(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】装填ユニットのためのスナップリングカムアクチュエータの解放
(51)【国際特許分類】
A61B 17/115 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
A61B17/115
(21)【出願番号】P 2018086070
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ ゲレーラ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー スグロイ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】パトリック モズディエーズ
【審査官】永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-016325(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0181036(US,A1)
【文献】特表2016-509890(JP,A)
【文献】特開2016-013437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
シェルアセンブリであって、
シェルハウジング、
複数のステープル、
前記複数のステープルを前記シェルハウジングから発射するように構成されたステープルプッシャ、
前記ステープルプッシャに係合するように構成されたステープルアクチュエータ、
ナイフ部材、及び
前記ナイフ部材を支持するナイフキャリア、を含むシェルアセンブリと、
アダプタであって、
軸方向変位のために作動機構に動作的に連結されたステープルバンドであって、前記ステープルアクチュエータに解放可能に係合するように構成された、ステープルバンド、
前記ステープルバンド内に少なくとも部分的に受容されるナイフバンドであって、軸方向変位のために作動機構と動作的に連結された、ナイフバンド、及び
前記ナイフバンドの周りで回転可能に支持されたカムリングであって、前記カムリングが、前記ナイフキャリアが、前記ナイフバンドと同時に起こる軸方向変位のために前記カムリングに係合している係合位置と、前記ナイフキャリアが前記カムリングから係合解除されている係合解除位置との間で回転可能である、カムリング、を含むアダプタと、を備える、外科用器具。
【請求項2】
前記カムリングが、前記カムリングの内表面から径方向内向きに延在する内側タブを含み、前記内側タブが、前記ナイフキャリアに係合するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記ナイフキャリアが、前記カムリングの前記内側タブを受容するように構成された溝を含む指部を含む、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記ナイフバンドが、前記内側タブを受容するように構成されたスロットを画定し、これにより、前記内側タブが、前記スロットを通って径方向内向きに延在する、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記ナイフバンドの前記スロットが、前記カムリングの前記ナイフバンドに対する軸方向変位を阻止しながら、前記カムリングの前記ナイフバンドの周りの回転を可能にするように寸法決定されている、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記ナイフキャリアが、長手方向スロットを画定する、請求項5に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記カムリングが前記係合位置にあるとき、前記カムリングの前記内側タブが、前記ナイフバンドの前記スロットを通って径方向内向きに延在して、前記ナイフキャリアの前記指部の前記溝に係合し、前記カムリングが前記係合解除位置にあるとき、前記内側タブが、前記ナイフキャリアの前記長手方向スロットと整列する、請求項6に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記ナイフキャリアの前記指部が、径方向内向きに撓むように構成されている、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記カムリングが、径方向外向きに延在する外側タブを含む、請求項6に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記ステープルバンドが、前記カムリングの前記外側タブを摺動可能に受容するように構成された
カムスロットを含む、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記ステープルバンドが、長手方向軸を画定し、前記ステープルバンドの前記
カムスロットが、前記長手方向軸に沿って延在する長手方向部分と、前記長手方向軸に対して鋭角を画定する角度
付部分と、を含む、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記カムリングの前記外側タブが、前記ステープルバンドの前記
カムスロットの前記長手方向部分を通って摺動すると、前記カムリングの前記内側タブが、前記ナイフバンドの前記軸方向変位が前記ナイフキャリアの同時に起こる軸方向変位を引き超すように、前記ナイフキャリアの前記指部の前記溝に係合する、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記カムリングの前記外側タブが、前記ステープルバンドの前記
