(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】無人飛行体の係留装置
(51)【国際特許分類】
B64F 3/00 20060101AFI20220929BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220929BHJP
B66D 3/26 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B64F3/00
B64C39/02
B66D3/26 Z
(21)【出願番号】P 2022065250
(22)【出願日】2022-04-11
【審査請求日】2022-04-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522145982
【氏名又は名称】徳永 二郎
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳永 二郎
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114200(JP,A)
【文献】特開2019-169065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0312276(US,A1)
【文献】実開昭59-174148(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 3/00
B64C 39/02
B66D 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体の規制に係わる所定法令に規定される許可・承認が不要となる例外規定において係留紐の上限として規定される特定距離以上の長手方向寸法を備えた係留用線材体と、
前記係留用線材体の先端を前記無人飛行体に対して
当該係留用線材体と同一軸を中心に回転自在に接続する線材接続部と、
前記係留用線材体の基端を固定するとともに当該係留用線材体の先端側を巻き戻し可能に繰り出す線材繰り出し器と、
前記線材繰り出し器に設けられ、前記無人飛行体の操作者が当該線材繰り出し器を保持するための保持具と、
を有し、
前記線材繰り出し器は、
前記係留用線材体のうち、当該線材繰り出し器から前記無人飛行体まで延びる延設部の有効長が前記特定距離に達した時点で、前記係留用線材体の繰り出しを停止するストッパ機能を備えており、
前記係留用線材体は、
前記有効長を与える前記延設部のうち、少なくとも当該延設部の中点よりも前記線材繰り出し器側に位置する第1位置から、前記延設部のうち前記係留用線材体の前記基端側の端部である第2位置までの特定部位を、前記ストッパ機能による前記係留用線材体の繰り出し停止が近づいたことを外観で表す警告外観部とし、
前記無人飛行体が飛行を開始した後において、時間経過とともに前記線材繰り出し器から前記係留用線材体が順次繰り出されていくとき、前記警告外観部が前記線材繰り出し器から現出しない間は当該警告外観部の前記外観による操作者への視覚的な警告を行わない一方、前記警告外観部が前記線材繰り出し器から現出した後は当該警告外観部の前記外観によって前記操作者への視覚的な警告を行うようにした
ことを特徴とする無人飛行体の係留装置。
【請求項2】
請求項1記載の無人飛行体の係留装置において、
前記警告外観部は、
前記係留用線材体の前記延設部のうち、当該警告外観部以外の部分の外観色とは異なる外観色が付与された異色外観部を含む
ことを特徴とする無人飛行体の係留装置。
【請求項3】
請求項1記載の無人飛行体の係留装置において、
前記係留用線材体は、
前記延設部のうち前記警告外観部以外の部分は、1本の線材により構成されており、
前記延設部のうち前記警告外観部は、
複数本の線材により構成されている
ことを特徴とする無人飛行体の係留装置。
【請求項4】
請求項1記載の無人飛行体の係留装置において、
前記警告外観部は、
前記係留用線材体の前記延設部のうち当該警告外観部以外の部分には付されていない、装飾物が付設された装飾付与部を含む
ことを特徴とする無人飛行体の係留装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の無人飛行体の係留装置において、
前記警告外観部は、
引き延ばし可能な螺旋状の形状を備えた螺旋コード部を備える
ことを特徴とする無人飛行体の係留装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の無人飛行体の係留装置において、
前記警告外観部は、
警告態様又は警告度合いが前記第1位置から前記第2位置へ向かって段階的に変化する、段階的警告部として構成されている
ことを特徴とする無人飛行体の係留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体の係留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転翼機に接続され、当該回転翼機を係留するための装置が知られている。この種の装置として、例えば、特許文献1では、回転翼機の搭載部の底部に接続された繋留ロープ、及び、当該繋留ロープを下端側にて巻き上げる巻き上げ機が、開示されている。巻き上げ機が地上に設置されることで、繋留ロープの下端が地上に係止されつつ、巻き上げにより張力が付与されて、繋留ロープが弛むことを抑制できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-79034号公報(
図1、段落0096等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無人飛行体の規制に係わる所定法令として、航空法がある。2021年9月の改正前には、航空法132条の2第1項第7号の規定により、第三者から特定距離(30m)以内の飛行には、許可・承認が必要であった。これに対して、上記改正後には、十分な強度を有する紐等(上記特定距離と同じ長さ以下)で係留し、飛行可能な範囲内への第三者の立入管理等の措置を講じて無人飛行体を飛行させる場合は、上記許可・承認が不要、と緩和された。これにより、特に許可・承認を得なくても、手軽に無人飛行体を飛ばせるようになった。
