(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】電力変換装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20220930BHJP
【FI】
H02M3/28 X
H02M3/28 H
(21)【出願番号】P 2018216450
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】細川 良晃
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 豊
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-130122(JP,A)
【文献】特開2013-137474(JP,A)
【文献】特開2009-261192(JP,A)
【文献】特開2016-144310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次巻線と、前記1次巻線に電磁結合する2次巻線、第1の補助巻線、及び第2の補助巻線と、を備える絶縁トランスと、
前記1次巻線に直流電圧を出力する直流電源と、
前記直流電源と前記1次巻線との接続を切り替える第1のスイッチと、
前記第1の補助巻線と接続され前記第1のスイッチを制御する制御回路と、
前記2次巻線に接続され、前記2次巻線に発生した電流を整流及び平滑し、直流電圧を出力する整流平滑回路と、
前記整流平滑回路の出力電圧を調整し、且つ前記出力電圧の調整に応じて、前記制御回路に前記第2の補助巻線を接続する電圧調整回路と、
を具備
し、
前記電圧調整回路は、
第1の抵抗を介して前記整流平滑回路の出力端子に接続され且つ第2の抵抗を介して接地された基準電圧端子の電圧に基づいて、前記出力電圧を調整するシャントレギュレータと、
前記基準電圧端子に接続された第3の抵抗と、
前記第3の抵抗と前記整流平滑回路の出力端子との間に接続された第2のスイッチと、
前記第2のスイッチを制御する第3のスイッチと、
前記第3のスイッチの導電経路の電流に応じて前記第2の補助巻線を前記制御回路に接続する第4のスイッチと、
を具備する電力変換装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記整流平滑回路の出力端子から前記シャントレギュレータに流れる電流に基づいて、前記第1のスイッチのオンオフデューティ比を制御する請求項
1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第3のスイッチは、前記第3のスイッチの導電経路にアノード及びカソードが接続され、前記第2の補助巻線にコレクタ端子が接続され、前記制御回路にエミッタ端子が接続されたフォトカプラである請求項
1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
印刷媒体に画像を形成する画像形成部と、
1次巻線と、前記1次巻線に電磁結合する2次巻線、第1の補助巻線、及び第2の補助巻線と、を備える絶縁トランスと、
前記1次巻線に直流電圧を出力する直流電源と、
前記直流電源と前記1次巻線との接続を切り替える第1のスイッチと、
前記第1の補助巻線と接続され前記第1のスイッチを制御する制御回路と、
前記2次巻線に接続され、前記2次巻線に発生した電流を整流及び平滑し、直流電圧を出力する整流平滑回路と、
前記整流平滑回路の出力電圧を調整し、且つ前記出力電圧の調整に応じて、前記制御回路に前記第2の補助巻線を接続する電圧調整回路と、
を具備
し、
前記電圧調整回路は、
第1の抵抗を介して前記整流平滑回路の出力端子に接続され且つ第2の抵抗を介して接地された基準電圧端子の電圧に基づいて、前記出力電圧を調整するシャントレギュレータと、
前記基準電圧端子に接続された第3の抵抗と、
前記第3の抵抗と前記整流平滑回路の出力端子との間に接続された第2のスイッチと、
前記第2のスイッチを制御する第3のスイッチと、
前記第3のスイッチの導電経路の電流に応じて前記第2の補助巻線を前記制御回路に接続する第4のスイッチと、
を具備する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力を変換する電力変換装置が一般的に用いられている。電力変換装置は、トランスを介して、1次側から2次側に電力を供給する。電力変換装置は、1次側にスイッチングIC(制御回路)を備える。スイッチングICは、スイッチング素子をスイッチングすることにより、トランスの1次側に交番電圧を流す。スイッチングICは、トランスと磁界結合した補助巻線に生じる電圧により動作する。電力変換装置は、2次側にシャントレギュレータを備える。シャントレギュレータは、基準電圧端子の電圧に基づいて、2次側から負荷に出力される出力電圧を調整する。即ち、電力変換装置は、シャントレギュレータによって、出力電圧を所定の電圧に調整する。
【0003】
電力変換装置は、シャントレギュレータの基準電圧端子に接続される抵抗を切り替えることにより、シャントレギュレータの分圧比を切り替える。これにより、電力変換装置は、出力電圧を切り替えることができる。出力電圧が切り替えられた場合、スイッチングICに電圧を供給する補助巻線に生じる電圧も変化する。例えば、補助巻線から供給される電圧が高すぎる(定格以上)である場合、スイッチングICは、過電圧保護機能により停止する。また、例えば、補助巻線から供給される電圧が低すぎる場合、スイッチングICは、低電圧検出機能により停止する。このように、出力電圧の切替によって、スイッチングICが正常に動作しなくなる可能性があるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、安定して動作する電力変換装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る電力変換装置は、絶縁トランス、直流電源、第1のスイッチ、制御回路、整流平滑回路、電圧調整回路を備える。