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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】首振り商品陳列具
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
A47F5/00 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018239032
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020099463
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真野 浩太
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-153276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に取り付けられる固定部と、
該固定部に水平方向に回動自在に取り付けられる上下方向に延びる回転軸と、
該回転軸の後方において固定部に付設される、前から後への作用力で後方に撓み、該作用力がなくなることで元に戻る板バネ部と、
該回転軸から前方に延びる商品が吊り下げられる該回転軸と一体の商品陳列バーと、
該回転軸の周面から外側に延びる、該板バネ部に近接又は当接する突起部と、を備え、
該回転軸は、該商品陳列バーに横方向の外力が作用して回転し、該突起部が該板バネ部を後方へ押し込み、該外力がなくなることで、該板バネ部のバネ復元力により元の位置に戻されることを特徴とする首振り商品陳列具。
【請求項2】
該突起部は、該回転軸から左右方向に延び、且つ後側に至る鍔状であり、鍔状の先端形状が、平面視で後方に突のアール形状であり、側面視で後方下り傾斜状であることを特徴とする請求項1記載の首振り商品陳列具。
【請求項3】
該板バネ部は、上端又は下端が固定され該固定端より下方又は上方の周りがくり抜き状で、側面視が前方上り傾斜となる傾斜面を有し、該突起部の後方下り傾斜面と該板バネ部の前方上り傾斜面が当接又は近接していることを特徴とする請求項2に記載の首振り商品陳列具。
【請求項4】
該突起部は、該回転軸から左右方向に延び、且つ後側に至る鍔状であり、鍔状の先端形状が、平面視で後方に突のアール形状であり、側面視で後方上り傾斜状であることを特徴とする請求項1記載の首振り商品陳列具。
【請求項5】
該板バネ部は、上端又は下端が固定され該固定端より下方又は上方の周りがくり抜き状で、側面視が前方下り傾斜となる傾斜面を有し、該突起部の後方上り傾斜面と該板バネ部の前方下り傾斜面が当接又は近接していることを特徴とする請求項に記載の首振り商品陳列具。
【請求項6】
該突起部は、該回転軸の周面から斜め後方に延びる左右一対の突起であることを特徴とする請求項1記載の首振り商品陳列具。
【請求項7】
該板バネ部は、平面視がX状にクロスする斜め前方に延びる上下一対の傾斜部を有し、該回転軸は、該一対の傾斜部のクロスの前方に位置し、該一対の突起部の一方が、該一対の傾斜部の一方に当接又は近接し、該一対の突起部の他方が、該一対の傾斜部の他方に当接又は近接することを特徴とする請求項6記載の首振り商品陳列具。
【請求項8】
該突起部は、該商品陳列バーが平面視で反時計周りの際、該突起部の回転軸の軸中心より右部が該板バネの右部に当たり、該商品陳列バーが平面視で時計周りの際、該突起部の回転軸の軸中心より左部が該板バネの左部に当たることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の首振り商品陳列具。
【請求項9】
該商品陳列バーに力がかかり回転軸が平面視で反時計回りに回転する際、該突起部の一方は、該一対の傾斜部の一方のバネ力を受け、回転軸が平面視で時計回りに回転する際、該突起部の他方は、該一対の傾斜部の他方のバネ力を受けることを特徴とする請求項7記載の首振り商品陳列具。
【請求項10】
