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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ベルトブラシ、清掃装置及び洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A46B 3/18 20060101AFI20220930BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20220930BHJP
   A46B 3/20 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
A46B3/18
B08B1/04
A46B3/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018204533
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2020069036
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】水谷 富士夫
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-56055(JP,U)
【文献】再公表特許第2012/111086(JP,A1)
【文献】特開2008-58902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 1/00-17/08
A46D 1/00-99/00
A61C 17/22-17/40
B08B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の植毛穴を有し、3層以上の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層が貼り合わされて形成されたベルトと、
毛材を束ねて2つ折りにした折り返し部が、金属片により挟持されたブラシと、
を有するベルトブラシにおいて、
前記ベルトは、最下層に高硬度の熱可塑性樹脂シートの層を配置し、該最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層よりも上方に少なくとも1層の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層を配置し、前記最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層と、前記上方の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層の間に、低硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層を少なくとも1層配置すると共に、
前記金属片は、前記植毛穴に挿入固定され、一端が前記最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層まで到達していることを特徴とするベルトブラシ。
【請求項2】
金属片の側面は高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層に当接していることを特徴とする請求項1に記載のベルトブラシ。
【請求項3】
ベルトの最上層を高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層で形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のベルトブラシ。
【請求項4】
ベルトを平面方向から見た場合に、金属片の長手方向と、ベルトの長手方向が略同一方向となるように配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のベルトブラシ。
【請求項5】
ベルトを平面方向から見た場合に、金属片の長手方向と、ベルトの長手方向が略直交方向となるように配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のベルトブラシ。
【請求項6】
移動する被清掃面に当接すると共に、前記被清掃面の移動方向に対して略直交する方向に回転する請求項1~4のいずれか1項に記載のベルトブラシと、
前記ベルトブラシを回転可能に支持する支持装置と、
を有することを特徴とする清掃装置及び/又は洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被清掃面に当接して清掃又は洗浄を行うベルトブラシと、このベルトブラシを備えた清掃装置又は洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動清掃装置等の回転ローラに掛けて回転させるベルトブラシが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1のベルトブラシは、所定幅及び所定長さの無端環状のゴムシートに、前後左右に所定間隔を保って多数の植毛穴を設け、繊維束の結束した一端をゴムシートの植毛穴に貫通させて植毛し、ゴムシートの裏面において、止め針金を繊維束の結束した一端に通して繊維束の位置を固定し、ゴムシートの裏面に接着剤を塗布し、更にその上に織布又はゴムシート等の裏布を貼り付けることにより、繊維束の脱落を防止する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭50-56055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のベルトブラシは、止め針金と織布又は裏布が固定されておらず、繊維束が抜けやすいという課題を有していた。