絶縁トランスは、1次巻線と、前記1次巻線に電磁結合する2次巻線、第1の補助巻線、及び第2の補助巻線と、を備える。直流電源は、前記1次巻線に直流電圧を出力する。第1のスイッチは、前記直流電源と前記1次巻線との接続を切り替える。制御回路は、前記第1の補助巻線と接続され前記第1のスイッチを制御する。整流平滑回路は、前記2次巻線に接続され、前記2次巻線に発生した電流を整流及び平滑し、直流電圧を出力する。電圧調整回路は、前記整流平滑回路の出力電圧を調整し、且つ前記出力電圧の調整に応じて、前記制御回路に前記第2の補助巻線を接続し、第1の抵抗を介して前記整流平滑回路の出力端子に接続され且つ第2の抵抗を介して接地された基準電圧端子の電圧に基づいて、前記出力電圧を調整するシャントレギュレータと、前記基準電圧端子に接続された第3の抵抗と、前記第3の抵抗と前記整流平滑回路の出力端子との間に接続された第2のスイッチと、前記第2のスイッチを制御する第3のスイッチと、前記第3のスイッチの導電経路の電流に応じて前記第2の補助巻線を前記制御回路に接続する第4のスイッチと、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る画像形成装置の構成の例について説明する為の図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る電力変換装置の構成の例について説明する為の図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る電力変換装置の他の構成の例について説明する為の図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る電力変換装置を備える商品情報処理装置の例について説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る電力変換回路(電力変換装置)1を備える画像形成装置(電子写真装置)2の構成例を示す説明図である。なお、本実施形態では、電力変換回路1は、画像形成装置2に組み込まれているものと仮定して説明するが、如何なるものに組み込まれてもよい。
画像形成装置2は、例えば、印刷媒体などの記録媒体を搬送しながら画像形成等の各種処理を行うマルチファンクションプリンタ(MFP)である。画像形成装置2は、感光ドラムを帯電させ、感光ドラムに対して印刷用の画像データ(印刷データ)に応じた光を照射することにより、感光ドラムに潜像(静電潜像)を形成する。画像形成装置2は、感光ドラムに形成された潜像にトナー(現像剤)を付着させ、感光ドラムにトナー像を形成する。画像形成装置2は、感光ドラムのトナー像を印刷媒体に転写し、トナー像が転写された印刷媒体にヒータによって高熱と圧力を与えることにより、印刷媒体にトナー像を定着させる。
【0009】
まず、画像形成装置2の構成例について説明する。
図1に示されるように、画像形成装置2は、筐体11、給紙カセット12、排紙トレイ13、搬送部14、画像形成部15、定着器16、システムコントローラ17、及び電源ユニット18を備える。
【0010】
筐体11は、画像形成装置2の本体である。筐体11は、給紙カセット12、排紙トレイ13、搬送部14、画像形成部15、定着器16、システムコントローラ17、及び電源ユニット18を収容する。
【0011】
給紙カセット12は、印刷媒体Pを収容するカセットである。給紙カセット12は、筐体11の外部から印刷媒体Pを供給可能に構成されている。例えば、給紙カセット12は、筐体11から引き出し可能に構成されている。
【0012】
排紙トレイ13は、画像形成装置2から排出された印刷媒体Pを支持するトレイである。
【0013】
搬送部14は、画像形成装置2内で印刷媒体Pを搬送する機構である。
図1に示されるように、搬送部14は、給紙搬送路21及び排紙搬送路22を備える。
【0014】
給紙搬送路21及び排紙搬送路22は、図示されない複数のガイド、複数のローラ、及び複数のモータにより構成される。給紙搬送路21及び排紙搬送路22は、印刷媒体Pを挟んだ状態で回転することにより印刷媒体Pを移動させるローラを、システムコントローラ17の制御に基づいて動作するモータが回転させることにより、印刷媒体Pを搬送する。
【0015】
給紙搬送路21は、給紙カセット12に収容されている印刷媒体Pを画像形成部15に供給する搬送路である。
【0016】
排紙搬送路22は、画像形成部15により画像が形成され、定着器16によりトナー像が定着された印刷媒体Pを、筐体11から排出する搬送路である。排紙搬送路22によって排出された印刷媒体Pは、排紙トレイ13に排出される。
【0017】
画像形成部15は、システムコントローラ17の制御に基づいて、印刷媒体Pに画像を形成する構成である。
図1に示されるように、画像形成部15は、感光体31、帯電器32、露光器33、現像器34、及び転写機構35を備える。
【0018】
感光体31は、円筒状に形成された感光ドラムである。感光体31は、図示されない駆動機構によって一定の速度で回転される。
【0019】
帯電器32は、感光体31の表面を一様に帯電させる。
【0020】
露光器33は、帯電した感光体31に静電潜像を形成する。露光器33は、印刷データに基づいて、発光素子などにより感光体31の表面にレーザ光を照射することによって、感光体31の表面に静電潜像を形成する。
【0021】
現像器34は、トナーを感光体31の潜像に付着させる。これにより、感光体31の表面に、トナー像が形成される。
【0022】