該商品陳列バーの上方に位置し、該回転軸から前方に延びる該回転軸と一体の商品表示バーを更に、有することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の首振り商品陳列具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後方向に延びる商品陳列バーに衝撃が加わった際、商品陳列バーが左右に首を振り、衝撃力を緩和するため、破損せず、且つ怪我や事故を防止する首振り商品陳列具に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパー、コンビニ及び量販店などにおいて、丸棒状の商品陳列バーに前後方向に多数の陳列商品を吊り下げて陳列販売する商品陳列具が知られている。例えば、特開平11-76011号公報には、商品陳列棚のバー部材1に着脱可能に取付けられる係合部2と、前記係合部2に後端部が着脱可能に固定された商品陳列バー3と、前記商品陳列バー3の上部に位置し前記係合部2又は前記商品陳列バー1の後端部と連結された支持バー4と、を有し、前記係合部2が樹脂製で、前記商品陳列バー3が金属製、及び前記支持バー4が金属製又は樹脂製である商品陳列具10cが開示されている。
【0003】
特開平11-155707号公報には、商品陳列用枠体5等に着脱可能又は着脱不可能に取付けられる係合片1と、この係合片1に後端部が着脱可能又は着脱不可能に取付けられる後端部から前方に向けてやや下方に傾斜する傾斜部21、商品50の前方への移動を制限する制動部22及び取出し部23を形成する商品陳列バー2と、この商品陳列バー2の上方に位置し前記係合片1と連結された支持バー3と、この支持バー3にスライド移動可能に取付けられ前記商品陳列バー2に支持された商品50を前方に押し付けることができる押し付け体4とを備える商品陳列具10が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-76011号公報(請求項1)
【文献】特開平11-155707号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら従来の商品陳列バーを備える商品陳列具は、商品陳列バーが、壁や横バーなどの固定部材に直接または固定部を介して間接的に固定されている。すなわち、前後方向に延びる商品陳列バーは、固定されたものである。また、商品陳列具は、横方向及び縦方向に、多数が付設されており、その前を商品を探す顧客の往来がある。また、商品陳列バーに商品を吊り下げるための作業も行われる。このため、商品陳列バーに顧客又は作業者が衝突することがあり、その際、商品陳列バーの破損が生じたり、人が怪我をするなどの問題があった。そこで、前後方向に延びる商品陳列バーに衝撃が加わった際、衝撃力を緩和して、破損せず、且つ怪我や事故を防止する首振り商品陳列具の開発が求められていた。
【0006】
すなわち、本発明の目的は、商品陳列バーに衝撃が加わった際、衝撃力を緩和して、破損せず、且つ怪我や事故を防止する商品陳列具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、上記課題を解決するものであり、固定部材に取り付けられる固定部と、該固定部に水平方向に回動自在に取り付けられる上下方向に延びる回転軸と、該回転軸の後方において固定部に付設される、前から後への作用力で後方に撓み、該作用力がなくなることで元に戻る板バネ部と、該回転軸から前方に延びる商品が吊り下げられる該回転軸と一体の商品陳列バーと、該回転軸の周面から外側に延びる、該板バネ部に近接又は当接する突起部と、を備え、該回転軸は、該商品陳列バーに横方向の外力が作用し、該突起部が該板バネ部を後方へ押し込むことで回転し、該外力がなくなることで、該板バネ部のバネ復元力により元の位置に戻されることを特徴とする首振り商品陳列具を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、該突起部は、該回転軸から左右方向に延び、且つ後側に至る鍔状であり、鍔状の先端形状が、平面視で後方に突のアール形状であり、側面視で後方下り傾斜状であることを特徴とする前記首振り商品陳列具を提供するものである。。
【0009】
また、本発明は、該板バネ部は、上端又は下端が固定され該固定端より下方又は上方の周りがくり抜き状で、側面視が前方上り傾斜となる傾斜面を有し、該突起部の後方下り傾斜面と該板バネ部の前方上り傾斜面が当接又は近接していることを特徴とする前記首振り商品陳列具を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該突起部は、該回転軸から左右方向に延び、且つ後側に至る鍔状であり、鍔状の先端形状が、平面視で後方に突のアール形状であり、側面視で後方上り傾斜状であることを特徴とする前記首振り商品陳列具を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