(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
F16C11/04 F
(21)【出願番号】P 2018172280
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-083999(JP,U)
【文献】特開平08-278545(JP,A)
【文献】特開平11-018918(JP,A)
【文献】実開平03-042521(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部に対して前記本体部の縁に沿って延在する回転軸線回りに回転可能に連結される開閉部と、前記開閉部を回転させる駆動機構と、を有し、
前記駆動機構は、前記本体部および前記開閉部に連結される第1形状記憶合金部材
と、前記本体部および前記開閉部に連結される第2形状記憶合金部材を備え、
前記第1形状記憶合金部材は、
所定の温度に昇温していない状態では、前記開閉部が前記本体部から回転した開き位置に移動することによって第1形態に変形させられ、
通電によって前記所定の温度まで昇温すると、前記第1形態から第2形態に変形して、前記開閉部を前記開き位置から前記本体部と重なる閉じ位置に移動させ
、
前記第2形状記憶合金部材は、通電によって前記所定の温度まで昇温することによって変形して、前記開閉部を前記閉じ位置から前記開き位置に移動させ、
前記本体部および前記開閉部の一方に設けられた第1ヒンジ部と、他方に設けられた第2ヒンジ部とを備え、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部は前記回転軸線を中心として相対回転可能に連結され、
前記第1ヒンジ部の外周面に、前記第1形状記憶合金部材が固定されるヒンジ側固定部が設けられ、前記第1形状記憶合金部材は、前記ヒンジ側固定部に固定される駆動機構側固定部を備え、
前記第2形態は、前記第1ヒンジ部から前記本体部および前記開閉部の他方に向かって延びる直線部を備えた形態であり、
前記直線部は、前記駆動機構側固定部の両端から、前記ヒンジ側固定部の両側において互いに接触しない状態で2本延びており、
前記第1形態は、前記直線部の一部が前記第1ヒンジ部の外周面に沿う湾曲状に変形した形態であることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記第1形状記憶合金部材は、前記駆動機構側固定部と2本の前記直線部とがU字状に繋がるU字状部分を備え、
前記駆動機構側固定部は、前記ヒンジ側固定部に係止されることを特徴とする請求項
1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記第1形状記憶合金部材は、形状記憶合金ワイヤを螺旋状に巻いたコイル部材であり
、
前記第1形態は、前記コイル部材がコイル軸線方向に延びた形態であり、
前記第2形態は、前記コイル部材が前記コイル軸線方向に縮んだ形態であることを特徴とする請求項1
または2に記載の開閉装置
【請求項4】
前記第2形状記憶合金部材は、通電によって前記所定の温度まで昇温することによって前記第1形態から前記第2形態に変形し、
前記駆動機構は、
前記第1形状記憶合金部材が前記第1形態から第2形態に変形して、前記開閉部を前記開き位置から前記閉じ位置に移動させるとき、前記第2形状記憶合金部材は前記第2形態から前記第1形態に変形し、
前記第2形状記憶合金部材が前記第1形態から第2形態に変形して、前記開閉部を前記閉じ位置から前記開き位置に移動させるとき、前記第1形状記憶合金部材は前記第2形態から前記第1形態に変形することを特徴とする請求項
1に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記本体部の前記回転軸線方向の一方側の端部および他方側の端部の少なくとも一方の位置に、前記第1形状記憶合金部材および前記第2形状記憶合金部材がそれぞれ1つ以上設けられることを特徴とする請求項
1または2に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器やそのカバーの開閉部を駆動する開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末などの携帯機器において、不使用時には機器の一部や機器に取り付けたカバーを閉じてディスプレイや操作部を露出させないようにし、使用時にはカバーや機器の一部を開いてディスプレイや操作部を露出させるものがある。特許文献1には、スマートフォンやタブレット端末に使用される携帯機器カバーが開示されている。特許文献1の携帯機器用カバーは、背面部と、側面部と、上面部を備えており、背面部にスマートフォンを固定するための固定部が設けられている。背面部、側面部、上面部の継ぎ目は折り曲げ可能となっており、上面部によってスマートフォンの表示画面を覆うように折り曲げて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような携帯機器カバーは、開閉部分である上面部を手動で動かして開閉することが一般的である。また、ディスプレイと本体とをヒンジで連結して開閉式にした携帯機器においても、開閉操作は手動で行うことが一般的である。
