(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】膜材料及びこれを用いた膜天井
(51)【国際特許分類】
E04B 9/22 20060101AFI20220930BHJP
B32B 17/04 20060101ALI20220930BHJP
D06M 15/248 20060101ALI20220930BHJP
D06M 101/00 20060101ALN20220930BHJP
【FI】
E04B9/22 A
B32B17/04 Z
D06M15/248
D06M101:00
(21)【出願番号】P 2021133678
(22)【出願日】2021-08-18
(62)【分割の表示】P 2016232766の分割
【原出願日】2016-11-30
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武内 信貴
(72)【発明者】
【氏名】堀越 裕樹
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/171188(WO,A1)
【文献】特開2015-136926(JP,A)
【文献】特開2010-052370(JP,A)
【文献】膜天井事例集,一般社団法人日本膜構造協会,2016年09月29日,1頁,http://www.makukouzou.or.jp/blog/wp/wp-content/uploads/2015/12/maku_tenjyo_004.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 15/00-15/715
B32B 1/00-43/00
E04B 9/00-9/36
D06M 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維織物と、該ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂と、を含む膜材料であって、
前記ガラス繊維織物の織組織が平織であり、
KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される前記膜材料の、前記ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性が、24gf・cm
2/cm以上であり、
前記膜材料が前記ガラス繊維織物の経方向に自由懸垂した状態で配置される膜天井に用いられる、
膜材料。
【請求項2】
KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される前記膜材料の、前記ガラス繊維織物の経方向における曲げ特性が10~40gf・cm
2/cmである、請求項1に記載の膜材料。
【請求項3】
前記ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性と前記ガラス繊維織物の経方向における曲げ特性との比(ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性/ガラス繊維織物の経方向における曲げ特性)が1.1~1.6である、請求項1又は2に記載の膜材料。
【請求項4】
前記膜材料の質量(g/m
2)に対する前記樹脂の質量(g/m
2)の割合が12~25質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の膜材料。
【請求項5】
前記樹脂が、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フルオレンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、脂環式構造を有する重合体、セルロース系樹脂、ポリスルホン、ポリスルホンエーテル、硬質塩化ビニル系樹脂又は塩化ビニル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の膜材料。
【請求項6】
前記樹脂が、非晶性の熱可塑性樹脂である、請求項1~5のいずれか1項に記載の膜材料。
【請求項7】
前記ガラス繊維織物が、経糸として番手が100~180texの合撚糸、緯糸として番手が250~350texのバルキー加工糸を含み、前記経糸の織密度が20~40本/25mm、前記緯糸の織密度が10~30本/25mmであって、前記緯糸の番手と前記経糸の番手との比(緯糸の番手/経糸の番手)が2~4である、請求項1~6のいずれか1項に記載の膜材料。
【請求項8】
前記請求項1~
7のいずれか1項に記載の膜材料を含む膜天井。
【請求項9】
前記膜材料が前記ガラス繊維織物の経方向に自由懸垂した状態で配置される、請求項
8に記載の膜天井。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜材料、特に膜天井に好適な膜材料及びこれを用いた膜天井に関する。
【背景技術】
【0002】
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、体育館等の大規模空間を有する建築物の天井が脱落する被害が生じ、人命が失われた施設もあった。そして、地震時における天井脱落による被害を防止すべく、平成25年7月に建築基準法施行令の一部改正ならびに同年8月「天井脱落対策に係る一連の技術基準告示(平成25年国土交通省告示第771号他)」が公布(平成26年4月1日から施行)されている。これにより「特定天井」に該当する場合には、これらの技術基準に従って脱落防止対策を行うことが義務づけられた。これらに伴い、近年、不燃性に優れ、比較的軽いガラス繊維織物を用いた膜天井が注目されている。
【0003】
膜天井用ガラスクロスとして、経糸、緯糸を製織してなる膜天井用ガラスクロスであって、一方の糸をバルキー加工されていないガラス繊維糸、他方の糸をバルキー加工されたガラス繊維糸を使用し、前記バルキー加工されていないガラス繊維糸の織密度と前記バルキー加工されたガラス繊維糸の織密度との和が80~93本/25mmであり、前記バルキー加工されていないガラス繊維糸の織密度Aと前記バルキー加工されたガラス繊維糸の織密度Bとの比(B/A)が、0.65~0.95であり、前記ガラスクロスの織組織が、二重織であり、前記ガラスクロスの開口率が、0.02~1.0%である膜天井用ガラスクロスが知られている(例えば、特許文献1参照。)。該膜天井用ガラスクロスによれば、バルキー加工されているガラス繊維糸を用い、さらに織組織が二重織であり、特定の織密度を備えることで、吸音性にすぐれており、人の声の周波数領域である低周波数領域の吸音性に優れ、天井膜として用いたときに人の声の反響が抑えられているとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】“膜天井事例集”、[online]、一般社団法人日本膜構造協会、[平成28年9月29日検索]、インターネット<URL:http://www.makukouzou.or.jp/blog/wp/wp-content/uploads/2015/12/maku_tenjyo_004.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、膜天井の主な工法として、全周定着タイプ、2辺定着タイプ、ポイント定着タイプが挙げられる(例えば、非特許文献1参照。)。
図1は、非特許文献1から引用した、膜天井の主な工法のうち、2辺定着タイプの例を説明する模式図であり、
図2は、非特許文献1から引用した、膜天井の主な工法のうち、ポイント定着タイプの例を説明する模式図である。
図1に例示するように、2辺定着タイプは、膜材料である生地の両端(2辺)のみを定着し、膜を一方向に懸垂させる工法である。また、
図2に例示するように、ポイント定着タイプは、生地の外周にポイントで金物を取り付け、幾分か懸垂させながらテンションをかける工法である。また、ガラス繊維織物は、その製造工程上、経方向(経糸方向)に長尺である。そして、ガラス繊維織物を用いた膜材料を適用する場合、長尺な経方向に懸垂させることを考えた。
【0007】
