(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】航空機床を適合させるための装置及び関連方法
(51)【国際特許分類】
B64C 1/18 20060101AFI20220930BHJP
B64C 1/00 20060101ALN20220930BHJP
【FI】
B64C1/18
B64C1/00 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018209572
(22)【出願日】2018-11-07
【審査請求日】2021-10-27
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・アール・グレーザー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・シー・ウィテンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】デミ・エー・コーレン
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0218989(US,A1)
【文献】米国特許第6051133(US,A)
【文献】特開2010-137845(JP,A)
【文献】特表2015-525173(JP,A)
【文献】米国特許第5517895(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/18
B64C 1/00
B64C 1/06
B64C 1/20
B64C 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床梁と、
前記床梁に連結されたシートトラックと、
前記シートトラックの少なくとも一部分と前記床梁の少なくとも一部分とに連結されたキャップであって、前記床梁及び前記シートトラックの上に配置された前記キャップと
を備える、床。
【請求項2】
床パネルを更に備え、前記床パネル及び前記キャップが、荷重を受ける前記床の表面を形成する、請求項1に記載の床。
【請求項3】
前記キャップが、前記キャップに画定された空隙部(316、1008、1310)を含み、前記空隙部が取付具を受け入れる、請求項1又は2に記載の床。
【請求項4】
前記取付具が前記キャップに取り外し可能に連結される、請求項3に記載の床。
【請求項5】
前記キャップ及び前記床梁が、航空機の胴体(102)に対して短手方向に延びる、請求項1から4のいずれか一項に記載の床。
【請求項6】
前記キャップが連結具を介して前記床梁に連結され、前記連結具が前記キャップと前記床梁との間に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の床。
【請求項7】
前記床が航空機内にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の床。
【請求項8】
床の第1の床パネルを除去するステップと、
キャップを前記床のシートトラックに連結するステップであって、前記キャップが、前記シートトラックの少なくとも一部分の上に延びる、ステップと、
第2の床パネルを前記キャップと整合させるステップであって、前記第2の床パネルが前記シートトラックの上に配置される、ステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記キャップを前記床の床梁に連結するステップを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
積荷取付具を前記キャップに連結するステップを更に含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記キャップに画定された溝を前記シートトラックと整合させるステップを更に含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第1の床パネルを除去するステップが、航空機における床の第1のパネルを除去することを含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、航空機床に関し、より詳細には、航空機床を適合させるための装置及び関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
旅客機は、旅客機としての運転寿命を全うした後に、貨物輸送機又は貨物航空機に改造される場合がある。貨物輸送機への旅客機の改造は、旅客機のメインデッキ床を改良して積荷荷重を支持することを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
航空機の例示的な床は、床梁と、シートトラックと、シートトラックに連結されたキャップとを含む。キャップは、シートトラック及び床梁の上に配置される。例示的な床は、キャップと整合された床パネルを含む。例示的な床は、床梁と、床に連結されたシートトラックとを含む。例示的な床は、シートトラックの少なくとも一部分と床梁の少なくとも一部分とに連結されたキャップであって、床梁及びシートトラックの上に配置されたキャップを含む。
【0004】
例示的な方法は、航空機の床の第1の床パネルを除去するステップを含む。例示的な方法は、キャップを床のシートトラックに連結するステップを含む。キャップは、シートトラックの少なくとも一部分の上に延びる。例示的な方法は、第2の床パネルをキャップと整合させるステップを含む。第2の床パネルは、シートトラックの上に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本明細書に開示する例が実施され得る例示的な航空機である。
【
図2】
図2は、先行技術において公知の例示的な貨物輸送機床の部分斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の教示による第1の例示的な貨物輸送機床の部分斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の例示的な貨物輸送機床のキャップのうちの1つ及び床梁のうちの1つの上部正面斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4のキャップ及び床梁の一部分の部分斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、
