IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本特殊陶業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ガスセンサ 図1
  • 特許-ガスセンサ 図2
  • 特許-ガスセンサ 図3
  • 特許-ガスセンサ 図4
  • 特許-ガスセンサ 図5
  • 特許-ガスセンサ 図6
  • 特許-ガスセンサ 図7
  • 特許-ガスセンサ 図8
  • 特許-ガスセンサ 図9
  • 特許-ガスセンサ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20220930BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
G01N27/409 100
G01N27/416 331
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018178400
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020051769
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】三原 俊哉
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-227524(JP,A)
【文献】実開平05-069672(JP,U)
【文献】特開2018-081037(JP,A)
【文献】特開2016-017895(JP,A)
【文献】特開平11-190717(JP,A)
【文献】特開2018-009958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0370877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/409
G01N 27/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延び、後端側の表面に電極部を有するセンサ素子と、
前記軸線方向に延び、前記電極部に電気的に接続される複数個の端子金具と、
前記端子金具を保持すると共に、前記センサ素子の後端側に配置される筒状のセパレータと、
前記端子金具の後端側に接続されて前記セパレータの後端側へ引き出されるリード線と、
を備えたガスセンサであって、
前記端子金具は、先端側から順に、前記電極部に直接又は間接的に接続される第1部と、筒状又は筒の一部をなす本体部と、前記リード線に直接又は間接的に接続される第2部と、前記本体部と前記第2部とを繋ぐ頸部と、を一体に有し、
前記頸部の外面は、後端側に向かうにつれて径方向内側に向かう第1テーパ面を形成し、
前記セパレータは、前記本体部の全周を包囲する大径孔部と、前記大径孔部よりも後端側に位置して前記第2部の全周を包囲し前記大径孔部よりも小径の小径孔部と、を備え、
前記大径孔部と前記小径孔部は複数個形成されて、それぞれ1個の前記端子金具を収容し、
前記大径孔部と前記小径孔部とを繋ぐ前記セパレータの内面には、前記第1テーパ面を係止し、後端側に向かうにつれて径方向内側に向かう第2テーパ面が形成されてなることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記第1テーパ面と前記第2テーパ面との接触部において、前記第1テーパ面と前記本体部の軸とのなす角である第1テーパ角θ1は、前記第2テーパ面と前記本体部の軸とのなす角である第2テーパ角θ2以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記第2テーパ面は、前記セパレータの内面の全周に延びる円錐台状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記第2部は、前記リード線を加締め接続する加締め部を形成し、
前記加締め部の前記径方向における最大幅D3が、前記本体部最大幅D1よりも狭いことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項5】
マルチガスセンサを構成することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記第1テーパ面は、全周の1/2以上に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出ガスの濃度を検出するセンサ素子を備えたガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の排気ガス中の酸素やNOxの濃度を検出するガスセンサとして、固体電解質を用いた板状のセンサ素子を有するものが知られている。
