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特許7149332繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/14 20060101AFI20220929BHJP
   C08B 1/00 20060101ALI20220929BHJP
   C07D 307/46 20060101ALI20220929BHJP
   C07D 307/50 20060101ALI20220929BHJP
   C07G 1/00 20110101ALI20220929BHJP
   D21C 3/20 20060101ALI20220929BHJP
   D21C 3/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
C08B37/14
C08B1/00
C07D307/46
C07D307/50
C07G1/00
D21C3/20
D21C3/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020532985
(86)(22)【出願日】2019-08-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 CN2019100944
(87)【国際公開番号】W WO2020258463
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】201910565250.2
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514162368
【氏名又は名称】中国林▲業▼科学研究院林▲産▼化学工▲業▼研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(72)【発明者】
【氏名】王 奎
(72)【発明者】
【氏名】蒋 剣春
(72)【発明者】
【氏名】劉 艶艶
(72)【発明者】
【氏名】徐 俊明
(72)【発明者】
【氏名】衛 民
(72)【発明者】
【氏名】魏 琳珊
(72)【発明者】
【氏名】王 瑞珍
【審査官】▲高▼岡 裕美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/222084(WO,A1)
【文献】特開2014-062051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
C08H
C07D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法において、
繊維系バイオマス伐採加工残留物を原料とし、ボールミルで研磨し、水を加えて撹拌することによりスラリー法前処理を行い、繊維系バイオマス原料粉末を含むスラリー状態の予混合液を得た後、加熱して昇温することで繊維系バイオマス原料である木質繊維の水熱前処理を実現し、濾過した後、勾配沈降法により濾液から低分散のヘミセルロースを得、液体を蒸留して水分を回収し、濾過残渣と極性非プロトン性溶媒及び水とを混合した後、加圧反応釜中で方向性液化を行い、その後、濾過して濾過ケーキを分離し、水洗し、乾燥させ、高純度セルロースを得、次に、濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用し、
前記勾配沈降法では、得られた濾液に無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥し、前記操作を繰り返し、エタノール含有量が20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、得られた濾過ケーキが低分散のヘミセルロースであり、
前記繊維系バイオマスのヘミセルロース含有量は>20wt%であることを特徴とする、繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法。
【請求項2】
スラリー法前処理:繊維系バイオマス原料である伐採加工残留物をボールミルで粉砕した後、得られた繊維系バイオマス原料粉末と水とを混合し、室温下で撹拌して均一な予混合液を得るステップ1と、
水熱前処理:予混合液に一定量の水を補充した後、撹拌しながら160-220℃に徐々昇温し、20-120分間前処理した後、室温に冷却し、濾過するステップ2と、
勾配沈降と分離:室温条件下でステップ2で得られた濾液に無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥し、前記操作を繰り返し、エタノール含有量が20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、得られた濾過ケーキが低分散のヘミセルロースであり、濾液を精留して水及びエタノールを回収し、再利用される前に保存するステップ3と、
方向性液化と分離:ステップ2で得られた濾過残渣と極性非プロトン性溶媒/水混合溶媒とを混合した後、密閉条件下で撹拌しながら140~240℃に昇温し、10-180分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、高純度セルロースを得、濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用するステップ4と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法。
【請求項3】
前記スラリー法前処理及び水熱前処理において、繊維系バイオマス原料粉末と水との質量比は1:5~20であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法。
【請求項4】
前記方向性液化過程において、濾過ケーキと極性非プロトン性溶媒/水混合溶媒との質量比は1:1~30であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法。
【請求項5】
前記極性非プロトン性溶媒/水混合溶媒体系における極性非プロトン性溶媒と水との質量比は9:1であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法。
【請求項6】
前記極性非プロトン性溶媒は、スルホラン、γ-バレロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンのうちのいずれか1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法。
【請求項7】
用いる溶媒及び水は、いずれも回収して再利用可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法。