また、ゴムシートに接着剤を塗布して織布又は裏布を貼り付ける工程が必要であり、製造コストがかかるという課題も有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、ブラシを構成する毛材の抜けを防止すると共に、耐久性に優れたベルトブラシと、このベルトブラシを備えた清掃装置及び/又は洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1のベルトブラシの発明は、複数の植毛穴を有し、3層以上の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層が貼り合わされて形成されたベルトと、毛材を束ねて2つ折りにした折り返し部が、金属片により挟持されたブラシと、を有するベルトブラシにおいて、前記ベルトは、最下層に高硬度の熱可塑性樹脂シートを配置し、該最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層よりも上方に少なくとも1層の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層を配置し、前記最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層と、前記上方の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層の間に、低硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層を少なくとも1層配置すると共に、前記金属片は、前記植毛穴に挿入固定され、一端が前記最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層まで到達していることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、ベルトの最下層に高硬度の熱可塑性樹脂シートの層を設けているので、ブラシを挟持する金属片が飛び出すのを防ぐことができると共に、ベルトの厚みを薄くすることができる。また、金属片が植毛穴に挿入されて強固に固定されることから、ブラシの抜け強度を大きくすることができる。また、ベルトブラシが移動する(曲がる、撓む)際に、低硬度層の上方に高硬度層が存在することから、低硬度層に亀裂が生じ難くなり、ベルト全体の耐久性を向上させることができる。さらに、ベルトが過度に屈曲することを防止できるため、金属片及び毛材の抜けを抑制することができる。
【0009】
請求項2のベルトブラシの発明は、請求項1の発明において、金属片の側面は高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層に当接していることを特徴としている。したがって、金属片が植毛穴の側面側から高硬度の層にくい込むこととなるので、金属片がさらに強固に固定されることから、ブラシの抜け強度を大きくすることができる。
【0010】
請求項3のベルトブラシの発明は、請求項1又は2の発明において、ベルトの最上層を高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層で形成したことを特徴としている。したがって、ベルトブラシが屈曲した場合に、植毛穴の開口が変形して広がるのを抑えることができ、ブラシの抜けを防ぐことができる。
【0011】
請求項4のベルトブラシの発明は、請求項1~3のいずれかの発明において、ベルトを平面方向から見た場合に、金属片の長手方向と、ベルトの長手方向が略同一方向となるように配置されていることを特徴としている。したがって、ブラシを構成する毛材が被清掃面(被洗浄面)に均等に当たることから、清掃効果(洗浄効果)を高めることができる。また、毛材に加わる力が分散されるので毛材の抜けを防ぐことができ、ブラシの寿命を長くすることができる。
【0012】
請求項5のベルトブラシの発明は、請求項1~3のいずれかの発明において、ベルトを平面方向から見た場合に、金属片の長手方向と、ベルトの長手方向が略直交方向となるように配置されていることを特徴としている。したがって、ベルトブラシが長手方向に撓む際に、金属片は、植毛穴の開口の変形による広がりの影響を受け難くなるので、金属片の抜けを防止することができる。
【0013】
請求項6の清掃装置及び/又は洗浄装置の発明は、移動する被清掃面に当接すると共に、前記被清掃面の移動方向に対して略直交する方向に回転する請求項1~4のいずれかのベルトブラシと、前記ベルトブラシを回転可能に支持する支持装置と、を有することを特徴としている。したがって、毛材及び金属片の抜けを防止すると共に、耐久性に優れたベルトブラシを備えたものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1のベルトブラシの発明は、ブラシを挟持する金属片が飛び出すのを防ぐことができると共に、ベルトの厚みを薄くすることができる。また、ブラシの抜け強度を大きくすることができる。さらに、ベルト全体の耐久性を向上させることができると共に、金属片及び毛材の抜けを抑制することができる。
【0015】
請求項2のベルトブラシの発明は、ブラシの抜け強度を大きくすることができる。また、請求項3のベルトブラシの発明は、ブラシの抜けを防ぐことができる。また、請求項4のベルトブラシの発明は、清掃効果(洗浄効果)を高めることができると共に、毛材の抜けを防ぐことができ、ブラシの寿命を長くすることができる。
【0016】
請求項5のベルトブラシの発明は、金属片の抜けを防止することができる。また、請求項6の清掃装置及び/又は洗浄装置の発明は、毛材及び金属片の抜けを防止すると共に、耐久性に優れたベルトブラシを備えたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るベルトブラシの第1実施形態の斜視図
図2】(a)図1の一部A-A断面図(b)図1の一部B-B断面図
図3】(a)本発明に係るベルトブラシの第2実施形態の断面図(b)本発明に係るベルトブラシの第3実施形態の断面図(c)本発明に係るベルトブラシの第4実施形態の断面図