しかしながら、本発明者等が検討した結果、特許文献1に開示されている膜天井用ガラスクロスは、例えば、上記2辺定着タイプ及びポイント定着タイプ等、膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合、該膜天井用ガラスクロスの経方向に沿ってシワが発生しやすくなる場合があることを知得した。そして、膜材料にシワが発生すると美感を損なうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にもシワの発生を抑制することができる膜材料及び該膜材料を用いた膜天井を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、特許文献1に開示されている膜天井用ガラスクロスが、該ガラスクロスを懸垂させた膜天井とした場合、該膜天井用ガラスクロスにシワが発生しやすい原因について検討した。
【0010】
元々ガラスクロスは硬く、ポリエステル繊維等合成繊維を用いた織物に比してシワが発生しやすい傾向にある。そして、例えば、特許文献1で具体的な実施態様として開示されている実施例の膜天井用ガラスクロスは、緯方向の硬さが不十分であり、これに起因して経方向に沿ってシワが発生しやすくなることを突き止めた。
【0011】
そこで、本発明者がさらに鋭意検討したところ、ガラス繊維織物と、該ガラス繊維織物
にコーティング又は貼着された樹脂と、を含むものとし、当該樹脂の種類及び量、当該ガラス繊維織物の緯糸構成、織密度等を適切に制御し、KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される前記膜材料の、前記ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性を特定範囲とすることにより、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の膜材料及びこれを用いた膜天井を提供する。
項1.ガラス繊維織物と、該ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂と、を含む膜材料であって、KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される前記膜材料の、前記ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性が、24gf・cm2/cm以上である、膜材料。
項2.KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される前記膜材料の、前記ガラス繊維織物の経方向における曲げ特性が10~40gf・cm2/cmである、項1に記載の膜材料。
項3.前記ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性と前記ガラス繊維織物の経方向における曲げ特性との比(ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性/ガラス繊維織物の経方向における曲げ特性)が1.1~1.6である、項1又は2に記載の膜材料。
項4.前記膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が12~25質量%である、項1~3のいずれか1項に記載の膜材料。
項5.前記ガラス繊維織物が平織組織である、項1~4のいずれか1項に記載の膜材料。
項6.前記樹脂が、非晶性の熱可塑性樹脂である、項1~5のいずれか1項に記載の膜材料。
項7.前記項1~6のいずれか1項に記載の膜材料を含む膜天井。
項8.前記膜材料が前記ガラス繊維織物の経方向に自由懸垂した状態で配置される、項7に記載の膜天井。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガラス繊維織物と、該ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂と、を含む膜材料であって、KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される前記膜材料の、前記ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性が、24gf・cm2/cm以上であることから、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することができる。従って、本発明の膜材料を膜天井とした場合は、経方向に沿うシワの発生が抑制可能となり、美感に優れたものとなりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】非特許文献1から引用した、膜天井の主な工法のうち、2辺定着タイプの例を説明する模式図である。
【
図2】非特許文献1から引用した、膜天井の主な工法のうち、ポイント定着タイプの例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の膜材料は、ガラス繊維織物と、該ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂と、を含み、KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される前記膜材料の、前記ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性が、24gf・cm2/cm以上である。以下、本発明の膜材料について詳細に説明する。
【0016】
<ガラス繊維織物>
本発明の膜材料は、ガラス繊維織物を含む。これにより、本発明の膜材料を膜天井とする場合、比較的軽量なものとしつつ不燃性を高めやすくなり、室内の吸音性を高める機能も果たす。
【0017】
ガラス繊維を構成するガラス材料としては、特に制限されず、公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料として、具体的には、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)、等が挙げられる。
【0018】
ガラス繊維織物を構成するガラス繊維としては、長繊維である単繊維が複数本撚り合わされたガラスヤーンが好ましい。中でも緯糸としては、ガラスヤーンの中でも、ガラスヤーンがエアージェット等で嵩高に加工されてなるバルキー加工糸がより好ましい。バルキー加工糸は、樹脂組成物溶液をより均一に吸収し易く、ガラスヤーンに付着させる樹脂量を比較的少なくした場合でも曲げ特性が硬いものとより一層なりやすい。従って、緯糸をバルキー加工糸とした場合は、比較的少ない樹脂量で緯方向の曲げ特性がより一層硬いものとしやすくなることから、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することと、不燃性とを、より一層両立しやすくなる。また、バルキー加工糸は嵩高であり、比較的少ない打ち込み本数(緯方向の織密度)で緯糸間の隙間を小さくしやすいことから、生産性良く膜材料の吸音性と不燃性とを優れたものとしやすくなる。バルキー加工糸の中でも、複数のガラスヤーンが該ガラスヤーンの撚り方向とは反対方向に撚り合わされた合撚糸がエアージェット等で嵩高に加工されてなるバルキー加工糸とすることが好ましい。この場合、上記シワの発生の抑制と、吸音性と、不燃性とを一層両立するという観点から、S方向又はZ方向に撚られた単糸であるガラスヤーンが2~4本該ガラスヤーンとは反対方向に撚り合わされた合撚糸がエアージェット等で嵩高に加工されてなるバルキー加工糸とすることが好ましい。また、経糸としては、特に制限されないが、比較的少ない経方向の織密度としても効果的に経糸間の隙間を調整して吸音性と不燃性とをより高めやすくするという観点から、複数のガラスヤーンが該ガラスヤーンの撚り方向とは反対方向に撚り合わされてなる合撚糸とすることが好ましく、2~4本のガラスヤーン(単糸)が該ガラスヤーンの撚り方向とは反対方向に撚り合わされてなる合撚糸とすることがより好ましい。上記バルキー加工糸とする場合の、合撚糸の撚り数(上撚り数)としては、2~5回/25mmが好ましく、3.0~4.5回/25mmがより好ましく挙げられる。また、上記合撚糸とする場合の撚り数(上撚り数)としては、2~5回/25mmが好ましく、3.0~4.5回/25mmがより好ましく挙げられる。
【0019】
