(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】舗装材の製造方法
(51)【国際特許分類】
E01C 13/06 20060101AFI20220930BHJP
E01C 7/26 20060101ALI20220930BHJP
E01C 7/30 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
E01C13/06
E01C7/26
E01C7/30
(21)【出願番号】P 2018167644
(22)【出願日】2018-09-07
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】509109877
【氏名又は名称】IKE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】井上 一興
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-138508(JP,A)
【文献】特開平10-054008(JP,A)
【文献】特開2015-055098(JP,A)
【文献】特開平10-131108(JP,A)
【文献】特公昭50-032535(JP,B1)
【文献】特開2009-203697(JP,A)
【文献】米国特許第06818278(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 13/06
E01C 7/26
E01C 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性チップおよびウレタンバインダーを含む舗装組成物を準備する工程と、
前記舗装組成物を敷き均し、熱ロールで表面転圧することにより、舗装材を製造する工程と
を備え、
前記舗装組成物において、弾性チップ1.0kgに対するウレタンバインダーの含有割合が100~300gであり、
前記熱ロールにおける温度条件が、
110~150℃
であり、
前記熱ロールにおける圧力条件が、0.2~5.0kg/cm
2
である
ことを特徴とする、舗装材の製造方法。
【請求項2】
前記舗装組成物が、さらに、遮熱性顔料を含有することを特徴とする、請求項1に記載の舗装材の製造方法。
【請求項3】
前記弾性チップが、
エチレン・プロピレン・ジエンゴム、スタッドレスタイヤ配合ゴム、サッシュ用配合ゴムおよびウレタンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のゴムを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の舗装材の製造方法。
【請求項4】
前記舗装材が、馬道用舗装材および/またはパドック用舗装材である
ことを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の舗装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装材の製造方法に関し、詳しくは、馬道用舗装材などとして用いられる舗装材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、馬道、パドックなどの弾性舗装においては、例えば、被舗装面(コンクリートなど)の上に、弾性材料を含む舗装材を施工することが、知られている。
【0003】
舗装材として、より具体的には、例えば、廃ゴム部品などからなる弾性材料と、バインダーとの混合物を、被舗装面に敷き均し、圧力を加えて平準化し、固化させて得られる弾性舗装材が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような弾性舗装材によれば、滑り抵抗値を高くすることができ、また、意匠性の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、弾性舗装材としては、用途に応じて、優れたクッション性(柔軟性)と、耐摩耗性との両立が要求されているが、これらは背反関係にあるため、両立が困難である。
【0007】
本発明は、クッション性および耐摩耗性に優れた舗装材を得るための舗装材の製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、弾性チップおよびウレタンバインダーを含む舗装組成物を準備する工程と、前記舗装組成物を敷き均し、熱ロールで表面転圧することにより、舗装材を製造する工程とを備え、前記舗装組成物において、弾性チップ1.0kgに対するウレタンバインダーの含有割合が100~300gであり、前記熱ロールにおける温度条件が、90~150℃である、舗装材の製造方法を含んでいる。
【0009】
本発明[2]は、前記舗装組成物が、さらに、遮熱性顔料を含有する、上記[1]に記載の舗装材の製造方法を含んでいる。
【0010】
本発明[3]は、前記弾性チップが、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、スタッドレスタイヤ配合ゴム、サッシュ用配合ゴムおよびウレタンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のゴムを含む、上記[1]または[2]に記載の舗装材の製造方法を含んでいる。