図4】(a)本発明に係るベルトブラシの第1実施形態の一部平面図(b)本発明に係るベルトブラシの第5実施形態の一部平面図
図5】本発明に係る清掃装置(洗浄装置)を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明に係るベルトブラシの第1実施形態の斜視図であり、図2(a)は、図1の一部A-A断面図、図2(b)は図1の一部B-B断面図である。これらの図を用いて本発明に係るベルトブラシの第1実施形態を以下に説明する。
【0020】
第1実施形態のベルトブラシ10は、複数の植毛穴1a、1a・・を有し、4層の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層2a、2b、3a、3bが貼り合わされて形成されたベルト4と、毛材5、5・・を束ねて2つ折りにした折り返し部5aが、金属片6により挟持されたブラシ7とから構成されている。
【0021】
ここでいう熱可塑性樹脂シートの層とは、例えば熱可塑性樹脂をシート状に硬化させたもの、熱可塑性樹脂繊維をシート状に織ったもの、繊維に熱可塑性樹脂をコーティングしてシート状にしたものなど、熱可塑性樹脂を用いたシート形状の層が含まれる。また、布の層とは、例えば綿などの天然繊維や化学繊維(熱可塑性樹脂繊維を除く)を織物、編み物、レース、フェルト、不織布にしたものであり、繊維を板状に加工したものが含まれる。さらにまた、ゴムシートの層とは、例えばゴムノキのラテックスによって作られる天然ゴムや、人工的に合成して作られる合成ゴム(熱可塑性樹脂を除く)を板状に加工したものが含まれる。
【0022】
そして、ベルト4は、最下層に高硬度の熱可塑性樹脂シートの層2aを配置し、この最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層2aよりも上方に高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層2bを配置し、最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層2aと、上方の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層2bの間に、低硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層3aを配置している。また、高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層2bの上方に低硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層3bを配置している。ベルト4は、全体の約7~8割が低硬度層3a、3bで形成されているが、高硬度層2a、2bの割合を大きくすることによって、耐久性の高いベルト4を作成することができる。また、ベルトブラシ10を清掃装置又は洗浄装置に装着した場合に、レール(図示せず)に当接する高硬度層は、摩擦、磨耗に対する耐久性を向上させ、繊維のほつれが発生するのを防止できる。
【0023】
また、金属片6は、植毛穴1aに挿入固定され、金属片6の一端6aが最下層の高硬度層2aまで到達している。尚、金属片6は、最下層の高硬度層2aを貫通してはおらず、一端6aは、端部全体又は一部が高硬度層2aの途中に留まっている。また、植毛穴1aは回転ドリルにより円筒形状又は円錐形状の穴となるよう形成されており、植毛穴1aの底面は最下層の高硬度層2a若しくは隣接する低硬度層3aに形成されている。
【0024】
植毛穴1aは、直径が2.0mm~5.7mmの範囲内となるように形成されるが、2.0mm~2.5mmの範囲内となるのが好ましい。また、隣り合う植毛穴1a、1a間のピッチの長さは、植毛穴1aの直径の約2倍となるように形成されている。また、毛材5の毛丈は、最上層3bの表面から端部までの長さが5.0mm~70.0mmの範囲内となるように形成されるが、40.0mmとなるのが好ましい。尚、毛材の先端部5bは、根元部5cよりも若干広がっている。毛材5の材質は特に限定するものではないが、通常は、ナイロンが使用される。
【0025】
第1実施形態のベルトブラシ10は、最上層に低硬度の熱可塑性樹脂シートの層3bを配置しているので、ベルト4のブラシ7側を外側として撓ませる場合には、容易に撓ませることができ、清掃時(洗浄時)の衝撃に対して耐久性を発揮させることができる。さらに、高硬度層2bをベルトの下層側(ベルト厚み方向における中央部より下層側)に形成することで、より撓み易いベルトブラシ10を設計することができる。
【0026】
尚、高硬度層か低硬度層かは硬度の比較で決定されるものであり、例えば、低硬度層3bをウレタン樹脂(硬度76度)、低硬度層3aをナイロン帆布(硬度83度)、高硬度層2bをポリエステル樹脂(硬度90度)、高硬度層2aをフッ素樹脂(硬度93度)というように、2層の高硬度層が2層の低硬度層よりも高い硬度であればよく、2層の低硬度層が同じ材質又は同じ硬度でなくてもよく、2層の高硬度層が同じ材質又は同じ硬度でなくてもよい。好適には、最下層2aの硬度が最も高い硬度となるように配置するのが好ましい。尚、高硬度層にはコーティングにより形成される層も含まれるものであり、例えば、低硬度層3aの底面側を高硬度のコーティング剤によりコーティングすることによって、高硬度層2aが形成される場合も本発明に含まれる。また、材質は限定されるものではないが、好適な高硬度層にはフッ素樹脂(硬度93度)、シリコーン樹脂(硬度93度)、ポリエステル樹脂(硬度90度)が用いられ、低硬度層には、ナイロン樹脂(硬度83度)、ウレタン樹脂(硬度76度)、綿(硬度73度)、ポリ塩化ビニル樹脂(硬度60度)、ゴム(硬度50~70度)が想定される。ここで示す硬度は、デュロメーターで熱可塑性樹脂シート、布またはゴムシートの層を計測した実測値(JIS K 6253)である。