図3の床梁のうちの1つ及びシートトラックのうちの1つの上に延びる
図4~
図6の例示的なキャップの部分斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、
図7Aの線7-7に沿って切った、例示的なキャップ、例示的なシートトラック、及び例示的な床梁の断面図である。
【
図8】
図8は、
図3の床梁のうちの1つ及びシートトラックのうちの1つの上に延びる
図4~
図7Bの例示的なキャップの側面図である。
【
図9】
図9は、
図8の床梁に連結された
図8の例示的なキャップの床梁連結具を示す部分側面図である。
【
図10】
図10は、本開示の教示による第2の例示的な貨物輸送機床の部分斜視図である。
【
図11】
図11は、
図10のシートトラックのうちの1つ及び床梁のうちの1つの上に延びる
図10の例示的なキャップのうちの1つの部分斜視図である。
【
図13】
図13は、本開示の教示による例示的なオーバーウイング床の部分斜視図である。
【
図14】
図14は、
図13のシートトラックのうちの1つ及び床梁のうちの1つの上に延びる
図13の例示的な肋間部材のうちの1つの部分図である。
【
図17】
図17は、貨物輸送機床により支持された例示的なローラートレイを示す、本明細書に開示する教示による例示的な貨物輸送機床の部分側面図である。
【
図18】
図18は、旅客機床を貨物輸送機床に改造する例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図は原寸に比例したものではない。概して、同じ又は類似の部分を指すように、図面及び添付の明細書全体を通して同じ参照番号が使用される。
【0007】
航空機は、旅客機としての運航期間の後に、貨物航空機又は貨物輸送機に改造される場合がある。通常、貨物輸送機荷重は乗客荷重よりも重いので、貨物輸送機への旅客機の改造は、航空機が航空機のメインデッキ内のより重い荷重を支持することを可能にするための、航空機の1つ又は複数の構成要素の構造的な改良(例えば、交換、補強)を含み得る。積荷荷重を支持するために改良を必要とし得る旅客機の例示的な構成要素は、航空機のメインデッキの床と、航空機の外板が取り付けられる航空機の縦通材とを含む。
【0008】
図1は、本明細書に開示する例が実施され得る例示的な航空機100である。例示的な航空機100は、胴体102と翼104とを含む。旅客機としての航空機100の使用の際に、乗客の荷物などの積荷は胴体102の下部デッキ106内に格納され、その一方で、乗客及び運航乗員は胴体102のメインデッキ108内に位置する。
【0009】
例示的な航空機100の胴体102の内部は、短手方向に又は航空機100のメインデッキ108の右側と左側との間に延びる床梁を含む。床梁は、例えば、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)材料で作製することができる。例示的な航空機100のメインデッキ108は、トラックへのシートの取付けを提供するシートトラックを含む。シートトラックは、床梁に連結させることができる。床パネルは、例えば、乗客が床に沿って歩行し、シートに着座することなどを可能にするために床梁を覆う。貨物輸送機への
図1の例示的な航空機100などの旅客機の改造は通常、床梁及びシートトラックなどのメインデッキ108内の構成要素の除去及び交換を含む。例えば、CFRP床梁は、床梁の強度及び/又は高さを増加させて積荷荷重を支持するためにアルミニウム製の梁と交換されてもよい。しかしながら、メインデッキ床の交換及び新たな貨物輸送機床の挿入により、旅客機を貨物輸送機に改造するためのコスト及び時間が増加する可能性がある。
【0010】
図2は、貨物輸送機(例えば、
図1の航空機100)に改造された旅客機のメインデッキ202内に配置された既知の貨物輸送機床200の部分斜視図である。
図2では、旅客機の炭素系(例えば、CFRP)床梁が除去されてアルミニウム製の梁204と交換されている。追加的に、
図2の既知の例では、旅客機のシートトラックが除去されて、航空機の胴体に対して長手方向に延びる安定化部材206と交換されている。積荷用床取付具208は、例えば積荷用ローラートレイの取付けを提供するためにアルミニウム製の梁204に連結される。したがって、既知の例において、貨物輸送機への旅客機の改造は、貨物輸送機床200を形成するためにCFRP床梁及びシートトラックをそれぞれアルミニウム製の梁204及び安定化部材206と交換することを含む。
【0011】
本明細書に開示する例示的な装置及び方法は、航空機のメインデッキ内の積荷荷重を支持するために旅客機の床を貨物輸送機床に改造するか又は適合させる。本明細書に開示する例において、例えばアルミニウムを含むキャップは、床梁を補強するか又は床梁に剛性の増加をもたらし、ひいては、メインデッキ床を強化するために、旅客機床の既存の床梁に沿って配置される。本明細書に開示する例において、キャップは、例えば、ローラートレイ、積荷用トラック、及び/又は積荷取扱システムの動力駆動ユニット(PDU)の取付けを提供する積荷用床取付具を収納するための空隙部を含む。本明細書に開示する例において、キャップは、キャップを追加して元の旅客機床の床梁及びシートトラックを含むウェブ構造を作り出すために、既存のシートトラックの部分の上に延びてその部分に連結される。床パネルは、使用者が床の上を歩行することなどを可能にする目的で、略水平な貨物輸送機床を作り出して積荷荷重を支持するためにキャップと整合させることができる。したがって、本明細書に開示する例において、旅客機のメインデッキ床は、貨物輸送機への旅客機の改造の際に、交換されるよりもむしろ、適合又は改良される。
【0012】
いくつかの開示の例において、キャップは、せん断力を考慮するために1つ又は複数のアタッチメント又は連結具(例えば、せん断クリップ)を介して床梁に連結される。いくつかの例において、キャップを含む肋間部材は、短手方向床梁の数が少なく、代わりに、シートトラックの支持のために主に長手方向床梁が存在し得る、航空機翼に近接するオーバーウイングセクションにおけるメインデッキ内に配置される。肋間部材は、積荷荷重に対応するように航空機のオーバーウイングセクションを強化する。そのような例において、肋間部材は、キャップに連結されたフランジを含む。フランジは、積荷荷重を支持するための肋間部材を強化し補剛する。したがって、貨物輸送機への旅客機の改造の際に旅客機の床を新たな床と交換するよりもむしろ、本明細書に開示する例は、メインデッキの既存の床全域を適合させて補強し、それにより、貨物輸送機の改造のための時間及びコストを低減する。
