(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】圧延装置及び圧延装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
B21B 39/14 20060101AFI20220930BHJP
B21B 31/18 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
B21B39/14 D
B21B31/18 B
(21)【出願番号】P 2018117995
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】池▲崎▼ 徹
(72)【発明者】
【氏名】森 宏
(72)【発明者】
【氏名】新保 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】保木本 達也
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-155730(JP,U)
【文献】特開昭58-016719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0042661(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0051061(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 39/00-41/12
B21B 27/00-35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の搬送ラインに交差するロール軸線まわりに回転する圧延ロールと、
前記搬送ラインに沿って前記圧延ロールを挟む第一エリア及び第二エリアの前記第一エリアに設けられ、前記圧延ロールを経て前記第二エリア側に前記材料を送る第一搬送テーブルと、
前記第二エリアに設けられ、前記第一エリア側から送られた前記材料を受け取り、前記圧延ロールを経て当該材料を前記第一エリア側に送る第二搬送テーブルと、
前記第一エリアに設けられ、前記第二エリア側から送られた前記材料を受け取る第三搬送テーブルと、
前記第一エリア及び前記第二エリアの少なくとも一方において、前記ロール軸線に沿う方向における前記材料の配置位置を変更する材料配置変更部と、
前記ロール軸線に沿う方向における前記圧延ロールの配置位置を変更するロール位置変更部と、を備え、
前記圧延ロールは前記ロール軸線に沿って並ぶ複数の孔型を外周に有する、圧延装置。
【請求項2】
前記ロール軸線に沿う方向において、前記第三搬送テーブルの幅は前記第一搬送テーブルの幅よりも大きい、請求項1記載の圧延装置。
【請求項3】
前記第一搬送テーブルの上に材料を搬入する搬入部と、
前記第二エリア側から送られた材料が前記第三搬送テーブル上に位置する状態で当該材料の次の材料を前記第一搬送テーブルの上に搬入するように前記搬入部を制御する制御部と、を更に備える請求項1又は2記載の圧延装置。
【請求項4】
前記材料配置変更部は、前記第二エリアにおいて、前記ロール軸線に沿う方向における前記材料の配置位置を変更する第二エリアサイドガイドを有する、請求項1~3のいずれか一項記載の圧延装置。
【請求項5】
前記材料配置変更部は、
前記第一エリアにおいて、前記ロール軸線に沿う方向における前記材料の配置位置を変更する第一エリアサイドガイドを更に有する、請求項4記載の圧延装置。
【請求項6】
前記第一エリアサイドガイドは、前記第一搬送テーブルにおいて、前記ロール軸線に沿う方向における前記材料の配置位置を変更する
サイドガイドを含む、請求項5記載の圧延装置。
【請求項7】
前記第一エリアサイドガイドは、前記第三搬送テーブルにおいて、前記ロール軸線に沿う方向における前記材料の配置位置を変更する
サイドガイドを含む、請求項5又は6記載の圧延装置。
【請求項8】
材料の搬送ラインに交差するロール軸線まわりに回転する圧延ロールを挟む第一エリア及び第二エリアの前記第一エリアに設けられた第一搬送テーブルにより、前記圧延ロールを経て前記第二エリア側に前記材料を送ることと、
前記第一エリア側から送られた材料を、前記第二エリアに設けられた第二搬送テーブルにより受け取ることと、
前記第二エリアにおいて、前記ロール軸線に沿う方向における前記材料の配置位置を、第一搬送テーブルに対応する位置から、前記第一エリアに設けられた第三搬送テーブルに対応する位置に変更することと、
