(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】宅配ロッカーシステム
(51)【国際特許分類】
A47G 29/122 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
A47G29/122 B
A47G29/122 C
(21)【出願番号】P 2018176441
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 亮介
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-092959(JP,A)
【文献】特開平06-263204(JP,A)
【文献】特開平06-022825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収容部を有して当該収容部への荷物の収容/取り出し操作を行う操作部、及び外部と通信する通信部を具備する宅配ロッカーと、宅配業者が所持して前記宅配ロッカーと通信する業者端末とを有する宅配ロッカーシステムであって、
前記宅配ロッカーは、個々の前記収容部が空或いは使用中の何れの状態であるかを記憶する状態記憶部と、
前記業者端末から空いている前記収容部の数の問い合わせが成されたら、前記状態記憶部から空き状態にある収容部数を読み取り、問い合わせ数以上あったら「有り」情報を返信し、無ければ「無し」情報を返信する応答制御部と、を
有し、
前記収容部はサイズの異なる複数種類で構成され、前記状態記憶部はサイズ毎に個々の前記収容部が空き或いは使用中の何れであるか記憶し、
前記業者端末からの空いている前記収容部数の問い合わせは、サイズ別に行うことができ、
前記応答制御部は、問い合わせを受けたサイズ毎に「有り」或いは「無し」の情報を返信することを特徴とする宅配ロッカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を収容する複数の収容部を備えた宅配ロッカーと宅配業者が所持する端末とが通信する機能を備えた宅配ロッカーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
宅配ロッカーに通信機能を設けて利用状況を外部から宅配業者が把握可能とし、届け先にある宅配ロッカーに空きがあるか確認できるシステムがある。
例えば、特許文献1では、ネットワーク上に配置したサーバが宅配ロッカーの使用状況を管理し、宅配業者がサーバにアクセスすることで配達先の宅配ボックスの空き情報を入手でき、空きがあったら予約することで再配達の防止に有効であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のシステムは、届け先の宅配ボックスの空き状況を知ることはできたが、収容部を予約する操作を前提としており、配達業者端末に表示される情報が複雑であるし、操作も単純ではなかった。そのため、特に宅配ロッカーを使用する荷物を複数抱えている場合、宅配業者の操作作業の負担が大きいものとなった。
また、宅配ロッカーの収容部のサイズ別の空き情報を入手することも可能であったが、使用中の収容部情報を含むため、空き数が必要数あるか入手した情報から計算しなければならず、確認し辛かった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、荷物を預け入れるのに必要な収容部を確保できるかどうか計算する必要の無い明瞭な情報を得ることができる宅配ロッカーシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、複数の収容部を有して当該収容部への荷物の収容/取り出し操作を行う操作部、及び外部と通信する通信部を具備する宅配ロッカーと、宅配業者が所持して宅配ロッカーと通信する業者端末とを有する宅配ロッカーシステムであって、宅配ロッカーは、個々の収容部が空或いは使用中の何れの状態であるかを記憶する状態記憶部と、業者端末から空いている収容部の数の問い合わせが成されたら、状態記憶部から空き状態にある収容部数を読み取り、問い合わせ数以上あったら「有り」情報を返信し、無ければ「無し」情報を返信する応答制御部と、を有し、収容部はサイズの異なる複数種類で構成され、状態記憶部はサイズ毎に個々の収容部が空き或いは使用中の何れであるか記憶し、業者端末からの空いている収容部数の問い合わせは、サイズ別に行うことができ、応答制御部は、問い合わせを受けたサイズ毎に「有り」或いは「無し」の情報を返信することを特徴とする。
この構成によれば、問い合わせに対して「有り」「無し」の2値情報で返信されるため、宅配ロッカーの状況を一目で把握でき、空き数を計算する必要が無く確認し易い。
【0007】
また、収容部の空き数の問い合わせはサイズ別に行うことができるため、「有り」「無し」の情報をサイズ別で入手できる。そのため、業者端末ではサイズ別に例えば「○」「×」で表示させることができ、サイズ別であっても状況を一目で把握できる。よって、従来のように、返信された収容部全体の情報から空き数を計算してサイズ別に必要数あるか判断する必要がなく、宅配業者は宅配ロッカーの状況を把握し易い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、問い合わせに対して「有り」「無し」の2値情報で返信されるため、宅配ロッカーの空き状況を把握し易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る宅配ロッカーシステムの一例を示す構成図である。
【