【0013】
本明細書に開示する例は、貨物輸送機の改造に関連して航空機のメインデッキ内の積荷荷重を支持するために旅客機床を貨物輸送機床に改造する文脈で述べられているが、本明細書に開示する例は、貨物輸送機の生産の文脈において実施されてもよい。例えば、貨物機は、本明細書に開示する例示的な貨物輸送機床及び/又はその1つ若しくは複数の構成要素を含むように構築することができる(すなわち、旅客機から改造されない)。また、本明細書に開示する例は航空機の文脈で述べられているが、本明細書に開示する例は、他のビークル(例えば、船又は他の船舶)において実施することができる。
【0014】
図3は、本開示の教示による第1の例示的な貨物輸送機床300の部分斜視図である。
図3の第1の例示的な貨物輸送機床300は、航空機(例えば、
図1の航空機100)のメインデッキ302内に配置される。
図3に図示するメインデッキ302の部分は、航空機のオーバーウイングセクション(すなわち、翼に近接する胴体のセクション)の前方又は後方に配置することができる。
【0015】
図3の例示的なメインデッキ302は、メインデッキ302の第1の側308とメインデッキ302の第2の側310との間に短手方向に延びる複数の床梁306を含む。床梁306は、CFRPなどの炭素系材料を含むことができる。
図3の例示的なメインデッキ302は、メインデッキ302に沿って長手方向に延びる複数のシートトラック312を含む。シートトラック312は、例えば、アルミニウム製のせん断クリップを介して、床梁306に連結されてもよい。例示の目的で、床梁306を覆う床パネルは
図3には示されていない。また、例示的なメインデッキ302は、
図3に図示したものに比べて追加の又は少ない床梁306及び/又はシートトラック312を含むことができる。
【0016】
図3の例において、キャップ314は、各床梁306の長さに沿って又は実質的に各床梁306の長さに沿ってメインデッキ302内に短手方向に配置される。キャップ314は、例えば、アルミニウム、チタン、及び/又は鋼などの材料で作製することができる。
図3に図示するように、キャップ314は、シートトラック312の上に延びてシートトラック312に略直交する。本明細書で述べるように、
図3の例において、各キャップ314は、1つ又は複数のシートトラック312の少なくとも一部分に連結される。いくつかの例において、キャップ314の少なくとも一部分は、それぞれの床梁306に連結される。
【0017】
図3の例において、キャップ314の各々は、積荷取付具318を収納するようにキャップ314の各々に画定された1つ又は複数の空隙部316を含む。積荷取付具318は、例えば、PDU、ローラートレイ、積荷用トラック、及び/又は他の積荷取扱システム構成要素を貨物輸送機床300に取り外し可能に連結又は固定するための手段を提供する。キャップ314の各々は、
図3に図示したものに比べて追加の若しくは少ない空隙部316を含み且つ/又は追加の若しくは少ない積荷取付具318を収納することができる。
【0018】
したがって、
図3の例において、貨物輸送機床300は、キャップ314を追加して床梁306及びシートトラック312を補強し積荷荷重を支持するように、乗客を輸送するためにメインデッキ302が使用されたときの既存の床梁306及び既存のシートトラック312を含む。
図2の既知の例示的な貨物輸送機床200と比較して、
図3の例示的な貨物輸送機床300は、旅客機の既存の床構成要素(例えば、床梁306、シートトラック312)を使用して積荷荷重を担うように適合される。
図3の例において、キャップ314は、床梁306及びシートトラック312の上に(例えば、上部に)配置される。床パネルは、積荷荷重の配置のため、歩行のためなどの略水平な表面を作り出すためにキャップ314と整合させることができる。その結果、貨物輸送機床300は、床梁306とシートトラック312とを含む第1の床面(すなわち、既存の床)と、キャップ314と床パネルとを含む第2の床面とを含む。
【0019】
図4は、
図3のキャップ314のうちの1つ及び床梁306のうちの1つの上部正面斜視図である。
図5は、
図4のキャップ314及び床梁306の一部分500の部分斜視図である。例示の目的で、シートトラック312は、
図4及び
図5には示されていない。
【0020】
図4及び
図5に図示するように、キャップ314は、積荷取付具318を受け入れるための1つ又は複数の空隙部316を含む。空隙部316の形状及び/又はサイズは、キャップ314と共に使用される積荷取付具318のタイプに基づいて選択することができる。
【0021】
図4及び
図5にも図示するように、例示的なキャップ314は、キャップ314のそれぞれの第1の縁部402及び第2の縁部403により画定された切り欠き又は溝400を含む。
図3の例において、第1の縁部402により画定された溝400は、キャップ314の第2の縁部403により画定された対応する溝400と実質的に整合される。したがって、キャップ314は、第1の縁部402及び第2の縁部403に溝400の対を含む。以下に述べるように、溝400の各対は、
図3のシートトラック312とのキャップ314の整合をもたらす。キャップ314の第1の表面404、又は床梁306から離れる方向に対向する表面は、溝400に近接して表面に画定された1つ又は複数の開口部406を含む。以下に述べるように、開口部406は、溝400がシートトラック312と整合されたときにキャップ314の一部分をシートトラック312に結合するための機械的締め具(例えば、スタッド、ねじなど)を受け入れる。例示的なキャップ314は、
図4及び
図5に図示する開口部よりも多い又はより少ない開口部406を含むことができる。
【0022】
図6は、
図4の線6-6に沿って切った
図4及び
図5のキャップ314の一部分の断面図である。
図6に示すように、キャップ314は、キャップ314の第1の表面404とは反対側のキャップ314の第2の表面又は床梁対向表面602から延びる床梁連結具600を含む。床梁連結具600は、キャップ314の一部分(例えば、シートトラック312に連結されないキャップ314の一部分)を床梁306の少なくとも一部分に連結するための境界面を提供する。いくつかの例において、キャップ314は、1つの床梁連結具600を含む。他の例において、キャップ314は、キャップ314の表面602の長さに沿って配置された2つ以上の床梁連結具600を含む。例えば、床梁連結具600は、キャップ314の溝400間にキャップ314の長さに沿って配置することができる。床梁連結具600は、例えば、アルミニウムで作製することができる。
