(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】光天井
(51)【国際特許分類】
F21S 8/02 20060101AFI20220929BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20220929BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220929BHJP
【FI】
F21S8/02 400
F21V17/00 250
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021135191
(22)【出願日】2021-08-20
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】519040407
【氏名又は名称】株式会社小出製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 恭一
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-146463(JP,A)
【文献】実開昭53-085083(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 17/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム状部材、光源、光源の電源ケーブル、樋状部材を有するユニットを複数組み合わせて構成されており、
ドーム状部材はスチール製であり、
ドーム状部材の下縁部及び光源は樋状部材の開口部内に挿入されており、
光源からスチール製のドーム状部材に照射された光がドーム状部材の凹部の金属面によりドーム状部材の下方の領域に反射され
、
ドーム状部材の角部につば部が形成され、つば部と樋状部材の取付部には貫通孔が形成されていることを特徴とする光天井。
【請求項2】
ドーム状部材、光源、光源の電源ケーブル、樋状部材を有するユニットを複数組み合わせて構成されており、
ドーム状部材はスチール製であり、
ドーム状部材の下縁部及び光源は樋状部材の開口部内に挿入されており、
光源からスチール製のドーム状部材に照射された光がドーム状部材の凹部の金属面によりドーム状部材の下方の領域に反射され、
前記樋状部材にはL字状部材が取り付けられ、L字状部材には光天井の基板取付用の貫通孔と、見切り取付用の貫通孔が形成されている
ことを特徴とする光天井。
【請求項3】
ドーム状部材の下縁部における立ち上がり部の寸法は、樋状部材の内側部材よりも長く設定されている請求項1
、請求項2の何れかの光天井。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の天井を構成する部材であって且つ照明機能を有する光天井に関する。
【背景技術】
【0002】
間接照明は人の目に優しく、種々の建造物の照明として広範に採用されており、種々のタイプの間接照明が提案されている。
ここで、特に間接照明については、白色電球の様に全体が均等に発光するのではなく、発光輝度に多少の濃淡があり、当該濃淡が絡み合う様な、所謂「微妙に光る」証明であることが望まれる。
その一方で、間接照明の発光箇所に「影」が出来てしまうことは防止されなければならない。
さらに、例えば鉄道の駅の構内等、公共施設の天井部分についても適用可能であることが好ましい。
【0003】
その他の従来技術として、光透過性材料で構成されたドーム状の屋根に採光量調整手段を設けた技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は天井全体がドーム状に構成されているため、建造物の通路の天井に適用することは困難である。また、天井全体の構成が決まってしまうので、建造物の天井の一部のみに間接照明を設けたい場合には適用することが出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、発光箇所の全体が均等に発光するのではなく、発光輝度の多少の濃淡が複雑に絡み合う様な微妙な発光を実現し、且つ、発光箇所に「影」が出来てしまうことが無く、公共施設の天井部分についても適用可能である間接照明を有する光天井の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光天井(100)は、ドーム状部材(1)、光源(2:例えばLED)、光源(2)の電源ケーブル(3:電線)、樋状部材(4)を有するユニット(10)を複数組み合わせて構成されており、