前記ロール軸線に沿う方向における前記圧延ロールの配置位置を変更することと、
前記第二搬送テーブルにより、前記圧延ロールを経て前記第一エリア側に前記材料を送ることと、
前記第二エリア側から送られた材料を、前記第一エリアに設けられた第三搬送テーブルにより受け取ることと、
前記第二エリア側から送られた材料が前記第三搬送テーブル上に位置する状態で当該材料の次の材料を前記第一搬送テーブルに搬入することと、を含む圧延装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧延装置及び圧延装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸線方向に並ぶ複数種類の孔型(例えばセンタリング孔型、幅広げ孔型、溝消し孔型及び造形孔型等)を有するBDロール、及び当該BDロールを用いた圧延方法が開示されている。この圧延方法においては、使用する孔型を変更しながら、同一のBDロールを用いた圧延が繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、圧延材の生産効率の向上に有効な圧延装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る圧延装置は、材料の搬送ラインに交差するロール軸線まわりに回転する圧延ロールと、搬送ラインに沿って圧延ロールを挟む第一エリア及び第二エリアの第一エリアに設けられ、圧延ロールを経て第二エリア側に材料を送る第一搬送テーブルと、第二エリアに設けられ、第一エリア側から送られた材料を受け取り、圧延ロールを経て当該材料を第一エリア側に送る第二搬送テーブルと、第一エリアに設けられ、第二エリア側から送られた材料を受け取る第三搬送テーブルと、第一エリア及び第二エリアの少なくとも一方に設けられ、ロール軸線に沿う方向における材料の配置位置を変更する材料配置変更部と、を備える。
【0006】
この圧延装置によれば、第一搬送テーブル及び第三搬送テーブルを独立して駆動することができるので、第二エリア側から送られた材料が第三搬送テーブルの上に位置する状態であっても次の材料を第一搬送テーブルの上に搬入することができる。このため、第三搬送テーブルが受け取っている材料が圧延ロールを通過すれば直ちに次の材料の圧延を開始することができる。これにより、一つの材料の圧延工程と、次の材料の圧延工程との間の待機時間が短縮される。従って、圧延材の生産効率の向上に有効である。
【0007】
圧延装置はロール軸線に沿う方向における圧延ロールの配置位置を変更するロール位置変更部を更に備え、圧延ロールはロール軸線に沿って並ぶ複数の孔型を外周に有していてもよい。第一搬送テーブル及び第三搬送テーブルの間においては材料を搬送することができないので、圧延ロールの配置位置を変更できない場合、第一搬送テーブル及び第三搬送テーブルの間に対応する位置には孔型を設けることができない。このため、圧延ロールに形成可能な孔型の数及び種類のいずれかに制約が生じる可能性がある。これに対し、圧延ロールの配置位置を変更可能にすることで、圧延ロールに形成可能な孔型の数および種類の制約を減らし、圧延装置をより多様な品種に対応させることができる。
【0008】
ロール軸線に沿う方向において、第三搬送テーブルの幅は第一搬送テーブルの幅よりも大きくてもよい。この場合、第一搬送テーブルにおける圧延工程の数よりも、第三搬送テーブルにおける圧延工程の数を増やすことが可能となる。このため、第一搬送テーブル3をより早期に解放することができる。これにより、第一搬送テーブル3上への次の材料の搬入をより早期に開始させ、上記待機時間をより確実に短縮することができる。
【0009】
圧延装置は、第一搬送テーブルの上に材料を搬入する搬入部と、第二エリア側から送られた材料が第三搬送テーブル上に位置する状態で当該材料の次の材料を第一搬送テーブルの上に搬入するように搬入部を制御する制御部と、を更に備えていてもよい。第二エリア側から送られた材料が第三搬送テーブル上に位置する状態で当該材料の次の材料を第一搬送テーブルの上に搬入するように材料の搬入タイミングを自動制御することで、生産効率をより確実に向上させることができる。
【0010】