カムスロットの前記角度付部分を通して摺動すると、前記カムリングが、前記ナイフキャリア及び前記ステープルアクチュエータを、前記ナイフバンド及び前記ステープルバンドから取り外すために、前記内側タブが前記ナイフキャリアの前記長手方向スロットと位置合わせする位置まで、前記ナイフバンドの周りを回転する、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項14】
外科用ステープラであって、
作動機構を含むハンドルアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリに動作的に連結されたアダプタアセンブリであって、
軸方向変位のために前記作動機構に動作的に連結されたステープルバンド、
前記ステープルバンド内に少なくとも部分的に受容されるナイフバンドであって、軸方向変位のために作動機構と動作的に連結された、ナイフバンド、及び
前記ナイフバンド上に回転可能に支持されたカムリング、を含む、アダプタアセンブリと、
アンビルアセンブリと、
シェルアセンブリであって、
複数のステープル、
前記複数のステープルを発射するように構成されたステープルプッシャ、
前記ステープルプッシャを作動させるための軸方向変位のために構成されたステープルアクチュエータであって、前記ステープルバンドに係合するように構成された、ステープルアクチュエータ、及び
ナイフ部材を支持するナイフキャリアであって、前記カムリングが、前記ナイフキャリアが前記ナイフバンドと同時に起こる軸方向変位のために前記カムリングに係合している係合位置と、前記ナイフキャリアが前記カムリングから係合解除されている係合解除位置との間で回転可能である、ナイフキャリア、を含む、シェルアセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
【請求項15】
前記カムリングが、前記カムリングの内表面から径方向内向きに延在する内側タブを含み、前記ナイフキャリアが、前記カムリングが前記係合位置にあるとき、前記カムリングの前記内側タブを受容するように構成された溝を含む指部を含む、請求項14に記載の外科用ステープラ。
【請求項16】
前記ナイフバンドが、前記内側タブを受容するように構成されたスロットを画定し、これにより、前記内側タブが、前記スロットを通って径方向内向きに延在する、請求項15に記載の外科用ステープラ。
【請求項17】
前記ナイフキャリアが、長手方向スロットを画定し、これにより、前記カムリングが前記係合解除位置にあるとき、前記内側タブが、前記ナイフキャリアの前記長手方向スロットと整列する、請求項15に記載の外科用ステープラ。
【請求項18】
前記カムリングが、径方向外向きに延在する外側タブを含み、前記ステープルバンドが、前記カムリングの前記外側タブを受容するように構成された
カムスロットを含む、請求項17に記載の外科用ステープラ。
【請求項19】
前記ステープルバンドが、長手方向軸を画定し、前記ステープルバンドの前記
カムスロットが、前記長手方向軸に沿って延在する長手方向部分と、前記長手方向軸に対して鋭角を画定する角度付部分と、を含み、前記カムリングの前記外側タブが、前記ステープルバンドの前記
カムスロットの前記長手方向部分を通って摺動すると、前記カムリングの前記内側タブが、前記ナイフバンドの軸方向変位が前記ナイフキャリアの同時に起こる軸方向変位を引き起こすように、前記ナイフキャリアの前記溝に係合する、請求項18に記載の外科用ステープラ。
【請求項20】
前記カムリングの前記外側タブが、前記ステープルバンドの前記
カムスロットの前記角度付部分を通して摺動するとき、前記ナイフキャリア及び前記ステープルアクチュエータが、前記ステープルバンド及び前記ナイフバンドから取り外し可能であるように、前記カムリングが部分的に回転して、前記内側タブを前記ナイフキャリアの前記長手方向スロットと位置合わせして定置させる、請求項19に記載の外科用ステープラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用器具に関し、より具体的には、外科用器具に解放可能に接続可能である取り外し可能な装填ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ステープル、クリップ、または他の締結具を組織に適用するための外科用器具は周知である。典型的には、外科用器具は、作動ユニット、例えば、器具を作動させるためのハンドルアセンブリと、アダプタアセンブリと、エンドエフェクタと、を含む。アダプタアセンブリは、ハンドルアセンブリへの、また様々なエンドエフェクタへの選択的取り付けのために開発されている。エンドエフェクタは、装填ユニットを含む。使用後に、エンドエフェクタは、アダプタと共に廃棄されてもよい。場合によっては、エンドエフェクタ及び/またはアダプタアセンブリは、再使用のために滅菌されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、装填ユニットの容易かつ効率的な取り付け及び取り外しを可能にする新しい信頼性の高い外科用器具が望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、性能要件を満たし、かつ装填ユニットの取り付け及び取り外しに関連する有用性の課題を克服するための実際的なアプローチを実証する、外科用器具と共に使用するための取り外し可能な装填ユニットを記述する。概して、本開示は、ハンドルアセンブリ、ハンドルアセンブリから延在するアダプタアセンブリ、及びハンドルアセンブリに動作的に連結された細長い部材を含む外科用器具を記述する。
【0005】