ヤーン(単糸)における単繊維の本数は、特に制限されないが、30~800本が好ましい。中でも、緯糸としては、100~800本の単繊維からなるヤーン(単糸)が複数本撚り合わされた合撚糸がエアージェット等で嵩高に加工されてなるバルキー加工糸とすることが好ましい。また、経糸としては、100~800本の単繊維からなるヤーン(単糸)が複数本撚り合わされた合撚糸とすることが好ましい。ヤーンにおける単繊維の直径は、例えば3.0~12.0μmが挙げられ、5.0~9.0μmが好ましく挙げられる。ガラスヤーンの番手としては、例えば、10~1000texが挙げられ、100~500texが好ましく挙げられる。中でも、緯糸をバルキー加工糸とする場合の、該バルキー加工糸の番手としては、100~500texが挙げられ、200~400texが好ましく挙げられ、250~350texがより好ましく挙げられる。また、経糸を合撚糸とする場合の、該合撚糸の番手としては、例えば、50~500texが挙げられ、50~200texが好ましく挙げられ、100~180texがより好ましく挙げられる。緯糸の番手と経糸の番手との比(緯糸の番手/経糸の番手)としては、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することと、吸音性と、不燃性とを一層両立するという観点から、例えば、1~5が挙げ
られ、2~4が好ましく挙げられ、2~2.5がより好ましく挙げられる。また、ガラスヤーンは、緯方向または経方向における曲げ特性を調整する目的で、樹脂等で被覆されたコーテッドヤーンとすることもできる。該樹脂等としては、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0020】
本発明において、ガラス繊維織物の織組織としては限定されず、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織、経二重織、緯二重織、二重織等が挙げられる。中でも、膜材料のシワの発生や膨れ等をより一層抑制し、膜天井とした場合の美感をより一層高める観点から、平織が好ましく、特に平織のガラス繊維織物を1枚含む膜材料とすることがより好ましい。具体的に、二重織や、ガラス繊維織物を複数重ねたものとした場合は、膜材料を運搬等のためロール状にしたとき、ロールの内側になるガラス織物は、ロールの外側になるガラス織物に比して長尺方向にあまりやすくなり、これを巻き出して膜天井としたときにシワが発生しやすくなる場合がある。
【0021】
本発明において、ガラス繊維織物の織密度としては、特に限定されない。例えば、膜材料の不燃性及び吸音性を高めることを目的として、適宜調整することができ、例えば、10~200本/25mmが挙げられ、10~100本/25mmが好ましく挙げられる。この場合、経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔を0.5mm以下となるようにすると、不燃性により優れたものとしやすくなる。また、経糸と緯糸との織密度の比(緯糸の織密度/経糸の織密度)としては、0.4~1.0が挙げられ、不燃性と吸音性とを一層優れたものとする観点から、0.4~0.75が好ましく、0.4~0.64がより好ましく、0.5~0.6が特に好ましく挙げられる。ガラス繊維織物の質量(g/m2)としては、特に制限されないが、例えば、100~1000g/m2が挙げられ、200~600g/m2が好ましく挙げられ、350~450g/m2がより好ましく挙げられる。また、本発明において、ガラス繊維織物の厚さ(mm)としては、特に制限されないが、例えば、0.2~0.8mmが挙げられ、0.3~0.5mmが好ましく挙げられ、0.4~0.5mmがより好ましく挙げられる。
【0022】
本発明において、ガラス繊維織物は、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することと、吸音性と、不燃性とを一層両立するという観点から、経糸として番手が100~180texの合撚糸、緯糸として番手が250~350texのバルキー加工糸を含み、該経糸の織密度が20~40本/25mm、緯糸の織密度が10~30本/25mmであって、該緯糸の番手と該経糸の番手との比(緯糸の番手/経糸の番手)が2~4とすることがより一層好ましく、経糸として番手が100~180texの合撚糸、緯糸として番手が250~350texのバルキー加工糸を含み、該経糸の織密度が25~35本/25mm、緯糸の織密度が15~20本/25mm、該経糸の織密度と該緯糸の織密度との比(緯糸の織密度/経糸の織密度)が0.5~0.6であって、該緯糸の番手と該経糸の番手との比(緯糸の番手/経糸の番手)が2~4とすることがより一層好ましい。
【0023】
(ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂)
本発明の膜材料は、ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂を含む。これにより、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することができる。換言すれば、該樹脂が無いガラス繊維織物は、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合に経方向に沿うシワの発生を抑制することができない。
【0024】
本発明において、樹脂の種類としては、特に限定されない。例えば、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フルオレンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂、塩化ビニル系樹脂(塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと他のモノマ
ーとの共重合体が含まれる。)、アクリル系樹脂(アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸,メタアクリル酸エステルなどの重合体及び共重合体が含まれる。)、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。ところで、膜材料を広面積の膜天井とする場合、膜材料が膜天井施工現場で接合させやすいものであることが望まれ、該接合方法としては高周波誘電加熱による接合が望まれる。そして、高周波誘電加熱により接合しやすくするという観点から、上記樹脂の種類としては、非晶性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。非晶性の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、脂環式構造を有する重合体、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスルホン、ポリスルホンエーテル等が挙げられる。非晶性の熱可塑性樹脂の中でも、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することと、不燃性とをより両立するという観点から、比較的少ない樹脂量で効果的に曲げ特性が硬いものとしやすくなるものが好ましく、例えば、硬質塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく挙げられる。中でも、上記少ない樹脂量としたときのシワの抑制効果と、不燃性と、高周波誘電加熱による接合のし易さとをより一層両立する観点から、塩化ビニル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体が特に好ましい。上記塩化ビニル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体とする場合は、塩化ビニル単位の共重合比を高めることにより、少ない樹脂量としたときのシワの抑制効果をより高めやすくすることができる。この場合、塩化ビニル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体における塩化ビニル単位の共重合割合としては、40~90質量%が好ましく、70~90質量%がより好ましく、75~85質量%が特に好ましい。
【0025】
本発明において、ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂の質量(g/m2)としては、例えば、30~120g/m2が挙げられる。中でも、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することと、不燃性と、吸音性と、高周波誘電加熱による接合し易さとをより一層両立させやすくするという観点から、50~100g/m2が好ましく、70~90g/m2がより好ましい。
【0026】