本開示の他の側面に係る圧延装置の運転方法は、材料の搬送ラインに交差するロール軸線まわりに回転する圧延ロールを挟む第一エリア及び第二エリアの第一エリアに設けられた第一搬送テーブルにより、圧延ロールを経て第二エリア側に材料を送ることと、第一エリア側から送られた材料を、第二エリアに設けられた第二搬送テーブルにより受け取り、圧延ロールを経て第一エリア側に送ることと、第二エリア側から送られた材料を、第一エリアに設けられた第三搬送テーブルにより受け取ることと、第二エリア側から送られた材料が第三搬送テーブル上に位置する状態で当該材料の次の材料を第一搬送テーブルに搬入することと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、圧延材の生産効率の向上に有効な圧延装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】圧延装置の概略構成を例示する平面図である。
【
図2】圧延機本体の概略構成を例示する正面図である。
【
図3】制御部のハードウェア構成を例示する図である。
【
図4】圧延装置の運転手順を例示するフローチャートである。
【
図5】最初の材料を搬入している状態を示す平面図である。
【
図6】最初の材料を搬入している状態を示す平面図である。
【
図7】第一搬送テーブルを用いて圧延を行っている状態を示す平面図である。
【
図8】材料の配置を第三搬送テーブル側に変更している状態を示す平面図である。
【
図9】圧延ロールの配置を変更している状態を示す平面図である。
【
図10】第三搬送テーブルを用いて圧延を行っている状態を示す平面図である。
【
図11】材料の配置及び圧延ロールの配置を変更している状態を示す平面図である。
【
図12】第三搬送テーブルを用いて圧延を行っている状態を示す平面図である。
【
図13】次の材料を搬入している状態を示す平面図である。
【
図14】次の材料を搬入している状態を示す平面図である。
【
図15】第一搬送テーブルを用いて次の材料の圧延を開始した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
〔圧延装置〕
本実施形態に係る圧延装置1は、材料(例えば鉄鋼のブルーム、ビレット)の圧延を行う装置である。例えば圧延装置1は、材料を圧延によって形鋼に成形する。
【0015】
図1に示すように、圧延装置1は、圧延機本体2と、第一搬送テーブル3と、第二搬送テーブル4と、第三搬送テーブル5と、材料配置変更部6と、搬入部7と、制御部100とを備える。
【0016】
圧延機本体2は、材料の搬送ラインCL1に交差(例えば直交)するロール軸線RLまわりに回転する圧延ロール10を有する。ロール軸線RLは、例えば圧延ロール10の中心軸線である。「交差」は、立体交差のように、二本のラインが互いにねじれの位置にある場合も含む。
【0017】
例えば
図2に示すように、圧延機本体2は、互いに平行な二本の圧延ロール10と、スタンド20と、シフト装置30と、回転駆動部40とを有する。二本の圧延ロール10は、上下に並んでいる。それぞれの圧延ロール10のロール軸線RLは水平方向に沿って搬送ラインCL1に直交している。圧延ロール10は、ロール軸線RLに沿って並ぶ複数の孔型11を外周に有する。使用する孔型11を変更しながら、同一の材料を繰り返し圧延ロール10により圧延することで、材料が所望の材料に成形される。以下、構成要素の配置関係の説明において、便宜上「前後左右」の語を用いる。「前後左右」は、搬送ラインCL1に沿った一方向を前方とした場合の方向を意味する。
【0018】
スタンド20は、二つの圧延ロール10を回転自在に保持する。例えばスタンド20は、左右に並ぶ二つの保持部21を有する。左側の保持部21は、二つの圧延ロール10の左端部を回転自在に保持する。右側の保持部21は、二つの圧延ロール10の右端部を回転自在に保持する。例えば保持部21は、上側軸受部22と、下側軸受部23と、ハウジング24と、圧下装置25とを有する。上側軸受部22は、上側の圧延ロール10の端部を回転自在に保持する。下側軸受部23は、下側の圧延ロール10の端部を回転自在に保持する。ハウジング24は上側軸受部22と下側軸受部23とを包囲する。圧下装置25は、ハウジング24の上部に取り付けられており、例えば油圧により上側軸受部22を下側軸受部23側に圧下する。
【0019】
シフト装置30(ロール位置変更部)は、ロール軸線RLに沿う方向(左右方向)における圧延ロール10の配置位置を変更する。例えばシフト装置30は、ロール軸線RLに沿ってスタンド20を移動させることで圧延ロール10の配置位置を変更する。例えばシフト装置30は油圧シリンダであり、シリンダチューブ31と、ピストン32と、ピストンロッド33とを有する。シリンダチューブ31は、ロール軸線RLに沿った状態でスタンド20の左側又は右側に設置されている。ピストン32は、ロール軸線RLに沿って移動可能な状態でシリンダチューブ31内に配置されている。ピストンロッド33は、ピストン32からスタンド20側に突出している。ピストンロッド33の端部はシリンダチューブ31外に突出してスタンド20に接続されている。
