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特許7149621スプレーガンの圧力調整装置及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】スプレーガンの圧力調整装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/06 20060101AFI20220930BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20220930BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
B05B7/06
B05B12/00 Z
B05D1/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020185256
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2022019499
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】109124085
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520434097
【氏名又は名称】輝宝実業有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUI BAO ENTERPRISE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.28, LN.446, SEC.2, ZHANGHE RD., HEMEI TOWNSHIP, CHANGHUA COUNTY 50854, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陳万宝
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-322104(JP,A)
【文献】特開2017-087131(JP,A)
【文献】特開平07-275749(JP,A)
【文献】特開2006-192396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05B 1/00 - 3/18
B05B 7/00 - 9/08
B05B 12/00 - 12/14
B05B 13/00 - 13/06
B05D 1/00 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーガンの圧力調整装置の製造方法であって、
ガン本体の流路のバルブの後端及び把握部内部の流路の上方部に、第1チャンバー(L1部)及び第2チャンバー(L2部)を設け、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとが互いに連通される、チャンバーを構築するステップと、
スリーブの内側に、可移動管状部材及びばね部材を挿入し、前記スリーブの外側に、調整ロッドを設置して内部圧力調整弁を構成し、前記スリーブの中央部に、横方向貫通孔が設けられる、内部圧力調整弁を構築するステップと、
前記内部圧力調整弁を前記第1チャンバーに装入し、前記スリーブの横方向貫通孔は、前記把握部内部の流路の連通口と位置合わせされる、内部圧力調整弁を取り付けるステップと、
前記調整ロッドの内側に、雄ねじロッドが設けられ、前記調整ロッドの外側且つ端部に、ノブ部材が設けられ、前記ノブ部材と前記雄ねじロッドとの間に、肩部溝構造が設けられ、前記ノブ部材には、目盛りを設け、前記目盛りは、前記ばね部材のk値に対応するように付けられる、調整ロッド目盛りを構築するステップと、
を含む、スプレーガンの圧力調整装置の製造方法。
【請求項2】
前記内部圧力調整弁を取り付けるステップにおいて、前記ガン本体から前記調整ロッドの肩部溝構造にまで延伸するストッパーねじ部材が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のスプレーガンの圧力調整装置の製造方法。
【請求項3】
スプレーガンの圧力調整装置であって、ガン本体と、バルブと、内部圧力調整弁とを備え、