この種のガスセンサとして、板状のセンサ素子の後端側外表面に複数の電極部(電極パッド)を設け、この電極部のそれぞれに端子金具を電気的に接触させてセンサ素子からのセンサ出力信号を外部に取り出したり、センサ素子に積層されたヒータに給電するものが広く用いられている(特許文献1)。
【0003】
図9に示すように、特許文献1のガスセンサにおいて、端子金具は、先端側端子金具200と、先端側端子金具200の後端に接続される後端側端子金具220とを備えた2分割タイプの端子金具である。そして、各端子金具200、220はそれぞれセパレータ230,240に保持され、先端側端子金具200と後端側端子金具220とを接続する際、各セパレータ230,240も接続される。
先端側端子金具200は、センサ素子300の電極部300pに接続される。又、後端側端子金具220の後端側にはリード線250が加締め接続されている。
ここで、後端側端子金具220は略円筒状をなし、最大径をなす中央部221の後端縁221eを、セパレータ240の挿通孔240h内の段部240Sに係止して後端側への抜けを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-9958号公報(図1図11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図10に示すように、セラミック等からなるセパレータ240の加工上の問題から、セパレータ240の挿通孔240h内に水平な段部240Sを設けようとすると、段部240Sの主面となる水平部240S1の他、水平部240s1の径方向両端にそれぞれ曲面状又はテーパ状の面取り部240R1、240R2を設けて挿通孔240hと接続する必要がある。
このため、段部240Sの径方向の全体長さは、後端側端子金具220を実質的に係止する水平部240S1の長さに加えて、面取り部240R1、240R2の径方向の長さが余分に必要となって挿通孔240hが大きくなる分、セパレータ240の大型化を招いたり、同一大きさのセパレータ240に設けられる挿通孔240h、つまり端子金具の個数が制限されるという問題がある。特に、電極部300pの数が多いNOxセンサ素子(通常6個)や、マルチガスセンサ(通常8個)の場合に、セパレータ240に多数の挿通孔240hを設ける必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、セパレータの内部に端子金具を省スペースで保持することができ、セパレータの小型化や、セパレータへの端子金具の保持個数を増大することができるガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のガスセンサは、軸線方向に延び、後端側の表面に電極部を有するセンサ素子と、前記軸線方向に延び、前記電極部に電気的に接続される複数個の端子金具と、前記端子金具を保持すると共に、前記センサ素子の後端側に配置される筒状のセパレータと、前記端子金具の後端側に接続されて前記セパレータの後端側へ引き出されるリード線と、を備えたガスセンサであって、前記端子金具は、先端側から順に、前記電極部に直接又は間接的に接続される第1部と、筒状又は筒の一部をなす本体部と、前記リード線に直接又は間接的に接続される第2部と、前記本体部と前記第2部とを繋ぐ頸部と、を一体に有し、前記頸部の外面は、後端側に向かうにつれて径方向内側に向かう第1テーパ面を形成し、前記セパレータは、前記本体部の全周を包囲する大径孔部と、前記大径孔部よりも後端側に位置して前記第2部の全周を包囲し前記大径孔部よりも小径の小径孔部と、を備え、前記大径孔部と前記小径孔部は複数個形成されて、それぞれ1個の前記端子金具を収容し、前記大径孔部と前記小径孔部とを繋ぐ前記セパレータの内面には、前記第1テーパ面を係止し、後端側に向かうにつれて径方向内側に向かう第2テーパ面が形成されてなることを特徴とする。
【0008】
セパレータの挿通孔に水平な(径方向に延びる)段部を設けて端子金具を係止しようとすると、セラミック等からなるセパレータの加工上の問題から、水平部の他、水平部の両端に曲面状又はテーパ状の面取り部を設けて挿通孔と接続する必要があり、挿通孔ひいてはセパレータが大型化してしまう。
これに対し、このガスセンサによれば、セパレータに設けた第2テーパ面にて端子金具を係止することで、水平な段部を設ける場合に比べ、セパレータの内部に端子金具を省スペースで保持することができ、セパレータの小型化や、セパレータへの端子金具の保持個数を増大することができる。
【0009】
本発明のガスセンサにおいて、前記第1テーパ面と前記第2テーパ面との接触部において、前記第1テーパ面と前記本体部の軸とのなす角である第1テーパ角θ1は、前記第2テーパ面と前記本体部の軸とのなす角である第2テーパ角θ2以下であってもよい。
このガスセンサによれば、θ1<θ2の場合に比べ、端子金具がセパレータの後端側へ抜けることをより確実に防止できる。
【0010】
本発明のガスセンサにおいて、前記第2テーパ面は、前記セパレータの内面の全周に延びる円錐台状に形成されていてもよい。