【0020】
回転駆動部40は、二つの圧延ロール10を互いに逆の向きに回転駆動する。回転駆動部40は、圧延ロール10を挟んでシフト装置30の反対側に設置されている。例えば回転駆動部40は、電動モータ43と、分配減速機41と、二本の伝達軸42とを有する。電動モータ43は、電力により回転トルクを発生させる。分配減速機41は、電動モータ43の出力軸の回転を減速するとともに、電動モータ43が発生した回転トルクを二本の伝達軸42に分配する。分配減速機41は、電動モータ43の出力軸の回転に応じて、二本の伝達軸42を互いに逆の向きに回転させる。二本の伝達軸42は、例えばロール軸線RLに平行に配置されており、分配減速機41により分配された回転トルクを二つの圧延ロール10にそれぞれ伝達する。それぞれの伝達軸42は、スタンド20の移動に応じて伸縮可能である。
【0021】
図1に戻り、第一搬送テーブル3は、搬送ラインCL1に沿って圧延ロール10を挟む第一エリアA1及び第二エリアA2の第一エリアA1に設けられ、圧延ロール10を経て第二エリアA2側に材料を送る。以下においては、便宜上第一エリアA1が圧延ロール10の後方に位置し、第二エリアA2が圧延ロール10の前方に位置するものとする。
【0022】
例えば第一搬送テーブル3は、複数の搬送ロール51と、回転駆動部52とを有する。複数の搬送ロール51は搬送ラインCL1に沿って並んでいる。個々の搬送ロール51のロール軸線は、圧延ロール10のロール軸線RLに平行である。回転駆動部52は、例えば電動モータを動力源とする電気式駆動部であり、複数の搬送ロール51を回転させる。回転駆動部52は搬送ロール51ごとに設けられていてもよい。
【0023】
第二搬送テーブル4は、第二エリアA2に設けられ、第一エリアA1側から送られた材料を受け取り、圧延ロール10を経て当該材料を第一エリアA1側に送る。例えば第二搬送テーブル4は、複数の搬送ロール53と、回転駆動部54とを有する。複数の搬送ロール53は搬送ラインCL1に沿って並んでいる。個々の搬送ロール53のロール軸線は、圧延ロール10のロール軸線RLに平行である。回転駆動部54は、例えば電動モータを動力源とする電気式駆動部であり、複数の搬送ロール53を回転させる。回転駆動部54は搬送ロール51ごとに設けられていてもよい。
【0024】
第三搬送テーブル5は、第一エリアA1において第一搬送テーブル3の隣(例えば左側)に設けられ、第二エリアA2側から送られた材料を受け取る。例えば第三搬送テーブル5は、複数の搬送ロール55と、回転駆動部56とを有する。複数の搬送ロール55は搬送ラインCL1に沿って並んでいる。個々の搬送ロール55のロール軸線は、圧延ロール10のロール軸線RLに平行である。回転駆動部56は、例えば電動モータを動力源とする電気式駆動部であり、複数の搬送ロール55を回転させる。回転駆動部56は搬送ロール55ごとに設けられていてもよい。
【0025】
左右方向において、第二搬送テーブル4が占める領域(搬送ロール53が延びる領域)は、第一搬送テーブル3が占める領域(搬送ロール51が延びる領域)及び第三搬送テーブル5が占める領域(搬送ロール55が延びる領域)の両方と重複している。左右方向において、第二搬送テーブル4の幅W2(搬送ロール53の長さ)は、第一搬送テーブル3の幅W1(搬送ロール51の長さ)及び第三搬送テーブル5の幅W3(搬送ロール55の長さ)のいずれよりも大きい。ロール軸線に沿う方向において、第三搬送テーブル5の幅W3は第一搬送テーブル3の幅W1よりも大きくてもよい。なお、各搬送テーブルの幅は、材料を載置可能な部分の幅を意味する。
【0026】
材料配置変更部6は、第一エリアA1及び第二エリアA2の少なくとも一方に設けられ、左右方向における材料の配置位置を変更する。例えば材料配置変更部6は、左右方向において第一搬送テーブル3を挟む位置に配置された二つのサイドガイド61,61と、左右方向において第三搬送テーブル5を挟む位置に配置された二つのサイドガイド62,62と、左右方向において第二搬送テーブル4を挟む位置に配置された二つのサイドガイド63,64とを有する。サイドガイド61,62,63,64は、例えば油圧アクチュエータを動力源として材料を移動させる装置である。サイドガイド61は材料を他のサイドガイド61側に移動させ、材料の左右方向における位置を圧延ロール10の孔型11の位置に合わせる。