値範囲を特徴とする。Kollidon(登録商標)90 Fは、90の公称K値に対応する81.0から97.2のK値範囲を特徴とする。好ましいKollidon(登録商標)グレードは、Kollidon(登録商標)12 PF、Kollidon(登録商標)30およびKollidon(登録商標)90 Fである。
【0166】
この発明の意味内で、「K値」という用語は、「ポビドン」についてヨーロッパ薬局方(Ph.Eur.)およびUSP研究書に従って水中のポリビニルピロリドンの相対粘度から算出される値を指す。
【0167】
一実施形態において、アセナピン含有層は、浸透増強剤をさらに含む。浸透増強剤は、活性薬剤浸透性を増加させるという意味において角質層のバリア特性に影響を及ぼす物質である。浸透増強剤の一部の例は、多価アルコール、例えばジプロピレングリコール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール;油、例えばオリーブ油、スクアレンおよびラノリン;脂肪エーテル、例えばセチルエーテルおよびオレイルエーテル;脂肪酸エステル、例えばミリスチン酸イソプロピル;尿素および尿素誘導体、例えばアラントイン;極性溶媒、例えばジメチルデシルホスホキシド、メチルセチルスルホキシド、ジメチルラウリルアミン、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトニド、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミド;サリチル酸;アミノ酸;ニコチン酸ベンジル;ならびにより高い分子量の脂肪族界面活性剤、例えばラウリル硫酸塩である。他の薬剤としては、オレイン酸およびリノール酸、アスコルビン酸、パンテノール、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、オレイン酸プロピルならびにパルミチン酸イソプロピルが挙げられる。
【0168】
アセナピン含有層が浸透増強剤をさらに含むならば、浸透増強剤は、好ましくは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(transcutol)、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸ラウリルおよびジメチルプロピレン尿素から選択される。
【0169】
一実施形態において、アセナピン含有層は、浸透増強剤としてパルミチン酸イソプロピルを含まない。
【0170】
一実施形態において、アセナピン含有層は、オレイン酸、オレインアルコールおよびトリグリセリドから選択される浸透増強剤を含まない。
【0171】
一実施形態において、アセナピン含有層は、酢酸ナトリウムまたは二酢酸ナトリウムを含まない。なお別の実施形態において、アセナピン含有層は、ジカルボン酸アルカリ塩を含まない。なお別の実施形態において、アセナピン含有層層は、マレイン酸アルカリ塩を含まない。
【0172】
TTSは、浸透増強剤が存在しなくても、活性薬剤の十分な浸透性を提供することが見出された。そのため、本発明のある特定の実施形態において、アセナピン含有層は浸透増強剤を含まない。
【0173】
シリカゲル、二酸化チタンおよび酸化亜鉛などの充填剤は、所望のやり方で、密着および結合強度などある特定の物理的パラメータに影響を及ぼすために、ポリマーと併せて使用することができる。
【0174】
放出特徴
本発明によるTTSは、前定義されている長時間期間の間、体循環にアセナピンを経皮投与するように設計される。
【0175】
一実施形態において、本発明によるTTSは、少なくとも24時間の投与にわたってアセナピンの0.5mg/日から20mg/日、好ましくは3mg/日から10mg/日の、より好ましくは3mg/日から8mg/日の平均放出速度を提供する。
【0176】
一実施形態において、本発明によるTTSは、
最初の4時間に0μg/(cm2*h)から12μg/(cm2*h)、
4時間目から8時間目に1μg/(cm2*h)から22μg/(cm2*h)、
8時間目から12時間目に6μg/(cm2*h)から25μg/(cm2*h)、
12時間目から16時間目に5μg/(cm2*h)から20μg/(cm2*h)、
16時間目から20時間目4μg/(cm2*h)から18μg/(cm2*h)、
20時間目から24時間目に2μg/(cm2*h)から12μg/(cm2*h)
の、皮節化ヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定された場合のアセナピンの皮膚浸透率を提供する。
【0177】
一実施形態において、本発明による経皮治療システムは、24時間の時間期間にわたって120μg/cm2から380μg/cm2の、皮節化ヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定された場合のアセナピンの累積浸透量を提供する。
【0178】
一実施形態において、本発明による経皮治療システムは、
最初の4時間に0μg/cm2から50μg/cm2、
4時間目から8時間目に20μg/cm2から120μg/cm2、
8時間目から12時間目に40μg/cm2から220μg/cm2、
12時間目から16時間目に60μg/cm2から290μg/cm2、
16時間目から20時間目80μg/cm2から340μg/cm2、
20時間目から24時間目に100μg/cm2から380μg/cm2
の、皮節化ヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定された場合のアセナピンの浸透量を提供する。
【0179】
処置/医学的使用の方法
本発明の特定の態様によると、本発明によるTTSは、処置の方法における、特にヒト患者を処置する方法における使用のためのものである。
【0180】
ある特定の実施形態において、本発明によるTTSは、一般に精神病を処置する方法における使用のための、特にヒト患者における統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法における使用のためのものである。
【0181】
ある特定の実施形態において、本発明によるTTSは、ヒト患者における統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のため、特に、ヒト患者における双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のためのものである。ある特定の実施形態において、本発明によるTTSは、成人または小児患者10歳から17歳における双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のためのものである。
【0182】
ある特定の実施形態において、本発明によるTTSは、ヒト患者、特に成人における双極性障害を処置する方法におけるリチウムまたはバルプロエートに対する補助的処置としての使用のためのものである。ある特定の実施形態において、本発明によるTTSは、ヒト患者、特に成人における双極性障害を処置する方法における単独治療維持処置としての使用のためのものである。
【0183】
ある特定の実施形態において、本発明によるTTSは、処置の方法における、好ましくは一般に精神病を処置する方法におけるにおける使用のため、特に、ヒト患者における統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス症候群、大うつ病性障害、認知症関連の精神病、激越および躁病から選択される1つまたはそれ以上の状態を処置する方法における、殊に好ましくは統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のためのものであり、ここでTTSは、少なくとも20時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される。一実施形態において、本発明によるTTSは、TTSが20時間から30時間、好ましくは約24時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される処置の方法における使用のためのものである。したがって、TTSは、好ましくは、処置の方法における、好ましくは統合失調症および/または双極性障害を処置する方法における使用のためのものであり、ここで、24時間処置は、1日1回TTS交換モード(24時間の投薬間隔)で行われる。前に記述の実施形態に関して、「投薬間隔」という用語は、本発明の第1のTTSを投与する時間と該TTSを本発明の第2のTTSに置き換える時間との間の時間期間として理解されるべきである。したがって、TTSの投与時間は、好ましくは投薬間隔の時間に対応し、好ましくは20時間から30時間、特に好ましくは約24時間である。上記の使用および処置の方法に関して、本発明によるTTSは、好ましくは、定義されている投薬間隔の間、上部外腕、上胸部、上背部または胸部側部から選択される対象の少なくとも1つの身体表面に適用される。
【0184】
本発明のTTSは、1日2回(BID)5mgまたは10mgの投与量強度で投与される場合に舌下アセナピン錠剤で得られる血中血漿濃度に匹敵するアセナピンの血中血漿濃度を24時間にわたって提供することが見出された。
【0185】
したがって、一実施形態において、本発明によるTTSは、5(ng/ml)*hから100(ng/ml)*hのAUC0-24を受動的経皮送達によって提供する。好ましい実施形態において、TTSは、10(ng/mL)*hから90(ng/mL)*hのAUC0-24を受動的経皮送達によってを提供する。