【請求項8】
前記繊維系バイオマスは、カジノキ、トウモロコシ穂軸、ヤナギ、ポプラ、カバ、麦ワラ、稲ワラ、綿茎及びトウモロコシ茎のうちのいずれか1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の繊維系バイオマスからセルロース、低分散のヘミセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質繊維系バイオマスの前処理技術に属し、特に、水熱法により繊維系バイオマスを前処理することにより低分散のヘミセルロースを分離し、さらに方向性液化により高純度セルロースと解離したリグニンポリフェノールを分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球上の再生不可能な化石資源の枯渇と世界の環境汚染の増大に伴い、人間社会のニーズを満たすためにエネルギーや化学物質を生産するための再生可能資源の使用への関心がますます高まっている。バイオマスの埋蔵量は豊富で、再生可能で安価な資源である。バイオマス資源は、人間社会の進展にますます重要な役割を果たしており、石油資源の部分的な代替として最も効果的な再生可能資源とされている。繊維系バイオマスは、液体燃料や化学物質に直接変換できる豊富なバイオマス資源であるため、化石資源の理想的な代替品と考えられている。
【0003】
繊維系バイオマスは、組成が複雑で、主にセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの「3つの主要な要素」で構成されている。そのうち、セルロース含有量は30-40%、ヘミセルロース含有量は15-30%、リグニン含有量は20-30%である。純粋なセルロースを原料として、酸加水分解又は酵素的加水分解によりエタノールやブタノールなどの液体燃料又はレブリン酸やフルフラールなどの高付加価値化学物質を直接調製する。このプロセスは簡単で、製品の分離と精製が容易で、世界中で工業生産が行われている。しかし、安価な繊維系バイオマスをそのまま原料とすると、プロセスが長く、製品の組成が複雑で、安定性も悪く、高付加価値の液体燃料や薬品としてそのまま利用することが難しいため、複雑な精製プロセスが必要となる。また、異なる繊維系バイオマス原料におけるこれらの3つの成分の含有量と種類はかなり異なる。工業用触媒や生物学的酵素の特異性は、繊維系バイオマスの解重合中に得られるフェノール性物質やフミンの存在下では不活性化しやすいことで、繊維系バイオマスをエタノールに1ステップで直接加水分解することは困難となる。効率的な前処理方法により、繊維系バイオマス原料のヘミセルロースを選択的にオリゴ糖に加水分解し、物理的性質が大きく異なるセルロースとリグニンを得、さらにそれらをそれぞれ高付加価値の液体燃料及び化学薬品に解重合することは、上記問題の効果的な解決策になる。したがって、穏やかな加水分解法を使用して、繊維系バイオマス材料からヘミセルロースを効率的に除去することは、研究の焦点となっている。
【0004】
既存のバイオマス加水分解法は、主に酸加水分解、アルカリ加水分解及び酵素的加水分解である。
【0005】
多くの前処理方法の中で、希酸は最も早く研究され、最も集中的に研究され、最も広く使用され、最も効果的で比較的安価な前処理方法の1つである。希酸は、ヘミセルロースを効果的に加水分解し、ヘミセルロース糖の80%から90%を変換し、セルロースの酵素的加水分解と糖化を促進できるとともに、コストが低い。酸加水分解の反応メカニズムは、水中での酸の解離によって生成された水素イオンが水と結合してヒドロニウムイオン(H)を生成することにより、ヘミセルロース高分子のグリコシド結合の酸素原子が急速にプロトン化されて共役酸が形成されるため、グリコシド結合が弱くなり断裂し、最後に形成されたカルボカチオンは水と反応して単糖を形成し、プロトンを放出する。後者は水と反応してヒドロニウムイオンを形成し、新しい加水分解反応に関与し続ける。さまざまな基準によると、酸加水分解にはさまざまな分類方法がある。反応温度に応じて、ヘミセルロース希酸加水分解は高温(>160℃)と低温加水分解に分けることができる。高温での加水分解は、ヘミセルロースを効果的に除去して溶存糖を得ることができ、低温では、ヘミセルロースの各部分の加水分解の程度が異なる。酸濃度に応じて、希酸加水分解、超低酸加水分解及び無酸加水分解に分けることができる。この3つの加水分解は、反応メカニズムが類似しており、生成物の種類及び含有量で異なる。超低酸加水分解及び無酸加水分解により生成する糖中のオリゴ糖含有量は希酸加水分解よりもはるかに多く、分解生成物は多いが、生産効率は高くない。ヘミセルロースの希酸加水分解のプロセスは比較的複雑で、その加水分解物は大きく異なり、バイオマスの種類、由来、粒子サイズ、酸の種類と濃度、反応温度と時間などの要因の影響を受ける。その中でも、酸の種類、その濃度及び反応温度は、酸加水分解の効果に影響を与える主な要因である。ヘミセルロースの加水分解により生成された糖は酸性溶液中でさらに分解されるため、通常の加水分解条件(温度80-200°C、酸濃度0-6%)では、ヘミセルロース加水分解物は主に、糖に加えて、フルフラール、5-ヒドロキシメチルフルフラール、酢酸、ギ酸、およびレブリン酸である。工業では、この原理を使用して、1ステップまたは2ステップの方法でフルフラールを製造している。酸加水分解には、特殊な耐酸性の装置が必要であり、生成された糖が部分的に分解され、加水分解物を中和する必要があるという問題がある。加水分解物をバイオエタノールの製造に使用する場合、糖濃度が低く、解毒処理が必要であり、キシロースの利用率が低いなどの問題があり、経済性が低い。
【0006】
アルカリ処理で一般的に使用されるアルカリには、NaOH、KOH、Ca(OH)、アンモニア水などがある。研究により、熱NaOH前処理法は、ミセルロースに対して除去作用を有するだけでなく、リグニンの除去に対しても一定の効果があり、かつNaOH濃度の増加につれて、ヘミセルロース含有量が大幅に減少することが示されている。実際には、この研究により、熱アルカリ前処理は、低温(121℃)で蒸気爆発法(180~210℃)と水熱法(160~240℃)の典型的なヘミセルロース除去機能を実現することができ、ある程度のリグニン除去能力を有することが発見された。これは、その後の酵素的加水分解によるバイオエタノールの生産に非常に有利である。しかしながら、リグニン含有量が低いバイオマスの場合、熱アルカリ処理の強度が増加すると、糖収率及び収量は減少する。熱アルカリ処理後の糖収率と処理効果のバランスをとるためには、製造プロセスをさらに最適化する必要がある。また、アルカリ加水分解によりリグノセルロースを前処理するため、このプロセスは、フェルラ酸、酢酸、フルフラールなどの阻害物が生成することにより、その後の加水分解と発酵によるアルコール生成の過程が阻害される。したがって、接種された発酵細菌の死滅とバイオエタノールが生成できないことを回避するために、その後の解毒問題を考慮する必要がある。