前記ガン本体には、流路が設けられ、且つ、前記ガン本体は、引き金と把握部とを備え、前記把握部内部には、直線流路が設けられ、前記直線流路は、連通流路に接続され、
前記バルブは、前記ガン本体における流路に取り付けられ、且つ前記引き金に当接するように設けられ、前記バルブによって、前記流路は、前端流路と後端流路とに分割され、前記後端流路は、前記バルブの後端から水平に延伸し、且つ前記連通流路及び直線流路に連通し、前記前端流路は、スプレーガンのノズルに連通され、
前記内部圧力調整弁は、前記後端流路に設けられる第1チャンバーに設けられ、前記第1チャンバーは、前記バルブの後端及び前記把握部の連通流路の連通口の上方部に設けられ、且つ第2チャンバーに連通され、
ガン本体は、空気圧源に接続されると、前記内部圧力調整弁を操作することで、空気圧の調整を行い、前記第2チャンバーには、所定圧力の空気で満たされ、前端流路にいつでも安定した圧力の空気を供給することができる、ことを特徴とするスプレーガンの圧力調整装置。
【請求項4】
前記内部圧力調整弁は、スリーブを備え、前記スリーブの内側に、可移動管状部材とばね部材とが挿入され、前記スリーブの外側且つ端部に調整ロッドが設けられる、ことを特徴とする請求項3に記載のスプレーガンの圧力調整装置。
【請求項5】
前記スリーブの中央部には、横方向貫通孔が設けられ、前記横方向貫通孔は、前記連通流路の連通口と位置合わせられ、前記横方向貫通孔の前部及び後部には、複数のオイルシール及び第1ガス抜き孔が設けられ、前記ガン本体には、前記第1ガス抜き孔に対応するように、第2ガス抜き孔が設けられる、ことを請求項4に記載のスプレーガンの圧力調整装置。
【請求項6】
前記調整ロッドの内側には、雄ねじロッドが設けられ、前記雄ねじロッドは、前記スリーブに設けられた雌ねじ部に螺合し、前記雄ねじロッドには、前記スリーブに対して、オイルシールが設けられ、前記調整ロッドの外側且つ端部に、ノブ部材が設けられ、前記ノブ部材と前記雄ねじロッドとの間に、肩部溝構造が設けられ、前記ノブ部材には、目盛りが付けられる、ことを特徴とする請求項5に記載のスプレーガンの圧力調整装置。
【請求項7】
前記ガン本体には、ストッパーねじ部材が設けられ、前記ストッパーねじ部材は、前記調整ロッドの肩部溝構造にまで延伸し、且つ、スリーブにおける半円形構造を貫通して、スリーブの回転を防止する、ことを特徴とする請求項6に記載のスプレーガンの圧力調整装置。
【請求項8】
前記雄ねじロッドの端面には、パッキン部材が設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載のスプレーガンの圧力調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面塗装ツールの技術分野に属し、特に、スプレーガンの圧力調整方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10及び図11に示すように、一般的なスプレーガンは、表面塗装のための実用的なツールとしてしばしば使用されている。その動作原理は、前記スプレーガンを空気圧源(すなわち、空気圧縮機)に接続して、圧縮された空気がガン本体の内部流路に入り、その後、分流装置4によって分流され、第1気流41は、ノズル411より排出され、第2気流42は、エアキャップ5の角耳穴51から噴出されることを使用している。
【0003】
第1気流41が噴出された後、ノズル411の前端には、負圧領域が形成され、塗装料容器7内の塗料は、吸い出され、第1気流41とともに噴出する。両側の第2気流42は、噴出された塗料を扇形のスプレーパターンに圧縮して、霧化された塗料がワークピースの表面に噴出する。
【0004】
従来のスプレーガンは、ほとんど、過剰な圧力を伴う空気圧縮機に対して約6~8barの出力圧力を有し、スロットルバルブ6が圧力を下げるためにしばしば使用されるので、不安定な作動圧力又は塗料を過剰に使用し、塗装が不均一などの問題が生じられ、塗装面の品質に影響を与える。このため、従来のスプレーガンを使用する前に、圧力計71を備えた外部圧力調整バル7を使用して、空気圧縮機に出力される空気圧を、一定範囲内の動作圧力に調整する必要がある。
【0005】