サイドガイド62は材料を他のサイドガイド62側に移動させ、材料の左右方向における位置を圧延ロール10の孔型11の位置に合わせる。サイドガイド63は材料をサイドガイド64側に移動させ、材料の左右方向における位置を圧延ロール10の孔型11の位置に合わせる。サイドガイド64は材料をサイドガイド63側に移動させ、材料の左右方向における位置を圧延ロール10の孔型11の位置に合わせる。なお、第一搬送テーブル3上において左右方向における材料の配置位置を変更する必要がない場合、サイドガイド61は、第一搬送テーブル3上において固定されていてもよい。第三搬送テーブル5上において左右方向における材料の配置位置を変更する必要がない場合、サイドガイド62は、第三搬送テーブル5上において固定されていてもよい。
【0027】
搬入部7は、第一搬送テーブル3の上に材料を搬入する。例えば搬入部7は、サイドガイド61,62よりも後方において、第一搬送テーブル3の右側に配置されている。制御部100は、予め設定された手順にて複数の材料の圧延を順次実行するように圧延機本体2、第一搬送テーブル3、第二搬送テーブル4、第三搬送テーブル5、材料配置変更部6及び搬入部7を制御する。
【0028】
制御部100が実行する制御は、圧延ロール10を経て第一エリアA1側から第二エリアA2側に材料を送るように第一搬送テーブル3を制御することと、第一エリアA1側から送られた材料を受け取り、圧延ロール10を経て第一エリアA1側に送るように第二搬送テーブル4を制御することと、第二エリアA2側から送られた材料を受け取るように第三搬送テーブル5を制御することと、第二エリアA2側から送られた材料が第三搬送テーブル5上に位置する状態で当該材料の次の材料を第一搬送テーブル3に搬入するように搬入部7を制御することと、を含む。
【0029】
例えば制御部100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、搬入制御部111と、搬送制御部112と、材料配置制御部113と、ロール配置制御部114とを有する。
【0030】
搬入制御部111は、予め設定されたタイミングにて、第一搬送テーブル3の上に材料を搬入するように搬入部7及び第一搬送テーブル3を制御する。二つ目以降の材料(以下、「次の材料」という。)を第一搬送テーブル3の上に搬入する際に、搬入制御部111は、第二エリアA2側から送られた材料(一つ前の材料)が第三搬送テーブル5上に位置する状態で次の材料を第一搬送テーブル3の上に搬入するように搬入部7を制御する。
【0031】
搬送制御部112は、圧延ロール10を経て第一エリアA1及び第二エリアA2の間で材料を搬送するように第一搬送テーブル3、第二搬送テーブル4及び第三搬送テーブル5を制御する。搬送制御部112は、少なくとも、圧延ロール10を経て第一エリアA1側から第二エリアA2側に材料を送るように第一搬送テーブル3を制御することと、第一エリアA1側から送られた材料を受け取り、圧延ロール10を経て第一エリアA1側に送るように第二搬送テーブル4を制御することと、第二エリアA2側から送られた材料を受け取るように第三搬送テーブル5を制御することとを実行する。
【0032】
必要に応じ、搬送制御部112は、第二エリアA2側から送られた材料を受け取り、圧延ロール10を経て第二エリアA2側に再度送るように第一搬送テーブル3を制御することと、第二エリアA2側から送られた材料を受け取り、圧延ロール10を経て第二エリアA2側に再度送るように第三搬送テーブル5を制御することとを更に実行してもよい。
【0033】
材料配置制御部113は、左右方向における材料の配置位置をサイドガイド61,62,63,64により変更するように材料配置変更部6を制御する。ロール配置制御部114は、ロール軸線RLに沿う方向における圧延ロール10の配置位置を変更するようにシフト装置30を制御する。
【0034】
制御部100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば制御部100は、
図3に示す回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124と、を有する。ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の運転手順を圧延装置1に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、プロセッサ121からの指令に従って、圧延機本体2、第一搬送テーブル3、第二搬送テーブル4、第三搬送テーブル5、搬入部7及びシフト装置30との間で電気信号の入出力を行う。なお、制御部100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば制御部100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0035】