【0023】
図6の例において、
図6の床梁連結具600は、略T字形状を有する。例示的な床梁連結具600は、
図6に図示するもの以外の形状及び/又はサイズを有することができる。例えば、床梁連結具600のサイズ及び/又は形状は、キャップ314の長さと、床梁306の幅と、キャップ314の溝400の対の間の距離と、シートトラック312の高さ(キャップ314の第1の表面602と床梁306との間の距離を画定できる)などとに基づいてもよい。また、いくつかの例において、床梁連結具600は、キャップ314と一体に形成される。他の例において、床梁連結具600は、別個に形成されて、キャップ314の床梁対向表面602に連結される。
【0024】
図7Aは、
図3のシートトラック312のうちの1つ及び床梁306の上に延びる
図4~
図6の例示的なキャップ314の部分斜視図である。
図7Aに図示するように、使用時に、キャップ314の溝400は、シートトラック312と整合されるか又は実質的に整合される。
図7Aにも図示するように、キャップ314の開口部406は、シートトラック312における開口部700と整合される。
図7Aの例では、キャップ314及びシートトラック312のそれぞれの開口部406、700を貫通して延びる機械的締め具702(例えば、スタッド)を介してキャップ314をシートトラック312に結合することができる。したがって、例示的な床300は、キャップ314を旅客機床に追加するためにシートトラック312の開口部700などの既存の連結機構を利用し、それによって、(例えば、キャップ314を床に追加するために必要とされる穿孔の量を低減することにより)キャップ314と既存の床構成要素との新たな連結を提供する必要性を低減する。
【0025】
図7Bは、
図7Aの線7-7に沿って切った、例示的なキャップ314、例示的なシートトラック312、及び例示的な床梁306の断面図である。
図7Bは、シートトラック312と床梁306とのせん断クリップ706を介した連結を示している。したがって、床梁306とシートトラックと312を含む旅客機床として床が使用される場合に、床梁306及びシートトラック312は、構造ウェブを形成するように連結されて乗客荷重を支持する。本明細書で述べるように、
図6の床梁連結具600を介した床梁306へのキャップ314の連結により、床梁306の剛性の増加がもたらされ、且つ床梁306とシートトラック312とキャップ314とにより形成された構造ウェブの全体の強度の増加がもたらされる。
【0026】
図8は、
図3のシートトラック312のうちの1つ及び床梁306の上に延びる
図4~
図7Bの例示的なキャップ314の側面図である。
図8の例において、床パネル800は、キャップ314に近接してシートトラック312の上に配置される。床パネル800は、旅客機の床パネル又は同じ床パネルとは異なる床パネルとすることができる。
図8に図示するように、床パネル800は、キャップ314の第1の表面404及び床パネル800のそれぞれの表面802が略水平な表面を形成するようにキャップ314と実質的に整合される。いくつかの例において、キャップ314の高さは、略水平な表面を作り出すように床パネル800の高さに基づいて選択される。
図8にも示すように、積荷取付具318は、積荷取扱システム構成要素(例えば、ローラートレイ)を取付具318に対して連結するか又は外すときの積荷取付具318へのアクセスを容易にするためにキャップ314の表面404及び床パネル800の表面802に対して実質的に高くなってもよい。
【0027】
図8にも図示するように、
図3の例示的な貨物輸送機床300は、メインデッキ床が乗客輸送目的で使用される場合と同様に、キャップ314がシートトラック312の上に配置され且つ床パネル800がシートトラック312の上に配置された結果として、床パネルがシートトラック312と実質的に整合されたときと比較して高くなる。例えば、
図3の貨物輸送機床300は、旅客機のメインデッキ床と比較して約0.6インチ高くなってもよい。
【0028】
図9は、床梁306のシートトラック対向表面900へのキャップ314の床梁連結具600の連結を示すように
図8のシートトラック312が除去された
図8の例示的なキャップ314の部分側面図である。
図9に示すように、使用時に、キャップ314の床梁連結具600は、シートトラック312間に(例えば、
図8のシートトラック312と
図9のシートトラック312との間に)配置される。キャップ314の床梁連結具600は、1つ又は複数の締め具(例えば、ねじなどの機械的締め具、化学的締め具など)を介して床梁306の表面900に連結させることができる。
【0029】
図9の例では、床梁306へのキャップ314の床梁連結具600の連結により、床梁306の剛性の増加がもたらされる。キャップ314及び床梁306は基本的に、床梁連結具600が床梁306に連結する部分に単一の梁を形成する。床梁306へのキャップ314の連結により、せん断流に起因する床梁306のねじれ又は曲げの事例を低減することができる。いくつかの例において、キャップ314に連結されたときの(例えば、CFRP)床梁306の垂直方向剛性は、床梁306がキャップ314に連結されないときと比較して約2.5倍増加する。更に、上述したように、シートトラック312は、床梁306に連結される。したがって、例示的な床300は、キャップの追加及びキャップ314とシートトラック312と床梁306との連結前の床と比較して強度及び剛性の増加した、キャップ314とシートトラック312と床梁306とを含むウェブを形成する。
【0030】
床梁連結具600を介した床梁306へのキャップ314の連結と開口部406を通じたシートトラック312へのキャップ314の連結とにより、キャップ314を含まない床と比較して強度の増加した床が作り出される。例として、例示的な床300の強度は、旅客機床としての使用中の73.5ポンド/インチからキャップ314を含めた後の110ポンド/インチまで増加することができる。例示的な床300の剛性及び強度の増加により、床300が積荷荷重を支持することが可能となる。
図3~
図9の例において、キャップ314は、積荷荷重を支持するために床梁306及び/又はシートトラック312の除去及び交換を必要とせずに床梁306を補強する。