ドーム状部材(1)はスチール(鋼)製であり、
ドーム状部材(1)の下縁部(1A)及び光源(2:LED)は樋状部材(4)の開口部内に挿入されており、
光源(2:例えばLED)からスチール製のドーム状部材(1)に照射された光がドーム状部材(1)の凹部(1B)の金属面によりドーム状部材(1)の下方の領域に反射され、
ドーム状部材(1)の角部(1D:隅部)につば部(1E)が形成され、つば部(1E)と樋状部材(4)の取付部(4B)には貫通孔(11)が形成されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の光天井(100)は、ドーム状部材(1)、光源(2:例えばLED)、光源(2)の電源ケーブル(3:電線)、樋状部材(4)を有するユニット(10)を複数組み合わせて構成されており、
ドーム状部材(1)はスチール(鋼)製であり、
ドーム状部材(1)の下縁部(1A)及び光源(2:LED)は樋状部材(4)の開口部内に挿入されており、
光源(2:例えばLED)からスチール製のドーム状部材(1)に照射された光がドーム状部材(1)の凹部(1B)の金属面によりドーム状部材(1)の下方の領域に反射され、
ドーム状部材(1)の角部(1D:隅部)につば部(1E)が形成され、つば部(1E)と樋状部材(4)の取付部(4B)には貫通孔(11)が形成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明において、ドーム状部材(1)の下縁部(1A)における立ち上がり部(1C)の寸法は、樋状部材(4)の内側部材(4A)よりも長く設定されているのが好ましい。例えば、ドーム状部材(1)の立ち上がり部(1C)の寸法は20mm~30mmに設定され、好ましくは25mm~28mmに設定されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上述の構成を具備する本発明によれば、光源(2;例えばLED)からスチール製のドーム状部材(1)に照射された光がドーム状部材(1)の凹部(1B)の金属面によりドーム状部材(1)の下方の領域に反射されることにより、間接照明として作用する。その際に、発光輝度の多少の濃淡が複雑に絡み合う様な微妙な発光を実現されるが、白色電球の様に均等に単一の明度で発光することはない。
そして本発明によれば、ドーム状部材(1)を有するユニット(例えば、
図3、
図4参照)を適宜組み合わせることにより、全体の形状を自由に設定することが可能であり、光天井(100)のレイアウトの自由度が高くなる。
ここで、本発明に係る光天井(100)は、鉄道の駅構内のコンコースや通路に配置されることが想定されているので、構成部材が割れて落下してしまうことは絶対に防止されなければならない。また、本発明の光天井(100)が配置されている部分を防火区画とすることも想定されるので、出火時に構成材料が溶融して、落下してしまうことも防止する必要がある。
本発明において、ドーム状部材(1)やその他の材料をスチール(鋼)で構成すれば、構成材料が溶融して落下することが防止出来る。
【0011】
ここで、ドーム状部材(1)と樋状部材(4)を溶接(栓溶接)して一体化している場合には、メンテナンス等において、一体化されたドーム状部材(1)及び樋状部材(4)を取り外して、光源(2:LED)の電源ケーブル(3:電線)をコネクタから外す必要がある。そのため、一体化されたドーム状部材(1)と樋状部材(4)に対して、電源ケーブル(3)を上方に移動して、ドーム状部材(1)の外側に移動して、電源ケーブル(3)をコネクタから外さなければならない。
しかし、ドーム状部材(1)の角部(1D)では、樋状部材(4)の内側部材(4A)とドーム状部材(1)の間隔が殆ど無く、そのため、光源(2)の電源ケーブル(3)を上方に移動しようとすると、電源ケーブル(3)がドーム状部材(1)の立ち上がり部(1C)或いは樋状部材(4)の内側部材(4A)の何れかと干渉して、いわゆる「擦れた」状態となり、断線や、電源ケーブル(3)の被覆が剥離して漏電する等の恐れがある。