本開示の実施形態によれば、シェルアセンブリと、アダプタと、を含む、外科用器具が提供される。シェルアセンブリは、シェルハウジング、複数のステープル、複数のステープルをシェルハウジングから発射するように構成されたステープルプッシャ、ステープルプッシャに係合するように構成されたステープルアクチュエータ、ナイフ部材、及びナイフ部材を支持するナイフキャリアを含む。アダプタは、軸方向変位のために作動機構に動作的に連結されたステープルバンド、ステープルバンド内に少なくとも部分的に受容されるナイフバンド、及びナイフバンドの周りで回転可能に支持されたカムリングを含む。ステープルバンドは、ステープルアクチュエータに解放可能に係合するように構成されている。ナイフバンドは、軸方向変位のために作動機構に動作的に連結されている。カムリングは、ナイフキャリアが、軸方向変位がナイフバンドと同時に起こるようにカムリングに係合している係合位置と、ナイフキャリアがカムリングから係合解除されている係合解除位置との間で回転可能である。
【0006】
実施形態において、カムリングは、カムリングの内表面から径方向内向きに延在する内側タブを含み得る。内側タブは、ナイフキャリアに係合するように構成され得る。
【0007】
別の実施形態では、ナイフキャリアは、カムリングの内側タブを受容するように構成された溝を含む指部を含んでもよい。
【0008】
さらに別の実施形態では、ナイフバンドは、内側タブを受容するように構成されたスロットを画定することができ、これにより、内側タブは、スロットを通って径方向内向きに延在する。特に、ナイフバンドのスロットは、カムリングのナイフバンドに対する軸方向変位を阻止しながら、カムリングのナイフバンドの周りの回転を可能にするように寸法決定されてもよい。
【0009】
さらにまた別の実施形態では、ナイフキャリアは、長手方向スロットを画定してもよい。
【0010】
さらにまた別の実施形態では、カムリングが係合位置にあるとき、カムリングの内側タブは、ナイフバンドのスロットを通って径方向内向きに延在して、ナイフキャリアの指部の溝に係合することができ、カムリングが係合解除位置にあるとき、内側タブは、ナイフキャリアの長手方向スロットと整列することができる。
【0011】
さらにまた別の実施形態では、ナイフキャリアの指部は、径方向内向きに撓むように構成されてもよい。
【0012】
さらにまた別の実施形態では、カムリングは、径方向外向きに延在する外側タブを含んでもよい。
【0013】
さらにまた別の実施形態では、ステープルバンドは、カムリングの外側タブを摺動可能に受容するように構成されたカミングスロットを含んでもよい。
【0014】
実施形態では、ステープルバンドは、長手方向軸を画定し得る。ステープルバンドのカミングスロットは、長手方向軸に沿って延在する長手方向部分と、長手方向軸に対して鋭角を画定する角度付き部分と、を含み得る。
【0015】
別の実施形態では、カムリングの外側タブは、ステープルバンドのカミングスロットの長手方向部分を通って摺動すると、カムリングの内側タブは、ナイフバンドの軸方向変位が、ナイフキャリアの軸方向変位を同時に引き起こすように、ナイフキャリアの指部の溝に係合することができる。
【0016】
さらにまた別の実施形態では、カムリングの外側タブが、ステープルバンドのカミングスロットの角度付部分を通って摺動すると、カムリングは、ナイフキャリア及びステープルアクチュエータを、ナイフバンド及びステープルバンドから取り外すために、内側タブがナイフキャリアの長手方向スロットと位置合わせする位置まで、ナイフバンドの周りを回転することができる。
【0017】
本開示の別の実施形態によれば、作動機構を含むハンドルアセンブリ、ハンドルアセンブリに動作的に連結されたアダプタアセンブリ、アンビルアセンブリ、及びシェルアセンブリを含む外科用ステープラが提供される。アダプタアセンブリは、軸方向変位のために作動機構に動作的に連結されたステープルバンド、軸方向変位のために作動機構に動作的に連結されたナイフバンド、及びナイフバンド上に回転可能に支持されたカムリングを含む。ナイフバンドは、ステープルバンド内に少なくとも部分的に受容される。シェルアセンブリは、複数のステープル、複数のステープルを発射するように構成されたステープルプッシャ、ステープルプッシャを作動させるための軸方向変位のために構成されたステープルアクチュエータ、及びナイフ部材を支持するナイフキャリアを含む。ステープルアクチュエータは、ステープルバンドに係合するように構成されている。カムリングは、ナイフキャリアが、軸方向変位がナイフバンドと同時に起こるようにカムリングに係合している係合位置と、ナイフキャリアがカムリングから係合解除されている係合解除位置との間で回転可能である。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
外科用器具であって、
シェルアセンブリであって、
シェルハウジング、
複数のステープル、
上記複数のステープルを上記シェルハウジングから発射するように構成されたステープルプッシャ、
上記ステープルプッシャに係合するように構成されたステープルアクチュエータ、
ナイフ部材、及び
上記ナイフ部材を支持するナイフキャリア、を含むシェルアセンブリと、
アダプタであって、
軸方向変位のために作動機構に動作的に連結されたステープルバンドであって、上記ステープルアクチュエータに解放可能に係合するように構成された、ステープルバンド、
上記ステープルバンド内に少なくとも部分的に受容されるナイフバンドであって、軸方向変位のために作動機構と動作的に連結された、ナイフバンド、及び
上記ナイフバンドの周りで回転可能に支持されたカムリングであって、上記カムリングが、上記ナイフキャリアが、上記ナイフバンドと同時に起こる軸方向変位のために上記カムリングに係合している係合位置と、上記ナイフキャリアが上記カムリングから係合解除されている係合解除位置との間で回転可能である、カムリング、を含むアダプタと、を備える、外科用器具。
(項目2)
上記カムリングが、上記カムリングの内表面から径方向内向きに延在する内側タブを含み、上記内側タブが、上記ナイフキャリアに係合するように構成されている、上記項目に記載の外科用器具。
(項目3)
上記ナイフキャリアが、上記カムリングの上記内側タブを受容するように構成された溝を含む指部を含む、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目4)
