(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】カウル取り付け器具
(51)【国際特許分類】
B62J 17/02 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B62J17/02
(21)【出願番号】P 2022034001
(22)【出願日】2022-03-06
【審査請求日】2022-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】722002247
【氏名又は名称】緒方 理惠
(72)【発明者】
【氏名】緒方 大洋
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-72687(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0005352(KR,A)
【文献】国際公開第2020/129978(WO,A1)
【文献】特開昭53-87443(JP,A)
【文献】特開2011-195000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/02
B62J 17/08
B62J 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、または三輪自転車の車体前方を覆うフロントカウルを、
自転車または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車に取り付けるカウル取り付け器具において、
カウル取り付け器具を
自転車または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車のヘッドチューブに固定するための台座と、
台座を
自転車または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車のヘッドチューブに締結するための台座用固定手段と、
フロントカウルを台座に取り付けるための突出部と、
突出部とフロントカウルを結合する締結手段と、
トップチューブまたはダウンチューブを両サイドから挟んで台座の取り付け方向を
自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、または三輪自転車の進行方向に拘束する回転止めと、を備えたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【請求項2】
請求項1のカウル取り付け器具において、
前記回転止めを
トップチューブまたはダウンチューブに、さらに締結するための回転止め用固定手段と、
さらに、回転止めに形成した回転止め用固定手段を通すための貫通した通し穴と、
を備えたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【請求項3】
請求項1ないし請求項2のいずれかのカウル取り付け器具において、
前記突出部は多角柱の形状に形成され、
さらに、台座に形成した
自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、または三輪自転車のヘッドチューブに締結するための前記台座用固定手段を通すための突出部付け根部に貫通する穴、を設けたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかのカウル取り付け器具において、
前記カウル取り付け器具の台座と
自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、または三輪自転車のヘッドチューブの間に介在する台座取り付け調整手段と、を備えたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかのカウル取り付け器具において、
前記回転止めと
自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、または三輪車の
トップチューブまたはダウンチューブの間に介在する左右取り付け調整手段と、を備えたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかのカウル取り付け器具において、
前記カウル取り付け器具の前記突出部には先端を適度に細くする勾配を設け、
フロントカウルと突出部の間に介在しフロントカウルの取り付け位置を
自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、または三輪自転車の進行方向に向かって前後方向に調整するための前後調整手段と、を備えたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかのカウル取り付け器具において、
前記カウル取り付け器具の台座と分離して別ピースとした
右の回転止め及び
左の回転止めと、を備えたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【請求項8】
請求項7のカウル取り付け器具において、
前記
右の回転止め及び
左の回転止めと突出部を締結するための固定部材と、
固定部材を通すため
前記右の回転止め及び
左の回転止めに形成された貫通した通し穴と、
さらに、
前記右の回転止め及び
左の回転止めと突出部の間に介在し、
前記右の回転止め及び
左の回転止めと突出部の接続位置が外力により変化することを防止する滑り止めと、を備えたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【請求項9】
請求項7ないし請求項8のいずれかのカウル取り付け器具において、
前記
右の回転止め及び
左の回転止めをカウル取り付け器具の台座に嵌め込むため台座に形成された軸と、
前記右の回転止め及び
左の回転止めを台座に形成された軸に嵌め込むため、
前記右の回転止め及び
左の回転止めに形成された穴と、を備えたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【請求項10】
請求項9のカウル取り付け器具において、
前記右の回転止め及び
左の回転止めが、前述のカウル取り付け器具の台座に形成された軸から脱落することを防止するため、軸の端部に施工された抜け止めと、