【0005】
携帯機器やそのカバーを手動で開閉する場合、片手で開閉することは難しい。そこで、ヒンジ部分にバネなどを組み込んでバネの付勢力によって開くようにして、片手で開きやすくした構造が用いられている。しかしながら、駆動源がバネの場合、閉じる動作までバネの力で行わせることは難しい。また、バネ力で駆動する場合、開閉部が勢いよく動いてしまう。開閉部の動作スピードを遅くするためには、別途ダンパー機構などが必要になり、構成が複雑化する。
【0006】
小型のアクチュエータとしては、形状記憶合金に電流を流して形状を変化させることで動作を行わせるものがある。しかしながら、スマートフォンやタブレット端末などの携帯機器やそのカバーを開閉する装置に用いられるアクチュエータとして、形状記憶合金を用いて閉じる動作まで行わせるものは提案されていない。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、携帯機器やそのカバーに用いられる開閉装置において、形状記憶合金を用いて閉じる動作を行わせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の開閉装置は、本体部と、前記本体部に対して前記本体部の縁に沿って延在する回転軸線回りに回転可能に連結される開閉部と、前記開閉部を回転させる駆動機構と、を有し、前記駆動機構は、前記本体部および前記開閉部に連結される第1形状記憶合金部材と、前記本体部および前記開閉部に連結される第2形状記憶合金部材を備え、前記第1形状記憶合金部材は、所定の温度に昇温していない状態では、前記開閉部が前記本体部から回転した開き位置に移動することによって第1形態に変形させられ、通電によって前記所定の温度まで昇温すると、前記第1形態から第2形態に変形して、前記開閉部を前記開き位置から前記本体部と重なる閉じ位置に移動させ、前記第2形状記憶合金部材は、通電によって前記所定の温度まで昇温することによって変形して、前記開閉部を前記閉じ位置から前記開き位置に移動させ、前記本体部および前記開閉部の一方に設けられた第1ヒンジ部と、他方に設けられた第2ヒンジ部とを備え、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部は前記回転軸線を中心として相対回転可能に連結され、前記第1ヒンジ部の外周面に、前記第1形状記憶合金部材が固定されるヒンジ側固定部が設けられ、前記第1形状記憶合金部材は、前記ヒンジ側固定部に固定される駆動機構側固定部を備え、前記第2形態は、前記第1ヒンジ部から前記本体部および前記開閉部の他方に向かって延びる直線部を備えた形態であり、前記直線部は、前記駆動機構側固定部の両端から、前記ヒンジ側固定部の両側において互いに接触しない状態で2本延びており、前記第1形態は、前記直線部の一部が前記第1ヒンジ部の外周面に沿う湾曲状に変形した形態であることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1形状記憶合金部材に電流を流して熱を加えることで駆動機構を動
作させることができるので、手で開閉部を動かさずに開閉部を閉じることができる。従って、折り畳み式の携帯機器やそのカバーとして用いた場合に、両手を使わずに携帯機器やカバーを閉じることができ、利便性を向上させることができる。また、開閉部を閉じる動作だけでなく、開く動作も駆動機構に行わせることができる。よって、手で開閉部を動かさずに開閉部を開くことができる。従って、携帯機器やそのカバーの開閉装置として用いた場合に、両手を使わずに携帯機器やカバーを開くことができ、利便性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明では、前記本体部および前記開閉部の一方に設けられた第1ヒンジ部と、他方に設けられた第2ヒンジ部とを備え、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部は前記回転軸線を中心として相対回転可能に連結され、前記第2形態は、前記第1ヒンジ部から前記本体部および前記開閉部の他方に向かって延びる直線部を備えた形態であり、前記第1形態は、前記直線部の一部が前記第1ヒンジ部の外周面に沿う湾曲状に変形した形態である。このように、ヒンジ部の外周側に第1形状記憶合金部材を配置することにより、第1形状記憶合金部材の可動範囲を大きくすることができる。
【0011】
さらに、本発明では、前記第1ヒンジ部の外周面に、前記第1形状記憶合金部材が固定されるヒンジ側固定部が設けられ、前記第1形状記憶合金部材は、前記ヒンジ側固定部に固定される駆動機構側固定部を備え、前記直線部は、前記駆動機構側固定部の両端から、前記ヒンジ側固定部の両側において互いに接触しない状態で2本延びている。従って、直線部同士が接触して短絡することを防止できる。また、2本の直線部の端部を同じ側に配置できるため、2本の直線部を同一の基板に接続して第1形状記憶合金部材に電流を流すことができる。従って、+側の端子と-側の端子を別の基板に設ける必要がないので、電流供給部の構成を簡素化できる。
【0012】
