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特許7149372発電プラントの起動のためのシステムおよび方法
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  • 特許-発電プラントの起動のためのシステムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】発電プラントの起動のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 3/34 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
F02C3/34
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021083235
(22)【出願日】2021-05-17
(62)【分割の表示】P 2017565310の分割
【原出願日】2016-06-13
(65)【公開番号】P2021120573
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】62/175,886
(32)【優先日】2015-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フェトベット,ジェレミー エロン
(72)【発明者】
【氏名】フォレスト,ブロック アラン
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-533942(JP,A)
【文献】特表2015-509564(JP,A)
【文献】特開2015-025418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0128608(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電システムであって、
燃焼器と、
タービンと、
前記タービンと共通のシャフト上にある第1の圧縮機と、
モーター駆動酸化剤圧縮機と、
タービン排気流を前記タービンから前記第1の圧縮機まで移動させるように構成された排気流ラインと、
CO 再循環流の前記第1の圧縮機から前記燃焼器までの移動のために構成された再循環流ラインと、
前記第1の圧縮機と前記燃焼器との間に位置づけられた少なくとも1つの弁であって、前記少なくとも1つの弁は、前記少なくとも1つの弁が閉鎖されるときには、流体が前記第1の圧縮機から前記燃焼器へ通るのを防止され、前記少なくとも1つの弁が開放されるされるときには、流体が前記第1の圧縮機から前記燃焼器へ通されるように閉鎖可能である、弁と、
酸化剤流の前記モーター駆動酸化剤圧縮機から前記燃焼器までの移動のために構成された酸化剤流ラインと、
前記少なくとも1つの弁が前記第1の圧縮機と前記燃焼器との間に位置づけられるときに流体が前記再循環流ラインを通じて燃焼器へ通るように、前記酸化剤流の少なくとも一部の前記酸化剤流ラインから前記再循環流ラインまでの移動のために構成されたバイパスラインと、
を備える、発電システム。
【請求項2】
前記第1の圧縮機と前記燃焼器との間に位置づけられた少なくとも1つの弁は、タービン閾値速度未満で閉鎖されるように構成されている、請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記第1の圧縮機と前記燃焼器との間に位置づけられた少なくとも1つの弁は、前記タービン閾値速度超で開放されるように構成されている、請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記タービンと前記第1の圧縮機との間に構成された伝熱式熱交換器をさらに備える、請求項1に記載の発電システム。
【請求項5】
前記排気流ライン、前記再循環流ライン、および前記酸化剤流ラインのうちの1つ以上は、それらのそれぞれの流れの前記伝熱式熱交換器を通じる移動のために構成されている、請求項4に記載の発電システム。
【請求項6】
二酸化炭素源から前記タービンと前記第1の圧縮機との間の排気流ラインへの二酸化炭素の移動のために構成された二酸化炭素ラインをさらに備える、請求項1に記載の発電システム。
【請求項7】
前記酸化剤流が酸素および二酸化炭素の混合物を備えるように、前記CO 再循環流の一部の前記酸化剤流ラインへの移動のために構成されたラインをさらに備える、請求項1に記載の発電システム。
【請求項8】
酸素および二酸化炭素の混合物を備える酸化剤流は、モル基準で10%乃至50%の酸素を備える、請求項1に記載の発電システム。
【請求項9】
酸素および二酸化炭素の混合物を備える酸化剤流は、モル基準で15%乃至40%の酸素を備える、請求項8に記載の発電システム。