該板バネ部は、上端又は下端が固定され該固定端より下方又は上方の周りがくり抜き状で、側面視が前方下り傾斜となる傾斜面を有し、該突起部の後方上り傾斜面と該板バネ部の前方下り傾斜面が当接又は近接していることを特徴とする前記首振り商品陳列具を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該突起部は、該回転軸の後方側において斜め後方に延びる左右一対ものであることを特徴とする前記首振り商品陳列具を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、該板バネ部は、平面視がX状にクロスする斜め前方に延びる上下一対の傾斜部を有し、該回転軸は、該一対の傾斜部のクロスの前方に位置し、該一対の突起部の一方が、該一対の傾斜部の一方に当接又は近接し、該一対の突起部の他方が、該一対の傾斜部の他方に当接又は近接することを特徴とする前記首振り商品陳列具を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、該突起部は、該商品陳列バーが平面視で反時計周りの際、該突起部の回転軸の軸中心より右部が該板バネの右部に当たり、該商品陳列バーが平面視で時計周りの際、該突起部の回転軸の軸中心より左部が該板バネの左部に当たることを特徴とする前記首振り商品陳列具を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、該商品陳列バーに力がかかり回転軸が平面視で反時計回りに回転する際、該突起部の一方は、該一対の傾斜部の一方のバネ力を受け、回転軸が平面視で時計回りに回転する際、該突起部の他方は、該一対の傾斜部の他方のバネ力を受けることを特徴とする前記首振り商品陳列具を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、該商品陳列バーの上方に位置し、該回転軸から前方に延びる該回転軸と一体の商品表示バーを更に、有することを特徴とする前記首振り商品陳列具を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の首振り商品陳列具(以下、単に「商品陳列具」とも言う。)によれば、前後方向に延びる商品陳列バーに左右方向への力(衝撃力)が加わった場合、商品陳列バーが左右に首を振り、衝撃力を緩和するため、破損せず、且つ怪我や事故を防止することができる。例え、商品陳列バーが90度近く回転しても、板バネ部は突起部の回転軸中心から左右方向の外側部に当たるため、トルクが発生し、回転軸は確実に元に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態における商品陳列具の斜視図である。
図2図1の商品陳列具の分解斜視図である。
図3図1の商品陳列具の板バネ部の拡大斜視図である。
図4】板バネ部の縦断面図である。
図5図1の商品陳列具の突起部周りの正面図である。
図6図1の商品陳列具の突起部周りの右側面図である。
図7図1の商品陳列具の突起部周りの平面図である。
図8図1の商品陳列具の一部を判断して示す斜視図である。
図9図8において、回転軸が回転した状態の斜視図である。
図10】回転軸が平面視で反時計回りに回転した際の突起部と板バネ部の当接点の軌跡を正面から見た図であり、(A)が外力が作用して回転軸が回転した過程であり、(B)が元の位置に戻る復元過程を示す。
図11】回転軸が平面視で時計回りに回転した際の突起部と板バネ部の当接点の軌跡を正面から見た図であり、(A)が外力が作用して回転軸が回転した過程であり、(B)が元の位置に戻る復元過程を示す。
図12】(A)は正常時における突起部と板バネ部の関係を示す平面図であり、(B)は、その右側面図である。
図13】(A)は回転軸が平面視で反時計周りに回転した際の突起部と板バネ部の関係を示す平面図であり、(B)は、その右側面図である。
図14】(A)は回転軸が平面視で反時計周りに更に回転した際の突起部と板バネ部の関係を示す平面図であり、(B)は、その右側面図である。
図15】本発明の他の実施の形態におけるす商品陳列具の断面図である。
図16】本発明の他の実施の形態における一部を破断して示す商品陳列具の斜視図である。
図17図16の商品陳列具の首振りの作用を説明する部分断面図である。
