(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】フレキシブルモジュール構造及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220929BHJP
G01B 7/16 20060101ALI20220929BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G09F9/30 308Z
G01B7/16 R
G09F9/00 302
G09F9/00 324
(21)【出願番号】P 2021540433
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 CN2019113462
(87)【国際公開番号】W WO2020215639
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】201910323557.1
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515179325
【氏名又は名称】昆山国顕光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN GO-VISIONOX OPTO-ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone Kunshan, Jiangsu, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】劉仁杰
(72)【発明者】
【氏名】陳玲艷
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107195253(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0060283(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0267574(US,A1)
【文献】特開2014-016616(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109584725(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106910842(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0118910(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B7/00-7/34
G01L1/00-1/26
25/00
G09F9/00-9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲可能部を備えるフレキシブルパネルと、
前記湾曲可能部の表面と合着する回転軸メカニズムと、
少なくとも部分的に前記湾曲可能部に設けられるひずみゲージ装置と、を備え、
前記回転軸メカニズムは、前記湾曲可能部の表面と合着する接触面を備え、
前記湾曲可能部に曲げ変形が発生するとき、前記ひずみゲージ装置は前記湾曲可能部の変形量を取得して前記回転軸メカニズムにフィードバックし、
前記回転軸メカニズムは前記変形量に応じて、前記回転軸メカニズムの中立面と前記接触面との間の距離を縮小
し、
前記回転軸メカニズムは互いに連結される駆動部と弾性部とを備え、前記駆動部は前記変形量に基づいて、曲げ変形により発生した引張応力と逆の方向を有する弾性力を発生させるように前記弾性部を調節し、前記弾性力が前記引張応力の一部又はすべてと相殺することによって、前記中立面は前記接触面に向けて移動する
ことを特徴とするフレキシブルモジュール構造。
【請求項2】
前記ひずみゲージ装置はひずみユニットと、前記ひずみユニットと電気的に接続される電圧収集ユニットと、を備え、
前記湾曲可能部に曲げ変形が発生するとき、前記電圧収集ユニットは電圧変化値を取得し、前記電圧変化値に基づいて前記ひずみユニットの抵抗変化値を取得し、前記抵抗変化値に基づいて前記変形量を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルモジュール構造。
【請求項3】
前記ひずみユニットは少なくとも4つの抵抗素子を備え、
前記4つの抵抗素子は少なくとも1つのひずみ抵抗素子を含み、
前記4つの抵抗素子は接続されてホイートストンブリッジ回路を構成し、
ホイートストンブリッジ回路は、互いに直列する第1のアームと第2のアーム、及び、互いに直列する第3のアームと第4のアーム、を備え、
前記電圧収集ユニットの両端はそれぞれ、前記第1のアームと前記第2のアームとの接続点、及び、前記第3のアームと前記第4のアームとの接続点に電気的に接続される