【請求項10】
前記バイパスライン内に弁をさらに備える、請求項1に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は発電プラントに関する。特に発電プラントの起動のためのシステム構成および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
燃料の燃焼により動力(例えば電気)を発生させるための様々なシステムおよび方法が知られている。例えば、Allamらの米国特許第8,596,075号(その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、作動流体としてCOが使用され、かつ燃焼により生じた全てのCOを(例えば、隔離または他の使用のために)捕捉することができる燃焼サイクルについて記載している。そのようなシステムは特に、高温タービン排気からの熱を用いる伝熱式熱交換器において再循環CO流を加熱し、かつタービン排気以外の熱源からのさらなる熱を添加するという広く認められた有用性から恩恵を受ける。
【0003】
様々な発電システムおよび方法は所望の特性を示し得るが、そのようなシステムの動作条件は動作の特定の段階の間に特定の要求に応じることができない。特に、フル稼働モードでの発電プラントの一般的な動作条件によって包含され得ない発電プラントの起動時の動作条件のために特別な配慮が必要となることがある。従って、効率的な起動を可能にし、かつ適当な時間に通常の動作構成への効率的な切り換えを可能にする、発電プラントに適用することができる構成が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、発電プラントの起動が他の状況でも可能になり得るより幅広い条件セット下で進行することができるように発電プラントに適用することができる構成を提供する。特に本開示は、他の状況でも可能であるタービン閾値速度未満での燃焼器の点火による燃焼サイクルを実装する発電プラントの起動を可能にする。
【0005】
いくつかの実施形態では、本開示は、作動流体としてCOが利用され、かつ燃焼で形成されるCOを捕捉することができる燃焼サイクルを実装する発電プラントの起動に関する。そのような条件下での発電のためのシステムおよび方法の例は、Allamらの米国特許第8,596,075号、Allamらの第8,776,532号、Palmerらの第8,869,889号、Allamらの第8,959,887号およびPalmerらの第8,986,002号ならびにPalmerらの米国特許出願公開第2012/0067056号、Allamらの第2012/0237881号、Allamらの第2013/0104525号およびPalmerらの第2013/0118145号に提供されており、それらの開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。プロセス工程およびシステム構成要素のあらゆる組み合わせを本開示の方法およびシステムにおいて利用することができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、例えば、作動流体としてCOが利用される密閉サイクルまたは部分密閉サイクルシステムを利用して発電を達成することができる。そのようなシステムでは、化石燃料または化石燃料由来の燃料(例えば、石炭または他の固体炭素質燃料由来の合成ガス)を酸化剤(例えば酸素)と共に燃焼器で完全に燃焼させて、主にCO、HO、過剰なOおよび燃料または酸化剤中の酸化された成分由来の多量の不純物(例えば、SO、NO、HgおよびHCl)からなる酸化流を得る。酸素をCOと混合してもよい。非限定的な例として、1つにまとめたO/CO流中のOのモル濃度は、約10%~約50%、約15%~約40%または約20%~約30%であってもよい。不燃性の灰を含有する石炭、亜炭または石油コークスなどの固体の化石燃料を単段もしくは多段システムにおける部分酸化によって気体燃料に変換させてもよい。そのようなシステムは、例えば部分酸化反応器を備えていてもよい。あるいは、例えば、そのようなシステムは部分酸化反応器と、灰および揮発性無機成分除去システムとを備えていてもよい。そのようなシステムは、発電システムの燃焼器における酸素との燃料ガスの燃焼をさらに含む。予め加熱した再循環CO流を形成された燃料ガス中の燃焼生成物と燃焼器において混合する。別途本明細書に記載されている条件下での動作に適したあらゆる燃焼器を使用してもよく、再循環CO流を任意の手段によって燃焼器に導入し、燃焼によってさらに加熱し、所望であれば失活させ、それにより排出流の温度を制御してもよい。いくつかの実施形態では、POX反応器および燃焼器の一方または両方は、単に例示であるが、反応または燃焼空間を取り囲む蒸散冷却壁を利用してもよく、予め加熱した再循環CO流はその壁を通過して壁を冷却すると共に失活し、それにより排出流の温度を制御してもよい。蒸散流は、再循環COと高温の燃焼燃料ガス流との良好な混合を促進する。但し、他の種類の燃焼器も使用することができ、本開示は蒸散冷却式燃焼器の使用に限定されない。1つにまとめた燃焼生成物および燃焼器を離れる予め加熱した再循環COは、発電タービンの入口のために必要な温度を有する。高温のタービン排気は節約熱交換器において冷却することができ、次いでこれにより高圧CO再循環流を予め加熱する。