転写機構35は、感光体31に形成されたトナー像を、印刷媒体Pに転写させる。例えば、転写機構35は、1次転写ベルト、2次転写ローラ、2次転写対向ローラなどを備える。1次転写ベルトは、感光体31の表面からトナー像を受け取る。2次転写ローラ及び2次転写対向ローラは、給紙搬送路21により搬送された印刷媒体に対して、1次転写ベルトを押し当て且つ搬送する。これにより、感光体31のトナー像が印刷媒体Pに転写される。
【0023】
定着器16は、印刷媒体Pに転写されたトナー像を印刷媒体Pに定着させる構成である。
図1に示されるように、定着器16は、ヒートローラ及びプレスローラを備える。
【0024】
ヒートローラは、印刷媒体Pに熱を与える加熱部材である。ヒートローラは、金属により構成されている。ヒートローラは、例えば中空の円筒状に形成されている。ヒートローラの近傍には、電源ユニット18から高周波電流が供給される誘導コイルが設けられている。誘導コイルは、少なくともヒートローラに磁界を印加することが可能な位置に設けられている。誘導コイルに高周波電流が流れることにより誘導コイルに発生する磁界によって、ヒートローラに渦電流が生じる。この結果、ヒートローラの内部の抵抗成分により、ヒートローラに熱が発生する。これにより、ヒートローラは、高温に熱される。
【0025】
プレスローラは、印刷媒体Pをヒートローラに押し当てる加圧部材である。プレスローラは、図示されないモータにより回転する。プレスローラは、図示されない加圧機構により、ヒートローラに圧力を加える。このように、プレスローラがヒートローラに圧力を加えることにより、ヒートローラとプレスローラとが密着するニップ(定着ニップ)が形成される。プレスローラは、トナー像が転写された印刷媒体Pを定着ニップに通過させることにより、印刷媒体Pに熱及び圧力を与え、印刷媒体Pにトナー像を定着させる。
【0026】
システムコントローラ17は、画像形成装置2の制御を行う。システムコントローラ17は、例えば、プロセッサ41及びメモリ42を備える。
【0027】
プロセッサ41は、演算処理を実行する演算素子である。プロセッサ41は、例えばCPUである。プロセッサ41は、メモリ42に記憶されているプログラムなどのデータに基づいて種々の処理を行う。プロセッサ41は、メモリ42に格納されているプログラムを実行することにより、種々の動作を画像形成装置2に実行させる制御部として機能する。例えば、プロセッサ41は、メモリ42に記憶されているプログラムを実行することにより、搬送部14、画像形成部15、定着器16、及び電源ユニット18を制御する。
【0028】
メモリ42は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する記憶媒体である。また、メモリ42は、ワーキングメモリとしても機能する。すなわち、メモリは、プロセッサ41の処理中のデータ、及びプロセッサ41が実行するプログラムなどを一時的に格納する。
【0029】
上記の構成において、システムコントローラ17のプロセッサ41は、印刷データに基づいて、搬送部14、画像形成部15、定着器16、及び電源ユニット18を制御することにより、印刷媒体Pにトナー像を転写させ、印刷媒体Pにトナー像を定着させる。これにより、印刷媒体Pに画像が形成される。
【0030】
また、プロセッサ41は、画像形成装置2の動作状態を切り替える。動作状態は、例えば、印刷媒体Pに対する画像の形成が可能なレディ状態、および所定の操作の入力を待機するスリープ状態などの状態である。レディ状態は、高電圧が要求される状態である。スリープ状態は、レディ状態に比べて低い電圧で動作可能な状態である。プロセッサ41は、電源ユニット18を制御することにより、レディ状態とスリープ状態とを切り替える。プロセッサ41は、レディ状態とスリープ状態とを切り替える為のスイッチング信号(スリープ信号)を、電源ユニット18に入力する。
【0031】
電源ユニット18は、画像形成装置2の各構成に電力を供給する構成である。
図2は、電源ユニット18の構成について説明する為の説明図である。
図2に示されるように、電源ユニット18は、フィルタ回路51、整流回路52、及び電力変換回路1を備える。
【0032】
フィルタ回路51は、商用電源ACと、整流回路52との間に接続される。フィルタ回路51は、商用電源ACから進入したノイズ、及び整流回路52に流出するノイズを低減する。フィルタ回路51は、例えばコンデンサにより構成されている。
【0033】
整流回路52は、商用電源ACからフィルタ回路51を介して入力された交流電圧を、全波整流し、直流電圧を後段の回路に供給する。即ち、整流回路52は、交流電圧を直流電圧に変換して、電力変換回路1に供給する。整流回路52は、例えば、複数のダイオードにより構成された全波整流回路(整流器)である。
【0034】
また、フィルタ回路51には、定着器16にも接続されている。これにより、定着器16の誘導コイルに、交流電圧によって高周波電流が流れる。
【0035】
電力変換回路1は、負荷に対して任意の電圧値の直流電圧を供給する回路である。電力変換回路1は、電力が供給される1次側と、電力を出力する2次側とを有する。
【0036】
まず電力変換回路1の1次側の構成について説明する。電力変換回路1は、直流電圧源61、絶縁トランス62、及びスイッチ回路63を1次側の構成として備える。また、電力変換回路1は、力率改善回路をさらに1次側の構成として備える構成であってもよい。
【0037】
直流電圧源61は、絶縁トランス62に直流電圧を供給する回路である。直流電圧源61は、平滑用コンデンサC1を備える。平滑用コンデンサC1は、整流回路52から供給される直流電圧(脈流化された正電圧)により電荷を蓄積するとともに、並列に接続された回路に平滑化した直流電圧を供給する。
【0038】
絶縁トランス62は、磁界を発生させる1次側の巻線(1次巻線)L1と、1次巻線L1と絶縁され、且つ1次巻線L1に生じた磁界により励磁される2次側の巻線(2次巻線)L2とを有する。また、絶縁トランス62は、1次巻線L1に生じた磁界により励磁され、スイッチ回路63に電力を供給する補助巻線L3、及び補助巻線L4をさらに有する。即ち、2次巻線L2、補助巻線L3、及び補助巻線L4は、1次巻線L1と電磁結合する。