上記ナイフバンドが、上記内側タブを受容するように構成されたスロットを画定し、これにより、上記内側タブが、上記スロットを通って径方向内向きに延在する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目5)
上記ナイフバンドの上記スロットが、上記カムリングの上記ナイフバンドに対する軸方向変位を阻止しながら、上記カムリングの上記ナイフバンドの周りの回転を可能にするように寸法決定されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目6)
上記ナイフキャリアが、長手方向スロットを画定する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目7)
上記カムリングが上記係合位置にあるとき、上記カムリングの上記内側タブが、上記ナイフバンドの上記スロットを通って径方向内向きに延在して、上記ナイフキャリアの上記指部の上記溝に係合し、上記カムリングが上記係合解除位置にあるとき、上記内側タブが、上記ナイフキャリアの上記長手方向スロットと整列する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目8)
上記ナイフキャリアの上記指部が、径方向内向きに撓むように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目9)
上記カムリングが、径方向外向きに延在する外側タブを含む、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目10)
上記ステープルバンドが、上記カムリングの上記外側タブを摺動可能に受容するように構成されたカミングスロットを含む、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目11)
上記ステープルバンドが、長手方向軸を画定し、上記ステープルバンドの上記カミングスロットが、上記長手方向軸に沿って延在する長手方向部分と、上記長手方向軸に対して鋭角を画定する角度付き部分と、を含む、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目12)
上記カムリングの上記外側タブが、上記ステープルバンドの上記カミングスロットの上記長手方向部分を通って摺動すると、上記カムリングの上記内側タブが、上記ナイフバンドの上記軸方向変位が上記ナイフキャリアの同時に起こる軸方向変位を引き超すように、上記ナイフキャリアの上記指部の上記溝に係合する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目13)
上記カムリングの上記外側タブが、上記ステープルバンドの上記カミングスロットの上記角度付部分を通して摺動すると、上記カムリングが、上記ナイフキャリア及び上記ステープルアクチュエータを、上記ナイフバンド及び上記ステープルバンドから取り外すために、上記内側タブが上記ナイフキャリアの上記長手方向スロットと位置合わせする位置まで、上記ナイフバンドの周りを回転する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目14)
外科用ステープラであって、
作動機構を含むハンドルアセンブリと、
上記ハンドルアセンブリに動作的に連結されたアダプタアセンブリであって、
軸方向変位のために上記作動機構に動作的に連結されたステープルバンド、
上記ステープルバンド内に少なくとも部分的に受容されるナイフバンドであって、軸方向変位のために作動機構と動作的に連結された、ナイフバンド、及び
上記ナイフバンド上に回転可能に支持されたカムリング、を含む、アダプタアセンブリと、
アンビルアセンブリと、
シェルアセンブリであって、
複数のステープル、
上記複数のステープルを発射するように構成されたステープルプッシャ、
上記ステープルプッシャを作動させるための軸方向変位のために構成されたステープルアクチュエータであって、上記ステープルバンドに係合するように構成された、ステープルアクチュエータ、及び
ナイフ部材を支持するナイフキャリアであって、上記カムリングが、上記ナイフキャリアが上記ナイフバンドと同時に起こる軸方向変位のために上記カムリングに係合している係合位置と、上記ナイフキャリアが上記カムリングから係合解除されている係合解除位置との間で回転可能である、ナイフキャリア、を含む、シェルアセンブリと、を備える、外科用ステープラ。
(項目15)
上記カムリングが、上記カムリングの内表面から径方向内向きに延在する内側タブを含み、上記ナイフキャリアが、上記カムリングが上記係合位置にあるとき、上記カムリングの上記内側タブを受容するように構成された溝を含む指部を含む、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープラ。
(項目16)
上記ナイフバンドが、上記内側タブを受容するように構成されたスロットを画定し、これにより、上記内側タブが、上記スロットを通って径方向内向きに延在する、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープラ。
(項目17)
上記ナイフキャリアが、長手方向スロットを画定し、これにより、上記カムリングが上記係合解除位置にあるとき、上記内側タブが、上記ナイフキャリアの上記長手方向スロットと整列する、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープラ。
(項目18)
上記カムリングが、径方向外向きに延在する外側タブを含み、上記ステープルバンドが、上記カムリングの上記外側タブを受容するように構成されたカミングスロットを含む、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープラ。
(項目19)