このガスセンサによれば、第2テーパ面が軸周りに回転対称であるので、端子金具の軸周りの向きを特定方向に決めなくても、端子金具をセパレータの挿通孔に挿通することができ、端子金具の軸周りの位置合わせが不要になって生産性が向上する。
【0011】
本発明のガスセンサにおいて、前記第2部は、前記リード線を加締め接続する加締め部を形成し、前記加締め部の前記径方向における最大幅D3が、前記本体部最大幅D1よりも狭くてもよい。
このガスセンサによれば、頸部が後端に向かって径方向内側へ傾いていることを利用して、第2部が本体部の軸心により近づくので、リード線をセパレータの挿通孔からよりスムースに引き出すことができる。
【0012】
本発明のガスセンサがマルチガスセンサを構成してもよい。
マルチガスセンサは電極部の数が多いので、本発明がさらに有効となる。
【0013】
本発明のガスセンサにおいて、前記第1テーパ面は、全周の1/2以上に設けられていてもよい。
このガスセンサによれば、第1テーパ面を含む頸部の強度が向上する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、セパレータの内部に端子金具を省スペースで保持することができ、セパレータの小型化や、セパレータへの端子金具の保持個数を増大することができるガスセンサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るガスセンサの軸線方向に沿う断面図である。
図2】先端側端子金具を先端側セパレータに保持する態様を示す図である。
図3】後端側端子金具の斜視図である。
図4】後端側端子金具を後端側セパレータに保持する態様を示す図である。
図5】先端側セパレータと後端側セパレータの組み付けを示す工程図である。
図6】後端側端子金具が後端側セパレータに係止される態様を示す部分断面図である。
図7】後端側セパレータの第2テーパ面を、従来のセパレータの段部と対比した部分断面図である。
図8図6において、第1テーパ角θ1と第2テーパ角θ2が等しい場合を示す部分断面図である。
図9】従来の端子金具がセパレータに係止に係止される態様を示す図である。
図10】従来のセパレータの段部を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るガスセンサ(NOxセンサ)1の軸線O方向に沿う全体断面図、図2は先端側端子金具20,30を先端側セパレータ90に保持する態様を示す図、図3は後端側端子金具40の斜視図、図4は端側端子金具40を後端側セパレータ95に保持する態様を示す図、図5は先端側セパレータ90と後端側セパレータ95の組み付けを示す工程図である。
このガスセンサ1は、自動車や各種内燃機関の排気ガス中の酸素濃度を検出するNOxセンサである。
【0017】
図1において、ガスセンサ1は、排気管に固定されるためのねじ部139が外表面に形成された筒状の主体金具138と、軸線O方向(ガスセンサ1の長手方向:図中上下方向)に延びる板状形状をなすセンサ素子10と、センサ素子10の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ106と、自身の先端側の内部空間に、センサ素子10の後端部の周囲を取り囲む状態で配置されるセラミック製筒状の先端側セパレータ90と、先端側セパレータ90を軸線O方向に貫通する挿通孔90hに挿通されて保持される6個の先端側端子金具20、30(図1では、4個のみを図示)と、セラミック製筒状の後端側セパレータ95と、後端側セパレータ95に保持される6個の後端側端子金具40(図1では、2個のみを図示)と、を備えている。
又、後述するように、後端側セパレータ95は、先端側セパレータ90の後端側に接して配置され、互いに接続されている。
先端側端子金具20、30と、後端側端子金具40とはそれぞれ先端側と後端側に配置されて互いに接続されている。後端側端子金具40、後端側セパレータ95がそれぞれ「特許請求の範囲の「端子金具」、「セパレータ」に相当する。
【0018】
なお、図1に示すように、先端側セパレータ90に保持された各先端側端子金具20、30がセンサ素子10の後端側の外表面に対向し、この外表面に形成された電極部(電極パッド)11aに電気的に接続される。
また、電極部11aは、センサ素子10の後端側の両面にそれぞれ幅方向に3つ並んでいる。各電極部11aは、例えばPtを主体とする焼結体として形成することができる。
一方、センサ素子10の先端のガス検出部11は、アルミナ等の多孔質保護層14で覆われている。
【0019】
主体金具138は、ステンレスから構成され、軸線方向に貫通する貫通孔154を有し、貫通孔154の径方向内側に突出する棚部152を有する略筒状形状に構成されている。この貫通孔154には、センサ素子10の先端部を自身の先端よりも突出させるように当該センサ素子10が配置されている。さらに、棚部152は、軸線方向に垂直な平面に対して傾きを有する内向きのテーパ面として形成されている。
【0020】