【0007】
従来の酸塩基加水分解液には、その後の微生物の成長に不利な有害物質が含まれるので、事前に解毒する必要がある。Heerらの研究により、HMFとフルフラールの存在は微生物の成長速度を低下させ、エタノールの収量に影響を与えることが発見された。従って、酵素的加水分解法の方は環境により優しく、その後のプロセス条件を満たすために、水処理の難しさが大幅に軽減され、省エネルギーや環境保護に大きな意義がある。しかしながら、ヘミセルロースの構造及び成分は非常に複雑であり、キシロースへのβ-1,4グリコシド結合によって形成された主鎖に加えて、異なる側鎖置換基も含む。完全な加水分解のためには、ヘミセルラーゼ加水分解酵素系における様々な酵素の相乗効果が必要である。この酵素系は、主にキシランの主鎖を分解するエンドキシラナーゼとβ-キシロシダーゼを含むが、側鎖を分解するα-アラビノフラノシダーゼ、α-グルクロニダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ及びフェノールエステラーゼも含む。酵素系の他の加水分解酵素と比較して、α-グルクロニダーゼは後で発見されたものである。現在のところ、キシランの加水分解過程におけるα-グルクロニダーゼの特異的な触媒機構に関する研究は少なく、その総活性が低い、対応する酵素反応がヘミセルロースの一連の加水分解反応の制御段階であることしか知られていない。ヘミセルロースの酵素的加水分解の方法についての研究が少ないのは、化学的方法や物理的方法の除去プロセスが簡単で、除去率が高いのに対し、酵素のコストが比較的高いので、経済的に不可能であるためである可能性がある。
【0008】
超臨界水の密度は、圧力の増加とともに急激に増加し、これにより、水の溶媒化能力が大幅に向上し、バイオマス原料に対する溶解度が向上する。超臨界水の粘度や拡散係数などの物理的特性はガスに類似することにより、反応における物質移動抵抗が効果的に減少され、反応速度が向上する。水のイオン量は高温高圧で増加し、強酸・強塩基の性質を示すため、超臨界水中でバイオマスが酸触媒加水分解反応を起こし、廃液処理の問題がない。この超/亜臨界加水分解技術の方法は、反応速度が速く、溶媒汚染がなく、変換率が高いという独特な利点を有するが、現在のところ技術的には成熟していない。この方法は、セルロースの加水分解に最初に使用された。Schachtらは、3つの異なる温度段階で原料を処理した後、各温度段階で溶解した液相生成物を分離したところ、180~210℃で溶解されたのがヘミセルロースであると考え、この方法が実現可能であると証明した。しかし、現在、Schachtらの研究は主にセルロースに焦点が当てられており、ヘミセルロースにはあまり注目していない。
【0009】
超臨界二酸化炭素前処理は、高温高圧の条件下で超臨界二酸化炭素分子をリグノセルロースの内部細孔に浸透させ、急速な圧力解放によって生み出される爆破効果により、ヘミセルロースとリグニンのセルロースに対する包み込み効果を破壊することにより、その後の酵素的加水分解におけるセルロースの接触可能な表面積を増加させ、加水分解された還元糖の収率を増加させることである。Narayanaswamyらは研究により、リグノセルロース系バイオマスの種類によって、超臨界二酸化炭素による前処理の効果が異なることを発見した。また、同じ種類のリグノセルロース系バイオマスの場合、異なる超臨界二酸化炭素前処理条件で前処理すると、対応するその後の酵素的加水分解において還元糖の収率は異なる。ことを発見した。しかしながら、認知の制限により、ほとんどの学者は現在、依然として主に超臨界二酸化炭素前処理の条件における前処理結果に影響を与える主な要因に注目しており、ヘミセルロースの除去効果については、具体的な研究を行っていない。
【0010】
酸加水分解プロセスは成熟しているが、装置腐食の問題があり、反応廃液が環境を汚染し、後処理工程が複雑である。アルカリ加水分解は酸加水分解ほど広くは使用されていない。酵素的加水分解は、選択性に優れており、反応条件が穏やかで、環境に優しく、装置が簡単であるという利点により、ますます注目を集めているが、反応周期が長すぎ、セルラーゼの調製及び精製が困難であり、高価であるため、大規模な工業的応用を達成することは依然として困難である。
【0011】
ヘミセルロースを除去するには多くの方法があり、特に酸加水分解の種類が多くあるが、現在の成熟した技術には未解決の問題や改善すべき余地が残っている。
【0012】
(1)酸加水分解とアルカリ加水分解は腐食性が高く、廃液や廃液後処理が煩雑であり、処理コストが比較的高い。
(2)酵素的加水分解反応は時間がかかり、セルラーゼの精製が難しく、価格が高い。
(3)超臨界前処理などのプロセスは、条件が過酷で、設備コストが高い。
(4)既存の前処理方法では、ほとんどリグニン又はセルロースを解重合しながらヘミセルロースをフルフラール、酢酸などの低分子物質に加水分解している。このような方法は、付加価値が低く、ヘミセルロース含有量が高いバイオマスの高付加価値の全利用は困難である。
【0013】
そのため、ヘミセルロースに対して優れた選択制を有する前処理系を選択し、段階的で効率的に木質繊維原料におけるヘミセルロースとリグニンを分離し、最終的に高付加価値の低分散ヘミセルロース、高純度のセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを得ることは、ヘミセルロース含有量が高いバイオマスの高付加価値の全利用を実現する鍵である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、原料適応性が良好で、コストが低く、原料前処理が簡単で操作されやすく、製造プロセスの操作可能性が高く、溶媒が回収されやすく、前処理生成物の付加価値が高く、良好な工業化応用の将来性を有する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明に係る繊維系バイオマスに対する効率的な前処理によるヘミセルロースの分離及びその総合的な利用方法において、
繊維系バイオマス伐採加工残留物を原料とし、ボールミルで研磨し、水を加えて撹拌することによりスラリー法前処理を行い、繊維系バイオマス原料粉末を含むスラリー状態の予混合液を得た後、加熱して昇温することで繊維系バイオマス原料である木質繊維の水熱前処理を実現し、濾過した後、勾配沈降法により濾液から低分散度のヘミセルロースを得、液体を蒸留して水分を回収し、濾過残渣と極性非プロトン性溶媒及び水とを混合した後、加圧反応釜中で方向性液化を行い、その後、濾過して濾過ケーキを分離し、水洗し、乾燥させ、高純度セルロースを得、次に、濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用し、