上記ステープルバンドが、長手方向軸を画定し、上記ステープルバンドの上記カミングスロットが、上記長手方向軸に沿って延在する長手方向部分と、上記長手方向軸に対して鋭角を画定する角度付部分と、を含み、上記カムリングの上記外側タブが、上記ステープルバンドの上記カミングスロットの上記長手方向部分を通って摺動すると、上記カムリングの上記内側タブが、上記ナイフバンドの軸方向変位が上記ナイフキャリアの同時に起こる軸方向変位を引き起こすように、上記ナイフキャリアの上記溝に係合する、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープラ。
(項目20)
上記カムリングの上記外側タブが、上記ステープルバンドの上記カミングスロットの上記角度付部分を通して摺動するとき、上記ナイフキャリア及び上記ステープルアクチュエータが、上記ステープルバンド及び上記ナイフバンドから取り外し可能であるように、上記カムリングが部分的に回転して、上記内側タブを上記ナイフキャリアの上記長手方向スロットと位置合わせして定置させる、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープラ。
(摘要)
外科用器具は、シェルアセンブリと、アダプタと、を含む。シェルアセンブリは、シェルハウジングと、複数のステープルと、複数のステープルをシェルハウジングから発射するように構成されたステープルプッシャと、ステープルプッシャに係合するように構成されたステープルアクチュエータと、ナイフ部材と、ナイフ部材を支持するナイフキャリアと、を含む。アダプタは、軸方向変位のために作動機構に動作的に連結されたステープルバンドと、ステープルバンド内に少なくとも部分的に受容されるナイフバンドと、ナイフバンドの周りで回転可能に支持されたカムリングと、を含む。ステープルバンドは、ステープルアクチュエータに解放可能に係合するように構成されている。ナイフバンドは、軸方向変位のために作動機構に動作的に連結されている。カムリングは、ナイフキャリアが、ナイフバンドと同時に起こる軸方向変位のためにカムリングに係合している係合位置と、ナイフキャリアがカムリングから係合解除されている係合解除位置との間で回転可能である。
【0018】
添付図面は、本開示の例示的な実施形態と共に、上に挙げた本開示の概要、及び以下に挙げる実施形態の詳細な説明を例示し、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本開示の例示的な実施形態による、取り外し可能な装填ユニットを含む外科用器具の斜視図である。
【
図1B】外科用器具のハンドルアセンブリから分離された、
図1Aの外科用器具のアダプタアセンブリ及び延長部材の斜視図である。
【
図1C】
図1Bのアダプタアセンブリ及び延長部材の斜視図である。
【
図3】
図1A装填ユニット及び駆動バンドの、部品が分離された状態の分解斜視図である。
【
図4】
図3のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの斜視図である。
【
図6】
図4のナイフバンドに動作可能に係合することができるカムリングの斜視図である。
【
図9】
図4の切断線9-9に沿って取られた、ステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの斜視図である。
【
図11】
図4のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの側面図である。
【
図12】
図4の切断線12-12に沿って取られた、ステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの側面断面図である。
【
図14】ナイフキャリアの指部がナイフバンドに係合され、かつ外向きに撓んだ状態の、
図12の示された細部領域の拡大図である。
【
図15】ナイフキャリアがナイフバンドに係合された状態の、
図4のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの側面断面図である。
【
図17】ステープルアクチュエータがステープルを発射するために前進させられるときの、
図4のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの側面断面図である。
【
図18】
図17のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの側面図である。
【
図19】ナイフキャリアが組織を切断するために前進させられている状態の、
図4のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの側面断面図である。
【
図20】
図19のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの側面図である。
【
図21】ナイフキャリアが、ナイフキャリアのナイフバンドからの取り外しを開始するために中立位置に後退された状態の、
図19のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの側面断面図である。
【
図22】
図21のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの側面図である。
【
図23】カムリングが、ステープルアクチュエータ及びナイフキャリアをステープルバンド及びナイフバンドから係合解除するために回転された状態の、
図22のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの一部の側面図である。
【
図24】カムリングの回転を例示する、
