(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】帯域通過フィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 7/075 20060101AFI20220930BHJP
H03H 7/06 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
H03H7/075 Z
H03H7/06
(21)【出願番号】P 2018218443
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】394025094
【氏名又は名称】三菱電機特機システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 良
(72)【発明者】
【氏名】清野 清春
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524299(JP,A)
【文献】特開2015-023520(JP,A)
【文献】特開2006-191355(JP,A)
【文献】特開平04-304705(JP,A)
【文献】特開平06-030390(JP,A)
【文献】特開平10-322146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H1/00-H03H3/00
H03H5/00-H03H7/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と出力端子との間に接続された第一の抵抗と直列共振回路との並列回路と、
上記並列回路の両端に一端が接続された2つの第二の抵抗と、
上記
2つの第二の抵抗の他端
それぞれに一端が接続され他端が接地された
2つの並列共振回路とを備えた帯域通過フィルタであって、
上記直列共振回路は、インダクタとキャパシタとの直列回路からなり、
上記2つの並列共振回路の各並列共振回路は、インダクタとキャパシタとの並列回路からなり、
R1=2*R2*Z0*Z0/(R2*R2-Z0*Z0)
R2=Z0*(K+1)/(K-1)
L1*C1=1/(ωl*ωl)
L2*C2=1/(ωh*ωh)
ωl=2πfl
ωh=2πfh
ここで、R1:第一の抵抗の抵抗値
R2:第二の抵抗の抵抗値
Z0:電源インピーダンスあるいは負荷インピーダンス
K:減衰量
L1:直列共振回路のインダクタのインダクタンス
C1:直列共振回路のキャパシタのキャパシタンス
L2:並列共振回路のインダクタのインダクタンス
C2:並列共振回路のキャパシタのキャパシタンス
ωl:角周波数
ωh:角周波数
fl:帯域の低域側の周波数
fh:帯域の高域側の周波数
の関係を有する帯域通過フィルタ。
【請求項2】
帯域外の周波数では、帯域内の周波数に比べて、上記直列共振回路が高インピーダンスとなり、上記並列共振回路が低インピーダンスとなる請求項1に記載の帯域通過フィルタ。
【請求項3】
入力端子と出力端子との間に接続された第一の抵抗と直列共振回路との並列回路と、
上記並列回路の両端に一端が接続された2つの第二の抵抗と、
上記
2つの第二の抵抗の他端に一端が接続され他端が接地された並列共振回路とを備えた帯域通過フィルタであって、
上記直列共振回路は、インダクタとキャパシタとの直列回路からなり、
上記並列共振回路は、インダクタとキャパシタとの並列回路からなり、
R1=2*R2*Z0*Z0/(R2*R2-Z0*Z0)
R2=Z0*(K+1)/(K-1)
L1*C1=1/(ωl*ωl)
L2*C2=1/(ωh*ωh)
ωl=2πfl
ωh=2πfh
ここで、R1:第一の抵抗の抵抗値
R2:第二の抵抗の抵抗値
Z0:電源インピーダンスあるいは負荷インピーダンス
K:減衰量
L1:直列共振回路のインダクタのインダクタンス
C1:直列共振回路のキャパシタのキャパシタンス
L2:並列共振回路のインダクタのインダクタンス
C2:並列共振回路のキャパシタのキャパシタンス
ωl:角周波数
ωh:角周波数
fl:帯域の低域側の周波数
fh:帯域の高域側の周波数
の関係を有する帯域通過フィルタ。
【請求項4】
帯域外の周波数では、帯域内の周波数に比べて、上記直列共振回路が高インピーダンスとなり、上記並列共振回路が低インピーダンスとなる請求項3に記載の帯域通過フィルタ。
【請求項5】
入力端子と出力端子との間に接続された直列接続された2つの第三の抵抗と
上記2つの第三の抵抗それぞれと並列接続された2つの直列共振回路と
からなる2つの並列回路と、
