(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】両眼式バーチャルイメージング装置の画像シフト補正
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20220929BHJP
G02B 30/34 20200101ALI20220929BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B30/34
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2020500076
(86)(22)【出願日】2018-07-17
(86)【国際出願番号】 US2018042487
(87)【国際公開番号】W WO2019018396
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-03-25
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516201548
【氏名又は名称】ビュージックス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Vuzix Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,タイラー, ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, ロバート, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,ロバート, ダブリュー.
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0038510(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0117864(US,A1)
【文献】米国特許第8576143(US,B1)
【文献】特開2011-221129(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0293577(US,A1)
【文献】特開2013-225042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G02B 30/34
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視者の頭部に装着されるように構成され
、第1形状から第2形状に形状変更されるように動作可能なフレームと、
前記フレームによって支持され
、第1プロジェクタと第1導波路を含む左眼用イメージング装置と、
前記フレームによって支持され、
第2プロジェクタと第2導波路を含む右眼用イメージング装置と、
を備え、
前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、
前記フレームが前記第1形状にあるときに視者に立体バーチャル像を
伝送するように動作可能な第1の相対的アライメントを有し、
前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、
前記フレームが前記第2形状にあるときに第2の相対的アライメントで配置され、
さらに、前記フレームの形状変更に応答するように動作可能な
アクチュエータを含む調整機構を備え、前記
アクチュエータは、
前記フレームが前記第2形状にあるときに前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の
前記第1の相対的アライメントを復元するために、
前記第1プロジェクタの前記第1導波路および前記フレームに対する角度的アライメント及び/又は前記第2プロジェクタの前記第2導波路および前記フレームに対する角度的アライメントを変更するように動作可能であり、これにより、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、立体バーチャル像を視者に伝送するように動作可能である、立体視用イメージング装置。
【請求項2】
前記フレームに結合された少なくとも1つのセンサをさらに含み、前記少なくとも1つ
のセンサは、
前記第1の相対的アライメントと前記第2の相対的アライメントとの間の前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的なアライメントの変化に関連する出力信号を、提供するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つのセンサの前記出力信号に応答するように動作可能であり、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の1つ以上の構成要素の相対的角度的な配置を調整するように
動作可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサは、前記フレームの鼻ブリッジでの曲げを測定する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記フレームは左側のテンプルと右側のテンプルを有し、前記少なくとも1つのセンサは、前記左側と右側のテンプルの一方または両方の曲げを測定するように動作可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサが歪みゲージである、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサがオペレータ制御である、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記第1導波路と前記第2導波路は、バーチャル像を視者の対応する左眼および右眼に伝送するように
動作可能な導波路である、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
前記アクチュエータは、
前記フレームに対する前記第1導波路又は前記第2導波路の相対的角度的な配置を調整するように動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの画像生成器をさらに備え、前記調整機構は、前記少なくとも1つのセンサの出力信号に応答して、前記少なくとも1つの画像生成器によって生成される左眼画像コンテンツと右眼画像コンテンツを相対的にシフトするように動作可能である、請求項
2に記載の装置。
【請求項11】
角度的にエンコードされた画像
担持ビームを生成するように動作可能な少なくとも1つの画像生成器と、
視者
によって装着されるように構成され
、第1形状から第2形状に形状変更されるように動作可能なフレームと、
前記フレームに支持された第1導波路を有し、前記画像担持ビームの少なくとも
一部を、視者の左眼
に伝送するように動作可能な、左眼用イメージング装置と、
前記フレームに支持された第2導波路を有し、前記画像担持ビームの少なくとも一部を、視者の右眼に伝送するように動作可能な、右眼用イメージング装置と、
を備え、
前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、
前記フレームが前記第1形状にあるとき、立体バーチャル像を視者に伝送するように動作可能な第1の相対的アライメントを有し、
前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、前記フレームが前記第2形状にあるとき、第2の相対的アライメントで配置され、
さらに、前記フレームにより支持され前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な配向の変化
を検出するように動作可能なセンサと、
前記フレームの形状変更に応答するように動作可能な調整機構と、
前記少なくとも1つの画像生成器と関連するプロセッサと、を備え、
前記調整機構は、
