(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】バイタル情報収集システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01K 13/20 20210101AFI20220930BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220930BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20220930BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
G01K13/20 361Z
A61B5/00 102C
G06Q50/22
A61B5/01 100
(21)【出願番号】P 2018152052
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】513234215
【氏名又は名称】株式会社MSD
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】須田 晃章
(72)【発明者】
【氏名】八木 克也
(72)【発明者】
【氏名】小森 暁
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-055059(JP,A)
【文献】国際公開第2017/108964(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
A61B 5/00,5/01
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも装着者の皮膚体温を含むバイタル情報を測定するウェアラブルのバイタル測定端末と、
設置箇所の周囲の温度を測定する環境温度計と、
前記バイタル測定端末及び前記環境温度計と通信可能に構成され、前記バイタル測定端末にて測定したバイタル情報を収集する管理装置と
を備えるバイタル情報収集システムであって、
前記バイタル測定端末は、前記装着者の皮膚体温を測定する皮膚温度計を備え、当該皮膚温度計が前記装着者の被測定部位に密着した状態を正常装着状態とし、
前記管理装置は、前記バイタル測定端末にて測定した皮膚体温と環境温度計にて測定した環境温度とに基づき、前記バイタル測定端末の装着状態の異常を検知する装着異常検知部を備え
、
前記環境温度計は、測定対象エリア内に複数配置され、
前記装着異常検知部は、前記バイタル測定端末の位置に対応する前記環境温度計が測定した環境温度に基づき、前記バイタル測定端末の装着状態の異常を検知することを特徴とするバイタル情報収集システム。
【請求項2】
前記装着異常検知部は、前記バイタル測定端末にて測定された皮膚温度と環境温度との差が所定値以下の場合に装着状態の異常として検知することを特徴とする請求項1に記載のバイタル情報収集システム。
【請求項3】
前記バイタル測定端末の位置を特定する位置特定部を更に備え、
前記装着異常検知部は、前記位置特定部にて特定した前記バイタル測定端末の位置に対応する前記環境温度計が測定した環境温度に基づき、前記バイタル測定端末の装着状態の異常を検知することを特徴とする請求項
1に記載のバイタル情報収集システム。
【請求項4】
前記装着異常検知部は、前記バイタル測定端末の位置における環境温度の変化に追随して前記バイタル測定端末にて測定された皮膚温度が変化する場合に装着状態の異常として検知することを特徴とする請求項
3に記載のバイタル情報収集システム。
【請求項5】
前記バイタル測定端末との無線通信の基地局となるアクセスポイントを、測定対象エリアをカバーするように複数備え、
前記環境温度計は、個々の前記アクセスポイントに対応して複数設けられ、
前記アクセスポイントは、前記バイタル測定端末から前記管理装置へのバイタル情報の送信を中継する際に、バイタル情報に当該アクセスポイントに対応する環境温度計で測定された環境温度の情報を付加して送信することを特徴とする請求項
1に記載のバイタル情報収集システム。
【請求項6】
コンピュータを請求項1から
5のいずれか1項に記載のバイタル情報収集システムにおける前記管理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイタル情報(生体情報)を取得するバイタル情報収集システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、健康管理等の目的で、体温や血圧等のバイタル情報(生体情報ともいう)が測定・記録されている。近年では、このようなバイタル情報を測定する測定装置を腕時計型のようなウェアラブル機器として構成し、バイタル情報を常時測定することができるようになりつつある(例えば特許文献1を参照)。また、バイタル情報測定装置をネットワークを介してサーバ装置に測定し、バイタル情報の測定値を監視するバイタル情報監視システムも実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