ことを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルモジュール構造。
【請求項4】
前記ひずみ抵抗素子の数は1つであり、1つの前記ひずみ抵抗素子は1ゲージ法によって配置される
ことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルモジュール構造。
【請求項5】
前記ひずみ抵抗素子の数は2つであり、2つの前記ひずみ抵抗素子は2ゲージ法によって配置され、
2つの前記ひずみ抵抗素子は、ホイートストンブリッジの互いに直列する2つのアームに設けられる、又は、
2つの前記ひずみ抵抗素子は対応するように、前記湾曲可能部の対向する2つの表面に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルモジュール構造。
【請求項6】
前記ひずみ抵抗素子の数は4つであり、4つの前記ひずみ抵抗素子は4ゲージ法によって配置され、
4つの前記ひずみ抵抗素子は2つずつ対応するように、前記湾曲可能部の対向する2つの表面に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルモジュール構造。
【請求項7】
前記フレキシブルパネルはフレキシブル表示パネルであり、前記フレキシブル表示パネルは画素ユニットを備え、
前記ひずみゲージ装置は前記画素ユニットの駆動回路と電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルモジュール構造。
【請求項8】
前記弾性部はねじりコイルばねである
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルモジュール構造。
【請求項9】
前記回転軸メカニズムは前記接触面と対応するように設けられるひずみ面を備え、
前記回転軸メカニズムは、前記ひずみ面から前記接触面へ延びる凹み部を備え、
前記凹み部は、前記湾曲可能部の曲げ軸方向に平行な溝である
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルモジュール構造。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載のフレキシブルモジュール構造と、
前記フレキシブルモジュール構造の上
方に配置される透光層と、を備える
ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年04月22日に出願された、発明の名称が「フレキシブルモジュール構造及び表示装置」であって出願番号が「201910323557.1」である中国特許出願を引用し、そのすべての内容を本願に組み込む。
【0002】
本発明の実施例はフレキシブル分野に関し、特にはフレキシブルモジュール構造及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
フォルダブル表示ディスプレイなどのフレキシブル技術の成長につれて、フレキシブルモジュールの応用がますます広くなってきている。フレキシブルモジュールとは、すなわち、ある程度の角度の曲げ変形が可能であり且つ曲げ変形しても元の状態に回復可能なモジュール構造である。
【0004】
しかしながら、従来のフレキシブルモジュール構造は一般に、積層された複数層の構造を含む。実際の適用場面において、フレキシブルモジュール構造は繰り返して曲げられるか又は巻かれる過程で、隣接する層の間で剥離が起こりやすく、ひいてはフレキシブルモジュール構造の一部が損壊して効果を失ってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は、曲げ変形の過程で隣接する層の間で剥離が発生する可能性を低下させることを目指して、フレキシブルモジュール構造及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の技術的課題を解決するために、本発明の実施例は、フレキシブルモジュール構造を提供する。当該フレキシブルモジュール構造は、湾曲可能部を有するフレキシブルパネルと、前記湾曲可能部の表面と合着する回転軸メカニズムと、少なくとも部分的に前記湾曲可能部に設けられるひずみゲージ装置と、を備える。前記回転軸メカニズムは、前記湾曲可能部の表面に合着する接触面を備える。前記湾曲可能部に曲げ変形が発生するとき、前記ひずみゲージ装置は前記湾曲可能部の変形量を取得し、前記回転軸メカニズムは前記変形量に基づいて、前記回転軸メカニズムの中立面と前記接触面との間の距離を縮小する。
【0007】
本発明の実施例は表示装置を更に提供する。当該表示装置は、前述したフレキシブルモジュール構造と、前記フレキシブルモジュール構造の上方に配置されるフィルムパッケージ層と、前記フィルムパッケージ層の上方に配置される透光層と、を備える。
