(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】核酸抽出用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
C12M 1/26 20060101AFI20220929BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220929BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
C12M1/26
C12M1/00 A
C12N15/10 100Z
(21)【出願番号】P 2020535530
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2018016775
(87)【国際公開番号】W WO2019132546
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】10-2017-0182628
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514305356
【氏名又は名称】エスディー バイオセンサー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヨンシク
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒョグン
(72)【発明者】
【氏名】パク へジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ ソンヨン
(72)【発明者】
【氏名】イム クァンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム インエ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒョリム
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンフン
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-208654(JP,A)
【文献】特表2005-518532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12Q
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部にポートが形成される複数のチャンバを備える第1ボディーと、
前記第1ボディーの下部に結合される第2ボディーと、
前記第1ボディー及び前記第2ボディーの中心部に前記第1ボディー及び前記第2ボディーに対して回転可能に配置され、前記複数のチャンバに配置されたサンプルと試薬を吸入して混合する内部空間が形成され、下部にポートが形成されるピストンと、
前記第2ボディーの上部に形成され、前記第2ボディーの中心部から外郭部に延び、一端が前記ピストンのポートと重なり、他端が前記第1ボディーのポートと重なるように形成される複数の流路と、
前記第1ボディーと前記第2ボディーとの間に配置され、前記複数の流路を覆うように形成され、前記ピストンのポートと重なるように配置され前記ピストンのポート及び前記複数の流路の一端を接続する
中心部の同一円周上に配置される孔を有し、且つ、前記第1ボディーのポートと重なるように配置され前記第1ボディーのポート及び前記複数の流路の他端を接続する
外郭部の同一円周上に配置される孔を有するパッドとを含むことを特徴とする核酸抽出用カートリッジ。
【請求項2】
前記ピストンのポートは、一定の角度だけ離れて形成される少なくとも2つのポートを含み、前記ポートのうちの少なくとも1つにはフィルター装着部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の核酸抽出用カートリッジ。
【請求項3】
前記2つのポートは、
同一円周上で22.5°の間隔で離れて形成されたことを特徴とする請求項2に記載の核酸抽出用カートリッジ。
【請求項4】
前記第2ボディーの上部には、前記パッドが結合される載置部が形成され、
前記パッドは、ゴム材質からなり、前記載置部に噛み合って固定されるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の核酸抽出用カートリッジ。
【請求項5】
前記第1ボディー又は前記第2ボディーに装着され、一端が前記複数の流路のうち少なくとも1つと重なる内部流路を備える核酸増幅モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の核酸抽出用カートリッジ。
【請求項6】
前記内部流路は、
両端がそれぞれ第1流路及び第2流路と連結され、