【0011】
本発明[4]は、前記熱ロールにおける圧力条件が、0.5~3.0kg/cm2である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の舗装材の製造方法を含んでいる。
【0012】
本発明[5]は、前記舗装材が、馬道用舗装材および/またはパドック用舗装材である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の舗装材の製造方法を含んでいる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の舗装材の製造方法では、舗装組成物において、弾性チップおよびウレタンバインダーの比率が所定範囲に調整されているため、クッション性に優れる舗装材を得ることができる。
【0014】
さらに、本発明の舗装材の製造方法では、ウレタンバインダーを含む舗装組成物を、所定温度の熱ロールにより施工するため、舗装材の表面において三次元架橋したウレタン皮膜を形成することができ、その結果、耐摩耗性に優れる舗装材を得ることができる。
【0015】
その結果、本発明の舗装材の製造方法によれば、クッション性および耐摩耗性に優れる舗装材を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
舗装材の製造方法では、まず、弾性チップおよびウレタンバインダーを含む舗装組成物を準備する(準備工程)。
【0017】
弾性チップは、公知の樹脂材料からなる小片(チップ)である。
【0018】
樹脂材料としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂エラストマーなどの熱可塑性材料、例えば、ゴム、熱硬化性樹脂エラストマーなどの熱硬化性材料などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0019】
弾性チップを構成する樹脂材料として、好ましくは、熱硬化性材料が挙げられ、より好ましくは、ゴムが挙げられる。
【0020】
ゴムとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴムなどが挙げられ、具体的には、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)などのオレフィン系ゴム、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンゴム(SIS)、スチレン・エチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンゴム(SEBS)、スチレン・イソブチレン・スチレンブロックゴム(SIBS)、スチレン・イソプレン・プロピレン・スチレンゴムなどのスチレン系ゴム、例えば、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテン、ポリイソプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)などのブチル系ゴム、例えば、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムなどの塩化ビニル系ゴム、さらに、例えば、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。これらゴムは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0021】
ゴムとして、好ましくは、オレフィン系ゴム(より好ましくは、エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、ウレタンゴムが挙げられる。
【0022】
また、ゴムとしては、例えば、廃製品に含まれるゴムを再利用することができる。
【0023】
廃製品に含まれるゴムとして、具体的には、例えば、廃タイヤに含まれるゴム(具体的には、スタッドレスタイヤ配合ゴム、夏用タイヤ粉砕ゴムなど)、廃サッシュに含まれるゴム(具体的には、サッシュ用配合ゴムなど)、廃シーリング材に含まれるゴム、廃クッション材に含まれるゴム、廃舗装材に含まれるゴムなどが挙げられる。
【0024】
ゴムとして、低コスト性および環境面の観点から、好ましくは、廃製品に含まれるゴムが挙げられ、より好ましくは、廃タイヤに含まれるゴム、廃サッシュ(窓枠)に含まれるゴムが挙げられ、舗装材の機械強度(耐摩耗性など)の観点から、さらに好ましくは、スタッドレスタイヤ配合ゴム、サッシュ用配合ゴムが挙げられる。
【0025】
また、弾性チップは、クッション性、耐摩耗性、低コスト性および環境面のバランスを図る観点から、好ましくは、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、スタッドレスタイヤ配合ゴム、サッシュ用配合ゴムおよびウレタンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のゴムを含む。
