(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】磁石モジュールの製造方法及び磁石モジュール
(51)【国際特許分類】
H01F 41/02 20060101AFI20220929BHJP
H01F 7/02 20060101ALI20220929BHJP
H02K 41/03 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
H01F41/02 G
H01F7/02 E
H02K41/03 A
(21)【出願番号】P 2021502676
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2019003008
(87)【国際公開番号】W WO2019203448
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0043840
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520376144
【氏名又は名称】コベリ カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】520376166
【氏名又は名称】キム ホンチュン
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】キム ホンチュン
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-183823(JP,A)
【文献】特開2013-063011(JP,A)
【文献】特開2006-054972(JP,A)
【文献】特表2002-531042(JP,A)
【文献】特開2012-216626(JP,A)
【文献】特開2001-169527(JP,A)
【文献】特開2004-135385(JP,A)
【文献】国際公開第2010/058500(WO,A1)
【文献】特表2014-504129(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03032724(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0276449(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/02、13/00、41/02
H02K 15/03、41/00-41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に一直線に配置される無着磁の磁石複数個を含むL字型の磁石モジュールを射出するステップと、
前記射出された磁石モジュールに装着された無着磁の磁石を
前記第1方向と垂直である第2方向に磁極が起こるように着磁する段階を含み、
前記射出するステップは、
前記磁石モジュールの外観形状に合うように内部が成形された少なくとも2つの型で構成される金型の型において、前記磁石モジュールのフレームを形成する第1部分に前記無着磁の磁石を装着する段階と、
前記金型の型において、前記フレームの端部から前記第2方向に延出する前記磁石モジュールのベースを形成する第2部分に前記第1方向に最も長く、前記第2方向に2番目に長い金属板を装着する段階と、
前記金型の型内に液体状態の樹脂を注入する段階と、
前記樹脂が固まったら、前記金型の型を分離する段階を含むことを特徴とする磁石モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの型には、前記無着磁の磁石を固定するためのピンが突出することを特徴とする、請求項1に記載の磁石モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記無着磁の磁石が着磁される磁極の方向に垂直な第1面と第2面が最も広い六面体であるとき、前記六面体の他の面のそれぞれに少なくとも1つのピンが接触するように、前記ピンが前記少なくとも2つの型の1つ以上で突出することを特徴とする、請求項2に記載の磁石モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記ベースにベースホールを形成するために、前記少なくとも2つの型で互いに対向するように突出する突出部の末端の間に、前記金属板を挟んで前記金属板を前記金型の型に固定することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁石モジュールの製造方法。
【請求項5】
第1方向に一直線に複数個が配置されるが、
前記第1方向と垂直である第2方向と平行である磁極方向が前記第1方向に進行しながら交互に変わるように配置される複数個の永久磁石と、
前記複数個の永久磁石を固定するように射出成形されたフレームと、前記フレームの端部から前記第2方向に延出するとともに複数個のベースホールが形成されるよう射出成形されたベースを含み、