前記フレームが前記第2形状にあるときに、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的なアライメントを少なくとも部分的に復元するために、
前記少なくとも1つの画像生成器と前記フレームに対する前記第1導波路及び/又は前記第2導波路の角度的アライメントを変更するように動作可能であり、
前記プロセッサは、前記センサからの出力を受信し、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な配向の変化を補償する調整量を決定
するように動作可能であり、
さらに前記プロセッサは、前記フレームが前記第2形状にあるときに、視者の左眼と右眼で見ることができる
立体バーチャル像の相対的なアライメントを
少なくとも部分的に復元する
ため、前記画像担持ビームの角度的エンコードを調節するように動作可能であることを特徴とするニアアイ両眼イメージングシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの画像生成器は、前記フレームによって支持された第1プロジェクタ
を含み、前記第1プロジェクタは、
角度的にエンコードされた画像担持ビームを前記第1導波路に投射するように動作可能であり、前記第1導波路は
前記角度的にエンコードされ画像担持ビームの少なくとも一部を視者の左眼に伝送するように動作可能である、請求項
11に記載のニアアイ両眼イメージングシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの画像生成器は、前記フレームによって支持された第2プロジェクタ
を含み、前記第2プロジェクタは、
角度的にエンコードされた画像担持ビームを前記第2導波路に投射するように動作可能であり、前記第2導波路は
前記角度的にエンコードされた画像担持ビームの少なくとも一部を視者の右眼に伝送するように動作可能である、請求項
12に記載のニアアイ両眼イメージングシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、立体バーチャル像を視者に伝えるために、前記第1、第2
プロジェクタのうちの少なくとも1つ画像
の画像担持ビームの角度的エンコードを調節するように動作可能である、請求項
13に記載のニアアイ両眼イメージングシステム。
【請求項15】
前記フレームは、視者の異なる頭部構造に対応するために曲げられ、前記センサは前記フレームの曲げを測定するように動作可能である、請求項
14に記載のニアアイ両眼イメージングシステム。
【請求項16】
前記センサは、前記フレームに取り付けられ
前記フレームの曲げを測定するように動作可能なカメラと距離センサのうちの少なくとも一方を含む、請求項
15に記載のニアアイ両眼イメージングシステム。
【請求項17】
前記フレームは、前記第1、第2導波路を支持するフレーム正面部と、前記第1、第2プロジェクタを支持するテンプルとを含む、請求項
15に記載のニアアイ両眼イメージングシステム。
【請求項18】
前記フレーム正面部は、前記第1、第2導波路の間のノーズピース部を含み、前記センサは、前記ノーズピース部の曲げを検出する、請求項
17に記載のニアアイ両眼イメージングシステム。
【請求項19】
前記センサは、前記フレーム正面部に対する前記テンプルの向きの変化を検出する
ように構成された少なくとも2つのセンサのうちの1つである、請求項
17に記載のニアアイ両眼イメージングシステム。
【請求項20】
少なくとも1つの画像生成器によって生成され
角度的にエンコードされた画像担持ビームを視者の左眼と右眼に伝送する左眼用イメージング装置と右眼用イメージング装置を支持するフレームの曲げに適応する方法であって、
前記フレームが第1形状にあるときに、視者の左眼と右眼で見ることができるバーチャル像を相対的にアライメントして、立体バーチャル像を視者に伝えるために、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置を相対的に方向付ける工程と、
視者の異なる頭部構造に対応するために前記フレームが形状変更して第2形状となり、これにより、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な向きが変化
し、視者の左眼と右眼で見えるバーチャル像のずれを生じさせる工程と、
前記フレームの形状変更を、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な向きの変化の指標として検出する工程と、
検出された前記フレームの形状変更から、
前記フレームが前記第2形状にあるときの前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な向きの変化を補償する調整量を決定する工程と、
前記フレームが前記第2形状にあるときの前記フレームの形状変更に応答して、
前記左眼用イメージング装置の導波路と前記フレームに対する及び/又は前記右眼用イメージング装置の導波路と前記フレームに対する、前記少なくとも1つの画像生成器の角度的アライメントを変更するように動作可能な調整機構を用いて、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的なアライメントを少なくとも部分的に復元する工程と、
前記決定された調整量にしたがって、前記少なくとも1つの画像生成器によって生成される
前記画像担持ビームの角度的エンコードを調整し、これにより、
前記フレームが第2形状にあるときの前記
立体バーチャル像の相対的なアライメントを
少なくとも部分的に復元する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記形状変更の工程は、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置との間の前記フレームのノーズピース部を曲げることを含み、前記検知する工程では、ノーズピース部の曲げを検出する、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの画像生成器が、前記左眼用イメージング装置
に向かう角度的にエンコードされた画像担持ビームを生成する
ように動作可能な第1画像生成器と、前記右眼用イメージング装置
に向かう角度的にエンコードされた画像担持ビームを生成する
ように動作可能な第2画像生成器とを含み、前記前記画像担持ビーム
の角度的エンコードを調整する工程が、前記第1、第2画像生成器によって生成され
た画像担持ビームの、反対方向
への角度的エンコードの調整を含む、請求項
20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、左眼用および右眼用のバーチャル像を形成するために視者が着用する電子ディスプレイ対に関し、より詳しくは、調節可能に頭部に装着できるフレーム内の両眼ニアアイディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、軍事、商業、工業、消防、および娯楽分野への適用を含め、様々な用途に向けて開発されている。これら適用の多くにおいて、HMDユーザーの視野にある現実世界の像に視覚的に重ね合わせ可能なバーチャル像を形成することは、価値がある。
【0003】
立体イメージングでは、バーチャル像コンテンツが生成され、視者の左眼と右眼に表示される。立体画像を提供するために、画像コンテンツのわずかに異なる視点を提供する別個の左眼画像と右眼画像が形成され、それにより、表示された立体バーチャル像に奥行きとボリュームの錯覚を与える。わずかに異なる視点からの画像を提供するが、左眼用画像と右眼用画像は互いにアライメントしているため、視者の脳内で2つの画像を組み合わせて3D奥行きを知覚できる。
【0004】
頭部サイズの異なる視者に対応するために、HMDのフレームを調節可能にすることができる。しかし、このような調整は、フレームに取り付けられた両眼ニアアイディスプレイによって生成される左眼画像と右眼画像のアライメントを乱す可能性がある。視者の快適性とフィット感を改善するためにフレームを調整すると、画質が低下したり、眼精疲労が増加したりする。