【0026】
弾性チップの形状は、特に制限されないが、例えば、塊状、細片状、粒状、ビーズ状などが挙げられる。
【0027】
弾性チップのサイズは、特に制限されないが、平均粒径(測定方法:JIS Z8815(1994) 乾式ふるい分け試験)が、クッション性の観点から、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1.0mm以上、より好ましくは、1.5mm以上であり、機械強度および歩行感の観点から、例えば、10.0mm以下、好ましくは、5.0mm以下、より好ましくは、3.0mm以下である。
【0028】
なお、弾性チップは、非発泡体チップであってもよく、発泡体チップであってもよい。
【0029】
弾性チップの比重は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0030】
ウレタンバインダーは、敷設時(後述)において、弾性チップ間を充填および接続するためのバインダー樹脂(マトリックス樹脂)であって、例えば、一液硬化型のポリウレタン樹脂が挙げられ、より具体的には、湿気硬化性ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0031】
湿気硬化性ポリウレタン樹脂は、例えば、大気中の水分と反応して硬化するイソシアネート基末端のポリウレタン樹脂である。
【0032】
イソシアネート基末端のポリウレタン樹脂は、例えば、イソシアネート成分とポリオール成分とを、ポリオール成分中の水酸基に対するイソシアネート成分中のイソシアネート基が過剰となる割合で反応させることにより、得ることができる。
【0033】
イソシアネート成分としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)などの脂肪族ジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、水添ジフェニルメタンジイソシネート(H12MDI)などの脂環族ジイソシアネート、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(MDI)などの芳香族ジイソシアネート、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネートなどのジイソシアネート単量体、および、そのジイソシアネート単量体の誘導体(例えば、イソシアヌレート誘導体、ビウレット誘導体、アロファネート誘導体、カルボジイミド誘導体、ポリオール付加体など)などが挙げられる。
【0034】
これらイソシアネート成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0035】
イソシアネート成分として、好ましくは、ジイソシアネート単量体が挙げられ、より好ましくは、芳香族ジイソシアネートが挙げられ、さらに好ましくは、ジフェニルメタンジイソシネートが挙げられる。
【0036】
ポリオール成分としては、例えば、低分子量ポリオール、高分子量ポリオールが挙げられる。
【0037】
低分子量ポリオールは、分子中に2つ以上の水酸基を有する分子量400未満の有機化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-、テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、アルカン(C2~20)ジオール、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
【0038】
高分子量ポリオールは、分子中に2つ以上の水酸基を有する数平均分子量(ポリスチレン換算)400以上、好ましくは、1000以上、例えば、10000以下、好ましくは、8000以下の有機化合物であり、例えば、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)など)、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
【0039】
これらポリオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0040】
ポリオール成分として、好ましくは、高分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリオキシプロピレングリコールが挙げられる。
【0041】
イソシアネート成分とポリオール成分との反応においては、特に制限されず、バルク重合、溶液重合などの公知の方法が採用される。
【0042】
また、ポリオール成分中の水酸基に対するイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、例えば、1.0を超過、好ましくは、1.01以上、より好ましくは、1.10以上であり、例えば、5.0以下、好ましくは、3.0以下である。
【0043】
これにより、ウレタンバインダーとして、湿気硬化性ポリウレタン樹脂(イソシアネート基末端のポリウレタン樹脂)が得られる。
【0044】