図23のステープルアクチュエータ、ナイフキャリア、及び駆動バンドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施形態は、図面を参照して記述されており、いくつかの図面の各々において、同様な参照番号は、同一または対応する要素を示している。本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、ユーザからより遠くにある器具の部分を指し、一方「近位」という用語は、ユーザのより近くにある器具の部分を指す。
【0021】
本発明で開示される器具は、装填ユニットのナイフキャリア及びステープルアクチュエータを、外科用ステープラのアダプタアセンブリのナイフバンド及びステープルバンドにそれぞれ取り外し可能に接続する取り外し機構を含む。本器具は、性能要件を満たし、かつナイフキャリア及びステープルアクチュエータのナイフバンド及びステープルバンドとの取り付け及び取り外しにそれぞれ関連する有用性の課題を克服するための実際的なアプローチを実証する。特に、取り外し機構は、ステープルプッシャに係合するように構成されたステープルアクチュエータ、軸方向変位のために作動機構に動作的に連結されたステープルバンド、ステープルバンド内に少なくとも部分的に受容されるナイフバンド、ナイフバンドの周りで回転可能に支持されたカムリング、及びナイフ部材を支持するナイフキャリアを含む。ナイフバンドは、軸方向変位のために作動機構に動作的に連結されている。カムリングは、ナイフキャリアが、ナイフバンドと同時に起こる軸方向変位のためにカムリングに係合している係合位置と、ナイフキャリアがカムリングから係合解除されている係合解除位置との間で回転可能である。
【0022】
図1A~1Cを参照すると、本開示の例示的な実施形態は、外科用ステープラ10として概ね示されている。外科用ステープラ10は、内視鏡またはラパロスコープ処置において特に有用であるように適合されており、装填ユニット40及びアンビルアセンブリ60を含む外科用ステープラ10の内視鏡部分は、患者の身体の小切開部、カニューレアセンブリ、または自然の身体開口部(図示せず)を通して手術部位に挿入可能である。外科用ステープラ10は、概して、ハンドルアセンブリ12、アダプタアセンブリ14、及びアダプタアセンブリ14と一体に形成されてもよい延長アセンブリ20を含む。アダプタ/延長アセンブリ14、20は、ハンドルアセンブリ12に選択的に接続するように構成された近位端と、装填ユニット40に動作接続するように構成された遠位端と、を有する。例示的な電気機械的ステープル留め器具の構成及び動作の詳細な説明については、米国特許出願公開第2012/0253329号及び米国特許出願公開第2016/0106406号を参照することができる。これらの公開の各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
図2~4を参照すると、装填ユニット40は、シェルアセンブリ50と、アンビルアセンブリ60と、を含む。シェルアセンブリ50は、シェルハウジング50a、ナイフ部材150を支持するナイフキャリア110、ステープルアクチュエータ230、ステープルプッシャ250、及び保持部材260を含む。保持部材260は、ステープル255を受容するステープル受容スロット260aの環状アレイを画定する。以下にさらに詳細に記述されるように、ステープルアクチュエータ230は、ステープルプッシャ250が保持部材260を部分的に通って前進し、ステープル255を保持部材260から発射させるために、シェルハウジング50a内を移動可能である。同様に、ナイフキャリア110は、ナイフ部材150を保持部材260を部分的に通って前進させるために、シェルハウジング50a内を移動可能である。
【0024】
アダプタ/延長アセンブリ14、20(
図1C)は、ナイフキャリア110に動作的に連結されているナイフバンド120(
図3)と、ステープルアクチュエータ230に動作的に係合されているステープルバンド210(
図3)と、を含む。ナイフバンド120の軸方向変位は、ナイフキャリア110の同時に起こる軸方向変位を引き起こし、これが次には、シェルハウジング50a内にナイフ部材150を前進させる。ステープルアクチュエータ230は、ステープルバンド210に動作的に関連しており、これにより、ステープルバンド210の軸方向変位が、ステープルアクチュエータ230の同時に起こる軸方向変位を引き起こし、これが次には、ステープルプッシャ250に、保持部材260のスロットの環状アレイから複数のステープル255を発射させる。
【0025】
アンビルアセンブリ60は、アンビル部材62と、アンビル部材62から延在するステム67と、を含む。ステム67は、アダプタ/延長アセンブリ14、20内の接近機構(図示せず)及びハンドルアセンブリ12に動作的に連結され、シェルアセンブリ50(
図1)内のステム67の軸方向変位を提供し、アンビル部材62を、アンビル部材62が保持部材260に隣接して配設されている接近位置と、組織を受容するためにアンビル部材62が、保持部材260から離間している離間位置との間を、シェルアセンブリ50の保持部材260に対して移行させる。
【0026】
図3及び4を参照すると、ナイフバンド120は、ナイフキャリア110に解放可能に連結されている。ナイフアセンブリ100の少なくとも一部は、ステープルアクチュエータ230によって画定されたチャネル230a内に、及びステープルバンド210によって画定されたチャネル210a内に移動可能に配設されている。ステープルバンド210は、ナイフバンド120に動作的に連結され、ナイフバンド120とナイフキャリア110との連結及び離脱を可能にする。ナイフキャリア110がナイフバンド120から係合解除されると、ステープルアクチュエータ230はステープルバンド210から係合解除する。
【0027】
