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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】スタンプ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20220929BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220929BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20220929BHJP
【FI】
G06F3/03 400
G06F3/041 560
G06F3/0488
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022082570
(22)【出願日】2022-05-19
(62)【分割の表示】P 2018212692の分割
【原出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2022103388
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-06-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517201127
【氏名又は名称】playground株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭史
(72)【発明者】
【氏名】久下 玄
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-005275(JP,A)
【文献】特開2011-134298(JP,A)
【文献】特開2017-146948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03
G06F 3/041 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の相対的な位置関係で配置された複数の接触子を備え、前記複数の接触子で端末装置のタッチパネルが接触又は押下されることにより、前記端末装置に前記所定の相対的な位置関係を有する複数の位置での接触又は押下を検出させるスタンプであって、
非導電性部材により構成される本体部と、
前記本体部の下部に位置し、導電性部材により構成される接触部と、を備え、
前記接触部には、
平面視で互いに中心角をあけて配置され、前記接触部の最外部に配置される複数の外側接触子と、前記接触部の中央に配置される中央接触子と、が設けられ、
前記本体部には、
平面視において、前記中央接触子から複数の前記外側接触子それぞれに向けて放射状をなして延びるフレームが設けられ、
前記フレームのうち、平面視において互いに隣り合う前記外側接触子同士の間には、前記接触子が設けられている接触面とは反対側から、前記接触面に接触した前記タッチパネルの変化を見通せるように構成された見通し領域となる空隙が形成されていることを特徴とするスタンプ。
【請求項2】
前記中央接触子の前記端末装置に接触する部分とは反対側の面に、前記端末装置に押し付ける押圧力を受ける押圧部が設けられた請求項1に記載のスタンプ。
【請求項3】
前記見通し領域の少なくとも一部は、前記複数の接触子のうち前記外側接触子を結んだ閉曲線の内側に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のスタンプ。
【請求項4】
前記複数の接触子が設けられる領域の重心位置を含む領域に、前記中央接触子が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスタンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置が実装するマルチタッチ対応のタッチパネルに押印するための電子印章(スタンプ)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、端末装置、とりわけスマートフォンをはじめとする携帯端末においては、画面に指などを接触させることなどにより端末の操作や情報の入力を行うタッチパネル方式を採用するものが広く普及している。
【0003】