本発明において、前記第1形状記憶合金部材は、前記駆動機構側固定部と2本の前記直線部とがU字状に繋がるU字状部分を備え、前記駆動機構側固定部は、前記ヒンジ側固定部に係止されることが好ましい。このようにすると、第1形状記憶合金部材の固定が容易である。また、別部材を用いずに第1形状記憶合金部材を固定できる。
【0013】
本発明において、前記第1形状記憶合金部材は、形状記憶合金ワイヤを螺旋状に巻いたコイル部材であり、前記第1形態は、前記コイル部材がコイル軸線方向に延びた形態であり、前記第2形態は、前記コイル部材が前記コイル軸線方向に縮んだ形態であることが好ましい。このようにすると、第1形状記憶合金部材の伸縮量を大きくすることができる。従って、省スペースでありながら、開閉部の可動範囲を大きくすることができる。
【0015】
本発明において、前記第2形状記憶合金部材は、通電によって前記所定の温度まで昇温することによって前記第1形態から前記第2形態に変形し、前記駆動機構は、前記第1形状記憶合金部材が前記第1形態から第2形態に変形して、前記開閉部を前記開き位置から前記閉じ位置に移動させるとき、前記第2形状記憶合金部材は前記第2形態から前記第1形態に変形し、前記第2形状記憶合金部材が前記第1形態から第2形態に変形して、前記開閉部を前記閉じ位置から前記開き位置に移動させるとき、前記第1形状記憶合金部材は前記第2形態から前記第1形態に変形することが好ましい。このようにすると、開閉部を閉じる動作の際には、第2形状記憶合金部材が変形してダンパーの機能を果たす。また、
開閉部を開く動作の際には、第1形状記憶合金部材が変形してダンパーの機能を果たす。従って、開閉部の動作スピードを遅くすることができ、勢いよく開閉することを抑制できる。
【0016】
本発明において、前記本体部の前記回転軸線方向の一方側の端部および他方側の端部の少なくとも一方の位置に、前記第1形状記憶合金部材および前記第2形状記憶合金部材がそれぞれ1つ以上設けられることが好ましい。このようにすると、開閉部および本体部が全体として1つのディスプレイなどの表示部を構成する場合に、駆動機構と表示部とを干渉させることなく、表示部を配置できる範囲を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
第1形状記憶合金部材に電流を流して熱を加えることで駆動機構を動作させることができるので、手で開閉部を動かさずに開閉部を閉じることができる。従って、携帯機器やそのカバーの開閉装置として用いた場合に、両手を使わずに携帯機器やカバーを閉じることができ、利便性を向上させることができる。また、開閉部を閉じる動作だけでなく、開く動作も駆動機構に行わせることができる。よって、手で開閉部を動かさずに開閉部を開くことができる。従って、携帯機器やそのカバーの開閉装置として用いた場合に、両手を使
わずに携帯機器やカバーを開くことができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態に係る開閉装置を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1は本発明を適用した開閉装置1の斜視図である。
図2は
図1の開閉装置1の分解斜視図である。また、
図3は駆動機構30の拡大図である。開閉装置1は、本体部10と、本体部10に対して本体部10の縁に沿って延在する回転軸線L回りに回転可能に連結された開閉部20と、開閉部20を回転させる駆動機構30を有する。開閉部20は、本体部10と重なる閉じ位置20Aと、閉じ位置20Aから回転した開き位置20Bとの間を移動する。
図1では、閉じ位置20Aから180°回転した位置が開き位置20Bとして図示されている。なお、閉じ位置20Aに対する開き位置20Bの回転角度は180°に限定されるものではなく、180°と異なる角度でもよい。
【0021】
開閉装置1は、折り畳み式の携帯機器や、折り畳み式の携帯機器に取り付けられるカバーに適用される。開閉装置1が折り畳み式の携帯機器の場合、例えば、本体部10に操作部が設けられ、開閉部20にディスプレイが設けられる。あるいは、本体部10と開閉部20の両方にわたって折り曲げ可能なディスプレイを設けることもできる。開閉装置1がカバーの場合、本体部10には携帯機器が固定され、開閉部20は携帯機器を覆うように構成される。なお、これらの構成は一例であり、開閉装置1の適用対象は折り畳み式の携帯機器やカバー以外のものであってもよい。
【0022】
本明細書において、回転軸線Lと直交し且つ互いに直交する方向をX方向およびY方向とする。また、回転軸線Lの一方側をL1とし、他方側をL2とし、X方向の一方側をX1とし、他方側をX2とし、Y方向の一方側をY1とし、他方側をY2とする。本体部10はXY面に沿って配置され、本体部10のX方向の一方側X1の縁に沿って回転軸線Lが延びている。開閉部20が閉じ位置20Aに移動した状態では、本体部10のY方向の
一方側Y1に開閉部20が重なる。
【0023】