前記第1流路が前記ピストンのポートと重なるとき、前記第2流路はピストンの真空除去溝と重なるように形成されることを特徴とする請求項5に記載の核酸抽出用カートリッジ。
【請求項7】
前記真空除去溝と前記ピストンのポートは、互いに異なる円周上に配置されることを特徴とする請求項6に記載の核酸抽出用カートリッジ。
【請求項8】
前記第1ボディーのポートは同一円周上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の核酸抽出用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には核酸抽出のためのカートリッジに関し、より具体的には、核酸を増幅させるためにサンプルから核酸を分離、精製することができるカートリッジの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現代では、バイオテクノロジー技術の発展に伴い、遺伝子レベルで病気の原因を解析することが可能になった。それによって、ヒトの病気を治癒又は予防するための生体試料の操作及び生化学的分析に対する要求がますます増加している。
【0003】
併せて、病気の診断以外にも、新薬の開発、ウイルスやバクテリアに感染したか否かの事前検査及び法医学などの様々な分野において、生体試料や細胞が含まれた試料から核酸を抽出、分析する技術が要求される。
【0004】
従来の核酸抽出装置は、処理過程(濃縮、精製)別にそれぞれの装置が必要であり、一つの処理過程が終わった後、他の装置に移動させなければならないので長い時間を必要とする(特許文献2及び特許文献3参照)。
【0005】
このような長い処理過程のため検出の効率性が低いという従来の問題を解決するために、特許文献1では、ピストンヘッドに複数の分岐した流路34,38,42,44を作り、ピストンヘッドが回転しながらチャンバに入っている試薬を直接吸入してピストンの内部空間で混合できるようにした(
図1参照)。すなわち、一つのカートリッジを用いて複数の試薬を一度に処理することができる方法が摸索された。
【0006】
ところが、特許文献1によれば、ピストンヘッドの内部に複数の分岐した流路を生成させなければならないので、ピストンの製造単価が高くなることがあり、製造工程で小さな誤差が発生する場合でも、装置の性能に致命的な影響を及ぼすことがあるという問題がある。
【0007】
したがって、このような問題点を解決するために、より簡潔で直観的な構造の核酸抽出用カートリッジの構造に関する研究が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、より簡潔で効率的な構造の核酸抽出用カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するために、本発明の一実施例に係る核酸抽出用カートリッジは、下部にポートが形成される複数のチャンバを備える第1ボディーと、前記第1ボディーの下部に結合される第2ボディーと、前記第1ボディー及び前記第2ボディーの中心部に回転可能に配置され、下部にポートが形成されるピストンと、前記第2ボディーの上部に形成され、一端が前記ピストンのポートと重なり、他端が前記第1ボディーのポートと重なるように形成される複数の流路とを含む。
【0011】
本発明の一実施例によれば、前記ピストンのポートは、一定の角度だけ離れて形成される少なくとも2つのポートを含み、前記ポートのうちの少なくとも1つにはフィルター装着部が形成される。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記2つのポートは、同一円周上で22.5°の間隔で離れて形成される。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記第1ボディーと前記第2ボディーとの間に配置され、前記流路を覆うように形成されるパッドをさらに含む。
【0014】
本発明の一実施例によれば、前記パッドは、前記流路の端部と重なる複数の孔を含む。
【0015】
本発明の一実施例によれば、前記第2ボディーの上面には、前記パッドが結合される載置部が形成され、前記パッドは、ゴム材質からなり、前記載置部に噛み合って固定されるように形成される。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記第1ボディー又は前記第2ボディーに装着され、一端が前記複数の流路のうち少なくとも1つと重なる内部流路を備える核酸増幅モジュールをさらに含む。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記内部流路は、両端がそれぞれ第1流路及び第2流路と連結され、前記第1流路が前記ピストンのポートと重なるとき、前記第2流路はピストンの真空除去溝と重なるように形成される。
【0018】
本発明の一実施例によれば、前記真空除去溝と前記ピストンのポートは、互いに異なる円周上に配置される。