図18】本発明の他の実施の形態における商品陳列具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態における商品陳列具を、図1図14を参照して説明する。図8及び図9中、板バネ部以外の本体部の描写は省略する。明細書中、顧客側が正面であり、回転軸2の回転方向(時計回りなど)は、特段の断りがない場合は、平面視である。商品陳列具10は、バー部材等の固定部材(不図示)に取り付けられる固定部1と、固定部1に水平方向に回動自在に取り付けられる上下方向に延びる回転軸2と、回転軸2の後方で且つ固定部1に付設される、前から後への作用力で後方に撓み、該作用力がなくなることで元に戻る板バネ部3と、回転軸2から前方に延びる商品が吊り下げられる回転軸2と一体の商品陳列バー4と、回転軸2の周面から外側に延びる、板バネ部3に近接又は当接する突起部5と、を備える。
【0020】
固定部1は、バー部材等の固定部材に取着される係止フック13を後方上部に有し、前方には、回転軸2を水平方向に回動自在に支持する支持部11a、11bを有する。支持部11a、11bは、共に平面視がU字形状で、上方の支持部11aは上下に貫通した側面枠で構成され、下方の支持部11bは、底面を有し上方開口である以外は上方の支持部11aと同形状の側面枠を有する。回転軸2と支持部11a、11bは、回転自在となるような隙間を形成している。これにより、回転軸2は、その場で回転できる。また、支持部11aの下方位置及び支持部11bの上方位置に、回転軸2の後方移動を規制する縦壁11c、11dが形成されている。
【0021】
商品陳列具10において、固定部1の中央には、板バネ部3が形成されている。板バネ部3は、下端が固定部1の本体部19に固定され、下端より上方の周りがくり抜きの隙間12を有する起立状であり、薄肉状の下部31と、下部31の上端から上方に向けて連続し、側面視が前方上り傾斜となる傾斜面321を有する上部32とからなる。下部31を薄板とすることで、後方への作用力で、後方へ撓み、作用力が除かれることで、形状が元に復元する板バネとなる。また、上部32の側面視が前方上り傾斜となる傾斜面321と、回転軸2に付設された突起部5の前方上り傾斜面52とが当接又は近接しており、回転軸2が回転しても、回転軸2を元の姿勢に戻す自動復元を可能にしている。なお、商品陳列具10において、板バネ部3の固定は、下端に限定されず、上端が固定部1の本体部19に固定され、上端より下方の周りがくり抜きの隙間を有する吊り下げ状であってもよい。この場合、薄肉部は、固定端側である上部に位置する。
【0022】
商品陳列具10において、突起部5は、回転軸2の周面から外側に延びる、板バネ部3に近接又は当接するものであり、本例では、回転軸2の平面視で略後方半分の周面から左右方向に延び、且つ後側に至る鍔状であり、鍔状の先端形状が、平面視で後方に突のアール形状であり、側面視で後方下り傾斜状である。突のアール形状としては、円弧であり、略半円形状である(図6及び図7)。板バネ部3に当接又は近接する突起部5部分は、鍔状の先端(図では、後端)が平面視で円弧形状であり、板バネ部3の傾斜面に対応する傾斜面である。突起部5の後端の円弧部分をこのような形状とすること、及び板バネ部3の前方上り傾斜面321と当接する部分を後方下り傾斜面としたことで、特に、板バネ部3が元の形状に復元する際、自動復元が得られる。また、突起部5を、回転軸2の平面視で略後方半分の周面から左右方向に延び、且つ後側に至る鍔状としたことで、回転軸2が平面視で反時計回りとなるような外力が、商品陳列バー4に作用した場合、鍔状の突起部5の平面視で右側の部分が、板バネ部3と当たり、逆に、回転軸2が平面視で時計回りとなるような外力が、商品陳列バー4に作用した場合、鍔状の突起部5の平面視で左側の部分が、板バネ部3と当たり、共に、その回転を板バネ力により抑制し、その後は、板バネ部のバネ力により、自動復元とすることが可能となる。
【0023】
商品陳列具10は、通常状態(陳列状態)において、商品陳列バー4は前方へ延びており、多数の商品が吊り下げられる。その際、突起部5の後端511は、板バネ部3の上部32の下端部、本例では、上部32と下部31の境界に僅かに当接しているか、又は僅かな隙間を介して接している(図12(B))。また、突起部5の後端511は、板バネ部3の左右方向の中心位置にある。また、突起部5の後方下り傾斜面52と板バネ部3の前方上り傾斜面321は互いに当接又は近接している。
【0024】