それに対して本発明において、ドーム状部材(1)の立ち上がり部(1C)の寸法を樋状部材(4)の内側部材(4A)よりも長く(例えば20mm~30mm:好ましくは25mm~28mm)に設定したので、角部(1D)においても、ドーム状部材(1)と樋状部材(4)の内側部材(4A)との距離は短くならず、ドーム状部材(1)と樋状部材(4)の内側部材(4A)と隙間には余裕があり、当該隙間(ドーム状部材1と樋状部材4の内側部材4Aとの間の空間)から電線(3)が干渉することなく、容易に外すことが出来る。その結果、メンテナンスが容易になる。
【0012】
さらに本発明において、ドーム状部材(1)につば部(1E)を形成し、つば部(1E)と樋状部材(4)の取付部(4B)に貫通孔(11)が形成されていれば、つば部(1E)と樋状部材(4)の取付部(4B)の貫通孔(11)にビス(14)を挿入することにより、つば部(1E)と樋状部材(4)を組み付けることが出来る。そのため、溶接によりドーム状部材(1)と樋状部材(4)を一体化した場合とは異なり、前記ビス(14)を外すことにより、ドーム状部材(1)と樋状部材(4)とを分離して、ドーム状部材(1)のみを取り外すことが出来る。そして、ドーム状部材(1)を取り外すことにより、光源の電源ケーブル(3)の取り外しその他が容易となる。
【0013】
それに加えて本発明において(
図10参照)、前記樋状部材(4)にはL字状部材(5)が取り付けられ、L字状部材(5)には光天井(100)の基板(100A)に取付用の貫通孔(12)と、見切り(20)取付用の貫通孔(13)が形成されていれば、L字状部材(5)をビス(15)により基板(100A)に固定すれば、L字状部材(5)、樋状部材(4)、ドーム状部材(1)を基板(100A)に取り付けることが出来る。そして、見切り用ビス(16)により、先ず見切り(20)をL字状部材(5)に取り付けることにより、見切り(20)を光天井(100)に固定できる。
ユニット(10)を光天井(100)から取り外すに際しては、先ず見切り(20)をL字状部材(5)に取り付けている見切り用ビス(16)を取り外す。そして、見切り(20)を光天井(100)から取り外す。そして、L字状部材(5)を基板(100A)に固定するビス(15)を取り外せば、L字状部材(5)、樋状部材(4)、ドーム状部材(1)を基板(100A)から分離することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態の概要を示す説明図である。
【
図3】ドーム状部材とその枠状部材との分解図である。
【
図4】LEDとドーム状部材との相対位置を示す側面図である。
【
図5】ドーム状部材の下縁部と樋状部材の相対位置を示す平面図である。
【
図6】ドーム状部材の角部においてLEDの電線が、ドーム状部材の下縁部及び/又は樋状部材の内側部材と干渉する状態を示す拡大説明図である。
【
図7】本願の第2実施形態において、ドーム状部材の角部でも、LEDの電線はドーム状部材の下縁部及び/又は樋状部材の内側部材と干渉しないことを示す拡大説明図である。
【
図8】第2実施形態に係るドーム状部材の平面図であって、ドーム状部材に形成されたつば部を示す図である。
【
図9】第2実施形態におけるドーム状部材と樋状部材の取り付けの態様を説明する説明図である。
【
図10】第2実施形態における取り付け及び取り外しにおける要部の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本発明に係る光天井100は間接照明の一種であり、
図1で示す様に、下方のLED2から上方の金属(スチール)製のドーム状部材1に光Lを照射し、LED2から照射された光Lがドーム状部材1の凹部1Bの金属面により反射して、ドーム状部材1の下方の領域に対して間接照明として作用する。
図1において、ドーム状部材1、LED2(光源)、
図3、
図4で後述するLED2の電源ケーブル3(電線)、樋状部材4、L字状部材5によりユニット10を構成している。
図1の例では、3個のユニット10が並んだ状態で配置されている。
ユニット10については
図3、
図4でも示されており、ドーム状部材1を有するユニット10を適宜組み合わせることにより、全体の形状を自由に設定することが可能であり、光天井100のレイアウトの自由度が高くなる。
【0016】
図2~