【0027】
また、第1実施形態では、低硬度層と高硬度層を交互に配置した4層で形成されているが、最下層に高硬度の熱可塑性樹脂シートの層を配置し、この最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層よりも上方に少なくとも1層の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層を配置し、前記最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層と、前記上方の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層の間に、低硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は及び/又はゴムシートの層を少なくとも1層配置したベルトであれば本発明を構成するベルトに含まれる。
【0028】
金属片6は、図2(a)及び(b)に示すように、ワイヤー針金をループ状に変形させてループ状部6bが形成されており、このループ状部6bに毛材5の折り返し部5cが挟持されている。また、ループ状部6bの側面は、植毛穴1aから高硬度層2bに当接している。これにより、毛材5が上方に引き抜かれる際の抵抗が強くなり、抜け強度を増加させている。尚、ループ状部6bの側面を高硬度層2bにくい込ませることによって更に抜け強度を増加させることができる。
【0029】
また、金属片6は、前述したとおり、植毛穴1aに挿入固定され、金属片6の一端6aを最下層の高硬度層2aまで到達させているが、他端6cも最下層の高硬度層2aまで到達させることによって、毛材5の抜け強度を増加させることができる。さらにまた、金属片6は、ワイヤー針金の様な断面略丸形だけでなく、角の多い断面多角形や、当接面積を増やした断面長方形とすることで、より強く最下層の高硬度層2aに固定することができる。
【0030】
図3(a)は、本発明に係るベルトブラシの第2実施形態の断面図である。第2実施形態のベルトブラシ20は、複数の植毛穴11a、11a・・を有し、5層の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層12a、12b、12c、13a、13bが貼り合わされて形成されたベルト14と、毛材15、15・・を束ねて2つ折りにした折り返し部15aが、金属片16により挟持されたブラシ17とから構成されている。
【0031】
そして、ベルト14は、最下層に高硬度の熱可塑性樹脂シートの層12aを配置し、この最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層12aよりも上方に高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層12bを配置し、さらに、表層にも高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層12cを配置し、最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層12aと、上方の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層12bの間に、低硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層13aを配置している。また、高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層12bと、表層の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層12cの間に低硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層13bを配置している。表層に高硬度の層12cを設けることによって、根元穴11aの開口が広がり難くなるので、毛材15の抜けを防止することができる。また、ベルト14が撓む際に、最も伸びる場所はベルト14の最上面(表層)側であるが、これを高硬度の層12cとすることによって、ベルトブラシ14の表面及び低硬度の層13bにひび割れや亀裂が入るのを防止することができる。
【0032】
ここで、高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層12a、12b、12cは、ポリエステル繊維にポリエステル樹脂をコーティングしたシートを使用するのが好ましい。また、低硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層13a、13bは、ウレタン樹脂を使用するのが好ましい。尚、高硬度の層12a、12b、12cは、同じ材質に限定されるものではなく、低硬度の層13a、13bよりも高い硬度であれば異なる材質であってもよい。また、最下層12aが最も高い硬度にすると共に、表層12cを撓みやすくするために高硬度の3層の中で最も低い硬度にすることもできる。
【0033】
金属片16は、図3(a)に示すように、ワイヤー針金をループ状に変形させてループ状部16bが形成されており、このループ状部16bに毛材15の折り返し部15aが挟持されている。また、ループ状部16bの側面は、植毛穴11aから高硬度層12bに当接している。これにより、毛材15が上方に引き抜かれる際の抵抗が強くなり、抜け強度を増加させている。尚、ループ状部16bの側面を高硬度層12bにくい込ませることによって更に抜け強度を増加させることができる。
【0034】
図3(b)は、本発明に係るベルトブラシの第3実施形態の断面図である。第3実施形態のベルトブラシ30は、複数の植毛穴21a、21a・・を有し、3層の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層22a、22b、23aが貼り合わされて形成されたベルト24と、毛材25、25・・を束ねて2つ折りにした折り返し部25aが、金属片26により挟持されたブラシ27とから構成されている。