前記ベースの内部に内蔵され、前記第1方向に最も長く、前記第2方向に2番目に長い形状の金属板をさらに含み、L字型であることを特徴とする磁石モジュール。
【請求項6】
前記金属板は、前記複数個のベースホールに対応する位置にホールが形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の磁石モジュール。
【請求項7】
前記ベースホールは、前記第1方向に
おいて、隣り合う2つの永久磁石の間に対応する位置に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の磁石モジュール。
【請求項8】
前記永久磁石は、
前記第2方向と垂直な表面を持つ六面体であり、前記表面が前記フレームの外部に露出され、
前記フレームは、前
記永久磁石の
前記表面の端に対応する位置
において、前記第2方向のうち前記
表面から遠ざかる方向
に突出し、
且つ、前記第1方向
及び前記第2方向
の双方と垂直である第3方向
並びに前記第1方向
のうち前記永久磁石に向かう方向に突出
して、前記フレームからの前記永久磁石の離脱を防止する
部分を有することを特徴とする、請求項5に記載の磁石モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石モジュールを製造する方式に関し、より詳細には、線形電動機に使用され、進行方向に羅列された複数の磁石で構成される、磁石モジュールを射出成形方式で製造する方式に関する。
【背景技術】
【0002】
線形電動機、すなわちリニアモータは、直線状に向かう可動子及び固定子との間に推力を発生する構造になっている。永久磁石型リニアモータは、可動子及び固定子の内いずれか一側に永久磁石を置き、残りの一側に交互する多相電力を送って両者の間に電磁力が作用して一定方向に推力が発生するようにする。
【0003】
従来のほとんどのリニアモータは、電機子コアの突極から出た磁束が永久磁石を経て、磁気コアを介して磁気閉回路を構成して引力と斥力を発生させて推力が発生する構造をとるため、永久磁石は、突極と磁束コアの間に置かれ、磁束コアに付着される場合がほとんどである。
【0004】
図1は、本発明の発明者によって出願された出願番号KR10-2010-0081522とKR10-2010-0129947に記載された開放型線形電動機を示したものである。
【0005】
図1において、U/V/W上の電機子モジュールのコアが直線状であり、これにより、突極もコアから直角に突出し隣接する突極と並ぶように配置されている。また、2次部材の永久磁石も並ぶように置かれた二つの突極間に直線形のコアに向かって突出する。進行方向に羅列された複数個の永久磁石は、永久磁石モジュールに固定することができ、突極の間に複数の永久磁石モジュールが互いに並ぶように配列されるので、支持機構のベースが複数個の永久磁石モジュールを接続するための接続部の役割をして複数個の永久磁石モジュールがベースに固定されることができる。
【0006】
図1の線形電動機は、磁気コアの介入なしに、磁気閉回路を構成、すなわち、自己のパス上に磁気コアがなく永久磁石が直接磁気経路上に配置されて磁束を接続して、磁気閉回路をなす。
【0007】
図1の線形電動機で永久磁石が直接磁気閉回路を接続するので、永久磁石の形状に合わせて、フレームに形成された複数の開口に永久磁石を挟んで永久磁石モジュールを組み立てることができる。磁石モジュールフレームには、磁束が流れないので、フレームを非磁性体を利用して、射出型で製作することができる。
【0008】
永久磁石をフレームに形成された開口に固定するとき、永久磁石の磁化方向をいちいち確認し磁化方向が確認された永久磁石を固定する開口を決定し、永久磁石の型または開口の内部に接着剤を塗布し、永久磁石を開口に合わせてはめ込んで接着しなければならない。
【0009】
しかし、永久磁石の磁力が非常に強くて二つの磁石が互いに付くことができ、ついた磁石を離すが非常に難しくて磁化方向を確認する過程が非常に面倒であり、開口の内部や磁石型に塗布した接着剤が漏れ出て組み立てられた磁石モジュール外観が滑らかなくなるなど、磁気のモジュール組立に関する作業工程が多くて煩わしく作業能率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、このような状況を反映して創作されたものであり、本発明の目的は、線形電動機の進行方向に羅列された複数の磁石で構成され、磁気コアがない磁石モジュールを容易に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような目的を達成するための本発明の一実施形態に係る磁石モジュールの製造方法は、第1方向に一直線に配置される無着磁の磁石複数個を含むL字型の磁石モジュールを射出するステップと、射出された磁石モジュールに装着された無着磁の磁石を第1方向と垂直である第2方向に磁極が起こるように着磁する段階を含み、射出するステップは、磁石モジュールの外観形状に合うように内部が成形された少なくとも2つの型で構成される金型の型において、磁石モジュールのフレームを形成する第1部分に無着磁の磁石を装着する段階と、金型の型において、フレームの端部から第2方向に延出する磁石モジュールのベースを形成する第2部分に第1方向に最も長く、第2方向に2番目に長い金属板を装着する段階と、金型の型内に液体状態の樹脂を注入する段階と、樹脂が固まったら、金型の型を分離する段階を含むことを特徴とする。