【0007】
発電システムおよび方法は、「通常」または「標準」動作パラメーターとして特徴づけることができる1つにまとめた条件セット下で動作させてもよい。パラメーターセットを構成する各条件(例えば、燃焼温度、タービン速度、圧縮比など)はそのそれ自体のそれぞれの範囲内であればよく、「通常」または「標準」動作パラメーターはその発電状態での発電システムまたは方法の動作に関して定められていてもよい。
【0008】
しかし、発電プラントは非稼働条件からフル稼働モードに瞬時に移行することができない。それどころか、発電プラントの構成要素を特定のアルゴリズムに従って通常の動作パラメーターに合わせなればならない。例えば、タービンおよび圧縮機が共通のシャフト上に設けられている発電システムでは、圧縮機出力はタービン速度によって制限され、圧縮機がCO再循環流の十分な流れを供給して燃焼温度を適切に媒介するまで燃焼は開始することができない。従って、タービンが特定の閾値速度に達するまで燃焼器の点火は可能になり得ない。いくつかの実施形態では、シャフト駆動圧縮機は、最終シャフト速度の約85%であるシャフト速度、すなわちタービンがその通常の発電パラメーターで動作しているときのシャフト速度未満では必要な流量および流れ圧力を生じることができない場合がある。但し、本開示によれば、タービン閾値未満で燃焼器の点火が可能であるシステムおよび方法が提供される。
【0009】
従って、いくつかの実施形態では、本開示は発電システムを提供する。そのようなシステムは、燃焼器と、タービンと、タービンと共通のシャフト上にあるシャフト駆動圧縮機であってもよい第1の圧縮機と、モーター駆動圧縮機であってもよい酸化剤圧縮機と、タービン排気流をタービンから第1の圧縮機まで移動させるように構成された排気流ラインと、CO再循環流を第1の圧縮機から燃焼器まで移動させるように構成された再循環流ラインと、酸化剤流を酸化剤圧縮機からタービンまで移動させるように構成された酸化剤流ラインと、酸化剤流の少なくとも一部を酸化剤流ラインから再循環流ラインまで移動させるように構成されたバイパスラインとを備えていてもよい。さらなる実施形態では、本システムをあらゆる組み合わせおよび数で利用することができる以下の記載のうちの1つ以上によって定めてもよい。
【0010】
バイパスラインは弁を備えていてもよい。
【0011】
バイパスライン弁は、第1のタービン閾値速度未満で開放されるように構成されていてもよい。
【0012】
バイパスライン弁は、第2のタービン閾値速度超で閉鎖されるように構成されていてもよい。
【0013】
本発電システムは伝熱式熱交換器を備えていてもよい。
【0014】
排気流ライン、再循環流ラインおよび酸化剤流ラインは、それらのそれぞれの流れを伝熱式熱交換器を通して移動させるように構成されていてもよい。
【0015】
第1の圧縮機はシャフト駆動圧縮機であってもよい。
【0016】
酸化剤圧縮機はモーター駆動圧縮機であってもよい。
【0017】
タービンはグランドシールおよび空気投入口を備えていてもよい。
【0018】
本発電システムは、グランドシールからの空気およびタービン排気流を受け入れて圧縮するように構成されたグランドシール圧縮機をさらに備えていてもよい。
【0019】
本発電システムは、グランドシール圧縮機と一緒の配置内にある通気孔と、グランドシール圧縮機と通気孔との間の通気ラインとをさらに備えていてもよい。
【0020】
グランドシールと通気孔との間の通気ラインは、排気流ラインと一緒の流れ配置内にあってもよく、通気ラインおよび排気流ラインは、それぞれのラインから通気孔への選択流のために通気孔に対して配置されていてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示は発電プラントの起動方法を提供することができる。例えば、そのような方法は、酸化剤流を酸化剤圧縮機で圧縮する工程と、圧縮された酸化剤を酸化剤圧縮機から酸化剤流ラインを通して燃焼器まで移動させる工程と、燃焼器において燃料を酸化剤と共に燃焼させる工程と、燃焼器からの燃焼生成物流をタービンで膨張させる工程と、タービンからのタービン排気流を伝熱式熱交換器で冷却する工程と、タービン排気流から水を除去してCO再循環流を形成する工程と、再循環流ラインにある燃焼器に移動させるためにCO再循環流をタービンと共通のシャフト上にあるシャフト駆動圧縮機で圧縮して圧縮されたCO再循環流を形成する工程とを含んでもよく、圧縮されたCO再循環流を排出させ、かつタービンが規定の閾値速度に達するまでモーター駆動圧縮機からの酸化剤を再循環流ラインを通して燃焼器まで移動させる。さらなる実施形態では、本方法をあらゆる組み合わせおよび数で利用することができる以下の記載のうちの1つ以上によって定めてもよい。