【0019】
本発明の一実施例によれば、前記第1ボディーのポートは同一円周上に形成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施例に係る核酸抽出用カートリッジによれば、ピストンの内部流路を単純化することで、カートリッジの設計及び生産効率性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明の一実施例に係る核酸抽出用カートリッジによれば、サンプルと試薬が混合されるピストンの内部空間を拡張することで、サンプルと試薬の混合効率を向上させることができる。
【0022】
また、本発明の一実施例に係る核酸抽出用カートリッジによれば、サンプルと試薬が移動する流路がカートリッジの下部ボディーの上面に形成されることで、流路の作製及び流路の状態の点検を容易にする。
【0023】
併せて、本発明の一実施例によれば、カートリッジの上部ボディーと下部ボディーとの間にゴムパッドが配置されることで、カートリッジの利用中に液体が漏れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】従来技術に適用されるカートリッジのピストンを示す概念図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る核酸抽出装置用カートリッジの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る核酸抽出装置用カートリッジの分解図である。
【
図4】
図2に示された第1ボディーの平面図である。
【
図6】
図2に示された第1ボディーの底面図である。
【
図7】
図2に示された第2ボディーの斜視図である。
【
図8】本発明の一実施例に係るピストンの底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明について図面を参照してより詳細に説明する。本明細書では、互いに異なる実施例でも同一・類似の構成に対しては同一・類似の参照符号を付与し、その説明は最初の説明で代替する。本明細書で使用される単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示すものでない限り、複数の表現を含む。また、以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞である「モジュール」及び「部」は、明細書の作成の容易さのみを考慮して付与又は混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味又は役割を有するものではない。
【0026】
図2は、カートリッジの斜視図であり、
図3は、
図2に示されたカートリッジの分解図である。
【0027】
図2及び
図3を参照すると、核酸抽出用カートリッジは、大きく第1ボディー100と、第2ボディー200と、ピストン300と、核酸増幅モジュール400などを含むことができる。
【0028】
第1ボディー100は、複数個の試薬を貯蔵する用途に使用することができる。
【0029】
図示によると、第1ボディー100には、互いに分離された隔室を形成する複数個のチャンバ110が形成され得る。それぞれのチャンバ110には、互いに異なる試薬またはサンプルが配置され、試薬が互いに混ざらないように、各チャンバ110は独立した空間を形成する。
【0030】
第2ボディー200は、第1ボディー100に貯蔵された試薬またはサンプルが移動する経路を含む。
【0031】
本発明の一実施例によれば、第2ボディー200には、液体が移動可能な液体流路と、空気が移動可能な空気流路とが存在することができ、第2ボディー200は、第1ボディー100との結合時に液体の漏れを防止するために、上面に配置されるパッド220を含むことができる。パッド220とカートリッジの第2ボディー200とが結合されると、カートリッジの第2ボディー200の液体流路及び空気流路が、パッド220によって上面が塞がって空間を形成し、完壁な流路210が完成される。
【0032】
液体流路は、第1ボディー100と連結されてサンプル及び試薬が移動、混合可能な空間を提供する。
【0033】
空気流路は、増幅モジュールとピストン300の真空制御部位を連結して、抽出された核酸が増幅モジュールに移動するときに発生し得る真空を制御し、核酸増幅産物が汚染することを防止する役割を果たす。
【0034】
パッド220には、パッド220を上下に貫通する複数個の孔が形成され得る。孔を介して、カートリッジの下部の液体流路及び空気流路が、カートリッジの第1ボディー100に位置した多数の試薬チャンバ110と連結される。
【0035】
パッド220の中央部は、ピストンの下部ボディー320の底面と密着するように結合される。
【0036】
パッド220の中央部に形成された孔は、ピストンが回転するとき、ピストンの下部ボディー320のフィルターポートまたは液体ポートと重畳する。