本発明において、ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂は、他の成分と混合等した樹脂組成物とすることができる。該樹脂組成物に含まれる他の成分としては、例えば、架橋剤、有機顔料、無機顔料等の着色顔料、染料、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等の添加剤等が挙げられる。中でも、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することと、不燃性とをより両立するという観点から、比較的少ない樹脂量で効果的に曲げ特性が特定範囲のものとしやすくするべく、ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂又は当該樹脂組成物として、可塑剤の含有量が少ないものが好ましい。本発明の膜材料において、可塑剤の含有量としては、ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂100質量部に対し、5質量部以下が挙げられ、3質量部以下が好ましく挙げられ、1質量部以下がより好ましく挙げられ、0質量部(すなわち、本発明の膜材料が可塑剤を含有しない。)が特に好ましく挙げられる。本発明において、可塑剤とは、熱可塑性樹脂に添加され、該熱可塑性樹脂に柔軟性を与えるものとして公知の成分であり、例えば、フタル酸系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、脂肪族多塩基酸系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、アルコール系可塑剤、脂肪酸系可塑剤、アミド系可塑剤、高分子系可塑剤、鉱物油、植物油等が挙げられる。具体的に、フタル酸系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-n-オクチル、フタル酸ジ-n-エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ-n-オクチル、フタル酸ジ-n-デシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ-n-ドデシル、フタル酸ジイソトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、イソフタル酸ジ-2-エチルヘキシルが挙げられ、トリメリット酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシルが挙げられ、脂肪族多塩基酸系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ヘキシル、アジピン酸ジ-n-デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、アゼライン酸ジ-2-エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、アジピン酸メトキシエチル、o-アセチルクエン酸トリブチル、o-アセチルクエン酸トリエチルが挙げられ、リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ-2-エチルヘキシル、リン酸ジフェニルエチル、リン酸トリクレジールが挙げられ、エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化トール油脂肪酸-2-エチルヘキシルが挙げられ、脂肪酸エステル系可塑剤としては、例えば、ステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸メチル、ステアリン酸ブトキシエチル、オレイン酸メトキシエチル、酢酸2-(p-tert-ブチルフェノキシエチル)が挙げられ、多価アルコールエステル系可塑剤としては、例えば、ブチルフタリルブチルグリコレート、グリセロールトリブチレート、トリエチレングリコールジペラルゴネートが挙げられ、アルコール系可塑剤としては、例えば、2-(p-tert-アミルフェノキシ)エタノール、2-(p-tert-ブチルフェノキシ)エタノール、ジアミルフェノキシエタノール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコールが挙げられ、脂肪酸系可塑剤としては、例えば、オレイン酸、リシノール酸、ステアリン酸が挙げられ、アミド系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ビスジブチルアミド、ラウリン酸ジブチルアミド、ジエチルジフェニル尿素、p-トルエンスルホンアミド、エチル-p-トルエンスルホンアミドが挙げられ、高分子系可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、エステル基を含有する高分子化合物(アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等の2塩基酸と1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール等の重縮合物)が挙げられる。
【0027】
本発明において、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合は12~25質量%であることが好ましい。また、本発明において、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合は75~88質量%であることが好ましい。このようにすることにより、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することと、不燃性と、吸音性と、高周波誘電加熱による接合し易さと、膜材料を折り曲げたときの白化の発生抑制と、をより一層両立させやすくすることができる。
【0028】
(膜材料の特性)
【0029】
(曲げ特性)
本発明の膜材料は、KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される前記膜材料の、前記ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性が、24gf・cm2/cm以上である。これにより、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することができる。本発明において、膜材料の曲げ特性は、具体的に、各サンプルの所定領域の1cm幅を試料として1cm間隔のチャック間に固定し、最大曲率+2.5cm-1まで表側に曲げ、次に、最大曲率-2.5cm-1まで裏側に曲げた後に元に戻すことによって測定する。
【0030】
ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することと、不燃性とをより両立するという観点から、上記緯方向における曲げ特性は、24~50gf・cm2/cmが好ましく、30~50gf・cm2/cmがより好ましい。
【0031】
上記緯方向における曲げ特性を24gf・cm2/cm以上とする方法としては、ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂を含むものとすることが必要である。これ以外としては、例えば、ガラス繊維織物の緯糸をバルキー加工糸としたり、緯糸の番手や繊維径を大きいものとしたり、ガラス繊維織物にコーティング又は貼着される樹脂の量、種類を調整したりすることが挙げられる。樹脂又は樹脂組成物を硬度が高いものを選択したり、該硬度が高い樹脂や硬度を高める共重合成分の含有量を高めたりすることも効果的であり、樹脂又は樹脂組成物の硬度としては、例えば、JIS K7215で規定されるショアーD硬度が40以上が挙げられ、好ましくは50~90程度、より好ましくは60~90程度、さらに好ましくは70~90程度が挙げられる。また、樹脂組成物の硬度を高めるために、架橋剤等を用いることもできる。
【0032】
本発明の膜材料において、KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される膜材料の、ガラス繊維織物の経方向における曲げ特性が、10~40gf・cm2/cmであることが好ましく、15~35gf・cm2/cmであることがより好ましく、25~35gf・cm2/cmであることが特に好ましい。このような範囲とすることにより、例えば、膜材料を経方向に懸垂させた場合、特に2辺定着タイプとして経方向に懸垂させた場合に端部(ガラス繊維織物の耳部に相当する部分)がたるみにくくなることと、不燃性とをより両立させやすくなる。