図6を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
光天井100の背面斜視を示す
図2において、ドーム状部材1を有するユニット10が6個設けられており、6個のユニット10は全体で長方形状となる様に配置されている。
図2は光天井100の例示であり、光天井100を構成するユニット10の数は6個に限定される訳ではなく、また、ユニット10を組み合わせた全体形状も長方形状に限定されない。
図2では明確には示されていないドーム状部材1の縁部1Aと、LED2(光源:
図2では図示せず)は、
図4で示す様に、樋状部材4の上方に開放された開口部内に挿入されている。
【0017】
図示の実施形態に係る光天井100は、鉄道の駅構内のコンコースや通路に配置されることが想定されており、構成部材が割れて落下してしまうことは絶対に防止されなければならない。そのため、ドーム状部材1の構成材料としてガラス等は不都合である。
一方、光天井100が配置されている部分を防火区画とされることが多い。ドーム状部材1の構成材料としてアルミニウムを選択すると、出火時にアルミニウムが溶けてドーム状部材1が落下してしまう恐れがあるので、不都合である。
これ等の理由から、ドーム状部材1やその他の材料は、全体をスチール(鋼)で構成しており、落下することを防止している。
【0018】
図3で示す様に、ユニット10のドーム状部材1は、概略半球状であるが、横断面形状は正方形の各辺が外側に湾曲した形状であり、正方形横断面(ドーム状部材1の横断面)の対角線に相当する部分には折り曲げ部1Fが形成されている。
分解図である
図3において、ドーム状部材1の下縁部1Aは、上部が開放した樋状部材4内(樋状部材4の開口部内)に配置される。樋状部材4は、その断面形状は上部が開放した四角形状であり、樋状部材4の全体は正方形における4辺の様な形状となっている。
樋状部材4の全体形状である正方形の4辺の各々における外側面には、断面L字状の部材5(L字状部材)が溶接(栓溶接)により樋状部材4の該側面と一体化されている。L字状部材5の断面は、L字を上下逆にしたような形状となっており、L字状部材5の上部は水平方向で且つ樋状部材5から離隔する方向に延在している。
【0019】
図3において、下方から光を照射した際に、ドーム状部材1の折り曲げ部1Fは「線」として看者に認識されるが、折り曲げ部の「線」を看者が強い印象で認識することはなく、看者が折り曲げ部1Fを線状の影と認識することはない。「線」として看者に何気なく認識される折り曲げ部1Fが存在することにより、発光箇所の全体が均等に発光するのではなく、発光輝度の多少の濃淡が複雑に絡み合う様な微妙な発光を実現される。そして、白色電球の様に均等に単一の明度で発光することはない。
明確には図示されていないが、ドーム状部材1の折り曲げ部1Fは、下方から光を照射した際に「影」となる部分がない形状となっており、天井の照明においては発光部分に影が形成されるという不都合を防止している。
【0020】
ドーム状部材1の側面形状を示す
図4において、ドーム状部材1の下方であって樋状部材4の内部には、光源であるLED2が配置されている。また、
図4、
図5では明確には示されていないが、LED2は樋状部材4の内部(樋状部材4の開口部内)において、ドーム状部材1の下方の周囲全域に亘って連続して配置されている。なお、
図5にはLED2は図示していない。
図4(及び
図5)において、ドーム状部材1の内周面は凹部1Bが形成されている。ドーム状部材1の下部の全周に亘って連続して配置されたLED2が発光、照射すると、LED2の光Lはドーム状部材1の凹部1Bにより反射して、ドーム状部材1の下方の領域(床側、天井の反対側)を照射する。その結果、ドーム状部材1の全体が光っている様に見える。
図4では詳細に示されてはいないが、LED2には電源ケーブル3(LED用の電線)が接続可能である。
【0021】
図4で示す様に、ドーム状部材1の下縁部1Aは、上部が開放した樋状部材4内(樋状部材4の開口部内)に配置されている。ここで、
図5に示す様に、ドーム状部材1の下縁部1A(一点鎖線で示す)における四つの「辺」に相当する部分は樋状部材4の内側部材4Aとの距離が大きく空間的な余裕がある。しかし、ドーム状部材1の下縁部1Aにおける四つの「角」に相当する部分1D(角部或いは隅部)では、ドーム状部材1の下縁部1Aと樋状部材4の内側部材4Aの距離が小さく、下縁部1Aと内側部材4Aとの間には空間的な余裕が小さい(間隔が無い)。
