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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】軌条台測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220930BHJP
   B61K 9/08 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
G01B11/00 Z
B61K9/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019046182
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020148612
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】517329993
【氏名又は名称】八千代電設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】冨永 昌雄
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 典昭
(72)【発明者】
【氏名】福田 敏行
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-194809(JP,A)
【文献】特開2003-207319(JP,A)
【文献】特開2010-219353(JP,A)
【文献】特開2007-017201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
B61K 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電車が走行する二本の走行軌条に隣接して設置される軌条台の、前記走行軌条に対する相対位置を測定する軌条台測定装置であって、
前記二本の走行軌条上に架け渡されて配置される棒状の支持部と、
前記支持部を、前記走行軌条に対して平面視で直交する所定位置に位置決めする位置決め部と、
前記支持部における前記軌条台側の一端部に、前記位置決め部よりも下方に位置するように設けられて前記軌条台の上面と対向する測定部と、
前記測定部による測定結果を出力する出力部と、を備え、
前記測定部には、前記軌条台の上面までの距離を測定する複数のセンサが設けられる、軌条台測定装置。
【請求項2】
前記軌条台の上面は平面視で矩形に形成され、
前記測定部の底面は、平面視で前記軌条台の上面と略同形状に形成され、
前記センサは、前記測定部の四隅及び中央部に五個設けられ、
それぞれの前記センサにより、前記軌条台の上面における四隅及び中央部までの距離を測定する、請求項1に記載の軌条台測定装置。
【請求項3】
前記測定結果を表示する表示部が、前記支持部に設けられる制御部の上面に、前記出力部として設けられる、請求項1又は請求項2に記載の軌条台測定装置。
【請求項4】
前記支持部に設けられる制御部から前記測定結果を送信する送信部が、前記出力部として設けられる、請求項1又は請求項2に記載の軌条台測定装置。
【請求項5】
前記測定結果を記録する記憶部を備える、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の軌条台測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第三軌条を載置する軌条台の走行軌条に対する相対位置を測定する、軌条台測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地下鉄等において第三軌条による集電方式が採用されている。この集電方式は、走行軌条と平行に第三軌条を敷設しておき、この第三軌条に電車を駆動するための電流を流すものである。そして、電車に設けられた集電装置と第三軌条を接触させることよって、電力を電車に供給する。
【0003】
第三軌条は固定ボルトのゆるみ等により、走行軌条に対する所定の位置からずれる場合があるため、走行軌条に対する第三軌条の相対的な位置をチェックする測定器が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の測定器によれば、走行軌条の上に配置される支持部材と測定部とが備えられ、測定部は、第三軌条等に一部を当接させることのできる当接部材と、測定値を表示できる測定値表示部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-194809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、第三軌条を敷設する以前の段階で、第三軌条を載置する軌条台が正しく設置されていない場合がある。従来は、第三軌条を軌条台に載置した後に、上述の測定器により第三軌条の位置チェックを行い、この際に軌条台の歪み等が判明する場合があった。この場合、軌条台の歪みを修正して第三軌条を敷設しなおす必要があり、作業効率が悪くなっていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、第三軌条を軌条台に載置する前段階で軌条台の歪み等を検知することにより、第三軌条の敷設作業の効率を向上させることが可能となる、軌条台測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本発明に係る軌条台測定装置は、電車が走行する二本の走行軌条に隣接して設置される軌条台の、前記走行軌条に対する相対位置を測定する軌条台測定装置であって、前記二本の走行軌条上に架け渡されて配置される棒状の支持部と、前記支持部を、前記走行軌条に対して平面視で直交する所定位置に位置決めする位置決め部と、前記支持部における前記軌条台側の一端部に、前記位置決め部よりも下方に位置するように設けられて前記軌条台の上面と対向する測定部と、前記測定部による測定結果を出力する出力部と、を備え、前記測定部には、前記軌条台の上面までの距離を測定する複数のセンサが設けられる。