【0031】
図10は、本開示の教示による第2の例示的な貨物輸送機床1000の部分斜視図である。
図10の例示的な貨物輸送機床1000は、航空機のメインデッキのオーバーウイングセクションの前方又は後方に配置された、航空機(例えば、
図1の航空機100)のメインデッキの一部分内に配置されてもよい。
【0032】
図10の例示的な貨物輸送機床1000は、
図3の床梁306に関連して実質的に上に開示したように航空機のメインデッキの右側と左側との間に短手方向に延びる複数の床梁1002を含む。例示的な貨物輸送機床1000は、
図3のシートトラック312に関連して実質的に上に開示したメインデッキに沿って長手方向に延びる複数のシートトラック1004を含む。例示の目的で、床梁1002を覆う床パネルは
図10には示されていない。また、例示的な貨物輸送機床1000は、
図10に図示したものに比べて追加の又は少ない床梁1002及び/又はシートトラック1004を含むことができる。
【0033】
図10の例において、キャップ1006は、各床梁1002の長さに沿って短手方向に配置される。キャップ314は、例えば、アルミニウム、チタン、鋼などで作製することができる。
図10に図示するように、キャップ1006は、シートトラック1004の上に延びてシートトラック1004に略直交する。本明細書で述べるように、
図10の例において、各キャップ1006は、床梁1002を補強して積荷荷重を支持するために、床梁1002の少なくとも一部分と1つ又は複数のシートトラック1004とに連結される。
図10の例において、キャップ1006の各々は、キャップ1006を対応する床梁1002に連結するための少なくとも1つの床梁連結具1012を含む。
図10にも図示するように、キャップ1006は、
図3に関連して実質的に上で述べたように、積荷取扱システム(例えば、ローラートレイ、PDU)の構成要素を貨物輸送機床1000に連結するための積荷取付具1010を受け入れるための空隙部1008を含む。
【0034】
図11は、
図10のシートトラック1004のうちの1つ及び床梁1002のうちの1つの上に延びる
図10の例示的なキャップ1006のうちの1つの部分斜視図である。
図11に図示するように、キャップ1006は、キャップ1006のそれぞれの縁部1102、1104に形成された切り欠き又は溝1100を含む。溝1100は、シートトラック1004と整合されるか又は実質的に整合される。
図11にも図示するように、キャップ1006は、キャップ1006の表面1108に画定された1つ又は複数の開口部1106を含む。開口部1106は、シートトラック1004の開口部1112を通じてキャップ1006をシートトラック1004に連結するための締め具1110(例えば、スタッド)を受け入れることができる。
【0035】
図11は、キャップ314、1006が連結されるシートトラック312、1004及び/又は床梁306、1002の特徴に基づいて
図3~
図11のキャップ314、1006の1つ又は複数の特徴を選択できることを図示している。例えば、溝400、1100の幅は、
図7A及び
図11に示すように、トラック幅などの、シートトラック312、1004の異なる型に基づいて選択することができる。したがって、キャップ314、1006は、各航空機に対する完全なカスタム貨物輸送機床の設計と比較して、異なる特徴を有する乗客用メインデッキ床を貨物輸送機床に低コストで改造するように設計することができる。
【0036】
図12は、床梁1002へのキャップ1006の床梁連結具1012の連結を示すために
図11のシートトラック1004が除去された
図11の例示的なキャップ1006の部分側面図である。
図12に示すように、床梁連結具1012は、シートトラック1004(例えば、
図11のシートトラック1004及び
図12のシートトラック1004)間でキャップ1006を床梁1002に連結する。床梁連結具1012を介した床梁1002へのキャップ1006の連結は、ねじれ又は曲げを生じさせる可能性がある、床梁1002に及ぶせん断力の影響を低減することにより床梁1002の剛性を増加させる。いくつかの例において、床梁連結具1012は、キャップ1006と一体に形成される。他の例において、床梁連結具1012は、キャップ1006とは別個に形成されて、キャップ1006に連結される。
【0037】
図12に図示するように、床梁連結具1012の形状及び/若しくはサイズ並びに/又は床梁連結具1012を床梁に連結する方式は、例えば床梁の形状に基づいて
図6の床梁連結具600とは異なるものとすることができる。例えば、
図12に図示するように、床梁連結具1012は、
図9に示すような床梁306のシートトラック対向表面900への
図6の床梁連結具600の連結と比較して、床梁1002の高さの少なくとも一部分に沿って床梁1002に連結することができる。
【0038】
図3~
図12は、航空機を旅客機から貨物輸送機に改造するために航空機のメインデッキ内で使用され得る例示的な貨物輸送機床300、1000を図示している。しかしながら、メインデッキの床は、例えば、床梁の数、胴体に対する床梁の方向などに関してメインデッキの長さに沿って均一でなくてもよい。例えば、航空機のオーバーウイングセクションは、オーバーウイングセクションの前方又は後方にあるメインデッキの部分の短手方向床梁よりも少ない短手方向床梁を含み得る。更に、例えば翼に近接する、メインデッキの異なる部分における航空機の挙動が異なってもよい。例えば、使用中に航空機の翼が撓み、これにより、翼に近接して配置された床梁に影響を及ぼす力が発生する可能性がある。したがって、航空機のオーバーウイングセクションにおける床の補強は、メインデッキ床の残りの部分の補強とは異なってもよい。
【0039】
図13は、本開示の教示による例示的なオーバーウイング床1300の部分斜視図である。
図13の例示的なオーバーウイング床1300は、航空機(例えば、
図1の航空機100)のオーバーウイングセクション1302内、又は翼に近接する(例えば、翼と実質的に整合された)セクション内に配置される。
図13に図示するように、例示的なオーバーウイングセクション1302は、複数の長手方向床梁1304を含む。床梁1304は、床梁1304に沿って長手方向に延びるシートトラック1306を支持する。
【0040】
図13の例において、キャップ1308を含む複数の肋間部材1307は、シートトラック1306及び床梁1304に略直交する方向にシートトラック1306を横切って延びる。
