(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】箱型簡易室
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
E04H1/12 302B
(21)【出願番号】P 2020165103
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520160808
【氏名又は名称】チヨダ加工センター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 輝哉
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3219523(JP,U)
【文献】登録実用新案第3225424(JP,U)
【文献】特開2017-110481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
A47C 19/00
A47C 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配される天板及び底板と、互いに平行に配される1組の側板とを少なくとも有し、内部に利用者を収容可能な空間が形成されるように、前記天板、前記底板及び前記側板が箱型に組み立てられたものからなる箱型簡易室であって、
前記側板は、合成樹脂製の発泡性板材からなり、かつ上端面に前記天板が載せられると共に下端面が前記底板に載せられるように起立した状態で配される板状の側板本体部と、前記側板本体部の内表面のうち前記上端面に沿った上側縁部に貼り付けられると共に前記上端面よりも上方にはみ出す板片状の上側挿入部と、前記側板本体部の内表面のうち前記下端面に沿った下側縁部に貼り付けられると共に前記下端面よりも下方にはみ出す板片状の下側挿入部とを有し、
前記天板は、前記発泡性板材からなり、前記側板本体部に対して垂直に配されるように、側端部が前記上端面に載せられる板状の天板本体部と、前記天板本体部の内表面のうち、前記上端面に載せられる前記側端部の内側にある部分に形成され、かつ前記上側挿入部が挿入される天板溝部と、前記天板本体部の外表面のうち、前記上端面に載せられる前記側端部の外表面付近に貼り付けられ、前記天板溝部を補強する板片状の天板補強部とを有し、
前記底板は、前記発泡性板材からなり、前記側板本体部に対して垂直に配されるように、側端部に前記下端面が載せられる板状の底板本体部と、前記底板本体部の内表面のうち、前記下端面が載せられる前記側端部の内側にある部分に形成され、かつ前記下側挿入部が挿入される底板溝部と、前記底板本体部の外表面のうち、前記下端面が載せられる前記側端部の外表面付近に貼り付けられ、前記底板溝部を補強する板片状の底板補強部とを有する箱型簡易室。
【請求項2】
互いに平行に配される天板及び底板と、互いに平行に配される1組の側板とを少なくとも有し、内部に利用者を収容可能な空間が形成されるように、前記天板、前記底板及び前記側板が箱型に組み立てられたものからなる箱型簡易室であって、
前記側板は、合成樹脂製の発泡性板材からなり、かつ上端面に前記天板が載せられると共に下端面が前記底板に載せられるように起立した状態で配される板状の側板本体部と、前記上端面のうち、前記側板本体部の内表面側の部分に形成され、前記上端面よりも上方に盛り上がった上側凸状部と、前記下端面のうち、前記側板本体部の内表面側の部分に形成され、前記下端面よりも下方に盛り上がった下側凸状部とを有し、
前記天板は、前記発泡性板材からなり、前記側板本体部に対して垂直に配されるように、側端部が前記上端面に載せられる板状の天板本体部と、前記天板本体部の内表面のうち、前記上側凸状部と対向する部分に形成され、かつ前記上側凸状部が嵌合される天板凹状部と、前記天板本体部の外表面のうち、前記天板凹状部の反対側にある外表面付近に貼り付けられ、前記天板凹状部を補強する板片状の天板補強部とを有し、
前記底板は、前記発泡性板材からなり、前記側板本体部に対して垂直に配されるように側端部に前記下端面が載せられる板状の底板本体部と、前記底板本体部の内表面のうち、前記下側凸状部と対向する部分に形成され、かつ前記下側凸状部が嵌合される底板凹状部と、前記底板本体部の外表面のうち、前記底板凹状部の反対側にある外表面付近に貼り付けられ、前記底板凹状部を補強する板片状の底板補強部とを有する箱型簡易室。
【請求項3】
前記天板の前端部と、前記底板の前端部と、1組の前記側板の各前端部とによって形成される枠状の開口端部の内側を、開閉可能な状態で塞ぐ扉を有し、
前記扉は、前記開口端部の内側を部分的に塞ぐと共に、前記天板の前記前端部、前記底板の前記前端部及び一方の前記側板の前記前端部にそれぞれ固定される固定扉と、閉状態の際に前記固定扉の側端部と前記開口端部とで形成される前記空間に繋がる出入口を塞ぐと共に、開状態の際に前記出入口が開放されるように、前記固定扉の前記側端部に回動可能な状態で取り付けられる可動扉とを有し、
前記固定扉は、
上端面に前記天板の前記前端部が載せられると共に下端面が前記底板の前記前端部に載せられるように起立した状態で配される板状の固定扉本体部と、
前記固定扉本体部の内表面のうち、前記固定扉本体部の前記上端面に沿った固定扉上側縁部に貼り付けられると共に前記固定扉本体部の前記上端面よりも上方にはみ出す板片状の固定扉用上側挿入部と、
前記固定扉本体部の内表面のうち前記固定扉本体部の前記下端面に沿った固定扉下側縁部に貼り付けられると共に前記固定扉本体部の前記下端面よりも下方にはみ出す板片状の固定扉用下側挿入部と、
前記固定扉本体部の内表面のうち、一方の前記側板の前記前端部に隣接する隣接側縁部に貼り付けられると共に、一方の前記側板の前記前端部に対向する前記固定扉本体部の対向側端面よりも側方にはみ出す板片状の固定扉用側方挿入部とを含
み、
前記扉が前記開口端部に取り付けられる際、
前記固定扉用上側挿入部は、前記天板の前記前端部における内表面側の部分に設けられた前側天板溝部に挿入され、
前記固定扉用下側挿入部は、前記底板の前記前端部における内表面側の部分に設けられた前側底板溝部に挿入され、
前記固定扉用側方挿入部は、一方の前記側板の前記前端部における内表面側の部分に設けられた第1側板溝部に挿入される請求項1又は請求項2に記載の箱型簡易室。
【請求項4】
前記可動扉と、前記固定扉の前記固定扉本体部は、合成樹脂製の発泡性板材からなる請求項3に記載の箱型簡易室。
【請求項5】