本体部10と開閉部20は、ヒンジ機構40によって回転軸線L回りに相対回転可能に連結されている。ヒンジ機構40は、本体部10に設けられた本体部側ヒンジ部41、42と、開閉部20に設けられた開閉部側ヒンジ部43、44、45と、ヒンジ軸46を備える。本体部側ヒンジ部41、42は本体部10のX方向の一方側X1の縁に設けられ、開閉部側ヒンジ部43、44、45は閉じ位置20Aにおける開閉部20のX方向の一方側X1の縁に設けられている。本体部側ヒンジ部41、42と開閉部側ヒンジ部43、44、45は、ヒンジ軸46を中心として相対回転するように連結される。本体部側ヒンジ部41、42と開閉部側ヒンジ部43、44、45は、いずれも円筒部を備えており、各ヒンジ部の円筒部が回転軸線Lに沿って交互に配置される。
【0024】
3箇所の開閉部側ヒンジ部43、44、45のうち、回転軸線L方向の略中央に配置される開閉部側ヒンジ部44には、駆動機構30を構成する第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32が固定される(
図3参照)。駆動機構30は、第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32と、第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32と接続される電流供給部33(
図2参照)と、電流供給部33に対して、第1形状記憶合金部材31の通電の有無を切り換えるための操作信号、および、第2形状記憶合金部材32の通電の有無を切り換えるための操作信号を入力する操作部34(
図2参照)を備える。操作部34は、例えば、操作ボタンであってもよいし、音声信号を入力するマイクおよび音声認識プログラムであってもよい。
【0025】
第1形状記憶合金部材31は、本体部10および開閉部20に連結される。駆動機構30は、操作部34からの操作信号に基づき、電流供給部33から電流を供給して第1形状記憶合金部材31に通電する。第1形状記憶合金部材31は、通電によって発熱する。第1形状記憶合金部材31は、所定の温度(例えば、70°)まで昇温すると、第1形態31Aから第2形態31Bに変形する(
図5、
図6参照)。第1形状記憶合金部材31は、第1形態31Aから第2形態31Bに変形することにより、開閉部20を本体部10に対してCCW方向に相対回転させるように取り付けられている。
図1に示すように、CCW方向は、開閉部20を開き位置20Bから閉じ位置20Aへ移動させる回転方向である。
【0026】
第1形状記憶合金部材31は、通電が切られても第2形態31Bを保つが、開閉部20が閉じ位置20Aから開き位置20Bへ移動する際に開閉部20によって引っ張られるため、開閉部20が開き位置20Bに移動すると第2形態31Bから第1形態31Aへ変形する。第1形態31Aに戻った後、再び通電して発熱すると、再び第2形態31Bに変形して開閉部20を閉じ位置20Aに移動させる。このように、駆動機構30は、第1形状記憶合金部材31、電流供給部33、および操作部34によって構成される閉じ方向駆動機構30Aを備える。
【0027】
第2形状記憶合金部材32は、本体部10および開閉部20に連結される。駆動機構30は、操作部34からの操作信号に基づき、電流供給部33から電流を供給して第2形状記憶合金部材32に通電する。第2形状記憶合金部材32は、通電によって所定の温度(例えば、70°)まで昇温すると、第1形態32Aから第2形態32Bに変形する(
図5、
図6参照)。第1形態32Aおよび第2形態32Bは、第1形状記憶合金部材31の第1形態31Aおよび第2形態31Bと同じ形態である。但し、第2形状記憶合金部材32は、XY面を基準として第1形状記憶合金部材31と対称に配置されており、第1形態32Aから第2形態32Bに変形するとき、開閉部20を本体部10に対してCW方向に相対回転させるように取り付けられている。
図1に示すように、CW方向は、開閉部20を閉じ位置20Aから開き位置20Bへ移動させる回転方向である。
【0028】
第2形状記憶合金部材32は、通電が切られても第2形態32Bを保つが、開閉部20が開き位置20Bから閉じ位置20Aへ移動する際に開閉部20によって引っ張られるため、開閉部20が閉じ位置20Aに移動すると第2形態32Bから第1形態32Aへ変形する。第1形態32Aに戻った後、再び通電して発熱すると、再び第2形態32Bに変形して開閉部20を開き位置20Bに移動させる。このように、駆動機構30は、第2形状記憶合金部材32、電流供給部33、および操作部34によって構成される開き方向駆動機構30Bを備える。
【0029】
(駆動機構)
図3は駆動機構30の拡大図であり、
図1の領域Aの拡大図である。上記のように、開閉装置1はヒンジ機構40を備えており、ヒンジ機構40は、本体部10および開閉部20の一方に設けられた第1ヒンジ部と、他方に設けられた第2ヒンジ部とを備え、第1ヒンジ部と第2ヒンジ部とが回転軸線Lを中心として相対回転可能に連結されている。本形態では、開閉部20の縁に設けられた開閉部側ヒンジ部44が第1ヒンジ部であり、本体部側ヒンジ部41、42が第2ヒンジ部である。開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)には、第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32が固定されるヒンジ側固定部51、52が設けられている。