【0022】
規定の閾値速度は通常の動作速度の約85%であってもよい。
【0023】
酸化剤圧縮機に入る酸化剤はOおよびCOの混合物であってもよい。
【0024】
酸化剤圧縮機に入る酸化剤は空気であってもよい。
【0025】
タービンは、グランドシールと、空気投入口と、グランドシールからの空気およびタービン排気流を受け入れて圧縮するように構成されたグランドシール圧縮機とを備えていてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、タービンが規定の閾値速度に達するまで圧縮されたCO再循環流を再循環流ラインを通して燃焼器に実質的に移動させない。「実質的に~ない」とは具体的には、完全に全く存在しないか僅かな体積のみが存在することを意味することができる。
【0027】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下に簡単に説明する添付の図面と共に以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。本発明は、そのような特徴または要素が本明細書における具体的な実施形態の説明において明示的に組み合わせられているか否かに関わらず、本明細書に記載されている実施形態の2つ、3つ、4つまたはそれ以上のあらゆる組み合わせ、ならびに本開示に記載されているあらゆる2つ、3つ、4つまたはそれ以上の特徴または要素の組み合わせを含む。本開示は、その様々な態様および実施形態のいずれかにおける本開示の発明のあらゆる分離可能な特徴または要素が文脈が明らかにそうでないことを示していない限り組み合わせ可能であることが意図されているものとみなされるように、全体的に解釈されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以上、本開示を上記一般的な用語で説明してきたが、次に添付の図面を参照する。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、当該図は、起動段階中に圧縮された酸化剤を再循環流ラインに移動させるように構成されたバイパスラインを備え、かつ前記流れは所望の動作パラメーターを達成すると遮断されるように構成された本開示の例示的な実施形態に係る発電システムおよび方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本主題をその例示的な実施形態を参照しながらより完全に説明する。本開示を徹底的かつ完全なものにし、かつ本主題の範囲が当業者に十分に伝わるように、これらの例示的な実施形態を説明する。実際には、本主題を多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載されている実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、本開示が適用可能な法的要件を満たすようにこれらの実施形態を提供する。本明細書および添付の特許請求の範囲に使用されている単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、「前記(その)(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り複数の指示対象を含む。
【0030】
本開示は、作動流体として主にCOを用いて発電を行うシステムおよび方法に関する。特に当該プロセスは、高圧再循環CO流と燃料の燃焼により生じる燃焼生成物との混合物を膨張させる高圧/低圧比タービンを使用する。任意の化石燃料、特に炭素質燃料を使用することができる。非限定的な例としては、天然ガス、圧縮ガス、燃料ガス(例えば、H、CO、CH、HSおよびNHのうちの1種以上を含む)および同様の可燃性ガスが挙げられる。必要なシステム要素の組み込みと共に、固体燃料(例えば、石炭、亜炭、石油コークス、ビチューメン、バイオマスなど)または強粘液燃料も使用することができる。例えば、部分酸化燃焼器を使用して固体燃料または強粘液燃料を実質的に固体粒子を含まない燃料ガスに変換することができる。環境への排出を実質的または完全に生じさせずに廃棄するために、全ての燃料および硫黄化合物、NO、NO、CO、HO、Hgなどの燃焼由来不純物を分離することができる。燃焼プロセスにおいて酸化剤として純粋な酸素を使用することができる。
【0031】