なお、主体金具138の貫通孔154の内部には、センサ素子10の径方向周囲を取り囲む状態で略環状形状のアルミナ製のセラミックホルダ151、粉末充填層153(以下、滑石リング153ともいう)、および上述のセラミックスリーブ106がこの順に先端側から後端側にかけて積層されている。
また、セラミックスリーブ106と主体金具138の後端部140との間には、加締めパッキン157が配置されている。なお、主体金具138の後端部140は、加締めパッキン157を介してセラミックスリーブ106を先端側に押し付けるように、加締められている。
【0021】
一方、図1に示すように、主体金具138の先端側(図1における下方)外周には、センサ素子10の突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有する金属製(例えば、ステンレスなど)二重のプロテクタである、外部プロテクタ142および内部プロテクタ143が溶接等によって取り付けられている。
【0022】
主体金具138の後端側外周には、外筒144が固定されている。また、後端側端子金具40の後端側にはそれぞれリード線146が接続され、リード線146は後端側セパレータ95の後端側へ引き出されている。
そして、外筒144の後端側(図1における上方)の開口部には、後端側セパレータ95から引き出された6本のリード線146(図1では2本のみを表示)が挿通されるリード線挿通孔170hが形成された、ゴム製のグロメット170が配置されている。
【0023】
また、主体金具138の後端部140より突出されたセンサ素子10の後端側(図1における上方)には、先端側セパレータ90が配置され、外表面から径方向外側に突出する鍔部90pが備えられている。先端側セパレータ90は、鍔部90pが保持部材169を介して外筒144に当接することで、外筒144の内部に保持される。
又、グロメット170と先端側セパレータ90の間に後端側セパレータ95が配置され、グロメット170の弾性力により後端側セパレータ95が先端側セパレータ90を先端側へ押圧する。これにより、鍔部90pが保持部材169側へ押し付けられ、先端側セパレータ90及び後端側セパレータ95は、外筒144の内部に互いに接続された状態で(つまり、軸線O方向に分離せずに)保持されている。
【0024】
図2は先端側端子金具20、30を先端側セパレータ90に保持する態様を示す。本実施形態では2つの種類の先端側端子金具20、30が用いられる。
なお、4本の先端側端子金具30はいずれも先端側セパレータ90内で隣接する先端側端子金具30同士が線対称の形状であるため、このうち、1本の先端側端子金具30(図2の左上の位置)のみ図示している。
又、2本の先端側端子金具20はいずれも先端側セパレータ90内で対向する先端側端子金具20同士が線対称の形状であるため、このうち、1本の先端側端子金具20(図2の上の位置)のみ図示している。なお、先端側端子金具20は、センサ素子10の幅方向に沿って2本の先端側端子金具30の間に位置する。
【0025】
図2に示すように、先端側端子金具20は全体として軸線O方向に延び、後端側端子金具40に接続される接続部23と、接続部23の先端側に繋がる略板状の本体部21と、本体部21の先端側でセンサ素子10に向かって折り返される弾性部22と、を一体に備えている。
接続部23は断面C字の円筒状をなし、この筒内に、先端が断面C字の円筒状の後端側端子金具40が嵌挿されて接続されている。この場合、先端側端子金具20は後端側端子金具40を介してリード線146に間接的に接続されることとなる。
本体部21は先端側セパレータ90に保持される。
弾性部22は、本体部21の先端からセンサ素子10に向かって後端側へ折り返され、電極部11a(図1参照)に弾性的に接続する。
【0026】
同様に、先端側端子金具30は全体として軸線O方向に延び、後端側端子金具40に接続される接続部33と、接続部23の先端側に繋がる略板状の本体部31と、本体部31の先端側でセンサ素子10に向かって折り返される弾性部32と、を一体に備えている。
接続部33は、接続部23と同様な円筒状をなし、接続部23と同様、自身の筒内に後端側端子金具40が嵌挿されて接続されている。
本体部31は断面L字状になっていて、先端側セパレータ90に保持される。又、本体部31の後端側に接続部33が一体に接続されている。
弾性部32は、本体部31の先端からセンサ素子10に向かって後端側へ折り返され、電極部11a(図1参照)に弾性的に接続する。
【0027】
そして、先端側端子金具20、30が先端側セパレータ90内に保持された状態で、接続部23、33が先端側セパレータ90の後端側へ突出するようになっている(図2(b))。
なお、先端側端子金具20、30は、例えば1枚の金属板(インコネル(登録商標)等)を打ち抜いた後、所定形状に折り曲げて製造することができるが、これに限定されない。
【0028】
一方、図3に示すように、後端側端子金具40は全体として軸線O方向に延び、リード線146に接続される圧着端子部47と、圧着端子部47の先端側に繋がる略板状の頸部41と、頸部41の先端側に繋がり板を断面C字状に折り曲げた円筒状の径大部45と、径大部45の先端側に繋がり板を断面C字状に折り曲げた円筒状の先端部43と、を一体に備えている。