図5~7を参照すると、ナイフキャリア110は、ナイフバンド120に解放可能に連結されている。この目的で、ナイフバンド120は、内側タブ132、内表面134、外側タブ136、及び外表面138を含むカムリング130を支持する。内側タブ132は、カムリング130の内表面134から径方向内向きに延在し、外側タブ136は、カムリング130の外表面138から径方向外向きに延在している。カムリング130の内表面134は、内側タブ132がナイフバンド120の遠位部分122に画定されたそれぞれのカミングスロット124を通って径方向内向きに延在するように、ナイフバンド120の遠位部分122の外表面122aに係合する。カミングスロット124は、カムリング130がナイフバンド120の外表面122aの周りで限られた範囲内で回転可能であるように、内側タブ132の長さを超える長さを有する。しかしながら、ナイフバンド120とカムリング130との間の相対的軸方向変位を実質的に阻止するために、カミングスロット124の幅は、内側タブ132の幅と実質的に等しい。以降に説明されるように、内側タブ132は、ナイフバンド120のそれぞれのカミングスロット124を通って延在して、ナイフキャリア110に係合し、ナイフバンド120をナイフキャリア110に解放可能に固設する。
【0028】
ここで特に
図7を参照すると、ナイフキャリア110は、ナイフ部材150(
図3)をナイフキャリア110に保持するように構成されている支持体114を有するヘッド部分112を含む。実施形態では、支持体114は、ナイフ部材150を受容する円筒形の段差部114を含む。ナイフキャリア110は、ヘッド部分112から近位に延在する弾力性の指部116をさらに含む。ナイフバンド120が、ナイフキャリア120に連結されると、指部116の各々の少なくとも一部は、ナイフバンド120内に受容される。指部116の各々は、径方向に可撓性である。隣接する指部116は、カムリング130の内側タブ132のうちのそれぞれの1つを受容するように構成されている長手方向スロット117を画定する。指部116の各々は、ナイフバンド120のカミングスロット124を通って径方向内向きに延在するカムリング130のそれぞれの内側タブ132を受容するように寸法決定されている溝119を画定する近位部分118を含む。
【0029】
図9及び10を参照すると、ナイフキャリア110をカムリング130に連結するために、カムリング130は、カムリング130の内側タブ132がカミングスロット124を通って延在するように、ナイフバンド120の遠位部分122の外表面122aの周りに位置付けられている。その後、ナイフキャリア110の近位部分118は、ナイフキャリア110の溝119がカムリング130のそれぞれの内側タブ132を受容するように、ナイフバンド120内に定置される。内側タブ132のそれぞれの溝119内の位置決めを容易にするために、カムリング130の内側タブ132の少なくともいくつかは、面取り部分132aを含んでもよく、ナイフキャリア110の近位部分118は、面取り部分118aを含んでもよい。より具体的には、ナイフキャリア110の遠位部分118が、カムリング130に向かって
図9の矢印「P」の方向に押されると、内側タブ132の面取り面132aは、ナイフキャリア118の面取り面118aに係合して、内側タブ132を溝119内に滑らかに付勢するであろう。
【0030】
図3及び8に戻って参照すると、ステープルバンド210は、後退位置と前進位置との間の移動のための、ナイフバンド120及びナイフキャリア110の少なくとも一部を受容するように構成されているチャネル210aを画定する。ステープルバンド210は、ステープルアクチュエータ230を前進位置に向かって移動させるために、ステープルアクチュエータ230に係合するように構成されている。特に、ステープルバンド210は、後退位置から前進位置までのステープルバンド210の遠位軸方向変位が、ステープルアクチュエータ230の遠位軸方向変位を引き起こすように、ステープルアクチュエータ230に係合するように構成されている遠位部分216を含む。ステープルバンド210は、カムリング130(
図5)のそれぞれの外側タブ136(
図6)を受容するように寸法決定されたカムスロット214を画定する。カムスロット214の各々は、ステープルバンド210の長手方向軸「X-X」に対して平行である軸に沿って延在する長手方向部分214aと、ステープルバンド210の長手方向軸「X-X」に対して鋭角を画定する角度付部分214bと、を含む。
【0031】
ここで
図11~13を参照すると、最初に、ステープルアクチュエータ230の近位端がステープルバンド210の遠位端に係合され、ナイフキャリア110が、ステープルアクチュエータ230のチャネル230a内に配設されて、ナイフバンド120から取り外される。上述のように、ナイフバンド120及びステープルバンド210は、アダプタ/延長アセンブリ14、20及びハンドルアセンブリ12(
図1)内の機構に連結されており、これにより、ナイフバンド120及びステープルバンド210は、シェルハウジング50aに対して移動可能である。
【0032】
ここで
図14~16を参照すると、ナイフキャリア110をナイフバンド120に動作的に連結するために、ナイフキャリア110の近位部分118は、ナイフキャリア110の溝119がカムリング130のそれぞれの内側タブ132に係合して、内側タブ132を溝119内に位置付けるように、ナイフバンド120内に受容される。より具体的には、ナイフキャリア110が、
図12の矢印「P」の方向に近位に移動されると、ナイフキャリア110の指部116の各々の面取り部分118a(
図7)及びカムリング130の内側タブ132の各々の面取り部分132aは係合して、指部分116を内向きに撓ませて、カムリング130の内側タブ132を、指部116のそれぞれの溝119中に向ける。カムリング130の内側タブ132が、ナイフバンド120のカミングスロット124を通って延在して、ナイフキャリア110の指部116の溝119内に受容されている間に、カムリング130の外側タブ136(
図11)は、ステープルバンド210のカムスロット214内に摺動可能に受容される。カムリング130の内側タブ132がそれぞれの溝119内に受容されると、ナイフバンド120の軸方向移動は、ナイフキャリア110の軸方向移動を引き起こすであろう。