高温タービン排気を使用して高圧再循環CO流を部分的に予め加熱する。この加熱と組み合わせて、様々な供給源に由来し得る(例えば、空気分離ユニットまたはCO圧縮機の圧縮エネルギーからの)追加熱を使用して、再循環CO流をさらに加熱することができる。
【0032】
本開示に係る発電方法は、圧縮および加熱された再循環CO流を燃焼器の中に移動させる工程を含んでもよい。圧縮および加熱された再循環CO流は以下にさらに説明するように形成することができる。燃焼器では、燃料を再循環CO流の存在下で酸素(例えば、少なくとも98%または少なくとも99%純粋なO)と共に燃焼させてCO含有流を生成することができる。燃焼器からのCO含有流は、約500℃以上(例えば、約500℃~約1,700℃)の温度および約150バール(15MPa)以上(例えば、約150バール(15MPa)~約500バール(50MPa)の圧力を有していてもよい。CO含有流をタービンに通してCO含有流を膨張させ、動力を発生させ、かつCOを含むタービン排気流を形成することができる。CO含有流を所望の圧力比でタービンに通して膨張させることができる。
【0033】
タービン排気流を処理して、燃焼生成物および燃料の燃焼によって生成されたあらゆる正味COを除去することができる。この目的のために、タービン排気流を熱交換器に通して冷却することができる。本明細書に記載されている温度および圧力条件下で使用するのに適したあらゆる好適な熱交換器を利用することができる。いくつかの実施形態では、熱交換器は、一連の少なくとも2つ、少なくとも3つまたはさらにそれ以上のエコノマイザー熱交換器を含んでもよい。少なくとも2つの部分、少なくとも3つ部分(またはさらにそれ以上の部分)を有する単一の熱交換器を使用することができる。例えば、熱交換器は異なる温度範囲にわたって動作する少なくとも3つの熱交換部分を有するものとして表してもよい。タービン排気流から取り出された熱を以下に説明するように再循環CO流を加熱するために利用することができる。
【0034】
タービン排気流を2つ以上の部分に分けることができる。第1の部分は、タービン排気流の総質量流の50%以上、70%以上または90%以上(但し、100%未満)を含んでいてもよい。タービン排気流の全てまたは一部を分離器に通して水を除去することができ、さらに処理して他の燃焼生成物または不純物を除去することができる。得られた流れを主再循環CO流と表してもよい。主再循環CO流の一部を酸素と1つにまとめて酸化剤流を形成することができ、これを1つ以上の段階で所望の燃焼器入口圧力まで圧縮することができる。主再循環CO流の一部を多段圧縮機などで段階の間で中間冷却しながら圧縮することができる。好ましくは、主再循環CO流(単独または酸素と1つにまとめたもの)を約40バール(4MPa)~約400バール(40MPa)、約80バール(8MPa)~約200バール(20MPa)または約100バール(10MPa)~約150バール(15MPa)の圧力まで圧縮する。次いで、圧縮された再循環CO流を熱交換器に再度通して加熱する。圧縮された再循環CO流をタービン排気流から取り出した熱(タービン排気流の中に残留する燃焼熱として特徴づけることができる)を用いて加熱する。タービン排気流と熱交換器を離れて燃焼器に入る加熱および圧縮された再循環CO流との間の小さい温度差を達成するために、さらなる熱(例えば圧縮熱)を添加することができる。追加熱の使用は、タービン排気流と熱交換器を離れて燃焼器に入る加熱および圧縮された再循環CO流との温度差を約30℃以下、約25℃以下または約20℃以下、例えば約2℃~約20℃または約2℃~約10℃に低下させるのに有利になり得る。
【0035】
上記は本発電システムおよび方法の様々な構成要素およびプロセス工程のための通常の動作パラメーターの例示として提供されているが、待機状態から通常の動作状態に移行させるためには、本システムの全ての構成要素に適用可能であり得る特定の条件を実装しなければならない。図1は、バイパスラインが含まれている本開示に係る発電システムおよび方法の流れ図を示す。バイパスラインは、圧縮された酸化剤を再循環流ラインに移動させるためのものであり、そのようなバイパス流は、起動中に開放し、かつ所望の動作パラメーターが達成されたら遮断することができるような1つ以上の弁によって制御可能である。バイパスラインが能動的に酸化剤を再循環ラインに移動させる場合、CO再循環流が再循環流ラインの中に移動しないようにシャフト駆動圧縮機からのCO再循環流の流れを遮断することができる。特に、CO再循環流を起動中に排出させてもよく、あるいはこの流れをシャフト駆動圧縮機の周りに再循環させて、圧縮機を待機状態からその動作範囲内の時点まで移行可能にしてもよい。CO再循環流を圧縮するために利用されるシャフト駆動圧縮機は、圧縮機およびタービンによって共有されるシャフトの速度がタービン閾値速度以上で機能するまで燃焼器において燃焼温度を適切に調節するために必要な流量および流れ圧力を提供することができないため、起動中のそのような構成は望ましい。