後端側端子金具40は、例えば1枚の金属板(SUS304等)を打ち抜いた後、所定形状に折り曲げて製造することができるが、これに限定されない。
先端部43、径大部45、圧着端子部47がそれぞれ特許請求の範囲の「第1部」、「本体部」、「第2部」に相当する。
【0029】
圧着端子部47は、リード線146の先端の被覆を剥いて露出させた導線146wを挟み込み、圧着することで筒状に導線146wを把持する。
先端部43は円筒状をなし、先端に向かって尖っている。そして、接続部23、33の筒内に、先端部43が嵌挿され、後端側端子金具40が先端側端子金具20、30と電気的に接続されるようになっている。
径大部45は、圧着端子部47及び先端部43よりも径大であり、径大部45の後端向き面45eが圧着端子部47よりも径方向外側に露出している。
【0030】
一方、図4に示すように、後端側セパレータ95は周方向に並ぶ6個の挿通孔95hを有している。挿通孔95hは先端F側が径大な大径孔部95h1となり、軸線O方向中央近傍でテーパ状に縮径しており、大径孔部95h1よりも小径の小径孔部95h2に繋がっている。そして、この縮径部は、後端側に向かうにつれて径方向内側に向かう(後端側に向かって窄まる)第2テーパ面95tを形成している(図4(a))。
又、後端側セパレータ95の先端向き面の外周側には、センサ素子10の幅方向に沿って突出する2つの凸部95pが形成されている。凸部95pは、先端側セパレータ90の凹部90r(図5)と係合するようになっている。
【0031】
そして、挿通孔95hの先端側に予めリード線146を通し、後端側セパレータ95の先端側でリード線146を後端側端子金具40に接続しておく。次に、挿通孔95hに先端F側から後端側端子金具40のリード線146側の一部を挿通してリード線146を後端側へ引き出すと、後述する後端側端子金具40の第1テーパ面41tが、第2テーパ面95tに当接して後端側端子金具40の後端側への抜けを防止し、後端側端子金具40が後端側セパレータ95内に保持される(図4(b))。
このとき、後端側端子金具40の先端部43の先端側(先端部43の軸線O方向中央より先端側)が後端側セパレータ95の先端向き面よりも突出している。
又、径大部45の外径は大径孔部95h1の内径よりわずかに小さく、大径孔部95h1が径大部45の少なくとも一部を包囲すると共に大径孔部95h1と係合し、後端側端子金具40を後端側セパレータ95内に保持する。
又、小径孔部95h2は、圧着端子部47の少なくとも一部を包囲するが、圧着端子部47と係合せずに離間している。
【0032】
そして、図5に示すように、それぞれ先端側セパレータ90、後端側セパレータ95に各端子金具20,30、40を保持した状態で、軸線O方向に先端側セパレータ90の凹部90rに後端側セパレータ95の凸部95pを係合させ、図示しない保持部材169とグロメット170との間に、先端側セパレータ90と後端側セパレータ95を挟んで保持することで、先端側セパレータ90と後端側セパレータ95とが互いに接続される(図5(b))。
このとき、先端側セパレータ90の後端側に突出した先端側端子金具20の接続部23に、後端側セパレータ95の先端側に突出した後端側端子金具40の先端部43が嵌挿され、両端子金具が接続される。同様に、図示はしないが、先端側セパレータ90の後端側に突出した先端側端子金具30の接続部33に、後端側セパレータ95の先端側に突出した後端側端子金具40の先端部43が嵌挿され、両端子金具が接続される。
【0033】
次に、図6図7を参照し、本発明の特徴部分である、第1テーパ面41t及び第2テーパ面95tについて説明する。
本発明においては、頸部41の外面は、後端側に向かうにつれて径方向内側に向かう(後端側に向かって窄まる)第1テーパ面41tを形成し、この第1テーパ面41tが後端側セパレータ95の第2テーパ面95tに係止される。
いま、図7に示すように、第2テーパ面95tの径方向の(水平方向の)長さをL1とする。この長さL1は、後端側セパレータ95の大径孔部95h1に配置される径大部45の寸法誤差や大径孔部95h1との隙間による、端子金具40の径方向へのブレ量Shを考慮し、このブレ量Shだけブレても、第1テーパ面41tが第2テーパ面95tに確実に当接するように設定される。
【0034】
一方、図7の破線に示すように、仮に後端側セパレータ95に先端側に向く段部95Dを設けた場合、図10で述べたように、後端側端子金具40を係止するため、水平部として同様にブレ量Shを考慮した長さL1に加え、水平部の両端に面取り部が必要となり、段部95Dの径方向の全長L2は、L1より大きくなる。
【0035】
このように、後端側セパレータ95に第2テーパ面95tを設けることで、水平な段部を設ける場合に比べ、後端側セパレータ95の内部に後端側端子金具40を省スペースで保持することができ、後端側セパレータ95の小型化や、後端側セパレータ95への後端側端子金具40の保持個数を増大することができる。