【0033】
(吸音性)
本発明の膜材料は、垂直入射吸音率が0.5以上であることが好ましく、0.6~0.9であることがより好ましい。本発明において、垂直入射吸音率は、以下のように測定されるものである。すなわち、JIS A 1405-2:1998に準じ、株式会社小野測器製SR-4100を使用し、試料を直径100mm、背後空気層として300mmの空間を設けた。周波数100Hz~1600Hzにおいて吸音率を2Hzごとに測定し、各周波数の吸音率の算術平均値を本発明における垂直入射吸音率とする。
【0034】
吸音率を上記範囲とする方法としては、例えば、ガラス繊維織物を構成する経糸又は緯糸としてバルキー加工糸を用いたり、また、本発明の膜材料が吸音性を高める微細孔を有するよう、ガラス繊維織物の織密度を調整したり、樹脂の含有量を調整したりすることが挙げられる。また、本発明の膜材料の通気度を、10~30cm3/cm2/秒とすることも有効な方法として挙げられる。
【0035】
(不燃性)
本発明の膜材料は、ガラス繊維織物を含むことから、不燃性に優れる。本発明の各材料の持つ不燃性をより一層優れたものとする観点から、本発明の膜材料が以下の要件を満足することが好ましい。
<要件>
一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下である。
【0036】
本発明の膜材料が上記要件を満足するものとする方法としては、例えば、ガラス繊維織物にコーティング又は貼着される樹脂の量の調整、種類の選択をしたり、難燃剤を含有する樹脂組成物としたり、することができる。上記樹脂の種類としては、例えば、塩化ビニル樹脂等ハロゲンを含有するものとすることが好ましく、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することと、不燃性とをより両立するという観点から、塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂を含むものとし
たり、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体としたりすることができる。
【0037】
また、本発明の膜材料は、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後20分間、0.5mm四方以上の貫通孔がないものであることがより好ましい。この要件を満足しやすくする方法としては、例えば、ガラス繊維織物を構成する経糸間の隙間間隔及び緯糸間の隙間間隔を0.5mm以下となるよう、織密度及び経糸構成及び緯糸構成を調整、選択すること等が挙げられる。
【0038】
(質量及び厚さ)
本発明の膜材料の質量としては、特に制限されない。当該質量としては、例えば、200~1000g/m2が挙げられる。例えば、本発明の膜材料を1枚続きの膜天井(本発明の膜材料を高周波誘導加熱により接合したものを含む。)とした場合であって、該1枚続きの膜天井の面積を25m2以上と広面積のものとした場合に、膜材料をより軽量化し、取り扱い性をより向上させつつ、膜天井を固定する部品点数をより少なくするという観点から、上記質量としては、200~550g/m2とすることが特に好ましい。また、不燃性等も考慮し、ガラス繊維織物の質量を適切なものとしつつ、膜材料の質量を400~550g/m2とすることもできる。また、厚さとしては、特に制限されないが、例えば、0.3~0.8mmが挙げられ、取り扱い性の観点から0.48~0.60mmが好ましく挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下に、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【0040】
(実施例1)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製バルキー加工糸(商品名TDE300)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が18本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0041】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンA(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比80/20、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)278)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は31本/25mm、緯方向の織密度は18本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.43mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔は0.5mm以下、樹脂の質量は80g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が83質量%、膜材料の質量が460g/m2、膜材料の厚さは0.60mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0042】
(実施例2)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製バルキー加工糸(商品名TDE300)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が18本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0043】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンA(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比80/20、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)278)を75質量部、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンB(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比50/50、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)271)を25質量部混合した樹脂溶液を準備した。該樹脂溶液に上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は31本/25mm、緯方向の織密度は18本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.43mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔は0.5mm以下、樹脂の質量は80g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が83質量%、膜材料の質量が460g/m2、膜材料の厚さは0.60mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0044】