また、ウレタンバインダーとしては、上記した湿気硬化性ポリウレタン樹脂の他、例えば、ホットメルト型ポリウレタン樹脂、二液硬化型ポリウレタン樹脂なども挙げられる。
【0045】
ウレタンバインダーとして、好ましくは、湿気硬化性ポリウレタン樹脂が挙げられる。
【0046】
なお、ウレタンバインダーは、必要に応じて、例えば、充填剤(フィラー)、発泡体チップ、可塑剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒(ウレタン化触媒、イソシアヌレート化触媒、アロファネート化触媒など)、染料、滑剤、加水分解防止剤などの公知の添加剤を、適宜の割合で含有していてもよい。
【0047】
ウレタンバインダーのイソシアネート基含有量は、例えば、5質量%以上、好ましくは、7質量%以上であり、例えば、15質量%以下、好ましくは、12質量%以下である。
【0048】
ウレタンバインダーのイソシアネート基含有量が上記下限を上回っていれば、熱ロールでの表面転圧時にウレタンバインダーの三次元架橋を促進することができ、耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0049】
一方、ウレタンバインダーのイソシアネート基含有量が上記上限を下回っていれば、熱ロールでの表面転圧時に、ウレタンバインダーの過度の三次元架橋を抑制して、耐摩耗性の向上を図りつつ、クッション性の向上を図ることができる。
【0050】
また、ウレタンバインダーは、粘度調整などの観点から、必要に応じて、公知の溶剤に溶解させた溶液、または、公知の溶剤に分散させた分散液として、調整することもできる。このような場合、ウレタンバインダーの固形分濃度は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0051】
ウレタンバインダー(必要により溶剤を含む。)の25℃における粘度は、例えば、1000mPa・s以上、好ましくは、2000mPa・s以上であり、例えば、8000mPa・s以下、好ましくは、5000mPa・s以下である。
【0052】
粘度が上記下限を上回っていれば、ウレタンバインダーの硬化前における流下を抑制し、弾性チップ間における接着力の向上を図ることができる。
【0053】
また、粘度が上記上限を下回っていれば、弾性チップとの混合性に優れ、弾性チップにウレタンバインダーを均等にまぶすことができる。
【0054】
また、ウレタンバインダーは、市販品としても入手可能である。そのような市販品としては、例えば、湿気硬化型ポリウレタン樹脂(MDI/PPG系、NCO%9.0、固形分濃度100%、「ハイプレンAX-870」、三井化学製)、湿気硬化型ポリウレタン樹脂(MDI/PPG系、NCO%10.2、固形分濃度100%、「ハイプレンAX-850」、三井化学製)などが挙げられる。
【0055】
これらウレタンバインダーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0056】
そして、舗装組成物は、弾性チップとウレタンバインダーとを公知の方法で混合することにより得られる。
【0057】
弾性チップとウレタンバインダーとの配合割合は、弾性チップ同士を強固に接着し、舗装材の機械強度の向上を図る観点から、弾性チップ1.0kgに対して、ウレタンバインダーが、100g以上、好ましくは、150g以上である。また、ウレタンバインダーが充填されない空隙を舗装材中に確保し、クッション性の向上を図る観点から、弾性チップ1.0kgに対して、ウレタンバインダーが、300g以下、好ましくは、250g以下である。
【0058】
また、舗装組成物の総量100質量部に対して、弾性チップが、例えば、70質量部以上、好ましくは、75質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、85質量部以下である。
【0059】
また、舗装組成物の総量100質量部に対して、ウレタンバインダーが、例えば、10質量部以上、好ましくは、15質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
【0060】
弾性チップとウレタンバインダーとの配合割合が上記範囲であれば、クッション性に優れる舗装材を得ることができる。
【0061】
また、舗装組成物は、耐熱性および機械物性の向上を図る観点から、弾性チップおよびウレタンバインダーの他、さらに、遮熱性顔料を含有することができる。
【0062】
遮熱性顔料とは、近赤外光領域~赤外光領域(波長780nm~2500nm)における光の遮蔽(反射)性能が比較的高く、上記光の照射による温度上昇を抑制可能な顔料である。舗装組成物が遮熱性顔料を含有していれば、断熱性および意匠性に優れた舗装材を得ることができる。
【0063】
なお、遮熱性とは、顔料の明度に応じて、日照反射率(日射反射率)により定義される。
【0064】
より具体的には、JIS K5675(2011年)に準拠した屋根用高日射反射率塗料試験において、波長780nm~2500nmの近赤外波長域の日射反射率が、以下の通りである性質と、定義される。
【0065】
明度L≦40(低明度領域)の場合・・・日射反射率40.0%以上