【0039】
スイッチ回路63は、平滑用コンデンサC1から1次巻線L1に流れる電流を、スイッチングによりオンオフ制御する回路である。スイッチ回路63は、半導体スイッチS1、制御回路64、ダイオードD1、ダイオードD2、平滑用コンデンサC2、フォトカプラPC1、及びフォトカプラPC2を備える。
【0040】
半導体スイッチS1は、制御回路64の制御に基づいて、導通状態を切り替える半導体スイッチである。半導体スイッチS1は、制御回路64の制御に基づいて、平滑用コンデンサC1から1次巻線L1に流れる電流をオンオフする。半導体スイッチS1は、例えばn型チャネルFETである。半導体スイッチS1のドレイン端子は、1次巻線L1に接続され、半導体スイッチS1のソース端子は、平滑用コンデンサC1の低電位側に接続され、半導体スイッチS1のゲート端子は、制御回路64に接続されている。半導体スイッチS1は、ドレイン端子-ソース端子間を導通させる導通状態(オン状態)と、ドレイン端子-ソース端子間を非導通にする非導通状態(オフ状態)とを、制御回路64からゲート端子に入力される制御信号に基づいて切り替える。
【0041】
制御回路64は、半導体スイッチS1を制御する制御回路である。制御回路64は、平滑用コンデンサC2の高電位側に接続された端子、平滑用コンデンサC2の低電位側に接続された端子、半導体スイッチS1の制御端子に接続された端子、及びフォトカプラPC1に接続された端子を備える。制御回路64は、半導体スイッチS1に制御信号として高周波のパルス信号を入力する。制御回路64は、例えば、半導体スイッチS1のゲート端子にパルス信号を入力する。これにより、制御回路64は、半導体スイッチS1のオン状態とオフ状態とを高速に切り替える。この結果、平滑用コンデンサC1の電位によって、絶縁トランス62の1次巻線L1に高周波パルスが供給され、1次巻線L1により磁界が発生する。
【0042】
上記の様に、スイッチ回路63は、直流電圧を高周波パルスに変換するフライバックコンバータとして機能する。なお、スイッチ回路63は、平滑用コンデンサC1の電位によって、絶縁トランス62の1次巻線L1に高周波パルスを供給するハーフブリッジコンバータ、またはフルブリッジコンバータなどの他のコンバータ回路として構成されていてもよい。
【0043】
ダイオードD1は、補助巻線L3に生じた電流を整流する。
【0044】
ダイオードD2は、補助巻線L4に生じた電流を整流する。
【0045】
平滑用コンデンサC2は、補助巻線L3及び補助巻線L4と並列に接続されている。また、平滑用コンデンサC2は、制御回路64と並列に接続されている。即ち、平滑用コンデンサC2は、補助巻線L3に生じた電流、及び補助巻線L4に生じた電流により電荷を蓄積するとともに、並列に接続された制御回路64に平滑化した直流電圧を供給する。
【0046】
フォトカプラPC1は、発光ダイオードLED1及びフォトトランジスタPT1を備える。フォトカプラPC1は、発光ダイオードLED1のアノードからカソードに電流が流れ、発光ダイオードLED1が発光した場合、フォトトランジスタPT1に光が入射し、フォトトランジスタPT1のコレクタ端子-エミッタ端子間が導通する。
【0047】
フォトカプラPC1の発光ダイオードLED1は、電力変換回路1の2次側に設けられ、フォトカプラPC1のフォトトランジスタPT1は、電力変換回路1の1次側に設けられている。フォトカプラPC1のフォトトランジスタPT1のコレクタ端子は、制御回路64に接続されている。フォトカプラPC1のフォトトランジスタPT1のエミッタ端子は、平滑用コンデンサC1の低電位側に接続されている。フォトカプラPC1のフォトトランジスタPT1のコレクタ端子-エミッタ端子間の電圧は、発光ダイオードLED1の発光に応じて変化する。
【0048】
フォトカプラPC2は、発光ダイオードLED2及びフォトトランジスタPT2を備える。フォトカプラPC2は、発光ダイオードLED2のアノードからカソードに電流が流れ、発光ダイオードLED2が発光した場合、フォトトランジスタPT2に光が入射し、フォトトランジスタPT2のコレクタ端子-エミッタ端子間が導通する。
【0049】
フォトカプラPC2の発光ダイオードLED2は、電力変換回路1の2次側に設けられ、フォトカプラPC2のフォトトランジスタPT2は、電力変換回路1の1次側に設けられている。フォトカプラPC2のフォトトランジスタPT2のコレクタ端子は、ダイオードD2のカソードに接続されている。フォトカプラPC2のフォトトランジスタPT2のエミッタ端子は、平滑用コンデンサC2の高電位側に接続されている。即ち、フォトカプラPC2は、発光ダイオードLED2の発光に応じて、ダイオードD2を介して、補助巻線L4と平滑用コンデンサC2の高電位側とを導通させる。
【0050】
次に、電力変換回路1の2次側の構成について説明する。電力変換回路1は、絶縁トランス62の2次巻線L2、整流平滑回路65、及び電圧調整回路66を2次側の構成として備える。電力変換回路1の2次側の出力端子には、画像形成装置2の種々の構成である負荷(例えば搬送部14、画像形成部15、システムコントローラ17など)が接続される。
【0051】
2次巻線L2は、1次巻線L1により発生した磁界に応じて励磁され、電力を生成する。2次巻線L2には、1次巻線L1と2次巻線L2との巻き数の比に応じた電圧が発生する。
【0052】
整流平滑回路65は、2次巻線L2に生じた電力を整流及び平滑化する回路である。整流平滑回路65は、ダイオードD3、及び平滑用コンデンサC3を有する。
【0053】
ダイオードD3は、アノードが2次巻線L2に接続され、カソードが平滑用コンデンサC3の高電位側に接続されている。ダイオードD3は、2次巻線L2に生じた電流を整流し、平滑用コンデンサC3に供給する。