(実施例3)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製バルキー加工糸(商品名TDE300)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が18本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0045】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンA(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比80/20、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)278)を50質量部、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンB(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比50/50、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)271)を50質量部混合した樹脂溶液を準備した。該樹脂溶液に上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は31本/25mm、緯方向の織密度は18本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.43mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔は0.5mm以下、樹脂の質量は80g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が83質量%、膜材料の質量が460g/m2、膜材料の厚さは0.60mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸
エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0046】
(実施例4)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製バルキー加工糸(商品名TDE300)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が20本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0047】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンA(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比80/20、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)278)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は31本/25mm、緯方向の織密度は20本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.45mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔は0.5mm以下、樹脂の質量は80g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が83質量%、膜材料の質量が480g/m2、膜材料の厚さは0.62mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0048】
(実施例5)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製バルキー加工糸(商品名TDE300)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が22本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0049】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンA(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比80/20、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)278)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は31本/25mm、緯方向の織密度は22本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.47mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔は0.5mm以下、樹脂の質量は85g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が83質量%、膜材料の質量が505g/m2、膜材料の厚さは0.64mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0050】
(実施例6)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製バルキー加工糸(商品名TDE300)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が19本/25mm、緯糸密度が20本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0051】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンA(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比80/20、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)278)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が18質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は19本/25mm、緯方向の織密度は20本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.35mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔が0.5mmを超え、樹脂の質量は65g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が18質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が82質量%、膜材料の質量が365g/m2、膜材料の厚さは0.5mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0052】
(実施例7)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製バルキー加工糸(商品名TDE300)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が19本/25mm、緯糸密度が22本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0053】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンA(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比80/20、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)278)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は19本/25mm、緯方向の織密度は22本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.35mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔が0.5mmを超え、樹脂の質量は65g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が83質量%、膜材料の質量が385g/m2、膜材料の厚さは0.5mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0054】
(実施例8)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製バルキー加工糸(