図13に図示するように、キャップ1308は、
図3~
図12に関連して実質的に上に開示したように、積荷取付具1312を受け入れるための複数の空隙部1310を含む。
【0041】
図14は、シートトラック1306のうちの1つ及び床梁1304のうちの1つの上に延びる
図13の例示的なキャップ1308を含む肋間部材1307のうちの1つの部分図である。
図14に示すように、キャップ1308のそれぞれの縁部1400、1402は、縁部1400、1402に画定された切り欠き又は溝1404を含む。
図14にも示すように、キャップ1308の第1の表面1406は、第1の表面1406に画定された1つ又は複数の開口部1408を含む。使用時に、キャップ1308の溝1404は、
図3~
図12に関連して実質的に上に開示したように、シートトラック1306と整合される。キャップ1308の開口部1408は、
図3~
図12に関連して実質的に上に開示したように、シートトラック1306に画定された開口部1412を通じてキャップ1308をシートトラック1306に連結するための締め具1410(例えば、スタッド、ねじなど)を受け入れる。
【0042】
図13及び
図14に図示するように、例示的なオーバーウイングセクション1302は、
図3~
図12の例のように短手方向床梁(例えば、
図3~
図12の短手方向床梁306、1002)を含まない。むしろ、
図13の例示的なオーバーウイングセクション1302は、シートトラック1306が上に延びる長手方向床梁1304を含む。したがって、
図3~
図12の例と異なり、
図13のオーバーウイングセクション1302は、
図6及び
図12の床梁連結具600、1012などの、せん断アタッチメントを介してキャップ1308を連結させることができる短手方向床梁を含まない。
【0043】
図15は、
図14の例示的な肋間部材1307及び
図15のシートトラック1306のうちの1つの側面図である。
図15の例示的な肋間部材1307は、キャップ1308の第2の表面1502、又は第1の表面1406とは反対側の表面から延びるフランジ1500を含む。使用時に、
図15のフランジ1500は、シートトラック1306のうちの2つの間に配置される。また、いくつかの例において、フランジ1500は、キャップ1308と一体に形成される。他の例において、フランジ1500は、別個に形成されて、キャップ1308の第2の表面1502に連結される。例示的なフランジ1500は、(例えば、全荷重がキャップ1308により担われないように)積荷荷重に対応するための肋間部材1307に強度及び剛性を与える。
【0044】
航空機のオーバーウイング構造は、飛行中の翼の圧縮及び張力を考慮して撓むことができなければならない。いくつかの例において、
図13~
図15の肋間部材1307は、スロット付きブッシュを使用してシートトラック1306を介して長手方向床梁1304に連結される。例えば、ブッシュをシートトラック1306に締結(例えば、ボルト締め)することができる。スロット付きブッシュは、長手方向床梁1304が肋間部材1307の下で短手方向に移動することを可能にする。このような例において、スロット付きブッシュは、肋間部材1307上に配置された、荷重用の垂直方向荷重経路、並びに前方及び後方荷重経路を提供する。いくつかの例において、肋間部材1307と長手方向床梁1304(例えば、シートトラック1306に近接する)との間の境界面は、肋間部材1307と長手方向床梁1304(例えば、シートトラック1306)との間の摺動を容易にするためのテフロン(登録商標)塗料又は他のコーティングなどの仕上げ処理を含む。スロット付きブッシュ(例えば、タイロッド)に加えて又はその代替として、他のタイプの締め具を使用することができる。
【0045】
また
図15に示すように、床パネル1504は、キャップ1308と床パネル1504との間に略水平な表面を作り出すようにキャップ1308に近接して配置することができる。したがって、
図13~
図15の例示的なオーバーウイング床1300は、床梁1304への翼撓みの影響を考慮しつつ積荷荷重を支持するために航空機のオーバーウイングセクション1302の補強をもたらす。
【0046】
図16A~
図16Dは、
図3~
図15の例示的なキャップ314、1006、1308と共に使用され得る例示的な積荷取付具1600、1602、1604、1606の上面図である。例示的な積荷取付具1600、1602、1604、1606は、
図3~
図15の例示的な積荷取付具318、1010、1312に対応することができる。
図16A~
図16Dに図示するように、積荷取付具1600、1602、1604、1606は、ローラートレイ、PDUなどの、1つ又は複数の積荷取扱システム構成要素の対応するトラック取付片又は取付具を受け入れるように積荷取付具に画定されたトラック1608を含む。
図16A~
図16Dに示すように、積荷取付具1600、1602、1604、1606のトラック型、長さ、幅、形状などは、積荷取付具に取り付けられる積荷取扱システム構成要素によって異なるものとすることができる。
【0047】
上述したように、
図16A~
図16Dの例示的な積荷取付具1600、1602、1604、1606は、キャップ314、1006、1308の空隙部316、1008、1310内に配置することができる。例示的な積荷取付具1600、1602、1604、1606は、1つ又は複数の機械的締め具(例えば、ねじ)を介して積荷取付具がキャップ314、1006、1308の空隙部316、1008、1310に取り外し可能に連結されることを可能にするために積荷取付具に画定された1つ又は複数の開口部1610を含む。キャップ314、1006、1308への積荷取付具1600、1602、1604、1606の取り外し可能な連結は、使用中に積荷取付具が損傷した場合に積荷取付具の交換を容易にする。損傷した積荷取付具1600、1602、1604、1606を含むキャップ314、1006、1308を交換する代わりに、積荷取付具を交換することができ、これにより、貨物輸送機床300、1000、1300のコスト及び整備が低減される。
【0048】
図17は、貨物輸送機床1700により支持された例示的なローラートレイ1701を図示する、本明細書に開示する教示による例示的な貨物輸送機床1700の部分側面図である。
図17の例示的な貨物輸送機床1700は、例えば、
図3~
図9の例示的な貨物輸送機床300又は
図10~
図12の例示的な貨物輸送機床1000に対応することができる。