【0054】
平滑用コンデンサC3は、ダイオードD3から供給された正電圧を平滑化する。平滑用コンデンサC3は、並列に接続された回路に直流電圧を供給する。平滑用コンデンサC3の高電位側は、電力変換回路1の出力端子に接続されている。即ち、平滑用コンデンサC3には、負荷が接続される。平滑用コンデンサC3は、平滑化した直流電圧を負荷に供給する。
【0055】
電圧調整回路66は、電力変換回路1の出力端子の電圧を調整する回路である。電圧調整回路66は、平滑用コンデンサC3から電流を引き込み、GNDに流すことにより、電力変換回路1の出力端子の電圧が所定の電圧になるように調整する。電圧調整回路66は、例えば、シャントレギュレータ67を備える。電圧調整回路66は、シャントレギュレータ67の分圧比に応じて、平滑用コンデンサC3の高電位側の電位を引き下げる。
【0056】
電圧調整回路66は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4、抵抗R5、抵抗R6、ダイオードD4、フォトカプラPC1の発光ダイオードLED1、フォトカプラPC2の発光ダイオードLED2、
シャントレギュレータ67、スイッチQ1、及びスイッチQ2を備える。
【0057】
シャントレギュレータ67は、電力変換回路1の出力端子の電圧を調整する回路で定電圧レギュレータである。シャントレギュレータ67は、入力端子、出力端子、及び基準電圧端子を備える。また、シャントレギュレータ67は、負荷に対して並列、即ち、平滑用コンデンサC3の高電位側とGNDとの間に設けられたトランジスタと、誤差アンプとを備える。シャントレギュレータ67は、基準電圧端子の電位に基づいて、誤差アンプがトランジスタを制御することにより、入力端子から出力端子に電流を流す。
【0058】
シャントレギュレータ67の入力端子は、トランジスタのコレクタ端子である。シャントレギュレータ67の入力端子は、フォトカプラPC1の発光ダイオードLED1、及び抵抗R1の直列接続を介して、平滑用コンデンサC3の高電位側に接続されている。
【0059】
シャントレギュレータ67の出力端子は、トランジスタのエミッタ端子である。シャントレギュレータ67の出力端子は、GNDに接続されている。
【0060】
シャントレギュレータ67の基準電圧端子は、誤差アンプの入力端子である。誤差アンプの出力端子は、トランジスタのベース端子に接続されている。シャントレギュレータ67の基準電圧端子は、抵抗R2を介して平滑用コンデンサC3の高電位側に接続されている。また、シャントレギュレータ67の基準電圧端子は、抵抗R3を介してGNDに接続されている。またさらに、シャントレギュレータ67の基準電圧端子は、抵抗R4を介して、後述するスイッチQ1の出力端子(エミッタ端子)に接続されている。
【0061】
スイッチQ1及びスイッチQ2は、半導体スイッチであり、例えばnpn型トランジスタである。スイッチQ1及びスイッチQ2は、n型MOSFETであってもよい。
【0062】
スイッチQ1のベース端子(制御端子)は、抵抗R5と抵抗R6との接続点に接続されている。スイッチQ1のエミッタ端子は、抵抗R4を介してシャントレギュレータ67の基準電圧端子に接続されている。スイッチQ1のコレクタ端子は、平滑用コンデンサC3の高電位側に接続されている。
【0063】
スイッチQ2のベース端子(制御端子)は、画像形成装置2のシステムコントローラ17に接続されている。スイッチQ2のエミッタ端子は、GNDに接続されている。スイッチQ2のコレクタ端子は、抵抗R5、抵抗R6、ダイオードD4、及びフォトカプラPC2の発光ダイオードLED2の直列接続を介して、平滑用コンデンサC3の高電位側に接続されている。
【0064】
例えば、スイッチQ2は、画像形成装置2のシステムコントローラ17からの信号に基づいて、オンオフが切り替えられる。具体的には、スイッチQ2は、システムコントローラ17から入力されたスリープ信号によってオンに切り替えられる。また、スイッチQ2は、システムコントローラ17からのスリープを解除することを指示する信号によって、オフに切り替えられる。
【0065】
上記の構成の電力変換回路1は、スイッチQ2のオンオフによって、動作する構成が変化する。まず、スイッチQ2がオフである場合の電力変換回路1の動作について説明する。
【0066】
(各スイッチの状態)
スイッチQ2がオフである場合、抵抗R5、抵抗R6、ダイオードD4、及びフォトカプラPC2の発光ダイオードLED2の直列接続に電流が流れない。この為、スイッチQ1及びフォトカプラPC2のフォトトランジスタPT2もオフとなる。
【0067】
(シャントレギュレータ67の動作)
スイッチQ1がオフである場合、シャントレギュレータ67の基準電圧端子には、抵抗R2と、抵抗R3とが接続されている状態になる。この場合、シャントレギュレータ67の基準電圧端子の電圧である基準電圧Vrefと、抵抗R2と抵抗R3の分圧比により、電力変換回路1の出力端子から、シャントレギュレータ67により調整された電圧Vout1が出力される。電圧Vout1は、Vout1=(1+R2/R3)×Vrefである。
【0068】
なお、シャントレギュレータ67に引き込まれる電流により、フォトカプラPC1のフォトトランジスタPT1がオンされる。これにより、1次側において、制御回路64から、フォトトランジスタPT1を介して、平滑用コンデンサC1の低電位側に電流が流れる。なお、フォトトランジスタPT1を流れる電流の電流値は、フォトカプラPC1の発光ダイオードLED1を流れる電流、即ちシャントレギュレータ67に引き込まれる電流によって変化する。
【0069】
(補助巻線からの電力供給)