【0005】
従来のアプローチの1つは、剛性のあるフレームを提供してHMDを個々のユーザーに特別に適合させる。このフレームでは、所定範囲の位置でディスプレイ要素を調整可能に取り付けることができる。次に、視者ごとに個別のアライメント工程を実施し、左眼と右眼の画像をアライメントするための構成要素の適切な位置を特定し、この位置で構成要素を機械的に固定する。しかし、このアプローチでは、個々の調整が別の視者の視覚構造に適していない可能性があるため、フレームを別の視者の頭部に快適に取り付けることができず、視者がヘッドマウントディスプレイを別の視者と簡単に共有することができない。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、コンパクトなヘッドマウントデバイスおよび類似のイメージング装置を使用する場合に、立体バーチャル像表示の技術を進歩させることである。有利なことに、本開示の実施形態は、視者の異なる頭部寸法を補償する調節可能なフレームと、相対的調整が可能なニアアイディスプレイと、を備えた立体イメージング装置を特徴とする。ニアアイディスプレイは、上記のようなフレームの調節範囲にわたって立体画像を表示するために必要な光学的アライメントを維持する。
【0007】
開示された実施形態の態様、目的、特徴、および利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を検討し、添付の図面を参照することにより、より明確に理解および認識されるであろう。
【0008】
本開示の一態様によれば、立体視用イメージング装置が提供される。この装置は、視者の頭部に装着されるように構成されたフレームと、前記フレームによって支持される左眼用イメージング装置と、前記フレームによって支持される右眼用イメージング装置と、を備え、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、視者に立体バーチャル像を伝えるために相対的にアライメント可能である。前記フレームは、視者の異なる頭部構造に対応するために、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的なアライメントを変更するような形状変更が可能である。調整機構は、立体バーチャル像を視者に伝送するために、前記フレームの形状変更に応答して、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的なアライメントを復元する。
【0009】
好ましくは、前記イメージング装置は、前記フレームに結合された少なくとも1つのセンサをさらに含み、前記少なくとも1つのセンサは、前記フレームの形状変更に関連し前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的なアライメントの変更を示す出力信号を、提供するように配置されている。
前記調整機構は、好ましくはアクチュエータを含み、前記アクチュエータは、前記少なくとも1つのセンサの出力信号に応答して、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の1つ以上の構成要素の相対的角度的な配置を調整する。
【0010】
少なくとも1つのセンサは、フレームの鼻ブリッジ(ノーズブリッジ;鼻掛けビリッジ;nose bridge)またはフレームの一方または両方のテンプルでの曲げを測定するように配置することができる。
前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の各々の前記1つ以上の構成要素の1つは、バーチャル像を視者の対応する左眼および右眼に伝送する導波路を含むことができる。
前記アクチュエータは、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置のうちの少なくとも一方の前記導波路の相対的角度的な配置を調整するように構成することができる。
前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の各々は、プロジェクタを含むことができ、前記アクチュエータは、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の少なくとも一方において、前記導波路に対する前記プロジェクタの相対的角度的な配置を調整するように構成することができる。
【0011】
イメージング装置はまた、少なくとも1つの画像生成器をさらに含むことができ、前記調整機構は、前記少なくとも1つのセンサ信号の出力信号に応答して、前記画像生成器によって生成される左眼画像コンテンツと右眼画像コンテンツを相対的にシフトする。
【0012】
本開示の別の態様によれば、立体視用イメージング装置が提供される。この装置は、視者の頭部に装着されるフレキシブルなフレームと、立体バーチャル像を視者に伝送するために相対的にアライメントされる左眼用イメージング装置および右眼用イメージング装置と、を備えている。前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、前記フレーム内で互いに堅く結合されている。前記フレキシブルなフレームが、視者の頭のサイズにより良くフィットするために異なる形状に曲げられた時に、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、立体バーチャル像を視者に伝送するために相対的にアライメントされた状態を維持する。
【0013】
前記フレキシブルなフレームは、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置との間に配置されたフレキシブルな鼻ブリッジを含むことができ、前記フレキシブルな鼻ブリッジが、視者の頭部のサイズにより良くフィットするために異なる形状に曲げられた時に、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、視者に立体バーチャル像を伝送するために相対的にアライメントされた状態を維持する。
前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、前記前記フレキシブルな鼻ブリッジ内のピンを介して前記フレームに連結することができる。
前記フレキシブルなフレームは空洞を含むことができ、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置が前記空洞内において前記フレームに対して相対的に移動可能である。
【0014】
本発明の別の態様は、ニアアイ両眼イメージングシステムを含む。このシステムは、画像を生成するための少なくとも1つの画像生成器と、視者の頭部に装着するように構成されたフレームと、生成された画像の少なくともいくつかを、視者の左眼によって見えるバーチャル像に変換するために、前記フレームに支持された左眼用イメージング装置と、生成された画像の少なくともいくつかを、視者の右眼によって見えるバーチャル像に変換するために、前記フレームに支持された右眼用イメージング装置と、を備えている。前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置は、立体バーチャル像を視者に伝送するために、視者の左眼と右眼で見ることができるバーチャル像を相対的にアライメントするように、相対的に配向されている。前記フレームは、視者の異なる頭部構造に対応するために形状変更が可能であり、これにより、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な配向を変更し、これに対応して視者の左眼と右眼で見ることができるバーチャル像をずらすようになっている。センサは、前記フレームにより支持され前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な配向の変化の指標を検出して出力する。プロセッサは、前記少なくとも1つの画像生成器と関連し、前記センサからの出力を受信し、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な配向の変化を補償する調整量を決定し、前記少なくとも1つの画像生成器により生成された画像をシフトして、視者の左眼と右眼で見ることができるバーチャル像の相対的なアライメントを復元し、立体バーチャル像を視者に送る。