【0037】
より具体的には、第2ボディー200の上部には複数個の流路210が形成され得る。それぞれの流路210は、互いに交差せず、第2ボディー200の中心部から外郭部に延びるように形成される。図示によると、一部の流路は、一端が同一円周上に配置され、他端も互いに同一円周上に配置され得る。
【0038】
第2ボディー200の上部にはパッド220が結合され得る。
【0039】
第2ボディー200の上部には、下端に向かって窪んだ載置部201が形成され得、パッド220は、第2ボディー200の上部の載置部201に噛み合って結合され得る。
【0040】
言い換えると、第2ボディー200の上部表面には、パッドを取り囲む外郭壁が形成され得、外郭壁は、パッドの厚さと同じ高さを有するように形成され得る。
【0041】
パッド220は、第2ボディー200の上面に密着しながら流路210を密閉させることができる。パッド220が第2ボディー200にさらに強く密着できるように、前記パッド220は、弾性を有するゴムまたは合成樹脂で形成されてもよい。
【0042】
本発明の一実施例によれば、孔は、流路210の端部と上下に重なるように配置される。言い換えると、パッド220に形成される孔は、一対ずつ組をなして流路210を介して連結され得る。
【0043】
パッド220には、中心部の同一円周C1上に配置される複数の孔、及び外郭部の同一円周C2上に配置される複数の孔を備えることができる。
【0044】
ピストン300は、ピストンの上部ボディー310及びピストンの下部ボディー320からなることができる。
【0045】
ピストン300の上部ボディー310には、試薬とサンプルを混合できる内部空間が形成され、前記内部空間には、上下に移動するピストン300の制御棒モジュールが配置され得る。
【0046】
ピストンの制御棒モジュールは、核酸抽出装置の駆動部と結合される結合部301と、ピストンの内部空間に密着して上下に移動する密着部302とを含むことができる。
【0047】
ピストンの下部ボディー320は、ピストンの上部ボディー310と結合して一つのボディーをなす。
【0048】
ピストンの下部ボディー320は回転調節モジュール330と結合され得る。
【0049】
図示によると、ピストンの上部ボディー310は、第1ボディー100の中央部に形成された孔に挿入され、ピストンの下部ボディー320のシャフト324は、第2ボディー200の中央部に形成されたシャフト孔202に挿入される。
【0050】
前記ピストンの下部ボディー320のシャフト324は、第2ボディー200の下端に結合される回転調節モジュール330と噛み合って固定される。
【0051】
核酸増幅モジュール400は、第1ボディー100または第2ボディー200と結合されてもよい。
【0052】
核酸増幅モジュール400の内部には内部流路が形成され得、内部流路の一端は、第2ボディー200に形成される流路210のうち少なくともいずれか1つと重なるように形成され得る。
【0053】
本発明の一実施例によれば、核酸増幅モジュール400が任意に分離されないように核酸増幅モジュール400を覆い、第1ボディー100と第2ボディー200を結合させる固定部材410が存在することができる。
【0054】
固定部材410の両端には、第1ボディー100及び第2ボディー200に形成された結合溝102,203に締結される固定突起411が形成され得る。
【0055】
図4は、
図2に示された第1ボディーの平面図であり、
図5は、
図4の平面図を傾けて見た概念図であり、
図6は、第1ボディーの底面図である。
【0056】
図4乃至
図6を参照して、第1ボディー100の構造をより具体的に説明する。
【0057】
第1ボディー100は、多数個の試薬チャンバ110を含むことができ、それぞれのチャンバ110は、互いに隔離されるように形成される。
【0058】
それぞれのチャンバ110の下端には、流路210の一端またはパッド220に形成された孔と重なるポート121が形成される。ポートは、チャンバ110の用途に応じて、中心からの距離が互いに異なるように形成することができる。
【0059】
各試薬チャンバ110は試薬チャンバポートを含んでいる。各試薬チャンバポートは、ゴムパッド220の孔221を介してカートリッジの第2ボディー200の流路と連結される。
【0060】
図示によると、サンプルチャンバポート同士は同一円周上に配置され、マスターミックスビーズチャンバポートは、サンプルチャンバポートと異なる円周上に配置され得る。
【0061】
サンプルチャンバには、サンプルの抽出に必要な複数個の乾燥ビーズが含まれ得、マスターミックスビーズチャンバには、核酸の増幅に必要な複数個の乾燥ビーズが含まれ得る。
【0062】
サンプルチャンバ及びマスターミックスビーズチャンバは、それぞれサンプルチャンバポート及びマスターミックスビーズチャンバポートと連結され、各ポートは、パッドに形成された孔及びカートリッジの第2ボディー200の流路と連結されることで、液体が移動することができる構造を形成する。