腕時計型のウェアラブル機器としてバイタル情報測定装置を構成する場合、適切な装着状態でなければ正確な測定ができないところ、装着者の動作等によってバイタル情報測定装置が適切な装着状態からずれてしまうことがしばしばある。測定されたバイタル情報が正常範囲を逸脱した場合に、この逸脱が装着者の体調不良により生じたのか、装着状態が不適切なことにより生じたのかを区別することは困難である。このため、腕時計型のバイタル情報測定装置を用いてバイタル情報監視システムを構成する場合、測定されたバイタル情報が正常範囲を逸脱した場合に、その原因に関わらず、アラート(警報)が発報されていた。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、不適切な装着状態を判別可能なバイタル情報収集システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決すべく、本発明に係るバイタル情報収集システムは、少なくとも装着者の皮膚体温を含むバイタル情報を測定するウェアラブルのバイタル測定端末と、設置箇所の周囲の温度を測定する環境温度計と、バイタル測定端末及び環境温度計と通信可能に構成され、バイタル測定端末にて測定したバイタル情報を収集する管理装置とを備える。バイタル情報収集システムにおいて、バイタル測定端末は、装着者の皮膚体温を測定する皮膚温度計を備え、当該皮膚温度計が装着者の被測定部位に密着した状態を正常装着状態とし、管理装置は、バイタル測定端末にて測定した皮膚体温と環境温度計にて測定した環境温度とに基づき、バイタル測定端末の装着状態の異常を検知する装着異常検知部を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成により、不適切な装着状態によりバイタル情報が正常範囲を逸脱したことを判別することが可能となる。
【0008】
本発明では、装着異常検知部は、バイタル測定端末にて測定された皮膚温度と環境温度との差が所定値以下の場合に装着状態の異常として検知するとよい。
【0009】
本発明では、環境温度計は、測定対象エリア内に複数配置され、装着異常検知部は、バイタル測定端末の位置に対応する環境温度測定機が測定した環境温度に基づき、バイタル測定端末の装着状態の異常を検知するとよい。
【0010】
本発明では、バイタル情報収集システムは、バイタル測定端末の位置を特定する位置特定部を更に備え、装着異常検知部は、位置特定部にて特定したバイタル測定端末の位置に対応する環境温度測定機が測定した環境温度に基づき、バイタル測定端末の装着状態の異常を検知するとよい。
【0011】
本発明では、装着異常検知部は、バイタル測定端末の位置における環境温度の変化に追随してバイタル測定端末にて測定された皮膚温度が変化する場合に装着状態の異常として検知するとよい。
【0012】
本発明では、バイタル情報収集システムは、バイタル測定端末との無線通信の基地局となるアクセスポイントを、測定対象エリアをカバーするように複数備え、環境温度計は、個々のアクセスポイントに対応して複数設けられ、アクセスポイントは、バイタル測定端末から管理装置へのバイタル情報の送信を中継する際に、バイタル情報に当該アクセスポイントに対応する環境温度計で測定された環境温度の情報を付加して送信するとよい。
【0013】
また、上記の課題を解決すべく、本発明に係るプログラムは、コンピュータを上記いずれかのバイタル情報収集システムにおける管理装置として機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】アクセスポイントの構成を示すブロック図である。
【
図4】バイタル測定端末の外観の示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係るバイタル情報収集システム1を説明する。
【0016】
図1は、バイタル情報収集システム1の概略図である。バイタル情報収集システム1は、管理装置10、複数のアクセスポイント11、及び測定対象者2に装着されるバイタル測定端末12を備える。測定対象者2は、バイタル情報収集システム1においてバイタル情報を測定して取得する対象であり、本発明における装着者に相当する。管理装置10は、ネットワークNWに接続され、当該ネットワークNWに接続されたアクセスポイント11と通信可能とされる。アクセスポイント11とバイタル測定端末12とは無線LANなど、システムの導入環境に応じた任意の無線通信方式により通信を行う。個々のアクセスポイント11は、それぞれに対応する無線通信エリアCに存在するバイタル測定端末12との無線通信が可能である。アクセスポイント11の個数は任意であるが、各アクセスポイント11の無線通信エリアCを合わせることで所望の測定エリアを網羅できるよう、測定エリア内に複数個、配置するとよい。管理装置10は、アクセスポイント11を介してバイタル測定端末12と通信可能とされ、バイタル測定端末12にて測定したバイタル情報を収集する。