【0008】
本発明の実施例に係るフレキシブルモジュール構造は、フレキシブルパネル、回転軸メカニズム及びひずみゲージ装置を備える。ここで、フレキシブルパネルは折り曲げ可能な湾曲可能部を備えており、回転軸メカニズムは湾曲可能部の表面に設けられ且つ接触面によって湾曲可能部の表面に合着し、ひずみゲージ装置は湾曲可能部上に設けられる。湾曲可能部に曲げ変形が発生するとき、回転軸メカニズムとひずみゲージ装置も連動して一緒に変形する。ひずみゲージ装置は湾曲可能部の変形量を取得し、当該変形量を回転軸メカニズムに送ることができる。回転軸メカニズムは変形量の大きさの値に基づいて、回転軸メカニズムの中立面と接触面との間の距離が予め設定された閾値以下になるように、自身の変形を調節する。回転軸メカニズムの変形過程中に回転軸メカニズムの中立面の長さは変化していないため、回転軸メカニズムの中立面では変形応力が発生しない。また、回転軸メカニズムの中では、中立面までの距離が小さい部分であるほど、より小さい変形応力を受ける。回転軸メカニズムを用いて前記回転軸メカニズムの中立面と前記接触面との間の距離を縮小することによって、接触面における変形応力が小さくなるようにし、ひいては回転軸メカニズムの中立面と接触面との間の距離を0まで縮小して接触面において変形応力が発生しないようにすることができ、したがって回転軸メカニズムがフレキシブルパネルに与える圧力を減少しひいては消去して、曲げ変形の過程中にフレキシブルパネルと回転軸メカニズムとの間で剥離現象が発生する可能性を低下させる目的を達成することができる。
【0009】
さらに、前記ひずみゲージ装置はひずみユニットと、前記ひずみユニットと電気的に接続される電圧収集ユニットと、を備える。前記湾曲可能部に曲げ変形が発生するとき、前記電圧収集ユニットは電圧変化値を取得し、前記電圧変化値に基づいて前記ひずみユニットの抵抗変化値を取得し、前記抵抗変化値に基づいて前記変形量を取得する。ひずみゲージ装置がひずみユニット及びひずみユニットと電気的に接続される電圧収集ユニットを備えるように設けることによって、ひずみユニットの抵抗がその形状の変化につれて変化する特徴を利用して湾曲可能部の変形量を取得することができ、構造的にも簡単である。
【0010】
さらに、4つの抵抗素子は接続されてホイートストンブリッジ回路を構成する。4つの抵抗素子を接続してホイートストンブリッジ回路を構築することは、接続関係が単純であり、ひずみ抵抗素子の変形により招来される、抵抗値が過大又は過小になってしまうことや回路中の電流が過小又は過大になってしまうことを防ぐことができるため、回路を保護するとともに、電圧収集ユニットにより収集される電圧変化量の正確度を向上させることができる。
【0011】
一部の実施例において、前記ひずみ抵抗素子の数は1つであり、1つの前記ひずみ抵抗素子は1ゲージ法によって配置される。ひずみ抵抗素子の数を1つにすることによって、コストを効果的に低減することができる。また、1つのひずみ抵抗素子を1ゲージ法によって配置すると、その接続関係が簡単であって、製作プロセスを効果的に簡潔化させることができる。
【0012】
一部の実施例において、前記ひずみ抵抗素子の数は2つであり、2つの前記ひずみ抵抗素子は2ゲージ法によって配置される。ひずみ抵抗素子の数を2つにすることによって、温度補償を効果的に行って測定結果の正確度を向上させることができる。また、2つのひずみ抵抗素子を2ゲージ法によって配置することによって、測定結果の正確度をより一層向上させることができる。
【0013】
一部の実施例において、前記ひずみ抵抗素子の数は4つであり、4つの前記ひずみ抵抗素子は4ゲージ法によって配置される。ひずみ抵抗素子の数を4つにすることによって、温度補償を効果的に行って測定結果の正確度を向上させることができる。また、4つのひずみ抵抗素子を4ゲージ法によって配置することによって、測定結果の正確度をより一層向上させることができる。
【0014】
さらに、前記フレキシブルパネルはフレキシブル表示パネルであり、前記フレキシブル表示パネルは画素ユニットを備え、前記ひずみゲージ装置と前記画素ユニットの駆動回路とは電気的に接続される。ひずみゲージ装置と画素ユニットの駆動回路とを電気的に接続することによって、フレキシブル表示パネル自身の回路構造を効果的に利用することができるため、ひずみゲージ装置のために電気供給回路を別途設置する必要がなく、フレキシブルモジュール構造を効果的に簡略化することができ、フレキシブルモジュール構造の製作コスト及び作業要求を低下させることができる。
【0015】