【0030】
図1、
図2に示すように、開閉部20は、略長方形の開閉部本体21を備える。
図2に示すように、開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)は、開閉部本体21のX方向の一方側X1の縁の略中央からX方向の一方側X1へ突出する。開閉部側ヒンジ部44は、回転軸線L方向に延びる円筒部47と、円筒部47と開閉部本体21とを接続する連結部48を備える。連結部48は、円筒部47の回転軸線L方向の一方側L1の部分を開閉部本体21と連結する。円筒部47の外周面には、ヒンジ側固定部51、52が回転軸線L方向に並んで1箇所ずつ設けられている。ヒンジ側固定部51、52は、円筒部47の回転軸線L方向の他方側L1の部分に設けられている。
【0031】
図3に示すように、ヒンジ側固定部51、52は、円筒部47の外周面において周方向に延びる凸部である。ヒンジ側固定部51の回転軸線L方向の両側には、それぞれ、周方向に延びる第1溝53が1本ずつ設けられている。2本の第1溝53は、ヒンジ側固定部51のCW方向に位置する連結溝54によって繋がっている。従って、ヒンジ側固定部51を囲むように略U字状の溝が形成されている。ヒンジ側固定部51および第1溝53は、連結部48よりも回転軸線L方向の他方側L2へ延びた円筒部47の端部に設けられており、連結溝54に対してCCW方向側へ延びている。
【0032】
ヒンジ側固定部52の回転軸線L方向の両側には、それぞれ、周方向に延びる第2溝55が1本ずつ設けられている。2本の第2溝55は、ヒンジ側固定部52のCCW方向に位置する連結溝56によって繋がっている。従って、ヒンジ側固定部52を囲むように略U字状の溝が形成されている。ヒンジ側固定部52および第2溝55は、連結部48によって開閉部本体21と繋がる部分の外周面に設けられている。ヒンジ側固定部52および第2溝55は、連結溝56に対してCW方向側へ延びている。
【0033】
図2に示すように、本体部10は、本体部側ヒンジ部41、42の間をX方向の他方側X2に切り欠いた切り欠き11を備える。切り欠き11は、ヒンジ側固定部51、52のX方向の一方側X2に位置する。切り欠き11には、ヒンジ側固定部51、52から本体部10の側へ延びる第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32が配置される。第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32は、切り欠き11を経由して、本体部10の内部に設けられた電流供給部33と接続される。電流供給部33は、第1形状記憶合金部材31が接続される電流供給回路および第2形状記憶合金部材32が接続される電流供給回路が構成される基板を備える。本体部10および開閉部20がデ
ィスプレイやコンピュータ等を構成する電子部品を備えている場合には、電流供給部33には、電子部品と共通の電源から電流が供給される。
【0034】
図4は第1形状記憶合金部材31の部分拡大図である。
図4(a)は第1形態31Aの第1形状記憶合金部材31の部分拡大図であり、
図4(b)は第2形態31Bの第1形状記憶合金部材31の部分拡大図である。第1形状記憶合金部材31は、形状記憶合金ワイヤ35を螺旋状に巻いたコイル部材36によって構成されている。形状記憶合金ワイヤ35は、形状記憶合金(Shape Memory Alloy)からなる線材である。
図4(a)に示すように、第1形態31Aでは、コイル部材36がコイル軸線L0方向に延ばされている。また、
図4(b)に示すように、第2形態31Bでは、コイル部材36がコイル軸線L0方向に縮められており、螺旋状に巻かれた形状記憶合金ワイヤ35がコイル軸線L0方向に接触した状態になっている。コイル部材36は、所定の温度(例えば、70°)まで昇温すると、
図4(b)に示す形態に縮むように構成されている。
【0035】
本形態では、第2形状記憶合金部材32の細部は第1形状記憶合金部材31と同じであり、第2形状記憶合金部材32は、
図4に示す形状記憶合金ワイヤ35を巻いたコイル部材36によって構成されている。従って、第2形状記憶合金部材32は、第1形態32Aでは、コイル部材36が
図4(a)に示す伸長状態になっており、第2形態32Bでは、コイル部材36が
図4(b)に示す収縮状態になっている。形状記憶合金ワイヤ35としては、例えば、太さ(径寸法)が0.1~0.15mm程度の線材が用いられる。また、コイル部材36の外側に絶縁被覆が被せられていてもよい。
【0036】
図5、
図6は駆動機構30の動作説明図であり、
図1のB-B位置の断面斜視図である。
図5は開閉部20が閉じ位置20Aにある状態を示し、
図6は開閉部20が開き位置20Bにある状態を示す。
図5に示す閉じ位置20Aでは、第1形状記憶合金部材31は、発熱によりコイル部材36がコイル軸線L0方向に縮んで第2形態31Bになっているが、第2形状記憶合金部材32は、コイル部材36がコイル軸線L0方向に延ばされて第1形態32Aになっている。一方、