【0186】
製造のプロセス
本発明は、経皮治療システムにおける使用のための、アセナピン含有層、好ましくはアセナピン含有マトリックス層の製造のプロセスにさらに関する。
【0187】
本発明によると、本発明による経皮治療システムにおける使用のためのアセナピン含有層を製造するためのプロセスは:
1)少なくとも構成成分
1.アセナピン塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー;および
3.場合により、少なくとも1種の添加剤;
を組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、マトリックス層を形成する工程
を含む。
【0188】
製造のこのプロセスにおいて、好ましくは工程1)において、好ましくはアセナピンが溶解されることで、コーティング組成物を得る。
【0189】
上に記載されているプロセスにおいて、溶媒は、好ましくは、アルコール溶媒、特にメタノール、エタノール、イソプロパノール、およびその混合物から、ならびに非アルコール性溶媒、特に酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、トルエン、およびその混合物から選択され、より好ましくは非アルコール性溶媒から選択され、最も好ましくは酢酸エチルまたはn-ヘプタンである。
【0190】
ある特定の実施形態において、上記プロセスにおけるポリマーは、溶液として、好ましくは60重量%から80重量%の固形分を有するn-ヘプタンまたは酢酸エチル中の溶液として提供されるポリシロキサンである。
【0191】
工程3)において、乾燥させることは、好ましくは50℃から90℃、より好ましくは60℃から90℃の温度で行われる。
【0192】
上記のプロセスは、特にアセナピン、ポリマーおよび添加剤に関連して提供されている優先に関して、上記で概説されている本発明の態様および実施形態に即して変更することができると理解されるべきである。
【0193】
実施例
本発明はここで、添付の実施例を参照して、より詳しく記載される。以下の記載は例示的のみであることが理解されるべきであり、決して本発明の制限として解釈されるべきでない。組成物における成分の量または面積重量に関して実施例に提供されている数値は、製造変動によりわずかに変動することがある。
【0194】
〔実施例1〕
コーティング組成物
実施例1のアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表1.1に要約されている。
【0195】
【0196】
コーティング組成物の調製
ビーカーにアセナピン塩基を充填した。溶媒(酢酸エチル)を添加し、続いて、シリコーン感圧接着剤(DOW CORNING(登録商標)BIO-PSA Q7-4301)を添加した。混合物をおよそ300rpmで(少なくとも60分)撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0197】
実施例のコーティング組成物のコーティング
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(片側がフルオロポリマーコーティングされている、75μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ15分間およそ室温でおよびおよそ25分間およそ60℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、77.8g/m2のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(ベージュに塗られている、23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着層構造が提供された。
【0198】
TTSの調製(全ての実施例に関する)
個々のシステム(TTS)を次いで、アセナピン含有自己接着性層構造から抜き出した。特定の実施形態において、上に記載されている通りのTTSは、活性薬剤がない圧力感受性接着剤マトリックス層を含む、好ましくは丸い角を有する、より大きい表面積のさらなる自己接着性層を設けることができる。これは、TTSが、それの物理的特性単独に基づいて、皮膚に十分に接着しない場合および/またはアセナピン含有マトリックス層が、無駄を回避する目的で目立った角を有する(四角または長方形の形状)場合に利点である。TTSを次いで抜き出し、一次包装材料のパウチ中に密封した。
【0199】
皮膚浸透率の測定
実施例1に従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(例えば、女性腹部、出生日1954年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.15cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表1.2および
図1に示されている。
【0200】
【0201】
〔実施例2〕
コーティング組成物
実施例2のアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表2.1に要約されている。
【0202】
【0203】
コーティング組成物の調製
コーティング組成物を実施例1に記載されている通りに調製し、ここで、α-トコフェロールを溶媒の添加の前に添加した。しかしながら、混合物をおよそ250rpmからおよそ1000rpmで(少なくとも60分)撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0204】
コーティング組成物のコーティング
コーティングプロセスについて実施例1を参照されたい。しかしながら、コーティングをおよそ10分間およそ室温でおよびおよそ15分間およそ60℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、75.1g/m2のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(ベージュに塗られている、23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着層構成が提供された。
【0205】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0206】
皮膚浸透率の測定
実施例2に従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞を用いて実施された、OECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(女性腹部、出生日1981年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.15cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表2.2および
図2に示されている。
【0207】
【0208】
〔実施例3AA~BB〕
コーティング組成物
実施例3aa~bbのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、表3.1aおよび3.1bに要約されている。
【0209】
【0210】
【0211】
コーティング組成物の調製
実施例3aaおよび3abのためのコーティング組成物を、実施例2に記載されている通りに調製した。実施例3baおよび3bbのためのコーティング組成物を、実施例2に記載されている通りに調製した。しかしながら、混合物をおよそ400rpmからおよそ1000rpmで(少なくとも60分)撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0212】
コーティング組成物のコーティング
実施例3aaおよび3abのため、コーティングプロセスについて実施例2を参照されたい。実施例3baおよび3bbのため、コーティングプロセスについて実施例1を参照されたい。しかしながら、コーティングをおよそ10分間およそ室温でおよびおよそ20分間およそ60℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ75.1g/m2(3aaおよび3ab)および110.45g/m2(3baおよび3bb)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(ベージュに塗られている、23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着層構造が提供された。
【0213】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0214】
実施例3aaおよび3baについて皮膚浸透率の測定
実施例3aaおよび3baに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞を用いて実施された、OECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(男性腹部、出生日1955年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.15cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定した。結果は、表3.2および
図3aに示されている。
【0215】
実施例3abおよび3bbについて皮膚浸透率の測定