さらに、前記回転軸メカニズムは前記接触面と対応するように設けられるひずみ面を含み、前記回転軸メカニズムは前記ひずみ面から前記接触面へ延びる凹み部を備える。回転軸メカニズム上でひずみ面から接触面へ延びる凹み部を設けることによって、回転軸メカニズムに曲げ変形が発生するとき、凹み部はひずみ面における応力を効果的に減少させることができ、したがって中立面は接触面に向けて近づく。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係るフレキシブルモジュール構造の構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例に係るフレキシブルモジュール構造におけるひずみユニットの回路構造を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施例に係るフレキシブルモジュール構造におけるひずみ抵抗素子の1つの設置位置を示す模式図である。
【
図4】
図3によるフレキシブルモジュール構造の、ひずみ抵抗素子が追加された場合の構造模式図である。
【
図5】
図3によるフレキシブルモジュール構造の、ひずみ抵抗素子が追加された場合の構造模式図である。
【
図6】
図5によるフレキシブルモジュール構造の、ひずみ抵抗素子の位置が変更された場合の構造模式図である。
【
図7】
図5によるフレキシブルモジュール構造の、ひずみ抵抗素子が追加された場合の構造模式図である。
【
図8】
図7によるフレキシブルモジュール構造の、ひずみ抵抗素子の位置が変更された場合の構造模式図である。
【
図9】
図7によるフレキシブルモジュール構造の、ひずみ抵抗素子の位置が変更された場合の構造模式図である。
【
図10】本発明の実施例に係るフレキシブルモジュール構造における
回転軸メカニズムの断面を示す模式図である。
【
図11】本発明の実施例に係るフレキシブルモジュール構造の動作しくみを示すフローチャートである。
【
図12】本発明に係る表示装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術案及び長所をより明確にするために、以下、本発明の実施例による図面を参照しながら、本発明の各実施例に対して明確で完全に説明する。明らかに、ここで説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。当業者が本発明に係る実施例に基づいて創造的な労働をせずに得られる他の実施例は、すべて本発明の保護範囲に属するべきである。
【0018】
フレキシブルモジュール構造は、繰り返して曲げられるか巻かれると、隣接する層の間で剥離が発生して、フレキシブルモジュールが破壊してしまう、という課題を有する。
【0019】
以上の理由に鑑みて、本発明の実施例はフレキシブルモジュール構造及び表示装置を提供する。
図1に示すように、フレキシブルモジュール構造はフレキシブルパネル10、回転軸メカニズム20及びひずみゲージ装置30を備える。フレキシブルパネル10は折り曲げ可能な湾曲可能部11を備えており、回転軸メカニズム20は湾曲可能部11の表面と合着するように設けられており、ひずみゲージ装置30は少なくとも部分的に湾曲可能部11上に配置される。ここで、回転軸メカニズム20は湾曲可能部11の表面と合着する接触面21を備える。ひずみゲージ装置30は、
図1に示すように湾曲可能部11の内部に嵌設されてもよく、湾曲可能部11の表面に貼り付けられてもよく、一部が湾曲可能部11の内部に嵌設されて一部が湾曲可能部11の表面に貼り付けられてもよく、具体的には実際のニーズによって柔軟に配置されることができ、ここでは限定しない。湾曲可能部
11に曲げ変形が発生するとき、ひずみゲージ装置30は湾曲可能部11の変形量を取得して回転軸メカニズム20にフィードバックする。回転軸メカニズム20は変形量に基づいて自身の変形を調節して回転軸メカニズム20における中立面と接触面21との間の距離を縮小する。本実施例において、回転軸メカニズム20の中立面と接触面21との間の距離が小さくなるほど、回転軸メカニズム20から湾曲可能部11に与える圧力が小さくなる。さらに、本実施例において、回転軸メカニズム20の中立面と接触面21との間の距離が0になるとき、回転軸メカニズム20の中立面と接触面21とが重なり、すなわち接触面21は応力を受けなく、湾曲可能部11に与える圧力も発生しない。
【0020】
中立面とは、回転軸メカニズム20が湾曲可能部11と共に曲げ変形が発生するとき、曲げ方向に向く側の表面が縮まれて曲げ方向から離れる側の表面が引っ張られるが、引っ張りと縮みの間では長さが変化しない1つの面が存在し、それが中立面である。中立面の長さは変化していないため、回転軸メカニズム20が湾曲可能部11と共に曲げ変形が発生するとき、中立面は引っ張られてもなく縮まれてもなく、曲げ応力が発生しない。一方、回転軸メカニズム20の、中立面の両側にある部分においては、それぞれ引っ張りと縮みにより引張応力と圧縮応力が発生する。回転軸メカニズム20の中では、中立面までの距離が小さい部分であるほど、変形が小さく、したがって回転軸メカニズム20における当該部分において発生する引張応力/圧縮応力も小さい。