【0005】
従って、無人飛行体を、上記特定距離以下の長さの紐等で接続するとともに、上記特定距離以内の飛行という法令遵守条件を、確実に視認しつつ安心して安全に飛行させることができる、新たな仕組みが望まれていた。上記従来技術では、上記のような点には、特に配慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、法令の定める「特定距離以内の飛行」という遵守条件を、操作者が確実に視認しつつ、無人飛行体を安心して安全に飛行させることができる無人飛行体の係留装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明の無人飛行体の係留装置は、無人飛行体の規制に係わる所定法令に規定される許可・承認が不要となる例外規定において係留紐の上限として規定される特定距離以上の長手方向寸法を備えた係留用線材体と、前記係留用線材体の先端を前記無人飛行体に対して首振り回動自在に接続する線材接続部と、前記係留用線材体の基端を固定するとともに当該係留用線材体の先端側を巻き戻し可能に繰り出す線材繰り出し器と、前記線材繰り出し器に設けられ、前記無人飛行体の操作者が当該線材繰り出し器を保持するための保持具と、を有し、前記線材繰り出し器は、前記係留用線材体のうち、当該線材繰り出し器から前記無人飛行体まで延びる延設部の有効長が前記特定距離に達した時点で、前記係留用線材体の繰り出しを停止するストッパ機能を備えており、前記係留用線材体は、前記有効長を与える前記延設部のうち、少なくとも当該延設部の中点よりも前記線材繰り出し器側に位置する第1位置から、前記延設部のうち前記係留用線材体の前記基端側の端部である第2位置までの特定部位を、前記ストッパ機能による前記係留用線材体の繰り出し停止が近づいたことを外観で表す警告外観部とし、前記無人飛行体が飛行を開始した後において、時間経過とともに前記線材繰り出し器から前記係留用線材体が順次繰り出されていくとき、前記警告外観部が前記線材繰り出し器から現出しない間は当該警告外観部の前記外観による操作者への視覚的な警告を行わない一方、前記警告外観部が前記線材繰り出し器から現出した後は当該警告外観部の前記外観によって前記操作者への視覚的な警告を行うようにしたことを特徴とする。
【0008】
これによれば、線材繰り出し器から繰り出される係留用線材体のうち、線材繰り出し器から無人飛行体まで延設される延設部の有効長が、上記特定距離に達すると、線材繰り出し器30のストッパ機能によって、係留用線材体の繰り出しがストップする。また、線材繰り出し器は、保持具を介して操作者側で保持される。これにより、「特定距離以内の飛行」という法令条件を遵守することができる。またその際、係留用線材体の先端は、線材接続部により、首振り回動自在に接続されているので、係留用線材体の繰り出しがストップした状態で、線材接続部側から無人飛行体に対し引張り力が作用したとしても、無人飛行体側の姿勢が大きく傾いたり、乱れたりするのを防止し、安定姿勢を維持できる。
【0009】
また、係留用線材体のうち、第1位置から基端近くの第2位置までの間に、警告外観部が設けられている。無人飛行体の飛行開始後は、高度上昇に伴って、係留用線材体が徐々に線材繰り出し器から繰り出されていくが、ある程度繰り出されて警告外観部が線材繰り出し器から現出すると、当該警告外観部の外観によって、操作者に対して視覚的な警告が行われることとなる。これにより、操作者は、無人飛行体が法令に定める飛行範囲の限界(高度上限)に間もなく達する、ということを確実に認識することができる。以上の結果、操作者は、法令の定める「特定距離以内の飛行」という遵守条件を確実に視認しつつ、安心して安全に無人飛行体を飛行させることができる。
【0010】
また、本願発明の無人飛行体の係留装置においては、前記警告外観部は、前記係留用線材体の前記延設部のうち、当該警告外観部以外の部分の外観色とは異なる外観色が付与された異色外観部を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本願発明の無人飛行体の係留装置においては、前記係留用線材体は、前記延設部のうち前記警告外観部以外の部分は、1本の線材により構成されており、前記延設部のうち前記警告外観部は、複数本の線材により構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本願発明の無人飛行体の係留装置においては、前記警告外観部は、前記係留用線材体の前記延設部のうち当該警告外観部以外の部分には付されていない、装飾物が付設された装飾付与部を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本願発明の無人飛行体の係留装置においては、前記警告外観部は、引き延ばし可能な螺旋状の形状を備えた螺旋コード部を備えることを特徴とする無人飛行体の係留装置。
【0014】
また、本願発明の無人飛行体の係留装置においては、前記警告外観部は、警告態様又は警告度合いが前記第1位置から前記第2位置へ向かって段階的に変化する、段階的警告部として構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、法令の定める「特定距離以内の飛行」という遵守条件を、操作者が確実に視認しつつ、無人飛行体を安心して安全に飛行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る無人飛行体の係留装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示す無人飛行体の係留装置が接続された状態で飛行する無人飛行体の斜視図である。
【
図3】