実施例3abおよび3bbに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞を用いて実施された、OECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(女性腹部、出生日1978年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.15cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表3.2および
図3bに示されている。
【0216】
【0217】
〔実施例4A~C〕
実施例4a~cのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表4.1a、4.1bおよび4.1cに要約されている。
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
コーティング組成物の調製
実施例4a~cのコーティング組成物のため、ビーカーにアセナピン塩基を充填した。ジメチルプロピレン尿素(それぞれジイソプロピルアジペート)およびシリコーン感圧接着剤(DOW CORNING(登録商標)BIO-PSA Q7-4301)を添加した。混合物をおよそ200rpmからおよそ500rpmでおよそ30分間撹拌した。次いで、実施例4aおよび4bのため、溶媒石油エーテル、bp80~110℃を添加し、混合物をおよそ500rpmでおよそ60分間撹拌したのち、均質の混合物を得た。実施例4cのため、溶媒石油エーテル、bp80~110℃を添加しながら、およそ500rpmからおよそ1500rpmでおよそ60分間撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0222】
コーティング組成物のコーティング
実施例4a~cのため、コーティングプロセスについて実施例1を参照されたい。しかしながら、コーティングをおよそ10分間およそ室温でおよびおよそ15分間およそ90℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ96.2g/m2(4a)、98.8g/m2(4b)および99.4g/m2(4c)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(ベージュに塗られている、23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着層構造が提供された。
【0223】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0224】
皮膚浸透率の測定
実施例4a~cに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.15cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表4.2および
図4に示されている。
【0225】
【0226】
〔実施例5A~C〕
コーティング組成物
実施例5a~cのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表5.1a、5.1bおよび5.1cに要約されている。
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
コーティング組成物の調製
実施例5aおよび5cのコーティング組成物を、実施例1に記載されている通りに調製した。もしあるならば、シリコーン感圧接着剤の添加の前にKollidon90 F(ポリビニルピロリドン)を添加しながら、混合物をおよそ200rpmからおよそ500rpmでおよそ20分にわたって撹拌した。シリコーン感圧接着剤の添加の前に、次いで、混合物をおよそ200rpmからおよそ1000rpmでさらにおよそ60分間(実施例5cは、およそ1000rpmからおよそ1500rpmで、さらにおよそ180分間)撹拌したのち、均質の混合物を得た。実施例5bのため、ビーカーに溶媒石油エーテル、bp80~110℃を充填した。イソブチレン感圧接着剤を添加しながら、およそ200rpmで撹拌し、続いて、Kollidon90 F(ポリビニルピロリドン)およびアセナピン塩基を添加した。混合物を次いでおよそ200rpmからおよそ1500rpmでおよそ160分間撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0231】
コーティング組成物のコーティング
コーティングプロセスについて実施例4を参照されたい。しかしながら、実施例5bおよび5cのコーティングを、およそ10分間およそ室温でおよびおよそ20分間およそ90℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ110.5g/m2(5a)、85.7g/m2(5b)、および113.5g/m2(5c)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(ベージュに塗られている、23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着層構造が提供された。実施例5bのため、100μmの厚さを有するシリコン処理されたポリエチレンテレフタレート剥離ライナーを使用した。
【0232】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0233】
皮膚浸透率の測定
実施例5a~cに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.15cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表5.2および
図5に示されている。
【0234】
【0235】
〔実施例6A~C〕
コーティング組成物
実施例6a~cのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表6.1a、6.1bおよび6.1cに要約されている。
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
コーティング組成物の調製
ビーカーにアセナピン塩基を充填した。アクリル系感圧接着剤、続いてシリコーン感圧接着剤を添加した。次いで、溶媒を添加しながら、およそ200rpmからおよそ500rpm(実施例6bは、200rpmからおよそ1000rpm)で撹拌した。混合物を次いでおよそ1500rpmでおよそ150分間撹拌したのち、均質の混合物を得た。実施例6cのため、溶媒を添加しながら、およそ200rpmからおよそ1500rpmで撹拌した。混合物を次いでおよそ1500rpmでおよそ120分間撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0240】
コーティング組成物のコーティング
コーティングプロセスについて実施例5cを参照されたい。該コーティング厚さは、それぞれ93.7g/m2(6a)、130.2g/m2(6b)および105.3g/m2(6c)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(ベージュに塗られている、23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着層構造が提供された。
【0241】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0242】
皮膚浸透率の測定
実施例6a~cに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.15cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表6.2および
図6に示されている。
【0243】
【0244】
〔実施例7A、7B〕
コーティング組成物
実施例7aおよび7bのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表7.1aおよび7.1bに要約されている。
【0245】
【0246】
【0247】
コーティング組成物の調製
実施例7aのため、コーティング組成物を実施例1に記載されている通りに調製した。Transcutol(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)を、溶媒の添加前に添加した。Kollidon90K(ポリビニルピロリドン)を、シリコーン感圧接着剤の添加前に添加した。混合物をおよそ200rpmでおよそ180分間および次いでおよそ1000rpmでおよそ50分間撹拌したのち、均質の混合物を得た。実施例7bのため、ビーカーにイソブチレン感圧接着剤を充填し、続いて、アクリル系感圧接着剤を添加した。Transcutolを添加しながら、およそ200rpmで撹拌し、続いて、溶媒を添加しながら、およそ100rpmで撹拌した。次いで、アセナピン塩基を添加し、混合物をおよそ1000rpmでおよそ40分間撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0248】
コーティング組成物のコーティング
実施例7aのため、コーティングプロセスについて実施例4を参照されたい。実施例7bのため、コーティングプロセスについて実施例5bを参照されたい。該コーティング厚さは、それぞれ105.5g/m2(7a)および98.4g/m2(7b)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(ベージュに塗られている、23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着層構造が提供された。