〔運転手順〕
続いて、圧延装置の運転方法の一例として、圧延装置1の運転手順を例示する。この運転手順は、第一搬送テーブル3により、圧延ロール10を経て第一エリアA1側から第二エリアA2側に材料を送ることと、第一エリアA1側から送られた材料を、第二搬送テーブル4により受け取り、圧延ロール10を経て第二エリアA2側から第一エリアA1側に送ることと、第二エリアA2側から送られた材料を、第三搬送テーブル5により受け取ることと、第二エリアA2側から送られた材料が第三搬送テーブル5上に位置する状態で当該材料の次の材料を第一搬送テーブル3に搬入することと、を含む。
【0036】
図4に示すように、制御部100は、ステップS01,S02,S03を実行する。ステップS01では、搬入制御部111が、圧延対象の材料RM1を第一搬送テーブル3上に搬入するように搬入部7を制御し(
図5参照)、搬送制御部112が、材料RM1を圧延ロール10の近傍まで搬送するように第一搬送テーブル3を制御する(
図6参照)。
【0037】
ステップS02では、搬送制御部112が、第一エリアA1及び第二エリアA2の一方側から他方側への材料RM1の搬送を開始するように第一搬送テーブル3及び第二搬送テーブル4を制御する(
図7参照)。ステップS02の直前において、材料RM1が第一搬送テーブル3上に位置する場合、搬送制御部112は、圧延ロール10を経て第一エリアA1側から第二エリアA2側に材料RM1を送ることを開始するように第一搬送テーブル3を制御し、第一エリアA1側から送られた材料RM1を受け取ることを開始するように第二搬送テーブル4を制御する。ステップS02の直前において、材料RM1が第二搬送テーブル4上に位置する場合、搬送制御部112は、圧延ロール10を経て第二エリアA2側から第一エリアA1側に材料RM1を送ることを開始するように第二搬送テーブル4を制御し、第二エリアA2側から送られた材料RM1を受け取ることを開始するように第一搬送テーブル3を制御する。
【0038】
ステップS03では、搬送制御部112が、現在実行している材料RM1の搬送のパスが、第一搬送テーブル3を用いる搬送の最終パスであるか否かを確認する。ここで、「パス」とは、第一エリアA1及び第二エリアA2の間における片道搬送経路を意味する。「最終パス」とは、第一エリアA1及び第二エリアA2の間において最後に実行される片道搬送のパスを意味する。
【0039】
ステップS03において、現在実行している材料RM1の搬送のパスが、第一搬送テーブル3を用いる搬送の最終パスでない場合、制御部100はステップS04,S05,S06を実行する。ステップS04では、材料が圧延ロール10を通過するのを搬送制御部112が待機する。ステップS05では、搬送制御部112が、第一エリアA1及び第二エリアA2の一方側から他方側への材料RM1の搬送を停止するように第一搬送テーブル3及び第二搬送テーブル4を制御する。ステップS06では、材料配置制御部113が、次のパス用に予め設定された位置に材料RM1を配置するように材料配置変更部6を制御し、ロール配置制御部114が、次のパス用に予め設定された位置に圧延ロール10を配置するようにシフト装置30を制御する。その後、制御部100は、処理をステップS02に戻す。以後、制御部100は、材料RM1の搬送のパスが第一搬送テーブル3を用いる搬送の最終パスとなるまで第一エリアA1及び第二エリアA2の間における材料RM1の片道搬送を繰り返す。なお、第一搬送テーブル3を用いる搬送の最終パスは、第一搬送テーブル3から第二搬送テーブル4に材料RM1を送る方向とする。
【0040】
ステップS03において、現在実行している材料の搬送のパスが、第一搬送テーブル3を用いる搬送の最終パスである場合、制御部100はステップS08,S09,S11,S12,S13を実行する。ステップS08では、材料RM1が圧延ロール10を通過するのを搬送制御部112が待機する。ステップS09では、材料配置制御部113が、左右方向において、材料RM1の配置位置を第一搬送テーブル3の領域内から第三搬送テーブル5の領域内に変更するように材料配置変更部6を制御する。上述したとおり、第一搬送テーブル3を用いる搬送の最終パスは、第一搬送テーブル3から第二搬送テーブル4に材料RM1を送る方向である。このため、ステップS08の終了後には、材料RM1は第二搬送テーブル4上に位置する。そこで、材料配置制御部113は、サイドガイド63により第一搬送テーブル3に対応する領域上から第三搬送テーブル5に対応する領域上に材料RM1を移動させるように材料配置変更部6を制御する(