前記箱型簡易室は、体を横に倒した状態で前記利用者を前記空間内に収容するベッドとして利用できる請求項1~請求項4の何れか一項に記載の箱型簡易室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱型簡易室に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール材や発泡性板材等からなる組立式の箱型簡易室が知られている。この種の箱型簡易室は、例えば、災害時の避難所等において、ベッド(寝床)等として利用される。箱型簡易室の内部に利用者が入ると、利用者は壁で囲まれた状態となるため、外部からの視線を遮ること(つまり、利用者のプライバシーを確保すること)や、外部からの光(照明)や騒音等を遮ることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、発泡ポリスチレン等からなる発泡性板材に、段ボール材を貼り合わせたものを、壁材(天板、側板等)として利用する箱型寝床具が示されている。特許文献1では、発泡性板材に対して、一回り大きな板状の段ボール材を接着剤で貼り付けたもの壁材(天板等)として利用されている。つまり、壁材として、発泡性板材の全表面を覆うように、段ボール材が貼り付けられたものが使用される。また、壁材同士の接続は、発泡性板材よりも外側にはみ出した段ボール材の端部を、相手側の壁材の発泡性板材に設けられた溝部に挿し込むことで行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の箱型寝床具では、組み立て前の状態で、長期間保管等した場合に、壁材を構成する部材が収縮等するため、壁材に反りが発生することがあった。壁材を構成する発泡性板材に貼り付けられている段ボール材は、発泡性板材と比べて収縮等の程度が大きいため、発泡性板材と段ボール材との収縮差等に伴って反った形となる。壁材に反りが発生すると、組み立て時に、壁材同士の接続が難しく、問題となっていた。
【0006】
本発明の目的は、構成部材に反り等の変形が発生することが抑制された箱型簡易室を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 互いに平行に配される天板及び底板と、互いに平行に配される1組の側板とを少なくとも有し、内部に利用者を収容可能な空間が形成されるように、前記天板、前記底板及び前記側板が箱型に組み立てられたものからなる箱型簡易室であって、前記側板は、合成樹脂製の発泡性板材からなり、かつ上端面に前記天板が載せられると共に下端面が前記底板に載せられるように起立した状態で配される板状の側板本体部と、前記側板本体部の内表面のうち前記上端面に沿った上側縁部に貼り付けられると共に前記上端面よりも上方にはみ出す板片状の上側挿入部と、前記側板本体部の内表面のうち前記下端面に沿った下側縁部に貼り付けられると共に前記下端面よりも下方にはみ出す板片状の下側挿入部とを有し、前記天板は、前記発泡性板材からなり、前記側板本体部に対して垂直に配されるように、側端部が前記上端面に載せられる板状の天板本体部と、前記天板本体部の内表面のうち、前記上端面に載せられる前記側端部の内側にある部分に形成され、かつ前記上側挿入部が挿入される天板溝部と、前記天板本体部の外表面のうち、前記上端面に載せられる前記側端部の外表面付近に貼り付けられ、前記天板溝部を補強する板片状の天板補強部とを有し、前記底板は、前記発泡性板材からなり、前記側板本体部に対して垂直に配されるように、側端部に前記下端面が載せられる板状の底板本体部と、前記底板本体部の内表面のうち、前記下端面が載せられる前記側端部の内側にある部分に形成され、かつ前記下側挿入部が挿入される底板溝部と、前記底板本体部の外表面のうち、前記下端面が載せられる前記側端部の外表面付近に貼り付けられ、前記底板溝部を補強する板片状の底板補強部とを有する箱型簡易室。
【0008】
<2> 互いに平行に配される天板及び底板と、互いに平行に配される1組の側板とを少なくとも有し、内部に利用者を収容可能な空間が形成されるように、前記天板、前記底板及び前記側板が箱型に組み立てられたものからなる箱型簡易室であって、前記側板は、合成樹脂製の発泡性板材からなり、かつ上端面に前記天板が載せられると共に下端面が前記底板に載せられるように起立した状態で配される板状の側板本体部と、前記上端面のうち、前記側板本体部の内表面側の部分に形成され、前記上端面よりも上方に盛り上がった上側凸状部と、前記下端面のうち、前記側板本体部の内表面側の部分に形成され、前記下端面よりも下方に盛り上がった下側凸状部とを有し、前記天板は、前記発泡性板材からなり、前記側板本体部に対して垂直に配されるように、側端部が前記上端面に載せられる板状の天板本体部と、前記天板本体部の内表面のうち、前記上側凸状部と対向する部分に形成され、かつ前記上側凸状部が嵌合される天板凹状部と、前記天板本体部の外表面のうち、前記天板凹状部の反対側にある外表面付近に貼り付けられ、前記天板凹状部を補強する板片状の天板補強部とを有し、前記底板は、前記発泡性板材からなり、前記側板本体部に対して垂直に配されるように側端部に前記下端面が載せられる板状の底板本体部と、前記底板本体部の内表面のうち、前記下側凸状部と対向する部分に形成され、かつ前記下側凸状部が嵌合される底板凹状部と、前記底板本体部の外表面のうち、前記底板凹状部の反対側にある外表面付近に貼り付けられ、前記底板凹状部を補強する板片状の底板補強部とを有する箱型簡易室。
【0009】
<3> 前記天板の前端部と、前記底板の前端部と、1組の前記側板の各前端部とによって形成される枠状の開口端部の内側を、開閉可能な状態で塞ぐ扉を有し、前記扉は、前記開口端部の内側を部分的に塞ぐと共に、前記天板の前記前端部、前記底板の前記前端部及び一方の前記側板の前記前端部にそれぞれ固定される固定扉と、閉状態の際に前記固定扉の側端部と前記開口端部とで形成される前記空間に繋がる出入口を塞ぐと共に、開状態の際に前記出入口が開放されるように、前記固定扉の前記側端部に回動可能な状態で取り付けられる可動扉とを有し、前記固定扉は、上端面に前記天板の前記前端部が載せられると共に下端面が前記底板の前記前端部に載せられるように起立した状態で配される板状の固定扉本体部と、前記固定扉本体部の内表面のうち、前記固定扉本体部の前記上端面に沿った固定扉上側縁部に貼り付けられると共に前記固定扉本体部の前記上端面よりも上方にはみ出す板片状の固定扉用上側挿入部と、前記固定扉本体部の内表面のうち前記固定扉本体部の前記下端面に沿った固定扉下側縁部に貼り付けられると共に前記固定扉本体部の前記下端面よりも下方にはみ出す板片状の固定扉用下側挿入部と、前記固定扉本体部の内表面のうち、一方の前記側板の前記前端部に隣接する隣接側縁部に貼り付けられると共に、一方の前記側板の前記前端部に対向する前記固定扉本体部の対向側端面よりも側方にはみ出す板片状の固定扉用側方挿入部とを含む前記<1>又は<2>に記載の箱型簡易室。