次に、商品陳列具10の使用方法について説明する。商品陳列具10は、陳列状態において、商品陳列バー4は前方へ延びており、多数の商品が吊り下げられている。商品陳列バー4の前方は、顧客側であり、顧客が吊り下げられた商品を手前に引くことで、商品を取り出せる。この状態において、例えば、顧客の腕が、商品陳列バー4の左側に当たり、商品陳列バー4に左側から右側に外力が作用した場合について説明する。商品陳列バー4は回転軸2と一体になっている。一方、回転軸2は回転可能に支持され、回転軸2の突起部5は、板バネ部3に近接して位置している。また、板バネ部3は、後方への作用力で、後方に撓むものである。このため、回転軸2が平面視で反時計周りに回転すると、突起部5が板バネ部3の上部の傾斜面321に当たり、板バネ部3を後方に押しやりつつ、回転する。また、その回転は、板バネ部3のバネ力に抗しており、その作用力は弱められる。商品陳列バー4に当たる力が強い場合、商品陳列バー4は、片側で最大90度に近い角度まで回転する。なお、商品陳列バー4の回転が、90度以上とならないよう、例えば、固定部1の本体部19の前方部115と回転軸2の突起(不図示)とが当たることで、その回転を規制すればよい。
【0025】
回転軸2の突起部5は、平面視が円弧で、且つ側面視が後方下り傾斜であるため、回転軸2が平面視で反時計周りに回転すると、突起部5の板バネ部3に当接する部分の軌道は、当初の位置より円弧軌道を描き、上方向に移動する(図10(A))。すなわち、陳列状態における突起部5の板バネ部3に当接する部分は、図6及び図7の符号511であり、90度回転後の突起部5の板バネ部3に当接する部分は、符号512であり、図6に示す通り、符号512の地点は、符号511の地点より上方に位置している。
【0026】
このように、回転軸2に平面視で反時計周りの回転が生じると、突起部5の後端は、板バネ部2の前方上り傾斜面321に当接しつつ回転する(図12図13)。なお、図13は、その状態における突起部5の後端位置513が板バネ部3の傾斜面321に当たっていることを示す。更に、回転軸2が回転すると、同様に、突起部5の後端は、板バネ部2の前方上り傾斜面321の更に上方位置に当接する(図14)。なお、図14は、その状態における突起部5の後端位置514が板バネ部3の傾斜面321に当たっていることを示す。この突起部5の後端の板バネ部3に当たる部分の軌跡は、図10(A)の矢印8aに示すものである。なお、回転軸2の回転が、反時計周りの場合、突起部5の板バネ部3への当接点は、板バネ部3の正面視、回転軸中心より右部となる(図10(A))。
【0027】
商品陳列バー4に上記の作用する力と板バネ部3のバネ力が釣り合うか、若しくは、90度に近いと、回転軸2の回転は停止する。商品陳列バー4に作用する力が無くなり、回転軸2が停止すると同時に、突起部5は、板バネ部3の復元力により前方へ押される。すなわち、突起部5が当たっている板バネ3部分は、前方上り傾斜面321であり、突起部5を斜め下方に押す。また、突起部5の後端の右側が板バネ3の正面視、回転軸中心より右部に当たっているため、トルクが発生し、回転軸2は確実に元に戻る。回転軸2が元に戻る際、板バネ部3に当たる突起部5の後端の軌跡は、図10(B)に示す矢印8aの通りである。
【0028】
次に、商品陳列バー4に右側から左側へ力が作用した場合について説明する。この場合、回転軸2は、平面視で時計周りに回転する。商品陳列バー4に右側から左側へ力が作用した場合の突起部5と板バネ部3の当接関係は、商品陳列バー4に左側から右側へ力が作用した場合の回転方向が異なるだけであり、それぞれの動きは同様であり、その説明を省略する。なお、図11に示すように、回転軸2が、平面視で時計周りに回転する場合、突起部5が板バネ部3の左側に当たる。従って、例えば、商品陳列バー4に作用する力と板バネ部3のバネ力が釣り合って回転軸2の回転が停止した後、突起部5は、板バネ部3の後方端が板バネ部3の回転軸の軸中心の左部に当たっているため、トルクが発生し、回転軸2は確実に元に戻る(図11(B))。符号8bは、突起部5の板バネ部3に当たる部分の軌跡である。商品陳列具10は、前後方向に延びる商品陳列バーに左右方向への力(衝撃力)が加わった場合、商品陳列バーが左右に首を振り、衝撃力を緩和するため、破損せず、且つ怪我や事故を防止することができる。
【0029】