換言すれば、従来のスプレーガンの圧力調整方法は、外部圧力調整バルブ7を外部圧力源に接続し、次いで、スプレーガンの引き金8を手で押さなければならない。これによって、外部圧力調整バルブ7を使用して、空気圧縮機の出力圧力を必要な使用圧力(約0.5~2.4bar)に調整できる(この範囲は塗装の業界標準の使用圧力である)が、この圧力調整方法の操作方法がかなり不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、従来のスプレーガンの圧力調整動作における不便さを考慮して、本発明者は、スプレーガンのための圧力調整方法および装置を開発した。本発明の主な目的は、スプレーガンに統合された圧力調整装置を提供して、圧力調整操作を容易にするスプレーガン圧力調整手段を提供することである。本発明の第2の目的は、塗装表面の品質を向上させるためのスプレーガンの圧力調整方法を提供することである。上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的手段を使用して問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスプレーガンの圧力調整方法及び装置については、以下である。圧力調整方法は、ガン本体の流路のバルブの後端及び把握部内部の流路の上方部に、第1チャンバー(L1部)及び第2チャンバー(L2部)を設け、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとが互いに連通される、チャンバーを構築するステップと、スリーブの内側に、可移動管状部材に、第1チャンバーと第2チャンバーとを連通するための通気孔が設けられ、前記スリーブの外側に、調整ロッドを設置して内部圧力調整弁を構成し、前記スリーブの中央部に、横方向貫通孔が設けられる、内部圧力調整弁を構築するステップと、前記内部圧力調整弁を前記第1チャンバーに装入し、前記スリーブの横方向貫通孔は、前記把握部内部の流路の連通口と位置合わせされる、内部圧力調整弁を取り付けるステップと、前記調整ロッドの内側に、雄ねじロッドが設けられ、前記調整ロッドの外側且つ端部に、ノブ部材が設けられ、前記ノブ部材と前記雄ねじロッドとの間に、肩部溝構造が設けられ、前記ノブ部材には、目盛りを設け、前記目盛りは、前記ばね部材のk値に対応するように付けられる、調整ロッド目盛りを構築するステップと、を含む。
【0008】
前記第2チャンバーには、圧縮された空気で満たされ、且つ、所定圧力(P)に達し、前記所定圧力(P)は、減圧後の圧力であり、P×A=P1であり、この式において、Aは、可移動管状部材圧力受圧面積であり、P1は、ばね部材の弾性力であり、P1=kd、であり、kは、ばね部材の弾性係数であり、dは、ばね部材が受ける圧力による長さ変化量であり、可移動管状部材が右側に移動することで、貫通孔と調整ロッドのパッキン部材に当接して封止し、両チャンバーの連通状態を閉じる。これによって、第2チャンバーの圧力が安定となり、前記ばね部材が受ける圧力(P)は、排気圧力P3に対して、安定した定数の比例関係となり、且つ、排気圧力(P3)<所定圧力(P)<空気圧源圧力(P2)という条件を満たすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の圧力調整装置を使用する場合、外部圧力調整弁を使用せず、塗装作業に必要な圧力に応じて、目盛りを参照しながら、前記調整ロッドのノブ部材を操作して必要な圧力に調整することができる。前記ガン本体が空気圧源に接続されると、前記第2チャンバーには、所定の圧力を有する空気で満たされ、前記把握部内部の流路は、一定の圧力範囲内で、前端流路に安定した空気圧を提供し、塗装作業を行うことができる。これによって、塗装表面の品質を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のスプレーガンの圧力調整方法のフローチャート図である。
図2】本発明のスプレーガンの圧力調整装置の立体図である。
図3】本発明のスプレーガンの圧力調整装置の断面図である。
図4】本発明のスプレーガンの圧力調整装置の分解図である。
図5図4に示す構造の局在部の拡大図である。
図6】本発明のスプレーガンの圧力調整装置の分解図である。
図7図3に示す構造の局在部の拡大図である。
図8】本発明のスプレーガンの圧力調整装置の動作を示す概念図である。
図9】本発明の圧力調整方式(a)及び従来の圧力調整方式(b)の比較図である。
図10】従来のスプレーガンの圧力調整方式を示す概念図である。