【0021】
本発明の実施例に係るフレキシブルモジュール構造は、フレキシブルパネル10の湾曲可能部11でひずみゲージ装置30が設けられるため、湾曲可能部11に変形が発生するとき、ひずみゲージ装置30が湾曲可能部11の変形量を取得し、回転軸メカニズム20が湾曲可能部11により取得された変形量に基づいて回転軸メカニズムを調節して、回転軸メカニズム20の中立面と接触面21との間の距離を縮小する。回転軸メカニズム20の中立面と接触面21との間の距離を小さくすることによって、回転軸メカニズム20の接触面21において発生する引張応力/圧縮応力が小さくなり、回転軸メカニズム20が湾曲可能部11に与える圧力も小さくなり、したがって回転軸メカニズム20からフレキシブルパネル10に与える圧力を減少ひいては消去することができ、曲げられるときにフレキシブルパネル10と回転軸メカニズム20との間で剥離現象が現れる可能性を低下させる目的を達成することができる。
【0022】
さらに、本実施例において、回転軸メカニズム20は互いに連結される駆動部22と弾性部23を備える。湾曲可能部11に曲げ変形が発生するとき、ひずみゲージ装置30は、湾曲可能部11の変形量を取得した後、取得した湾曲可能部11の変形量を駆動部22にフィードバックする。駆動部22は湾曲可能部11の変形量に基づいて弾性部23を調節して、回転軸メカニズム20の中立面と接触面21との間の距離を縮小する。例えば、回転軸メカニズム20が内側に向いて曲げられて回転軸メカニズム20の接触面21が引っ張られるとき、接触面21は回転軸メカニズム20の中立面の引っ張り側に位置し、原状に回復しようとする引張応力が発生する。このとき、弾性部23において引張応力と逆の方向を有する弾性力が発生するよう、駆動部22によって弾性部23を調節する。弾性部23で発生する弾性力は、回転軸メカニズム20の変形により発生した引張応力の一部又はすべてと相殺する。一部又はすべての引張応力が弾性部23による弾性力と相殺した場合、回転軸メカニズム20の中立面の両側で発生する引張応力と圧縮応力との間のバランスが崩れ、引張応力が圧縮応力より小さくなる。よって、圧縮応力の作用を受けて、回転軸メカニズム20の中立面は引っ張られる側に移動し、したがって回転軸メカニズム20の中立面と接触面21との間の距離が予め設定された閾値以下になる。
【0023】
本実施例において、駆動部22はモータであり、弾性部23はねじりコイルばねである。駆動部としてモータを採用し、弾性部としてねじりコイルばねを採用することは、コストが低い。
【0024】
本実施例において、ひずみゲージ装置30はひずみユニット31及びひずみユニット31と電気的に接続される電圧収集ユニット32を備える。ここで、ひずみユニット31の抵抗値はその形状の変化につれて変化する。湾曲可能部11に曲げ変形が発生するとき、電圧収集ユニット32は回路における電圧変化値を取得し、電圧変化値に基づいてひずみユニット31の抵抗変化値を取得し、抵抗変化値に基づいてひずみユニット31の変形量を取得し、さらにひずみユニット31の変形量に基づいて湾曲可能部11の変形量を取得する。ひずみゲージ装置30がひずみユニット31及びひずみユニット31と電気的に接続される電圧収集ユニット32を備えるように配置し、ひずみユニット31の抵抗がその形状の変化につれて変化する特徴を利用して湾曲可能部11の変形量を取得することは、構造的に簡単である。
【0025】
本実施例においては、
図2に示すよう、ひずみユニット31は少なくとも第1の抵抗素子311、第2の抵抗素子312、第3の抵抗素子313及び第4の抵抗素子314の4つの抵抗素子を備える。その中、第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312とが直列し、第3の抵抗素子313と第4の抵抗素子314とが直列し、したがってホイートストンブリッジ回路の中で互いに直列する第1のアームと第2のアーム、及び、互いに直列する第3のアームと第4のアームを形成する。電圧収集ユニット32の両端はそれぞれ、第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312の接続点、及び、第3の抵抗素子313と第4の抵抗素子314
の接続点、に電気的に接続する。4つの抵抗素子は少なくとも1つのひずみ抵抗素子を含み、第4の抵抗素子314をひずみ抵抗素子として配置する。以上は本実施例によるひずみユニット31の1つの具体的な構造例に過ぎず、本発明に対する限定にはならない。本発明の他の実施例においては、他の構造(例えば、他の原理に基づく変形センサーなど)によって湾曲可能部11の変形量を取得してもよく、ここでは詳しく列挙しない。
【0026】