【0010】
<4> 前記固定扉の前記布袋本体部は、合成樹脂製の発泡性板材からなる前記<3>に記載の箱型簡易室。
【0011】
<5> 前記箱型簡易室は、体を横に倒した状態で前記利用者を前記空間内に収容するベッドとして利用できる前記<1>~<4>の何れか1つに記載の箱型簡易室。
【0012】
本発明によれば、構成部材に反り等の変形が発生することが抑制された箱型簡易室を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1に係る扉2が閉状態の箱型簡易室の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1に係る箱型簡易室1を、
図1~
図16を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1に係る扉2が閉状態の箱型簡易室1の斜視図であり、
図2は、扉2が開状態の箱型簡易室1の斜視図であり、
図3は、箱型簡易室1の分解斜視図である。箱型簡易室1は、組立式のベッドとして利用されるものであり、その外観は、組み立てられた状態で、横長の直方体状をなしている。この箱型簡易室1の内部には、体を横に倒した状態(つまり、寝た状態)の利用者を収容可能な横長の空間(内部空間)Sが形成される。
【0015】
箱型簡易室1は、扉2、天板3、底板4、1組の側板5,6、奥板7を備えている。箱型簡易室1は、扉2が配置される側を「正面」とし、その奥側に、奥板7が配置されている。また、箱型簡易室1を正面から見た際に、その左側に側板5が配され、右側に側板6が配される。そのため、側板5を、「左側板5」と称し、側板6を、「右側板6」と称する場合がある。また、箱型簡易室1の奥行方向を、「前後方向」と称する場合がある。
【0016】
天板3及び底板4は、各々が略水平に配され、かつ互いに平行に配される。底板4は、その表面4aが上方を向く形で床面等の上に配置される。天板3は、底板4との間に間隔を保ちつつ、底板4に対して平行に配される。また、1組の側板5,6は、各々が底板4から起立するように配され、かつ互いに平行に配される。
【0017】
側板5,6は、箱型簡易室1の左右の壁を構成するものである。一方の側板(左側板)5は、2つの側板ユニット5A,5Bを組み合わせたものからなる。側板ユニット5A及び側板ユニット5Bは、略同じ大きさの板状をなしており、前側に、側板ユニット5Aが配され、奥側に側板ユニット5Bが配されている。前側の側板ユニット5Aと奥側の側板ユニット5Bとが、前後で並ぶように配置されることで、1枚の側板5が形成される。また、他方の側板(右側板)6は、2つの側板ユニット6A,6Bを組み合わせたものからなる。側板ユニット6A及び側板ユニット6Bは、略同じ大きさの板状をなしており、前側に、側板ユニット6Aが配され、奥側に側板ユニット6Bが配されている。前側の側板ユニット6Aと奥側の側板ユニット6Bとが、前後で並ぶように配置されることで、1枚の側板6が形成される。
【0018】
なお、側板5,6は、左右対称の関係にある構造であること以外は、基本的に互いに同じ構成である。そのため、ここでは、側板(左側板)5を例に挙げて説明する。
【0019】
図4は、内表面5a側から見た左側板5の説明図であり、
図5は、外表面5b側から見た左側板5の説明図である。
図4の左側及び
図5の右側が、箱型簡易室1の前側に対応し、
図4の右側及び
図5の左側が、箱型簡易室1の奥側に対応する。
【0020】
側板(左側板)5は、主として、側板本体部51と、上側挿入部52と、下側挿入部53とを備えている。側板本体部51は、側板ユニット5A用の側板本体部51Aと、側板ユニット5B用の側板本体部51Bとからなり、それらが前後で並ぶように配置されることで、1枚の矩形状の側板本体部51が形成される。なお、
図4及び
図5では、説明の便宜上、側板ユニット5Aと、側板ユニット5Bとが、互いに前後方向で離された状態で示されている。
【0021】
側板本体部51は、所定の厚みを有する合成樹脂製の発泡性板材(例えば、発泡ポリスチレン、ウレタンフォーム、スタイロフォーム(登録商標)等)からなる。側板本体部51は、平面視で長方形状である。側板本体部51の上端面51aには、天板3の端部が載せられる。また、側板本体部51が起立した状態で、その下端面51bが、底板4の端部に載せられる。
【0022】
上側挿入部52は、側板本体部51よりも厚みの小さい板片状の部材であり、例えば、厚紙、段ボール、プラスチック板等から構成される。上側挿入部52は、前後方向に沿って延びる所定幅の帯状(短冊状)の部材である。上側挿入部52は、側板本体部51の内表面51cのうち、上端面51aに沿った上側縁部51c1に貼り付けられる。上側挿入部52の貼り付けには、接着剤、糊、粘着剤層を含む両面テープ等の公知の貼付手段が利用される。なお、側板本体部51の内表面51cは、側板5の内表面5aの一部を構成する。
【0023】
上側挿入部52は、側板本体部51の上側縁部51c1に貼り付けられる際、上端部52aが、側板本体部51の上端面51aよりも上方にはみ出すように調整される。要するに、上側挿入部52の下端部52b側が、側板本体部51の上側縁部51c1に貼り付けられると、上側挿入部52の上端部52aが、上端面51aよりも上方にはみ出した形となる。なお、上側挿入部52が上端面51aよりも上方にはみ出す長さ(幅)は、前後方向に亘って一定である。
【0024】
本実施形態の場合、上側挿入部52は、側板ユニット5A用の上側挿入部52Aと、側板ユニット5B用の上側挿入部52Bとからなり、それらが前後で並ぶように配置されることで、前後方向に延びた1枚の上側挿入部52が形成される。
【0025】
下側挿入部53は、上側挿入部52と同様、側板本体部51よりも厚みの小さい板片状の部材であり、厚紙、段ボール、プラスチック板等から構成される。また、下側挿入部53は、上側挿入部53と同様、前後方向に沿って延びる所定幅の帯状(短冊状)の部材である。下側挿入部53は、側板本体部51の内表面51cのうち、下端面51bに沿った下側縁部51c2に貼り付けられる。下側挿入部53の貼り付けには、上側挿入部52と同様、公知の貼付手段が利用される。