1次側では、補助巻線L3に発生した電流により平滑用コンデンサC2の電荷が蓄積され、制御回路64に電力が供給される。なお、補助巻線L4と平滑用コンデンサC2との間に接続されたフォトカプラPC2のフォトトランジスタPT2がオフである為、補助巻線L4から平滑用コンデンサC2には電力が供給されない状態になる。2次巻線L2の巻き数がN2であり、補助巻線L3の巻き数がN3であるとすると、制御回路64に印加される電圧VCC1は、VCC1=(N3/N2)×Vout1である。
【0070】
(制御回路64の動作)
制御回路64は、半導体スイッチS1を制御することにより、平滑用コンデンサC1の電位によって、絶縁トランス62の1次巻線L1に高周波パルスを供給させ、1次巻線L1に磁界を発生させる。
【0071】
制御回路64は、フォトカプラPC1のフォトトランジスタPT1を介して、平滑用コンデンサC1の低電位側に流れる電流に基づいて、半導体スイッチS1に入力するパルス信号のオンオフデューティ比を制御する。上記のように、フォトカプラPC1のフォトトランジスタPT1のエミッタ端子-コレクタ端子間の電圧は、発光ダイオードLED1の発光に応じて変化する。即ち、フォトカプラPC1のフォトトランジスタPT1のエミッタ端子-コレクタ端子間の電圧は、2次側の整流平滑回路65からシャントレギュレータ67の入力端子に流れる電流に応じて変化する。制御回路64は、フォトカプラPC1のフォトトランジスタPT1を介して、平滑用コンデンサC1の低電位側に流れる電流、若しくは、フォトトランジスタPT1のコレクタ端子-エミッタ端子間の電圧に基づいて、半導体スイッチS1に入力するパルス信号のオンオフデューティ比を制御する。
これにより、制御回路64は、絶縁トランス62の1次巻線L1に発生させる磁界の強度を制御する。これにより、2次側に供給する電力を制御する。
【0072】
次に、スイッチQ2がオンである場合の電力変換回路1の動作について説明する。
(各スイッチの状態)
スイッチQ2がオンである場合、抵抗R5、抵抗R6、ダイオードD4、及びフォトカプラPC2の発光ダイオードLED2の直列接続に電流が流れる。この為、スイッチQ1がオンされる。また、フォトカプラPC2の発光ダイオードLED2に電流が流れる為、フォトカプラPC2のフォトトランジスタPT2もオンとなる。
【0073】
(シャントレギュレータ67の動作)
スイッチQ1がオンである場合、シャントレギュレータ67の基準電圧端子と、平滑用コンデンサC3の高電位側との間に、抵抗R2と抵抗R4とが並列に接続され、シャントレギュレータ67の基準電圧端子と、GNDとの間に、抵抗R3が接続される。この場合、抵抗R2と抵抗R4とが合成抵抗R0=R2×R4/(R2+R4)となる。この為、電力変換回路1の出力端子から出力される電圧Vout2は、Vout2=(1+R0/R3)×Vrefとなる。なお、合成抵抗R0は、抵抗R2よりも小さい値になる。このため、シャントレギュレータ67の分圧比が変わり、電圧Vout2が、スイッチQ1がオフである場合の電圧Vout1に比べて小さくなる。
【0074】
(補助巻線からの電力供給)
1次側では、補助巻線L4と平滑用コンデンサC2との間に接続されたフォトカプラPC2のフォトトランジスタPT2がオンとなっている為、補助巻線L4から平滑用コンデンサC2に電力が供給される状態になる。即ち、補助巻線L3及び補助巻線L4に発生した電流により平滑用コンデンサC2の電荷が蓄積され、制御回路64に電力が供給される。
【0075】
補助巻線L4の巻き数がN4であるとすると、制御回路64に印加される電圧VCC2は、VCC2=[(N3+N4)/N2]×Vout2である。即ち、スイッチQ2がオフである場合に比べて、補助巻線L4によって、電圧VCC2は、電圧VCC1よりも高い電圧に調整される。VCC2>VCC1である為、補助巻線L3及び補助巻線L4に発生した電流は、補助巻線L3、補助巻線L4、ダイオードD2、フォトトランジスタPT2、平滑用コンデンサC2の高電位側の順に流れる。このように、Vout1>Vout2である場合、VCC1<VCC2となる。
【0076】
電力変換回路1は、スイッチQ2がオフである場合に、VCC1の電圧が適正な値になるように、補助巻線L3の巻き数N3が調整され、スイッチQ2がオンである場合に、VCC2の電圧が適正な値になるように、補助巻線L4の巻き数N4が調整される。これにより、電力変換回路1は、出力電圧が切り替えられた場合であっても、動作に必要な電圧を制御回路64に供給することができる。
【0077】
上記したように、電力変換回路1は、絶縁トランス62により1次側と2次側とが電気的に絶縁した状態で、1次側から2次側に電力を供給する回路である。電力変換回路1は、1次側の構成として、直流電源として機能する平滑用コンデンサC1、半導体スイッチS1、制御回路64を備える。絶縁トランス62は、1次巻線L1と、1次巻線L1に電磁結合する2次巻線L2、補助巻線L3、及び補助巻線L4とを備える。制御回路64は、平滑用コンデンサC1と1次巻線L1との接続を切り替えるスイッチをオンオフ制御することにより、1次巻線L1に磁界を発生させる。補助巻線L3は、1次巻線L1により発生した磁界により励磁され、制御回路64に電力を供給する。また、補助巻線L4は、フォトカプラPC2のコレクタ及びエミッタを介して、制御回路64に接続されている。
【0078】
また、電力変換回路1は、2次側の構成として、整流平滑回路65と、シャントレギュレータ67とを備える。整流平滑回路65は、2次巻線L2に接続され、2次巻線L2に発生した電流を整流及び平滑し、直流電圧を出力する。シャントレギュレータ67は、抵抗R2を介して整流平滑回路65の出力端子に接続され且つ抵抗R3を介して接地された基準電圧端子の電圧に基づいて、整流平滑回路65の出力電圧を調整する。
【0079】