次に、本発明の他の実施の形態例の商品陳列具について、図15を参照して説明する。図15の突起部と板バネ部を描いた部分は、図12(B)と同様の角度で見た図である。図15の商品陳列具において、図1図14の商品陳列具と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図15の商品陳列具10aにおいて、図1図14の商品陳列具10と異なる点は、板バネ部と突起部の形状である。すなわち、商品陳列具10bにおいて、板バネ部3aの上部の傾斜面32aは、商品陳列具10とは反対の、側面視において前方下り傾斜面であり、突起部5aの後方の傾斜面52aは、商品陳列具10とは反対の、側面視において前方下り傾斜面である。そして、板バネ部3aの上部の傾斜面32aと突起部5aの後方の傾斜面52aは、当接又は近接している。なお、商品陳列具10aにおいて、板バネ部3の固定は、下端に限定されず、上端が固定部1の本体部19に固定され、上端より下方の周りがくり抜きの隙間を有する吊り下げ状であってもよい。この場合、薄肉部は、固定端側である上部に位置する。
【0030】
商品陳列具10aにおいても、商品陳列具10と同様、例えば、顧客の腕が、商品陳列バー4の左側に当たり、商品陳列バー4に左側から右側に外力が作用した場合、回転軸2は同様の動きを示す。商品陳列具10aにおいて、例えば、回転軸2が平面視で反時計周りに回転すると、突起部5aの板バネ部3aに当接する回転軸中心における軌道は、突起部5aの傾斜に沿って下方に下がる。この際、板バネ部3aの傾斜面52aを下方に押すため、板バネ部3aは、後方に撓む。また、商品陳列バー4に右側から左側に外力が作用した場合、突起部5aと板バネ部3aの動作は、左右が逆となる以外は、回転軸2が反時計周りの場合と同様である。そして、商品陳列バー4に上記の作用する力と板バネ部3のバネ力が釣り合うか、若しくは、90度に近いと、回転軸2の回転は停止する。商品陳列バー4に作用する力が無くなり、回転軸2が停止すると同時に、突起部5aは、板バネ部3aの復元力により前方へ押される。すなわち、突起部5aが当たっている板バネ3a部分は、前方下り傾斜面32aであり、突起部5を斜め上方に押す。また、突起部5aの後端の右側が板バネ3aの正面視、回転軸中心より右部に当たっているため、トルクが発生し、回転軸2は確実に元に戻る。すなわち、この突起部5aと板バネ部3aの当接、撓み、自動復元は、商品陳列具10の場合と同じである。このように、商品陳列具10aは、商品陳列具10と同様の作用効果を奏する。
【0031】
次に、本発明の他の実施の形態例の商品陳列具について、図16を参照して説明する。図16の商品陳列具において、図1図14の商品陳列具と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図16の商品陳列具10bにおいて、図1図14の商品陳列具10と異なる点は、板バネ部と突起部である。商品陳列具10bにおいて、板バネ部3bは、平面視がX状にクロスする斜め前方に延びる上下一対の傾斜部311、321を有する。すなわち、板バネ部3bは、一端が固定部1の本体部19に固定され、前方に延び次いで屈曲して斜め前方に延びる腕状の傾斜部311を有する上部板バネ31bと、一端が固定部1の本体部19に固定され、前方の延び次いで屈曲して傾斜部311とは反対方向の斜め前方に延びる腕状の傾斜部321を有する下部板バネ32bと、を有する。左右方向におけるクロス中心は、同方向における回転軸2の軸中心と一致する。上下一対の傾斜部311、321は、左右対称形状であって、板の厚み方向が前後方向となる。これにより、傾斜部311、321の前面が押されることで、後方に撓み、前方にバネ力を与える。また、回転軸2は、上下一対の傾斜部311、321のクロス中心より前方に位置している。なお、上下一対の傾斜部311、321は、僅かな隙間を介して上下に近接しているため、互いの動作において干渉することはない。
【0032】
商品陳列具10bにおいて、突起部5bは、回転軸2の後方側において斜め後方に延びる左右一対もので、且つ上下一対の腕状の傾斜部311、321に当接する上下方向の長さを有する。回転軸2における突起部5bの形成位置は、平面視で、回転軸2の軸中心から左右方向に延びる仮想水平線に対して約15度から40度、後方であればよい。また、一対の突起部5bの一方の突起51bは、一対の傾斜部5bの一方に当接又は近接し、一対の突起部5bの他方の突起52bは、一対の傾斜部5bの他方に当接又は近接するように形成されている。
【0033】
次に、商品陳列具10bの首振りの作用について、図17を参照して説明する。図17(A)は、商品陳列具10bの陳列状態における平面視における断面図である。商品陳列具10bにおいて、商品陳列バー4は、正面に真っすぐ延びた状態であり、上方の傾斜部311は、平面視で右斜め前方に延びており、下方の傾斜部321は、平面視で左斜め前方に延びている。回転軸2の後方周面は、上方の傾斜部311と下方の傾斜部321に当接しており、一対の突起部5bの平面視で左側の突起51bが、一対の傾斜部5bの下方の傾斜部321の先端側に当接又は近接し、一対の突起部5bの平面視で右側の突起52bが、一対の傾斜部5bの上方の傾斜部311の先端側に当接又は近接している。