【0026】
下側挿入部53は、側板本体部51の下側縁部51c2に貼り付けられる際、下端部53aが、側板本体部51の下端面51bよりも下方にはみ出すように調整される。要するに、下側挿入部53の上端部53b側が、側板本体部51の下側縁部51c2に貼り付けられると、下側挿入部53の下端部53aが、下端面51bよりも下方にはみ出した形となる。なお、下側挿入部53が下端面51bよりも下方にはみ出す長さ(幅)は、前後方向に亘って一定である。
【0027】
なお、本実施形態の側板5には、扉2が取り付けられる際に利用される第1側板溝部54と、奥板7が取り付けられる際に利用される第2側板溝部55とが、それぞれ設けられている。第1側板溝部54は、側板本体部51(側板本体部51A)の内表面51cのうち、側板本体部51(側板本体部51A)の前端面51eに沿った前側縁部51c3において、上下方向に延びる形で設けられている。これに対して、第2側板溝部55は、側板本体部51(側板本体部51B)の内表面51cのうち、側板本体部51(側板本体部51B)の後端面51fに沿った後側縁部51c4において、上下方向に延びる形で設けられている。
【0028】
また、側板5には、第1側板溝部54を補強するための第1側板補強部56と、第2側板溝部55を補強するための第2側板補強部57とが設けられている。第1側板補強部56及び第2側板補強部57は、上記上側挿入部52等と同様の部材からなり、それぞれ上下方向に延びた帯状(短冊状)をなしている。第1側板補強部56は、側板本体部51(側板本体部51A)の外表面51dのうち、側板本体部51(側板本体部51A)の前端面51eに沿った前側縁部51d3に、公知の貼付手段(両面粘着テープ等)を利用して貼り付けられている。その際、第1側板補強部56は、側板本体部51(側板本体部51A)の厚み方向で、第1側板溝部54と重なり、かつ側板本体部51(側板本体部51A)から外側へはみ出さないように、貼り付けられている。また、第2側板補強部57は、側板本体部51(側板本体部51B)の外表面51dのうち、側板本体部51(側板本体部51B)の後端面51fに沿った後側縁部51d4に、公知の貼付手段(両面粘着テープ等)を利用して貼り付けられている。その際、第2側板補強部57は、側板本体部51(側板本体部51B)の厚み方向で、第2側板溝部55と重なり、かつ側板本体部51(側板本体部51B)から外側へはみ出さないように、貼り付けられている。なお、外表面51dは、側板5の外表面5bの一部を構成する。
【0029】
なお、側板(右側板)6は、側板(左側板)5と同様、側板本体部61、上側挿入部62、及び下側挿入部63を備えている。また、側板6にも、側板5と同様、第1側板溝部54に対応する第1側板溝部、第2側板溝部55に対応する第2側板溝部、第1側板補強部56に対応する第1側板補強部66、第2側板補強部57に対応する第2側板補強部67がそれぞれ設けられている。
【0030】
本実施形態の場合、組み立て前の状態において、側板ユニット5A、側板ユニット5B、側板ユニット6A及び側板ユニット6Bは、すべて同じ形であり、構造が共通化されているため、製造コスト的に有利である。
【0031】
また、組み立て時において、側板ユニット5A,5B同士、及び側板ユニット6A,6B同士は、粘着テープや布テープ等の公知の接続手段を利用して、互いに接続されてもよい。その際、側板本体部51A、51B同士、上側挿入部52A、52B同士、下側挿入部53A,53B同士等が、適宜、接続されてもよい。
【0032】
図6は、内表面3a(空間S)側から見た天板3の説明図であり、
図7は、外表面3b側から見た天板3の説明図である。
図6の左側及び
図7の左側が、箱型簡易室1の前側に対応し、
図6の右側及び
図7の右側が、箱型簡易室1の奥側(後側)に対応する。また、
図6の上側及び
図7の下側が、箱型簡易室1の右側に対応し、
図6の下側及び
図7の上側が、箱型簡易室1の左側に対応する。
【0033】
天板3は、箱型簡易室1の天井を構成するものであり、4つの天板ユニット3A,3B,3C,3Dを組み合わせたものからなる。これらの天板ユニット3A,3B,3C,3Dは、略同じ大きさの板状をなしており、前側から奥側(後側)に向かって、天板ユニット3A、天板ユニット3B、天板ユニット3C、及び天板ユニット3Dの順に並ぶように配されている。これらの天板ユニット3A,3B,3C,3Dが、前後で並ぶように配置されることで、1枚の天板3が形成される。
【0034】
天板3は、主として、天板本体部31と、天板溝部32と、天板補強部33とを備えている。天板本体部31は、天板ユニット3A用の天板本体部31Aと、天板ユニット3B用の天板本体部31Bと、天板ユニット3C用の天板本体部31Cと、天板ユニット3D用の天板本体部31Dとが、前後で並ぶように配置されることで、1枚の矩形状の天板本体部31が形成される。なお、天板ユニット同士は、粘着テープや布テープ等の公知の接合手段を利用して、互いに接合されてもよい。なお、
図6及び
図7では、説明の便宜上、4つの天板ユニット3A、3B,3C,3Dが、互いに前後方向で離された状態で示されている。
【0035】
天板本体部31は、上述した側板本体部51,61と同様、合成樹脂製の発泡性板材からなり、平面視で矩形状をなしている。天板本体部31は、側板本体部51,61に対して垂直に配されるように、側板本体部51の上端面51aに載せられる側端部(左側端部)31aと、側板本体部61の上端面61aに載せられる側端部(右側端部)31bとを備えている。
【0036】
天板溝部32は、天板本体部31の内表面31cのうち、左側に配される側板本体部51の上端面51aに載せられる側端部(左側端部)31aの内側に形成され、かつ上側挿入部52が挿入される第1天板溝部32aと、右側に配される側板本体部61の上端面61aに載せられる側端部(右側端部)31bの内側に形成され、かつ上側挿入部62が挿入される第2天板溝部32bとを備えている。
【0037】
天板溝部32(第1天板溝部32a、第2天板溝部32b)の深さは、挿入される上側挿入部52,62の長さ等を考慮して、適宜、設定される。天板溝部32は、例えば、公知の加工方法・装置(例えば、発泡スチロールカッター)を利用して形成される。なお、天板溝部32以外のその他の溝部も、同様の方法で形成される。また、天板溝部32は、前後方向において天板本体部31の端から端まで形成されている。
【0038】