電力変換回路1は、画像形成装置2のシステムコントローラ17から供給される信号に基づいて、スイッチQ2を切り替える。スイッチQ2の導電経路には、フォトカプラPC2のアノード及びカソードが接続されている。また、スイッチQ2の導電経路には、抵抗R4を抵抗R2と並列に接続するスイッチQ1の制御端子が接続されている。このような構成によると、スイッチQ2がオンされると、スイッチQ1がオンされ、シャントレギュレータ67の基準電圧端子に抵抗R4と抵抗R2とが並列に接続される。この為、整流平滑回路65の出力端子とシャントレギュレータ67の基準電圧端子間の抵抗値は、抵抗R4と抵抗R2の並列接続の合成抵抗になる。抵抗R4と抵抗R2の並列接続の合成抵抗は、抵抗R2に比べて抵抗値が低くなる。これに対し、抵抗R3を介して接地された基準電圧端子の電圧は、抵抗R3の抵抗値によって定まる固定値である。このように、抵抗R3を介して接地された基準電圧端子の電圧が固定値であり、且つ整流平滑回路65の出力端子とシャントレギュレータ67の基準電圧端子間の抵抗値が減少することにより、電力変換回路1の出力端子から出力される電圧Vout2が低下する。
【0080】
また、スイッチQ2がオンされると、フォトカプラPC2のアノード-カソード間に電流が流れ、発光ダイオードLED2が発光する。これにより、フォトカプラPC2のフォトトランジスタPT2がオンされる。フォトカプラPC2のフォトトランジスタPT2がオンされると、補助巻線L4が制御回路64に接続される。これにより、制御回路64に補助巻線L3と補助巻線L4とから電力が供給される状態になる。このように、フォトカプラPC2は、スイッチQ2の導電経路の電流に応じて、補助巻線L4を制御回路64に接続するスイッチとして機能する。即ち、フォトカプラPC2は、導電路(アノード-カソード)の電流の流れに応じて、導電路(コレクタ-エミッタ)を導電させるスイッチである。
【0081】
このように、電力変換回路1は、出力電圧が低い値に切り替えられた場合に、制御回路64に接続する補助巻線を増やすことにより、動作に必要な電圧を制御回路64に供給することができる。これにより、安定して動作する電力変換装置及び画像形成装置を提供することができる。
【0082】
なお、上記の実施形態では、フォトカプラPC2のアノード-カソードは、スイッチQ2の導電経路に接続されると説明したが、この構成に限定されない。フォトカプラPC2のアノード-カソードは、スイッチQ2がオフであるときに電流が流れず、スイッチQ2がオンであるときに電流が流れる箇所であれば如何なる箇所に接続されていてもよい。
【0083】
また、上記の実施形態では、スイッチQ2は、画像形成装置2のシステムコントローラ17からの信号に基づいて、オンオフが切り替えられると説明したが、この構成に限定されない。スイッチQ2は、画像形成装置2の外部から切替が可能に配置され、物理的にオンとオフが切り替えられるスイッチとして構成されていてもよい。
【0084】
また、上記の実施形態では、スイッチQ2のオンに連動して、フォトカプラPC2のコレクタ端子-エミッタ端子間が導通することにより、制御回路64に補助巻線L4を接続する構成であると説明したが、この構成に限定されない。フォトカプラPC2の代わりにリレースイッチ71が用いられてもよい。
【0085】
図3は、制御回路64に補助巻線L4を接続するスイッチとして、フォトカプラPC2の代わりにリレースイッチ71が用いられている例を示す。
【0086】
リレースイッチ71は、第1の導電路と第2の導電路とを備える。第1の導電路には、コイルが設けられている。第2の導電路には、コイルにより発生した磁界によってオンオフが切り替えられるスイッチが設けられている。
図3の例では、第1の導電路が、スイッチQ2の導電路に接続されており、第2の導電路が、ダイオードD2のカソードと平滑用コンデンサC2の高電位側とに接続されている。このような構成によると、スイッチQ2がオフである場合、補助巻線L4が制御回路64に接続されず、スイッチQ2がオンである場合、補助巻線L4が制御回路64に接続される。このような構成によっても、
図2の例と同様の効果を実現することができる。
【0087】
なお、上記した実施形態では、スイッチQ2は、画像形成装置2のシステムコントローラ17からのスリープ信号によって切り替えられると説明したが、この構成に限定されない。スイッチQ2は、画像形成装置2のシステムコントローラ17からの如何なる信号によって切り替えられるものであってもよい。
【0088】
また、上記の実施形態では、画像形成装置2に電力変換回路1が設けられる例について説明したが、この構成に限定されない。電力変換回路1は、2次側から出力する出力電圧を切り替える装置であれば、如何なるものに用いられてもよい。
【0089】
図4は、電力変換回路1が商品情報処理装置3に設けられる例を示す。
商品情報処理装置3は、小売店などの店舗において、利用者が購入する商品の一覧を示す商品リストを生成し、商品リストに基づいて決済を行うシステムである。
【0090】
商品情報処理装置3は、電源ユニット18及び商品情報処理部81を備える。商品情報処理部81は、スキャナ82、第1のプリンタ83、第2のプリンタ84、制御部85、及びタッチパネル86を備える。
【0091】
スキャナ82は、商品からコード(バーコードまたは二次元コードなど)を取得し、制御部85に供給する。
【0092】
第1のプリンタ83及び第2のプリンタ84は、制御部85の制御に基づいて、レシートを印刷する。第2のプリンタ84は、第1のプリンタ83に比べて定格電圧が低い。
【0093】
制御部85は、種々の処理を実行する処理部である。制御部85は、プロセッサ87及びメモリ88を備える。プロセッサ87は、演算処理を実行する演算素子である。プロセッサ87は、例えばCPUとして構成される。プロセッサ87は、メモリ88に記憶されているプログラムに基づいて種々の処理を行う。メモリ88は、プログラム及びデータを記憶する記憶装置である。メモリ88は、例えば、読み出し専用の不揮発性メモリであるROM、データを一時的に記憶するRAM、及びデータを記憶するストレージのいずれか、または複数を備える。
【0094】