このような中、情報の入力をタッチパネルへの接触により行うという特徴を活かし、様々なシステムが考案されている。例えば、スポーツやコンサート等のイベント会場の入場ゲートで、専用の電子チケットアプリケーションの起動により電子チケットが表示された端末装置を係員に提示し、係員がスタンプを接触させることによってチケット使用済の表示に遷移させる消込処理をおこなった上で会場内への入場を認める電子チケットシステムが実現されている(特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1の電子チケットシステムでは、消込処理が正常に行われると、端末装置の表示画面におけるスタンプを接触させた位置に印影画像を表示することにより、紙のチケットに消印が押されるのと類似した演出を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-005275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように消込処理が正常に行われたときに、端末装置の表示画面におけるスタンプを接触させた位置に印影画像を表示する場合、スタンプを表示画面から離すまで印影画像が表示されたか否かを確認することができない。このため、消込処理が行われる前にスタンプを離したり、接触状態に不備があったりといった様々な理由で消込処理が正常に行われなかった場合には、スタンプを離して印影が表示されていないことを確認したうえで、改めてスタンプを押しなおす必要がある。
【0007】
イベント会場の入場ゲートでは、入場の処理を円滑に行う必要があるところ、上記のようにスタンプを離さなければ消込処理が正常に行われたことを確認できないことにより処理が遅滞するという問題があった。
【0008】
このような課題に鑑み、本発明は接触入力が端末装置に受け付けられたことに伴う端末装置の画面変化を確認し易いスタンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決すべく、本発明に係るスタンプは、所定の相対的な位置関係で配置された複数の接触子を備え、複数の接触子で端末装置のタッチパネルが接触又は押下されることにより、端末装置に所定の相対的な位置関係を有する複数の位置での接触又は押下を検出させるスタンプであり、接触子が設けられている接触面とは反対側から接触面の背後を見通せるように構成された見通し領域を備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成により、接触入力が端末装置に受け付けられたことに伴う端末装置の画面変化を確認し易くすることができる。
【0011】
本発明では、見通し領域の少なくとも一部は、複数の接触子のうち最外部にある接触子を結んだ閉曲線の内側に設けられるとよい。
【0012】
本発明では見通し領域の少なくとも一部は、固体物質が充填されない空隙として設けられるとよい。また、見通し領域の少なくとも一部は、透明の素材で充填されてもよい。
【0013】
本発明では複数の接触子が設けられる領域の重心位置を含む領域に複数の接触子のうちの1つが中央接触子として設けられるとよい。また、中央接触子の端末装置に接触する部分とは反対側の面に、端末装置に押し付ける押圧力を受ける押圧部が設けられるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の端末装置の構成を示す図である。
図2】スタンプの斜視図である。
図3】スタンプの平面図である。
図4】スタンプの側面図である。
図5】スタンプの断面図である。
図6】スタンプの底面図である。
図7】スタンプの底面における領域を示す図である。
図8】スタンプの変形例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
[端末装置]
図1は、本発明のスタンプ20による接触を受け付ける端末装置10の構成の一例を示している。端末装置10は、表示部11、タッチパネル12、及び制御部13を少なくとも備え、その他、端末装置10の用途に応じた各種機能が実装される。端末装置10の具体例としては、スマートフォン、タブレット端末等が挙げられる。
【0017】
表示部11は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示素子により構成される。表示部11は、端末装置10の筐体の前面に広く設けられる。タッチパネル12は、複数の位置での接触又は押下を同時に検出可能なマルチタッチ方式のタッチパネルである。タッチパネルには、静電的な導電性を持つ物体を接触させることにより検知する方式(例えば、静電容量方式)やタッチパネルが押下されることにより検知する方式(例えば、抵抗膜方式)などがあるが、複数の位置での接触又は押下を同時に検出可能な方式であればいかなる方式であっても構わない。タッチパネル12は表示部11に重畳して設けられ、両者は制御部13による制御の下で協働し、いわゆるタッチパネルディスプレイとして機能する。
【0018】