40.0<明度L<80(中明度領域)の場合・・・日射反射率L値%以上
80≦明度(高明度領域)の場合・・・日射反射率80.0%以上
このような遮熱性顔料として、具体的には、上記の遮熱性を発現するよう、粒子径や結晶サイズなどが調整された顔料が挙げられる。
【0066】
遮熱性顔料としては、遮熱性有機顔料、遮熱性無機顔料などが挙げられる。これら遮熱性顔料は、例えば、市販品などとして入手可能である。
【0067】
遮熱性有機顔料として、より具体的には、例えば、商品名「クロモファインブラックA1103」(アゾメチアゾ系=1-{4-[(4,5,6,7-テトラクロロ-3-オキソイソインドリン-1-イリデン)アミノ]フェニルアゾ}-2-ヒドロキシ-N-(4’-メトキシ-2’-メチルフェニル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボキサミド(CAS.No103621-96-1、粒子径0.3μm、大日精化工業社製)などの遮熱性有機黒色顔料、例えば、商品名「SYMULER FAST YELLOW 4192 ベンツイミダゾロン」((黄色)、商品名「FASTONGN SUPER RED 500RG キナクリドン」(赤色)、商品名「FASTONGN SUPER RED ATY ジアミノアンスラキノニル」(赤色)、商品名「FASTONGN SUPER VIOLET RVS ジ オキサジン」(黄色)、商品名「FASTONGN SUPER MAGENTA R キナクリドン」(赤紫色)、商品名「FASTONGN GREEN MY ハロゲン化フタロシアニン」(緑色)(以上、大日本インキ化学工業社製)などの遮熱性有機彩色顔料などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0068】
遮熱性無機顔料としては、例えば、遮熱性酸化物顔料、遮熱性複合酸化物顔料、遮熱性微粒子複合酸化物系顔料などが挙げられ、より具体的には、例えば、CaO・TiO2・MnO2、酸窒化チタン[Ti3O5、Ti2O3]、CoO・Cr2O3・Fe2O3焼成顔料、CuO・Cr2O3・Mn2O3焼成顔料などの無機黒色顔料、例えば、TiO2(ルチル型酸化チタンなど)、TiO2・Al、リン酸亜鉛、リン酸カリウム、リン酸アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、亜鉛華、酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどの無機白色顔料、例えば、鉄・クロム・コバルト複合酸化物などの無機彩色顔料などが挙げられる。
【0069】
また、遮熱性無機顔料の市販品としては、例えば、商品名「R-38L」(遮熱性無機白色顔料、TiO2、粒子径0.40μm、堺化学工業製)、商品名「黒色遮熱材SG-101」(遮熱性無機黒色顔料、CaO・TiO2・MnO2、粒子径0.95μm、石原産業社製)、商品名「白色遮熱材PFR404」(遮熱性無機白色顔料、TiO2・Al(棒状チタン白粒子)、長軸2~4μm、短軸0.3~0.5μm、石原産業社製)、商品名「ダイピロキサイドカラーシリーズ」(遮熱性複合酸化物顔料(無機彩色顔料)、Fe-Co-Cr複合酸化物など、大日精化工業社製)などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0070】
遮熱性顔料は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0071】
遮熱性顔料として、熱性、耐候性、塗着性および環境安全性の観点から、好ましくは、遮熱性有機黒色顔料、遮熱性有機白色顔料、遮熱性複合酸化物顔料が挙げられる。
【0072】
遮熱性顔料の平均粒径(測定方法:レーザー回折法(BECKMAN COULTER LS320など))は、例えば、10nm以上、好ましくは、100nm以上であり、例えば、4000nm以下、好ましくは、2000nm以下、より好ましくは、1500nm以下である。
【0073】
また、遮熱性顔料の比表面積(測定方法:BET法(島津 トライスターII3020など))は、例えば、1m2/g以上、好ましくは、30m2/g以上であり、例えば、100m2/g以下、好ましくは、80m2/g以下である。
【0074】
遮熱性顔料の割合は、ウレタンバインダーの総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、例えば、40質量部以下、好ましくは、30質量部以下である。
【0075】
また、遮熱性顔料の割合は、舗装組成物の総量100質量部に対して、例えば、0.2質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
【0076】
遮熱性顔料は、例えば、弾性チップおよび/またはウレタンバインダーに予め添加されていてもよく、また、弾性チップおよびウレタンバインダーの混合時に、同時に添加されてもよく、さらに、弾性チップおよびウレタンバインダーの混合物に対して、添加されてもよい。また、遮熱性顔料が、弾性チップに予め混合される場合、遮熱性顔料が弾性チップの周囲をコーティングした複合粒子として調製されていてもよく、弾性チップと遮熱性顔料とが混合された組成物として調製されていてもよい。