前記右の回転止め及び
左の回転止めと台座に形成された軸の脱着を容易にするため、軸の端部に施工された割り溝と、
前記右の回転止め及び
左の回転止めと台座に形成された軸を容易に脱着するため、軸の抜け止めの両側に施工された面取りと、
前記右の回転止め及び
左の回転止めと台座に形成された軸を容易に脱着するため、
前記右の回転止め及び
左の回転止めに施工された前述の穴の端部のフィレットと、を備えたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかのカウル取り付け器具に取り付けられるフロントカウルにおいて、フロントカウル本体とフロントカウル後方に形成された前後方向に伸びる嵌合穴と、を備え、嵌合穴が前記突出部の外周形状に一致するよう形成されていることを特徴とするフロントカウル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)の車体前方を覆うフロントカウル(フロントフェアリングとも言う)を自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)の車体に取り付けるためのカウル取り付け器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
競技用の自動二転車では、走行する際の空気の流れによる抵抗が速度の上昇に伴って増加するため、その抵抗を軽減する目的で車体の前方にフロントカウルを取り付けている。自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪車)においてもフロントカウルを車体の前方に設置することで、速度を上げて走行をする際は空気抵抗が低減し楽に走行することができる。しかしながら、市販の自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪車)に容易に取り付け可能なフロントカウルと取り付け器具は提供されていなかった。
【0003】
自動二輪車のハンドル取り付け用のフロントカウルは市販されているが、自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪車)への取り付けは考慮されていないため、取り付け金具を自作する必要があり、その製作と取り付けは容易ではない。
【0004】
先行特許文献1は、自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪車)のハンドルに風防を金具で固定し取り付ける方法について記述したものである。
【0005】
本体フレームに取り付ける自動二輪車用のカウル取り付け金具としては、特許文献2が開示されている。この取り付け金具は、カウル支持部材を自動二輪車のヘッドパイプにUボルト2か所で固定する固定部材と、固定部材にフロントカウルの高さ方向位置を無段階調整するスライド式のカウル高さ調整手段を有し、カウルの取り付け角度の調整手段にはヒンジ構造を有するカウル支持部材が設置されており、自動二輪車に対するフロントカウルの前後方向位置の調整はスライド可能な入れ子構造による無段階調整のカウル前後調整手段、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】公開実用 昭和53-74854号
【文献】実用新案第3231177号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動二輪車用のフロントカウルと取り付け金具は、自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪車)に取り付けることを考慮しておらず、車体の機能が異なることから取り付けが困難であった。
【0008】
フロントカウルに作用する横風と走行中の振動による外力は、フロントカウルの取り付け器具に作用し、器具のねじ締結部に摩擦力以上の力が作用するとフロントカウルの取り付け位置と方向が変化する可能性があるため、これを極力防止することが望ましい。
【0009】
自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪車)のフレームは軽量化のため薄肉のアルミ合金や炭素繊維強化プラスチック等が使用されているため、強度上の制約からフロントカウル取り付け器具とフレームのボルトの締め付け力は制限を受け、フレームに器具装着による傷が発生するとフレームの強度に影響がでる可能性もある。
【0010】
風向きや強さによって、一人でフロントカウルの微妙な位置調整が可能で、強風や自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪車)を輸送する時などはフロントカウルを簡単に取り外し、再度使用する際は取り付け位置と角度の調整をせず短時間で取り付けできる、構成要素が簡素で締結個所が少ない構造が望ましい。
【0011】
ハンドルにフロントカウルを金具で取り付けた場合は、フロントカウルに強風を受けた際にその外力がハンドルに直接作用するため、ハンドル操作が不安定になる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、自転車(電動アシスト自転車、電動自転車、3輪自転車を含む)において、フロントカウルを車体の前方に設置することで、向かい風の中や速度を上げて走行をする際に空気抵抗を低減し楽に走行できるように、市販の自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)本体のフレームにフロントカウルを容易に取り付け可能で、自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)の構造に適した器具が必要との知見に基づき、発明したものである。
【0013】
前記目的を達成するため、本発明はフロントカウルの取り付け器具の台座を自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)のヘッドチューブに取り付け、台座用固定手段で締結する。台座にはフロントカウルを取り付ける突出部と、突出部とフロントカウルを結合する締結手段と、トップチューブまたはダウンチューブ(及びトップチューブ及びダウンチューブを含む)を両サイドから挟み、カウル取り付け器具の向きを自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)の進行方向に拘束する回転止めと、を備えているため容易に脱着が可能で、横風によるフロントカウルへの外力や振動等が作用してもフロントカウルの進行方向に対する左右方向の取り付け角度の変化を防止し、外力も直接ハンドルに作用しないので操縦性への影響も低減できる。