図17に図示するように、例示的な貨物輸送機床1700は、第1の床梁1702と、第2の床梁1704と、床梁1702、1704に直交して配置されたシートトラック1706とを含む。例示的な貨物輸送機床1700は、
図3~
図12に関連して実質的に上で述べたように、第1の床梁1702に近接してシートトラック1706を横切って延びる第1のキャップ1708と、第2の床梁1704に近接してシートトラック1706を横切って延びる第2のキャップ1710とを含む。
【0049】
図17に図示するように、床パネル1712は、例えば、使用者が歩行でき且つ/又はローラートレイ1701(若しくは他の積荷取扱システム構成要素)が載置され得る略水平な表面を作り出すためにキャップ1708、1710と整合される。
図17の例において、ローラートレイ1701は、第1のキャップ1708及び第2のキャップ1710のそれぞれの積荷取付具1714に連結される。したがって、
図17の例において、キャップ1708、1710及び床パネル1712は、キャップ1708、1710(例えば、旅客機床)の追加前に、床梁1702、1704及びシートトラック1706により予め画定された既存の床に対して補助床面を作り出す。
【0050】
図18は、本開示の教示による、旅客機床を貨物輸送機床に改造する例示的な方法1800のフローチャートである。例示的な方法1800は、航空機のメインデッキ床の床パネルを除去するステップから始まる(ブロック1802)。床パネルを除去することにより、
図3、
図10、及び
図13の床梁306、1002、1304などの、床パネルにより覆われた床梁にアクセスできるようになる。
【0051】
例示的な方法1800は、メインデッキ床のオーバーウイングセクション又は非オーバーウイングセクションを貨物輸送機床に改造すべきかどうかの決定を含む(ブロック1804)。例えば、オーバーウイングセクションは、メインデッキの非オーバーウイングセクションよりも少ない短手方向床梁を含み得る。
【0052】
メインデッキ床の非オーバーウイングセクションが貨物輸送機床に改造される場合に、例示的な方法1800は、床のシートトラックに直交する、メインデッキ床の短手方向床梁に沿ってキャップを整合させるステップを含む(ブロック1806)。例えば、キャップ314、1006、1708、1710は、
図3、
図10、及び
図17のシートトラック312、1004、1706に略直交する、床梁の長さに沿って延びるように、
図3、
図10、及び
図17の短手方向床梁306、1002、1702、1704に対して整合させることができる。キャップ314、1006、1708、1710は、キャップ314、1006の溝400、1100がシートトラック312、1004、1706と整合されるように短手方向床梁306、1002、1702、1704及びシートトラック312、1004、1706に対して位置決めすることができる。
【0053】
例示的な方法1800は、キャップをシートトラックに連結するステップを含む(ブロック1808)。例えば、
図3、
図10、及び
図17のキャップ314、1006、1708、1710は、キャップ314、1006の開口部406、1106及びシートトラック312、1004の開口部700、1112を貫通して延びる締め具702、1110(例えば、スタッド)を介してシートトラック312、1004、1706に連結させることができる。
【0054】
例示的な方法1800は、キャップを床梁に連結するステップを含む(ブロック1810)。例えば、
図3、
図10及び
図17のキャップ314、1006、1708、1710は、
図6及び
図10の床梁連結具600、1012を介して床梁306、1002、1702、1704に連結させることができる。いくつかの例において、床梁連結具600は、床梁306のシートトラック対向表面900に連結される(例えば、
図9)。他の例において、床梁連結具1012は、床梁1002の長さの少なくとも一部分に沿って床梁1002に連結される(例えば、
図12)。キャップ314、1006が床梁306、1012に連結される方式は、例えば、床梁及び/又はシートトラックの形状及び/又はサイズ、床梁連結具600、1012の設計などに基づくことができる。
【0055】
例示的な方法1800は、積荷取付具をキャップに連結するステップを含む(ブロック1812)。例えば、積荷取付具318、1010、1600、1602、1604、1606、1714は、キャップ314、1006、1708、1710の空隙部316、1008内に配置し、機械的締め具を介してキャップに連結させることができる。いくつかの例において、積荷取付具は、積荷取付具及びキャップが一体として設置されるように床梁に対するキャップの整合前に(例えば、ブロック1806の前に)キャップに連結される。
【0056】
図18の例において、メインデッキ床のオーバーウイングセクションが貨物輸送機床に改造される場合に、方法1800は、シートトラック及びシートトラックを支持する長手方向床梁に直交するように肋間部材を整合させるステップを含む(ブロック1814)。例えば、キャップ1308とフランジ1500とを含む肋間部材1307は、
図13~
図15に示すように、シートトラック1306及び床梁1304に直交するように整合させることができる。
【0057】
例示的な方法1800は、肋間部材のキャップをシートトラックに連結するステップを含む(ブロック1816)。例えば、
図13のキャップ1308は、キャップ1308の開口部1408及びシートトラック1306の開口部1412を貫通して延びる締め具1410を介してシートトラック1306に連結させることができる。
【0058】
例示的な方法1800は、積荷取付具を肋間部材のキャップに連結するステップを含む(ブロック1818)。例えば、積荷取付具1312、1600、1602、1604、1606は、キャップ1308の空隙部1310内に配置し、機械的締め具を介してキャップに連結させることができる。いくつかの例において、積荷取付具は、積荷取付具及び肋間部材が一体として設置されるようにシートトラックに対する肋間部材の整合前に(例えば、ブロック1816の前に)キャップに連結される。
【0059】
例示的な方法1800は、床パネルを肋間部材と整合させるステップを含む(ブロック1820)。例えば、
図8及び
図17の床パネル800、1712は、
図8及び