【0017】
図2は、管理装置10の構成の一例を示す図である。管理装置10はコンピュータであり、制御部101、入力部104、表示部105、記憶部106、及び通信部107を備える。
【0018】
制御部101は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、記憶部106に記憶されたプログラムを実行し、管理装置10の機能を実現する。入力部104は、キーボードやポインティングデバイス等の入力デバイスであって、利用者が入力した情報を制御部101に提供する。表示部105は、LCDなどのディスプレイを備え、制御部101の制御に従い各種の情報を表示する表示手段である。記憶部106は、コンピュータを動作させるための基本的なプログラムなどを記憶する不揮発性の記憶媒体(例えば、HDD、フラッシュメモリ等)と、制御部101のワークエリアを提供する揮発性メモリ(例えばRAM)とを備える。記憶部106の不揮発性の記憶媒体には、制御部101が実行する各種プログラム(例えば後述の位置特定プログラム、装着異常検知プログラム等)やその実行に用いるデータ等が記憶される。通信部107は、ネットワークNWに接続するためのインタフェースであり、制御部101の制御に従い、ネットワークNWを介してバイタル測定端末12と通信する。
【0019】
図3は、アクセスポイント11の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、アクセスポイント11は、ネットワーク接続部110、基地局部111、及び環境温度計112を備える。ネットワーク接続部110は、ネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介した通信を確立する。基地局部111は、無線によるネットワークNWを介した通信を中継する無線通信基地局である。基地局部は、例えば、無線LANなど基地局(親機、ステーションなどとも呼ばれる)とするとよい。
【0020】
各アクセスポイント11には自身の識別IDであるアクセスポイントIDが付与されている。ネットワーク接続部110は、バイタル測定端末12から受信した情報を管理装置10に転送するときに、転送する情報にこのアクセスポイントIDを付加して管理装置10に送信する。
【0021】
また、アクセスポイント11は、自身が設置された箇所の温度(環境温度)を測定する環境温度計112を備え、測定した温度を管理装置10に送信する。すなわち、アクセスポイント11は、本発明における環境温度計として機能する。よって、環境温度計112は、個々のアクセスポイント11に対応して複数設けられることになる。なお、アクセスポイント11は、アクセスポイントIDと同様に、バイタル測定端末12から管理装置10へ送られるバイタル情報等を中継する際に、環境温度計112で測定した環境温度の情報をバイタル測定端末12から受信したバイタル情報等に付加して送信する。
【0022】
図4は、バイタル測定端末12の外観の示す斜視図であり、
図5はバイタル測定端末12の機能ブロック図である。バイタル測定端末12は、測定対象者2が手首に装着する腕時計型のウェアラブルのバイタル測定装置である。バイタル測定端末12は、筐体120、バンド121、入力部122、表示部123、制御部124、記憶部125、バイタル情報測定部126、及び通信部127を備える。
【0023】
図4に示すように、筐体120は、その両端に測定対象者2の手首に装着するためのバンド121が取り付けられた腕時計型のバイタル情報測定装置である。筐体120におけるバンド121が設けられていな辺には、入力部122が設けられる。入力部122としては、例えば押しボタンスイッチ等が用いられる。筐体120が測定対象者2に装着されたときに手首に当接する面とは反対の面(腕時計型の文字盤に相当する面)には、表示部123が設けられる。表示部123は、制御部124の制御に従い各種の情報を表示する表示部123は、例えばLEDによる表示素子、液晶表示素子等を用いて構成するとよい。
【0024】
このほか、筐体120は、制御部124、記憶部125、バイタル情報測定部126、及び通信部127等を収容する。記憶部125は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、記憶部125に記憶されたプログラムを実行し、バイタル測定端末12の機能を実現する。記憶部125は、バイタル測定端末12を動作させるための基本的なプログラムなどを記憶する不揮発性の記憶媒体と、制御部124のワークエリアを提供する揮発性メモリ(例えばRAM)とを備える。記憶部125の不揮発性の記憶媒体には、制御部124が実行する各種の制御プログラムやその実行に用いるデータ等が記憶される。通信部127は、ネットワークNWに接続するためのインタフェースであり、制御部124の制御に従い、ネットワークNW(直接的にはアクセスポイント11)を介して管理装置10と通信する。
【0025】