ドーム状部材1と樋状部材4とは溶接(栓溶接)して一体化されているので、メンテナンスの際には、一体化されたドーム状部材1及び樋状部材4を(例えば天井部から)取り外して、LED2の電線3(
図4参照)を図示しないコネクタから外す必要がある。そして、一体化されたドーム状部材1と樋状部材4を外す際に、相対的に、電線3をドーム状部材1の外側に移動して、電線3をコネクタから外す等の処理を行う必要がある。
上述した様に、ドーム状部材1の角部1Dでは、樋状部材4の内側部材4Aとドーム状部材1の間隔が無い。その状態が
図6に示されている。
【0022】
図6では、第1実施形態におけるドーム状部材1の角部1Dにおけるドーム状部材1の下縁部1Aと、樋状部材4の内側部材4Aの位置関係が示されている。
図6において、ドーム状部材1の下縁部1Aと樋状部材4の内側部材4Aの間に位置する(LED2の)電線3を上方に移動しようとすると、電線3は、ドーム状部材1の下縁部1Aに連続する立ち上がり部1Cと、樋状部材4の内側部材4Aの何れかと干渉して、いわゆる「擦れた」状態となり、断線する恐れや、被覆が剥離して漏電を生じる等の不都合が生じる恐れがある。
図6を参照して、上述した不都合をさらに説明する。
図6において、ドーム状部材1の立ち上がり部1Cの垂直方向寸法L1が20mm程度しかなく、樋状部材4の内側部材4Aの高さL2が25mm程度である場合には、ドーム状部材1の立ち上がり部1Cより上方は湾曲して、樋状部材4の内側部材4Aに近接するので、ドーム状部材1の角部1D(
図5参照)においては、ドーム状部材1と樋状部材4の内側部材4Aとの距離は短くなってしまう(間隔が小さくなってしまう)。
【0023】
上述した通り、メンテナンスに際しては、LED2の電線3(電線3の定位置P1)を上方に移動して外す必要があり、矢印Aで示す様に電線3を上方に持ち上げて、ドーム状部材1と樋状部材4の内側部材4Aとの間から外すことになる。
しかし、
図6を参照して前述した様に、ドーム状部材1の角部1Dにおいて、ドーム状部材1の立ち上がり部1Cと樋状部材4の内側部材4Aとは近接しており、両者間の距離は短いため、
図6で示す様な状態で、ドーム状部材1と樋状部材4の内側部材4Aとの間から電線3を外そうとすると、電線3を持ち上げた位置P2(定位置P1から上方の位置)では、ドーム状部材1と内側部材4Aは最も近接しているため、(ドーム状部材1と内側部材4Aとの間から電線3を無理に外そうとすれば、)電線3がドーム状部材1及び/又は樋状部材4の内側部材4Aと干渉して、所謂「擦れて」しまうので、電線3が断線する恐れや、電線3の被覆が剥離して漏電する恐れが生じてしまう。
【0024】
これに対して本願の第2実施形態では、
図7で示す様に、ドーム状部材1の立ち上がり部1Cの垂直方向寸法L3が、
図6で示す場合に比較して長く設定されており、樋状部材4の内側部材4Aに比較して長く設定されている。例えば、
図7において、ドーム状部材1の立ち上がり部1Cの垂直方向寸法L3は20mm~30mmであり、好ましくは25mm~28mmに設定されている。
図7に示す第2実施形態ではドーム状部材1の立ち上がり部1Cの垂直方向寸法L3が樋状部材4の内側部材4Aの高さL2(=25mm程度)よりも長く設定されているので、ドーム状部材1の立ち上がり部1Cより上方が湾曲しても、樋状部材4の内側部材4Aに近接せず、ドーム状部材1の立ち上がり部1Cと樋状部材4の内側部材4Aとの間隔が大きくなっている。そのため、ドーム状部材1の角部1Dにおいても、ドーム状部材1と樋状部材4の内側部材4Aとの距離(間隔)は短くならず、ドーム状部材1と樋状部材4の内側部材4Aと隙間には余裕がある。
メンテナンスに際して、LED2の電線3(電線の定位置P1)を矢印Aで示す様に上方に持ち上げても、電線3が位置P2にあってもドーム状部材1及び/又は樋状部材4の内側部材4Aとの間隔が大きいため、電線3はドーム状部材1及び/又は樋状部材4の内側部材4Aと干渉することなく、ドーム状部材1と樋状部材4の内側部材4Aとの間の空間から容易に外すことが出来る。その結果、第2実施形態では、メンテナンスが容易になる。
【0025】