前記繊維系バイオマスのヘミセルロース含有量は>20wt%である
【0016】
繊維系バイオマスに対する効率的な前処理によるヘミセルロースの分離及びその総合的な利用方法は、
スラリー法前処理:繊維系バイオマス原料である伐採加工残留物をボールミルで粉砕した後、得られた繊維系バイオマス原料粉末と水とを混合し、室温下で撹拌して均一な予混合液を得るステップ1と、
水熱前処理:予混合液に一定量の水を補充した後、撹拌しながら160-220℃に徐々昇温し、20-120分間前処理した後、室温に冷却し、濾過するステップ2と、
勾配沈降と分離:室温条件下でステップ2で得られた濾液に無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥し、前記操作を繰り返し、エタノール含有量が20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、得られた濾過ケーキが低分散のヘミセルロースであり、濾液を精留して水及びエタノールを回収し、再利用される前に保存するステップ3と、
方向性液化と分離:ステップ2で得られた濾過残渣と極性非プロトン性溶媒/水混合溶媒とを混合した後、密閉条件下で撹拌しながら140~240℃に昇温し、10-180分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、高純度セルロースを得、濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用するステップ4と、
を含む。
【0017】
前記スラリー法前処理及び水熱前処理において、繊維系バイオマス原料粉末と水との質量比は1:5~20である。
【0018】
前記方向性液化過程において、濾過ケーキと極性非プロトン性溶媒/水混合溶媒との質量比は1:1~30である。
【0019】
前記極性非プロトン性溶媒/水混合溶媒体系における極性非プロトン性溶媒と水との質量比は9:1である。
【0020】
前記極性非プロトン性溶媒は、スルホラン、γ-バレロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリノンのうちのいずれか1種である。
【0021】
用いる溶媒及び水は、いずれも回収して再利用可能である。
【0022】
前記繊維系バイオマスは、カジノキ、トウモロコシ穂軸、ヤナギ、ポプラ、カバ、麦ワラ、稲ワラ、綿茎及びトウモロコシ茎のうちのいずれか1種である。
【発明の効果】
【0023】
1、カジノキのヘミセルロース含有量が40%と高く、普通の木の20%よりはるかに高いため、一般的な前処理プロセスでは、カジノキのリグニン又はセルロースを分離する際に、大量のヘミセルロースが廃棄物として除去され、ヘミセルロース資源の浪費が引き起こされる場合がある。本発明では、スラリー法による水熱前処理により、ヘミセルロースを効率的に分離し、次に勾配沈降法により高付加価値の低分散ヘミセルロースを得る。残りの生成物については、方向性液化技術により、リグニンを解離ポリフェノールに効率的に解重合し、最終的に高純度のセルロースを取得し、カジノキ伐採加工残留物の完全で高付加価値化の総合的利用を実現する。
【0024】
2、本発明の方法は、カジノキ原料の含水量に特殊な要求がなく、例えば、トウモロコシ穂軸、ヤナギ、ポプラ、カバ、麦ワラ、稲ワラ、綿茎及びトウモロコシ茎などのヘミセルロース含有量>20%の繊維系バイオマス原料、に適用可能である。原料は広く入手可能で、工業コストは低いである。
【0025】
3、本発明の方法は、プロセスの操作可能性が高く、用いる極性非プロトン性溶媒の沸点が高く、飽和蒸気圧が低く、熱安定性及び化学安定性が良好で、リグニンに対する選択性が高く、リグニンを効率的に解重合するとともに、高純度のセルロースを効率的に分離することができる。
【0026】
4、本発明の方法で用いる溶媒及び触媒は、いずれも効率的に回収、再利用可能であり、環境に優しい。
【0027】
5、本発明の方法では、木質繊維原料に対してスラリー法水熱前処理を行い、反応条件が穏やかで、操作が簡単で効率的である。
【0028】
6、本発明の方法は、コストが低いカジノキ伐採加工残留物を原料とし、簡単なスラリー法水熱前処理及び方向性液化プロセスにより、高付加価値の低分散のヘミセルロース、高純度のセルロース及びリグニン解離ポリフェノールを取得し、森と草由来の木質繊維原料の低コスト、高付加価値化、全利用を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】異なる濃度のエタノール(10%、20%、30%、45%、60%及び75%)を用いて勾配沈降法により得られた低分散ヘミセルロースのFT-IRスペクトル(a)及びTG-DTG曲線(b)である。
図2】異なる濃度のエタノール(10%及び30%)を用いて勾配沈降法により得られた低分散ヘミセルロースのNMRスペクトル(水素スペクトルと炭素スペクトル)である。
図3】カジノキ粉末原料(a)、水熱前処理によりヘミセルロースを分離した濾過ケーキ(b)、及び方向性液化によりリグニンを分離した濾過ケーキ(高純度セルロース)(c)のSEM図である。
図4】分離により得られたリグニン解離ポリフェノールのマススペクトルである。
図5】本発明に係る低コストのカジノキ伐採加工残留物を原料とし、高付加価値で低分散のヘミセルロース、高純度セルロース及びリグニン解離ポリフェノールを製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
本発明は、ヘミセルロースを豊富に含むカジノキ伐採加工残留物を原料とし、図5に示すように、カジノキ原料をスラリー法により前処理し、スラリー状態の予混合液を得た後、加圧反応釜中でカジノキ木質繊維の水熱前処理を行う。液化前処理後の体系を濾過した後、勾配沈降法により濾液から低分散度のヘミセルロースを得、液体を蒸留して水分を回収する。濾過残渣と一定量の極性非プロトン性溶媒及び水とを混合した後、加圧反応釜中で方向性液化を行い、濾過して濾過ケーキを分離し、水洗し、乾燥させ、高純度セルロースを得る。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した淡褐色のリグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用する。
【0031】
カジノキに対する効率的な前処理によるヘミセルロースの分離及びその総合的な利用方法は、以下のステップを含む。
<ステップ1> スラリー法前処理
カジノキ伐採加工残留物をボールミルで粉砕して篩(40-180メッシュ)にかけ、得られたカジノキ粉末と一定量の水(質量比1:5-10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で10-60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0032】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:10-20)を補充した後、撹拌しながら160-220℃に徐々昇温し、20-120分間前処理した後、室温に冷却し、濾過した。