【0249】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0250】
皮膚浸透率の測定
実施例7aおよび7bに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.16cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表7.2および
図7に示されている。
【0251】
【0252】
〔実施例8A、8B〕
コーティング組成物
実施例8aおよび8bのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表8.1aおよび8.1bに要約されている。
【0253】
【0254】
【0255】
コーティング組成物の調製
コーティング組成物を実施例1に記載されている通りに調製した。しかしながら、混合物をおよそ500rpmでおよそ90分間撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0256】
コーティング組成物のコーティング
コーティングプロセスについて実施例5cを参照されたい。異なる面積重量を有する2つのアセナピン含有マトリックス層を調製した。該厚さは、95.2g/m2の第1のマトリックス層の面積重量および39.05g/m2の第2のマトリックス層の面積重量を与えた。第1および第2のアセナピン含有自己接着層構造を調製した。
【0257】
第1の層構造にポリエチレンテレフタレートバッキング層(ベージュに塗られている、23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着層構造が提供された。第2の層構造にEVA(19%、VA)膜9712(実施例8bには、それぞれEVA(9%、VA)膜9702)を積層した。第1の層構造の剥離ライナーを除去し、この接着剤側を第2の層構造のEVA側に積層した。これは、バッキング層および剥離ライナーを有する、134.25g/m2のマトリックス層の面積重量を有するアセナピン含有自己接着層構造をもたらした。
【0258】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0259】
皮膚浸透率の測定
実施例8aおよび8bに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.15cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は表8.2および
図8に示されている。
【0260】
【0261】
〔実施例9A、9B〕
コーティング組成物
実施例9aおよび9bのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表9.1aおよび9.1bに要約されている。
【0262】
【0263】
【0264】
コーティング組成物の調製
コーティング組成物を実施例1に記載されている通りに調製した。しかしながら、混合物をおよそ400rpmでおよそ240分間撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0265】
実施例9aのコーティング組成物のコーティング
コーティング組成物について実施例8を参照されたい。しかしながら、第2のマトリックス層を、およそ10分間およそ室温でおよびおよそ10分間およそ90℃で乾燥させた。該厚さは、94.15g/m2の第1のマトリックス層の面積重量および37.9g/m2の第2のマトリックス層の面積重量を与えた。エチレン酢酸ビニル(EVA)(2%VA)膜Co Trans 9726を使用した。これは、バッキング層および剥離ライナーを有する、132.05g/m2のマトリックス層の面積重量を有するアセナピン含有自己接着層構造をもたした。
【0266】
実施例9bのコーティング組成物のコーティング
コーティングプロセスについて実施例9aを参照されたく、ここで、第1のアセナピン含有自己接着層構造は、DOW CORNING(登録商標)BIO-PSA Q7-4301(片側がフルオロポリマーコーティングされている、剥離ライナーとして75μmの厚さ)を含み、第2のアセナピン含有自己接着層構造は、Duro-Tak(商標)387-2287(PETシリコン処理されている、剥離ライナーとして100μmの厚さ)を含む。アクリレート層のコーティング厚さは、100.9g/m2のマトリックス層の面積重量を与え、皮膚接触層であり、ここで、EVA膜を使用しなかった。シリコーン層のコーティング厚さは、90.3g/m2のマトリックス層の面積重量を与えた。これは、バッキング層および剥離ライナーを有する、191.2g/m2のマトリックス層の面積重量を有するアセナピン含有自己接着層構造をもたらした。
【0267】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0268】
皮膚浸透率の測定
実施例9aおよび9bに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。スプリット厚のGoettingenミニブタ皮膚(雌性)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.16cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定した。結果は、表9.2および
図9に示されている。
【0269】
【0270】
〔実施例10〕
リザーバー組成物
実施例10のアセナピン含有リザーバー組成物の製剤は、下記の表10.1に要約されている。
【0271】
【0272】
リザーバー組成物の調製
ビーカーにアセナピン塩基を充填した。Transcutol(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)を添加し、続いて、シリコーン油Q7-9120 350 CSTを添加した。混合物を最初におよそ室温でおよそ400rpmにておよそ10分間撹拌した。次いで、混合物をおよそ80℃でおよそ400rpmにておよそ10分間撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0273】
リザーバー型TTSの調製
バッキング層、一片の紙、接着剤層を有するフォーム、接着剤層を有する膜、および剥離ライナーを含むリザーバー型TTSを形成した。フォームは、化学的に不活性であり、活性薬剤のためのリザーバー用スペースを形成する。膜は、0.028%から0.5%の孔サイズを有するPPおよび/またはPE(Celgard 24000)で作製されていた。膜は速度制御膜でなかった。したがって、液体リザーバー組成物は、速度制御膜を使用することなく直接適用された。
【0274】
Goettingenミニブタを使用するインビボ研究
実施例10に従って調製されたリザーバー型TTSのインビボ放出および対応する皮膚浸透率を、Goettingenミニブタ(雌性、約6カ月、単純なランダムサンプル方法によって無作為化された)を使用するインビボ実験によって決定した。10cm2の面積を有するリザーバー型TTSを使用し、1つのTTS製剤について1匹のGoettingenミニブタを使用した。ミニブタ当たり、3つの薬物含有リザーバー型TTSおよび1つのプラセボ含有リザーバー型TTS(各10cm2)を使用した。ミニブタ(3つの活性物用および1つのプラセボ用の)パッチ当たり全ての4つのパッチの合計装着時間は84時間だった。
【0275】
研究中、ミニブタを22±3℃で、40±15%の相対湿度で、6amから6pmに照明し、動物当たり約140~200gのカロリー低減された育種食物ssniffを1日2回用い、および無制限に水を用いて保持した。
【0276】
リザーバー型TTS(3
*本物および1プラセボ、各10cm
2)の上記単一用量適用に続き、3mlの血液サンプルを0時間、4時間、8時間、12時間、24時間、32時間、48時間、56時間、72時間、84時間および96時間に採取し、血液サンプルを2000×gで10分遠心分離し、血中血漿を得た。アセナピン血中血漿濃度をMS/MS検出とともにLC方法によって決定した。AUC値を血中血漿濃度から算出した。TTSの除去後、皮膚状態を肉眼的に決定し、Draizeスコアを下記のスコアスキームに基づいて得た。表皮および真皮の組織病理学的検査は、より深い組織層の刺激を示す形態学的または病理学的な変換を明らかにしなかった。組織検査結果は、角質層の病変または除去も示さなかった。アセナピンの残留量を定量的HPLCによって除去リザーバー型TTSにおいて決定し(上記を参照されたい)、アセナピンの経皮送達量をリザーバー型TTSに含まれるアセナピンの初期量に対する差異として算出した。結果は、表10.2および
図10に示されている。
【0277】
【0278】
〔実施例11A~B〕
コーティング組成物
実施例11aおよび実施例11bのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表11.1aおよび11.1bに要約されている。
【0279】
【0280】
【0281】
コーティング組成物の調製