なお、ドーム状部材1は板金をプレス加工して製造するので、立ち上がり部1Cの長さ(垂直方向の寸法)を無制限に長くすることは出来ない。立ち上がり部1Cの長さ(垂直方向の寸法)が、例えば30mmを超えると、ドーム状部材1の特定の部分(後述する「抜き」:
図8で符号「1G」で示す部分)が割れてしまい、その割れ目はドーム状部材中を進行してしまう恐れがある。
発明者の実験では、その様な割れ目がドーム状部材1に形成されることなく、立ち上がり部1Cの長さL3を長くして、ドーム状部材1と樋状部材4の内側部材4Aとの間からLED2の電線3を容易に外すことが出来る様にするためには、ドーム状部材1の立ち上がり部1Cの寸法L3を20mm~30mm、好ましくは25mm~28mm(例えば28mm)とするのが好ましいことが判明した。
【0026】
第2実施形態において、例えば
図8で示す様に、ドーム状部材1の4箇所の角部1Dには「つば部」1Eが設けられている。そして、
図8において、ドーム状部材1とつば部1Eの境界部(
図8で二重線で示す)が、「抜き」1Gを示す。
図3、
図5と同様に、
図8においてもドーム状部材1には折り曲げ部1Fが形成されている。
第2実施形態を示す
図7~
図10において、ドーム状部材について第1実施形態のドーム状部材と同様の構成が多いため、第2実施形態においてもドーム状部材については「符号1」を添えて示す。また、樋状部材、L字状部材、その他についても第1実施形態と同様の符号を使用する。
【0027】
上述した様に、第2実施形態のドーム状部材1の4箇所の角部1Dにはつば部1Eが設けられている。そして第2実施形態では、ドーム状部材1と樋状部材4(
図8では図示せず)は溶接されていない。
例えば
図9で示す様に、つば部1Eの各々には2箇所の貫通孔11が穿孔され、樋状部材4の底部におけるつば部1Eに対応する位置に取付部4Bが配置され、それぞれの取付部4Bにも2箇所の貫通孔11が穿孔されている。そして、それぞれの貫通孔11にビス14を挿入して締めることにより、ドーム状部材1と樋状部材4は一体化させることが出来る。ここで、
図3を参照して上述した様に、樋状部材4にはL字状部材5が溶接(栓溶接)され、両者は一体化している。
図9の例では、つば1Eの上方で取付部4Bの上方に抑え部材4BAが示されており、抑え部材4BAにも貫通孔11が形成され、ビス14は抑え部材4BA、つば部1E、取付部4Bの貫通孔を挿入されて、締め付けられ、ドーム状部材1と樋状部材4は一体化している。
【0028】
第1実施形態ではドーム状部材1と樋状部材4とは溶接(栓溶接)されて一体化しているので、メンテナンス等の際には、一体化されたドーム状部材1と樋状部材4(及びL字状部材5)を(一体化した状態のまま)光天井100の基板100A(
図10参照)から取り外さなければならなかった。そして、LED2の電線3を一体化したドーム状部材1と樋状部材4から外さなければならず、
図6で示す様に、電線3がドーム状部材1及び/又は樋状部材4の内側部材4Aと干渉して、擦れてしまう恐れがあった。
それに対して第2実施形態では、ドーム状部材1と樋状部材4とは溶接されておらず、ドーム状部材1のつば部1Eと樋状部材4の取付部4Bと抑え部材4BAをビス14で締め付けることにより一体的に組み付けることが出来る。そして、一体化されたドーム状部材1と樋状部材3からビス14を外せば、ドーム状部材1のみを外すことも出来るので、ドーム状部材1を外すことにより、LED2の電線3がドーム状部材1及び/又は樋状部材4の内側部材4Aと干渉して、擦れてしまうことなく、容易に外すことができる。
【0029】
ここで、図示の実施形態に係る光天井100では、メンテナンスのため、1つのユニット10(ドーム状部材1、LED2(光源)、LED2の電線3、樋状部材4、L字状部材5)だけを外したい場合がある。或いは、特定のユニット10を、他の機器(例えばスピーカー等)と交換したい場合がある。
その様な場合に、光天井100から特定のユニット10のみを取り外す必要がある。
第2実施形態において、特定のユニット10を光天井100の基板100Aから取り外す態様について、主として
図10を参照して説明する。
【0030】
図10において、光天井100の相互に隣接する2つのユニット10-1、10-2が示されており、ユニット10-1、10-2はそれぞれ光天井100の基板100Aに固定されている。