【0035】
そして、ベルト24は、最下層に高硬度の熱可塑性樹脂シートの層22aを配置し、この最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層22aよりも上方の表層に高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層22bを配置し、最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層22aと、表層の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層22bの間に、低硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層23aを配置している。また、金属片26は、ワイヤー針金をループ状に変形させてループ状部26bが形成されており、このループ状部26bに毛材25の折り返し部25aが挟持されている。また、ループ状部26bの側面は、植毛穴21aから表層の高硬度層22bに当接している。かかる構成とすることで、ベルト厚みを薄くできる共に、毛材の抜け強度を増加させることができる。
【0036】
図3(c)は、本発明に係るベルトブラシの第4実施形態の断面図である。第4実施形態のベルトブラシ40は、複数の植毛穴31a、31a・・を有し、3層の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層32a、32b、33aが貼り合わされて形成されたベルト34と、毛材35、35・・を束ねて2つ折りにした折り返し部35aが、金属片36により挟持されたブラシ37とから構成されている。
【0037】
そして、ベルト34は、最下層に高硬度の熱可塑性樹脂シートの層32aを配置し、この最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層32aよりも上方の表層に高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層32bを配置し、最下層の高硬度の熱可塑性樹脂シートの層32aと、表層の高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層32bの間に、低硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層33aを配置している。また、金属片36は、ワイヤー針金をループ状に変形させてループ状部36bが形成されており、このループ状部36bに毛材35の折り返し部35aが挟持されている。また、ループ状部36bの側面は、植毛穴31aから最下層の高硬度層32aに当接している。そして、最下層の高硬度層32aは、上方の低硬度層33aと同程度又はそれより厚い層が形成されている。かかる構成とすることで、金属片がベルトブラシを貫通することなく、ベルト表層から飛び出ることも抑制できるため、金属片に余分な力が加わることを防止できる。
【0038】
図4(a)は、本発明に係るベルトブラシの第1実施形態の一部平面図である。第1実施形態のベルトブラシ10は、ベルト4を平面方向から見た場合に、金属片6の長手方向(黒塗り矢印)と、ベルト4の長手方向(白抜き矢印)が略同一方向となるように配置されている。これにより、ブラシ7を構成する毛材5が被清掃面(被洗浄面)に均等に当たることから、清掃効果(洗浄効果)を高めることができる。また、毛材5に加わる力が分散されるので毛材5の抜けを防ぐことができ、ブラシ7の寿命を長くすることができる。尚、金属片6の形状は種々の形態をとることができ、平面方向から見た場合に金属片の長手方向と、ベルトの長手方向が略同一方向となるように配置されていれば、板状、ひし形状の金属片も採用することができる。また、高硬度層2bに当接する金属片6の面積を大きくすることによって、毛材5の引き抜き強度を高めることができる。
【0039】
図4(b)は、本発明に係るベルトブラシの第5実施形態の一部平面図である。第5実施形態のベルトブラシ50は、ベルト44を平面方向から見た場合に、金属片46の長手方向(黒塗り矢印)と、ベルト44の長手方向(白抜き矢印)が略直交する方向となるように配置されている。これにより、ベルトブラシ50が長手方向に撓む際に、金属片46は、植毛穴41aの開口の変形による広がりの影響を受け難くなるので、金属片46の抜けを防止することができる。
【0040】
図5は、本発明に係る清掃装置(洗浄装置)を示す斜視図である。清掃装置(洗浄装置)60は、移動する鋼板53の被清掃面53a、53bに当接すると共に、鋼板53の被清掃面53a、53bの移動方向に対して略直交する方向にエンドレス回転する2つのベルトブラシ10、10と、このベルトブラシ10、10を回転可能に支持する変向ローラ54、54から構成される支持装置51とを有している。被清掃面53a、53bの移動は、ローラーコンベア52によってなされる。そして、2つのベルトブラシ10、10を構成するベルト4の毛材5によって、被清掃面53a、53bが清掃又は洗浄される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るベルトブラシ、清掃装置及び洗浄装置は、被清掃面に当接して清掃又は洗浄を行う機器として利用される。
【符号の説明】
【0042】
1a 植毛穴
2a、2b、3a、3b 高硬度の熱可塑性樹脂シート及び/又は布及び/又はゴムシートの層
4 ベルト
5 毛材
5a 折り返し部
5b 先端部
5c 根元部
6 金属片
6a 一端
6b ループ状部
6c 他端
7 ブラシ
10、20、30、40、50 ベルトブラシ
51 支持装置
52 ローラーコンベア
53 鋼板
53a、53b 被清掃面
54 変向ローラ
60 清掃装置(洗浄装置)
図1
図2
図3
図4
図5