商品名TDE300)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が19本/25mm、緯糸密度が25本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0055】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンA(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比80/20、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)278)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が16質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は19本/25mm、緯方向の織密度は25本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.35mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔が0.5mmを超え、樹脂の質量は65g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が16質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が84質量%、膜材料の質量が405g/m2、膜材料の厚さは0.5mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0056】
(実施例9)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECG37 1/0 1.0Z)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製バルキー加工糸(商品名TDE300)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が25本/25mm、緯糸密度が22本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0057】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンA(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比80/20、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)278)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は25本/25mm、緯方向の織密度は22本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.34mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔は0.5mm以下、樹脂の質量は80g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が83質量%、膜材料の質量が470g/m2、膜材料の厚さは0.48mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0058】
(比較例1)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製バルキー加工糸(商品名TDE300)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が18本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0059】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンB(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比50/50、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)271)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は31本/25mm、緯方向の織密度は18本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.43mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔は0.5mm以下、樹脂の質量は80g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が83質量%、膜材料の質量が460g/m2、膜材料の厚さは0.6mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0060】
(比較例2)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が21本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0061】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンB(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比50/50、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)271)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は31本/25mm、緯方向の織密度は21本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.3mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔が0.5mmを超え、樹脂の質量は55g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が17質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が83質量%、膜材料の質量が325g/m2、膜材料の厚さは0.31mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0062】
(比較例3)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が23本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0063】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンB(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比50/50、固形分43
質量%、ビニブラン(登録商標)271)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が16質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は31本/25mm、緯方向の織密度は23本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.3mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔が0.5mmを超え、樹脂の質量は55g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が16質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が84質量%、膜材料の質量が335g/m2、膜材料の厚さは0.31mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0064】
(比較例4)
(ガラス繊維織物の準備)