バイタル情報測定部126は、少なくとも、測定対象者2の皮膚体温を測定する皮膚温度計126aを備える。皮膚温度計126aは、筐体120における測定対象者2の手首に当接する面に、検出素子が露出するように設けられる。バイタル測定端末12の正しい装着状態は、皮膚温度計126aが測定対象者2の被測定部位(つまり手首部分の皮膚)に密着するように接した状態であり、この状態において、皮膚温度計126aは測定対象者2の皮膚体温を正しく測定することが可能となる。反対に、正しく装着されていない状態では、皮膚温度計126aは測定対象者2の皮膚体温を正しく測定することができない場合がある。
【0026】
バイタル情報測定部126は、位置特定部10a以外のバイタル情報を測定するセンサ類(例えば、血圧計、脈拍計等)を備えてもよい。また、バイタル測定端末12は、バイタル情報を測定するセンサ以外のセンサ(例えば、加速度センサ、気圧計、照度計等)を備えてもよい。
【0027】
以上のように構成されるバイタル測定端末12は、断続的に(例えば所定の時間間隔ごとに)、バイタル情報測定部126にて測定したバイタル情報を、アクセスポイント11を介して管理装置10に送信する。バイタル測定端末12には自身の識別IDである端末IDが付与され、信号を送信するときにはこの端末IDを付加して送信する。
【0028】
続いて、管理装置10、アクセスポイント11、及びバイタル測定端末12により本発明のバイタル情報収集システム1の機能がどのように実現されているかについて説明する。
図6は、管理装置10の機能ブロック図を示している。管理装置10は、
図6に示すように、位置特定部10a及び装着異常検知部10bを備えている。
【0029】
管理装置10の記憶部106は、位置特定部10aの機能を実現する位置特定プログラムを予め記憶している。そして、管理装置10はこの位置特定プログラムを実行し、次の手順でバイタル測定端末12の現在位置を逐次取得することで、位置特定部10aの機能を実現する。
【0030】
位置特定プログラムは管理装置10の制御部101に読み込まれて実行されることで、アクセスポイント11から当該アクセスポイント11の設置位置を示すアクセスポイントIDと当該アクセスポイント11が受信したバイタル測定端末12の端末IDとを含む応答信号を、通信部107を介して逐次受信し、この受信した応答信号に含まれる情報を受信時刻と対応付けて記憶部106に記憶する。
【0031】
アクセスポイント11は、端末IDを含む信号をバイタル測定端末12から受信すると、この信号にアクセスポイントIDを付加した応答信号を管理装置10に対して送信する。
【0032】
位置特定部10aをこのように構成することで、測定対象者2が装着又は所持するバイタル測定端末12の現在位置情報を逐次収集し、記憶部106に蓄積することができる。なお、バイタル測定端末12の位置の特定方法、及び特定した位置の収集方法は上記の方法に限られず、いかなる方法をとっても構わない。例えば、バイタル測定端末12にGPS受信機等の測位手段を設け、バイタル測定端末12が自らの現在位置を管理装置10に送信するように構成してもよい。
【0033】
管理装置10の記憶部106は、装着異常検知部10bの機能を実現する装着異常検知プログラムを予め記憶している。そして、管理装置10は、この装着異常検知プログラムを実行することにより、装着異常検知部10bの機能を実現し、バイタル測定端末12にて測定した測定対象者2の皮膚体温と環境温度計112にて測定した環境温度とに基づき、バイタル測定端末12の装着状態の異常を検知する。
【0034】
具体的には、装着異常検知部10bは、バイタル測定端末12で測定されて送信された測定対象者2の皮膚体温と、バイタル測定端末12からの送信情報を中継したアクセスポイント11の環境温度計112で測定された環境温度とを、常時監視し、両者の差が所定値以下の場合に装着状態の異常として検知する。すなわち、装着異常検知部10bは、皮膚温度計126aが測定対象者2の被測定部位である手首に密着した状態を正常装着状態とする。バイタル測定端末12が正常に装着されていない場合(例えば、バイタル測定端末12が測定対象者2の手首に十分に密着していない場合等)、バイタル測定端末12が皮膚体温として測定する温度は測定対象者2の実際の皮膚体温から乖離し、バイタル測定端末12の周囲の温度に近づく。したがって、正常に装着されていない状態となると、バイタル測定端末12の周囲の温度は、環境温度計112が測定する環境温度と略等しくなるので、装着異常検知部10bは、両者の差が所定値(例えば1℃)以下となった場合に、装着状態の異常として検知する。なお、環境温度がヒトの体温に近い温度範囲(例えば35℃~38℃)である場合には、装着異常検知部10bは装着異常検知プログラムにより装着状態の異常を検知しないようにしてもよい。
【0035】