図6に示す開き位置20Bでは、第1形状記憶合金部材31は、コイル部材36がコイル軸線L0方向に延ばされて第1形態31Aになっているが、第2形状記憶合金部材32は、コイル部材36がコイル軸線L0方向に縮んで第2形態32Bになっている。
【0037】
上記のように、第1形状記憶合金部材31と第2形状記憶合金部材32は同一の構成である。第1形状記憶合金部材31と第2形状記憶合金部材32は、XY面を基準として対称に配置され、開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)の円筒部47に対して逆方向に巻き付くように配置されている。
【0038】
第1形状記憶合金部材31は、
図4に示すコイル部材36を略U字状に折り返した部材である。第1形状記憶合金部材31の一端には、コイル部材36を直線状に延ばした2本の直線部311が設けられ、他端には、ヒンジ側固定部51に固定される駆動機構側固定部312が設けられている。駆動機構側固定部312は、コイル部材36を略半円状に湾曲させた湾曲部である。
【0039】
図5に示すように、第1形状記憶合金部材31は、開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)のY方向の一方側Y1に配置される。第1形状記憶合金部材31は、第2形態31Bでは、2本の直線部311が開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)から本体部10に向かって互いに接触しない間隔を保った状態で平行に延びている。
図3、
図5に示すように、第1形状記憶合金部材31は、駆動機構側固定部312と2本の直線部311とがU字状に繋がったU字状部分313を備える。U字状部分313は円筒部47の外周面から突出するヒンジ側固定部51に掛けられており、駆動機構側固定部312はヒンジ側固定部
51に係止されている。駆動機構側固定部312は連結溝54に配置される。2本の直線部311は、それぞれ、ヒンジ側固定部51の回転軸線L方向の両側において第1溝53に配置される。
【0040】
図3、
図6に示すように、第1形状記憶合金部材31は、第1形態31Aでは、駆動機構側固定部312がヒンジ側固定部51によってCW方向に回転させられた位置にあるため、2本の直線部311の一部が開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)の第1溝53の底面に沿う湾曲形状に変形している。つまり、第1形状記憶合金部材31は、第1形態31Aでは湾曲部314を持つ形状に変形している。
【0041】
第2形状記憶合金部材32は、開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)のY方向の他方側Y2に配置される。第2形状記憶合金部材32は、U字状部分313が円筒部47の外周面から突出するヒンジ側固定部52に掛けられており、駆動機構側固定部312がヒンジ側固定部52に係止されている。第2形状記憶合金部材32の駆動機構側固定部312は連結溝56に配置されており、2本の直線部311は、それぞれ、ヒンジ側固定部52の回転軸線L方向の両側において第2溝55に配置され、本体部10に向かって互いに接触しない間隔を保った状態で略平行に延びている。
【0042】
図3、
図5に示すように、第2形状記憶合金部材32は、第1形態32Aでは、駆動機構側固定部312がヒンジ側固定部52によってCCW方向に回転させられた位置にあるため、2本の直線部311の一部が開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)の第2溝55の底面に沿う湾曲形状に変形している。つまり、第2形状記憶合金部材32は、第1形態32Aでは湾曲部314を持つ形状に変形している。
【0043】
(開閉部が閉じる動作)
図6に示す開き位置20Bの状態で、第1形状記憶合金部材31が通電され、所定の温度まで昇温すると、コイル部材36が縮むため、第1形状記憶合金部材31の駆動機構側固定部312がCCW方向に移動する。これにより、駆動機構側固定部312に固定されたヒンジ側固定部51を介して、開閉部20がCCW方向に回転する。つまり、第1形状記憶合金部材31が縮むことにより、開閉部20の閉じ動作が行われる。開閉部20が本体部10と重なる位置まで回転したとき、第1形状記憶合金部材31は、
図5に示す第2形態31Bに変形している。
【0044】
図6に示す開き位置20Bから、
図5に示す閉じ位置20Aに向けて開閉部20が回転するとき、ヒンジ側固定部52は閉じ位置側(CCW方向)に回転する。その結果、ヒンジ側固定部52に係止された第2形状記憶合金部材32の駆動機構側固定部312がCCW方向に回転するので、第2形状記憶合金部材32には、コイル部材36をコイル軸線L0方向に引っ張る外力が加わる。従って、第2形状記憶合金部材32は、コイル部材36が延びて、
図5に示すように、直線部311を構成していた部分の一部が開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)に巻き付く形状に変形し、湾曲部314が形成される。つまり、閉じ方向に回転する開閉部20によって、第2形状記憶合金部材32が第1形態32Aに変形させられる。