【0077】
遮熱性顔料は、好ましくは、弾性チップおよびウレタンバインダーの混合時に、同時に添加されるか、弾性チップおよびウレタンバインダーの混合物に対して、添加し、混合される。なお、混合方法は、特に制限されず、公知の方法が採用される。
【0078】
これにより、弾性チップおよびウレタンバインダー(さらに、必要に応じて遮熱性顔料)を含む舗装組成物が得られる。
【0079】
また、舗装組成物は、必要に応じて、例えば、充填剤(フィラー)、可塑剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒(ウレタン化触媒、イソシアヌレート化触媒、アロファネート化触媒など)、染料、滑剤、加水分解防止剤などの公知の添加剤を、適宜の割合で含有していてもよい。
【0080】
そして、この方法では、上記で得られた舗装組成物を、被舗装面に敷き均し、熱ロールで表面転圧することにより、舗装材を製造する(舗装工程)。
【0081】
被舗装面は、舗装材により弾性舗装される面であり、例えば、使役動物(乗用獣を含む。)用通路(馬道、パドックなど)、ジョギングコース、公園(遊具下、遊歩道など)、屋外競技場、屋内競技場、運動場の通路、グランド、コートなどにおける、コンクリート床面などが挙げられる。
【0082】
とりわけ、この方法で得られる舗装材は、クッション性および耐摩耗性に優れるため、高荷重舗装に好適に用いられる。すなわち、被舗装面として、好ましくは、高荷重舗装面が挙げられ、具体的には、使役動物(乗用獣を含む。)用通路、より好ましくは、馬道、パドックが挙げられる。
【0083】
換言すれば、この方法で得られる舗装材は、好ましくは、馬道用舗装材および/またはパドック用舗装材である。
【0084】
すなわち、馬は重量が重く、蹄鉄で接地するために、舗装面には、特に、高耐荷重性および高耐摩耗性が要求され、一方、馬の足の疲労を緩和すべくクッション性も要求される。この点、この方法で得られる舗装材は、高耐荷重性、高耐摩耗性および高クッション性を備えるため、馬道用舗装材およびまたはパドック用舗装材として好適である。
【0085】
被舗装面に舗装組成物を敷き均す方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、必要に応じて被舗装面にガイド枠などを設置し、その被舗装面(ガイド枠内)に、均一に混合した舗装組成物を敷き均す。
【0086】
舗装組成物の敷厚は、例えば、5mm以上、好ましくは、10mm以上であり、例えば、50mm以下、好ましくは、30mm以下である。
【0087】
その後、この方法では、敷き均された舗装組成物の表面を、熱ロールで表面転圧し、ウレタンバインダーを硬化させる。
【0088】
熱ロールは、周面が加熱された鉄製の転圧ローラーであって、牽引型ローラーや締固め用機械(ロードローラー)などの公知のローラーにおいて、公知の方法によって、そのローラーの周面が加熱されているものである。
【0089】
熱ロールにおいては、温度条件(周面温度)が、90℃以上、好ましくは、100℃以上、より好ましくは、110℃以上であり、150℃以下、好ましくは、140℃以下、より好ましくは、130℃以下である。
【0090】
温度条件が上記範囲であれば、ウレタンバインダーを三次元架橋させることができる。
【0091】
すなわち、ウレタンバインダーのイソシアネート基は、90℃以上の高温になると、ウレタン基と反応してアロファネート結合を生成し、また、ウレア基と反応してビウレット結合を生成する。その結果、三次元架橋構造が生成する。そして、このようにイソシアネート基が反応するには、90℃以上、150℃以下の温度が必要である。温度が90℃未満の場合、イソシアネート基の反応率は大幅に低下する。また、温度が150℃を超過する場合、ウレタン結合の切断などの分解が生じる。
【0092】
熱ロールのローラー直径は、例えば、5cm以上、好ましくは、10cm以上であり、例えば、30cm以下、好ましくは、20cm以下である。
【0093】
熱ロールにおける温度条件が上記下限を上回っていれば、舗装組成物中のウレタンバインダーが、表面においてビウレット化反応および/またはアロファネート化反応する。そのため、この方法によれば、舗装材の表面において、ウレタンバインダーが三次元架橋したウレタン皮膜を形成することができる。その結果、舗装材の内部におけるポリウレタン樹脂(硬化したウレタンバインダー)の機械物性を確保しながら、舗装材の表面の耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0094】
また、熱ロールにおける温度条件が上記上限を下回っていれば、ウレタンバインダーの熱分解を抑制できるため、機械物性の低下を抑制することができる。
【0095】
また、圧力条件が、例えば、0.2kg/cm2以上、好ましくは、0.5kg/cm2以上、より好ましくは、1.0kg/cm2以上、さらに好ましくは、1.5kg/cm2以上であり、例えば、5.0kg/cm2以下、好ましくは、3.0kg/cm2以下、より好ましくは、2.5kg/cm2以下、さらに好ましくは、2.0kg/cm2以下である。