但し、酸化剤圧縮機はモーター駆動圧縮機であってもよく、従って、シャフト速度がタービン閾値速度未満である起動時間中であっても燃焼器への投入のために必要な流量および流れ圧力を提供するように動作させることができる。当然ながら、この起動段階中の燃焼化学は通常の発電動作中の燃焼化学とは異なる。これは、CO再循環流が燃焼器に流れている場合に存在する割合よりも燃焼器ではより大きな割合の酸化剤が利用されるからである。起動段階は十分に短い期間であるため、燃焼化学における差は全体的なシステムおよび方法には有害ではない。さらに、この化学は本システムが通常の動作パラメーター下で動作していると素早く弱まる。
【0036】
タービンが十分な期間にわたって作動してタービン閾値速度を達成すると、バイパスラインを閉鎖させることができ、CO再循環流の流れは、通常の動作のために再循環流ラインを通って燃焼器まで移動し始めることができる。いくつかの実施形態では、タービン閾値速度はタービンが通常の発電モードで動作する速度の約50%以上であってもよい。さらなる実施形態では、タービン閾値速度は、タービンが通常の発電モードで動作する速度の約60%以上、約70%以上、約80%以上、約85%以上または約90%以上であってもよい。
【0037】
タービン閾値速度が達成されると、バイパスラインを閉鎖させることができる。例えば、ラインにある弁を閉鎖してもよい。バイパスライン弁が閉鎖すると、CO再循環流圧縮機のための流量制御装置は、CO再循環流を再循環流ラインの中にそこを通して燃焼器まで流し始めることができる。このように、酸化剤流がCO再循環流によって置き換えられると、その化学が変化する場合があるとしても、燃焼温度を調節する流れは連続的である。
【0038】
図に示されている例示的な実施形態では、天然ガス(NG)燃料は弁1およびライン120を通って燃焼器15の中に移動し、そこでCOの存在下で酸素と共に燃焼されてタービン20で膨張される燃焼生成物流を形成してタービン排気流126を生成する。空気源22aからの空気はグランドシール21を通ってグランドシールの周りに逃げるタービンからの排ガスと1つになって流れ122を形成し、流れ123となり、グランドシール圧縮機23で圧縮されて流れ124aを形成する。場合によっては、弁2が開放され、空気源22bからの空気が空気流121として弁2から排出し、この空気流は流れ122と混合して流れ123を形成し、この流れは空気の大部分を含有することができる。いくつかの実施形態では、本システムは、1つ以上の弁を通る1つ以上の流れの選択流のために構成されていてもよい。例えば、ライン124aおよびライン126(熱交換器30から排出した後)は、ライン124aがライン126よりも弁に近くなるように弁3に対して構成されていてもよい。これにより、弁3を通る通気孔流がライン126からの流れの代わりにライン124aからの流れを優先的に使用することができる。この構成を調整して所望の流れ混合物を所望どおりに供給することができる。これにより、夾雑物を通気孔(弁3)に優先的に送ることができるため、空気進入口22aまたは22bから本システムに進入するあらゆる夾雑物を最小限に抑えることができる。さらに、グランドシール圧縮機23の動作は空気漏れ、およびそれにより本システムに進入する夾雑物も最小限に抑えることができる。
【0039】
タービン排気流126は熱交換器30で冷却され、弁3を通って排出されない流れ124aのあらゆる部分を流れ124bを介して、冷却されたタービン排気流126と1つにまとめることができる。CO源115からのCOは弁4およびライン127を通り、分離器40を通る前に冷却されたタービン排気流126と1つにまとめられる。分離器40からの水流125を弁6から排出させ、かつ/またはポンプ90で圧縮して流れ147を形成することができ、これを水冷却器101で冷却して分離器に再循環される流れ148を形成する。実質的に純粋なCOはライン128の中に再循環流として分離器40から排出し、主圧縮機50で圧縮されて圧縮されたCO再循環流130を形成し、これを水冷却器102で冷却して主ポンプ60を通る流れ131を形成し、弁13を通る再循環ライン133にある燃焼器15に導く。流れ130の一部は、主圧縮機50への再循環のために弁8およびライン135を通ってもよい。再循環ライン133からの圧縮されたCO再循環流の一部を弁13の上流にあるライン134の中に排出し、水冷却器102への再循環のために弁9に通してもよい。ライン131内のCO再循環流は、ポンプ60を迂回して主圧縮機50のための排出弁12を備えるポンプバイパスライン132の中に移動してもよい。
【0040】