図8参照)。ここで、第一搬送テーブル3に対応する領域とは左右方向において第一搬送テーブル3と重複する領域を意味し、第三搬送テーブル5に対応する領域とは左右方向において第三搬送テーブル5と重複する領域を意味する。
【0041】
ステップS11では、ロール配置制御部114が、次のパス用に予め設定された位置に圧延ロール10を配置するようにシフト装置30を制御する。例えば、次のパス用の孔型11が第一搬送テーブル3及び第三搬送テーブル5の間に位置している場合に、ロール配置制御部114は、当該孔型11を材料RM1の位置に合わせるようにシフト装置30を制御する(
図9参照)。
【0042】
ステップS12では、搬送制御部112が、第一エリアA1及び第二エリアA2の一方側から他方側への材料RM1の搬送を開始するように第二搬送テーブル4及び第三搬送テーブル5を制御する(
図10参照)。ステップS12の直前において、材料RM1が第三搬送テーブル5上に位置する場合、搬送制御部112は、圧延ロール10を経て第一エリアA1側から第二エリアA2側に材料RM1を送ることを開始するように第三搬送テーブル5を制御し、第一エリアA1側から送られた材料RM1を受け取ることを開始するように第二搬送テーブル4を制御する。ステップS12の直前において、材料RM1が第二搬送テーブル4上に位置する場合、搬送制御部112は、圧延ロール10を経て第二エリアA2側から第一エリアA1側に材料RM1を送ることを開始するように第二搬送テーブル4を制御し、第二エリアA2側から送られた材料RM1を受け取ることを開始するように第三搬送テーブル5を制御する。ステップS13では、搬送制御部112が、現在実行している材料RM1の搬送のパスが、第三搬送テーブル5を用いる搬送の最終パスであるか否かを確認する。
【0043】
ステップS13において、現在実行している材料RM1の搬送のパスが、第三搬送テーブル5を用いる搬送の最終パスでない場合、制御部100はステップS14,S15,S16を実行する。ステップS14では、材料RM1が圧延ロール10を通過するのを搬送制御部112が待機する。ステップS15では、搬送制御部112が、第一エリアA1及び第二エリアA2の一方側から他方側への材料RM1の搬送を停止するように第二搬送テーブル4及び第三搬送テーブル5を制御する。ステップS16では、材料配置制御部113が、次のパス用に予め設定された位置に材料RM1を配置するように材料配置変更部6を制御し、ロール配置制御部114が、次のパス用に予め設定された位置に圧延ロール10を配置するようにシフト装置30を制御する(
図11参照)。その後、制御部100は、処理をステップS12に戻す。以後、制御部100は、材料RM1の搬送のパスが第三搬送テーブル5を用いる搬送の最終パスとなるまで第一エリアA1及び第二エリアA2の間における材料RM1の片道搬送を繰り返す(
図12参照)。
【0044】
ステップS13において、現在実行している材料RM1の搬送のパスが、第三搬送テーブル5を用いる搬送の最終パスである場合、制御部100はステップS17を実行する。ステップS17では、搬入制御部111が、第一搬送テーブル3の上に搬入すべき次の材料RM2があるか否かを確認する。
【0045】
ステップS17において、第一搬送テーブル3の上に搬入すべき次の材料RM2がある場合、制御部100はステップS18,S19,S21を実行する。ステップS18では、搬入制御部111が、第二エリアA2側から送られた材料RM1が第三搬送テーブル5上に位置する状態で材料RM2を第一搬送テーブル3の上に搬入するように搬入部7を制御する(
図13及び
図14参照)。ステップS19では、材料が圧延ロール10を通過するのを搬送制御部112が待機する。ステップS21では、搬送制御部112が、材料RM2を次の圧延対象とする(
図15参照)。その後、制御部100は処理をステップS02に戻す。以後、第一搬送テーブル3の上に搬入すべき次の材料がなくなるまで、材料の圧延が順次繰り返される。ステップS17において、第一搬送テーブル3の上に搬入すべき次の材料RM2がない場合、制御部100は処理を完了する。