【0014】
前述のフロントカウル取り付け器具を更に強固に固定する場合は、両サイドの回転止めとトップチューブまたはダウンチューブ(及びトップチューブ及びダウンチューブを含む)を回転止め用固定手段で締結する。両サイドの回転止めには回転止め用固定手段を通すため貫通した通し穴を備え、振動等の外力により回転止め用固定手段と回転止めの位置関係が変化することを防止している。
【0015】
フロントカウルを取り付ける台座の突出部は、例えば多角柱の形状を備えることで外力によりフロントカウルが突出部を軸の中心として回転し取り付け角度が変化することを防止できる。多角柱の突出部の付け根には複数個の貫通穴を備えており、台座用固定手段は貫通穴を通して台座と自転車のヘッドチューブと固定することにより、外力による台座と台座用固定手段の位置関係の変化を防止している。複数個の貫通穴の選択により台座の取り付け位置をヘッドチューブの上側または下側に調整できる。
【0016】
カウル取り付け器具の台座を自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)のパイプ形状のヘッドチューブに密着して取り付けるため、台座の取り付け側は例えば半筒状やV時形の形態とすることもできるが、自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)のヘッドチューブの外径や形状は各々微妙に異なる場合があるので、台座とヘッドチューブの間には例えば弾力性があり適切な形状及び厚さ寸法の台座取り付け調整手段を介して取り付け、台座用固定手段で締結する。弾力性があり各々に適した形状及び厚さ寸法の台座取り付け調整手段を使い分けることで、1種類の台座で多様な市販自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)に装着が可能となる。
【0017】
自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)のトップチューブまたはダウンチューブ(及びトップチューブ及びダウンチューブを含む)は各々外形、寸法が異なるので、カウル取り付け器具の向きを自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)の進行方向に拘束する回転止めとトップチューブ(またはダウンチューブ)の間には、トップチューブまたはダウンチューブ(及びトップチューブ及びダウンチューブを含む)の形状に適合した左右取り付け調整手段を挿入することで回転止めとトップチューブまたはダウンチューブ(及びトップチューブ及びダウンチューブを含む)を密着して固定することができる。
【0018】
カウル取り付け器具には、フロントカウルの進行方向に対する前後の位置を調整するため、例えば多角柱の突出部とフロントカウルの例えば多角形の嵌合穴の間に介在する前後調整手段を備える。前後調整手段は、内側の形状は突出部と一致した形状と、外側はフロントカウルの多角形の嵌合穴に一致した形状と、を備え、前後調整手段の外形寸法及び厚さ寸法によって、フロントカウルの進行方向に対する前後の位置を任意に調整できる。
【0019】
フロントカウルと台座の突出部との締結手段としては、フロントカウルの例えば多角形の嵌合穴の外周の上下方向を貫通した複数個のボルト穴と、例えば多角柱の突出部の外周の上下方向を貫通した複数個のボルト穴と、例えば前後調整手段の外周の上下方向を貫通した複数個のボルト穴と、を備え、このボルト穴を使用して複数個のボルト部材とナット部材で締結することもできる。フロントカウルの多角形の嵌合穴の外周の上下方向を貫通した複数個のボルト穴と、多角柱の突出部の外周の上下方向を貫通した複数個のボルト穴のいずれかは、位置が一致しなくても締結できるよう例えば長穴にすることもできる。フロントカウルの例えば多角形の嵌合穴の外周の上部のみ貫通した複数個のボルト穴と、前後調整手段の外周の上部のみ貫通した複数個のボルト穴と、例えば多角柱の突出部の外周の上部のみ貫通した複数個のねじ穴と、を施工し、複数個のボルト部材で締結することもできる。
【0020】
フロントカウル取り付け器具の回転止めを台座部から分割して別ピースとし、台座側に支点となる軸と、回転止めには軸を取り付ける穴と、を備えることで回転止めが可動式となり、ヘッドチューブとトップチューブまたはダウンチューブ(及びトップチューブ及びダウンチューブを含む)の結合角度が大きく異なる自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)に対しても、回転止めの取り付け角度を調整し、突出部をトップチューブまたはダウンチューブ(及びトップチューブ及びダウンチューブを含む)に取り付け固定することができる。
【0021】
回転止めと突出部は回転止め用固定手段で締結し、回転止めと突出部との間には滑り止めと、回転止めには突出部と締結するための回転止め用固定手段の通る穴と、を備え、運転中振動等による外力で回転止めと突出部の固定位置が変化することを防止している。
【0022】
回転止めを取り付ける軸には、回転止めの脱落防止の抜け止めと、脱着を容易にするために軸には割り溝と、抜け止めの両側の勾配と、回転止めの穴のフィレットと、を備え、回転止めの脱着が容易で、分解時に台座から回転止めが脱落することを防止している。
【0023】
フロントカウルの左右方向の角度を微調整する手段として、回転止めとトップチューブまたはダウンチューブ(及びトップチューブ及びダウンチューブを含む)の両サイドの間に、例えば左右で厚さ寸法の異なる左右取り付け調整手段を挿入することで、フロントカウルの進行方向に対する左右方向の角度を調整することができる。
【0024】
フロントカウルの上下方向の角度を調整する手段として、前述のフロントカウル 取り付け器具の台座とヘッドチューブの間に、例えば上下で厚さ寸法の異なる台座取り付け調整手段を挿入することで、フロントカウルの進行方向に対する上下方向の角度を調整することができる。
【0025】