【0045】
(開閉部が開く動作)
開閉部20が開く動作の際は、開閉部20が閉じる動作の際とは逆の変形が行われる。すなわち、
図5に示す閉じ位置20Aの状態で、第2形状記憶合金部材32が通電され、所定の温度まで昇温すると、コイル部材36が縮むため、第2形状記憶合金部材32の駆動機構側固定部312がCW方向に移動する。これにより、駆動機構側固定部312に固定されたヒンジ側固定部52を介して、開閉部20がCW方向に回転する。つまり、第2形状記憶合金部材32が縮むことにより、開閉部20の開き動作が行われる。開閉部20
が本体部10と180°の角度をなす位置まで回転したとき、第2形状記憶合金部材32は、
図6に示す第2形態32Bに変形している。
【0046】
図5に示す閉じ位置20Aから、
図6に示す開き位置20Bに向けて開閉部20が回転するとき、ヒンジ側固定部51は開き位置側(CW方向)に回転する。その結果、ヒンジ側固定部51に係止された第1形状記憶合金部材31の駆動機構側固定部312がCW方向に回転するので、第1形状記憶合金部材31には、コイル部材36をコイル軸線L0方向に引っ張る外力が加わる。従って、第1形状記憶合金部材31は、コイル部材36が延びて、直線部311を構成していた部分の一部が開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)に巻き付く形状に変形し、湾曲部314が形成される。つまり、開き方向に回転する開閉部20によって、第1形状記憶合金部材31が第1形態31Aに変形させられる。
【0047】
(作用効果)
以上のように、本形態の開閉装置1は、本体部10と、本体部10に対して本体部10の縁に沿って延在する回転軸線L回りに回転可能に連結される開閉部20と、開閉部20を回転させる駆動機構30と、を有し、駆動機構30は、本体部10および開閉部20に連結される第1形状記憶合金部材31を備える。第1形状記憶合金部材31は、所定の温度に昇温していない状態では、開閉部20が本体部10から回転した開き位置20Bに移動することによって第1形態31Aに変形させられる。また、第1形状記憶合金部材31は、通電によって所定の温度まで昇温すると、第1形態31Aから第2形態31Bに変形して、開閉部20を開き位置20Bから本体部10と重なる閉じ位置20Aに移動させる。
【0048】
このように、本形態では、第1形状記憶合金部材31に電流を流して熱を加えることで駆動機構30(閉じ方向駆動機構30A)を動作させることができるので、手で開閉部20を動かさずに開閉部20を閉じることができる。従って、携帯機器やそのカバーとして開閉装置1を用いた場合に、両手を使わずに携帯機器やカバーを閉じることができ、利便性が高い。
【0049】
本形態の開閉装置1は、開閉部20に設けられた第1ヒンジ部(開閉部側ヒンジ部44)と、本体部10に設けられた第2ヒンジ部(本体部側ヒンジ部41、42)とを備える。そして、第1形状記憶合金部材31の第2形態31Bは、開閉部側ヒンジ部44から本体部10に向かって延びる直線部311を備えた形態であり、第1形態31Aは、直線部311の一部が開閉部側ヒンジ部44の外周面に沿う湾曲状に変形した形態である。このように、開閉部側ヒンジ部44の外周側に第1形状記憶合金部材31を配置してヒンジ外周面に巻き付くように構成すると、第1形状記憶合金部材31の可動範囲を大きくすることができる。なお、本形態では、第1形状記憶合金部材31の湾曲部314は、開閉部側ヒンジ部44における円筒部47の外周面に設けられた第1溝53に配置されているが、第1溝53は円筒部47の外周側を向いているため、開閉部側ヒンジ部44の外周面は第1溝53を含むものとする。
【0050】
本形態では、開閉部側ヒンジ部44(第1ヒンジ部)の外周面に、第1形状記憶合金部材31が固定されるヒンジ側固定部51が設けられ、第1形状記憶合金部材31は、ヒンジ側固定部51に固定される駆動機構側固定部312を備える。また、第1形状記憶合金部材31の直線部311は、駆動機構側固定部312の両端から、ヒンジ側固定部51の両側において互いに接触しない状態で2本延びている。このように、ヒンジ側固定部51が2本の直線部311の間に配置されてスペーサとして機能しているため、直線部311同士が接触して短絡することを防止できる。また、2本の直線部311の端部を同じ側(本体部10の側)へ延ばすことができるため、2本の直線部311を同一の基板に接続して第1形状記憶合金部材31に電流を流すことができる。従って、第1形状記憶合金部材
31との接続用の端子を設けるにあたって、+側の端子と-側の端子を別の基板に設ける必要がないので、電流供給部33の構成を簡素化できる。
【0051】
本形態の第1形状記憶合金部材は、駆動機構側固定部312と2本の直線部311とがU字状に繋がるU字状部分313を備える形状であるから、U字状部分313を駆動機構側固定部312に掛けることによって駆動機構側固定部312をヒンジ側固定部51に係止することができる。従って、第1形状記憶合金部材31の固定が容易である。また、別部材を用いずに第1形状記憶合金部材31を固定できるため、部品点数を少なくすることができる。