図11図10のC-C線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、スプレーガンの圧力調整方法及び装置に関する。図1図4及び図7に示すように、本発明は、便利な圧力調整機能を有し、且つ一定の圧力で塗料を噴出して塗装表面の品質を改善できるスプレーガンを提供している。前記スプレーガンの圧力調整方法Aは、チャンバーを構築するステップaと、内部圧力調整弁を構築するステップbと、内部圧力調整弁を取り付けるステップcと、調整ロッド目盛りを構築するステップdとを含む。前記チャンバーを構築するステップaは、図7に示すように、ガン本体1の流路2のバルブ26の後端及び把握部12内の流路の上方部に、第1チャンバー24(すなわち、L1部)及び第2チャンバー27(すなわちL2部)を設けることである。前記内部圧力調整弁を構築するステップbは、スリーブ31の内側に、可移動管状部材32及びばね部材33を挿入し、前記可移動管状部材32には、第1チャンバー24と第2チャンバー27とを連通するための貫通孔320が設けられ、前記スリーブ31の外側には、調整ロッド34などを設置することで、内部圧力調整弁3を構成することである。なお、前記31スリーブの中央部には、横方向貫通孔311が設けられている。前記内部圧力調整弁を取り付けるステップcは、前記内部圧力調整弁3を前記第1チャンバー24に装入することであり、且つ、前記スリーブ31の横方向貫通孔311は、前記把握部12内部の流路の連通口231と位置合わせされる。前記調整ロッド目盛りを構築するステップdは、前記調整ロッド34の内側に雄ねじロッド341が装入され、前記調整ロッド34の外側にノブ部材342が配置されることであり、ここでは、前記ノブ部材342と前記雄ねじロッド341には、肩部溝構造343が設けられ、前記ノブ部材341に目盛り344が設けられ、ガン本体1から挿入して前記調整ロッド34の肩部溝構造343にまで延伸するストッパーねじ部材15が設けられ、前記目盛り344は、前記ばね部材33のk値に対応するように付けられている。
【0012】
本発明のスプレーガン圧力調整装置Bは、ガン本体1と、流路2と、内部圧力調整弁3とを備えている。前記ガン本体1には、流路2が設けられている。図3に示すように、バルブ26によって、前記流路2は、前端流路21と後端流路22とに分割されている。前記ガン本体1には、引き金11と把握部12とが設けられ、前記バルブ26は、第2チャンバー27に取り付けられ、且つ前記引き金11に当接するように設けられている。前記把握部12内部には、直線流路25が設けられ、前記直線流路25は、水平に後方向に延在する連通流路23に接続され、前記後端流路22は、前記バルブ26の後端から水平に延在し、且つ前記連通流路23及び直線流路25に連通されるように設けられている。前記前端流路21は、ノズル13に連通されている。
【0013】
図4に示すように、前記内部圧力調整弁3は、前記後端流路22に設けられた第1チャンバー24に設けられ、前記第1チャンバー24は、前記バルブ26の第2チャンバー27の後端及び前記連通流路23の連通口231の上方部に位置されている。前記内部圧力調整弁3が前記ガン本体1に取り付けられていても、内部圧力調整弁によって、前記第1チャンバー24と第2チャンバー27との連通が維持されている。前記内部圧力調整弁3は、スリーブ31を備え、前記スリーブ31の内側に、可移動管状部材32及びばね部材33が設けられ、前記スリーブ31の外側且つ端部に、調整ロッド34が設けられている。
【0014】
図5及び図7に示すように、前記スリーブ31の中央部に、横方向貫通孔311が設けられ、前記横方向貫通孔311は、前記連通流路23の連通口231と位置合わせられ、前記横方向貫通孔311の前部及び後部には、複数のオイルシールO及び第1ガス抜き孔313が設けられ、そのうち、2つのオイルシールOは、前記第1ガス抜き孔313の両側に配置されている。前記ガン本体1には、前記第1ガス抜き孔313に対応するように、第2ガス抜き孔14が設けられ、前記第1ガス抜き孔313は、前記第2ガス抜き孔14と位置合わせると、前記第1チャンバー24は排気可能となる。前記調整ロッド34の内側に、雄ねじロッド341が挿入され、前記雄ねじロッド341は、前記スリーブ31に設けられた雌ねじ部312に螺合され、前記雄ねじロッド341の端面には、パッキン部材345が配置されている。
【0015】