カウル取り付け器具に取り付けられるフロントカウルにおいて、フロントカウル本体とフロントカウル後方に形成された前後方向に伸びる嵌合穴と、を備え、嵌合穴が前記突出部の外周形状に一致するよう形成されているため、カウル取り付け器具は前記突出部に脱着することが容易で、外力が作用しても位置が変化しにくい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるカウル取り付け器具を使用することで、市販の自転車(電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車を含む)に、特殊な治具を製作することなく、短時間で容易にフロントカウルの脱着と取り付け位置の調整が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施の形態のカウル取り付け器具の分解図
【
図2】フロントカウルを取り付け時の自転車の一例を示した斜視図
【
図3】カウル取り付け器具の取り付け状態を上方から見た詳細図
【
図4】カウル取り付け器具の取り付け部を側方から見た詳細断面図
【
図6】本発明の第2の実施の形態のカウル取り付け器具の分解図
【
図8】台座の軸と回転止めの取り付け穴の詳細断面図
【
図10】本発明の第3の実施の形態のカウル取り付け器具の分解図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下添付図面に従って、本発明にかかるカウル取り付け器具の実施の形態について記述する。本発明のカウル取り付け器具は、自転車16の前方を覆うフロントカウル3を、市販の自転車16(電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車を含む)に、短時間で容易に脱着及び調整ができるようにしたものである。
図1は第1の実施の形態のカウル取り付け器具の構造を分かり易く示した分解図である。
図2は、第1の実施の形態の取り付けカウル器具と、フロントカウル3を自転車16(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)に取り付けた場合の一例を簡易的に示した全体の斜視図である。
図3は、第1の実施の形態のカウル取り付け器具の取り付け状態を上方から見た図である。
図4は、第1の実施の形態のカウル取り付け器具の取り付け状態を側方から見た断面と詳細を示す図である。
図5は、カウル取り付け器具に適合したフロントカウル3を説明するための斜視図である。
図6は、第2の実施の形態のカウル取り付け器具の構造を分かり易く示した分解図である。
図7は、第2の実施の形態のカウル取り付け器具と回転止め5A及び5Bの取り付けの部の詳細を示した分解図である。
図8は、第2の実施の形態のカウル取り付け器具の台座1Aの軸32と、回転止め5A及び5Bの穴31の、脱着する前後の詳細を示した断面図である。
図9は、第2の実施の形態のカウル取り付け器具の台座1Aの軸32に、回転止め5A及び5Bを取り付け、上方から見た図である。
図10は、第3の実施の形態のカウル取り付け器具の分解図である。
【0029】
[自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)]
カウル取り付け器具を説明する前に、
図2の自転車16の斜視図について説明する。
図2の自転車16は、主として車体のフレームの前部のヘッドチューブ2と、ヘッドチューブ2の上部とシートチューブ17の上部の間に介在し結合されているトップチューブ6と、ヘッドチューブ2の下部とシートチューブ17の下部の間に介在し結合されているダウンチューブ7と、サドルの下部に配置され上部をトップチューブ6と下部をダウンチューブと結合されているシートチューブ17と、ダウンチューブ7とシートチューブ17の接合部から後輪19の中心に備えられた車軸を支持するために配置されたチェーンステー20と、シートチューブ17の上部接合部から後輪の中心に備えられた車軸を支持するために配置されたシートステー21と、ヘッドチューブの上方に配置されたハンドル22と、ヘッドチューブの下方に配置されたホーク23と、車軸をホークの先端に締結した前輪と、車軸をチェーンステーとシートステーの先端の接合部に締結した後輪と、で構成されている。車体のフレームは、薄肉で軽量なアルミ合金パイプや高張力合金鋼パイプ、チタン合金パイプ、炭素繊維強化プラスチック等で製作されている。
図1、2、及び4では、カウル取り付け器具の説明を容易にするため、自転車のハンドルは簡略化し、ブレーキ装置、変速装置、クランク、チェーン、電動アシスト自転車及び電動自転車の駆動部等を省略した形態で示している。
【0030】
[フロントカウル]
図5のフロントカウル3について説明する。本フロントカウル3は、円柱または多角柱の突出部8に結合するため、前後方向に伸びた突出部8と一致する形状及び寸法の円筒または多角形の嵌合穴28と、円柱または多角形の突出部8に勾配44が形成されている場合は嵌合穴28にも同一の勾配と、突出部8に取り付ける締結手段として円筒または多角形の嵌合穴28の上下を貫通した複数個のボルト穴27と、を備える。突出部8の上部に複数個のねじ穴13A(
図10)を施工している場合、複数個のボルト穴27A(
図10)は嵌合穴28の上部のみ貫通とし長穴の形態を備え、複数個のボルト部材14A(
図10)のみで締結することもできる。
図5の嵌合穴28は例えば四角形の嵌合穴の形態と、例えば突出部8と一致した勾配44と、嵌合穴28の上下を貫通した複数個のボルト穴27と、を備えた形態を作図したものである。フロントカウル3の材質としては、軽量で必要な強度を備えたものであれば使用可能であり、一般にABS樹脂、繊維強化プラスチック等が採用される。
図5は、運転者の前方の視界を確保するためポリカーボネイト等の透明な風防29と、フロントカウル3と多角形の嵌合穴28には風圧や振動による外力による変形や破損を防止するためのリブ30と、を備える。
図5では透明な風防29をフロントカウル3に例えば小ネジ8本で締結しているが、フロントカウルを透明な素材で製作した場合は風防29とフロントカウル3は一体の形態として製作することもできる。
【0031】
[本発明の第1の実施の形態のカウル取り付け器具]
以下、