天板補強部33は、天板本体部31の外表面31dのうち、左側に配される側板本体部51の上端面51aに載せられる側端部(左側端部)31aの外表面付近に貼り付けられ、かつ第1天板溝部32aを補強する板片状の第1天板補強部33aと、右側に配される側板本体部61の上端面61aに載せられる側端部(右側端部)31bの外表面付近に貼り付けられ、かつ第2天板溝部32bを補強する板片状の第2天板補強部33bとを備えている。
【0039】
天板補強部33は、上側挿入部52等と同様、厚みの小さい板片状の部材であり、例えば、厚紙、段ボール、プラスチック板等から構成される。天板補強部33は、前後方向に沿って延びる所定幅の帯状(短冊状)の部材である。天板補強部33の貼り付けには、上側挿入部52等と同様、公知の貼付手段が利用される。なお、天板補強部33は、天板本体部31の外表面31dに対して、外側へはみ出さないように貼り付けられる。
【0040】
本実施形態の場合、第1天板補強部33aは、4つの部分に分かれており、各々が各天板本体部31A,31B,31C,31Dの各側端部(左側端部)31aの外表面側に貼り付けられている。また、第2天板補強部33bも同様に、4つの部分に分かれており、各々が各天板本体部31A,31B,31C,31Dの各側端部(右側端部)31bの外表面側に貼り付けられている。
【0041】
なお、本実施形態の天板3には、扉2が取り付けられる際に利用される前側天板溝部34と、奥板7が取り付けられる際に利用される奥側天板溝部35とが、それぞれ設けられている。前側天板溝部34は、天板本体部31(天板本体部31A)の内表面31cのうち、天板本体部31(天板本体部31A)の前端面31eに沿った前側縁部31c1において、左右方向に延びる形で設けられている。これに対して、奥側天板溝部35は、天板本体部31(天板本体部31D)の内表面31cのうち、天板本体部31(天板本体部31D)の後端面31fに沿った後側縁部31c2において、左右方向に延びる形で設けられている。なお、前側天板溝部34及び奥側天板溝部35は、それぞれ天板本体部31(天板本体部31A,31D)を左右方向に横切るように形成されており、また、それぞれ第1天板溝部32a及び第2天板溝部32bに対して垂直に交差するように形成されている。
【0042】
また、天板3には、前側天板溝部34を補強するための前側天板補強部36と、奥側天板溝部35を補強するための奥側天板補強部37とが設けられている。前側天板補強部36及び奥側天板補強部37は、上記上側挿入部52等と同様の部材からなり、それぞれ左右方向に延びた帯状(短冊状)をなしている。前側天板補強部36は、天板本体部31Aの外表面31dのうち、前端面31eに沿った前側縁部31d1に、公知の貼付手段(両面粘着テープ等)を利用して貼り付けられる。また、奥側天板補強部37は、天板本体部31Dの外表面31dのうち、後端面31fに沿った後側縁部31d2に、前記貼付手段を利用して貼り付けられる。
【0043】
本実施形態の場合、組み立て前の状態において、天板ユニット3A及び天板ユニット3Dは、同じ形であり、構造が共通化されている。また、天板ユニット3B及び天板ユニット3Cも、同じ形であり、構造が共通化されている。したがって、これらは製造コスト的に有利な構造を備えている。また、組み立て時において、天板ユニット3A、3B,3C,3D同士は、粘着テープや布テープ等の公知の接続手段を利用して、互いに接続されてもよい。
【0044】
図8は、内表面4a(空間S)側から見た底板4の説明図であり、
図9は、外表面4b側から見た底板4の説明図である。
図8の左側及び
図9の左側が、箱型簡易室1の前側に対応し、
図8の右側及び
図9の右側が、箱型簡易室1の奥側(後側)に対応する。また、
図8の上側及び
図9の下側が、箱型簡易室1の左側に対応し、
図8の下側及び
図9の上側が、箱型簡易室1の右側に対応する。
【0045】
底板4は、箱型簡易室1の床面を構成するものであり、2つの底板ユニット4A,4Bを組み合わせたものからなる。これらの底板ユニット4A,4Bは、略同じ大きさの板状をなしており、前側に底板ユニット4Aが配され、後側に底板ユニット4Bが配される。これらが前後で並ぶように配置されることで、1枚の底板4が形成される。
【0046】
底板4は、主として、底板本体部41と、底板溝部42と、底板補強部43とを備えている。底板本体部41は、底板ユニット4A用の底板本体部41Aと、底板ユニット4B用の底板本体部41Bとが、前後で並ぶように配置されることで、1枚の矩形状の底板本体部41が形成される。なお、底板本体部41A,41B同士は、粘着テープや布テープ等の公知の接合手段を利用して、互いに接合されてもよい。なお、
図8及び
図9では、説明の便宜上、2つの底板ユニット4A,4Bが、互いに前後方向で離された状態で示されている。
【0047】
底板本体部41は、上述した側板本体部51等と同様、合成樹脂製の発泡性板材からなり、平面視で矩形状をなしている。底板本体部41は、側板本体部51,61に対して垂直に配されるように、側板本体部51の下端面51bが載せられる側端部(左側端部)41aと、側板本体部61の下端面61bが載せられる側端部(右側端部)41bとを備えている。
【0048】
底板溝部42は、底板本体部41の内表面41cのうち、左側に配される側板本体部51の下端面51bが載せられる側端部(左側端部)41aの内側にある部分に形成され、かつ下側挿入部53が挿入される第1底板溝部42aと、右側に配される側板本体部61の下端面61bが載せられる側端部(右側端部)41bの内側にある部分に形成され、かつ下側挿入部63が挿入される第2底板溝部42bとを備えている。
【0049】
底板溝部42(第1底板溝部42a、第2底板溝部42b)の深さは、挿入される下側挿入部53,63の長さ等を考慮して、適宜、設定される。底板溝部42の形成方法は、上述した天板溝部32の場合と同様である。また、底板溝部42は、前後方向において、底板本体部41の端から端まで形成されている。
【0050】
底板補強部43は、底板本体部41の外表面41dのうち、左側に配される側板本体部51の下端面51bが載せられる側端部(左側端部)41aの外表面付近に貼り付けられ、かつ第1底板溝部42aを補強する板片状の第1底板補強部43aと、右側に配される側板本体部61の下端面61bが載せられる側端部(右側端部)41bの外表面付近に貼り付けられ、かつ第2底板溝部42bを補強する板片状の第2底板補強部43bとを備えている。
【0051】