図1に示す無人飛行体の係留装置の全体概略図であって、無人飛行体の飛行に伴い係留用線材体が繰り出されていく作動を示す図である。図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る無人飛行体の係留装置の全体概略図であって、無人飛行体の飛行に伴い係留用線材体が繰り出されていく作動を示す図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る無人飛行体の係留装置の全体概略図であって、無人飛行体の飛行に伴い係留用線材体が繰り出されていく作動を示す図である。
【
図6】本発明の第4実施形態に係る無人飛行体の係留装置の全体概略図であって、無人飛行体の飛行に伴い係留用線材体が繰り出されていく作動を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態の変形例に係る無人飛行体の係留装置の斜視図である。
【
図8】
図7に示す無人飛行体の係留装置が接続された状態で飛行する無人飛行体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態ついて、図面を参照しつつそれぞれ説明する。
【0018】
[第1実施形態]
<無人飛行体の係留装置の構成>
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る無人飛行体の係留装置100は、係留用線材体10、線材接続部20、線材繰り出し器30、及び、保持具40を備えている。
図2に示すように、係留装置100は、無人飛行体DRに適用される。無人飛行体DRは、例えば、ドローン等であり、航空法で規定されている無人航空機であれば他の形態であってもよい。なお、
図1、及び、
図7において示される矢印の前・後、左・右は、係留装置100の前方及び後方、左方及び右方に、それぞれ対応している。
【0019】
図1に示すように、係留用線材体10は、特定距離以上の長手方向寸法を備えている。上記特定距離は、無人飛行体DRの規制に係わる所定法令に規定される許可・承認が不要となる例外規定において、係留紐の上限として規定される距離である。上記「所定法令に規定される許可・承認」としては、例えば、航空法第132条の2第1項第7号に規定されているものである。当該規定による場合、無人飛行体DRの飛行においては、第三者から30m以内のものに対して、本来では許可・承認が必要とされる。一方、30m以内の飛行において、無人飛行体DRを係留紐にて係留しておけば、例外として、許可・承認が必要とされない。即ち、無人飛行体DRを係留紐にて係留し、特定距離以内の飛行とすることで、法令条件を遵守することができる。この観点から、本実施形態では、特定距離が30mであるものとして説明する。
【0020】
係留用線材体10は、糸、紐等の線状の長尺体である。係留用線材体10は、線材繰り出し器30により巻き取り可能なように柔軟であり、且つ、無人飛行体DRからの張力で切断しないよう強度を有していればよく、その材質、断面形状等は、限定されない。
例えば、係留用線材体10として、いわゆるロープを用いることができる。すなわち例えば、天然繊維や合成繊維を撚り合わせたファイバーロープ、鋼線を用いたワイヤーロープ、等を用いることができる。
また、上述の十分な強度を確保できる態様(あるいはそのような強度増大の処理がなされたもの)であれば、係留用線材体10として、いわゆる紐を用いることもできる。すなわち例えば、合成樹脂製の紐や、合成樹脂が一般化する前に広く使用されていた木綿の紐や、農業用途によく用いられる麻の紐、等であっても構わない。
係留用線材体10においては、一端である基端10a、及び、他端である先端10bが、それぞれ規定される。基端10aは、線材繰り出し器30に接続されている。先端10bには、線材接続部20が接続されている。係留用線材体10の詳細な構成については、後述する。
【0021】
線材接続部20は、環状部材21、連結部材22、及び、固定部材23を備えている。環状部材21は、係留用線材体10を結び付け可能に構成されている。即ち、環状部材21における結び目が、係留用線材体10の先端10bに相当する。結び付けられた係留用線材体10は、先端10bから、環状部材21の径方向外側に延びる。環状部材21の円周において、先端10bと反対側の部位には、連結部材22が設けられている。連結部材22は、径方向外側に突出しており、その先端には輪状の紐部22aが形成されている。固定部材23は、輪状に構成されており、例えば、伸縮性のあるゴム等の材質で構成されている。固定部材23は、無人飛行体DRに固定可能となっている。固定部材23は、連環的に紐部22aと連結されている。このため、固定部材23に対し、連結部材22は相対的に捻じれ可能かつ摺動可能となっている。上記捻じれが発生すると、環状部材21および連結部材22は、紐部22aを通る係留用線材体10と同一軸を中心に回転自在となっている。
【0022】
図2に示すように、無人飛行体DRは、本体DRa、及び、回転翼DRbを備えている。本体DRaは、略直方体状を呈している。回転翼DRbは、本実施形態では4本であり、本体DRaの四隅近傍から外側に向け水平に伸長する各支柱の先端にて、1本ずつ設けられている。無人飛行体DRは、回転翼DRbが回転駆動することで、飛行が可能となっている。回転翼DRbの回転速度等が、操作者により操作されて、無人飛行体DRの飛行速度、飛行方向、空中姿勢等が制御されるようになっている。
【0023】
無人飛行体DRに固定部材23を固定する場合、先ず、固定部材23を弾性力に抗して拡径させた状態で、固定部材23に2本の回転翼DRbをくぐらせていく。次に、固定部材23を、本体DRaの略中央部まで移動させて、復元力に応じて本体DRaにフィットさせる。そして、紐部22aを、固定部材23に沿って摺動させて、本体DRaの底面DRa1における略中心部まで移動させる。このようにして、固定部材23が無人飛行体DRに固定されて、無人飛行体DRは、線材接続部20を介して係留用線材体10と接続される。
【0024】