【0033】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを低分散のヘミセルロースとして保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0034】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた濾過残渣と一定量の極性非プロトン性溶媒/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒との質量比1:1-30)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら140~240℃に昇温し、10-180分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用する。
【0035】
用いる溶媒及び水はいずれも回収し、再利用可能である。
溶媒:極性非プロトン性溶媒であるエタノール、工業用グレード;脱イオン水。
【0036】
以下、実施例により上記反応過程を説明する。
(実施例1)
<ステップ1> スラリー法前処理
10gカジノキ伐採加工残留物(セルロース含有量3.7g、ヘミセルロース含有量4.3g、リグニン含有量1.7g、水分0.1g、灰分0.2g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたカジノキ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0037】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0038】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して4.2g低分散のヘミセルロース(分散係数1.17-1.52)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0039】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた5.5g濾過残渣と55gのスルホラン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.3g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.4g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0040】
(実施例2)
<ステップ1> スラリー法前処理
10gカジノキ伐採加工残留物(セルロース含有量3.7g、ヘミセルロース含有量4.3g、リグニン含有量1.7g、水分0.1g、灰分0.2g)をボールミルで粉砕して篩(40メッシュ)にかけ、得られたカジノキ粉末と一定量の水(質量比1:5)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で10分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0041】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:10)を補充した後、撹拌しながら160℃に徐々昇温し、120分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0042】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して3.9g低分散のヘミセルロース(分散係数1.30-1.65)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0043】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた5.8g濾過残渣と116gスルホラン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:20)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら240℃に昇温し、10分間反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.4g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.5g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0044】
(実施例3)
<ステップ1> スラリー法前処理
10gカジノキ伐採加工残留物(セルロース含有量3.7g、ヘミセルロース含有量4.3g、リグニン含有量1.7g、水分0.1g、灰分0.2g)ボールミルで粉砕して篩(120メッシュ)にかけ、得られたカジノキ粉末と一定量の水(質量比1:7)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で30分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0045】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:15)を補充した後、撹拌しながら220℃に徐々昇温し、20分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0046】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して4.1g低分散のヘミセルロース(分散係数1.26-1.59)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0047】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた5.6g濾過残渣と168gスルホラン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:30)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら140℃に昇温し、180分間反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.3g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.3g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0048】