底板補強部43は、上側挿入部52等と同様、厚みの小さい板片状の部材であり、例えば、厚紙、段ボール、プラスチック板等から構成される。底板補強部43は、前後方向に沿って延びる所定幅の帯状(短冊状)の部材である。底板補強部43の貼り付けには、上側挿入部52等と同様、公知の貼付手段が利用される。なお、底板補強部43は、底板本体部41の外表面41dに対して、外側へはみ出さないように貼り付けられる。
【0052】
本実施形態の場合、第1底板補強部43aは、2つの部分に分かれており、各々が各底板本体部41A,41Bの各側端部(左側端部)41aの外表面側に貼り付けられている。また、第2底板補強部43bも同様に、2つの部分に分かれており、各々が各底板本体部41A,41Bの各側端部(右側端部)41bの外表面に貼り付けられている。
【0053】
なお、本実施形態の底板4には、扉2が取り付けられる際に利用される前側底板溝部44と、奥板7が取り付けられる際に利用される奥側天板溝部45とが、それぞれ設けられている。前側底板溝部44は、底板本体部41(底板本体部41A)の内表面41cのうち、底板本体部41(底板本体部41Aの前端面41eに沿った前側縁部41c1において、左右方向に延びる形で設けられている。これに対して、奥側底板溝部45は、底板本体部41(底板本体部41B)の内表面41cのうち、底板本体部41(底板本体部41B)の後端面41fに沿った後側縁部41c2において、左右方向に延びる形で設けられている。なお、前側底板溝部44及び奥側底板溝部45は、それぞれ底板本体部41(底板本体部41A,41B)を左右方向に横切るように形成されており、また、それぞれ第1底板溝部42a及び第2底板溝部42bに対して垂直に交差するように形成されている。
【0054】
また、底板4には、前側底板溝部44を補強するための前側底板補強部46と、奥側底板溝部45を補強するための奥側底板補強部47とが設けられている。前側底板補強部46及び奥側底板補強部47は、上記上側挿入部52等と同様の部材からなり、それぞれ左右方向に延びた帯状(短冊状)をなしている。前側底板補強部46は、底板本体部41Aの外表面41dのうち、前端面41eに沿った前側縁部41d1に、公知の貼付手段(両面粘着テープ等)を利用して貼り付けられる。また、奥側底板補強部47は、底板本体部41Dの外表面41dのうち、後端面41fに沿った後側縁部41d2に、前記貼付手段を利用して貼り付けられる。
【0055】
本実施形態の場合、組み立て前の状態において、底板ユニット4A及び底板ユニット4Bは、同じ形であり、構造が共通化されており、それらは製造コスト的に有利な構造を備えている。また、組み立て時において、底板ユニット4A,4B同士は、粘着テープや布テープ等の公知の接続手段を利用して、互いに接続されてもよい。
【0056】
図10は、内表面7a(空間S)側から見た奥板7の説明図であり、
図11は、外表面7b側から見た奥板7の説明図である。
図10の上側及び
図11の上側が、箱型簡易室1の上側に対応し、
図10の下側及び
図11の下側が、箱型簡易室1の下側に対応する。また、
図10の左側及び
図11の右側が、箱型簡易室1の左側に対応し、
図10の右側及び
図11の左側が、箱型簡易室1の右側に対応する。
【0057】
奥板7は、箱型簡易室1の奥側の壁を構成するものであり、奥板本体部71と、上側挿入部72と、下側挿入部73と、左側挿入部74と、右側挿入部75とを備えている。上側挿入部72、下側挿入部73、左側挿入部74及び右側挿入部75は、上側挿入部52等と同様、厚みの小さい帯状(短冊状)の部材であり、例えば、厚紙、段ボール、プラスチック板等から構成される。
【0058】
奥板本体部71は、上述した側板本体部51等と同様、合成樹脂製の発泡性板材からなり、平面視で矩形状をなしている。奥板本体部71の内表面7aのうち、上端面71aに沿った部分に、上側挿入部72が貼り付けられ、下端面71bに沿った部分に、下側挿入部73が貼り付けられ、左側端面71cに沿った部分に、左側挿入部74が貼り付けられ、右側端面71dに沿った部分に、右側挿入部75が貼り付けられている。上側挿入部72等の貼り付けには、上側挿入部52等と同様、公知の貼付手段が利用される。上側挿入部72、下側挿入部73、左側挿入部74及び右側挿入部75は、矩形状をなした内表面7aの周縁を縁取るように、枠状に形成されている。
【0059】
奥板7は、箱型簡易室1の組み立て時において、上側挿入部72が、天板3(天板ユニット3D)の奥側天板溝部35に挿入され、下側挿入部73が、底板4(底板ユニット4B)の奥側底板溝部45に挿入される。また、左側挿入部74は、側板5(側板ユニット5B)の第2側板溝部55に挿入され、右側挿入部75は、側板6(側板ユニット6B)の第2側板溝部に挿入される。
【0060】
組み立て時において、奥板7は、底板4に対して起立するように配置される。また、奥板7は、閉状態の扉2に対して、間隔を保ちつつ平行に並んだ状態となる。箱型簡易室1の状態において、奥板7の上端面71aには、天板3の後端部が載せられた状態となる。また、奥板7の下端面71bは、底板4の後端部上に載せられた状態となる。また、奥板7の左側端面71cには、側板5の後端部が当接し、右側端面71dには、側板6の後端部が当接した状態となる。
【0061】
図12は、扉2の正面図であり、
図13は、扉2の背面図であり、
図14は、
図12のA-A線断面図であり、
図15は、
図12のB-B線断面図である。扉2は、天板3の前端部3cと、底板4の前端部4cと、1組の側板5,6の各前端部5c,6cとによって形成される枠状の開口端部10の内側を、開閉可能な状態で塞ぐものである。
図1には、閉状態の扉2が示され、
図3には、開状態の扉2が示される。
【0062】
扉2は、固定扉2Aと、可動扉2Bとを備えている。固定扉2Aは、開口端部10の内側を部分的に塞ぐと共に、天板3の前端部3c、底板4の前端部4c及び一方の側板5の前端部5cにそれぞれ固定されるものである。固定扉2Aは、開口端部10のうち、左側の部分を塞ぐように配置されている。
【0063】
固定扉2Aは、固定扉本体部20Aと、固定扉用上側挿入部21Aと、固定扉用下側挿入部22Aと、固定扉用側方挿入部23Aとを備えている。
【0064】
固定扉本体部20Aは、側板本体部51等と同様、合成樹脂製の発泡性板材からなる平面視矩形状の部材である。固定扉本体部20Aは、開口端部10の左側の部分を塞ぐように配置される。本実施形態の場合、固定扉2Aの固定扉本体部20Aは、開口端部10の約1/4を塞ぐような大きさに設定されている。固定扉本体部20Aは、開口端部10内において、上端面20A1に天板3の前端部3cが載せられると共に、下端面20A2が底板4の前端部4cに載せられるように起立した状態で配される。