上記2つの第三の抵抗の接続部に一端が接続された第四の抵抗と、
上記第四の抵抗の他端に一端が接続され他端が接地された並列共振回路とを備えた帯域通過フィルタであって、
上記2つの直列共振回路の各直列共振回路は、インダクタとキャパシタとの直列回路からなり、
上記並列共振回路は、インダクタとキャパシタとの並列回路からなり、
R3=Z0*(K-1)/(K+1)
R4=2*K*Z0/((K*K)-1)
L1*C1=1/(ωl*ωl)
L2*C2=1/(ωh*ωh)
ωl=2πfl
ωh=2πfh
ここで、R3:第三の抵抗の抵抗値
R4:第四の抵抗の抵抗値
Z0:電源インピーダンスあるいは負荷インピーダンス
K:減衰量
L1:直列共振回路のインダクタのインダクタンス
C1:直列共振回路のキャパシタのキャパシタンス
L2:並列共振回路のインダクタのインダクタンス
C2:並列共振回路のキャパシタのキャパシタンス
ωl:角周波数
ωh:角周波数
fl:帯域の低域側の周波数
fh:帯域の高域側の周波数
の関係を有する帯域通過フィルタ。
【請求項6】
上記
2つの直列共振回路
の各直列共振回路の共振周波数と上記並列共振回路の共振周波数
とは、互いに異なり、
上記
2つの直列共振回路
の各直列共振回路の共振周波数と上記並列共振回路の共振周波数
とは、帯域内にある請求項
5に記載の帯域通過フィルタ。
【請求項7】
入力端子と出力端子との間に接続された直列接続された2つの第三の抵抗と
上記2つの第三の抵抗と並列接続された1つの直列共振回路と
からなる1つの並列回路と、
上記2つの第三の抵抗の接続部に一端が接続された第四の抵抗と、
上記第四の抵抗の他端に一端が接続され他端が接地された並列共振回路とを備えた帯域通過フィルタであって、
上記1つの直列共振回路は、インダクタとキャパシタとの直列回路からなり、
上記並列共振回路は、インダクタとキャパシタとの並列回路からなり、
R3=Z0*(K-1)/(K+1)
R4=2*K*Z0/((K*K)-1)
L1*C1=1/(ωl*ωl)
L2*C2=1/(ωh*ωh)
ωl=2πfl
ωh=2πfh
ここで、R3:第三の抵抗の抵抗値
R4:第四の抵抗の抵抗値
Z0:電源インピーダンスあるいは負荷インピーダンス
K:減衰量
L1:直列共振回路のインダクタのインダクタンス
C1:直列共振回路のキャパシタのキャパシタンス
L2:並列共振回路のインダクタのインダクタンス
C2:並列共振回路のキャパシタのキャパシタンス
ωl:角周波数
ωh:角周波数
fl:帯域の低域側の周波数
fh:帯域の高域側の周波数
の関係を有する帯域通過フィルタ。
【請求項8】
上記
1つの直列共振回路
の共振周波数と上記並列共振回路の共振周波数
とは、互いに異なり、
上記
1つの直列共振回路
の共振周波数と上記並列共振回路の共振周波数
とは、帯域内にある請求項
7に記載の帯域通過フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は帯域内の信号を減衰させることなく通過させ、帯域外の不要波を著しく抑圧するとともに、広帯域にわたって良好な反射特性を有する帯域通過フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーダ機器、通信機器、観測機器等のRF(Radio Frequency)機器では所望の信号以外の帯域外の不要波の進入を防いだり、あるいは、これらの機器の内部で発生した高調波又は混変調歪成分等の不要波が機器外部へ漏洩するのを防いだりするために帯域通過フィルタが用いられる。
このような帯域通過フィルタとしてインダクタとキャパシタとの集中定数素子からなるものがあり、帯域内では低損失で良好な反射特性を維持し、帯域外ではほぼ全反射となるよう設計されている。このため、帯域内の信号を減衰させること無く通過させ、帯域外では大きな減衰量となり不要波を著しく抑圧させることができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような帯域通過フィルタをRF機器に適用するには、帯域通過フィルタの入出力部にFET(Field Effect Transistor),HEMT(High Electron Mobility Transistor)等のアクティブデバイスを用いたモジュールが接続される場合が多い。通常、モジュールは帯域内では良好な反射特性となるように設計されるが、帯域外では必ずしも良好な反射特性とは限らず、反射特性が悪い場合(全反射に近い場合)が多い。
【0005】