制御部13は、タッチパネル12において所定の相対的な位置関係を有する複数の位置での接触又は押下が検出されたことを条件に、所定の印影画像を表示部11に表示させる制御を含む所定の制御を行う。この所定の相対的な位置関係を有する複数の位置での接触又は押下を実現すべく、この所定の相対的な位置関係に対応する配置で接触子が設けられたスタンプ20が準備される。所定の処理には、印影画像の表示のほか、スタンプ20を押印する目的に応じて、電子チケットの消込等の処理を含めるとよい。検出した接触の位置の位置関係を相対的に定義することにより、押印される向きによらず位置関係の判定を可能とすることができる。なお、相対的な位置関係を示す情報は、制御部13自身が保持していてもよいし、端末装置10の記憶手段が保持しそこから読み出してもよい。また、ネットワークを介したサーバ等の他の装置が保持しそこから読み出してもよい。所定の印影画像を表示部11に表示する位置は、タッチパネル12が接触を検出した複数の位置に基づき決定されるとよい。例えば、当該複数の位置に対して予め定められた位置、当該複数の位置の重心等に表示するとよい。
【0019】
[スタンプ]
図2は、スタンプ20の構造を示す斜視図である。図3は、スタンプ20の平面図である。図4は、スタンプ20の側面図である。図5はスタンプ20の図3におけるA-A’断面図である。図6は、スタンプ20の底面図である。図2図6に示すように、スタンプ20は、本体部21と接触部22とを備える構成される。
【0020】
本体部21は、主にスタンプ20の上部を構成する被導電性(絶縁性)部材であり、樹脂等で一体的に形成されている。本体部21はフレーム211と、把持部212とを備える。フレーム211は円環状の部材であり中央部に貫通孔が設けられている。フレーム211は、環部の断面部が半円形となる丸みを帯びた形状に形成される。フレーム211の円環の一箇所から円環の径方向外側に把持部212が突設される。把持部212はユーザがスタンプ20を把持しやすくするとともにスタンプ20の向きを認識しやすくする。フレーム211の下面には篏合溝213が設けられる。
【0021】
接触部22は、スタンプ20の下部を構成する導電性の部材であり、導電性の樹脂(導電性ゴム)で一体的に形成される。接触部22の下面は、端末装置10のタッチパネル12に押し当てられる面となる。接触部22は、周縁部221、中央部222、及び接続部223を備える。周縁部221は、本体部21に取り付けられたときにフレーム211の下部に位置する円環状の部材である。周縁部221の上面には、篏合溝213に対応する形状の篏合突起224が設けられている。篏合溝213に篏合突起224が嵌め合わせて圧入することにより、本体部21に接触部22が取り付けられる。周縁部221の円環内の中央部には接続部223を介して中央部222が設けられる。中央部222の下面には後述するように中央接触子226が設けられる。この中央接触子226を含む接触子をタッチパネル12に確実に接触させるために圧力をかけ易くするべく、中央部の上面(すなわち、中央接触子とは反対の面)に押圧部227が設けられる。押圧部227は、接触部22が本体部21に取り付けられた状態でその上端が本体部21の上端と同程度の高さになるよう形成されている。中央部222の上面を押したときに各接触子に加わる押圧力に偏りが生じないように、中央接触子226は接触子が設けられ得る領域の重心位置を含むように設けられとよい。
【0022】
図4図6に示されるように、周縁部221の下面には、タッチパネル12に接触する周縁接触子225が突設されている。図7に示されるように、周縁接触子225は、タッチパネル12に接触させるときに姿勢を安定させるべく周縁接触子225が配置され得る領域R(つまり、周縁部221の下面)を円環の中心角において90度ずつに区切った4つの領域(R1~R4)のそれぞれに少なくとも1つ以上設けられる。また、中央部222の下面には、タッチパネル12に接触する中央接触子226が突設されている。周縁接触子225と中央接触子226の配置パターンがタッチパネル12への接触の位置となる。接触部22は、タッチパネル12が識別できる複数種類の配置パターンのものが用意され、本体部21に付け替えて使うことができる。配置パターンのバリエーションとして、周縁接触子225及び/又は中央接触子226の位置や数を変化させたものを用意するとよい。
【0023】
スタンプ20は、接触子が設けられている接触面とは反対側から接触面の背後を見通せるように構成された見通し領域23を備える。図3及び図5に示されるように、本体部21と接触部22とを嵌め合わせてスタンプ20を組み上げた状態において、フレーム211及び周縁部221が為す円環と中央部222との間の、上方(本体部21側)からスタンプ20の背後を見通せるように構成された部分が本実施形態のスタンプ20における見通し領域23である。見通し領域23は、少なくともその一部が、スタンプ20が有する複数の接触子(周縁接触子225及び中央接触子226)のうち最外部にある接触子(本例では全ての周縁接触子225)を結んだ閉曲線の内側に位置するように構成される。したがって、スタンプ20をタッチパネル12に接触させたことに応じて表示部11に表示される印影画像がスタンプ20外形に隠れてしまうサイズのものであっても、スタンプ20をタッチパネル12に接触させたままの状態で見通し領域23からスタンプ20の直下のタッチパネル12の表示に変化があったか否かを視認することができる。