図1,2,3に従って説明する。本発明の第一の実施の形態のカウル取り付け器具は、主として自転車16(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)のヘッドチューブ2に取り付ける台座1と、台座1とヘッドチューブ2の間に介在する台座取り付け調整手段9と、台座1をヘッドチューブ2に締結する台座用固定手段4と、台座1と一体の形態でトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)を両サイドから挟んで拘束する回転止め5と、回転止め5とトップチューブ6またはダウンチューブ7または両方)の間に介在する左右取り付け調整手段10と、回転止め5とトップチューブまたはダウンチューブ(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)を締結する回転止め用固定手段12と、台座1の前方にフロントカウルを取り付ける突出部8と、突出部8とフロントカウル3の間に介在する前後調整手段11と、突出部8とフロントカウル3を結合する締結手段と、を備えて構成される。突出部8とフロントカウル3の締結手段として、突出部8の例えばボルト穴13と、フロントカウル3の例えばボルト穴27と、例えばボルト部材14と、例えばナット部材15と、を備える。
【0032】
[台座1]
図1に従って以下説明を記述する。台座1は、トップチューブ2またはダウンチューブ(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)を挟んで取り付ける回転止め5と、フロントカウル3を取り付ける突出部8と、一体の形態を備える。台座1のヘッドチューブ2に取り付ける部分は、ヘッドチューブ2の外径よりも大きな内径を持つ例えば半円筒状またはV字型の形状とすることもできるが、多様な形態のヘッドチューブ2に一致させるため台座取り付け調整手段9を介してヘッドチューブ2に取り付け、台座用固定手段4を使用して締結する。台座1の材質としては、軽量で必要な強度を備えたものであれば使用可能であり、一般にナイロン樹脂、繊維強化プラスチック、アルミ合金などが採用される。
【0033】
[回転止め5]
回転止め5は、台座1及び突出部8と一体の形態を備え、トップチューブ6(またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)を挟んで取り付ける。挟んで取り付けることにより、台座1及び台座1と一体の突出部8及び突出部8に取り付けるフロントカウル3を、容易に自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)の進行方向に取り付けることができる。市販の自転車(電動アシスト自転車、電動自転車を含む)のトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)の形状は、楕円や3角形の断面形状を備えたものや、円柱形状の場合も外径寸法の異なる場合があるため、回転止め5のトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)との取り付け面は平面の形状を備え、両側の回転止め5の間隔はトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)の外形寸法より広い寸法(例えば45~65mm)で製作し、回転止め5とトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)の間の隙間には、適切な厚さ寸法、形状を備えた左右取り付け調整手段10を挿入し使用する。
【0034】
[突出部8]
突出部8は、円柱または多角柱(3~9角柱)の形状と、円柱または多角柱の先端が細くなる形態の適切な勾配と、突出部8とフロントカウル3の締結手段として突出部に施工された複数個のボルト穴13と、突出部8の付け根に貫通した1か所または複数個所(2~5)の通し穴36と、を備える。
図1,2、4の突出部は多角柱の形態で作図したものである。突出部8が多角柱の形態を備えた場合は、外力によりフロントカウルが突出部8を軸として回転方向に位置が変化することを容易に防止できる。円柱または多角柱の先端が細くなる適切な勾配の形態を備えることで、フロントカウルを突出部に取り付けた際、突出部との取り付け部の隙間をなくし強固に固定することができる。突出部の多角柱が偶数(4、6、8角柱等)の角柱の場合、貫通したボルト穴13は上下とも平面に施工できるので、形態として好ましい。
【0035】
[突出部8とフロントカウル3の締結手段]
突出部8とフロントカウル3の締結手段としては、フロントカウル3の嵌合穴28の上下を貫通する複数個のボルト穴27と、突出部8の上下を貫通する複数個のボルト穴13と、を備え、ボルト穴13とボルト穴27を使用し複数個のボルト部材14と、複数個のナット部材15で締結する。円柱または多角柱の形態の突出部8で勾配を備えている場合は、突出部8のボルト穴13とフロントカウル3のボルト穴27の位置を正確に一致させることは難しいため、ボルト穴13またはボルト穴27いずれかを長穴の形態とすることで、容易にボルト部材14がボルト穴13とボルト穴27を通過しナット部材15で締結することができる。フロントカウル3の嵌合穴28のボルト穴27は上部のみ貫通し、突出部8にねじ穴13Aを施工し、直接ボルト部材14Aで締結することもできる。ボルト部材13,13Aとナット部材15には、フロントカウル3との間に介在する座金を使用することもできる。ボルト部材14とナット部材15は、一般に炭素鋼の外周にメッキを施工したもの、ステンレス鋼、またはアルミ合金製を選択する。
【0036】
[台座取り付け調整手段9]
台座取り付け調整手段9は、弾力性あるシート状の素材を台座1の筒状の内径に適合した寸法にカットし、台座1とヘッドチューブの間の上下に取り付け使用する。台座1のヘッドチューブ2と締結する個所の筒状の内径はヘッドチューブ2の外径より大きく製作されており、適切な厚さ寸法の台座取り付け調整手段9を台座1とヘッドチューブ2の間に取り付けることで、台座1とヘッドチューブ2の間は隙間なく結合できる。市販の自転車16(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)のヘッドチューブ2の外径及び形状は同一ではないため、厚さの異なる台座取り付け調整手段9を使用することで、多くの市販車に同じ台座1を取り付けることが可能となる。台座取り付け調整手段9の材質は、弾力性を有し摩擦係数が大きな素材が好ましいので、一般に合成ゴムが採用される。台座取り付け調整手段9は、は台座1の半筒状の形態の内側に接着剤または両面テープで貼り付けることで脱落を防止することができる。