コーティング組成物を実施例1に記載されている通りにビーカー中で調整し、ここで、実施例11aにおいて、α-トコフェロールをアセナピンに添加した後に溶媒およびシリコーン接着剤を添加したが、一方、実施例11bにおいて、アセナピンをα-トコフェロールに添加し、続いて、溶媒を添加し、次いでシリコーン接着剤を添加した。各場合において、混合物をおよそ250rpmからおよそ1,000rpmで(少なくとも60分)撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0282】
コーティング組成物のコーティング
コーティングプロセスについて実施例1を参照されたい。しかしながら、コーティングを、実施例11aの場合においておよそ10分間およそ室温でおよびおよそ15分間およそ60℃で、ならび実施例11bの場合においておよそ10分間およそ60℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、実施例11aの場合において91.1g/m2および実施例11bの場合において82.0g/m2のマトリックス層の面積重量を与えた。各場合において、乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(ベージュに塗られている、23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着層構造が提供された。
【0283】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0284】
皮膚浸透率の測定
実施例11aおよび11bに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(女性腹部、出生日1986年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.15cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表11.2および
図11に示されている。
【0285】
【0286】
〔実施例12A~B〕
コーティング組成物
実施例12aおよび実施例12bのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表12.1aおよび12.1bに要約されている。
【0287】
【0288】
【0289】
コーティング組成物の調製
コーティング組成物をビーカー中で調整した。実施例12aにおいて、アセナピンをα-トコフェロールに添加し、続いて溶媒を添加し、次いで、最初にポリビニルピロリドンおよび次いでシリコーン接着剤を添加し、一方、実施例12bにおいて、シリコーン接着剤をα-トコフェロールに添加し、続いて、ポリビニルピロリドンを添加し、次いで、最初にアセナピンおよび次いで溶媒を添加した。各場合において、混合物をおよそ200rpmからおよそ2000rpmで(少なくとも60分)撹拌したのち、均質の混合物を得た。
【0290】
コーティング組成物のコーティング
コーティングプロセスについて実施例1を参照されたい。しかしながら、コーティングを、実施例12aの場合においておよそ10分間およそ80℃で、ならびに実施例12bの場合においておよそ10分間室温でおよびおよそ10分間およそ80℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、実施例12aの場合において81.0g/m2および実施例12bの場合において78.9g/m2のマトリックス層の面積重量を与えた。各場合において、乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(ベージュに塗られている、23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着層構造が提供された。
【0291】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0292】
皮膚浸透率の測定
実施例12aおよび12bに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、10.0mlのFranz拡散細胞で実施された、OECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(女性の脚、出生日1965年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.15cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表12.2および
図12に示されている。
【0293】
【0294】
〔実施例13A~F〕
コーティング組成物
実施例13a~fのアセナピン含有コーティング組成物の製剤は、下記の表13.1に要約されている。製剤は、表13.1にも示されている通り、重量パーセントに基づいている。
【0295】
【0296】
コーティング組成物の調製
実施例13a~fのため、ビーカーにポリビニルピロリドン(Kollidon(登録商標)90 F)を最初に充填し、エタノールを添加しながら、およそ100~200rpmで撹拌した。ポリイソブチレン接着剤を次いで添加しながら、およそ400rpmで撹拌した。さらに、アセナピン塩基を添加しながら、およそ400rpmで撹拌し、最終的に、n-ヘプタンを添加しながら、およそ400~500rpmで撹拌したのち、均質な混合物を得た。
【0297】
コーティング組成物のコーティング、実施例13a~f
結果として得られたアセナピン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(シリコン処理されている、75μmの厚さ、これは剥離ライナーとして機能することができる)上にコーティングし、およそ10分~20分間室温でおよび20分~25分間80℃で乾燥させた。該コーティング厚さは、それぞれ52.8g/m2(実施例13a)、129.6g/m2(実施例13b)、188.4g/m2(実施例13c)、51.6g/m2(実施例13d)、128.2g/m2(実施例13e)、および185.9g/m2(実施例13f)のマトリックス層の面積重量を与えた。乾燥フィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(23μmの厚さ)を積層することで、アセナピン含有自己接着性層構造が提供された。
【0298】
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
【0299】
皮膚浸透率の測定
実施例13aから13fに従って調製されたTTSの浸透量および対応する皮膚浸透率を、7.0mlのFranz拡散細胞で実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従ったインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からのスプリット厚のヒト皮膚(女性腹部、出生日1969年)を使用した。皮節を使用することで、全てのTTSのために無傷の表皮で800μmの厚さに皮膚を調製した。1.151cm
2の面積を有するダイカットをTTSから抜き出した。32±1℃の温度でFranz細胞のレセプター媒体(抗細菌学的薬剤として0.1%生理食塩水アジ化物を有するリン酸緩衝溶液pH5.5)におけるアセナピン浸透量を測定し、対応する皮膚浸透率を算出した。結果は、表13.2および13.3ならびに
図13aに示されている。
【0300】
【0301】
【0302】
アセナピンの利用
72時間でのアセナピンの利用を、72時間での累積浸透量および初期のアセナピン含有量に基づいて算出した。結果は、表13.4および
図13bに示されている。
【0303】
【0304】
本発明は、特に、以下のさらなる項目に関する:
1.治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、経皮治療システム。
2.アセナピン含有層が、アセナピン含有マトリックス層である、
項目1に従った経皮治療システム。
3.アセナピン含有層が、アセナピン含有リザーバー層である、
項目1に従った経皮治療システム。
4.アセナピン含有層が、遊離塩基の形態でアセナピンを組み込むことによって得られる、
項目1から3のいずれか1つに従った経皮治療システム。
5.アセナピン含有層におけるアセナピンの少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも99mol%が、遊離塩基の形態で存在する、
項目1から4のいずれか1つに従った経皮治療システム。
6.アセナピン含有層におけるアセナピンの量が、アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から10重量%、好ましくは2重量%から7重量%を範囲とする、
項目1から5のいずれか1つに従った経皮治療システム。
7.経皮治療システムに含有されるアセナピンの量が、3mgから21mg、好ましくは3.5mgから14mgを範囲とする、
項目1から6のいずれか1つに従った経皮治療システム。
8.アセナピンが、定量的HPLCによって決定される場合の少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の純度を有する、
項目1から7のいずれか1つに従った経皮治療システム。
9.ポリマーの量が、アセナピン含有層の総重量に基づいて55重量%から98重量%、好ましくは70%重量から98重量%、または80重量%から98重量%を範囲とする、
項目1から8のいずれか1つに従った経皮治療システム。
10.ポリマーが、圧力感受性接着性ポリマーである、
項目1から9のいずれか1つに従った経皮治療システム。