ユニット10-1、10-2のそれぞれにおいて、樋状部材4とL字状部材5は溶接(栓溶接)により一体化されており、ドーム状部材1と樋状部材4(溶接によりL字状部材5と一体化されている)は、
図9を参照して上述した様に、つば部1E(
図10では図示しない)においてビス14(
図9)により一体化されている。また、L字状部材5には光天井100の基板取付用の貫通孔12と、見切り取付用の貫通孔13が形成されている。
ユニット10-1、10-2は、それぞれのL字状部材5を、基板取付用の貫通孔12を介して基板用ビス15により光天井100の基板100Aに固定することにより、光天井100の基板100Aに固定される。
ユニット10-1、10-2の境界部には見切り20が設けられており、ユニット10-1、10-2のそれぞれのL字状部材5は、貫通孔13を介して見切り用ビス16により見切り20(の立ち上がり部20A)に固定されている。これにより、見切り20はユニット10-1、10-2に固定され、以って光天井100に固定されている。
図10では、見切り20は、左右方向に隣接するユニット10-1、10-2間に設けられているが、
図10の紙面に垂直な方向に隣接するユニット間にも見切り20は設けられている。
図4で示すのと同様に、
図10においても光源であるLED2は、樋状部材4の内部(樋状部材4の開口部内)に配置されている。
【0031】
図10において、光天井100からユニット10-1のみを取り外すに際しては、先ず見切り20をユニット10-1のL字状部材5に取り付けている見切り用ビス16を取り外し、光天井100の見切り20をユニット10-1から取り外す。
次に、ユニット10-1のL字状部材5の基板用ビス15を取り外す。これにより、L字状部材5は基板100Aから分離可能となり、ドーム状部材1、LED2、LED2の電線3、樋状部材4、L字状部材5からなるユニット10-1は、光天井100の基板100Aから取り外し可能な状態になる。
基板用ビス15を取り外して、ユニット10-1が光天井100から取り外し可能な状態となったならば、ユニット10-1のドーム状部材1を支持しつつ、LED2の配線3(
図4参照)を図示しないコネクタと接続解除する。これにより、ドーム状部材1を含むユニット10-1は、光天井100の基板100Aから取り外される。
そして、ドーム状部材1の支持をしつつ、光天井100から降ろす。
【0032】
図10を参照して第2実施形態においてユニット10を光天井100から取り外す態様を説明したが、第1実施形態においても同様な態様でユニット10を光天井100から取り外すことが出来る。
図7~
図10の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、
図1~
図6の第1実施形態と同様である。
【0033】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0034】
1・・・ドーム状部材
1A・・・ドーム状部材の下縁部
1B・・・ドーム状部材の凹部
1C・・・ドーム状部材の立ち上がり部
1D・・・ドーム状部材の角部(隅部)
1E・・・ドーム状部材のつば部
1F・・・折り曲げ部
2・・・LED(光源)、
3・・・電源ケーブル(電線)
4・・・樋状部材
4A・・・樋状部材の内側部材
4B・・・樋状部材の取付部
5・・・L字状部材
10・・・ユニット(
11・・・貫通孔
12・・・L字状部材における基板取付用の貫通孔
13・・・L字状部材における見切り取付用の貫通孔(
20・・・見切り
100・・・光天井
100A・・・基板
【要約】
【課題】発光箇所の全体が均等に発光するのではなく、発光輝度の多少の濃淡が複雑に絡み合う様な微妙な発光を実現し、発光が均一にはならず、公共施設の天井部分についても適用可能である間接照明を有する光天井の提供。
【解決手段】本発明の光天井(100)は、ドーム状部材(1)、光源(2:例えばLED)、光源(2)の電源ケーブル(3:電線)、樋状部材(4)を有するユニット(10)を複数組み合わせて構成されており、ドーム状部材(1)はスチール(鋼)製であり、ドーム状部材(1)の下縁部(1A)及び光源(2:LED)は樋状部材(4)の開口部内に挿入されており、光源(2:例えばLED)からスチール製のドーム状部材(1)に照射された光がドーム状部材(1)の凹部(1B)の金属面によりドーム状部材(1)の下方の領域に反射される。
【選択図】
図4