【0009】
本発明に係る軌条台測定装置は上記の如く構成することにより、第三軌条を軌条台に載置する前段階で軌条台の歪み等を検知することにより、第三軌条の敷設作業の効率を向上させることが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る軌条台測定装置において、前記軌条台の上面は平面視で矩形に形成され、前記測定部の底面は、平面視で前記軌条台の上面と略同形状に形成され、前記センサは、前記測定部の四隅及び中央部に五個設けられ、それぞれの前記センサにより、前記軌条台の上面における四隅及び中央部までの距離を測定する。
【0011】
本発明に係る軌条台測定装置は上記の如く構成することにより、軌条台の上面が全体的に正しく設置されているか否か確認することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る軌条台測定装置において、前記測定結果を表示する表示部が、前記支持部に設けられる制御部の上面に、前記出力部として設けられる。
【0013】
本発明に係る軌条台測定装置は上記の如く構成することにより、作業者が表示部を容易に視認することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る軌条台測定装置において、前記支持部に設けられる制御部から前記測定結果を送信する送信部が、前記出力部として設けられる。
【0015】
本発明に係る軌条台測定装置は上記の如く構成することにより、他の装置に測定結果を表示することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る軌条台測定装置は、前記測定結果を記録する記憶部を備える。
【0017】
本発明に係る軌条台測定装置は上記の如く構成することにより、測定結果をデータとして活用することが容易となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る軌条台測定装置によれば、第三軌条を軌条台に載置する前段階で軌条台の歪み等を検知することにより、第三軌条の敷設作業の効率を向上させることが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係る軌条台測定装置を示す斜視図。
図2】軌条台測定装置による測定状態を示す斜視図。
図3】軌条台測定装置による測定状態を示す側面図。
図4】軌条台測定装置による測定状態を示す平面図。
図5】第三軌条を敷設した状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1から図5を用いて、本発明の一実施形態に係る軌条台測定装置(以下、単に「測定装置」と記載する)1について説明する。図1は測定装置1を示す斜視図である。また、図2から図4はそれぞれ、測定装置1による測定状態を示す斜視図、側面図、及び、平面図である。
【0021】
本実施形態に係る測定装置1は図2から図4に示す如く、軌条台Bの走行軌条R1・R2に対する相対位置を測定する。軌条台Bは、第三軌条R3(図5を参照)を載置するために、電車が走行する二本の走行軌条(第一走行軌条R1・第二走行軌条R2)の一本である第一走行軌条R1に隣接して設置される。
【0022】
具体的には図5に示す如く、第三軌条R3を敷設する場合、第一走行軌条R1に隣接する箇所に所定間隔ごとに軌条台Bが設けられる。そして、それぞれの軌条台Bの上面に碍子Iが載置され、この碍子Iの上面に第三軌条R3が固定される。第三軌条R3の側方及び上方には繊維強化プラスチック製の防護板Pが配置される。
【0023】
図1に示す如く、測定装置1は、支持部11、位置決め部12、制御部である制御ボックス16、出力部である第一表示部16a~第五表示部16e、及び、測定部20を備える。以下、各構成要素について順に説明する。
【0024】
支持部11は、図2から図4に示す如く二本の走行軌条R1・R2の上に水平に架け渡されて配置される棒状部材である。支持部11は木製又は金属製の部材が採用される。支持部11は、空気の湿気の影響を受けて伸縮せず軽量であるという観点から、アルミ合金製とすることが好ましい。
【0025】
支持部11における軌条台Bの側である一端部(図1から図4における左側端部)には、軌条台Bの走行軌条R1・R2に対する相対位置を測定する測定部20が設けられる。図1に示す如く、測定部20は矩形平板状の測定ボックス21の内部に、軌条台Bの上面までの距離を測定する五個の第一センサ21a~第五センサ21eを備える。
【0026】
図4に示す如く、支持部11は位置決め部12により、平面視で走行軌条R1・R2に対して直交する所定位置に位置決めされる。具体的には図3に示す如く、支持部11の下面における中途部に、側面視でL字状の板状部材である位置決め部12が固定されている。そして、位置決め部12において支持部11と直交して形成された当接面12aが、第一走行軌条R1における第二走行軌条R2側の側面に当接される。これにより、支持部11は第一走行軌条R1に対して直交する所定位置に位置決めされる。
【0027】
また、支持部11の下面における第二走行軌条R2側の他端部(図1から図4における右側端部)には、ブロック状の載置部13が固定されている。位置決め部12により支持部11が第一走行軌条R1に対して位置決めされた際には、載置部13は第二走行軌条R2の上面に載置される。位置決め部12が第一走行軌条R1に当接し、載置部13が第二走行軌条R2の上面に載置された状態において、支持部11は走行軌条R1・R2上に水平に架け渡される。本実施形態において位置決め部12及び載置部13には、走行軌条R1・R2を傷つけないように樹脂製の素材が採用される。
【0028】
支持部11の上面における中途部には、制御ボックス16が設けられる。支持部11における制御ボックス16よりも第二走行軌条R2側である他端側には、測定装置1の電源用の電池を収容する電池ボックス15が設けられる。
【0029】