図3】携帯端末の表示を示し、(a)は問い合わせ内容を表示した画面、(b)は応答内容を表示した画面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る宅配ロッカーシステムの一例を示し、宅配ロッカー1と宅配業者が所持する携帯端末2とを有している。両者は通信ネットワークNを介して通信が行われる。
宅配ロッカー1は、荷物を収容する複数の収容部11、荷物の預け入れ/取り出しの際に操作する操作部12を備えている。
尚、
図1に示す宅配ロッカー1は、Sサイズ11a、Mサイズ11b、Lサイズ11c、XLサイズ11dの4種類のサイズの収容部を有して構成されている状態を示している。
【0011】
図2は宅配ロッカー1のブロック図であり、操作部12が一体に設けられた表示部13、荷物の宛先である受取人の通知先情報を記憶する利用者情報記憶部14、個々の収容部11が使用中であるか未使用の状態(空いている状態)であるかを記憶する状態記憶部15、外部と通信する宅配ロッカー通信部16、収容部11に設けられている電気錠18の制御、表示部13の制御、収容部11の状態を管理して状態記憶部15の書き換えを行い、更に外部との通信等を制御する宅配ロッカー制御部17等を備えている。
また、携帯端末2は、操作部を兼ねたディスプレイ2aを有し、送信する情報及び返信された情報がディスプレイ2aに表示される。
【0012】
上記の如く構成された宅配ロッカーシステムの動作は以下の様である。まず、宅配業者による宅配ロッカー1への荷物の預け入れ/取り出し操作を受けた動作を簡単に説明する。
宅配業者により操作部12が操作されて所定の預け入れ操作が成されると、空いている収容部11が表示部13に表示される。その中から選択した収容部11に荷物を収容し、荷物の受取人情報を利用者情報記憶部14から選択して入力すると、登録された受取人の通信先に荷物が届けられた情報が送信され、収容部11が施錠される。
こうして、送信された情報を基に、受取人により操作部12が操作されて所定の取り出し操作が成されると宅配ロッカー1から自身宛の荷物を取り出すことができる。
【0013】
次に、宅配業者が配達先の宅配ロッカー1の情報を入手する動作について説明する。
宅配業者は配達に先立ち、携帯端末2を操作して配達先の宅配ロッカー1と通信し、問い合わせが行われる。
【0014】
尚、通信相手の宅配ロッカー1のURL情報或いは電話番号情報等は、携帯端末2に複数登録されており、配達先となる宅配ロッカー1がその中から選択されて問い合わせが行われる。また、宅配ロッカー制御部17は、上記預け入れ/取り出し操作を受ける度に、状態記憶部15の書き換えを行い、使用中の収容部情報、未使用の収容部情報を最新の数字に変更する。
【0015】
携帯端末2からの問い合わせは、通信ネットワークNを介して送信され、例えば電話回線を使用したSMS(Short Message Service)で行われる。問い合わせ信号を受信した宅配ロッカー1は、宅配ロッカー制御部17の制御により、自身が備えている収容部11のサイズ構成を返信する。この情報を受信した携帯端末2にはサイズ一覧が表示され、宅配業者はその中から荷物を預け入れるのに必要なサイズを選択し、合わせてサイズ毎の収容部11の数が必要数あるか問い合わせを行う。
【0016】
例えば、上述したように宅配ロッカーの収容部11には、Sサイズ11a,Mサイズ11b,Lサイズ11c,XLサイズ11dの各サイズがあり、その情報が宅配ロッカー1から最初に返信される。この情報を受けて、例えば預け入れたい荷物が、Sサイズが2つ、Mサイズが1つ、Lサイズが2つある場合、そのサイズと個数が入力されて送信される。
図3(a)は、この問い合わせ内容を表示した携帯端末2のディスプレイ2aを示している。このように、問い合わせの送信フォーマットは、アプリケーションにより設定されており、記入欄にサイズと必要数を交互に記入する簡易な操作で済むよう構成されている。
【0017】
この問い合わせに対して、宅配ロッカー制御部17は、問い合わせを受けた個々のサイズに対して、状態記憶部15から個々のサイズの状況を読み取り返信する。このとき、指定されたサイズの収容部11に要求数の空きがあったら、「有り」を示す信号が返信され、空きがない或いは必要数には足りない場合は「無し」を示す信号が返信される。
この返信を受けて、携帯端末2には、例えば、Sサイズ「○」、Mサイズ「×」、Lサイズ「○」と表示される。
図3(b)は、この応答内容を表示した携帯端末2のディスプレイ2aを示している。こうして、配達に先立ち配達先の宅配ロッカー1の状況を把握できる。
【0018】
このように、問い合わせに対して「有り」「無し」の2値情報で返信されるため、宅配ロッカー1の状況を一目で把握でき、空き数を計算する必要が無く確認し易い。
そして、収容部11の空き数の問い合わせはサイズ別に行うことができるため、「有り」「無し」の情報をサイズ別で入手できる。そのため、例えば携帯端末2ではサイズ別に「○」「×」等で表示させることができ、状況を一目で把握できる。よって、従来のように、返信された収容部11全体の情報から空き数を計算してサイズ別に必要数あるか判断する必要がなく、宅配業者は宅配ロッカーの状況を把握し易い。
【0019】
尚、上記実施形態は、宅配ロッカー1と携帯端末2との通信は、電話番号を使用したSMSによるメールで実施しているが、インターネットを利用して通信しても良い。また、携帯端末2には、応答が「○」「×」で表示されるが、「有り」「無し」で表示しても良い。
【符号の説明】
【0020】
1・・宅配ロッカー、2・・携帯端末(業者端末)、11・・収容部、12・・操作部、13・・表示部、15・・状態記憶部、16・・宅配ロッカー通信部(通信部)、宅配ロッカー制御部(応答制御部)。