11.ポリマーが、ポリシロキサンである、
項目1から10のいずれか1つに従った経皮治療システム。
12.ポリマーが、ポリイソブチレンである、
項目1から10のいずれか1つに従った経皮治療システム。
13.アセナピン含有層が、結晶化阻害剤、可溶化剤、充填剤、スキンケア用物質、pH調節剤、保存料、粘着付与剤、軟化剤、安定剤および浸透増強剤から、特に結晶化阻害剤、スキンケア用物質、粘着付与剤、軟化剤、安定剤および浸透増強剤から選択される少なくとも1種の添加剤または賦形剤をさらに含む、
項目1から12のいずれか1つに従った経皮治療システム。
14.アセナピン含有層が、結晶化阻害剤をさらに含み、ここで結晶化阻害剤は、好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンである、
項目1から13のいずれか1つに従った経皮治療システム。
15.アセナピン含有層が、安定剤をさらに含み、ここで安定剤は、好ましくは、トコフェロールおよびそのエステル誘導体ならびにアスコルビン酸およびそのエステル誘導体から選択される、
項目1から14のいずれか1つに従った経皮治療システム。
16.アセナピン含有層が、浸透増強剤をさらに含み、ここで浸透増強剤は、好ましくは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(transcutol)、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸ラウリルおよびジメチルプロピレン尿素から選択される、
項目1から15のいずれか1つに従った経皮治療システム。
17.アセナピン含有層が、パルミチン酸イソプロピルを含まない、
項目1から16のいずれか1つに従った経皮治療システム。
18.アセナピン含有層が、オレイン酸、オレインアルコールおよびトリグリセリドから選択される浸透増強剤を含まない、
項目1から17のいずれか1つに従った経皮治療システム。
19.アセナピン含有層が、浸透増強剤を含まない、
項目1から18のいずれか1つに従った経皮治療システム。
20.アセナピン含有層が、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートに基づくコポリマーをさらに含む、
項目1から19のいずれか1つに従った経皮治療システム。
21.放出面積が、5cm2から60cm2、好ましくは10cm2から40cm2を範囲とする、
項目1から20のいずれか1つに従った経皮治療システム。
22.アセナピン含有層の面積重量が、50g/m2から120g/m2、好ましくは70g/m2から100g/m2を範囲とする、
項目1から21のいずれか1つに従った経皮治療システム。
23.経皮治療システムが、
最初の4時間に0μg/(cm2*h)から12μg/(cm2*h)、
4時間目から8時間目に1μg/(cm2*h)から22μg/(cm2*h)、
8時間目から12時間目に6μg/(cm2*h)から25μg/(cm2*h)、
12時間目から16時間目に5μg/(cm2*h)から20μg/(cm2*h)、
16時間目から20時間目に4μg/(cm2*h)から18μg/(cm2*h)、
20時間目から24時間目に2μg/(cm2*h)から12μg/(cm2*h)
の、皮節化ヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの皮膚浸透率を提供する、
項目1から22のいずれか1つに従った経皮治療システム。
24.経皮治療システムが、24時間の時間期間にわたって120μg/cm2から380μg/cm2の、皮節化ヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピンの累積浸透量を提供する、
項目1から23のいずれか1つに従った経皮治療システム。
25.経皮治療システムが、
最初の4時間に0μg/cm2から50μg/cm2、
4時間目から8時間目に20μg/cm2から120μg/cm2、
8時間目から12時間目に40μg/cm2から220μg/cm2、
12時間目から16時間目に60μg/cm2から290μg/cm2、
16時間目から20時間目に80μg/cm2から340μg/cm2、
20時間目から24時間目に100μg/cm2から380μg/cm2
の、皮節化ヒト皮膚を用いるFranz拡散細胞において測定される場合のアセナピン浸透量を提供する、
項目1から24のいずれか1つに従った経皮治療システム。
26.経皮治療システムが、少なくとも24時間の投与にわたってアセナピンの、0.5mg/日から20mg/日、好ましくは3mg/日から10mg/日の、より好ましくは3mg/日から8mg/日の平均放出速度を提供する、
項目1から25のいずれか1つに従った経皮治療システム。
27.経皮治療システムが、5(ng/mL)*hから100(ng/mL)*hのAUC0-24を受動的経皮送達によって提供する、
項目1から26のいずれか1つに従った経皮治療システム。
28.経皮治療システムが、10(ng/mL)*hから90(ng/mL)*hのAUC0-24を受動的経皮送達によって提供する、
項目1から27のいずれか1つに従った経皮治療システム。
29.経皮治療システムが、剥離ライナーをさらに含む、
項目1から28のいずれか1つに従った経皮治療システム。
30.経皮治療システムが、接着剤オーバーレイをさらに含む、
項目1から29のいずれか1つに従った経皮治療システム。
31.バッキング層が、実質的にアセナピン不浸透性である、
項目1から30のいずれか1つに従った経皮治療システム。
32.経皮治療システムが、追加の皮膚接触層を含む、
項目1から31のいずれか1つに従った経皮治療システム。
33.経皮治療システムが、追加の皮膚接触層を含まない、
項目1から32のいずれか1つに従った経皮治療システム。
34.ヒト患者を処置する方法における使用のための、項目1から33のいずれか1つに従った経皮治療システム。
35.双極性障害および/または統合失調症、好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のための、項目1から34のいずれか1つに従った経皮治療システム。
36.20時間から30時間の、好ましくは約24時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される、項目34または35に従った使用のための経皮治療システム。
37.項目1から33のいずれか1つに定義されている通りの経皮治療システムを患者の皮膚に適用することによってヒト患者を処置する方法。
38.項目1から33のいずれか1つに定義されている通りの経皮治療システムを患者の皮膚に適用することによって、双極性障害および/または統合失調症、好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法。
39.経皮治療システムが、20時間から30時間の、好ましくは約24時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される、項目37または38に従った処置の方法。
40.項目1から33のいずれか1つに従った経皮治療システムにおける使用のためのアセナピン含有層を製造するためのプロセスであって:
1)少なくとも構成成分
1.アセナピン塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー;および
3.場合により、少なくとも1種の添加剤;
を組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、アセナピン含有層を形成する工程
を含む、アセナピン含有層を製造するためのプロセス。
41.ポリマーが溶液として提供され、溶媒が、アルコール溶媒、特にメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびその混合物から、および非アルコール性溶媒、特に酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、トルエン、およびその混合物から選択され、より好ましくは非アルコール性溶媒から選択され、最も好ましくは酢酸エチルまたはn-ヘプタンである、
項目40に従ったアセナピン含有層を製造するためのプロセス。
42.ポリマーが、溶液として、好ましくは60重量%から80重量%の固形分でn-ヘプタンまたは酢酸エチル中の溶液として提供されるポリシロキサンである、項目40または41に従ったアセナピン含有層を製造するためのプロセス。
43.治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
1.遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて少なくとも50重量%の量でポリシロキサン;および
3.安定剤;および
4.結晶化阻害剤;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、経皮治療システム。
44.治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量で、遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量でポリシロキサン;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤;および
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で結晶化阻害剤;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層;