【0033】
ここで
図17及び18を参照すると、使用時に、ステープルバンド210は、遠位に(
図17の矢印「D」の方向に)変位され、ステープルアクチュエータ230をシェルアセンブリ50のシェルハウジング50a内に前進させる。ステープルアクチュエータ230のシェルハウジング50a内への前進は、ステープルプッシャ250(
図3)に保持部材260を少なくとも部分的に通って移動させて、ステープル255を保持部材260から発射させる。ステープルバンド210がシェルハウジング50a内に前進させられるにつれて、ナイフバンド120上に支持されており、かつ静止しているカムリング130の外側タブ136が、ステープルバンド210のカムスロット214の長手方向部分214aを通って並進する。これは、ステープルバンド210が、シェルハウジング50a内のナイフバンド120から独立して軸方向に移動することを可能にする。このようにして、カムリング130の角度方向は、ステープルバンド210のシェルハウジング50aに対する初期の軸方向の前進によって影響を受けることはない。したがって、ナイフキャリア110は、ステープルバンド210及びステープルアクチュエータ230の前進中に、ナイフバンド120に係合したままである。
図18に示すように、ステープル255を保持部材260から発射させるためにステープルアクチュエータ230を前進させることは、カムリング130の外側タブ136の各々をカムスロット214のそれぞれの最近位部分215に向かって再配置させる。このようにして、ステープルアクチュエータ230は、ナイフキャリア110及び/またはナイフバンド120とは独立して作動され得る。
【0034】
ここで
図19及び20を参照すると、ナイフバンド120の
図19の矢印「D」の方向の軸方向変位が、ナイフキャリア110の矢印「D」の方向の軸方向変位を引き起こし、次には、ナイフ部材150(
図3)をシェルハウジング50a内に前進させるように、ナイフキャリア110は、ナイフバンド120に動作的に連結されている。ナイフバンド120の前進は、カムリング130の外側タブ136の各々を、カムスロット214の長手方向部分214aのそれぞれの最遠位部分217に向かって移動させる。このようにして、ナイフ部材150は、ステープルアクチュエータ230及びステープルバンド210とは独立して前進させられる。上述のように、ナイフ部材150は、保持部材260を通って前進させられ、保持部材260から発射されたステープル255の環状アレイの径方向内向きに配設された組織を切開する。
【0035】
ここで
図21~24を参照すると、ナイフキャリア110は、ナイフバンド120をステープルバンド210に対して後退させることによって、ナイフバンド120から取り外され得る。最初に、ステープル255が保持部材260から発射され、ナイフ部材150が組織を切開するために前進させられた後に、ステープルバンド210及びナイフバンド120は、
図21及び22の矢印「P」の方向に、中立位置まで一緒にまたは別々に後退され得る。中立位置では、カムリング130の外側タブ136は、カムスロット214のそれぞれの長手方向部分214a内に位置付けられる。ステープルバンド210及びナイフバンド210が中立位置に達した後に、ナイフバンド120及びナイフキャリア110は、矢印「P」の方向にステープルバンド120とは独立して移動され、カムリング130の外側タブ136を、ステープルバンド210のカムスロット214のそれぞれの角度付部分214bを通って移動させる。外側タブ136がそれぞれの角度付部分214bに沿って摺動すると、外側タブ136のカムスロット214を画定する壁との係合が、カムリング130を、
図23に示される矢印「R」の方向に回転させる。上述のように、カミングスロット124(
図5)の各々の周方向寸法または長さが、カムリング130の内側タブ136の長さよりも大きいために、カムリング130は、ナイフバンド120の遠位部分の周りで回転することができる。したがって、カムリング130の内側タブ132は、ナイフバンド120のそれぞれのカミングスロット124内で摺動して、これが、カムリング130のナイフバンド120の外表面122aの周りの回転を引き起こす。カムリング130がナイフバンド120の周りで回転すると、内側タブ132は、ナイフキャリア110のそれぞれの長手方向スロット117と整列する。特に
図24を参照すると、このようにして、ナイフバンド120が完全後退位置まで後退されるとき、ステープルバンド210は、ナイフキャリア110との係合から離れてカムリング130を回転させる。この時点で、ナイフキャリア110及びステープルアクチュエータ230は、それぞれナイフバンド120及びステープルバンド210から取り外されている。このような配置の下で、取り外しプロセス中のステープルアクチュエータ230及びステープルバンド210とナイフキャリア110及びナイフバンド120との間の相対移動は最小化される。
【0036】
本明細書に具体的に説明され、かつ添付の図面で示された構造及び方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、ならびに説明、開示、及び図面が、単に特定の実施形態の例示的なものとして解釈されるべきであることを当業者であれば理解するであろう。したがって、本開示は、記述された正確な実施形態に限定されるものではないこと、及び様々な他の変更及び修正が、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、当業者によって行われてもよいことを理解するべきである。さらに、ある特定の実施形態に関連付けて図示または記述された要素及び特徴部は、本開示の範囲から逸脱することなくある特定の他の実施形態と組み合わされてもよく、そのような修正及び変更例もまた、本開示の範囲内に含まれる。したがって、本開示の主題は、詳細に図示及び記述されたものによって限定されるものではない。