【0096】
熱ロールにおける圧力条件が上記下限を上回っていれば、高密度の舗装材を得ることができ、表面強度の向上を図ることができる。
【0097】
また、熱ロールにおける圧力条件が上記上限を下回っていれば、弾性チップ由来の表面凹凸の発生を抑制することができ、優れた平滑性を得ることができる。
【0098】
また、熱ロールによるロール速度は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0099】
また、熱ロールによるロール回数は、例えば、所定の方向に対して、2回以上、好ましくは、3回以上であり、例えば、10回以下、好ましくは、6回以下である。
【0100】
また、舗装組成物の表面を、複数方向(例えば、所定方向(縦方向)、および、その所定方向と直交する方向(横方向))において、それぞれ、上記の条件で熱ロールすることもできる。
【0101】
なお、熱ロールで表面転圧せず、熱コテなどのプレートで表面を転圧するのみでは、強固なウレタン皮膜を形成できず、耐摩耗性に劣る。また、非加熱(常温)ロールで表面転圧する場合にも、強固なウレタン皮膜を形成できず、耐摩耗性に劣る。
【0102】
これに対して、上記のように熱ロールで表面転圧することにより、表面が三次元架橋した強固なウレタン皮膜を形成することができ、耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0103】
なお、被舗装面にガイド枠を設置した場合には、熱ロール後(または熱ロール途中)において、ガイド枠を取り外す。
【0104】
これにより、弾性チップ間でウレタンバインダーを硬化させるとともに、表面においてウレタンバインダーを三次元架橋させることができる。
【0105】
その結果、弾性チップと、ウレタンバインダーが硬化したポリウレタン樹脂と(さらに、必要により遮熱性顔料と)を含む舗装材を得ることができる。なお、この方法では、必要に応じて、表面凹凸処理(エンボス処理)や、表面コート処理など、公知の方法で、舗装材を表面処理することもできる。
【0106】
そして、このような舗装材の製造方法では、舗装組成物において、弾性チップおよびウレタンバインダーの比率が所定範囲に調整されているため、クッション性に優れる舗装材を得ることができる。
【0107】
さらに、上記の舗装材の製造方法では、ウレタンバインダーを含む舗装組成物を、所定温度の熱ロールにより施工するため、舗装材の表面において三次元架橋したウレタン皮膜を形成することができ、その結果、耐摩耗性に優れる舗装材を得ることができる。
【0108】
その結果、上記の舗装材の製造方法によれば、クッション性および耐摩耗性に優れる舗装材を得ることができる。
【0109】
とりわけ、舗装組成物が、遮熱性顔料を含有する場合、舗装材は遮熱性に優れるが、その舗装材の耐摩耗性が十分でないと、遮熱性顔料が舗装材から摩耗および剥離し、遮熱性が使用に伴って低下する。
【0110】
この点、遮熱性顔料の摩耗および剥離を抑制し、舗装材の耐久性の向上を図るため、舗装材の内部において、ウレタンプレポリマーを三次元架橋させることも検討されるが、このような場合には、舗装材のクッション性が低下する。
【0111】
これに対して、上記の舗装材の製造方法によれば、舗装材の表面のみにおいて三次元架橋したウレタン皮膜を形成するため、クッション性を維持しながら、遮熱性顔料の摩耗および剥離を抑制でき、遮熱性を長期にわたって維持することができる。
【0112】
さらに、ウレタン皮膜により、弾性材の内部において、弾性チップおよびウレタンバインダーを固定できるため、舗装材の耐久性にも優れる。
【0113】
加えて、遮熱性顔料は、補強材として作用するため、舗装組成物が遮熱性顔料を含有することにより、舗装材の機械強度および耐久性を、さらに向上させることができる。
【0114】
そのため、このような舗装材の製造方法で得られる舗装材は、例えば、使役動物(乗用獣を含む。)用通路(馬道、パドックなど)、ジョギングコース、公園(遊具下、遊歩道など)、屋外競技場、屋内競技場、運動場の通路、グランド、コートなどにおける舗装材として用いることができ、好ましくは、馬道用舗装材および/またはパドック用舗装材として用いることができる。
【実施例】
【0115】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0116】
<日照反射率および遮熱性の検討>
実施例1
篩で粒子径2~3mm(直径)に調整した赤色エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)チップ(弾性チップ)1kgと、ウレタンバインダーとしての湿気硬化型ポリウレタン樹脂(MDI/PPG系、NCO%10.2、固形分濃度100%、「ハイプレンAX-850」、三井化学製)225gと、遮熱性顔料としての遮熱材R-38L(商品名、遮熱性白色無機顔料、酸化チタン、粒径0.40μm、堺化学工業製)30.0gとを混合して、舗装組成物を得た。
【0117】
次いで、下地に、舗装組成物を厚み20mmとなるように敷均した後、鉄製ロールにより、120℃、約2kg/cm2の熱ロール条件で転圧した。