本実施例において、第4の抵抗素子314はひずみゲージである。第4の抵抗素子314がひずみゲージであることは、本実施例による1つの具体的な構造例に過ぎず、本発明に対する限定にはならない。本発明の他の実施例において、第4の抵抗素子314は他の具体的な素子であってもよく、ここでは詳しく列挙しない。
【0027】
さらに、本実施例においては、第1の抵抗素子311、第2の抵抗素子312、第3の抵抗素子313及び第4の抵抗素子314が接続されてホイートストンブリッジ回路を構成する。第1の抵抗素子311、第2の抵抗素子312、第3の抵抗素子313及び第4の抵抗素子314を接続してホイートストンブリッジ回路を形成することは、接続関係が簡単であり、第4の抵抗素子314の変形により抵抗値が過大又は過小になってしまうことや回路中の電流が過小又は過大になってしまうことを防ぐことができ、回路を保護するとともに、電圧収集ユニット32により収集される電圧変化量の正確度を向上させることができる。
【0028】
以下、1つのひずみ抵抗素子(第4の抵抗素子314)のみを含む場合を例として、第4の抵抗素子314の変形量Lを求める過程について例示的に説明する。第1の抵抗素子311、第2の抵抗素子312、第3の抵抗素子313及び第4の抵抗素子314の抵抗値がそれぞれR1、R2、R3及びR4であり、電圧源EXの電圧がVEXであり、電圧収集ユニット32により収集される電圧値がV0であると仮定すると、ホイートストンブリッジ回路の原理によって、次式を得ることができる。
【0029】
【0030】
【0031】
湾曲可能部11に曲げ変形が発生した後、第4の抵抗素子314の変形量Lは次式に基づいて導出することができる。
【0032】
【0033】
さらに、第4の抵抗素子314の変形量と長さとの比例を求め、湾曲可能部11の長さと当該比例との積を求め、積から湾曲可能部11の長さを引くと、湾曲可能部11の変形量Δlを得ることができる。回転軸メカニズムの厚さtに基づいて、回転軸メカニズムが調節する必要がある変形量ΔLを次式によって算出することができる。
【0034】
【0035】
第1の抵抗素子311、第2の抵抗素子312、第3の抵抗素子313及び第4の抵抗素子314が接続されてホイートストンブリッジ回路を構成することは、本実施例による第1の抵抗素子311、第2の抵抗素子312、第3の抵抗素子313及び第4の抵抗素子314の1つの具体的な電気的接続の構造例に過ぎず、本発明に対する限定にはならない。本発明の他の実施例においては、他の回路接続構造を採用してもよく、ここでは詳しく列挙しない。
【0036】
本実施例において、ひずみ抵抗素子の数は1つである。
図3に示すよう、第1の抵抗素子311をひずみ抵抗素子にすることを例として、ひずみ抵抗素子311は1ゲージ法によって配置される。ひずみ抵抗素子の数を1つにすることによって、コストを効果的に低減することができる。また、1つのひずみ抵抗素子を1ゲージ法によって配置することは、接続関係が簡単であり、製作プロセスを効果的に簡潔化させることができる。
【0037】
図4に示すよう、本実施例においては、ひずみ抵抗素子の抵抗値に対する温度による影響をなくすために、フレキシブルパネル10上で同じ規格を有するひずみ抵抗素子40を対照として設けることができる。よって、温度がひずみ抵抗素子の抵抗値に対して与える影響を消去して、湾曲可能部11の変形量の測定精度を向上させる。
【0038】
さらに、本実施例において、フレキシブルパネル10はフレキシブル表示パネルであり、フレキシブル表示パネル10は画素ユニットを備え、ひずみゲージ装置30と画素ユニットの駆動回路とが電気的に接続される。フレキシブルパネル10がフレキシブル表示パネルであるとき、ひずみゲージ装置30と画素ユニットの駆動回路とが電気的に接続されるように配置すると、フレキシブル表示パネル自身の画素駆動回路を用いてひずみゲージ装置30に電気を供給することができ、したがってひずみゲージ装置30のために電気供給回路を別途設ける必要がなく、フレキシブルモジュール構造100を効果的に簡単化させて、フレキシブルモジュール構造の製作コスト及び作業要求を低下させることができる。
【0039】
本発明の実施例は1つのフレキシブルモジュール構造を更に提供する。ここで、ひずみユニット31は第1の抵抗素子311及び第2の抵抗素子312などの2つのひずみ抵抗素子を備える。
【0040】
図5に示すよう、2つのひずみ抵抗素子がそれぞれ第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312であると設定する。ここで、第1の抵抗素子311及び第2の抵抗素子312は2ゲージ法によって配置される。第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312とは同じ平面の中に設けられる。
【0041】
さらに、