【0037】
[フロントカウル3の上下角度調整方法]
フロントカウル3を進行方向に対して上下方向の取り付け角度を調整する場合は、
図4の台座取り付け調整手段(上用)9aと台座取り付け調整手段(下用)9bの厚さ寸法を変えることで、台座1のヘッドチューブ2に対する上下取り付け角度45を変更することができるため、台座1に備わる突出部8と、突出部8に結合されるフロントカウル3の進行方向に対して上下方向の取り付け角度を調整することができる。
【0038】
[台座用固定手段4
台座用固定手段4は突出部8の付け根に貫通した通し穴36と、トップチューブ6とダウンチューブ7をヘッドチューブ2に接合する部分のトップチューブ6とダウンチューブ7の間と、を通して締結される。突出部8の付け根に貫通した通し穴36は1か所の他、複数個(2~5)備えることも可能であり、複数個の通し穴36を備えている場合は台座1をヘッドチューブの上部または下部に取り付けるかによって上側の通し穴36または下側の通し穴36を選択する。台座用固定手段4には締め付けが可能なベルトや針金なども使用できるが、自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)のフレームを傷つけず、適度な力で締め付けが可能で、緩み止めを備えたものが望ましい。
図1には一例としてナイロン樹脂製の結束バンドを記載する。
【0039】
[回転止め用固定手段12]
回転止め5をトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)に強固に固定する場合は、回転止め用固定手段12で締結する。回転止め5は回転止め用固定手段12を通す貫通した通し穴25を備え、回転止め用固定手段12は回転止め5の通し穴25を使用してトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)の外周と回転止め5を結束する。固定手段25は通し穴25を使用することで、外力による回転止め5と固定手段25の位置関係が変化することを防止できる。横風や振動等の作用する外力が小さい場合は、回転止め用固定手段12による締結を使用せず、回転止め5によるトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)を挟んで取り付けることによる拘束のみで使用することもできる。回転止め用固定手段12には締め付けが可能なベルトや針金なども使用できるが、自転車16(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)のフレームを傷つけず、適度な力で締め付けが可能で、緩み止めを備えたものが望ましい。
図1には一例としてナイロン樹脂製の結束バンドを記載する。
【0040】
[左右取り付け調整手段10]
左右取り付け調整手段10は、弾力性ある素材を適した寸法にカットし、回転止め5とトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)の隙間に挿入し使用する。トップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)の形状が楕円や3角形の断面形状を備えたものや多様な外形寸法の円柱形状の場合でも、隙間寸法と形状に適した左右取り付け調整手段10を使用することで、回転止め5は左右取り付け調整手段10を介してトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)と隙間なく接することが出来るので、フロントカウル3及びカウル取り付け器具の外力の影響による左右方向の取り付け角度の変化を防止できる。左右取り付け調整手段10の材質は一般に合成ゴムを採用し、弾力性を有し摩擦係数が大きな素材を使用することで、回転止め5とトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)の外径寸法、形状が多少異なる場合でも、密着して取り付けることが出来る。左右取り付け調整手段10は、回転止め5の内側に接着剤または両面テープで接着し使用することで左右取り付け調整手段10の脱落を防止することができる。
【0041】
左右取り付け調整手段10を使用しない場合、左右の回転止め間の幅寸法及び形状はトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)の外径寸法及び形状と同一の形態とし、回転止め5とトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)を直接に回転止め用固定手段12で締結し使用することもできる。横風や振動等の作用する外力が小さい場合は、回転止め用固定手段12による締結を使用せず、回転止め5によるトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)との取り付け部の拘束のみで使用することもできる。回転止め5の材質に優れた靱性を有するナイロン樹脂等を採用した場合は、左右の回転止め間の幅寸法をトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)の外径寸法より僅かに狭い寸法の形態とし、回転止め5の幅を手で広げてトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)に組み付けることにより、回転止め5の締め付け力のみで拘束し使用することもできる。
【0042】
[フロントカウルの左右方向の角度調整方法]
フロントカウル3の自転車16(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)の進行方向に対する左右方向取り付け角度46(
図3)を微調整する場合は、回転止め5とトップチューブ6またはダウンチューブ7(及びトップチューブ6及びダウンチューブ7を含む)の間に介在する左右取り付け調整手段10を、左右で異なる厚さ寸法と適度な勾配を有したものを挿入し、左右方向の取り付け角度46(
図3)を調整することができる。
【0043】
[前後調整手段11]