【0065】
固定扉用上側挿入部21Aは、固定扉本体部20Aの内表面20Aaのうち、固定扉本体部20Aの上端面20A1に沿った固定扉上側縁部20Aa1に貼り付けられると共に、固定扉本体部20Aの上端面20A1よりも上方にはみ出す板片状の部材である。
【0066】
固定扉用下側挿入部22Aは、固定扉本体部20Aの内表面20Aaのうち固定扉本体部20Aの下端面20A2に沿った固定扉下側縁部20Aa2に貼り付けられると共に、固定扉本体部20Aの下端面20A2よりも下方にはみ出す板片状の部材である。
【0067】
固定扉用側方挿入部23Aは、固定扉本体部20Aの内表面20Aaのうち、一方の側板5の前端部5cに隣接する隣接側縁部20Aa3に貼り付けられると共に、一方の側板5の前端部5cに対向する固定扉本体部20Aの対向側端面20A3よりも側方にはみ出す板片状の部材である。
【0068】
固定扉用上側挿入部21A、固定扉用下側挿入部22A、及び固定扉用側方挿入部23Aは、上側挿入部52と同様、厚みの小さい板片状の部材であり、厚紙、段ボール、プラスチック板等から構成される。また、固定扉用上側挿入部21A、固定扉用下側挿入部22A、及び固定扉用側方挿入部23Aは、それぞれ所定の長さに設定される。固定扉用上側挿入部21A等の貼り付けには、接着剤、糊、粘着剤層を含む両面テープ等の公知の貼付手段が利用される。
【0069】
可動扉2Bは、閉状態の際に固定扉2Aの側端部2A1と開口端部10とで形成され、空間(内部空間)Sに繋がる出入口10bを塞ぐと共に、開状態の際に出入口10bが開放されるように、固定扉2Aの側端部2A1に回動可能な状態で取り付けられるものである。可動扉2Bは、側板本体部51等と同様、合成樹脂製の発泡性板材からなる。可動扉2Bは、固定扉2Aに対して、粘着テープ(ガムテープ、布テープ等)8を利用して回動可能な状態で取り付けられている。粘着テープ8は、互いに向かい合った固定扉2Aの側端部2A1と、可動扉2Bの側端部2B1とを当接させた状態で、扉2の外表面2b側から、それらの境界部分を跨ぐように側端部2A1及び側端部2B1に貼り付けられる。この粘着テープ8が、扉2の蝶番(ヒンジ)として機能する。そのため、可動扉2Bは、粘着テープ8で固定された側端部2B1側を回動中心として、開放動作及び閉塞動作を行うことができる。なお、可動扉2Bの外表面2Bb側には、開閉動作をし易くするため等の目的で、取っ手25が取り付けられてもよい。取っ手25は、可動扉2Bの外表面2Bb側を凹部状に加工することで形成してもよいし、取っ手25を、プラスチックの成形品等で形成し、それを可動扉2Bの外表面2Bbに後付け(外付け)してもよい。
【0070】
扉2を開口端部10へ取り付ける際、
図14に示されるように、固定扉2Aの固定扉用上側挿入部21Aが、天板3の前端部3cにおける内表面側の部分(前側縁部31c1)に設けられた前側天板溝部34に挿入され、固定扉用下側挿入部22Aが、底板4の前端部4cにおける内表面側の部分(前側縁部41c1)に設けられた前側底板溝部44に挿入される。
【0071】
また、
図15に示されるように、扉2を開口端部10へ取り付ける際、固定扉2Aの固定扉用側方挿入部23Aが、側板5の前端部5cにおける内表面側の部分(前側縁部51c3)に設けられた第1側板溝部54に挿入される。
【0072】
図16は、
図1のC-C線断面図である。
図16に示されるように、箱型簡易室1を組み立てる際は、天板3の側端部(左側端部)31aに設けられた第1天板溝部32aに、側板5の上側挿入部52が挿入され、天板3の側端部(右側端部)31bに設けられた第2天板溝部32bに、側板6の上側挿入部62が挿入される。また、底板4の側端部(左側端部)41aに設けられた第1底板溝部42aに、側板5の下側挿入部53が挿入され、底板4の側端部(右側端部)41bに設けられた第2底板溝部42bに、側板6の下側挿入部63が挿入される。このようにして、天板3、底板4、側板5及び側板6を、箱状に組み立てることができる。また、奥板7及び扉2を、上述したような方法で、適宜、取り付けることで、
図1及び
図2に示される箱型簡易室1が得られる。
【0073】
以上のような、本実施形態の箱型簡易室1は、構成部材である天板3、底板4、側板5,6等について、反り等の変形が発生することが抑制されている。例えば、天板3では、天板本体部31の外表面31dの周縁部のみに、天板補強部33、前側天板補強部36及び奥側天板補強部37が、枠状をなすように貼り付けられている。そのため、長期保管後に天板本体部31や、各補強部(天板補強部33、前側天板補強部36及び奥側天板補強部37)に多少の収縮が生じても、互いに接着している面積が従来と比べて小さいため、天板3に反り等が発生することが抑制される。
【0074】
また、底板4では、底板本体部41の外表面41dの周縁部のみに、底板補強部43、前側底板補強部46及び奥側底板補強部47が、枠状をなすように貼り付けられている。そのため、長期保管後に底板本体部41や、各補強部(底板補強部43、前側底板補強部46及び奥側底板補強部47)に多少の収縮が生じても、互いに接着している面積が従来と比べて小さいため、底板4に反り等が発生することが抑制される。
【0075】
また、側板5,6では、側板本体部51,61の各内表面の上側縁部51c1等、及び下側縁部51c2等のみに、上側挿入部52,62と、下側挿入部53,63とが貼り付けられている。また、側板本体部51,61の外表面の前側縁部51d3等、及び後側縁部51d4等のみに、第1側板補強部56,66と、第2側板補強部57,67とが貼り付けられている。そのため、長期保管後に側板本体部51,61や、各挿入部(上側挿入部52,62、下側挿入部53,63)及び各補強部(第1側板補強部56,66、第2側板補強部57,67)に多少の収縮が生じても、互いに接着している面積が従来と比べて小さいため、側板5,6に反り等が発生することが抑制される。
【0076】
また、奥板7では、奥板本体部71の内表面の周縁部のみに、上側挿入部72、下側挿入部73、左側挿入部74及び右側挿入部75が、枠状をなすように貼り付けられている。そのため、長期保管後に奥板本体部71や、各挿入部(上側挿入部72、下側挿入部73、左側挿入部74及び右側挿入部75)に多少の収縮が生じても、互いに接着している面積が従来と比べて小さいため、奥板7に反り等が発生することが抑制される。
【0077】