このような場合、帯域外で帯域通過フィルタとモジュールとの間で大きな多重反射が生じ、モジュールが発振、あるいは、不安定動作する課題があった。また、帯域外における帯域通過フィルタの減衰特性も著しく劣化し、レベルの高い不要波がRF機器に進入することによるRF機器が劣化する課題、あるいは、RF機器内で発生した不要波がRF機器外へ漏洩する課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の帯域通過フィルタは、
入力端子と出力端子との間に接続された抵抗Xと直列共振回路との並列回路と、
上記並列回路に一端が接続された抵抗Yと、
上記抵抗Yの他端に一端が接続され他端が接地された並列共振回路とを備えた帯域通過フィルタであって、
帯域内の低域側の周波数では、
上記抵抗Xは、直列共振回路により短絡され、
上記並列共振回路は、等価的にキャパシタとみなすことができ、
帯域内の高域側の周波数では、
上記直列共振回路は、等価的にインダクタとみなすことができ、
上記抵抗Yの他端は、開放となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、帯域内では低損失、帯域外では大きな減衰特性を維持しつつ、帯域を含む広帯域に渡って良好な反射特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1による帯域通過フィルタの構成を示す図である。
【
図2】この発明の実施の形態1による帯域通過フィルタの簡易的な等価回路を示す図である。
【
図3】この発明の実施の形態1による帯域通過フィルタを構成する第一の抵抗と直列共振回路との並列回路および第二の抵抗と並列共振回路との直列回路の損失特性を示す図である。
【
図4】この発明の実施の形態1による帯域通過フィルタの特性の設計例を示す図である。
【
図5】この発明の実施の形態1による帯域通過フィルタの他の実施例の構成を示す図である。
【
図6】この発明の実施の形態2による帯域通過フィルタの構成を示す図である。
【
図7】この発明の実施の形態2による帯域通過フィルタの簡易的な等価回路を示す図である。
【
図8】この発明の実施の形態2による帯域通過フィルタの特性の設計例を示す図である。
【
図9】この発明の実施の形態2による帯域通過フィルタの他の実施例の構成を示す図である。
【
図10】この発明の実施の形態3による帯域通過フィルタの構成を示す図である。
【
図11】この発明の実施の形態3による帯域通過フィルタの特性の設計例を示す図である。
【
図12】この発明の実施の形態4による帯域通過フィルタの構成を示す図である。
【
図13】この発明の実施の形態4による帯域通過フィルタの特性の設計例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
***用語の定義***
最小周波数fmin=帯域通過フィルタの帯域の最小周波数
最大周波数fmax=帯域通過フィルタの帯域の最大周波数
低域側の周波数fl=帯域の低域側の周波数(fmin≦fl)
高域側の周波数fh=帯域の高域側の周波数(fh≦fmax)
帯域外=最小周波数より低い周波数領域、および、最大周波数より高い周波数領域
周波数の関係は以下のとおりとである。
帯域外<fmin≦fl<fh≦fmax<帯域外
R1、R2、R3、R4=抵抗値
L1、L2、L1’=インダクタンス
C1、C2、C2’=キャパシタンス
【0010】
実施の形態1.
以下、図を用いてこの発明に係る実施の形態1について説明する。
図1は実施の形態1による帯域通過フィルタの構成を示す図である。
この帯域通過フィルタは入力端子9と出力端子10との間に、第一の抵抗1と直列共振回路3との並列回路を装荷し、この並列回路の両端には第二の抵抗2の一端がそれぞれ接続されている。
さらに、それぞれの第二の抵抗2の他端を並列共振回路6で終端している。
また、直列共振回路3はインダクタ4とキャパシタ5との直列回路で構成され、並列共振回路6はインダクタ7とキャパシタ8との並列回路からなる。このような帯域通過フィルタはチップ状の第一の抵抗1、第二の抵抗2、インダクタ4、7およびキャパシタ5、8を用いて構成される。
ここで、第一の抵抗1および第二の抵抗2はR1、R2にそれぞれ選ばれ、また、インダクタ4、キャパシタ5、インダクタ7およびキャパシタ8はそれぞれL1、C1、L2、C2に選ばれる。
【0011】
図2はこの発明の実施の形態1による帯域通過フィルタの簡易的な等価回路である。
直列共振回路3の共振周波数を帯域内の低域側の周波数flに選んだ場合、flでは第一の抵抗1は直列共振回路3により短絡される。
また、帯域内の高域側の周波数fhでは直列共振回路3は等価的にインダクタ(インダクタンスL1’)とみなすことができる。