【0014】
一実施形態において、ベースにベースホールを形成するために、少なくとも2つの型で互いに対向するように突出する突出部の末端の間に、金属板を挟んで金属板を金型の型に固定することができる。
【0015】
一実施形態において、少なくとも2つの型には、無着磁の磁石を固定するためのピンが突出することができる。
【0016】
一実施形態において、前記無着磁の磁石が着磁される磁極の方向に垂直である第1面と第2面が最も広い六面体であるとき、六面体の他の面のそれぞれに少なくとも1つのピンが接触するようにピンが少なくとも2つの型の内1つ以上で突出することができる。
【0017】
本発明の他の実施形態に係る磁石モジュールは、第1方向に一直線に複数個が配置されるが、第1方向と垂直である第2方向と平行である磁極方向が第1方向に進行しながら交互に変わるように配置される複数個の永久磁石と、複数個の永久磁石を固定するように射出成形されたフレームと、フレームの端部から第2方向に延出するとともに複数個のベースホールが形成されるように射出成形されたベースを含み、ベースの内部に内蔵され、第1方向に最も長く、第2方向に2番目に長い形状の金属板をさらに含み、L字型であることを特徴とする。
【0019】
一実施形態において、金属板は、複数個のベースホールに対応する位置にホール(穴)が形成されることができる。
【0020】
一実施形態において、ベースホールは、第1方向において、隣り合う二つの永久磁石との間に対応する位置に配置されることができる。
【0021】
一実施形態において、永久磁石は、第2方向と垂直な表面を持つ六面体であり、表面がフレームの外部に露出される。フレームは、永久磁石の表面の端に対応する位置において、第2方向のうち表面から遠ざかる方向に突出し、且つ、第1方向及び第2方向の双方と垂直な第3方向並びに第1方向のうち前記永久磁石に向かう方向に突出して、フレームからの永久磁石の離脱を防止する部分を有することができる。
【発明の効果】
【0022】
したがって、磁石モジュールの製造工程を簡素化し、製造効率が高くなり、磁石モジュールで磁石が外部に露出しない構造が可能であり、磁石の表面が損なわれるのを防止することができるようになる。
【0023】
また、長さが長い磁石モジュールが磁束が進行する方向に曲がることを防止することができ、磁石と電機子間のギャップを最小化して磁束が外部に漏れることを最小化することができる。
【0024】
また、磁石が露出した状態で射出しても磁石がフレームから離脱することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の発明者によって出願された出願番号KR10-2010-0081522とKR10-2010-0129947に記載された開放型線形電動機を図示したものである。
【
図2】本発明の一実施形態に基づいて射出成形方式で製造された磁石モジュールを示したものである。
【
図3】
図2の磁石モジュールで永久磁石が固定されたフレームを示したものである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る磁石モジュールを製造する過程での作業フローチャートを示すものである。
【
図5】射出成形方式で磁石モジュールを製造するために無着磁の磁石を金型の型に固定する方式を示したものである。
【
図6】射出成形方式で磁石モジュールを製造するために無着磁の磁石を金型の型に固定する方式を示したものである。
【
図7】磁石モジュールフレームに含まれた無着磁の磁石を着磁する方式の一例を示すものである。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る射出成形方式で製造された磁石モジュールを示したものである。
【
図9】磁石モジュールのベースに挿入された金属板を示したものである。
【
図10】射出成形方式で磁石モジュールを製造するために無着磁の磁石と金属板を金型の型に固定する実施形態を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る磁石モジュールの製造方法を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
本発明においては、磁化されない複数個の磁石を含む磁石モジュールを射出成形した後、着磁機で磁石モジュールに装着された磁石を磁化させて、