【0015】
前記左眼用イメージング装置は、前記少なくとも1つの画像生成器のうちの第1画像生成器と一緒に、前記フレームによって支持された第1プロジェクタと第1導波路とを備えることができる。前記第1プロジェクタは、前記第1画像生成器を組み込むとともに、前記第1画像生成器によって生成された画像をバーチャル像として前記第1導波路に投射し、前記第1導波路は前記バーチャル像を視者の左眼に伝送する。
前記右眼用イメージング装置は、前記少なくとも1つの画像生成器のうちの第2画像生成器と一緒に、前記フレームによって支持された第2プロジェクタと第2導波路とを備えることができる。前記第2プロジェクタは、前記第2画像生成器を組み込むとともに、前記第2画像生成器によって生成された画像をバーチャル像として前記第2導波路に投射し、前記第2導波路は前記バーチャル像を視者の右眼に伝送する。
前記プロセッサは、立体バーチャル像を視者に伝えるために、前記第1、第2画像生成器のうちの少なくとも1つによって生成された画像をシフトすることができる。あるいは、前記プロセッサは、立体バーチャル像を視者に伝えるために、前記第1、第2画像生成器の両方によって生成された画像をシフトすることができる。
【0016】
前記フレームは、視者の異なる頭部構造に対応するために曲げらることができ、前記センサは前記フレームの曲げを測定することができる。
前記センサは、前記フレームの曲げを測定するために、前記フレームに取り付けられたカメラと距離センサのうちの少なくとも一方を含むことができる。
前記フレームは、前記第1、第2導波路を支持するフレーム正面部と、前記第1、第2プロジェクタを支持するテンプルとを含むことができる。
さらに、前記フレーム正面部は、前記第1、第2導波路の間のノーズピース部を含むことができ、前記センサは、前記ノーズピース部の曲げを検出するように構成することができる。
あるいは、前記センサは、前記フレーム正面部に対する前記テンプルの向きの変化を検出するための少なくとも2つのセンサのうちの1つとすることができる。
【0017】
方法としての別の態様は、画像生成器によって生成された画像を、視者の左眼および右眼で見ることが可能なバーチャル像に変換する左眼用イメージング装置と右眼用イメージング装置、を支持するフレームの曲げに適応する。視者の左眼と右眼で見ることができるバーチャル像を相対的にアライメントして、立体バーチャル像を視者に伝えるために、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置が相対的に方向付けられる。視者の異なる頭部構造に対応するために、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な向きを変更するような仕方で、前記フレームが形状変更される。視者の左眼と右眼で見えるバーチャル像のずれが生じる。前記フレームの形状変更が、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な向きの変化の指標として検知される。検知された前記フレームの形状変更から、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置の相対的な向きの変化を補償する調整量が決定される。前記少なくとも1つの画像生成器によって生成される画像が前記決定された調整量にしたがってシフトされ、これにより、視者の左眼と右眼で見ることができるバーチャル像の相対的なアライメントが復元され、立体バーチャル像が視者に伝えられる。
【0018】
前記フレームの形状変更は、前記左眼用イメージング装置と前記右眼用イメージング装置との間の前記フレームのノーズピース部を曲げることを含むことができ、前記検知では、ノーズピース部の曲げを検出することを含むことができる。
前記少なくとも1つの画像生成器は、前記左眼用イメージング装置のための画像を生成する第1画像生成器と、前記右眼用イメージング装置のための画像を生成する第2画像生成器とを含むことができ、前記シフトは、立体バーチャル像を視者に伝えるために、前記第1、第2画像生成器によって生成された画像を、反対方向にシフトすることを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】視者のための立体バーチャル像対を形成するためのヘッドマウントディスプレイ(HMD)の概略図である。
【0020】
【
図1B】
図1AのHMDの概略図であり、右眼用の画像と左眼用の画像がずれている状態を示す。
【0021】
【
図2A】HMDを、イメージング構成要素を含む概略的な形態で示す平面図であり、左眼用バーチャル像と右眼用バーチャル像の配向とその配向による相対的効果を示す。
【
図2B】異なる配向とその配向による相対的効果を示す
図2A相当図である。
【
図2C】さらに異なる配向とその配向による相対的効果を示す
図2A相当図である。
【0022】
【
図3A】導波路タイプのイメージング構成要素と眼鏡フレームとを有するHMDの平面であり、左眼用バーチャル像と右眼用バーチャル像の配向を示す。
【
図3B】眼鏡フレームの撓みによる左眼用バーチャル像と右眼用バーチャル像の配向を示す。
【
図3C】眼鏡フレームの撓みによる
図3Bとは異なる向きの左眼用バーチャル像と右眼用バーチャル像の配向を示す。
【0023】
【
図4A】フレキシブルなフレーム内に調整可能なイメージング構成要素を備えたHMDの平断面図である。
【0024】
【
図4B】
図4AのHMDの平断面図であり、フレームが撓んだ状態を示す。
【0025】
【
図5】本開示の形態を用いた立体視の拡張現実表示のためのHMDの斜視図である。
【0026】
【
図6A】フレキシブルなフレームと、組み込まれたイメージングシステムを示す平断面図である。
【0027】
【
図6B】
図6Aのフレキシブルなフレームと組み込まれたイメージングシステムを示す平断面図であり、フレームが曲げられた状態を示す。
【0028】
【
図7】フレームが剛性部分とフレキシブルな部分とを有するHMDの平面図である。
【0029】
【
図8】AR/VRシステムの平面図であり、曲げ回転軸の位置を示す。
【0030】
【
図9】曲げ回転軸を備えたAR / VRシステムの正面図である。
【0031】
【
図10】AR/VRシステムの右側面図であり、曲げ回転軸の配向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書は特に、本発明に係る装置の一部を構成する要素、または本発明に係る装置と直接的に協働する要素の組み合わせに向けられている。具体的に記載されていない要素については、当業者に周知の様々な形態を採用できることを理解されたい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」等の用語は必ずしも順序、順次または優先関係を示すものではなく、特に明記しない限り、単に1つの要素または要素の集合を他と明確に区別するために用いられる。
【0034】
本開示の文脈において、「見る人(視者)」、「操作者(オペレータ)」、および「利用者」という用語は均等とみなされ、HMD視覚装置を装着し、この装置を用いて画像を見る人を指す。
【0035】
「作動可能」という用語は、例えば電気信号に応答するなど、刺激に応答してアクションを実行することができるデバイスまたは構成要素に関連した通常の意味を有する。
【0036】
本明細書で使用される「光学的無限遠」という語句は、カメラおよび画像技術における従来の使用法に対応するものであり、焦点距離が少なくとも約4メートルを超えるような実質的にコリメートされた光を使用した画像形成を指す。
【0037】