係留用線材体10と接続された無人飛行体DRが飛行する場合、底面DRa1を含む水平面を上端面とする仮想半球HS(一点鎖線を参照)の内部にて、線材接続部20は、紐部22aを起点として自在に首振り可能となる。また、線材接続部20は、紐部22aを起点として自在に回動可能となる。このように、線材接続部20は、係留用線材体10の先端10bを、無人飛行体DRに対して首振り回動自在に接続する。
【0025】
図1に示すように、線材繰り出し器30は、筐体31、巻き取り部材32、及び、巻き取り操作具33を備えている。筐体31は、略直方体状を呈している。筐体31の内部には、巻き取り部材32が内蔵されている。巻き取り部材32は、略円筒形状のスプールであり、軸32aまわりに回転可能となっている。軸32aが筐体31の左右側面と直交するように、巻き取り部材32は、筐体31側面の内側にて軸支されている。筐体31の前面部には、内外を連通する開口31aが設けられている。開口31aの断面積は、係留用線材体10の断面積よりも大きい。係留用線材体10の基端10aは、筐体31の内部にて巻き取り部材32に固定される。これとともに、係留用線材体10の先端10b側は、開口31aを介して、軸32aと直交する方向に延出するようになっている。筐体31の一方の側面には、巻き取り操作具33が設けられている。巻き取り操作具33は、軸32aまわりに回転可能なクランクハンドルであり、巻き取り部材32に対し回転力を入力するようになっている。
【0026】
巻き取り操作具33が回転操作されると、巻き取り部材32が軸32aまわりに回転する。巻き取り部材32に固定された基端10aも、一体的に回転するのに伴い、係留用線材体10は、巻き取り部材32の円周に沿って巻き取られていく。これにより、線材繰り出し器30の筐体31外部における、係留用線材体10の先端10b側は、開口31aを介して筐体31内部に収容されていく。
【0027】
他方、係留用線材体10の先端10b側が引張られると、巻き取り部材32が逆回転しながら、収容されていた係留用線材体10は、開口31aを介して繰り出されていく。係留用線材体10の繰り出しが継続されて、巻き取り部材32の巻き取り量がゼロになると、逆回転していた巻き取り部材32が停止する。これにより、巻き取り部材32に固定された基端10aも、一体的に停止するのに伴い、係留用線材体10の繰り出しが停止する。本実施形態では、係留用線材体10の繰り出しが停止した場合において、線材繰り出し器30から無人飛行体DRまで延びる延設部10cの有効長は、上述した特定距離(=30m)と同一になっている。このように、線材繰り出し器30は、延設部10cの有効長が特定距離に達した時点で、係留用線材体10の繰り出しを停止するストッパ機能を備えている(
図3(c)を参照)。
【0028】
保持具40は、係止部材41、及び、吊り紐部材42を備えている。係止部材41、及び、吊り紐部材42は、それぞれ線材繰り出し器30に設けられ、無人飛行体DRの操作者が当該線材繰り出し器30を保持するために、用いられる。係止部材41は、筐体31における、巻き取り操作具33の設置面とは反対側の側面に設けられている。係止部材41は、フック状を呈しており、操作者が装着しているベルト等に係止可能となっている。吊り紐部材42は、筐体31における、開口31aの設置面とは反対側の後面部に設けられている。吊り紐部材42は、輪状を呈しており、操作者が適宜に保持可能となっている。
【0029】
図3に示すように、係留用線材体10では、第1位置P1、及び、第2位置P2が規定される。第1位置P1は、有効長を与える延設部10cのうち、少なくとも当該延設部10cの中点よりも、線材繰り出し器30側に位置する。第2位置P2は、延設部10cのうち、係留用線材体10の基端10a側の端部である。本実施形態では、係留用線材体10の先端10bから第1位置P1までの距離L1は20mであり、第1位置P1から第2位置P2までの距離L2は10mである。即ち、上述した特定距離は、距離L1+距離L2=30mである。なお、第1位置P1及び第2位置P2が、上記位置関係を満たす範囲であれば、距離L1,L2は、上述の数値に限定されず任意である。
【0030】
また、係留用線材体10は、非警告部11、及び、警告外観部12を備えている。非警告部11は、係留用線材体10の先端10bから第1位置P1までの部位に相当する。本実施形態では、非警告部11の形状は、1本の線状である。非警告部11及び警告外観部12は、第1位置P1を介して互いに接続されている。警告外観部12は、有効長を与える延設部10cのうちの、第1位置P1から第2位置P2までの特定部位に相当する。警告外観部12は、上記特定部位を、上述したストッパ機能による係留用線材体10の繰り出し停止が近づいたことを、外観で表すことが可能となっている。
【0031】
警告外観部12では、第3位置P3が規定される。第3位置P3は、第1位置P1及び第2位置P2の間に、位置する。本実施形態では、第1位置P1から第3位置P3までの距離L2aは5.0mであり、第3位置P3から第2位置P2までの距離L2bは5.0mである。なお、第3位置P3が、上記位置関係を満たす範囲であれば、距離L2a,L2bは、上述の数値に限定されず任意である。
【0032】
また、警告外観部12は、第1異色外観部12a、及び、第2異色外観部12bを備えている。第1異色外観部12aは、有効長を与える延設部10cのうちの、第1位置P1から第3位置P3までの部位に相当する。第1異色外観部12a及び第2異色外観部12bは、第3位置P3を介して互いに接続されている。第2異色外観部12bは、有効長を与える延設部10cのうちの、第3位置P3から第2位置P2までの部位に相当する。本実施形態では、第1異色外観部12a、及び、第2異色外観部12bの形状は、1本の線状である。第1異色外観部12a、及び、第2異色外観部12bには、警告外観部12以外の部分である非警告部11の外観色とは、異なる外観色がそれぞれ付与されている。例えば、非警告部11の外観色が黒色である場合、第1異色外観部12aの外観色が黄色であり、且つ、第2異色外観部12bの外観色が赤色であってもよい。このように、本実施形態では、警告外観部12の外観色が2色に分けられているが、これに代えて、非警告部11の外観色と異なっていれば、警告外観部12の外観色は1色でもよいし、3色以上の複数色に分けられていてもよい。