【0024】
本例では、見通し領域23は固体物質が充填されない空隙として設けられる。なお、見通し領域23は上方(本体部21側)からスタンプ20の背後を見通せるように構成されていれば空隙でなくてもよく、例えば、見通し領域23の一部又は全部が透明な樹脂等の素材が充填されていてもよい。
【0025】
[実施形態の変形]
本発明は上記の実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。すなわち、スタンプ20は、接触入力が端末装置に受け付けられたことに伴う端末装置の画面変化を確認し易くするために見通し領域23を備えていれば、いかなる形状や構造であってもよい。
【0026】
例えば、スタンプ20の押印面の外形は上記実施形態におけるような円形に限定されず、四角形、三角形、楕円形、ハート形等の任意の形状としてよい。
【0027】
また、見通し領域23は、少なくともその一部が複数の接触子のうち最外部にある接触子を結んだ閉曲線の内側に設けられることが好ましいが、本発明のように円環状のフレーム211及び周縁部221の内側に中空状に設けられなくてもよい。例えば、図8(a)から8(b)に示すように、フレーム211及び周縁部221に対する切り欠きとして見通し領域23が設けられてもよい。また、図8(c)に示すように、フレームを周状ではなく中央部から放射状に形成し、その先端付近に設けた接触子を「最外部にある接触子」としてもよい。図8(c)の構成では、図中で破線で囲った領域が見通し領域23となる。
【0028】
また、上記の実施形態では、把持部212は本体部21の一部として形成されたが、接触部22の一部として把持部を設けてもよい。
【0029】
また、上記の実施形態では、端末装置は、スタンプ20による押印時に、タッチパネル12で所定の相対的な位置関係を有する複数の位置への接触又は押下を検知した場合に、印影画像を表示する構成としたが、スタンプ20による押印時の反応は上記に限定されない。例えば、タッチパネル12が所定数以上の位置への接触又は押下を検知した場合に表示部11に、接触又は押下の相対的な位置関係に関わらず、所定数以上の接触又は押下があったことを示す第1の反応(例えば、画面の全面が第1の色で光るなど表示部11の表示内容を変化させる、バイブレータを振動させる、所定の音を鳴らす、等の反応)をし、接触又は押下の相対的な位置関係が所定の関係である場合に第2の反応(例えば、第1の反応とは異なる反応であって、画面の全面が第2の色で光るなど表示部11の表示内容を変化させる、バイブレータを振動させる、所定の音を鳴らす、等の反応)をするようにしてもよい。このように、接触又は押下の数が所定数以上であることを条件に第1の反応をするように構成すれば、少なくとも押印が受け付けられていることをユーザ(例えばチケットのもぎり担当者)に認識させることができる。これにより、押印を受けて実行される処理(例えばサーバとの通信、接触又は押下の相対的な位置関係の照合等)が完了する前に何度もスタンプを押印してしまったり、押印が受け付けられていないにもかかわらず通信等の処理待ちかと誤認して待ち続けてしまったりといった事態を防ぐことができる。その結果、例えば入場ゲートでの電子チケットの消込に当該スタンプを利用する場合等には、消込時の不要な待ち時間を抑制し入場をスムーズにすることができる。また、第1の反応があったにも関わらず第2の反応がない場合には、接触又は押下の相対的な位置関係が間違っていると端末装置が認識していることをユーザに速やかに知らせることができる。
【0030】
また、第2の反応として印影画像を表示するようにしてもよいが、相対的な位置関係が所定の関係であることが確認されただけでは印影画像を表示せず、適切なスタンプの押印に伴い実行される電子チケットの消込等の処理が完了したことを条件に印影画像を表示するようにしてもよい。このようにすれば、少なくとも押印したスタンプが適切であることと、電子チケットの消込等の処理が完了したこととを、区別してユーザに認識させることができる。
【0031】
前述の実施形態またはその具体例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0032】
10 端末装置
11 表示部
12 タッチパネル
13 制御部
20 スタンプ
21 本体部
211 フレーム
212 把持部
213 篏合溝
22 接触部
221 周縁部
222 中央部
223 接続部
224 篏合突起
225 周縁接触子
226 中央接触子
227 押圧部
23 見通し領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8