【0034】
商品陳列具10bにおいて、例えば、図17(B)の通り、商品陳列バー4に力がかかり回転軸2が、平面視において、矢印の反時計回りに回転する際、平面視で右の突起52bは、板バネ部5bの上方の傾斜部311をバネ付勢に抗して、後方に押しやる。このため、板バネ部5bの上方の傾斜部311は後方に撓みつつ、回転軸2の回転を抑制するように作用する。更に回転軸2が回転することで、突起52bは板バネ部5bのX状のクロスの左右方向の中心位置(中心直近)にくる(図17(B))。また、商品陳列具10bにおいて、商品陳列バー4に力がかかり回転軸2が、平面視で時計回りに回転する際、平面視で左の突起51bが、板バネ部5bの下方の傾斜部321をバネ付勢に抗して、後方に押しやり、その後、板バネ部5bのX状のクロスの左右方向の中心位置(中心直近)にくる。なお、商品陳列具10bにおいて、商品陳列バー4の回転が、図17(B)で示す角度以上とならないよう、例えば、固定部1の本体部19の前方部と回転軸2の突起(不図示)とが当たることで、その回転を規制している。このように、商品陳列具10bは、商品陳列具10と同様の作用効果を奏する。
【0035】
次に、本発明の他の実施の形態例の商品陳列具について、図18を参照して説明する。図18の商品陳列具において、図1図14の商品陳列具と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図18の商品陳列具10cにおいて、図1図14の商品陳列具1 0と異なる点は、商品陳列バー4の上方に位置し、回転軸2から前方に延びる回転軸2と一体の商品表示バー6を更に、形成した点である。商品表示バー6の先端には、商品情報を表示する表示板7が付設されている。また、商品陳列具10 cは、固定部1の本体部の前方突起115と、商品表示バー6の中間部61とで回転規制部を構成している。この回転規制部を形成することで、回転軸2が、片側で80度以上、回転しないようにしている。すなわち、商品表示バー6が、8 0度近く回転すると、中間部61が前方突起115に当たるため、それ以上の回転が規制される。商品陳列具10cによれば、商品表示バー6 に意図せぬ外力が作用しても、商品陳列具10と同様の首振り効果を奏する。
【0036】
本発明の商品陳列具は、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形を採ることができる。商品陳列具10の支持部11a、11bは、平面視で略U字断面形状に限定されず、円形貫通孔を有する環状断面形状であってもよい。商品陳列具10bにおいて、上方の傾斜部311と下方の傾斜部321は、上下逆のクロス、すなわち、傾斜部311が、傾斜部321の下方に位置する形状であってもよい。また、商品陳列具10bにおいて、突起部5bを形成する左右一対の突起は、上下に段差を付け、一方の突起が一方の傾斜部に当たり、他方の傾斜部には当たらない構成であってもよい。また、商品陳列具10bにおいて、回転軸2は、図17(B)で示す角度以上に回転するようにした場合、突起部5bの内、一方の突起は、上下一対の腕状の傾斜部311、321において、一方の傾斜部から他方の傾斜部に乗り換え連続的にバネ作用を受けることにしてもよい。また、商品陳列具10bにおいて、突起部5bを構成する左右の突起51b、52b間の角度を広く採ってもよい。これによれば、商品陳列具10bの首振り角度は広くなる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、前後方向に延びる商品陳列バーに左右方向への力(衝撃力)が加わった場合、商品陳列バーが左右に首を振り、衝撃力を緩和するため、破損せず、且つ怪我や事故を防止することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 固定部
2 回転軸
3、3a、3b 板バネ部
4、4a 商品陳列バー
5、5a、5b 突起部
6 商品表示バー
7 商品情報表示板
10、10a~10c 商品陳列具
11a、11b 支持部
321 傾斜面
図1
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