まず、経糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)、緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製合撚糸(商品名ECDE75 1/2 3.8S)を準備した。上記経糸及び緯糸を用い、経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が25本/25mmとなるように平織組織で製織し、ガラス繊維織物を得た。
【0065】
(樹脂コーティング)
コーティングする樹脂として、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体エマルジョンB(塩化ビニルユニット/アクリル酸エステルユニットの質量比50/50、固形分43質量%、ビニブラン(登録商標)271)を準備した。該樹脂エマルジョンに上記得られたガラス繊維織物を浸漬し、得られる膜材料の質量(g/m2)に対する前記樹脂の質量(g/m2)の割合が16質量%となるように浸漬したガラス繊維織物をニップロールで絞り、温度150℃、時間3分の条件で乾燥し、本発明の膜材料を得た。得られた膜材料において、ガラス繊維織物の経方向の織密度は31本/25mm、緯方向の織密度は25本/25mm、ガラス繊維織物の厚さは0.3mm、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔は0.5mm以下、樹脂の質量は55g/m2、膜材料の質量(g/m2)に対する樹脂の質量(g/m2)の割合が16質量%、膜材料の質量(g/m2)に対するガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合84質量%、膜材料の質量が345g/m2、膜材料の厚さは0.31mmであった。なお、得られた膜材料中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、5質量部以下であった。
【0066】
(膜材料の評価)
実施例及び比較例の膜材料について、以下の評価をおこなった。
【0067】
(1)KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される膜材料の、前記ガラス繊維織物の緯方向及び経方向における曲げ特性(gf・cm2/cm)
前述した方法により測定した。
【0068】
(2)膜材料の垂直入射吸音率
前述した方法により測定した。
【0069】
(3)膜材料の不燃性
一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において
、(I)加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、(II)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、(III)加熱開始後20分間、0.5mm四方以上の貫通孔がないものを○、上記(I)~(III)の3つの要件のうち、一つでも満足しないものがある場合は×として評価した。
【0070】
(4)ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合のシワの発生
長さ2m、幅50cmに切り出した膜材料を、1.8m間隔に置いた棒にクリップではさみ、経方向に懸垂した状態で膜材料を設置してシワの発生について評価した。以下の基準により評価し、△以上を合格とした。
○:経方向に発生するシワが全く無く、実用上全く問題ないレベルであった。
△:経方向にシワが発生しているが、実用上問題ないレベルであった。
×:経方向に著しくシワが発生し、実用上問題あるレベルであった。
【0071】
(5)ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜材料とした場合の端部(ガラス繊維織物の耳部に相当する部分)のたるみ発生
長さ2m、幅50cmに切り出した膜材料を、1.8m間隔に置いた棒にクリップではさみ、経方向に懸垂した状態で膜材料を設置して端部に発生するたるみについて評価した。以下の基準により評価し、△以上を合格とした
○:端部に発生するたるみが全く無く、実用上問題ないレベルであった。
△:端部にたるみは発生するが、実用上問題ないレベルであった。
×:端部にたるみが発生し、実用上問題のあるレベルであった。
【0072】
(6)高周波誘電加熱による接合性
山本ビニター株式会社製YPO-5Aを用い、電流5A、鉄板温度100℃、接合時間4秒で接合したときに剥離性について評価した。以下の基準により評価し、2以上を合格とした。
3:手ではがそうとしても全く剥離せず、実用上全く問題ないレベルであった。
2:手ではがそうとすると剥離してしまうが、実用上問題ないレベルであった。
1:接着しておらず、実用上問題あるレベルであった。
【0073】
(7)膜材料に折曲げ応力が繰り返し加わった時の白化のし易さ
JIS R 3420:2013 7.14「クロスの耐折強さ」に従って試験を行い、膜材料試験片の折り曲げ部分における、折り曲げに起因する白線発生の有無を目視により観察し、該白線が確認された折り曲げ回数により評価した。なお、白線の有無の確認は、折り曲げ回数が5回、10回、20回、30回、40回、50回、60回、70回、80回、90回、100回の各回シートを黒台紙の上に設置して行った。また、試験片のn数は3とし、その平均値により評価した。該往復折り曲げ回数が多いほど、シートは、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じるのが抑制されていると評価される。そして、以下の基準により評価した。
5:折り曲げ回数が100回でも白線がつかない
4:折り曲げ回数が100回以下
3:折り曲げ回数が50回以下
2:折り曲げ回数が20回以下
1:折り曲げ回数が5回以下
【0074】
得られた結果を表1に示す。
【0075】
【0076】
実施例1~9の膜材料は、ガラス繊維織物と、該ガラス繊維織物にコーティング又は貼着された樹脂と、を含む膜材料であって、KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される前記膜材料の、前記ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性が、24gf・cm2/cm以上であることから、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することができるものであり、該膜材料を膜天井とした場合に、経方向に沿うシワの発生が抑制可能となり、美感に優れたものとなりやすくなることが確認された。
【0077】
中でも、実施例1、2、4、5及び9の膜材料は、KES FB-2 PUREBENGINGTESTERにより測定される前記膜材料の、前記ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性が、30~50gf・cm2/cmであり、かつ、経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔が0.5mm以下であることから、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制することと、不燃性とをより両立するものであった。
【0078】
実施例3と6とを比較すると、経方向における曲げ特性(gf・cm2/cm)は同等であるが、膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合の端部のたるみの評価は実施例6のほうが優れたものとなった。これは、実施例6が、経糸密度が比較的小さく、膜材料質量がより軽量なものとなっていることに起因している。その一方で、実施例6は、経糸密度が比較的小さく、ガラス繊維織物の経糸間の隙間の間隔が0.5mmを超えてしまい、不燃性が劣るものとなった。しかし、実施例1、2、4、5及び9によれば、経糸密度を比較的大きくし、経糸間の隙間の間隔及び緯糸間の隙間の間隔が0.5mm以下とした結果、膜材料の質量は実施例3と同等であったにも関わらず、ガラス繊維織物の経方向における曲げ特性が25~35gf・cm2/cmであることから、膜材料を経方向に懸垂させた場合に端部がたるみにくくなることと、不燃性とをより両立させやすくなるものであった。
【0079】
一方、比較例1~4の膜材料は、実施例1~9と比較し樹脂が柔らかいものであり、ガラス繊維織物の緯方向における曲げ特性が、24gf・cm2/cm未満であったことから、ガラス繊維織物を含む膜材料を経方向に懸垂させた膜天井とした場合にも経方向に沿うシワの発生を抑制できないものであった。