図1と類似した構造の線形電動機に適用される磁石モジュールを製造することができる。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に基づいて射出成形方式で製造された磁石モジュールを示すものであり、
図3は、
図2の磁石モジュールで永久磁石が固定されたフレームを示したもので、複数の磁石モジュールが可動子進行方向に連続して配置されることができる。
【0029】
磁石モジュール10は、複数個の永久磁石130が装着されるフレーム110と固定子と結合するためにホール121が形成されたベース120で構成されることができるが、フレーム110とベース120は、射出成形とした1体で形成される。例えば、プラスチックのような射出物であるフレーム110内に複数個の永久磁石(130N、130S)が横方向(X方向)、すなわち、可動子の進行方向に磁極が交互に配置され、永久磁石が外部に露出されない磁石モジュール10が製造されることができる。
【0030】
複数個の直方体の永久磁石は、速度リップル低減のために直方体の辺が横方向(X方向)と平行に整列されず、少し傾いた状態で配置される。永久磁石130の磁化方向は、可動子の進行方向と垂直に、XY平面から飛び出されるか入る方向、すなわちXY平面に垂直な方向である。
【0031】
図4は、本発明の一実施形態に係る磁石モジュールを製造する過程の作業フローチャートを示すものである。
【0032】
まず、射出成形のための金型の型に無着磁の磁石を装着する。無着磁は磁力がない状態を言い、磁石に必要な原料が配合されて磁石の状態や磁力を注入しなくて磁力がない状態を意味する。磁石が無着磁であるので、磁化方向を考慮することなく、同じ大きさの無着磁の磁石を任意に金型の型に装着することができる。
【0033】
図5と
図6は、射出成形方式で磁石モジュールを製造するために無着磁の磁石を金型の型に固定する方式を示したものである。
【0034】
磁石モジュール10の外観形状に合うように内部が成形された少なくとも2つの部品、すなわち第1型210と第2型220で構成される金型の型内に固定ピン(216、225、226)が内部表面から突出した状態で形成されるが、これは射出成形過程でプラスチックのような高温の液体樹脂が第1型210と第2型220の間のスペースに高い圧力で注入される時、無着磁の磁石130を自分の位置に固定するためのものである。
【0035】
図5と
図6において、第1固定ピン216は、第1型210の内部表面から垂直に突出して磁石130を-Z方向に支持し、第2固定ピン226は、第2型220の内部表面から垂直に突出して磁石130を+Z方向に支持し、第3固定ピン225は、第1及び第2型(210、220)の内、1つで突出して磁石130をX方向、Y方向またはX方向成分とY方向成分の所定の割合の組み合わせ方向に支持する。
【0036】
無着磁の磁石130は、直方体の形で、最も広い面積を有する第1/第2表面(第1表面と第2表面は、互いに対向する)がXY平面と平行な状態でフレーム110内に定着される。磁石モジュール10が
図1の構造の線形電動機に装着されるとき、Z方向に磁束が流れるため、磁石130の第1表面がXY平面と平行またはZ方向と垂直を維持する必要がある。
【0037】
このため、
図5と
図6のように、Z方向に基づいて、第1及び第2固定ピン(216、226)の端部がそれぞれ磁石130の第1表面と第2表面に3つ以上が接触するように配置され、XY平面に基づいて複数個の第1固定ピン216と、複数個の第2固定ピン226の重さ重心がそれぞれ、磁石130の第1または第2表面の中心に配置されるようにするが、磁石130の第1または第2表面に均等に配置されるようすることが有利である。
【0038】
また、
図6のように、XY平面に基づいて、第1固定ピン216と第2固定ピン226の位置が一致しないように配置するが、第1または第2表面の中心に基づいて点対称または第1または第2表面の中心を通る直線に基づいて線対称になるように、第1固定ピン216と第2固定ピン226を配置することができる。
【0039】
また、
図6のように、磁石130がXY平面に基づいて一辺の長さがさらに長い直角四角形であり、各磁石の第1固定ピン216と第2固定ピン226をそれぞれ3つずつ使用する場合、固定ピンを斜辺の長さが底辺の長さより長い二等辺三角形の形に配置するが、第1固定ピン216と第2固定ピン226のそれぞれがなす二等辺三角形が互いに交差するように配置することができる。
【0040】
複数個の第3固定ピン225は、
図6のように、XY平面に基づいて、各磁石130の第1または第2表面がなす直角四角形の各辺または第1及び第2表面を除外した他の面に1つ以上接するように配置されることができる。
【0041】
磁石130が直方体ではなく、XY平面の第1/第2表面が平行四辺形である六面体で有り得、この場合にも、
図5と
図6の固定ピンに関連する実施形態は、大きな変形なしでそのまま適用することができる。また、磁石130の平面形状は、長方形や平行四辺形に限定されず、菱形、円形、楕円なども可能である。