特に、電極部の数が多いNOxセンサ素子や、マルチガスセンサの場合に、本発明がさらに有効となる。
具体的に述べると、図7の破線に示すように、仮に後端側セパレータ95に先端側に向く水平な長さ0.1mmの段部95Dを設ける場合、面取り部が径方向に0.2mm以上必要となり、大径孔部95h1と小径孔部95h2の径差が、片側の段部だけで0.3mm以上、両側の段部で0.6mm以上必要となってしまう。これに対し、本発明では面取り部が不要となり、上記径差を片側で0.3mm未満、両側で0.6mm未満とすることができる。
【0036】
また、後端側端子金具40のうち第2テーパ面95tに係止される部位を、第1テーパ面41tとすることで、径方向(水平方向)の端面である径大部45の後端向き面45eを第2テーパ面95tに係止する場合に比べ、第2テーパ面95tとの接触面積が増え、より確実に係止を行うことができる。
【0037】
又、本実施形態では、図4に示すように、第2テーパ面95tは、後端側セパレータ95の内面の全周に延びる円錐台状に形成されている。
このようにすると、第2テーパ面95tが軸周りに回転対称であるので、後端側端子金具40の軸周りの向きを特定方向に決めなくても、後端側端子金具40を後端側セパレータ95の挿通孔95hに挿通することができ、後端側端子金具40の軸周りの位置合わせが不要になって生産性が向上する。
【0038】
又、本実施形態では、図6に示すように、第1テーパ面41tと第2テーパ面95tとの接触部Pにおいて、第1テーパ面41tと径大部45の軸AXとのなす角である第1テーパ角θ1は、第2テーパ面95tと軸AXとのなす角である第2テーパ角θ2以下である。
このようにすると、θ1>θ2の場合に比べ、端子金具がセパレータの後端側へ抜けることをより確実に防止できる。
なお、軸AXに沿う断面で見たとき、第1テーパ面41t及び/又は第2テーパ面95tが曲線の場合、接触部Pにおけるテーパ面の接線と軸AXとのなす角をテーパ角とみなす。
又、図8に示すように、図6において、第1テーパ角θ1と第2テーパ角θ2が等しくてもよい。このようにすると、第1テーパ面41tと第2テーパ面95tとの接触面積が増え、端子金具がセパレータの後端側へ抜けることをより確実に防止できる。
【0039】
又、本実施形態では、図6に示すように、圧着端子部47は、リード線146を加締め接続する加締め部を形成し、圧着端子部47の径方向における最大幅D3が、径大部45の最大幅D1よりも狭い。
このようにすると、頸部41が後端に向かって径方向内側へ傾いていることを利用して、圧着端子部47が径大部45の軸心により近づくので、リード線146を後端側セパレータ95の挿通孔95hからよりスムースに引き出すことができる。
又、第1テーパ面41tは、第1テーパ面41tが接続される径大部45の全周の1/2以上に設けられているとよい。このようにすると、第1テーパ面41tを含む頸部41の強度が向上する。頸部41の強度を向上させる観点からは、第1テーパ面41tが周方向に大きい(広い)方が良いが、全周に第1テーパ面41tを設けるのは製造が困難なため、径大部45の全周の2/3以下であるとより好ましい。
【0040】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
【0041】
端子金具やセパレータの形状等は上記実施形態に限定されない。又、端子金具を先端側と後端側に分離しない一体の構成としてもよい。
後端側端子金具と、先端側端子金具との接続(連結)構造は上記に限られず、例えば先端側端子金具の後端側を雄ピン形状として、この雄ピンを後端側端子金具の先端側の筒状部に嵌挿するようにしてもよい。
先端側端子金具の後端側や後端側端子金具の先端側を筒状にする場合、円筒に限らず、四角筒等の角筒でもよい。又、筒は完全に閉じられずに、筒の少なくとも一部(例えばC字)であってもよい。又、先端側端子金具又は後端側端子金具の一方の筒を、円柱又はその一部をなす形態としてもよい。
【0042】
又、ガスセンサとしては、NOxセンサの他、酸素センサ、全領域ガスセンサ、マルチガスセンサが挙げられる。
マルチガスセンサとしては、NOxセンサ素子の表面にアンモニアセンサ部を設けて、NOx及びアンモニア濃度を測定可能な構成が挙げられる(例えば、特開2018-81037号公報に記載の構成)。
【符号の説明】
【0043】
1 ガスセンサ
10 センサ素子
11a 電極部
40 端子金具(後端側端子金具)
41 頸部
41t 第1テーパ面
43 第1部(先端部)
45 本体部(径大部)
47 第2部(圧着端子部)
95 セパレータ(後端側セパレータ)
95h1 大径孔部
95h2 小径孔部
95t 第2テーパ面
146 リード線
O 軸線
AX 本体部の軸
P 第1テーパ面と第2テーパ面との接触部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10