本開示において、「結合された」という用語は、1つの構成要素の配置がこれと結合される構成要素の空間的配置に影響を与えるような、2つ以上の構成要素間の物理的な関係、連結、リンクを指す。機械的結合の場合、2つの構成要素は直接接触しなくてもよく、1つ以上の中間の構成要素を介してリンクしてもよい。光学的結合のための構成要素は、光エネルギーの光学装置への入力または光学装置からの出力を可能にする。
【0038】
本明細書での「組み込み(embedded)」は、対象物の一部または構成要素が、別の対象物または構成要素内にあることを意味する。ここでは、対象物または構成要素が別の対象物または構成要素によって完全に覆われていることを意味するために用いていない。
【0039】
実画像投射の代わりに、光学システムはバーチャル像表示を生成することができる。実像を形成する方法とは対照的に、バーチャル像はディスプレイ表面に形成されない。つまり、バーチャル像を知覚できる位置に表示面が配置されているとしても、その面には画像は形成されない。バーチャル像表示には、拡張現実表示のための固有の利点がある。たとえば、バーチャル像の見かけのサイズは、表示面のサイズや場所によって制限されない。実像を投影するシステムと比較して、ある程度離れて見えるバーチャル像を形成することにより、より現実的な視聴体験を提供できる。バーチャル像を提供すると、実像を投射するときに必要になるであろう画面のアーチファクトの補正が、必要でなくなる。
【0040】
図1Aおよび
図1Bは、視者のための立体バーチャル像ペア(立体バーチャル像対)20を形成するためのヘッドマウントディスプレイHMD10を示す。HMD10は、左眼用バーチャル像221および右眼用バーチャル像22rを形成し、これらバーチャル像は、立体的表示を提供するために、HMD10の正面において離れた位置で互いに適切にアライメント(位置合わせ)される。
図1Aでは、左眼用画像221と右眼用画像22rは、立体的イメージングのためにアライメントされた状態で表されている。
図1Bでは、左眼用画像221および右眼用画像22rは、誇張されて示されるように、水平方向のアライメントから外れて配置されている。
【0041】
HMD10から出力されるバーチャル像は、バーチャル像が角度的にエンコードされた重複ビーム(overlapping beams)を含む。好ましくは、左眼用画像221および右眼用画像22r内の一致点に対応するビームは、所望の立体的表示をサポートするために、HMDの正面の空間内の共通点に向かって、互いにアライメントされまたは収束する。したがって、HMD10は、左眼用画像221と右眼用画像22rとの間の所望の角度関係を維持するように構成されることが好ましい。
【0042】
HMDは、頭のサイズの相違や、瞳孔間距離の相違を含む他の解剖学的構造の相違(これら相違は、ウェアラブルディスプレイを視者の頭に最適に取り付ける方法に影響を与える)があっても、視者が快適かつ効果的に装着できるように、調整可能であることが好ましい。本開示の実施形態は、各視者への所望の立体表示を維持しながら、異なる視者の頭部構造に適合するためのHMDの形状変更(再形成;reshaping)に対応することができる。
【0043】
図2A、
図2B、
図2Cの平面図は、ヘッドマウントディスプレイ10のイメージング構成要素の相対位置の変化(眼鏡フレームFまたは他の装着装置の撓み(曲げ;flexture)に起因する変化など)に対応した、左眼用バーチャル像と右眼用バーチャル像の位置の変化を示す。ヘッドマウントディスプレイ10は、左眼用イメージング装置121と右眼用イメージング装置12rとを備えている。各イメージング装置121、12rは、対応するレンズL11、Llrおよび対応する画像生成器141、14rなどの画像形成光学系を有する。各画像生成器141、14rは、対応する眼E1、Erに対して無限焦点バーチャル像221、22rを形成するために、対応するレンズL11、Llrからほぼ焦点距離の位置に配置される。
【0044】
図2Aは、立体視のための意図された位置に左眼用バーチャル像221と右眼用バーチャル像22rが形成されていることを示す。
図2Bは、鼻梁34に沿ったフレームFの撓みにより画像221、22rが角度的にシフトしていることを示す。
図2Cは、フレームFの撓みを補償するための画像221、22rの向きの補正していることを示す。
図2Bに示すフレームFの撓みは、フレームFをより小さな頭部サイズに合わせるために生じる撓みであり、その結果、画像22、22rが互いに離れ、所望の立体表示(stereoscopic presentation)を保持するために
図2Cに示すような補正を必要とする。
【0045】
図3A、
図3B、
図3Cは、従来の眼鏡フレームのようなより完全なフレームFを備えたHMDを示しているが、単純化のために右眼画像22rの構成のみを示している。フレームFは、フレーム正面部Ffと、左右のテンプルTlおよびTrとを有する。左眼用画像も対称的に形成される。右眼用イメージング装置は、テンプルTrに取り付けられたプロジェクタ32の形態の画像生成器と、フレーム正面部Ffに取り付けられた平行平面導波路40とを含む。プロジェクタ32は、角度的にエンコードされた画像担持ビームを、破線の矢印26で表される公称(名目上)の入力方向に沿って導波路40に向けるように、配向されている。導波路40は、全反射などにより画像担持ビームを右眼Erの正面の出力位置へと伝送する。画像担持ビームはこの出力位置で導波路40から出て、破線の矢印28で表される公称(名目上)の出力方向に沿って、右眼Erに入るように方向付けられる。名目上の入力方向26と名目上の出力方向28は、両方とも導波路40の法線Nとアライメントされた状態で示されている。これら名目上の入力方向26と出力方向28は、バーチャル像22rの名目上の向きにも対応している。名目上の入力方向26および出力方向28の他の開始方向が可能であるが、法線Nとのアライメントは、
図3Bおよび
図3Cの異なる配向と比較するための便利な基準点を提供する。
【0046】
図3Bに示されるように、フレームFは、より小さな頭の視者に合うように、例えば曲げられる等して、形状変更されている。この撓み(曲げ)の主な効果は、フレームの正面部Ffに対する右テンプルTrの配向の変化である。より小さな頭部サイズに適合するための右テンプルTrの移動方向は、矢印36で示されている。プロジェクタ32が右側のテンプルTrに取り付けられた状態で、示された撓みは、プロジェクタ32からの画像担持ビームが導波路40に入る名目上の入力方向26に、変化をもたらす。導波路40の規則的な対称性により、画像担持ビームが導波路40から出る名目上の出力方向28は、入力方向26と等しいが反対の角度方向にシフトし、それにより、投影されるバーチャル像22rは、視者の視野(FOV)に対して内側に移動する。これは、
図2Bに示された効果とは逆の効果であることに留意されたい。
図2Bでは、イメージング装置全体(例えば、プロジェクタと導波管)が、より小さな視者の頭に適合するために、鼻ブリッジ34を中心に回動する。したがって、鼻ブリッジ34とテンプルT1およびTrとの間に撓み(曲げ)を分配することにより、投影される左右のバーチャル像221および22rの間の所望の位置合わせを維持しながら、より小さい頭部に対応することができる。
【0047】
図3Cに示すように、より大きな頭サイズの視者に対応するために、テンプルTrなどのテンプルが矢印38で示されるように反対方向に曲げられた時には、バーチャル像22rは反対方向に動く。例えば、プロジェクタ32がテンプルTrとともに矢印38で示すように外方向に回動するのに伴って、名目上の入力方向26が変化すると、バーチャル像22rは、視者の視野(FOV)内で外側に動くように示される。
【0048】
図2A~
図2CのHMD設計または
図3A~