前後調整手段11は、フロントカウル3と突出部8の間に介在し、フロントカル3を進行方向に対して前後方向に任意の位置へ調整するために使用する。前後調整手段11は、特定の位置でのフロントカウルの嵌合穴28と一致する形状及び寸法の外部形態と、特定の位置での突出部8と一致する形状及び寸法の内部形態と、を備えており、特定の位置でフロントカウル3の嵌合穴28と突出部8の間の隙間に密着するので、フロントカウル3を進行方向に対し特定の前後方向位置に調整することができる。前後調整手段11の材質は例えばナイロン樹脂やフッ素樹脂を使用するが、これに限定せずステンレス鋼やアルミの薄板、金属テープの他、紙・ビニールテープも使用することができる。前後調整手段11は、脱落防止のため突出部8の外側に接着剤または粘着テープで接着して使用することもできる。
【0044】
[本発明の第2の実施の形態のカウル取り付け器具]
図6は、本発明の第2の実施の形態のカウル取り付け器具とフロントカウルを取り付ける自転車16(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)の取り付け部と、フロントカウルと、を説明するための全体構成の分解図である。
図7は台座1Aの軸32の詳細と、軸32に接続される回転止め(右)5B及び回転止め(左)5Aと、を説明するための詳細図である。
図8(a)は、台座1Aの軸32と回転止め(右)5B及び回転止め(左)5Aの穴31の嵌め込み時の説明用の詳細拡大図である。
図8(b)は、台座1Aの軸32から回転止め(右)5B及び回転止め(左)5Aを取り外し時の説明用の穴31及び軸32の詳細拡大図である。
図9は、台座1Aの軸32に回転止め(右)5B及び回転止め(左)5Aを取り付け後の説明用の斜視図である。
【0045】
図6~9に従って以下説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態の回転止め5を台座1から分割し別ピースとした台座1Aと、別ピースの回転止め(左)5Aと、別ピースの回転止め(右)5Bと、回転止め(右)5B及び回転止め(左)5Aを突出部8に締結するための固定部材33と、回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bと突出部8との間に介在する滑り止め35と、器具1Aに設けられた軸32と、軸32に挿入する回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bの穴31と、を備え構成されている。その他は第1の実施の形態のカウル取り付け器具と同一のため説明を省略する。
【0046】
[台座1A]
図6に従って台座1Aを以下説明する。第2の実施の形態の台座1Aは、別ピースの回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bを嵌め込むための軸32と、台座1Aと軸32の間に介在する座41と、を備え、回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bの穴31を軸32に嵌め込んで使用する。市販の自転車16(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)ではヘッドチューブ2とトップチューブ6の接続部の交差する角度37Bはそれぞれの自転車16で異なるが、回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bは軸32を中心に回転することが出来るので回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bをトップチューブ6の角度37Bに合わせ取り付けることが出来る。器具1Aの材質としては、軽量で必要な強度を備えたものであれば使用可能であり、一般にナイロン樹脂、繊維強化プラスチック、アルミ合金などが採用される。
【0047】
[台座1Aの軸32の説明]
図7,8(a)、
図8(b)に従って台座1Aの軸32について以下説明する。台座1Aの軸32は、取り付けの際に回転止め(左)5Aと回転止め(右)5Bが軸32から脱落するのを防止する抜け止め38と、軸32と回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bの脱着を容易にする割り溝39と、同じく回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bと軸32の脱着を容易にする抜け止め38の両側に施工された面取り40と、取り付けの際に回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bと台座1Aの角部との干渉を防止する座41と、を備える。
【0048】
[抜け止め38の機能の説明]
図8(a)、
図8(b)に従って抜け止め38の機能について以下説明する。
図8(a)、
図8(b)の軸32の外径は例えば9mmであり、軸32の端部に設置されている抜け止めの外径は例えば10mmであり、軸32に嵌め込む回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bの長穴31の幅は例えば9.5mmであり、軸32に例えば30度の面取り40と、例えば幅2mmの割り溝39と、例えば長穴31に1mmのフレット42と、を備えることにより、脱着時は割り溝39が僅かに変形し、穴の角部のフィレット42と、抜け止め38の勾配により、軸32と回転止め(左)5A及び回転止め(右)5Bが容易に脱着できる。
【0049】
[回転止め(右)5B、回転止め(左)5A]
図6~8(a)、
図8(b)に従って回転止め(右)5Bと回転止め(左)5Aを以下説明する。回転止め(右)5Bと回転止め(左)5Aは、台座1Aから分割された別ピースの形態と、回転止め(右)5Bと回転止め(左)5Aを台座1Aの軸32に嵌め込むための長孔31と、回転止め(右)5B及び回転止め(左)5Aを突出部8に締結するためのバンド33を通すための穴34と、を備える。回転止め(右)5B及び回転止め(左)5Aの突出部8と締結する接触面43は、多角柱の突出部8と同一の勾配と、回転止め(右)5B及び回転止め(左)5Aと突出部8の間に介在し弾力性と摩擦係数の大きな滑り止め35と、を備え、運転中の振動等の外力による取り付け位置の変化を防止している。回転止め(右)5B及び回転止め(左)5Aの材質としては、軽量で必要な強度を備えたものであれば使用可能であり、一般にナイロン樹脂、繊維強化プラスチック、アルミ合金などが採用される。滑り止め35は厚さ1mmの合成ゴムが一般に採用され、接着剤または両面テープで回転止め(右)5B及び回転止め(左)5Aの接触面43に接着して使用し、滑り止め35の脱落を防止している。