なお、警告外観部12は、(詳細な説明は省略するが)伸縮性のある適宜の材質により構成されており、これにより、無人飛行体DRに対し急な引っ張り力が作用しバランスを崩すことがないように図られている。なお、警告外観部12に代え、係留用線材体10のうち基端10a及びその近傍の部分を伸縮性のある適宜の材質により構成するようにしてもよい。
【0033】
<実際の作動>
以上のように構成された無人飛行体の係留装置100の実際の作動について、説明する。初期状態として、係留装置100が無人飛行体DRと接続されており、且つ、係留用線材体10が巻き取り部材32にてほぼ全て巻き取られている状態から、無人飛行体DRの飛行が開始されるものとする。また、係留装置100の係止部材41、又は、吊り紐部材42が、操作者により保持されているものとする。
【0034】
図3(a)に示すように、無人飛行体DRの飛行開始直後より、操作者から無人飛行体DRが離間し始める。これに伴い、無人飛行体DRに接続された先端10bが飛行方向に引張られ、係留用線材体10の繰り出しも開始する。繰り出しが開始されると、先ずは、延設部10cとして、係留用線材体10のうち非警告部11が、線材繰り出し器30の外部に延出していく。以降、無人飛行体DRの離間距離が大きくなるに従って、延設部10cの有効長も大きくなっていく。
【0035】
図3(b)に示すように、無人飛行体DRの飛行が継続し、無人飛行体DRの離間距離が距離L1(=20m)に到達したときに、延設部10cの有効長も距離L1(=20m)に達する。これにより、延出していた非警告部11は、線材繰り出し器30の外部に全て出切る。この直後、延設部10cとして、第1位置P1を含む第1異色外観部12aも、線材繰り出し器30の外部に出現し、延出していく。
【0036】
図3(c)に示すように、無人飛行体DRの飛行が更に継続し、無人飛行体DRの離間距離が距離L1+L2a(=25m)に到達したときに、延設部10cの有効長も距離L1+L2a(=25m)に達する。これにより、延出していた第1異色外観部12aも、線材繰り出し器30の外部に全て出切る。この直後、延設部10cとして、第3位置P3を含む第2異色外観部12bも、線材繰り出し器30の外部に出現し、延出していく。そして、無人飛行体DRの離間距離が距離L1+L2a+L2b(=30m)に到達したときに、延設部10cの有効長は特定距離(=30m)に達するとともに、延出していた第2異色外観部12bも、線材繰り出し器30の外部に全て出切る。これと同時に、第2位置P2が線材繰り出し器30の外部に出現するとともに、上述したストッパ機能が作用する。これにより、延設部10cとして、先端10bから第2位置P2までの係留用線材体10、即ち、非警告部11、及び、警告外観部12(第1異色外観部12a及び第2異色外観部12b)の延出状態が、維持される。
【0037】
このように、無人飛行体DRが飛行を開始した後において、時間経過とともに線材繰り出し器30から係留用線材体10が順次繰り出されていくとき、警告外観部12が線材繰り出し器30から現出しない間は、当該警告外観部12の外観による操作者への視覚的な警告が行われない(
図3(a)を参照)。一方、警告外観部12が線材繰り出し器30から現出した後は、当該警告外観部12の外観によって、操作者への視覚的な警告を行うようになっている(
図3(b)、及び、
図3(c)を参照)。
【0038】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る無人飛行体の係留装置100によれば、線材繰り出し器30から繰り出される係留用線材体10のうち、線材繰り出し器30から無人飛行体DRまで延設される延設部10cの有効長が、上記特定距離(本実施形態では、30m)に達すると、線材繰り出し器30のストッパ機能によって、係留用線材体10の繰り出しがストップする。また、線材繰り出し器30は、保持具40を介して操作者側で保持される。これにより、「特定距離以内の飛行」という法令条件を遵守することができる。またその際、係留用線材体10の先端10bは、線材接続部20により、首振り回動自在に接続されているので、係留用線材体10の繰り出しがストップした状態で、線材接続部20側から無人飛行体DRに対し引張り力が作用したとしても、無人飛行体DR側の姿勢が大きく傾いたり、乱れたりするのを防止し、安定姿勢を維持できる。
【0039】
また、係留用線材体10のうち、第1位置P1から基端10a近くの第2位置P2までの間に、警告外観部12が設けられている。無人飛行体DRの飛行開始後は、高度上昇に伴って、係留用線材体10が徐々に線材繰り出し器30から繰り出されていくが、ある程度繰り出されて警告外観部12が線材繰り出し器30から現出すると、当該警告外観部12の外観によって、操作者に対して視覚的な警告が行われることとなる。これにより、操作者は、無人飛行体DRが法令に定める飛行範囲の限界(高度上限)に間もなく達する、ということを確実に認識することができる。以上の結果、操作者は、法令の定める「特定距離以内の飛行」という遵守条件を確実に視認しつつ、安心して安全に無人飛行体DRを飛行させることができる。
【0040】
また、上記第1実施形態では特に、係留用線材体10が線材繰り出し器30からある程度繰り出されて、延設部10cの有効長が特定距離にある程度近くなると、第1異色外観部12a及び第2異色外観部12bが線材繰り出し器30から出現する。これにより、係留用線材体10の色が、それまでとは別の色に変わる。従って、操作者は、見た目に明らかな係留用線材体10の色の変化によって、無人飛行体DRが高度上限に間もなく達することを、視覚的に確実に認識することができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る無人飛行体の係留装置100について、説明する。第2実施形態では、警告外観部12に螺旋コード部12cが備えられ、警告外観部12が、形状及び外観色が第1位置P1から第2位置P2へ向かって段階的に変化する段階的警告部として構成される。この点においてのみ、第2実施形態は、上記第1実施形態と異なり、その他は上記第1実施形態と同一である。以下、異なる点のみを詳述する。