【0046】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、圧延装置1は、材料の搬送ラインCL1に交差するロール軸線RLまわりに回転する圧延ロール10と、搬送ラインCL1に沿って圧延ロール10を挟む第一エリアA1及び第二エリアA2の第一エリアA1に設けられ、圧延ロール10を経て第二エリアA2側に材料を送る第一搬送テーブル3と、第二エリアA2に設けられ、第一エリアA1側から送られた材料を受け取り、圧延ロール10を経て当該材料を第一エリアA1側に送る第二搬送テーブル4と、第一エリアA1に設けられ、第二エリアA2側から送られた材料を受け取る第三搬送テーブル5と、第一エリアA1及び第二エリアA2の少なくとも一方に設けられ、ロール軸線RLに沿う方向における材料の配置位置を変更する材料配置変更部6と、を備える。
【0047】
仮に、第一エリアA1側の搬送テーブルが第一搬送テーブル3及び第三搬送テーブル5に分かれていない場合、第一エリアA1側の搬送テーブル上に一つ前の材料が存在する状態で次の材料を当該搬送テーブル上に搬入するのは難しい。例えば、第一エリアA1側の搬送テーブルが一つ前の材料を圧延ロール10から遠ざける方向に搬出している際に、当該搬送テーブル上に次の材料を搬入すると、当該次の材料も圧延ロール10から遠ざかる方向に搬送されてしまうこととなる。このため、一つ前の材料の圧延が終わった後も、当該材料が搬送テーブル上から搬出されるまでは、次の材料を当該搬送テーブル上に搬入することができない。これにより、一つの材料の圧延工程と、次の材料の圧延工程との間の待機時間が長くなる。
【0048】
これに対し、圧延装置1によれば、第一搬送テーブル3及び第三搬送テーブル5を独立して駆動することができるので、第二エリアA2側から送られた材料が第三搬送テーブル5の上に位置する状態であっても次の材料を第一搬送テーブル3の上に搬入することができる。このため、第三搬送テーブル5が受け取っている材料が圧延ロール10を通過すれば直ちに次の材料の圧延を開始することができる。これにより、一つの材料の圧延工程と、次の材料の圧延工程との間の待機時間が短縮される。従って、圧延材の生産効率の向上に有効である。
【0049】
圧延装置1はロール軸線RLに沿う方向における圧延ロール10の配置位置を変更するシフト装置30を更に備え、圧延ロール10はロール軸線RLに沿って並ぶ複数の孔型11を外周に有していてもよい。第一搬送テーブル3及び第三搬送テーブル5の間においては材料を搬送することができないので、圧延ロール10の配置位置を変更できない場合、第一搬送テーブル3及び第三搬送テーブル5の間に対応する位置には孔型11を設けることができない。このため、圧延ロール10に形成可能な孔型11の数及び種類のいずれかに制約が生じる可能性がある。これに対し、圧延ロール10の配置位置を変更可能にすることで、圧延ロール10に形成可能な孔型11の数および種類の制約を減らし、圧延装置1をより多様な品種に対応させることができる。
【0050】
ロール軸線RLに沿う方向において、第三搬送テーブル5の幅W3は第一搬送テーブル3の幅W1よりも大きくてもよい。この場合、第一搬送テーブル3における圧延工程の数よりも、第三搬送テーブル5における圧延工程の数を増やすことが可能となる。このため、第一搬送テーブル3をより早期に解放することができる。これにより、第一搬送テーブル3上への次の材料の搬入をより早期に開始させ、上記待機時間をより確実に短縮することができる。
【0051】
圧延装置1は、第一搬送テーブル3の上に材料を搬入する搬入部7と、第二エリアA2側から送られた材料が第三搬送テーブル5上に位置する状態で当該材料の次の材料を第一搬送テーブル3の上に搬入するように搬入部7を制御する制御部100と、を更に備えていてもよい。第二エリアA2側から送られた材料が第三搬送テーブル5上に位置する状態で当該材料の次の材料を第一搬送テーブル3の上に搬入するように材料の搬入タイミングを自動制御することで、生産効率をより確実に向上させることができる。
【0052】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…圧延装置、3…第一搬送テーブル、4…第二搬送テーブル、5…第三搬送テーブル、6…材料配置変更部、7…搬入部、10…圧延ロール、11…孔型、30…シフト装置(ロール位置変更部)、100…制御部、A1…第一エリア、A2…第二エリア、CL1…搬送ライン、RL…ロール軸線、W1…第一搬送テーブル3の幅、W3…第三搬送テーブル5の幅。