また、扉2では、固定扉本体部20Aの内表面の周縁部のみに、固定扉用上側挿入部21A、固定扉用下側挿入部22A、固定扉用側方挿入部23Aが貼り付けられている。そのため、長期保管後に固定扉本体部20Aや、各挿入部(固定扉用上側挿入部21A、固定扉用下側挿入部22A、固定扉用側方挿入部23A)に多少の収縮が生じても、互いに接着している面積が従来と比べて小さいため、扉2に反り等が発生することが抑制される。
【0078】
また、本実施形態の箱型簡易室1は、組み立てが容易であり、しかも、長期保管性に優れる。また、箱型簡易室1は、使用後の解体も容易である。
【0079】
〔実施形態2〕
次いで、本発明の実施形態2に係る箱型簡易室1Xを、
図17等を参照しつつ、説明する。
図17は、実施形態2に係る箱型簡易室1Xの断面図である。
図17には、
図16に示される実施形態1の箱型簡易室1の断面構成に対応した部分の、実施形態2の箱型簡易室1Xの断面構成が示されている。
【0080】
実施形態2の箱型簡易室1Xは、実施形態1の扉2と同様の構成の扉と、扉2を取り付けるための構造を備えている。実施形態2の箱型簡易室1Xは、側板5X,6Xと、天板3Xとを取り付ける構造、及び側板5X,6Xと、底板4Xとを取り付ける構造等が異なっている。以下、これらの異なった点を中心に説明する。
【0081】
本実施形態の箱型簡易室1Xは、実施形態1と同様、互いに平行に配される天板3X及び底板4Xと、互いに平行に配される1組の側板5X,6Xとを少なくとも有し、内部に利用者を収容可能な空間(内部空間)SXが形成されるように、天板3X、底板4X及び側板5X,6Xが箱型に組み立てられたものからなる。
【0082】
側板5X,6Xは、実施形態1と同様、合成樹脂製の発泡性板材からなる。側板5Xは、上端面51Xaに、天板3Xが載せられると共に下端面51Xbが底板4Xに載せられるように起立した状態で配される板状の側板本体部51Xと、上端面51Xaのうち、側板本体部51Xの内表面側の部分に形成され、上端面51Xaよりも上方に盛り上がった上側凸状部52Xと、下端面51Xbのうち、側板本体部51Xの内表面側の部分に形成され、下端面51Xbよりも下方に盛り上がった下側凸状部53Xとを備えている。また、側板6Xは、上端面61Xaに、天板3Xが載せられると共に下端面61Xbが底板4Xに載せられるように起立した状態で配される板状の側板本体部61Xと、上端面61Xaのうち、側板本体部61Xの内表面側の部分に形成され、上端面61Xaよりも上方に盛り上がった上側凸状部62Xと、下端面61Xbのうち、側板本体部61Xの内表面側の部分に形成され、下端面61Xbよりも下方に盛り上がった下側凸状部63Xとを備えている。
【0083】
天板3Xは、前記発泡性板材からなり、側板本体部51X,61Xに対して垂直に配されるように、側端部31Xa,31Xbが上端面51Xa,61Xaに載せられる板状の天板本体部31Xと、天板本体部31Xの内表面のうち、上側凸状部52X,62Xと対向する部分に形成され、かつ上側凸状部52X,62Xが嵌合される天板凹状部32X(第1天板凹状部32Xa,第2天板凹状部32Xb)と、天板本体部31Xの外表面のうち、天板凹状部32X(第1天板凹状部32Xa,第2天板凹状部32Xb)の反対側にある外表面付近に貼り付けられ、天板凹状部32X(第1天板凹状部32Xa,第2天板凹状部32Xb)を補強する板片状の天板補強部33X(第1天板補強部33Xa,第2天板補強部33Xb)とを備えている。
【0084】
底板4Xは、前記発泡性板材からなり、側板本体部51X,61Xに対して垂直に配されるように側端部41Xa,41Xbに下端面51Xb,61Xbが載せられる板状の底板本体部41Xと、底板本体部41Xの内表面のうち、下側凸状部53X,63Xと対向する部分に形成され、かつ下側凸状部53X,63Xが嵌合される底板凹状部42X(42Xa,42Xb)と、底板本体部41Xの外表面のうち、底板凹状部42X(42Xa,42Xb)の反対側にある外表面付近に貼り付けられ、底板凹状部42X(42Xa,42Xb)を補強する板片状の底板補強部43X(43Xa,43Xb)とを備えている。
【0085】
天板補強部33X、底板補強部43X等を貼り付ける際、実施形態1と同様、公知の貼付手段が利用される。また、奥板7Xの構造は、実施形態1と同じであってもよいし、奥板7Xの周縁に凸状部を設けると共に、凸状部と嵌合させる凹状部を、天板3X、底板4X、側板5X,6Xにそれぞれ設けてもよい。
【0086】
本実施形態の箱型簡易室1Xも、実施形態1と同様、構成部材である天板3X、底板4X、側板5X,6X等について、反り等の変形が発生することが抑制されている。また、本実施形態の箱型簡易室1Xも、組み立てが容易であり、しかも、長期保管性に優れる。また、箱型簡易室1Xは、使用後の解体も容易である。
【0087】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0088】
(1)上記実施形態の箱型簡易室は、ベッドとして利用されるものであったが、本発明はこれに限られず、例えば、更衣室、待機室等の様々な用途で用いられてもよい。
【0089】
(2)上記実施形態の箱型簡易室は、横長であったが、他の実施形態においては、縦型であってもよいし、立方体状であってもよい。
【0090】
(3)扉における固定扉と可動扉の位置は、適宜、変更されてもよい。例えば、実施形態1では、閉状態から開状態となる際に、正面側から見て、可動扉は左側へ回動したが、他の実施形態では、固定扉と可動扉の位置を、左右で入れ替え、閉状態から開状態となる際に、可動扉が右側へ回動するように構成してもよい。また、可動扉が上下方向で回動するように構成してもよい。また、1つの箱型簡易室に、2つの扉を設けてもよい。例えば、実施形態1の奥板7に代えて、扉2と同様の構造の扉を、取り付けてもよい。
【0091】
(4)箱型簡易室における扉や、側板の取り付け位置は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はなく、利用者の利便性等に応じて、適宜、変更することができる。
【0092】
1…箱型簡易室、2…扉、2A…固定扉、2B…可動扉、3…天板、31…天板本体部、31a,31b…側端部、32…天板溝部、33…天板補強部、4…底板、41…底板本体部、42…底板溝部、43…底板補強部、5…側板、51…側板本体部、52…上側挿入部、53…下側挿入部、6…側板、61…側板本体部、62…上側挿入部、63…下側挿入部、7…奥板、S…空間