【0063】
図8は、本発明の一実施例に係るピストンの斜視図であり、
図9は、ピストンの下部ボディーの平面図である。
【0064】
図8に示されたピストンは、上述したカートリッジに装着され、カートリッジのチャンバに配置されたサンプルと試薬を順次吸入し、混合して核酸を抽出する。
【0065】
図示によると、ピストン300は、上部ボディー310と、下部ボディー320と、回転調節モジュール330と、制御棒モジュールなどを含むことができる。
【0066】
上部ボディー310は、円筒状をなし、中空を含むことができる。
【0067】
上部ボディー310の中空には、中空に沿って上下に移動する制御棒モジュールが配置され得る。
【0068】
制御棒モジュールは、核酸抽出装置の制御棒と結合される結合部301と、結合部301の外周を取り囲み、上部ボディー310の内壁に密着して移動する密着部302とを含むことができる。
【0069】
上部ボディー310の一端には、下部ボディー320と噛み合う結合構造が形成され得、下部ボディー320の液体ポートと連結される第1孔、及び下部ボディー320のフィルターポートと連結される第2孔が形成され得る。第2孔は、支持構造体及びフィルターの離脱を防止できるように、フィルターポートのフィルター載置空間323よりも小さい直径を有するように形成され得る。
【0070】
下部ボディー320は、上部ボディー310の一端に結合され得る。より具体的には、下部ボディー320は、上部ボディー310の一端に形成される結合構造に噛み合って固定される。
【0071】
下部ボディー320は、円板状の胴体と、胴体の中心から外部に突出するように形成されるシャフト324と、胴体の中心から同じ距離だけ離れて配置される液体ポート321及びフィルターポート322とを含むことができる。胴体は、中心部320aが外郭部320bに比べて突出するように形成され得る。中心部320aは、上部ボディーの結合構造上に形成される溝に挿入されて固定され得る。
【0072】
液体ポート321は、サンプル及び試薬をピストンの内部に吸入、混合し、排出するときに用いられ、フィルターポート322は、核酸捕捉フィルターを洗浄するか、または核酸捕捉フィルターから核酸を分離するときに用いることができる。
【0073】
また、下部ボディー320の胴体の外周には、前記中心方向に凹んだ溝が形成され得る。この溝は、カートリッジの内部で液体の移動時に発生し得る真空を除去する役割を果たすことができる。
【0074】
液体ポート321とフィルターポート322は、同一円周上で互いに一定の角度だけ離れて配置される。例えば、フィルターポート322と液体ポート321は、2つのポートが18°~36°だけ互いに離れて配置されてもよい。より具体的には、2つのポートは、22.5°の間隔をなすように配置され得る。16回に分割して一回りの回転を行うステップモータを用いる場合、1回の駆動によって液体ポート321とフィルターポート322の位置を変更することができる。
【0075】
下部ボディー320のフィルターポート322はフィルター載置空間323を含むことができ、フィルター載置空間には、フィルター及び支持構造体が配置され得る。核酸の捕捉のためのフィルターは、様々な粒度を有するガラス繊維フィルターが使用されてもよく、支持構造体は、核酸の捕捉のためのフィルターを固定させる役割を果たす。
【0076】
支持構造体は、液体の排出時に前記フィルターの離脱を防止し、一定の圧力を維持できるように、一定の粒度を有する多孔性プラスチック材質で形成されてもよい。
【0077】
回転調節モジュール330は、装備の駆動部と連結されてピストン300を一定の角度で回転させる媒介体の役割を果たす。
【0078】
前記回転調節モジュール330は、一面の中央部に前記シャフトと噛み合うように形成される結合溝と、他面に核酸抽出装置の駆動軸と噛み合うように形成される駆動溝とを含むことができる。
【0079】
回転調節モジュール330は、ピストン300と結合して、核酸抽出ステップで必要な様々な化学的反応を一つのカートリッジの内部で行うことができるように、適切な試薬チャンバポートの位置にフィルターポート及び液体ポートを位置させる。
【0080】
液体ポートとフィルターポートとは一定の角度だけ離れており、回転調節モジュール330は、核酸の抽出時に前記ポートを各ステップに適する位置に回転させる。
【0081】
フィルターポートに核酸の捕捉に必要なフィルターを挿入した後、下部ボディー320を上部ボディー310と結合させ、その後、第1ボディー100及び第2ボディー200に結合させてカートリッジのセッティングを完了する。
【0082】
以上で説明した核酸抽出用カートリッジは、上述した実施例の構成及び方法に限定されるものではなく、上記実施例は、様々な変形が可能なように、各実施例の全部又は一部が選択的に組み合わされて構成されてもよい。