【0042】
第1及び第2の型(210、220)の内、1つに無着磁の磁石130を装着した後、二つの型(210、220)を結合する。第1及び第2型(210、220)の内、1つ、または2つの金型の型の結合端面にフレーム110とベース120を構成する液体状態の樹脂を注入する投入口(図示せず)が設けられ、また、金型の型内の空気が抜けていくエアホール(図示せず)が設けられて樹脂が金型の型の内部の隅々まで染み込むようにする。
【0043】
無着磁の磁石130が固定された状態で、第1及び第2型(210、220)を結合した後、金型の型に設けられた投入口を介して高温の液体状態の樹脂材料を注入して磁石モジュール10のフレーム110とベース120を成形する。
【0044】
樹脂材料が冷めて固体状態になると、金型の型(210、220)を分離して、複数個の無着磁の磁石130が内部に装着された磁石モジュール10を得て、磁石モジュール10の不要な部分を削除し、最終外形に整える。
【0045】
以降、着磁機を利用して、フレーム110に内蔵された無着磁の磁石130を着磁する。
【0046】
図7は、磁石モジュールフレームに含まれた無着磁の磁石を着磁する方式の一例を示すものである。
【0047】
着磁化とは磁力がない磁石素材に誘導された磁界を加え、磁石素材に磁気的変化を与える過程で、得ようとする製品の磁極の方向、数、強さなどを所望するだけ磁束を与えて、このように着磁された磁石を永久磁石とする。着磁化作業は、電流供給装置である制御部と磁界を誘導するヨーク(Yoke)部で構成される着磁機で作業する。
【0048】
図7において、フレーム110に含まれる各磁石130をZ方向に磁極が起こるように着磁しなければならないので、末端がフレーム110に含まれた磁石130に対応する形状を有する磁性体コア310を、各磁石130の一方の面に対面するように配置し、対応する磁性体コア310に電気的に接続され、末端が磁石130に対応する形状を有する強磁性体330を、各磁石130の反対面に配置し、磁性体コア310にコイル320を巻きコイル320に電流を印加して、磁界を磁石130に露出させる。
【0049】
つまり、磁性体コア310の一方の末端を磁石130の第1表面に平行に対面させて強磁性体330を磁石130の第2表面に平行に対面させ、磁性体コア310、強磁性体330及び磁石130が、磁気閉回路を成すようにし、磁性体コア310に巻かれたコイル320に電流が流れるようにして磁束(Flux)が磁気閉回路に流れるようにする。磁性体コア310の一方の末端から磁石130に向かって出てきた磁束(Flux)が磁石130を通過して強磁性体330に入りながら、磁石130が着磁される。
【0050】
隣接する2つの磁性体コア310でコイル320を巻く方向を互いに逆にして、例えば、第1磁性体コア310にコイル320を時計回り(CW:Clock-Wise)に巻いて、隣接する第2磁性体コア310にコイル320を反時計回り(CCW:Counter Clock-Wise)で巻いて、フレーム110から隣接する二つの磁石130の磁極の方向を逆にすることができる。
【0051】
フレーム110に含まれた磁石130の個数だけの磁性体コア310を着磁機に設け、フレーム110に含まれたすべての磁石130を一度に着磁することができる。
【0052】
したがって、磁石モジュールフレームに永久磁石の磁極方向をいちいち確認し組み立てる手間を省くことができ、磁石モジュールフレームの開口に永久磁石を固定する際に接着作業による違和感や接着剤が広がって汚くなるのを防止することができるようになる。また、磁石が外部に露出されず、磁石表面が損なわれることを防止することができるようになる。使用用途によっては、磁気表面の一部または全部を露出させることもできる。
【0053】
図8は、本発明の他の実施形態に基づいて射出成形方式で製造された磁石モジュールを示すものであり、
図9は、磁石モジュールのベースに挿入された金属板を示したもので、
図8の磁石モジュール10は、ベース120の内部に金属板140が挿入され磁石130が外部に露出されることを除外しては、
図2の磁石モジュール10とほぼ同じである。
【0054】
磁石モジュール10が線形モータの進行方向(
図8のX方向)に、その長さが長く、その方向にフレーム110を構成する樹脂とフレーム110に挟まれた磁石130の密度が異なるため、射出成形後にZ方向に曲げが発生する可能性がある。
【0055】
このような問題を解決するために、本発明の他の実施形態には、固定子に固定されるベース120の内部に金属板140を挿入したまま磁石モジュール10を射出成形する。X方向に最も長く、X方向とZ方向に長方形の平面をなし、Y方向に薄い厚さをなす直方体形状の金属板140をベース120の内部に固定することにより、磁石モジュール10が曲がることを防ぐことができる。金属板は、X方向とY方向に平行四辺形平面をなす六面体形状とすることもできる。