(実施例4)
<ステップ1> スラリー法前処理
10gトウモロコシ穂軸(セルロース含有量3.6g、ヘミセルロース含有量3.8g、リグニン含有量1.8g、水分0.7g、灰分0.1g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたトウモロコシ穂軸と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0049】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0050】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して3.6g低分散のヘミセルロース(分散係数1.20-1.58)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0051】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた5.6g濾過残渣と56gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.5g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.6g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0052】
(実施例5)
<ステップ1> スラリー法前処理
10gヤナギ伐採加工残留物(セルロース含有量4.4g、ヘミセルロース含有量3.7g、リグニン含有量2.0g、水分0.3g、灰分0.5g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたヤナギ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0053】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0054】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して3.5g低分散のヘミセルロース(分散係数1.19-1.57)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0055】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた6.9g濾過残渣と69gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、4.1g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.8g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0056】
(実施例6)
<ステップ1> スラリー法前処理
10gポプラ伐採加工残留物(セルロース含有量4.0g、ヘミセルロース含有量3.3g、リグニン含有量1.8g、水分0.4g、灰分0.5g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたポプラ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0057】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながらに徐々昇温し、180℃で60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0058】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して3.0g低分散のヘミセルロース(分散係数1.31-1.74)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0059】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた6.3g濾過残渣と63gのN,N-ジメチルホルムアミド/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.6g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.6g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0060】
(実施例7)
<ステップ1> スラリー法前処理
10gカバ伐採加工残留物(セルロース含有量4.2g、ヘミセルロース含有量2.9g、リグニン含有量1.8g、水分0.4g、灰分0.7g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたカジノキ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0061】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0062】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して2.8g低分散のヘミセルロース(分散係数1.28-1.67)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0063】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた6.5g濾過残渣と65gジメチルスルホキシド/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.8g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.5g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0064】
(実施例8)
<ステップ1> スラリー法前処理