図7に示すように、前記雄ねじロッド341は、前記スリーブ31の内壁に対応するようにオイルシールOを有し、前記調整ロッド34の外側且つ端部にノブ部材342が設けられ、前記ノブ部材342と前記雄ねじロッド341との間に、肩部溝構造343が設けられている。前記ノブ部材342の外部には、目盛り344が付けられ、前記目盛り344は、0、1、2、3など4つの刻印された線を有し、刻印された線は、それぞれ、第1チャンバー24及び前記第2チャンバー27の内部圧力が0bar、1bar、2bar、3barなどであることを意味している。さらに、業界の要件を満たすために、ガン本体1から前記調整ロッド34の肩部溝構造343にまで挿入するストッパーねじ部材15が設けられている。
【0016】
図7に示すように、本発明のスプレーガン圧力調整装置Bは、まず、前記調整ロッド34の雄ねじロッド341を前記スリーブ31の雌ねじ部312にねじ込み、次に、前記ばね部材33、移動部材32は、順次に、スリーブ31内に挿入した後、スリーブ31をガン本体1に挿入し、スリーブ31における固定用半円形構造314をガン本体1のストッパーねじ穴150と位置合わせし、最後に、ストッパーねじ穴150から前記ストッパーねじ部材15を装入し、前記ストッパーねじ部材15によって、前記スリーブ31を固定し、且つ、前記ストッパーねじ部材15が前記調整ロッド34の肩部溝構造343内部にまで延在する。これによって、前記内部圧力調整弁3は、前記ガン本体1の第1チャンバー24内に固定され、且つ、前記調整ロッド34のノブ部材342は、前記ガン本体1から露出し、これらのステップによって前記内部圧力調整弁3が前記ガン本体1に取り付けられることが完了する。なお、前記内部圧力調整弁3は、スプレーガンの使用圧力仕様に応じて、異なる仕様の内部圧力調整弁3に置き換えることができる。この場合、異なる仕様の内部圧力調整弁3は、異なるチャンバーの直径、雄ねじのねじ山距離、ばね部材係数、構成の寸法、及び異なる目盛りを有するように調整することができる。
【0017】
図3及び図7に示すように、本発明のスプレーガンが排気圧力P3での塗装に使用される場合、まず、把握部12の底部を圧力P2の空気圧源管路に直接接続し、この時、圧縮された空気が前記直線流路25、連通流路23を順次に通過して第1チャンバー24に入り、その後、可移動管状部材32の貫通孔320を通って第2チャンバー27に移送される。しかし、この空気流が前記バルブ26によって遮断されている。この時、前記第2チャンバー27は、圧縮された空気で満たされ、所定圧力Pに達する。ここでは、前記所定圧力Pは、すでに減圧後の圧力であり、つまり、前記排気圧力P3<所定圧力P<空気圧源圧力P2という関係になる。また、P×A=P1、この式において、Aは、可移動管状部材の圧力受圧面積であり、P1は、ばね部材33の弾性力であり、すなわち、P=kdという関係を有する。ここでのkは、ばね部材33の弾性係数であり、dは、ばね部材の圧力受圧による長さ変化量である。操作員が前記引き金11を引くと、前記バルブ26が開放され、前記前端流路21と第2チャンバー24とが連通され、P×A<P1である場合、前記可移動管状部材32が左方向(可移動管状部材32に対して、調整ロッド34の反対方向)に移動し、この時、第1チャンバー24と流路22とが連通され、後端流路22及び第1チャンバー24並びに前記第2チャンバー27は、空気圧を前記前端流路21に伝達し、前記スプレーガンのノズル13を開放させ、塗装作業が開始する。
【0018】
図7及び図8に示すように、ばね部材33は、可移動管状部材32を第2チャンバー27の方向に付勢させ、前記連通流路23と第1チャンバー24との間の連通を維持することができる。これによって、空気圧源は、前記前端流路21に新しい圧縮された空気を充填することができる。操作員が前記引き金11を放すと、前記バルブ26によって、前記前端流路21と後端流路22との間は、連通状態から閉状態に回復し、塗装作業が停止する。この時、前記第2チャンバー27は、再び圧縮された空気で満たされ、所定圧力Pに達する。前記可移動管状部材32が右側(調整ロッド34側)に移動し、前記調整ロッド34のパッキン部材345に当接して、前記連通流路23と第2チャンバー27との間の連通を遮断させ、この時、空気圧源は、スプレーガンのガン本体1に新しい圧縮された空気を充填することができなくなる。
【0019】