図17に示すように、略水平な表面を作り出すためにキャップ314、1006、1308と整列させることができる。床パネル800は、キャップ314、1006、1308と床パネル800、1712とを含む高くなった床面を作り出すためにシートトラック312、1004、1306、1706の上に配置することができる。
【0060】
例示的な方法1800は、貨物輸送機床に改造すべき旅客機のメインデッキ床の更なるセクションが存在しない場合に終了する(ブロック1822)。
【0061】
例示的な方法1800が、
図18に図示するフローチャートを参照して説明されているが、旅客機床を貨物輸送機床に改造する多くの他の方法が代替的に使用されてもよい。例えば、ブロックの実行順序が変更されてもよく、且つ/又は説明したブロックのいくつかが変更、排除、若しくは組み合わされてもよい。同様に、
図18に示すブロックの前、間、又は後に、追加の作業が
図18の例示的な方法に含まれてもよい。
【0062】
前述の内容から、積荷荷重を支持するために旅客機のメインデッキ床を貨物輸送機床に改造する例示的な方法、装置及び製品が開示されていることが認識されるであろう。本明細書に開示する例は、旅客機床の床梁及びシートトラックの上に延びるキャップを追加して既存の旅客機床を貨物輸送機床に適合させる。キャップは、既存の床の剛性及び強度を増加させる。いくつかの例において、フランジは、航空機のオーバーウイングセクションに近接する航空機床を強化する肋間部材を形成するためにキャップに連結される。本明細書に開示する例示的なキャップは、ローラートレイなどの、積荷取扱システム構成要素が床に確実に連結されることを可能にする積荷取付具を含む。本明細書に開示する例は、既存の床の除去及び交換を必要とせずに旅客機のメインデッキ床を貨物輸送機床に効率的に改造する。その結果、本明細書に開示する例は、旅客機を貨物輸送機に改造するコスト及び時間を低減する。
【0063】
条項1.航空機(100)の床(300、1000、1300、1700)であって、床が、
床梁(306、1002、1304、1702、1704)と、
シートトラック(312、1004、1306、1706)と、
シートトラックに連結されたキャップ(314、1006、1308、1708、1710)であって、シートトラック及び床梁の上に配置されたキャップと、
キャップと整合された床パネル(800、1504、1712)と
を備える、床。
【0064】
条項2.キャップがシートトラックに直交する、条項1に記載の床。
【0065】
条項3.キャップが、床梁の長さに沿って配置される、条項2に記載の床。
【0066】
条項4.キャップが床梁に直交する、条項2に記載の床。
【0067】
条項5.キャップが、キャップの縁部(402、403、1102、1104、1400、1402)に画定された溝(400、1100、1404)であって、シートトラックと整合される溝を含む、条項1に記載の床。
【0068】
条項6.キャップが、キャップの表面(602)から延びる床梁連結具(600、1012)であって、床梁の一部分に連結される床梁連結具を更に含む、条項1に記載の床。
【0069】
条項7.床梁連結具が、シートトラックに対向する床梁の表面(900)に連結される、条項1に記載の床。
【0070】
条項8.キャップ及び床パネルが第1の床面を形成し、且つ床梁及びシートトラックが第2の床面を形成する、条項1に記載の床。
【0071】
条項9.キャップが、キャップ内に配置された取付具(208、318、1010、1312、1600、1602、1604、1606、1714)を含み、取付具は、ローラートレイ(1701)が床に連結されることを可能にする、条項1に記載の床。
【0072】
条項10.シートトラックが第1のシートトラックであり、且つ床が第2のシートトラックを更に含み、且つキャップがフランジ(1500)を含み、フランジが第1のシートトラックと第2のシートトラックとの間に配置される、条項1に記載の床。
【0073】
「含む(including)」及び「備える(comprising)」(並びにこれらの全ての形態及び時制)は、本明細書では非限定的な用語であるように使用される。したがって、前文として又は任意の種類の請求項の記述の範囲内において請求項が「含む(include)」又は「備える(comprise)」の任意の形態(例えば、備える(comprise)、含む(include)、備える(comprising)、含む(including)、有する(having)など)を用いるときはいつでも、追加の要素、用語などが対応する請求項又は記述の範囲から逸脱することなく存在し得ることを理解されたい。本明細書で使用する場合、「少なくとも(at least)」という語句は、例えば、請求項の前文において移行用語として使用されるときには、「備える(comprising)」及び「含む(including)」という用語が非限定的であるのと同じように非限定的である。例えば、A、B、及び/又はCなどの形態で使用されるときの「及び/又は」という用語は、(1)A単独、(2)B単独、(3)C単独、(4)AとB、(5)AとC、及び(6)BとCなどのA、B、Cの任意の組み合わせ又はサブセットを指す。
【0074】
ある例示的な方法、装置及び製品が本明細書に開示されているが、本特許の対象とする範囲はこれらに限定されるものではない。それどころか、本特許は、本特許の特許請求の範囲内に適正に含まれる全ての方法、装置及び製品を網羅する。
【符号の説明】
【0075】
100 航空機
102 胴体
104 翼
106 下部デッキ
108 メインデッキ
200 貨物輸送機床
202 メインデッキ
204 アルミニウム製の梁
206 安定化部材
208 積荷用床取付具
300,1000 貨物輸送機床
302 メインデッキ
306 床梁、短手方向床梁
308 第1の側
310 第2の側
312,1004,1306 シートトラック
314,1006,1308 キャップ
316,1008,1310 空隙部
318,1010,1312 積荷取付具
400,1100,1404 溝
402 第1の縁部
403 第2の縁部
404,1406 第1の表面
406,1106,1408 開口部
600,1012 床梁連結具
602 床梁対向表面
700 開口部
702 機械的締め具
706 せん断クリップ
800 床パネル
802 表面
900 シートトラック対向表面
1002 床梁、短手方向床梁
1102,1104,1400,1402 縁部
1300 オーバーウイング床、貨物輸送機床
1302 オーバーウイングセクション
1304 長手方向床梁
1307 肋間部材