を含み、
マトリックス層の面積重量が、70g/m2から100g/m2を範囲とする、
経皮治療システム。
45.治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量で、遊離塩基の形態におけるアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量でポリシロキサン;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量でトコフェロール;および
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量でポリビニルピロリドン;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層;
を含み、
マトリックス層の面積重量が、70g/m2から100g/m2を範囲とする、
経皮治療システム。
46.治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のシリコーンポリマー;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、経皮治療システム。
47.自己接着層構造が、
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有マトリックス層であるアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量でアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のシリコーンポリマー;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤;および
4.アセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で結晶化阻害剤;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、項目46に従った経皮治療システム。
48.アセナピン含有層の面積重量が、50g/m2から120g/m2、好ましくは70g/m2から100g/m2を範囲とする、項目47に従った経皮治療システム。
49.安定剤が、トコフェロール、パルミチン酸アスコルビルまたはその組合せである、および/または結晶化阻害剤が、ポリビニルピロリドンである、項目48に従った経皮治療システム。
50.アセナピンが、遊離塩基の形態である、項目46から49のいずれか1つに従った経皮治療システム。
51.シリコーンポリマーが、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサンとシリケート樹脂との重縮合によって得られる、項目46から50のいずれか1つに従った経皮治療システム。
52.シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサン対シリケート樹脂の比が、70:30から50:50、好ましくは56:44から54:46、例えば約55:45の範囲である、項目51に従った経皮治療システム。
53.少なくとも1種のシリコーンポリマーの残留の官能基が、トリメチルシロキシ基でキャップされている、項目51または52に従った経皮治療システム。
54.ヒト患者を処置する方法における使用のためのものである、項目46から53のいずれか1つに従った経皮治療システム。
55.双極性障害および/または統合失調症、好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のためのものである、項目46から53のいずれか1つに従った経皮治療システム。
56.20時間から30時間の、好ましくは約24時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される、項目54または55に従った使用のための経皮治療システム。
57.項目46から53のいずれか1つに従った経皮治療システムにおける使用のためのアセナピン含有層を製造するためのプロセスであって:
1)少なくとも構成成分
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量でアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のシリコーンポリマー;および
3.場合により、安定剤;および
4.場合により、結晶化阻害剤;
を組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、アセナピン含有層を形成する工程
を含む、プロセス。
58.治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
A)バッキング層;
B)以下を含むアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から15重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、経皮治療システム。
59.自己接着層構造が、
A)バッキング層;
B)以下を含む、アセナピン含有マトリックス層であるアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から15重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から20重量%の量で親水性ポリマー;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、項目58に従った経皮治療システム。
60.自己接着層構造が、
A)バッキング層;
B)以下を含む、アセナピン含有マトリックス層であるアセナピン含有層:
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて4重量%から12重量%の量でアセナピン;および
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から90重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン;および
3.アセナピン含有層の総重量に基づいて5重量%から15重量%の量で親水性ポリマー;
ならびに
C)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、項目58または59に従った経皮治療システム。
61.アセナピン含有層の面積重量が、40g/m2から250g/m2を範囲とする、項目58から60のいずれか1つに従った経皮治療システム。
62.親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドンである、項目59から61のいずれか1つに従った経皮治療システム。
63.アセナピンが、遊離塩基の形態である、項目58から62のいずれか1つに従った経皮治療システム。
64.少なくとも1種のポリイソブチレンが、99:1から50:50、好ましくは90:10から60:40の比における低分子量ポリイソブチレンおよび高分子量ポリイソブチレンの組合せである、項目58から63のいずれか1つに従った経皮治療システム。
65.低分子量ポリイソブチレンが、38,000g/molから42,000g/molの粘度平均分子量および/または34,000g/molから40,000g/molの重量平均分子量を有し、高分子量ポリイソブチレンが、1,100,000g/molから1,120,000g/molの粘度平均分子量および/または1,540,000g/molから1,560,000g/molの重量平均分子量を有する、項目64に従った経皮治療システム。
66.ヒト患者を処置する方法における使用のためのものである、項目58から65のいずれか1つに従った経皮治療システム。
67.双極性障害および/または統合失調症、好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のためのものである、項目58から65のいずれか1つに従った経皮治療システム。
68.経皮治療システムが、40g/m2から125g/m2、好ましくは60g/m2から100g/m2の面積重量を有し、20時間から30時間の、好ましくは約24時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される、項目66または67に従った使用のための経皮治療システム。
69.経皮治療システムが、125g/m2超から250g/m2、好ましくは150g/m2から250g/m2の面積重量を有し、少なくとも72時間の、好ましくは約84時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される、項目66または67に従った使用のための経皮治療システム。
70.項目58から65のいずれか1つに従った経皮治療システムにおける使用のためのアセナピン含有層を製造するためのプロセスであって:
1)少なくとも構成成分
1.アセナピン含有層の総重量に基づいて2重量%から15重量%の量でアセナピン;
2.アセナピン含有層の総重量に基づいて70重量%から98重量%の量で、少なくとも1種のポリイソブチレン;および
3.場合により、親水性ポリマー;
を組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、アセナピン含有層を形成する工程