図3CのHMD設計のいずれかを用い、手動調整により左右のイメージング装置121、12rの構成要素を再配置し、これにより、視者の頭部に適合するようにHMDフレームFを撓ませたことに関連して生じた左眼用バーチャル像221と右眼用バーチャル像22rとの間のずれ(misalighnment)を、修正することができる。ただし、このような手動調整は時間がかかる可能性があり、個々の視者ごとに手動調整手順が必要になると、HMDの全体的な使い勝手に悪影響を及ぼす可能性がある。同じHMDで異なる視者に容易に対応する必要性に答えるために、本開示の実施形態は自動調整機構を提供する。この自動調整機構は、フレームFの撓みを測定し、視者の頭の異なるサイズに合わせる必要性と関連した左眼用バーチャル像と右眼用バーチャル像のずれを自動的に計算し調整する。
【0049】
図4A、
図4Bの平面図に示されるように、HMD50は、左眼用イメージング装置121と右眼用イメージング装置12rの構成要素の角度的なアライメントを変えることにより、測定されたフレームの撓みおよび対応する視者の頭部寸法を補償する。HMD50において、フレームFの撓みは、歪みゲージまたは他の適切な位置検知デバイス等のセンサ52を用いて検知される。センサ52から受信した信号は、フレームの撓みの量と、左眼および右眼画像のアライメントに必要な画像位置調整の相対的な量を示し、マイクロコントローラなどの制御論理プロセッサ54によって処理される。プロセッサ54からの生成された出力信号は、左眼イメージング装置121とおよび右眼用イメージング装置12rの1つ以上の構成要素の位置を調整するために、一方または両方のアクチュエータ60を制御する。例えば、この位置調整により、レンズ要素LllおよびLlrの角度方向を変えることができる。あるいは、この調整により、イメージング経路内の他の構成要素(導波路やプロジェクタを含む)の向きまたは動作を変えることができ、それにより、左眼用のバーチャル像221と右眼用のバーチャル像22rの相対位置を適切に変えることができる。立体視は、左眼用バーチャル像221と右眼用バーチャル像22rのうちの1つだけを移動することによって修正できるが、好ましくは、バーチャル像221、22rの両方を移動し、これにより、立体画像を視野内の所望の位置(たとえば中央)に維持し、左眼用イメージング装置121と右眼用イメージング装置12rの構成要素間で必要な補正量を分担する。
【0050】
センサ52は、左眼用イメージング装置121と右眼用イメージング装置12rの間にあるフレームFのノーズピース部の撓みに基づいて出力信号を提供する歪みゲージであってもよい。代替または追加のセンサ56を使用して、テンプル部Tl、Tr、またはテンプル部Tl、Trとフレーム正面部Ffとの間の変形を検知することもできる。制御論理プロセッサ54は、センサ56と通信し、受信信号をデジタル入力値に変換し、その値を使用して、事前に計算されたまたは経験によって導かれたルックアップテーブル(LUT)等から、レンズLllおよびLlrの角度方向を調整するための値を決定する。
【0051】
上記のようなイメージング構成要素の機械的調整に代えてまたは加えて、角度的にエンコードされたビーム内のバーチャル像のエンコーデイングを、画像投射ソフトウェア(image projection software)内で調整することができる。例えば、プロジェクタ内で生成された画像は、プロジェクタから出力される角度的にエンコードされたビームに変換される前に、相対的にシフトすることができ、これにより結果として生じるバーチャル像を視者のFOV内で相対的に変位させることができる。1つまたは複数のセンサ52、56からの検知情報に基づき、プロセッサ54の制御ロジックは、検知されたフレームの撓みみにしたがって、バーチャル像221、22rの相対的な左右位置をシフトするように、画像コンテンツを調整する。すなわち、バーチャル像内のピクセルは、検知された状態にしたがい、適切に左または右にシフトすることができる。
【0052】
種々のタイプの検知デバイスおよび作動デバイスを使用して、1つまたは複数の光学構成要素の角度補正のための信号出力を提供したり、あるいは画像データの制御ロジック調整を提供したりすることができる。センサのタイプには、歪みゲージセンサ、回転センサ、ホール効果センサ、リミットスイッチ、またはその他のデバイスを含めることができる。代替的または追加的に、センサ52は、サムホイールスイッチ(thumbwheel switch)等のオペレータコントロールまたはスイッチとすることができる。これらは、左/右画像アライメントの手動制御のために視者調整を検知する。
【0053】
図5の斜視図は、3次元(3D)拡張現実表示用の両眼ディスプレイシステム100を示している。ディスプレイシステム100は、左眼のための瞳拡大器1401を有する左眼用イメージングシステム121と、右眼のための瞳拡大器140rを有する右眼用イメージングシステム12rと、を有するHMDとして示されている。瞳拡大器1401、140rは、視者の目に向けられた角度的にエンコードされた画像担持ビーム間の重複領域を拡大し、視者は意図されたバーチャル像を見ることができる。好ましくは他の実施形態に組み込まれる瞳拡大器1401および140rは、異なる視者の瞳孔間距離の変化に対応することを可能にする。
【0054】
1以上の画像ソース152(ピコプロジェクタまたは同様のデバイス等)は、各眼に対して個別の画像を生成する。これら画像は、起立した画像ディスプレイに対して必要な画像の向きでバーチャル像として形成される。1以上のセンサ52は、左眼用画像と右眼用画像のアライメント(位置合わせ)に必要な調整を示す信号を提供する。生成された画像は、3D表示用の立体像対(stereoscopic pair of images)にすることができる。光学システムによって形成されたバーチャル像は、視者が見る現実世界のシーンコンテンツに重ね合わせて見える。拡張現実視覚化の分野の当業者によく知られている追加の構成要素(シーンコンテンツまたは視者の視線追跡を表示するために、HMDのフレームに取り付けられた1つ以上のカメラ等)を、装備することもできる。
【0055】
図6Aおよび
図6Bは、フレキシブルなフレームのAR / VR(拡張現実または仮想現実)システム200の形態をなすHMDの平断面図である。フレキシブルなフレームのAR / VRシステム200は、左眼フレーム部202と右眼フレーム部204が取り付けられるフレキシブルな鼻ブリッジ206を含む。左側のテンプルアセンブリ208は左眼フレーム部202に堅く取り付けられ、右側のテンプルアセンブリ210は右眼フレーム部204に堅く取り付けられている。フレキシブルな鼻ブリッジ206内には、支持固定具(support fixture)222を支持する支持ピン220が取り付けられている。フレキシブルな鼻ブリッジ206が曲げられたとき、支持ピン220および支持固定具222は動かない。支持固定具222は、左眼用イメージング装置の左出口窓(left exit window)224と右眼用イメージング装置の右出口窓(right exit window)226を支持し、フレキシブルな鼻ブリッジ206が曲げられた時でも、左出口窓224と右出口窓226の互いに固定的な角度関係を維持する。左眼フレーム部202は、左出口窓224が配置される左キャビティ(空洞;cavity)228を有する。右眼フレーム部204は、右出口窓226が配置される右キャビティ230を有する。左右のキャビティ228,230は、大きな機械的力、圧力、応力または歪みを左出口窓224または右出口窓226に伝達することなく、フレキシブルな鼻ブリッジ206の曲げに対応する。このようにして、左眼フレーム部202と右眼フレーム部分204は、左出口窓224と右出口窓226の間の角度関係を変えることなく動くことができる。
【0056】
フレキシブルなフレームのAR/VRシステム200はさらに、左光学要素236を有する左イメージング経路を備えている。この左光学要素236は、左光学取付要素232によって左出口窓224に結合されている。フレキシブルなフレームのAR/VRシステム200はさらに、右光学要素238を有する右イメージング経路を備えている。この右光学要素238は、右光学取付要素234によって右出口窓226に結合されている。ある態様では、左光学要素236と右光学要素238の一方または両方は、プリズムである。別の態様では、左光学要素236と右光学要素238の一方または両方は、複合プリズムまたは複数のプリズムのアセンブリである。さらに別の態様では、左光学要素236と右光学要素238の一方または両方は、1つ以上のプリズムと1つ以上のミラーを有するプリズムである。