【0042】
図4(a),(b),(c)は、上記第1実施形態の構成及び作動を示す
図3(a),(b),(c)に、それぞれ対応している。
図4において、上記第1実施形態の構成、部位と同一・等価なものについては、同じ符号を付すことで、説明を省略する。
【0043】
図4に示すように、警告外観部12では、第4位置P4が規定される。第4位置P4は、第3位置P3及び第2位置P2の間に、位置する。本実施形態では、第3位置P3から第4位置P4までの距離L2bは4.9mであり、第4位置P4から第2位置P2までの距離L2cは0.10mである。なお、距離L1及び距離L2aは、上記第1実施形態と同様、それぞれ20m及び5.0mである。なお、第3位置P3及び第4位置P4が、上記位置関係を満たす範囲であれば、距離L2a,L2b,L2cは、上述の数値に限定されず任意である。
【0044】
また、警告外観部12は、第1異色外観部12a及び第2異色外観部12bに加え、螺旋コード部12cを備えている。第1異色外観部12aは、有効長を与える延設部10cのうちの、第1位置P1から第3位置P3までの部位に相当する。第1異色外観部12a及び第2異色外観部12bは、第3位置P3を介して互いに接続されている。第2異色外観部12bは、有効長を与える延設部10cのうちの、第3位置P3から第4位置P4までの部位に相当する。第2異色外観部12b及び螺旋コード部12cは、第4位置P4を介して互いに接続されている。螺旋コード部12cは、有効長を与える延設部10cのうちの、第4位置P4から第2位置P2までの部位に相当する。
【0045】
本実施形態では、第1異色外観部12a、及び、第2異色外観部12bの形状は、1本の線状である。これに対し、螺旋コード部12cは、引張り方向に引き延ばし可能な、螺旋状の形状を備えている。即ち、警告外観部12において、第1位置P1から第4位置P4までの形状は線状であり、第4位置P4から第2位置P2までの形状は螺旋状である。このように、第1位置P1から第2位置P2へ向かって、形状が2段階で変化するようになっている。形状の段階的な変化により、警告態様が段階的に変化するようになっている。
【0046】
本実施形態では、第1異色外観部12a、第2異色外観部12b、及び、螺旋コード部12cには、警告外観部12以外の部分である非警告部11の外観色とは、異なる外観色がそれぞれ付与されている。例えば、非警告部11の外観色が黒色である場合、第1異色外観部12aの外観色が黄色であり、第2異色外観部12bの外観色が赤色であり、且つ、螺旋コード部12cの外観色が青色であってもよい。即ち、警告外観部12において、第1位置P1から第3位置P3までの外観色は黄色であり、第3位置P3から第4位置P4までの外観色は赤色であり、第4位置P4から第2位置P2までの外観色は青色である。このように、第1位置P1から第2位置P2へ向かって、外観色が3段階で変化するようになっている。外観色の段階的な変化により、警告度合いが段階的に変化するようになっている。
【0047】
このように、本実施形態では、警告外観部12は、警告態様として形状、及び、警告度合いとして外観色が、第1位置P1から第2位置P2へ向かって段階的に変化する、段階的警告部として構成されている。なお、本実施形態では、警告外観部12の形状及び外観色の両方が、段階的に変化するようになっているが、これに代えて、形状及び外観色のうち、一方が段階的に変化するようにしてもよい。また、本実施形態では、警告外観部12の形状が2形状に分けられているが、これに代えて、形状が段階的に変化すればよく、例えば、3形状以上の複数形状に分けられていてもよい。また、本実施形態では、警告外観部12の外観色が3色に分けられているが、これに代えて、外観色が段階的に変化すればよく、例えば、警告外観部12の外観色は2色でもよいし、4色以上の複数色に分けられていてもよい。
【0048】
図4(a),(b)に示すように、無人飛行体DRの飛行開始直後より、係留用線材体10が繰り出されていくと、先ずは、係留用線材体10のうち非警告部11が、線材繰り出し器30の外部に延出していく。非警告部11が全て出切った直後、延設部10cとして、第1位置P1を含む第1異色外観部12aも、線材繰り出し器30の外部に出現し、延出していく。
【0049】
図4(c)に示すように、無人飛行体DRの飛行が更に継続し、無人飛行体DRの離間距離が距離L1+L2a(=25m)に到達したときに、延設部10cの有効長も距離L1+L2a(=25m)に達する。これにより、延出していた第1異色外観部12aも、線材繰り出し器30の外部に全て出切る。この直後、延設部10cとして、第3位置P3を含む第2異色外観部12bも、線材繰り出し器30の外部に出現し、延出していく。そして、無人飛行体DRの離間距離が距離L1+L2a+L2b(=29.9m)に到達したときに、延設部10cの有効長も距離L1+L2a+L2b(=29.9m)に達するとともに、延出していた第2異色外観部12bも、線材繰り出し器30の外部に全て出切る。
【0050】
この直後、延設部10cとして、第4位置P4を含む螺旋コード部12cも、線材繰り出し器30の外部に出現し、延出していく。そして、無人飛行体DRの離間距離が距離L1+L2a+L2b+L2c(=30m)に到達したときに、延設部10cの有効長は特定距離(=30m)に達するとともに、延出していた螺旋コード部12cも、線材繰り出し器30の外部に全て出切る。これと同時に、第2位置P2が線材繰り出し器30の外部に出現するとともに、上述したストッパ機能が作用する。これにより、延設部10cとして、先端10bから第2位置P2までの係留用線材体10、即ち、非警告部11、及び、警告外観部12(第1異色外観部12a、第2異色外観部12b、及び、螺旋コード部12c)の延出状態が、維持される。
【0051】