【0050】
[回転止め(右)5Bと回転止め(左)5Aの機能の説明]
第1の実施の形態で説明した
図1の自転車16のヘッドチューブ2とトップチューブ6の接続部の交差する角度37Aは例えば95度であるが、
図6の自転車のヘッドチューブ2とトップチューブ6の接続部の交差する角度37Bは例えば110度であり、差が大きい。このため
図1の角度37Aに適合するよう製作された台座1と一体の回転止め5は、
図6の自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)の角度37Bと適合しないため、回転止め5が
図6のトップチューブ6の側面に取り付けることができない。しかし、
図6に示す第2の実施の形態の台座1Aの別ピースとした回転止め(左)5Aと回転止め(右)5Bは、軸32を中心に取り付け角度を変更し、穴31が長穴になっているので上下にスライドすることができるので、
図1の自転車16の角度37A及びトップチューブ6と、
図6の自転車の角度37B及びトップチューブ6と、の両方に最適な位置で取り付けることができる。
【0051】
[第3の形態の実施の形態]
図6は、本発明の第3の実施の形態のカウル取り付け器具と、フロントカウル3と、を説明するための全体構成の分解図である。
【0052】
図6に示すように、第3の実施の形態は、自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)のトップチューブ6に固定する台座1Aと、台座1Aと一体に形成された多角柱の突出部8Aと、突出部8Aと一致する穴を有するフロントカウル3Aと、フロントカウル3Aと台座1Aの多角柱の突出部8Aの締結手段と、を備え構成されている。第1及び第2の実施の形態に使用した、フロントカウル3と突出部8の間に介在する前後調整手段11は第3の実施の形態には使用しない。その他は第1及び第2の実施の形態のカウル取り付け器具と同一のため説明を省略する。
【0053】
[台座1Aとフロントカウル3Aの取り付けの説明]
図6に従って台座1Aを以下説明する。第3の実施の形態のカウル取り付け台座1Aは、第1及び第2の実施の形態と同様、フロントカウル3Aを取り付け結合する多角柱の突出部8Aと一体の形態としているが、第1及び第2の実施の形態と異なり勾配の無い多角柱の突出部8Aと、フロントカウルとの締結手段として複数個のねじ穴13Aと、を備える。フロントカウル3Aは、台座1Aの多角柱の突出部8Aと同一形状及び寸法の嵌合穴28Aと、多角柱の突出部8Aとの締結手段として複数個の長穴27Aと、を備える。台座1Aの多角柱の突出部8Aとフロントカウル3Aの嵌合穴28Aは勾配の無い同一寸法であるため、前後調整手段11を使用しなくても、フロントカウルを進行方向に対して前後方向に任意の位置に調整することができる。台座1Aの多角柱の突出部8Aの上面には多数のねじ穴13A(
図6ではM6x18個所)を備えており、任意の位置で締結することが可能になっている。
図6の締結用ボルト部材14Aは2か所としているが、製作公差上、突出部8Aとフロントカウル3Aの嵌合穴28Aの結合部には微小な隙間が生じるため、風圧や走行中の路面からの外力が大きい場合には、ボルト部材14Aの本数を追加し締結力を増加することができる。台座1Aの材質としては、軽量で必要な強度を備えたものであれば使用可能であり、一般にナイロン樹脂、繊維強化プラスチック、アルミ合金などが採用される。
【0054】
台座1Aとフロントカウル3Aの締結手段である突出部8Aの複数個のねじ穴13Aと、フロントカウルの複数個の長穴27Aと、複数個のボルト部材14Aは、第1及び第2の実施の形態にも採用することができる。
【0055】
台座1Aの勾配44の無い多角柱の突出部は、第1の実施の形態の台座1にも採用することができる。
【0056】
台座1及び1Aの突出部8及び8Aには、フロントカウル3以外にも突出部と一致する穴を備える籠やバックを取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0057】
1・・台座、1B・・台座、2・・ヘッドチューブ、3・・フロントカウル、4・・台座用固定手段、5・・回転止め、5A・・回転止め(左)、5B・・回転止め(右)、6・・トップチューブ、7・・ダウンチューブ、8・・突出部、8A・・突出部、9・・台座取り付け調整手段(9a・・上側、9b・・下側)、10・・左右取り付け調整手段、11・・前後調整手段、12・・回転止め用固定手段、13・・穴、13A・・ねじ穴、14・・ボルト部材、14A・・ボルト部材、15・・ナット部材、16・・自転車、17・・サドル、19・・後輪、20・・チェーンステー、21・・シートステー、22・・ハンドル、23・・ホーク、24・・前輪、25・・通し穴、26・・通し穴、27・・ボルト穴、27A・・長穴、28・・嵌合穴、28A・・嵌合穴、29・・風防、30・・リブ、31・・穴、32・・軸、33・・固定部材、34・・通し穴、35・・固定手段、36・・通し穴、37A・・角度、37B・・角度、38・・抜け止め、39・・割り溝、40・・面取り、41・・座、42・・フィレット、43・・取り付け面、44・・勾配、45・・上下取り付け角度、46・・左右方向取り付け角度
【要約】
【課題】市販の自転車(または電動アシスト自転車、電動自転車、三輪自転車)のフレームに、車体の前方を覆うフロントカウルを、容易に脱着できるカウル取り付け器具を提供する。
【解決手段】カウル取り付け器具において、ヘッドチューブに固定する台座1と、台座1と、トップチューブ6の間に介在する台座取り付け調整手段9と、台座1を自転車16のヘッドチューブ2に締結するための台座用固定手段4と、フロントカウル3を台座1に取り付けるための突出部8と、フロントカウル3の位置を調整する前後調整手段11と、トップチューブ6を両サイドから挟んで台座1の取り付け方向を拘束する回転止め5と、回転止め5とトップチューブ6を締結する回転止め用固定手段12と、を備えたことを特徴とするカウル取り付け器具。
【選択図】
図1