【0057】
左光学要素236は、そのイメージング経路に沿って左投射システム244に光学的および機械的に結合され、右光学要素238は、そのイメージング経路に沿って右投射システム246に光学的および機械的に結合されている。左チャネル240は、左光学素子236が左眼フレーム部202内に延びることを許容し、右チャネル242は、右光学素子238が右眼フレーム部204内に延びることを許容し、これにより、左眼フレーム部202と右眼フレーム部204を曲げる動きが、左右の光学要素236、238に大きな力、圧力、応力または歪みを与えないようになっている。左右の投射システム244、246は、左右のテンプルフレームキャビティ248、250内にそれぞれ配置されており、これにより、左右のテンプルアセンブリを曲げる動きが、左右の投射システム244、246に大きな力、圧力、応力、または歪みを与えないようになっている。このため、フレキシブルな鼻ブリッジ206が曲げられても、左眼用イメージング装置と右眼用イメージング装置の相対位置は変わらない。
【0058】
フレキシブルなフレームのAR/VRシステム200はさらに左システム構成要素252と右システム構成要素254を有している。これら左システム構成要素252と右システム構成要素254は、左テンプルアセンブリ208と右テンプルアセンブリ210にそれぞれ堅く取り付けられている。そのため、左右のテンプルアセンブリ208および210が、名目上の視者の頭部サイズ(左右のテンプルアセンブリが曲げられない頭部サイズ)に対して、より広いまたは狭い視者の頭部サイズに対応するように曲げられた時に、左システム構成要素252と右システム構成要素254は、左右のテンプルアッセンブリと一緒に動く。左右のシステム構成要素252、254は、バッテリー、回路基板、タッチパッドや、AR/VRシステムに関連することが知られている他の構成要素のうちの1つ以上を含むことができる。
【0059】
図6A、
図6Bは、左フレーム部表面の法線300、左出口窓表面の法線302、ならびに右フレーム部表面の法線304、右出口窓表面の法線306をさらに示す。
図6Aに示されるように、フレキシブルな鼻ブリッジ206を曲げるような外力が加えられない時には、左フレーム部と左窓の法線300、302はアライメント(一致)し、右フレーム部と右窓の法線304、306もアライメントする。
【0060】
しかし、
図6Bに示されるように、外部から加えられた曲力(左右のテンプルアセンブリ部分208および210に矢印として示されている)は、フレキシブルな鼻ブリッジ206を曲げる。その結果、左フレーム部の法線300が、左出口窓の法線302に対して傾斜し、同様に、右フレーム部の法線304が、右出口窓の法線306に対して傾斜する。支持ピン220、支持固定具222、左右の出口窓224、226、左右の光学要素236、238、および左右の投射システム244、246が機械的に堅く連結され、左右のキャビティ228、230、左右のチャンネル240、242、左右のテンプルキャビティ248、250がクリアランスを提供するので、外部から加えられた力は、種々の光学的構成要素(左眼用イメージング装置と右眼用イメージング装置を含む)の相対的な配置を変更することなく、鼻ブリッジ206を曲げる。必要なクリアランスは、固定された光学構成要素に対して意図する曲げ方向でのフレームの相対的な動きを可能にするスロットとして、キャビティを形成する等、さまざまな方法で作成できる。
【0061】
図7は、AR/VRシステム400の形態をなすHMDの平面図である。このAR/VRシステム400は、鼻ブリッジ406によって結合された左出口窓部402と右出口窓部404を含むフレーム正面部Ffを有している。2つのテンプルTlおよびTrの各々は、寸法線によって識別される2つの部分に分割される。左テンプルT1は、前テンプル部410と後テンプル部420とを含む。右テンプルTrは、前テンプル部412と後テンプル部424を含む。AR/VRシステム400はまた、左眼用イメージング装置と右眼用イメージング装置を含む。左眼用イメージング装置は、左出口窓部402内に固定された導波路430と前テンプル部410に固定されたプロジェクタ432とを含む。同様に、右眼用イメージング装置は、右出口窓部404内に固定された導波路440と前テンプル部412に固定されたプロジェクタ442とを含む。
【0062】
フレーム正面部(左出口窓部402、右出口窓部404、および鼻ブリッジ406を含む)と、左右のテンプルTl、Trの前部410、412は、左眼用イメージング装置と右眼用イメージング装置の間の適切なアライメントを維持するために剛体構造(rigid structure)を形成しており、立体表示をサポートする。剛性のノーズピース406と、このノーズピース406と左出口窓部402、右出口窓部404の両方との間の堅い結合(剛体結合;rigid connections)は、2つの導波路430,440の間の固定的な角度関係を維持する。左出口窓部402と左テンプルT1の前部410との間の堅固な結合は、導波路430とプロジェクタ432との間の固定的な角度関係を維持する。同様に、右出口窓部404と右テンプルTrの前部412との間の堅固な結合は、導波路440とプロジェクタ442との間の固定的な角度関係を維持する。
【0063】
フレームの正面部とは異なり、後テンプル部420、424は、前テンプル部410、412に対してフレキシブルであり、視者の頭部の異なる幅に適合する。例えば、後テンプル部420、424は、1つ以上のフレキシブルな弾性材料(弾性記憶を有する)によって作ることができ、横方向に変位している状態で、外力が後テンプル部420、424に加えられなくなると、名目上の位置に弾性復帰する。あるいは、左右の後テンプル部420、424は、左右の前テンプル部410、412に、バネ付勢ヒンジまたはエラストマーヒンジにより、それぞれ連結することができる。左右の後テンプル部420、424は、フレキシブルに相互結合された部分に再分割することもできる。後部テンプル部420、424を異なる幅の視者の頭に押し付けるフレキシブル性のモードに関係なく、後テンプル部420、424のフレキシブル性と可変配置は、立体表示をサポートするための左眼用イメージング装置と右眼用イメージング装置のアライメントに影響を与えない。
【0064】
図8は、AR/VRシステム400の平面図であり、鼻ブリッジ406領域にフレキシブルヒンジの回転軸454が配置されている。左側の固定された出口窓部402と右側の固定された出口窓部404は、ヒンジ回転軸454を中心に回転できるが他の軸では回転できないように構成され、鼻ブリッジ406領域で結合される。ヒンジ回転軸454を中心とするこのような回転は、AR/VRシステム400の異なる着用者の様々な頭部サイズを補償するために用いることができる。ヒンジ回転軸454を中心としたフレックスな回転(AR/VRシステム400の左半分、右半分の反対方向の回転)は、左の固定出口窓部402と右の固定出口窓部404(これらは、左の固定フレーム部410と右の固定フレーム部分412にそれぞれ堅く取り付けられている)を、反対方向に回転させる。鼻ブリッジ406と、組み込まれたヒンジアッセンブリ(
図8には示さず、
図9の符号520を参照)は、ヒンジ回転軸454によって定義される軸を除くいかなる軸でも、左の固定出口窓部402と右の固定出口窓部404との間のねじれ及び/又はトルク運動を禁じるように、構成されている。このような曲げ回転は、左バーチャル像平面446と右バーチャル像平面448を左右にシフトする。これらバーチャル像平面のシフトは、左の平面導波路430と右の平面導波路440を介して表示されるべき画像を生成するソフトウェアで補償することができる。
【0065】