タッチパネル86は、画面の表示と、操作に基づく操作信号の生成とを行う装置である。タッチパネル86は、ディスプレイ89及びタッチセンサ90を備える。ディスプレイ89は、制御部85または図示されないグラフィックコントローラから供給される表示用のデータ(画面データ)に基づいて画面を表示する。タッチセンサ90は、ディスプレイ89に表示された画面上において商品情報処理装置3を操作するユーザがタッチした位置を示す操作信号を生成する。
【0095】
制御部85は、スキャナ82により商品から情報を取得し、商品リストを生成する。制御部85は、商品リストと、利用者がタッチパネルにより入力した情報に基づいて、決済を行う。さらに、制御部85は、決済の結果を出力する。例えば、制御部85は、第1のプリンタ83によって決済の結果をレシートとして出力する。また、例えば、制御部85は、第2のプリンタ84によって決済の結果をレシートとして出力する。具体的には、制御部85は、決済がプリペイドカードまたは電子マネーなどによって行われた場合、第1のプリンタ83によってレシートを出力する。また、制御部85は、決済がクレジットカードによって行われた場合、第2のプリンタ84によってレシートを出力する。
【0096】
制御部85は、第1のプリンタ83と第2のプリンタ84のどちらでレシートを出力するかに基づいて、電源ユニット18に信号を入力する。制御部85からの信号は、電源ユニット18の電力変換回路1のスイッチQ2のオンオフに用いられる。例えば、第1のプリンタ83によりレシートを出力する場合、制御部85は、スイッチQ2のオフするように信号を入力する。これにより、電力変換回路1の出力電圧が高電圧に調整される。また、例えば、第2のプリンタ84によりレシートを出力する場合、制御部85は、スイッチQ2のオンするように信号を入力する。これにより、電力変換回路1の出力電圧が低電圧に調整される。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、以下に本願の出願当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
[C1]
1次巻線と、前記1次巻線に電磁結合する2次巻線、第1の補助巻線、及び第2の補助巻線と、を備える絶縁トランスと、
前記1次巻線に直流電圧を出力する直流電源と、
前記直流電源と前記1次巻線との接続を切り替える第1のスイッチと、
前記第1の補助巻線と接続され前記第1のスイッチを制御する制御回路と、
前記2次巻線に接続され、前記2次巻線に発生した電流を整流及び平滑し、直流電圧を出力する整流平滑回路と、
前記整流平滑回路の出力電圧を調整し、且つ前記出力電圧の調整に応じて、前記制御回路に前記第2の補助巻線を接続する電圧調整回路と、
を具備する電力変換装置。
[C2]
前記電圧調整回路は、
第1の抵抗を介して前記整流平滑回路の出力端子に接続され且つ第2の抵抗を介して接地された基準電圧端子の電圧に基づいて、前記出力電圧を調整するシャントレギュレータと、
前記基準電圧端子に接続された第3の抵抗と、
前記第3の抵抗と前記整流平滑回路の出力端子との間に接続された第2のスイッチと、
前記第2のスイッチを制御する第3のスイッチと、
前記第3のスイッチの導電経路の電流に応じて前記第2の補助巻線を前記制御回路に接続する第4のスイッチと、
を具備する[C1]に記載の電力変換装置。
[C3]
前記制御回路は、前記整流平滑回路の出力端子から前記シャントレギュレータに流れる電流に基づいて、前記第1のスイッチのオンオフデューティ比を制御する[C2]に記載の電力変換装置。
[C4]
前記第4のスイッチは、前記第3のスイッチの導電経路にアノード及びカソードが接続され、前記第2の補助巻線にコレクタ端子が接続され、前記制御回路にエミッタ端子が接続されたフォトカプラである[C2]に記載の電力変換装置。
[C5]
印刷媒体に画像を形成する画像形成部と、
1次巻線と、前記1次巻線に電磁結合する2次巻線、第1の補助巻線、及び第2の補助巻線と、を備える絶縁トランスと、
前記1次巻線に直流電圧を出力する直流電源と、
前記直流電源と前記1次巻線との接続を切り替える第1のスイッチと、
前記第1の補助巻線と接続され前記第1のスイッチを制御する制御回路と、
前記2次巻線に接続され、前記2次巻線に発生した電流を整流及び平滑し、直流電圧を前記画像形成部に出力する整流平滑回路と、
前記整流平滑回路の出力電圧を調整し、且つ前記出力電圧の調整に応じて、前記制御回路に前記第2の補助巻線を接続する電圧調整回路と、
を具備する画像形成装置。
【符号の説明】
【0098】
1…電力変換回路、2…画像形成装置、3…商品情報処理装置、11…筐体、12…給紙カセット、13…排紙トレイ、14…搬送部、15…画像形成部、16…定着器、17…システムコントローラ、18…電源ユニット、21…給紙搬送路、22…排紙搬送路、31…感光体、32…帯電器、33…露光器、34…現像器、35…転写機構、41…プロセッサ、42…メモリ、51…フィルタ回路、52…整流回路、61…直流電圧源、62…絶縁トランス、63…スイッチ回路、64…制御回路、65…整流平滑回路、66…電圧調整回路、67…シャントレギュレータ、71…リレースイッチ、81…商品情報処理部、82…スキャナ、83…プリンタ、84…プリンタ、85…制御部、86…タッチパネル、87…プロセッサ、88…メモリ、89…ディスプレイ、90…タッチセンサ、C1…平滑用コンデンサ、C2…平滑用コンデンサ、C3…平滑用コンデンサ、D1…ダイオード、D2…ダイオード、D3…ダイオード、D4…ダイオード、L1…1次巻線、L2…2次巻線、L3…補助巻線、L4…補助巻線、PC1…フォトカプラ、PC2…フォトカプラ、LED1…発光ダイオード、LED2…発光ダイオード、PT1…フォトトランジスタ、PT2…フォトトランジスタ、Q1…スイッチ、Q2…スイッチ、R1…抵抗、R2…抵抗、R3…抵抗、R4…抵抗、R5…抵抗、R6…抵抗、S1…半導体スイッチ。