【0118】
これにより、表面にウレタンバインダーの三次元架橋塗膜を有する舗装材を得た。
【0119】
実施例2
遮熱性顔料を配合しない以外は、実施例1と同じ方法で、舗装材を得た。
【0120】
[日射反射率]
舗装材に対して、紫外可視近赤外分光光度計(型番UV-3600Plus、島津製作所社製)にて、300nm~2500nmの波長の光を照射し、その反射率を計測した。その結果を、表1に示す。
【0121】
なお、日射反射率は、JIS K-5602(2008年)「塗膜の日射反射率の求め方」に準じて算出した(単位:%)
【0122】
【0123】
[遮熱性]
舗装材を屋外(夏、12~13時)に水平に設置し、一定時間毎にレーザー式温度計にて表面温度を測定した。その結果を、表2に示す。
【0124】
【0125】
<耐摩耗性の検討>
実施例3
篩で粒子径2~4mm(直径)に調整したスタッドレスタイヤ粉砕ゴム(弾性チップ)1kgと、ウレタンバインダーとしての湿気硬化型ポリウレタン樹脂(MDI/PPG系、NCO%10.2、固形分濃度100%、「ハイプレンAX-850」、三井化学製)250gと、遮熱性顔料としての黒色遮熱材SG-101(商品名、遮熱性黒色無機顔料、CaO・TiO2・MnO2、石原産業社製)40.0gとを混合して、舗装組成物を得た。
【0126】
次いで、下地に、舗装組成物を厚み20mmとなるように敷均した後、鉄製ロールにより、130℃、約2.5kg/cm2の熱ロール条件で転圧した。
【0127】
これにより、表面にウレタンバインダーの三次元架橋塗膜を有する舗装材を得た。
【0128】
実施例4
遮熱性顔料を配合しない以外は、実施例3と同じ方法で、舗装材を得た。
【0129】
比較例1
熱ロール条件の温度を80℃とした以外は、実施例3と同じ方法で、舗装材を得た。
【0130】
[耐摩耗性の比較]
テーバー摩耗試験機(型番TSR-1、東洋精機社製)を用いて、摩耗輪CS-17、荷重500g、回転数60rpmの条件で試験し、1000回当たりの摩耗重量(mg)を測定した。その結果を、表3に示す。
【0131】
[競馬場パドック試験]
実施例3の舗装材と、比較例1の舗装材とを、競馬場パドックの一部に試験的に施工し、レーザー式温度計にて表面温度を測定して、耐久性および表面温度を比較した。その結果、を表4に示す。
【0132】
【0133】
【0134】
<耐候性の検討>
実施例5
篩で粒子径3~5mm(直径)に調整した赤色エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)チップ(弾性チップ)1kgと、ウレタンバインダーとしての湿気硬化型ポリウレタン樹脂(MDI/PPG系、NCO%10.2、固形分濃度100%、「ハイプレンAX-850」、三井化学製)200gと、遮熱性顔料としての白色遮熱材PFR404(商品名、遮熱性無機白色顔料、TiO2・Al(棒状チタン白粒子)、長軸2~4μm、短軸0.3~0.5μm、石原産業社製)20.0gとを混合して、舗装組成物を得た。
【0135】
次いで、下地に、舗装組成物を厚み20mmとなるように敷均した後、鉄製ロールにより、140℃、約1.5kg/cm2の熱ロール条件で転圧した。
【0136】
これにより、表面にウレタンバインダーの三次元架橋塗膜を有する舗装材を得た。
【0137】
実施例6
遮熱性顔料を配合しない以外は、実施例5と同じ方法で、舗装材を得た。
【0138】
[促進耐候性]
舗装材に対して、耐候性試験機(型番S80、スガ試験機社製)にて、カーボンアーク式Sunshine W-O-M(シャワー/照射時間:12/60)の条件で表面処理し、表面状態を観察して、光沢感の違いを目視で評価した。その結果を、表5に示す。
【0139】
【0140】
[表面状況および触感の検討]
実施例7
篩で粒子径2~4mm(直径)に調整した赤色ウレタンチップ(弾性チップ)1kgと、ウレタンバインダーとしての湿気硬化型ポリウレタン樹脂(MDI/PPG系、NCO%9.0、固形分濃度100%、「ハイプレンAX-870」、三井化学製)250gと、遮熱性顔料としてのダイピロキサイドカラーブラウン#9290(遮熱性複合酸化物顔料(無機彩色顔料)、Fe-Co-Cr複合酸化物、大日精化工業社製)20.0gとを混合して、舗装組成物を得た。
【0141】
次いで、公園遊具の下地に、舗装組成物を厚み20mmとなるように敷均した後、鉄製ロールにより、140℃、約1.0kg/cm2の熱ロール条件で転圧した。
【0142】
これにより、表面にウレタンバインダーの三次元架橋塗膜を有する舗装材を得た。
【0143】
比較例2
転圧において、鉄製ロールを用いることなく金鏝を用いて、平滑に均した以外は、実施例7と同じ方法で、舗装材を得た。
【0144】
比較例3
ウレタンバインダーの使用量を、弾性チップ1kgに対して400gとした以外は、実施例7と同じ方法で、舗装材を得た。
【0145】
[表面状況]
舗装材を公園遊具下において6ヶ月使用した後、表面状態を目視で評価した。また、レーザー式温度計にて表面温度を測定した。その結果を、表6に示す。
【0146】
[触感および歩行感]
舗装材について、指触評価および歩行評価した、その結果を、表7に示す。
【0147】
【0148】