ライン128からのCO再循環流の一部は弁7を通ってライン136まで移動して弁5およびライン137を通る酸素源205からの酸素と1つになって酸化剤流138を形成する。酸化剤流138(O/CO混合物)を熱交換器103に通して流れ139を形成し、これを酸化剤圧縮機70で圧縮させてライン140の中に排出する。ライン140からの圧縮された酸化剤流の一部は、熱交換器103への再循環のためにライン141の中に移動して弁10を通ってもよい。熱交換器103では、酸化剤流138を加熱または冷却してもよい。例えば、投入物201は、酸化剤流139が流れ138に対して冷却されるように、加熱された出力202として排出する冷水流であってもよい。あるいは、投入物201は、酸化剤流139が流れ138に対して加熱されるように、冷却された出力202として排出する温水流であってもよい。ライン140内の圧縮された酸化剤は水冷却器104を通って流れ142を形成し、これがO/COポンプ80および弁16を通った後、酸化剤がそこでの燃料の燃焼のために酸化剤ライン144を通って燃焼器15まで移動する。酸化剤はポンプ80を迂回して酸化剤排出弁17を通る酸化剤バイパスライン143の中に移動することができる。起動バイパスライン146はライン141およびポンプバイパスライン132と相互接続しており、弁14を備える。
【0041】
動作において、起動中は主圧縮機50のために排出弁12は閉鎖される(ライン134にある弁9および再循環ライン133にある弁13も同様)。従って、CO再循環流128は、燃焼器15への再循環のために移動しない。弁5およびライン137を通って流れる(ライン136からの再循環COと混合する)酸素は、熱交換器103で冷却(または加熱)され、酸化剤圧縮機70(モーター駆動圧縮機であってもよい)で圧縮される。ライン140からの圧縮された酸化剤の一部(混合されたO/CO)は冷却器104で冷却され、ポンプ80を迂回してポンプバイパスライン143の中に移動し(弁17が開放され、かつ弁16が閉鎖された状態)、酸化剤ライン144を通って燃焼器まで移動する。また、ライン140からの圧縮された酸化剤の一部はライン141を通って起動バイパスライン146まで移動する。主圧縮機のために排出弁12が閉鎖されているので、そうでなければポンプバイパスライン132を通っているCOと1つになる酸化剤は、再循環ライン133を通って燃焼器15まで移動する。タービンがタービン閾値を達成し、かつシャフト駆動圧縮機50のためのシャフトがシャフト駆動圧縮機50が十分な流量および流れ圧力でCO再循環流を供給するのに十分な速度で動くまで、動作はこのように進行する。この時点で、バイパスライン弁14は閉鎖され、主圧縮機のための排出弁12は開放される。酸化剤はもはや再循環ライン133を通らず、酸化剤ライン144のみを通る。タービンが閾値速度超の速度で動作している状態で、圧縮機50は、燃焼器15への投入のために必要な流量および流れ圧力で再循環ライン133を通してCO再循環流を供給する。
【0042】
いくつかの実施形態では、2つの異なるタービン閾値速度を利用して起動段階から通常の発電段階への段階的切り換えを行ってもよい。第1のタービン閾値速度を利用して、バイパスライン弁の閉鎖(従って、主圧縮機排出弁の開放)を行ってもよい。弁の閉鎖および開放は即座でなくてもよい。タービン速度が増加し続けるにつれて、バイパスライン弁が完全に閉鎖されているかもしれない時点で第2のタービン閾値を達成してもよい。
【0043】
上記構成を1つ以上の実施形態において修正してもよい。例えば、酸化剤圧縮機70への酸素供給は、流れ137における酸素供給を介す代わりに流れ121において空気進入口から圧縮機に供給することができる。そのような実施形態では、グランドシール圧縮機23は弁4および5が閉鎖している間に発電プラントに空気を効率的に充填する。酸化剤圧縮機70は流れ144により、かつ流れ133を介したバイパスによりタービンに酸化剤流(そのような実施形態では空気)をなお供給する。あるいは、弁4および流れ127を通して進入するCO供給源115からのCOはグランドシール圧縮機23の吸込口に接続することができる。そのような実施形態では、空気が弁2を通る間、弁4は開放される。発電プラントは、流れ144および133を通した流体の供給をなお制御しながら、酸化剤圧縮機70により空気およびCO混合物を充填する。
【0044】
本主題が属する当業者であれば、上の説明および付随の図面に示されている教示の利点を有する本開示の主題の多くの修正および他の実施形態を思い付くであろう。従って、当然のことながら、本開示は本明細書に記載されている具体的な実施形態に限定されず、修正および他の実施形態は添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。本明細書では具体的な用語が用いられているが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用されおり、限定のためのものではない。
図1