本発明の圧力調整装置Bを使用する場合、塗装作業に必要な圧力に応じて、前記目盛り344を使用して必要な所定圧力Pに達するように前記調整ロッド34を操作する(図7を参照)。調整原理は、前記調整ロッド34及び前記目盛り344を利用して、前記ばね部材33の長さ変化量dを調整し、前記第1チャンバー24と第2チャンバー27との内部の圧力を調整する。言い換えれば、前記調整ロッド34が前記スリーブ31に深くねじ込まれる場合、前記ガン本体1が空気圧源に接続されると、前記第2チャンバー27内の圧力によって、前記可移動管状部材32を動作させて前記ばね部材33を右方向へ押し付ける移動距離dが短くなり、前記連通流路23連通口231を素早く閉じることができる。このとき、前記第2チャンバー27内の圧力は、必要な所定圧力Pである。同様に、前記調整ロッド34がスリーブ31に浅くねじ込まれる場合、前記第2チャンバー27内の圧力によって、前記可移動管状部材32を動作させてばね部材33を右方向へ押し付ける移動距離dは比較的に長くなり、前記連通流路23の連通口231を比較的に遅く閉じる。この時、新しい圧縮された空気がより多く充填され、前記第2チャンバー27内の圧力がより大きい必要な所定圧力Pに達することができる。なお、可移動管状部材32を滑らかに動かすためには、可移動管状部材と圧縮ばね部材との空間には、大気と連通するための第1ガス抜き孔313、第2ガス抜き孔14を必要とする。
【0020】
図8に示すように、本発明の圧力調整装置Bは、圧力安定化効果を有する。以下、この圧力を安定化させる原理について説明する。塗装作業において、操作員が前記引き金11を引くことで、前記前端流路21と後端流路22とを連通させ、前記後端流路22は、前記前端流路21に圧縮された空気を充填して塗装作業を行う。この時、前記第2チャンバー27内部の圧力が低下し、前記可移動管状部材32が左方向に移動し、同時に、前記連通流路23の連通口231を開放させ、新しい圧縮された空気を充填する。操作員が前記引き金11を放すると、前記第2チャンバー27内部の圧力が増加し、前記可移動管状部材32が右方向へ移動し、前記連通流路23の連通口231が再び閉じられ、新しい圧縮された空気の補充を中断する。これによって、前記後端流路22をいつでも所定の圧力範囲内に維持し、塗装詐作業のために前端流路21に安定して空気圧を供給して、塗装表面の品質を改善することができる。
【0021】
図9は、本発明と従来の圧力調整方式とのいくつかの実験後に得られた比較データを示している。図9の表(a)は、本発明の圧力調整方式の比較曲線図であり、図(b)は、従来の圧力調整方式の比較曲線図である。これらの比較曲線図から、本発明の圧力調整方式では、排気調整圧力の下で、前記ばね部材33が受ける圧力(P)と排気圧力とが定数の比例関係を示している(図9(a)を参照)。つまり、入口気圧と出口気圧との差圧の変化が小さく、塗装作業の圧力提供が安定している。一方で、従来技術の圧力調整方式では、入口気圧と出口気圧との差圧の変化が激しく、安定した塗装作業の圧力提供を得られたい。この実験結果から、本発明のスプレーガンの圧力調整手段は、従来のスプレーガンの圧力調整手段よりも実際に優れていることを示している。
【符号の説明】
【0022】
A:スプレーガンの圧力調整方法
a:ステップ
b:ステップ
c:ステップ
d:ステップ
B:スプレーガン圧力調整装置
1:ガン本体
11:引き金
12:把握部
13:ノズル
14:第2ガス抜き孔
15:ストッパーねじ部材
150:ストッパーねじ穴
2:流路
21:前端流路
22:後端流路
23:連通流路
231:連通口
24:第1チャンバー
241:底部
25:直線流路
26:バルブ
27:第2チャンバー
3:内部圧力調整弁
31:スリーブ
311:横方向貫通孔
312:雌ねじ部
313:第1ガス抜き孔
314:固定用半円形構造
32:可移動管状部材
320:貫通孔
33:ばね部材
34:調整ロッド
341:雄ねじロッド
342:ノブ部材
343:肩部溝構造
344:目盛り
345:パッキン部材
d:距離
O:オイルシール
4:分流装置
41:第1気流
411:ノズル
42:第2気流
5:エアキャップ
51:角耳穴
6:スロットルバルブ
7:塗装料容器
8:外部圧力調整弁
81:圧力計
9:引き金
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11