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る無人飛行体の係留装置100によれば、警告外観部12が、引き延ばし可能な螺旋コード部12cを備える構成となっている。従って、無人飛行体DRが、法令に定める飛行範囲の限界(高度上限)に達し、係留用線材体10の線材繰り出し器30からの繰り出しがストップした際、螺旋コード部12cの螺旋形状が伸ばされることで、無人飛行体DRに対し引っ張り力が作用するのを緩和し、無人飛行体DR側の姿勢が乱れるのを、確実に防止することができる。また、螺旋コード部12cが、螺旋形状という他の部位とは大きく異なる外観を備える。従って、螺旋コード部12cの出現によって、操作者に対し、更に確実に視覚的な警告を与えることができる。
【0052】
また、上記第2実施形態では特に、警告外観部12は、段階的警告部として構成されている。段階的警告部は、形状及び外観色が、第1位置P1から第2位置P2へ向かって段階的に変化するようになっている。これによれば、操作者に対し、係留用線材体10が繰り出されている最中に、強い警告を突然与えることなく、徐々に段階的に警告を与えることができる。
【0053】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る無人飛行体の係留装置100について、説明する。第3実施形態では、警告外観部12以外の部分である非警告部11は、1本の線材により構成され、延設部10cのうち警告外観部12は、複数本の線材12dにより構成される。この点においてのみ、第3実施形態は、上記第1実施形態と異なり、その他は上記第1実施形態と同一である。以下、異なる点のみを詳述する。
【0054】
図5(a),(b),(c)は、上記第1実施形態の構成及び作動を示す
図3(a),(b),(c)に、それぞれ対応している。
図5において、上記第1実施形態の構成、部位と同一・等価なものについては、同じ符号を付すことで、説明を省略する。
【0055】
図5に示すように、本実施形態では、距離L1及び距離L2は、上記第1実施形態と同様、それぞれ20m及び10mである。非警告部11は、上記第1実施形態と同様、1本の線材により構成されている。一方、警告外観部12は、2本の線材12dを備えている。2本の線材12dは、それぞれ糸、紐等の線状の長尺体である。2本の線材12dは、有効長を与える延設部10cのうちの、第1位置P1から第2位置P2までの部位に相当する。2本の線材12dの長さは、それぞれ距離L2(=10m)と等しく、各一端は第1位置P1と接続され、各他端は第2位置P2と接続されている。このように、非警告部11から警告外観部12へ向かって、線材の本数が1本から2本に変化するようになっている。
【0056】
なお、本実施形態では、警告外観部12の線材12dの本数が2本となっているが、これに代えて、線材12dの本数が複数本であればよく、例えば、3本以上でもよい。
【0057】
図5(a)に示すように、無人飛行体DRの飛行開始直後より、係留用線材体10が繰り出されていくと、先ずは、係留用線材体10のうち非警告部11が、線材繰り出し器30の外部に延出していく。即ち、1本の線材が延出していく。
【0058】
図5(b)に示すように、無人飛行体DRの離間距離が距離L1(=20m)に到達したときに、延設部10cの有効長も距離L1(=20m)に達する。これにより、延出していた1本の線材(非警告部11)が、線材繰り出し器30の外部に全て出切る。非警告部11が全て出切った直後、延設部10cとして、第1位置P1を含む警告外観部12も、線材繰り出し器30の外部に出現し、延出していく。即ち、2本の線材12dが出現して延出していく。
【0059】
図5(c)に示すように、無人飛行体DRの飛行が更に継続し、無人飛行体DRの離間距離が距離L1+L2(=30m)に到達したときに、延設部10cの有効長は特定距離(=30m)に達するとともに、延出していた2本の線材12d(警告外観部12)も、線材繰り出し器30の外部に全て出切る。これと同時に、第2位置P2が線材繰り出し器30の外部に出現するとともに、上述したストッパ機能が作用する。これにより、延設部10cとして、先端10bから第2位置P2までの係留用線材体10、即ち、非警告部11、及び、警告外観部12(2本の線材12d)の延出状態が、維持される。
【0060】
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る無人飛行体の係留装置100によれば、延設部10cのうち警告外観部12は、複数本の線材12dにより構成される。係留用線材体10が線材繰り出し器30からある程度繰り出されて、延設部10cの有効長が特定距離にある程度近くなると、複数本の線材12dからなる警告外観部12が、線材繰り出し器30から現われる。このため、係留用線材体10を構成する線材の本数が、それまでの1本から複数本へと増える。従って、操作者は、見た目に明らかな線材の本数の変化によって、無人飛行体DRが高度上限に間もなく達することを、視覚的に確実に認識することができる。
【0061】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る無人飛行体の係留装置100について、説明する。第4実施形態では、警告外観部12以外の部分である非警告部11は、1本の線材により構成され、延設部10cのうち警告外観部12は、1本の線材12e及び装飾付与部12fを備えている。この点においてのみ、第4実施形態は、上記第1実施形態と異なり、その他は上記第1実施形態と同一である。以下、異なる点のみを詳述する。
【0062】
図6(a),(b),(c)は、上記第1実施形態の構成及び作動を示す
図3(a),(b),(c)に、それぞれ対応している。
図6において、上記第1実施形態の構成、部位と同一・等価なものについては、同じ符号を付すことで、説明を省略する。
【0063】
図6に示すように、本実施形態では、距離L1及び距離L2は、上記第1実施形態と同様、それぞれ20m及び10mである。非警告部11は、上記第1実施形態と同様、1本の線材により構成されている。一方、警告外観部12は、1本の線材12e、及び、装飾付与部12fを備えており、有効長を与える延設部10cのうちの、第1位置P1から第2位置P2までの部位に相当する。装飾付与部12fは、小型の旗、リボン等の装飾物を有しており、当該装飾物は、第1位置P1から第2位置P2に亘り複数個整列するよう、線材12eに付設されている。一方、非警告部11の線材には、装飾付与部12fが付設されていない。