装着異常検知部10bは、装着状態の異常を検知した場合、当該装着状態の異常を報知する。例えば、管理装置10の表示部105に、装着状態の異常が検知されたバイタル測定端末12の端末ID(あるいは当該バイタル測定端末12を装着している測定対象者2の氏名等)、位置特定部10aで特定したバイタル測定端末12の位置等を表示するとともに、警報音を発するように構成するとよい。あるいは、表示部105に表示するのと同様の情報を、必要な連絡先(測定対象者2の看護や介護を担当する者、バイタル情報収集システム1の管理者等)に通報するように構成してもよい。
【0036】
このような構成により、バイタル測定端末12の装着状態の異常を素早く検知し、装着のやり直し等の対応を行うことが可能となる。したがって、バイタル測定端末12が正しく装着された状態を維持しやすくなるので、バイタル情報収集システム1で取得するバイタル情報の信頼性を高めることができる。また、装着状態の異常により測定値が異常値を示しているのか、本当に測定対象者2のバイタル情報が異常値となっているのかを区別しやすくすることができる。
【0037】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、上記の実施形態では、アクセスポイント11が環境温度計112を備えたが、アクセスポイント11が環境温度計112を備えず、外部に環境温度測定機が設けられてもよい。この場合、個々のアクセスポイント11について当該アクセスポイント11の位置に対応する環境温度測定機を予め紐づけておき、バイタル測定端末12を通信エリアに含むアクセスポイント11に紐づけられた環境温度測定機で測定した温度を管理装置10が取得するようにするとよい。このような構成においては、環境温度測定機はアクセスポイント11と通信可能に構成し、管理装置10はアクセスポイント11を介して環境温度測定機で測定した温度を取得するようにするとよい。あるいは、管理装置10はアクセスポイント11を介さない通信経路にて環境温度測定機で測定した温度を取得するようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、アクセスポイント11は、バイタル測定端末12から管理装置10へのバイタル情報に、環境温度計112で測定した環境温度の情報を付加して送信したが、アクセスポイント11は、環境温度計112で測定した温度を、管理装置10の要求に応じて送信するようにしてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、装着異常検知部10bは、バイタル測定端末12で測定されて送信された測定対象者2の皮膚体温と、バイタル測定端末12からの送信情報を中継したアクセスポイント11の環境温度計112で測定された環境温度との差が所定値以下の場合に装着状態の異常として検知したが、装着異常検知部10bが異常と判定する条件はこれに限定されない。例えば、装着異常検知部10bは、バイタル測定端末12の位置における環境温度の変化に追随してバイタル測定端末12にて測定された皮膚温度が変化する場合に装着状態の異常として検知してもよい。具体的には、バイタル測定端末12の位置や時間の経過に伴って環境温度が変化したときに、これに追随して皮膚温度が変化する場合に装着状態の異常として検知するとよい。
【0040】
このような環境温度への追随性をより積極的に利用すべく、管理装置10は、バイタル測定端末12の位置にある空調機器の設定温度を変更して環境温度を変化させ、この環境温度の変化に追随して皮膚温度が変化する場合に装着状態の異常として検知するとよい。なお、常に空調機器の設定温度を変更するのではなく、環境温度と皮膚温度との差が所定値以下の場合(つまり装着状態の異常が疑われる場合)に、空調機器の設定温度を変更するように構成することが好ましい。
【0041】
また、上記実施形態では、バイタル測定端末12と無線通信するアクセスポイント11が環境温度計112を備え、バイタル測定端末12の位置はアクセスポイント11のカバーする無線通信エリア内として特定される。このため、バイタル測定端末12の位置と当該位置に対応する環境温度計112は自ずと対応する。しかし、位置特定部10aがバイタル測定端末12の位置を特定する方法が上記実施形態と異なる場合には、管理装置10は、測定対象エリア内の各位置に対応する環境温度計112を予め記憶部106に記憶しておき、装着異常検知部10bは、位置特定部10aにて特定したバイタル測定端末12の位置に対応する環境温度計112が測定した環境温度に基づき、バイタル測定端末12の装着状態の異常を検知するように構成するとよい。
【0042】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。
【符号の説明】
【0043】
1 バイタル情報収集システム
10 管理装置
101 制御部
104 入力部
105 表示部
106 記憶部
107 通信部
10a 位置特定部
10b 装着異常検知部
11 アクセスポイント
110 ネットワーク接続部
111 基地局部
112 環境温度計
12 バイタル測定端末
120 筐体
121 バンド
122 入力部
123 表示部
124 制御部
125 記憶部
126 バイタル情報測定部
126a 皮膚温度計
127 通信部
2 測定対象者
NW ネットワーク