を含む、プロセス。
【0305】
本発明は、特に以下の実施形態にさらに関する:
1.治療有効量のアセナピンを含む自己接着層構造を含むアセナピンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着層構造が:
a)バッキング層;
b)以下を含むアセナピン含有層:
(i)遊離塩基の形態におけるアセナピン;および
(ii)ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー50重量%超;
ならびに
c)場合により、追加の皮膚接触層
を含む、経皮治療システム。
2.アセナピン含有層が、アセナピン含有マトリックス層である、
実施形態1による経皮治療システム。
3.アセナピン含有層が、アセナピン含有リザーバー層である、
実施形態1による経皮治療システム。
4.アセナピン含有層が、遊離塩基の形態でアセナピンを組み込むことによって得られる、実施形態1から3のいずれか1つによる経皮治療システム。
5.アセナピン含有層におけるアセナピンの少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも99mol%が、遊離塩基の形態で存在する、
実施形態1から4のいずれか1つによる経皮治療システム。
6.アセナピン含有層におけるアセナピンの量が、アセナピン含有層の総重量に基づいて1重量%から10重量%、好ましくは2重量%から7重量%を範囲とする、
実施形態1から5のいずれか1つによる経皮治療システム。
7.経皮治療システムに含有されるアセナピンの量が、3mgから21mg、好ましくは3.5mgから14mgを範囲とする、
実施形態1から6のいずれか1つによる経皮治療システム。
8.ポリマーの量が、アセナピン含有層の総重量に基づいて55重量%から98重量%、好ましくは70重量%から98重量%、または80重量%から98重量%を範囲とする、
実施形態1から7のいずれか1つによる経皮治療システム。
9.ポリマーが、圧力感受性接着性ポリマーである、
実施形態1から8のいずれか1つによる経皮治療システム。
10.ポリマーが、ポリシロキサンである、
実施形態1から9のいずれか1つによる経皮治療システム。
11.ポリマーがポリイソブチレンである、
実施形態1から9のいずれか1つによる経皮治療システム。
12.ヒト患者を処置する方法における使用のための、実施形態1から11のいずれか1つによる経皮治療システム。
13.双極性障害および/または統合失調症、好ましくは双極性障害、特に双極性障害の急性躁病または混合エピソードを処置する方法における使用のための、実施形態1から12のいずれか1つによる経皮治療システム。
14.20時間から30時間の、好ましくは約24時間の投薬間隔の間、患者の皮膚に適用される、実施形態12または13による使用のための経皮治療システム。
15.実施形態1から11のいずれか1つによる経皮治療システムにおける使用のための、アセナピン含有層を製造するためのプロセスであって:
1)少なくとも構成成分
(i)アセナピン塩基の形態でにおけるアセナピン;
(ii)アセナピン含有層の総重量に基づいて50重量%超の量で、ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー;および
(iii)場合により、少なくとも1種の添加剤;
を組み合わせることで、コーティング組成物を得る工程;
2)コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間体ライナー上にコーティングする工程;ならびに
3)コーティングされたコーティング組成物を乾燥させることで、アセナピン含有層を形成する工程
を含む、プロセス。
16.アセナピン含有層が、結晶化阻害剤、可溶化剤、充填剤、スキンケア用物質、pH調節剤、保存料、粘着付与剤、軟化剤、安定剤および浸透増強剤からなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤をさらに含む、実施形態1~14のいずれか1つによる経皮治療システム。
17.アセナピン含有層が、アセナピン含有層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量で安定剤、およびアセナピン含有層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量で結晶化阻害剤を含む、実施形態16による経皮治療システム。
18.アセナピン含有マトリックス層が:
(ii)遊離塩基の形態におけるアセナピン;
(iii)アセナピン含有層の総重量に基づいて少なくとも50重量%の量でポリシロキサン;
(iv)トコフェロール;および
(v)ポリビニルピロリドン
を含む、実施形態2による経皮治療システム。
19.アセナピン含有マトリックス層が:
(ii)アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量で、遊離塩基の形態におけるアセナピン;
(iii)アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量でポリシロキサン;
(iv)アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量でトコフェロール;および
(v)アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量でポリビニルピロリドン;
を含み、
マトリックス層の面積重量が、70g/m2から100g/m2を範囲とする、
実施形態18による経皮治療システム。
20.それを必要とする患者における統合失調症を処置する方法であって、アセナピン含有自己接着層構造を含む経皮治療システムを患者に投与することを含み、前記自己接着層構造が:
a)バッキング層;ならびに
b)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
(i)治療有効量のアセナピン遊離塩基;および
(ii)ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー少なくとも50重量%
を含む、方法。
21.アセナピン含有マトリックス層が、結晶化阻害剤、可溶化剤、充填剤、スキンケア用物質、pH調節剤、保存料、粘着付与剤、軟化剤、安定剤および浸透増強剤からなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤をさらに含む、実施形態20による方法。
22.アセナピン含有マトリックス層が:
(i)アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて2重量%から7重量%の量で、遊離塩基の形態におけるアセナピン;
(ii)アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて85重量%から98重量%の量でポリシロキサン;
(iii)アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて0.01重量%から1.0重量%の量でトコフェロール;および
(iv)アセナピン含有マトリックス層の総重量に基づいて0.5重量%から10重量%の量でポリビニルピロリドン
を含む、実施形態20または21のいずれかによる方法。
23.経皮治療システムが、1日1回投与される、実施形態20~22のいずれかによる方法。
24.経皮治療システムが、約5(ng/ml)*hから約100(ng/ml)*hのアセナピンAUC0-24を提供する、実施形態20~23のいずれかによる方法。
25.経皮治療システムが、約10(ng/ml)*hから約90(ng/ml)*hのアセナピンAUC0-24を提供する、実施形態24による方法。
26.それを必要とする患者における双極性障害を処置する方法であって、アセナピン含有自己接着層構造を含む経皮治療システムを患者に投与することを含み、前記自己接着層構造が:
a)バッキング層;ならびに
b)以下を含むアセナピン含有マトリックス層:
(i)治療有効量のアセナピン遊離塩基;および
(ii)ポリシロキサンおよびポリイソブチレンからなる群から選択されるポリマー少なくとも50重量%
を含む、方法。
27.双極性障害が、双極性障害の急性躁病エピソードである、実施形態26による方法。
28.双極性障害が、双極性障害の混合エピソードである、実施形態26による方法。
29.アセナピン含有マトリックス層が、結晶化阻害剤、可溶化剤、充填剤、スキンケア用物質、pH調節剤、保存料、粘着付与剤、軟化剤、安定剤および浸透増強剤からなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤をさらに含む、実施形態26~28のいずれかによる方法。
30.アセナピン含有マトリックス層が:
(i)遊離塩基の形態におけるアセナピン2重量%から7重量%;
(ii)ポリシロキサン85重量%から98重量%;
(iii)トコフェロール0.01重量%から1.0重量%;および
(iv)ポリビニルピロリドン0.5重量%から10重量%
を含む、実施形態26~28のいずれかによる方法。
31.経皮治療システムが、1日1回投与される、実施形態26~29のいずれかによる方法。
32.経皮治療システムが、約5(ng/ml)*hから約100(ng/ml)*hのアセナピンAUC0-24を提供する、実施形態26~30のいずれかによる方法。
33.経皮治療システムが、約10(ng/ml)*hから約90(ng/ml)*hのアセナピンAUC0-24を提供する、実施形態32のいずれかによる方法。