【0064】
図6(a)に示すように、無人飛行体DRの飛行開始直後より、係留用線材体10が繰り出されていくと、先ずは、係留用線材体10のうち非警告部11が、線材繰り出し器30の外部に延出していく。即ち、装飾付与部12fが付設されていない1本の線材が延出していく。
【0065】
図6(b)に示すように、無人飛行体DRの離間距離が距離L1(=20m)に到達したときに、延設部10cの有効長も距離L1(=20m)に達する。これにより、装飾付与部12fが付設されていない1本の線材(非警告部11)が、線材繰り出し器30の外部に全て出切る。非警告部11が全て出切った直後、延設部10cとして、第1位置P1を含む警告外観部12も、線材繰り出し器30の外部に出現し、延出していく。即ち、線材12e及び装飾付与部12fが出現して延出していく。
【0066】
図6(c)に示すように、無人飛行体DRの飛行が更に継続し、無人飛行体DRの離間距離が距離L1+L2(=30m)に到達したときに、延設部10cの有効長は特定距離(=30m)に達するとともに、延出していた線材12e及び装飾付与部12f(警告外観部12)も、線材繰り出し器30の外部に全て出切る。これと同時に、第2位置P2が線材繰り出し器30の外部に出現するとともに、上述したストッパ機能が作用する。これにより、延設部10cとして、先端10bから第2位置P2までの係留用線材体10、即ち、非警告部11、及び、警告外観部12(線材12e及び装飾付与部12f)の延出状態が、維持される。
【0067】
以上説明したように、本発明の第4実施形態に係る無人飛行体の係留装置100によれば、延設部10cのうち警告外観部12は、装飾付与部12fを含む。係留用線材体10が線材繰り出し器30からある程度繰り出されて、延設部10cの有効長が特定距離にある程度近くなると、装飾付与部12fを含む警告外観部12が、線材繰り出し器30から現われる。このため、係留用線材体10の外見が、それまでの装飾物が無かった姿から、装飾物が付設された姿に変わる。従って、操作者は、見た目に明らかな装飾物の出現によって、無人飛行体DRが高度上限に間もなく達することを、視覚的に確実に認識することができる。
【0068】
[変形例]
上述した各実施形態においては、線材接続部20が、環状部材21、連結部材22、及び、固定部材23を備え、輪状の固定部材23は、連結部材22の紐部22aと連環的に連結されていた。これに代えて、
図7に示すように、例えば、線材接続部20が、環状部材21、及び、板状部材24を備えてもよい。この場合、板状部材24の一面に連結部24aを設け、板状部材24の他面が無人飛行体DRに固着可能に構成されてもよい。連結部24aは、環状部材21を円周方向に回転可能、且つ、環状部材21をフラップ作動可能なよう、板状部材24と連結する。連結部24aによる連結により、環状部材21及び板状部材24が、連結部24aを支点として相対回転可能となっている。また、捻じれが発生すると、環状部材21および連結部材22は、連結部24aを中心に360度回動可能となっている。
【0069】
図8に示すように、無人飛行体DRに板状部材24を固定する場合、連結部24aの設置面とは反対側の面を、本体DRaの底面DRa1に対向させて、板状部材24を無人飛行体DRに近づけていき密着させる。板状部材24及び底面DRa1の間を、接着剤等を介して固着させてもよい。これにより、仮想半球HS(一点鎖線を参照)の内部にて、線材接続部20は、連結部24aを起点として自在に首振り可能となる。また、線材接続部20は、連結部24aを起点として自在に回動可能となる。このように、変形例の線材接続部20も、係留用線材体10の先端10bを、無人飛行体DRに対して首振り回動自在に接続する。従って、これによっても、係留用線材体10の繰り出しがストップした状態で、線材接続部20側から無人飛行体DRに対し引張り力が作用したとしても、無人飛行体DR側の姿勢が大きく傾いたり、乱れたりするのを防止し、安定姿勢を維持できる。
【0070】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0071】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0072】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0073】
10 係留用線材体
10a 基端
10b 先端
10c 延設部
11 非警告部
12 警告外観部
12a 第1異色外観部
12b 第2異色外観部
12c 螺旋コード部
12d 線材
12e 線材
12f 装飾付与部
20 線材接続部
30 線材繰り出し器
40 保持具
100 無人飛行体の係留装置
DR 無人飛行体
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
P4 第4位置
【要約】
【課題】法令の定める「特定距離以内の飛行」という遵守条件を、操作者が確実に視認しつつ、無人飛行体を安心して安全に飛行させる。
【解決手段】係留装置100は、法令の許可・承認が不要となる例外規定の特定距離以上の寸法を備えた係留用線材体10と、係留用線材体10を無人飛行体DRに接続する線材接続部20と、係留用線材体10を巻き戻し可能に繰り出す線材繰り出し器30と、線材繰り出し器30を保持するための保持具40と、を有し、線材繰り出し器30は、延設部10cの有効長が特定距離に達した時点で、繰り出し停止するストッパ機能を備えており、係留用線材体10は、第1位置P1から第2位置P2までを、ストッパ機能の繰り出し停止が近づいたことを外観で表す警告外観部12とし、係留用線材体10の繰り出しに際し、警告外観部12が現出しない間は視覚的な警告を行わず現出した後は外観によって警告を行う。
【選択図】
図3