図6に示すよう、第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312とは、2つの平面において対応するように設けられる。第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子
312とは、同じ平面に設けられてもよく、2つの平面において対応するように設けられてもよく、いずれにしても湾曲可能部11の変形量を測定する技術的効果を達成することができ、具体的には実際のニーズによって柔軟に選択することができる。
【0042】
第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312は、ホイートストンブリッジの互いに直列する2つのアーム上に設けられる。本実施例において、第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312がホイートストンブリッジの互いに直列する2つのアーム上に設けられることは、1つの具体的な応用例に過ぎず、本発明に対する限定にはならない。本発明の他の実施例においては、他の配置方式を採用してもよく、例えば、第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312をホイートストンブリッジの互いに並列する2つのアーム上に設けてもよく、ここでは詳しく列挙しない。
【0043】
実施例におけるひずみゲージ装置の配置方式のみを変更したため、変更されていない他の部分に対しては、本実施例は同じ技術的効果を有しており、ここでは説明を省略する。また、第1の抵抗素子311及び第2の抵抗素子312などの2つのひずみ抵抗素子を設けることによって、対照を実現して、温度補償を効果的に行い、測定結果の正確度を向上させることができる。さらに、第1の抵抗素子311及び第2の抵抗素子312を2ゲージ法によって配置することによって、測定結果の正確度をより一層向上させることができる。
【0044】
本発明の実施例は1つのフレキシブルモジュール構造を更に提供する。ここで、第1の抵抗素子311、第2の抵抗素子312、第3の抵抗素子313及び第4の抵抗素子314はいずれもひずみ抵抗素子である。
【0045】
4つのひずみ抵抗素子は4ゲージ法によって配置される。
【0046】
第1の抵抗素子311、第2の抵抗素子312、第3の抵抗素子313及び第4の抵抗素子314は、2つずつ対応するように配置される。
【0047】
図7に示すよう、第1の抵抗素子311と第3の抵抗素子313とは同じ平面の中に配置され、且つ第1の抵抗素子311と
第3の抵抗素子313とは延在方向が同一である。第2の抵抗素子312と第4の抵抗素子314とは同じ平面の中に配置され、且つ第2の抵抗素子312と第4の抵抗素子314とは延在方向が同一である。第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312とが対応するように配置され、第3の抵抗素子313と第4の抵抗素子314とが対応するように配置される。
【0048】
又は、
図8に示すよう、第1の抵抗素子311と第4の抵抗素子314とが同じ平面の中に配置され、且つ第1の抵抗素子311と第4の抵抗素子314とは延在方向が相違し、第2の抵抗素子312と第3の抵抗素子313とが同じ平面の中に配置され、且つ第2の抵抗素子312と第3の抵抗素子313とは延在方向が相違する。第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312とが対応するように配置され、第3の抵抗素子313と第4の抵抗素子314とが対応するように配置される。
【0049】
又は、
図9に示すよう、第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312とが同じ平面の中に配置され、且つ第1の抵抗素子311と第2の抵抗素子312とは延在方向が相違し、第3の抵抗素子313と第4の抵抗素子314とが同じ平面の中に配置され、且つ第3の抵抗素子313と第4の抵抗素子314とは延在方向が相違する。第1の抵抗素子311と第3の抵抗素子313とが対応するように配置され、第2の抵抗素子312と第4の抵抗素子314とが対応するように配置される。
【0050】
第1の抵抗素子311、第2の抵抗素子312、第3の抵抗素子313及び第4の抵抗素子314が2つずつ対応するように配置されることは、本実施例の1つの具体的な適用例に過ぎず、本発明に対する限定にはならない。本発明の他の実施例においては、他の配置方式を採用してもよく、ここでは詳しく列挙しない。
【0051】
実施例におけるひずみゲージ装置の配置方式のみを変更したため、変更されていない他の部分に対しては、本実施例は同じ技術的効果を有しており、ここでは説明を省略する。また、本実施例においては、4つのひずみ抵抗素子を設けることによって、対照を実現して、温度補償を効果的に行い、測定結果の正確度を向上させることができる。さらに、4つのひずみ抵抗素子を4ゲージ法によって配置することによって、前述の実施例に係る1ゲージ法による配置と2ゲージ法による配置に比べて、測定結果の正確度をより一層向上させることができる。