10g麦ワラ(セルロース含有量4.6g、ヘミセルロース含有量2.6g、リグニン含有量2.3g、水分0.1g、灰分0.4g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られた麦ワラ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0065】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0066】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して2.5g低分散のヘミセルロース(分散係数1.20-1.57)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0067】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた7.8g濾過残渣と78gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、4.3g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した2.0g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0068】
(実施例9)
<ステップ1> スラリー法前処理
10g稲ワラ(セルロース含有量3.5g、ヘミセルロース含有量2.1g、リグニン含有量2.5g、水分0.3g、灰分1.6g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られた稲ワラ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0069】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0070】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して2.0g低分散のヘミセルロース(分散係数1.27-1.50)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0071】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた7.5g濾過残渣と75gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.3g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した2.3g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0072】
(実施例10)
<ステップ1> スラリー法前処理
10g綿茎(セルロース含有量3.9g、ヘミセルロース含有量2.0g、リグニン含有量2.6g、水分0.2g、灰分1.3g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られた綿茎粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0073】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0074】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して1.9g低分散のヘミセルロース(分散係数1.27-1.62)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0075】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた7.4g濾過残渣と74gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.6g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した2.4g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0076】
(実施例11)
<ステップ1> スラリー法前処理
10gトウモロコシ茎(セルロース含有量3.6g、ヘミセルロース含有量2.8g、リグニン含有量2.0g、水分0.3g、灰分1.3g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたトウモロコシ茎粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0077】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0078】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して2.6g低分散のヘミセルロース(分散係数1.20-1.61)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0079】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた7.0g濾過残渣と70gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.4g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.8g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0080】
(実施例12)
本実施例で用いた溶媒(エタノール、γ-バレロラクトン及び水)は、いずれも実施例1で回収した溶媒である。
<ステップ1> スラリー法前処理
10gカジノキ伐採加工残留物(セルロース含有量3.7g、ヘミセルロース含有量4.3g、リグニン含有量1.7g、水分0.1g、灰分0.2g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたカジノキ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0081】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0082】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して4.1g低分散のヘミセルロース(分散係数1.22-1.56)を得た。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0083】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた5.6g濾過残渣と56gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.4g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.3g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0084】
(実施例13)