【0056】
金属板140には、ベース120に形成された複数個のベースホール121のような数と同じ位置に複数の金属板のホール141が形成される。ベースホール121は、進行方向であるX方向に基づいて、フレーム110から磁石130と磁石130との間のフレーム110を形成する樹脂がY方向に長く形成される位置に対応するベース120の位置に配置されることができるが、これはフレーム110において磁石130が配置される位置が、強度が最も弱いからである。
【0057】
図10は、射出成形方式で磁石モジュールを製造するために無着磁の磁石と金属板を金型の型に固定する実施形態を示したもので、
図8でYZ平面に基づいて磁石モジュール10と、金型の型を切断した断面ある。
【0058】
磁石モジュール10の外観形状に合うように内部が成形された少なくとも2つの部品、すなわち第1型210と第2型220で構成される金型の型内に第3固定ピン225が第1型210または第2型220の内部表面から突出した状態で形成される。
【0059】
図8の磁石モジュール10は、磁石130が外部に露出されるので、
図5や
図6とは異なるように磁石130をZ方向に固定するための第1固定ピン216や第2固定ピン226は必要ない。代わりに、第1型210と第2型220に磁石130の第1/第2表面に対応する断面を設けて磁石130をZ方向に固定する。
【0060】
しかし、
図6を参照して、XY平面に基づいて、各磁石130の第1または第2表面がなす直角四角形の各辺または第1及び第2表面を除外した、他の面に1つ以上接するように複数の第3固定ピン225を配置して磁石130をX方向とY方向に固定することができる。
【0061】
第1型210と第2型220に磁石130をZ方向に固定する断面の内、少なくとも1つまたは2つ全てに(断面の中央に)樹脂収容部224を形成し、外部から注入される樹脂の量が必要以上に多いとき、これを収容して磁石モジュール10の形状に異常がないようにすることができる。樹脂収容部224に進入した樹脂は、フレーム120を形成する部分と接続されず、分離されて磁石130の中央で固まるために、フレーム110の一部を形成せずに、第1型210と第2型220を分離する際に磁石120から離れる。
【0062】
また、
図8の磁石モジュール10では、磁石130が外部に露出されるので、磁石130がフレーム110から分離される可能性がある。これを防止するために、第1型210と第2型220で磁石130の角または端に対応する位置に陥没部(213、223)を設けると、これにより、射出されたフレーム110は、磁石130の角や端からZ方向に磁石120から遠ざかる方向に磁石130の表面より突出し、またXY方向に磁石130の角や端で磁石130の中に向かう方向に突出して磁石130がフレーム110から離脱することを防止することができる。
【0063】
一方、
図8の磁石モジュール10のベース120に金属板140が内蔵されるので、第1型210と第2型220には、金属板140の位置を固定し、ベース120に穴を形成するための部分が設けられる。
【0064】
第1型210と第2型220にそれぞれY方向に互いに向かって突出する突出部(211、221)をX方向に複数個設け、ベース120にX方向に複数個のベースホール121を形成することができる。第1型210と第2型220の突出部(211、221)の末端は、互いに接触しないようにするが、突出部(211、221)の末端が金属板140のY方向に位置を決定することができる。
【0065】
金属板140も突出(211、221)に対応する位置に金属板ホール141が形成され、ボルトをベースホール121と金属板ホール141を通過させて磁石モジュール10を固定子(または移動子)に固定させることができる。
【0066】
第2型220には、金属板支持部222がX方向に複数個が互いに離隔して形成されることがあるが、これにより、ベース120の内部でZ方向に金属板140の位置を決定することができる。また、金属板140をX方向に位置を決定するためにX方向に両側に支持部が形成されることもある。
【0067】
第1型210でベース120に該当する位置に磁石モジュール10の外観を形成する樹脂を注入するための注入部212が形成されることができる。
【0068】
このように磁石モジュール10のベース120に金属板140を内蔵させることでX方向に長さが長い磁石モジュール10がZ方向、すなわち磁石130の磁束が進行する方向に曲がることを防止することができる。
【0069】
また、磁石130をフレーム120の外部に露出させることで、磁石130と電機子間のギャップを最小化して磁束が外部に漏れを最小化することができる。
【0070】
以上、前述した本発明の好ましい実施形態は、例示の目的のために開示されたもので、当業者であれば、添付された特許請求の範囲に開示された本発明の技術的思想とその技術的範囲内で、様々な他の実施形態を改良、変更、代替または付加などが可能である。