ヒンジ回転軸454は、2つの平面を交差させて線を形成することにより定義することができる。この交差による線がヒンジ回転軸454となる。第1の平面は左バーチャル像平面446と平行な左平面450であり、第2平面は右バーチャル像平面448と平行な右平面452である。左平面450と右平面452の交差が、AR/VRシステム400の鼻ブリッジ406領域を通る線を画定する。左バーチャル像平面446は左平面導波路430により生成され、右バーチャル像平面は右平面導波路440により生成される。左バーチャル像平面446は左平面導波路430と平行でなくてもよく、右バーチャル像平面448は右平面導波路440と平行でなくてもよい。
【0066】
図9は、AR/VRシステム500の正面図であり、このシステム500は、右出口窓フレーム510、左出口窓フレーム512、および鼻ブリッジ514を有している。右出口窓フレーム510内には、平面導波路(
図9には示さず。
図8の符号440を参照)が組み込まれ、左出口窓フレーム512内には、平面導波路(
図9には示さず。
図8の430を参照)が組み込まれている。組み込まれたヒンジアセンブリ520は、鼻ブリッジ514内に配置され、右出口窓フレーム510に機械的に連結され、左出口窓フレーム512に機械的に連結され、これにより、右出口窓フレーム510と左出口窓フレーム512がヒンジ回転軸530を中心に回動でき、ひいては、組み込まれた平面導波路(図示せず)がヒンジピン回転軸530を中心に回転できるようになっている。ヒンジ回転軸530は、
図8においてヒンジ回転軸454として規定されている。このようにして、組み込まれた平面導波路(
図8の430、440を参照)もヒンジ回転軸530を中心に回転する。
【0067】
組み込まれたヒンジアセンブリ520は、メカニカルピン522と左タブ526と右タブ524により構成され、左タブ526と右タブ524がメカニカルピン522を中心に回転できるようになっている。メカニカルピン522は、ヒンジピン回転軸530(
図8のヒンジ回転軸454と同じ)に沿って配置およびアライメントされている。ヒンジアセンブリ520は、右タブ524と左タブ526で構成してもよい。右タブ524は、円筒形の縁部(図示せず)と本質的に平坦なタブ部分(図示せず)を有してもよい。左タブ526は、受入溝の縁部(図示せず)と本質的に平坦なタブ部分(図示せず)を有してもよい。右タブ524の円筒形の縁が左タブ526の受入溝の縁に滑り込んで、ヒンジアセンブリ520が形成される。右タブ524の円筒形の縁は、ヒンジピン回転軸530に沿ってアライメントされている。右側のタブ524の円筒形の縁部は磁気を帯びていてもよい。左タブ526の受入溝の縁は、磁気を帯びてもよく及び/又は着磁可能材料で形成されていてもよい。ヒンジアセンブリ520は、AR/VRシステム500を装着する者によって繰り返し着脱できる2つの半体により構成することができる。ヒンジアセンブリ520は、少なくとも2つの部分(右側部分と左側部分)で構成し、右側部分が右側出口窓フレーム510と連続する部分であり、左側部分が左側出口窓フレーム512と連続する部分であってもよい。当業者に知られているように、ヒンジのような機構を構成する他の方法もある。この機構は、左出口窓フレーム512と右出口窓フレーム510との間でねじれが生じるのを禁じながら、右出口窓フレーム510と左出口窓フレーム512がヒンジピン回転軸530を中心に反対方向に回転できるようにし、他の軸では回転しないようにする。
【0068】
図10は、AR/VRシステム500の右側面図である。このシステムは、少なくとも右出口窓フレーム510、右出口窓552、組み込まれた右平面導波路(
図10には示さず。
図8の符号440を参照)、右テンプルフレーム540を備えている。右テンプルフレーム540は、右の固定テンプルフレーム部544および右の後フレーム部542をさらに含んでいる。右の後フレーム部542は、既知のフレキシブル材料から形成することができる。右の後フレーム部542は、個々の接続された部分で構成されてもよく、1つ以上の部分は曲がることができ、他の部分は剛性であってもよい。右テンプルフレーム540は、剛性フレーム接続部550によって右出口窓フレーム510に堅固に連結されている。
【0069】
図10は、ヒンジピン回転軸530の相対的な向きをさらに示している。垂直線562と水平線560は互いに直交しており、説明の目的でのみ用いられる。水平線560は、左バーチャル像面と右バーチャル像面の交差によって形成される線570と直交していなくてもよい。図示のように、ヒンジピン回転軸530は線570と平行であり、垂直線562に対して傾斜角582をなしている。傾斜角582は、5~10°の角度範囲とすることができる。傾斜角582は、0~15°の角度範囲としてもよい。傾斜角度は、-15°~+15°の角度範囲としてもよい。
【0070】
図10は、AR/VRシステム500の右半分を示している。同様の構造および数値が、鏡面対称性を備えたAR/VRシステム500の左半分に適用されることを理解されたい。
【0071】
組み込まれたヒンジアセンブリ520の構造に起因するAR/VRシステム500の曲げ(撓み)は、AR/VRシステム500の左右のフレーム半体を、ヒンジピン回転軸530を中心に反対方向に回転させることを可能にし、異なる着用者の頭のサイズに対応させることができる。
【0072】
左出口窓フレーム512内の組み込まれた平面導波路(
図8の符号430参照)と右出口窓フレーム510内の組み込まれた平面導波路(
図8の符号440参照)は、ヒンジピン回転軸530を中心に回転するが、その回転量は、いくつかの異なる方法で決定することができる。1つの方法は、
図9のヒンジアセンブリ520内に電子センサ要素を含めることである。このセンサ要素は、ヒンジピン回転軸530を中心とする回転の角度量を検出する。
図4Aおよび
図4Bのセンサ52を参照。組み込まれた導波路の角度回転を決定する別の方法は、AR/VRシステム500の右半体に組み込まれた
図9の前方視カメラ602と、AR/VRシステム500の左半体に組み込まれた前方視距離センサ600を利用するものである。カメラ602および距離センサ600は、ヒンジピン回転軸530を中心とする導波路の回転に伴って回転する。カメラ602は、カメラのベクトルの標準(正規;normal)方向に対する、AR/VRシステム500の正面の離れた位置に配置された対象物の角度方向を提供することができる。一方、距離センサ600は、対象物までの距離と、距離センサのベクトルの標準方向に対する同じ対象物の角度方向を提供することができる。これらの3つの測定値と、AR / VRシステム500の既知の構造(AR/VRシステム500内のカメラ602と距離センサ600の位置を含む)を用いて、ヒンジピン回転軸530を中心とする左右の導波路の角度方向を決定することができる。ヒンジピン回転軸530を中心とする回転角度量が決定されると、この回転角度量がソフトウェアによって利用され、左右のバーチャル像を生成するソフトウェアによって、左右のバーチャル像が水平にシフトされ、平面導波路の互いに相対的な配向が補償され、AR/VRシステム500の装着者に3次元のバーチャル像を提供することができる。
【0073】
さもなければ、
図6Aおよび
図6Bのシステム200のように、導波路430、440、およびプロジェクタ432、442に対する導波路430,440の相対的な向きとは無関係に、固定出口窓部402、404がヒンジ回転軸454(または530)を中心として相対回転することができる。これにより、左バーチャル像平面446と右バーチャル像平面448の間の角度関係を変更することなく、異なる解剖学的構造に対応することができる。固定出口窓部402、404を導波路430および440から独立して旋回できる量を制限することができ、これにより、小さな調整量では左バーチャル像平面446と右バーチャル像平面448の間の角度関係を保持することができるが、大きな調整量では左バーチャル像平面446と右バーチャル像平面448の間の角度関係が変わる。
【0074】
本発明は、現在の好ましい実施形態を特に参照して詳細に説明されているが、本発明の精神および範囲内で変形および修正が可能であることが理解されるであろう。したがって、ここに開示された実施形態は、すべての点で例示的であり、限定的ではないとみなされ、その等価物の意味および範囲内にあるすべての変更は、そこに含まれることが意図される。