【0052】
以下、表1を参照しながら、上述の実施例に係るひずみゲージ装置30のブリッジ接続方法の性質について説明する。当業者は実際のニーズによって柔軟に採用することができる。各ブリッジ接続方法の性質は以下の表に示す通りであり、ここで、Yは該当性質を具備することを意味しており、Nは該当性質を具備しないことを意味する。
【0053】
【0054】
表1に示すよう、
図3によるブリッジ接続方法は、軸方向ひずみ及び曲げひずみを有し、装着位置が1つのアームでの装着であり、配線数が2本又は3本である。
図4によるブリッジ接続方法は、軸方向ひずみ及び曲げひずみを有し、温度補償が可能であり、装着位置が1つのアームでの装着であり、配線数が3本である。
図5によるブリッジ接続方法は、軸方向ひずみ及び曲げひずみを有し、温度補償及び横感度補償が可能であり、装着位置が1つのアームでの装着であり、配線数が3本である。
図6によるブリッジ接続方法は、曲げひずみを有し、温度補償が可能であり、装着位置が対辺にあるアームでの装着であり、配線数が3本である。
図7によるブリッジ接続方法は、曲げひずみを有し、温度補償が可能であり、装着位置が対辺にあるアームでの装着であり、配線数が4本である。
図8によるブリッジ接続方法は、曲げひずみを有し、温度補償及び横感度補償が可能であり、装着位置が対辺にあるアームでの装着であり、配線数が4本である。
図9によるブリッジ接続方法は、軸方向ひずみを有し、温度補償及び横感度補償が可能であり、装着位置が対辺にあるアームでの装着であり、配線数が4本である。
【0055】
本発明の実施例は1つのフレキシブルモジュール構造を開示する。
図10に示すよう、回転軸メカニズム20は接触面21と対応するように設けられるひずみ面24を備え、回転軸メカニズム20はひずみ面24から接触面21へ延びる凹み部25を備える。
【0056】
凹み部25の形状は矩形や錐形などの任意の形状を有することができ、ここでは詳しく列挙しない。
【0057】
さらに、本実施例において、凹み部25は湾曲可能部11の曲げ軸方向に平行する溝である。なお、曲げ軸方向とは、湾曲可能部に曲げが発生するときの曲げ軸の延在方向である。
【0058】
実施例のすべての技術的効果を持つとともに、回転軸メカニズム20上でひずみ面24から接触面21へ延びる凹み部25を設けることによって、回転軸メカニズム20に曲げ変形が発生するとき、凹み部25はひずみ面24における応力を効果的に低減することができ、したがって回転軸メカニズム20の中立面は接触面21に近づく。
【0059】
以下、本発明の実施例に係るフレキシブルモジュール構造の動作しくみについて説明する。以下は本発明の実施例に係るフレキシブルモジュール構造における各部品の詳しい動作しくみのプロセスに対する説明に過ぎず、本発明に対する限定にはならない。具体的なステップは
図11に示すように、以下のステップを含む。
【0060】
ステップS101:ひずみゲージ装置30が湾曲可能部11の変形量を収集する。
【0061】
ひずみゲージ装置30が湾曲可能部11の変形量を収集することにあたる具体的な実施形態については、すでに実施例において詳しく説明したため、ここでは説明を省略する。
【0062】
ステップS102:ひずみゲージ装置30が、収集した湾曲可能部11の変形量を駆動部22に送信する。
【0063】
ステップS103:駆動部22が、回転軸メカニズム20の中立面と接触面21との間の距離が予め設定された閾値より小さくなるように、受信した湾曲可能部11の変形量に基づいて弾性部23を調節する。
【0064】
駆動部22が回転軸メカニズム20の中立面と接触面21との間の距離が予め設定された閾値より小さくなるように受信した湾曲可能部11の変形量に基づいて弾性部23を調節することに当たる具体的な実施形態については、すでに実施例において詳しく説明したため、ここでは説明を省略する。
【0065】
本発明の実施例は表示装置を開示する。
図12に示すよう、当該表示装置は、以上で開示したフレキシブルモジュール構造100と、フレキシブルモジュール構造100の上方に配置されるフィルムパッケージ層200と、フィルムパッケージ層200の上方に配置される透光層300と、を備える。
【0066】
さらに、フィルムパッケージ層200の上方において偏光板400を配置することができる。
【0067】
以上で説明した各実施例は本発明を実現するための具体的な実施例であるが、実際に適用する際には、本発明の思想と保護範囲を逸脱しない前提で、形式的に又は細部に対して様々な変更を行うことが可能であり、例えば、2つ又は複数の実施例を融合するなどの方式を採用することができることを、当業者であれば理解できるべきである。