【0052】
本形態の第1形状記憶合金部材31は、形状記憶合金ワイヤ35を螺旋状に巻いたコイル部材36である。そして、第1形態31Aは、コイル部材36がコイル軸線L0方向に延びた形態であり、第2形態31Bは、コイル部材36がコイル軸線L0方向に縮んだ形態である。このように、コイル形状の部材を伸縮させる構成とすれば、第1形状記憶合金部材31の長さを大きく変化させることができる。よって、省スペースでありながら、開閉部20の可動範囲を大きくすることができる。
【0053】
本形態の駆動機構30は、閉じ方向駆動機構30Aに加えて、開閉部20を閉じ位置20Aから開き位置20Bに移動させる開き方向駆動機構30Bを備える。開き方向駆動機構30Bは、本体部10および開閉部20に連結される第2形状記憶合金部材32を備えており、第2形状記憶合金部材32は、通電によって所定の温度まで昇温することによって変形して、開閉部20を閉じ位置20Aから開き位置に20Bに移動させる。このように、開き方向駆動機構30Bを設けたことにより、開閉部20を閉じる動作だけでなく、開く動作も駆動機構30に行わせることができる。よって、手で開閉部20を動かさずに開閉部20を開くことができる。従って、携帯機器やそのカバーとして開閉装置1を用いた場合に、両手を使わずに携帯機器やカバーを開くことができ、利便性が高い。
【0054】
本形態の駆動機構30は、第1形状記憶合金部材31が第1形態31Aから第2形態31Bに変形して、開閉部20を開き位置20Bから閉じ位置20Aに移動させるとき、第2形状記憶合金部材32は第2形態32Bから第1形態32Aに変形する。また、第2形状記憶合金部材32が第1形態32Aから第2形態32Bに変形して、開閉部20を閉じ位置20Aから開き位置20Bに移動させるとき、第1形状記憶合金部材31は第2形態31Bから第1形態31Aに変形する。従って、開閉部20を閉じる動作の際には、第2形状記憶合金部材32が延びる方向に変形させられるので、第2形状記憶合金部材32がダンパーの機能を果たす。また、開閉部20を開く動作の際には、第1形状記憶合金部材31が延びる方向に変形させられるので、第1形状記憶合金部材31がダンパーの機能を果たす。従って、開く動作と閉じる動作のどちらにおいても、開閉部20の動作スピードを遅くすることができる。よって、開閉部20が勢いよく開閉することを抑制でき、開閉部20の動作を滑らかにすることができる。
【0055】
(変形例)
(1)上記形態では、本体部10および開閉部20の回転軸線L方向の略中央に駆動機構30を設けているが、駆動機構30を設ける位置は適宜変更可能である。例えば、本体部10および開閉部20の回転軸線L方向の一方側L1の端部および他方側L2の端部の少なくとも一方の位置に、第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32をそれぞれ1つ以上設けることができる。このようにすると、開閉部20および本体部10によって全体として1つのディスプレイなどの表示部を構成する場合に、駆動機構と表示部とを干渉させることなく、表示部を配置できる範囲を大きくすることができる。
【0056】
(2)上記形態は、第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32をそれぞ
れ1つずつ設けて開閉部20を回転させるものであったが、第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32の数は変更可能である。例えば、開閉部20を回転させるための回転負荷が大きい場合には、第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32の数を多くすることができる。
【0057】
(3)上記形態では、ヒンジ側固定部51、52を開閉部側ヒンジ部44に設けているが、本体部側ヒンジ部41、42のいずれかにヒンジ側固定部51、52を設けてもよい。
【0059】
(5)上記形態では、第1形状記憶合金部材31および第2形状記憶合金部材32として、形状記憶合金ワイヤ35を螺旋状に巻いたコイル部材36を用いているが、他の形状としてもよい。例えば、形状記憶合金ワイヤ35が平面内でジグザグに屈曲した形態であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…開閉装置、10…本体部、11…切り欠き、20A…閉じ位置、20B…開き位置、20…開閉部、21…開閉部本体、30…駆動機構、30A…閉じ方向駆動機構、30B…開き方向駆動機構、31…第1形状記憶合金部材、31A…第1形態、31B…第2形態、32…第2形状記憶合金部材、32A…第1形態、32B…第2形態、33…電流供給部、34…操作部、35…形状記憶合金ワイヤ、36…コイル部材、40…ヒンジ機構、41、42…本体部側ヒンジ部、43、44、45…開閉部側ヒンジ部、46…ヒンジ軸、47…円筒部、48…連結部、51、52…ヒンジ側固定部、53…第1溝、54…連結溝、55…第2溝、56…連結溝、311…直線部、312…駆動機構側固定部、313…U字状部分、314…湾曲部、L…回転軸線、L0…コイル軸線