制御ボックス16の上面には、測定部20による測定結果を出力する出力部である、五個の第一表示部16a~第五表示部16eが設けられる。第一表示部16a~第五表示部16eのそれぞれには、第一センサ21a~第五センサ21eの測定結果が表示される。地下等の暗所でも作業者が表示結果を視認できるよう、第一表示部16a~第五表示部16eはLED等の発光体により表示する構成とされる。制御ボックス16と、測定部20及び電池ボックス15とは、支持部11の内部に挿通される図示しないケーブルにより電気的に接続されている。
【0030】
なお、第一表示部16a~第五表示部16eに代えて、制御ボックス16から測定結果を有線又は無線により送信する送信部を測定装置1における出力部として設ける構成とすることもできる。これにより、パソコンやタブレット等、他の装置に測定部20による測定結果を表示することが可能となる。
【0031】
また、測定装置1は、測定部20による測定結果を記録する記憶部を、制御ボックス16の内部又は外部装置に備える構成とすることもできる。これにより、測定部20の測定結果をデータとして活用することが容易となる。
【0032】
図1から図4に示す如く、測定部20は矩形の測定ボックス21を備える。測定ボックス21には、軌条台Bの上面までの距離を非接触で測定する五個の第一センサ21a~第五センサ21eが設けられる。図2及び図4に示す如く、本実施形態において軌条台Bの上面は平面視で矩形に形成されており、同じく、測定ボックス21の底面は、平面視で軌条台Bの上面と略同形状に形成されている。そして、第一センサ21a~第五センサ21eは、測定ボックス21の四隅及び中央部に五個設けられている。
【0033】
五個の第一センサ21a~第五センサ21eのうち、測定ボックス21の中央部に設けられた第五センサ21eは、支持部11及び測定部20が第一走行軌条R1に対して所定位置に位置決めされた際に、軌条台Bの上面中央部において碍子Iが設置される前のアンカーボルトと対向する位置に配置される。また、測定ボックス21の四隅に設けられた他の第一センサ21a~第四センサ21dは、第五センサ21eから等距離となる位置に配置される。このような構成において、図3に示す如くそれぞれの第一センサ21a~第五センサ21により、軌条台Bの上面における四隅及び中央部までの距離を測定する。
【0034】
測定部20が軌条台Bまでの距離を測定することにより、軌条台Bの走行軌条R1・R2に対する相対位置が測定される。即ち、支持部11及び測定部20は位置決め部12により第一走行軌条R1に対して直交する所定位置に位置決めされているため、測定部20から軌条台Bまでの距離を測定することにより、軌条台Bの走行軌条R1・R2に対する相対位置が測定されるのである。具体的には、第五センサ21eが軌条台Bの中央部までの距離を測定することにより、碍子I及び第三軌条R3の設置位置を測定することができる。また、第一センサ21a~第四センサ21dが軌条台Bの四隅までの距離を測定することにより、軌条台Bの上面の形状を測定することができる。
【0035】
本実施形態において、第一センサ21a~第五センサ21eは赤色レーザー光を用いた近接センサであり、それぞれのセンサは、レーザー光を発光する発光部と、レーザー光が障害物で反射した反射光を受光する受光部を備える。なお、第一センサ21a~第五センサ21eとして、赤外線センサや超音波センサ等、レーザー光以外の手法を用いたセンサを適用することも可能である。但し、作業者が測定している箇所を視認しやすくなるという観点より、本実施形態の如く有色のレーザー光を用いたセンサを採用することが好ましい。図3中の一点鎖線矢印に示す如く、第一センサ21a~第五センサ21eからは検知線が延出される。図3に示す検知線は、それぞれのセンサにおけるレーザー光の発光方向を観念的に表したものである。
【0036】
上記の如く、本実施形態に係る測定装置1は、簡易な構成で、第三軌条R3を軌条台Bに載置する前段階で軌条台Bの歪み等を検知することができる。これにより、第三軌条R3を軌条台Bに載置する前に、軌条台Bの歪みを修正してから第三軌条R3を敷設することができるため、第三軌条R3の敷設作業の効率を向上させることが可能となる。
【0037】
また、第一センサ21a~第五センサ21eにより、軌条台Bの上面における四隅及び中央部までの距離を測定する。これにより、軌条台Bの上面が全体的に正しい平面上に設置されているか否かを確認することが可能となる。例えば、走行軌条R1・R2の敷設時に、カーブにおいて外側の軌条を内側よりも高くしたカントを設ける場合でも、カントを踏まえて軌条台Bを設置できる。詳細には、軌条台Bの上面を全体的に、カントに対応した斜面状に形成することが可能となるのである。本実施形態においては、第五センサ21eから等距離に配置した第一センサ21a~第四センサ21dの測定結果が均一になるように軌条台Bの上面を形成することにより、軌条台Bをカントに対応した斜面形状に形成することができる。
【0038】
なお、測定装置1の支持部11又は測定部20に加速度センサを設ける構成とすることもできる。これにより、走行軌条R1・R2のカントを踏まえて軌条台Bを設ける場合に、測定装置1の傾きを測定することでカントの傾きを計測することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態に係る測定装置1においては、測定部20の測定結果を表示する第一表示部16a~第五表示部16eが、支持部11に設けられる制御ボックス16の上面に出力部として設けられる。これにより、作業者が立った姿勢のままで第一表示部16a~第五表示部16eを容易に視認できることができるため、作業者の身体的な負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 測定装置(軌条台測定装置)
11 支持部 12 位置決め部
12a 当接面 13 載置部
15 電池ボックス 16 制御ボックス(制御部)
16a 第一表示部(出力部)
16b 第二表示部(出力部)
16c 第一表示部(出力部)
16d 第二表示部(出力部)
16e 第一表示部(出力部)
20 測定部 21 測定ボックス
21a 第一センサ 21b 第二センサ
21c 第三センサ 21d 第四センサ
21e 第五センサ R1 第一走行軌条
R2 第二走行軌条 R3 第三軌条
I 碍子 B 軌条台
P 防護板

図1
図2
図3
図4
図5