本実施例で用いた溶媒(エタノール、γ-バレロラクトン及び水)は、いずれも実施例12で回収した溶媒である。
<ステップ1> スラリー法前処理
10gカジノキ伐採加工残留物(セルロース含有量3.7g、ヘミセルロース含有量4.3g、リグニン含有量1.7g、水分0.1g、灰分0.2g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたカジノキ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0085】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0086】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して4.1g低分散のヘミセルロース(分散係数1.22-1.56)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0087】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた5.6g濾過残渣と56gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.3g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.5g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0088】
(実施例14)
本実施例で用いた溶媒(エタノール、γ-バレロラクトン及び水)は、いずれも実施例13で回収した溶媒である。
<ステップ1> スラリー法前処理
10gカジノキ伐採加工残留物(セルロース含有量3.7g、ヘミセルロース含有量4.3g、リグニン含有量1.7g、水分0.1g、灰分0.2g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたカジノキ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0089】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0090】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して4.0g低分散のヘミセルロース(分散係数1.25-1.69)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0091】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた5.7g濾過残渣と57gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.2g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.3g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0092】
(実施例15)
本実施例で用いた溶媒(エタノール、γ-バレロラクトン及び水)は、いずれも実施例14で回収した溶媒である。
<ステップ1> スラリー法前処理
10gカジノキ伐採加工残留物(セルロース含有量3.7g、ヘミセルロース含有量4.3g、リグニン含有量1.7g、水分0.1g、灰分0.2g)ボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたカジノキ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0093】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0094】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して4.0g低分散のヘミセルロース(分散係数1.31-1.76)を得て保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0095】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた5.6g濾過残渣と56gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.2g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.3g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
【0096】
(実施例16)
本実施例で用いた溶媒(エタノール、γ-バレロラクトン及び水)は、いずれも実施例15で回収した溶媒である。
<ステップ1> スラリー法前処理
10gカジノキ伐採加工残留物(セルロース含有量3.7g、ヘミセルロース含有量4.3g、リグニン含有量1.7g、水分0.1g、灰分0.2g)をボールミルで粉砕して篩(180メッシュ)にかけ、得られたカジノキ粉末と一定量の水(質量比1:10)とを混合して予混合釜に入れ、室温下で60分間撹拌した後、加圧反応釜に移した。
【0097】
<ステップ2> 水熱前処理
予混合液に一定量の水(質量比1:20)を補充した後、撹拌しながら180℃に徐々昇温し、60分間前処理し、室温に冷却し、濾過した。
【0098】
<ステップ3> 勾配沈降と分離
室温条件下で、ステップ2で得られた濾液に10%の無水エタノールを加え、遠心分離反応が終了した後、濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した後、真空凍結乾燥して保存した。上記操作を繰り返し、エタノール含有量がそれぞれ20%-75%になるように濾液に引き続き無水エタノールを加え、収集した濾過ケーキを凍結乾燥して4.0g低分散のヘミセルロース(分散係数1.35-1.68)を得保存した。濾液を精留して水とエタノールを回収し、再利用されるまで保存した。
【0099】
<ステップ4> 方向性液化と分離
ステップ2で得られた5.5g濾過残渣と55gのγ-バレロラクトン/水混合溶媒(濾過残渣と混合溶媒の質量比1:10)とを混合した後、加圧条件下で撹拌しながら180℃に昇温し、90分間十分に反応させ、反応終了後、濾過し、濾過ケーキを水洗し、乾燥させ、3.3g高純度セルロースを得た。濾液に水を加えて撹拌し、静置した後、析出した1.4g淡褐色リグニン解離ポリフェノールを濾過して分離した後、乾燥して保存し、濾液を減圧蒸留することで水、少量の小分子副産物5-ヒドロキシメチルフルフラール及びフルフラールを段階的に分離し、最後に残りの極性非プロトン性溶媒と段階的に分離して得られた水とを比率で混合した後、循環使用した。
図1
図2
図3
図4
図5