一方、並列共振回路6の共振周波数をfhに選んだ場合、第二の抵抗2の他端は並列共振回路6で開放となり、flでは並列共振回路6は等価的にキャパシタ(キャパシタンスC2’)とみなすことができる。
また、帯域外では直列共振回路3は高インピーダンス特性となり、並列共振回路6は低インピーダンス特性となるため、第一の抵抗1と第二の抵抗2からなるπ形減衰器が入力端子9と出力端子10との間に装荷されたものとみなすことができる。
【0012】
ここでπ形減衰器を構成するR1、R2と減衰量Kとの関係は数式1で求めることができる。
【0013】
[数式1]
R1=2*R2*Z0*Z0/(R2*R2-Z0*Z0)
R2=Z0*(K+1)/(K-1)
【0014】
この式においてZ0は電源インピーダンスあるいは負荷インピーダンスで、通常、50Ωである。このようにR1、R2を選ぶことにより、周波数に関係なく、広帯域にわたって減衰量Kを有し、良好な反射特性のπ形減衰器が得られる。
【0015】
また、直列共振回路3のL1、C1、並列共振回路6のL2、C2との関係は数式2で求まる。ここでωl、ωhは角周波数で、ωl=2πfl、ωh=2πfhの関係になる。
【0016】
[数式2]
L1*C1=1/(ωl*ωl)
L2*C2=1/(ωh*ωh)
【0017】
図3はこの実施の形態の帯域通過フィルタを構成する第一の抵抗1と直列共振回路3との並列回路および第二の抵抗2と並列共振回路6との直列回路との損失特性を表わす図である。
図3は、帯域の最小周波数fmin=低域側の周波数flとし、帯域の最大周波数fmax=高域側の周波数fhとした場合を示している。
図中、(a)で示すように第一の抵抗1と直列共振回路3との並列回路はflで損失が最小となるような凸形の特性を示す。
また、(b)で示すように第二の抵抗2と並列共振回路6との直列回路はfhで損失が最小となるような凸形の特性を示す。
ここでflとfhが近ければ直列共振回路3のfhにおけるL1’の影響および並列共振回路6のflにおけるC2’の影響は無視できる。このため、帯域fl以上fh以下に渡って第一の抵抗1と直列共振回路3との並列回路は低インピーダンス特性となり、第二の抵抗2と並列共振回路6との直列回路は高インピーダンス特性となるため、入力端子9と出力端子10との間には何も装荷されず、近似的にスルーとみなすことができる。
【0018】
R1、R2とKとの関係を数式1のように、L1、C1とflとの関係およびL2、C2とfh関係を数式2のように選ぶことにより、帯域内のfl以上fh以下では低損失、帯域外では減衰量Kを有し、かつ、帯域を含む広帯域にわたって反射特性の良好な帯域通過フィルタを得ることができる。
このように、直列共振回路3と並列共振回路6との共振周波数を帯域内に、かつ、これらの共振周波数を異なる周波数に選ぶことにより、帯域通過フィルタの広帯域化を図ることができる。
【0019】
図4は実施の形態1による帯域通過フィルタの特性の設計例である。
ここでは直列共振回路3は帯域内の低域側の周波数fl=1.9GHzで直列共振するように、L1=4.7nH、C1=1.5pFに選ぶ。また、並列共振回路6は帯域内の高域側の周波数fh=2.1GHzで並列共振するように、L2=7.2nH、C2=0.8pFに選ぶ。さらに、減衰量が10dBとなるように、R1=71.2Ω、R2=96.2Ωに選んである。
この
図4に示すように、この実施の形態の帯域通過フィルタは帯域1.9GHz以上2.1GHz以下にわたって、減衰量はほぼ0dB、それ以外の周波数帯では約10dBの減衰量が得られ、しかも周波数0以上10GHz以下の広帯域にわたって約20dB以上の良好な反射特性が得られる。
【0020】
以上のように、この実施の形態の帯域通過フィルタは直列共振回路3と並列共振回路6との共振周波数を帯域内に選び、また、これらの共振周波数を異なる周波数に選ぶことにより、帯域通過フィルタの広帯域化を図ることができるとともに低損失化を図ることができる。また、帯域外で所望の減衰量が得られるとともに、帯域を含む広帯域にわたって良好な反射特性が得られる。
この帯域通過フィルタをRF機器に適用することにより、帯域外で生じるモジュールと帯域通過フィルタとの大きな多重反射を著しく抑圧でき、モジュールの不安定動作、帯域通過フィルタの減衰量の著しい劣化を防ぐことができる。このため、帯域外の高レベルの不要波の進入によるRF機器の特性劣化およびRF機器内で発生した不要波のRF機器外への漏洩を防ぐことができる。
【0021】
なお、
図4では直列共振回路3の共振周波数を帯域の低域側の1.9GHzにに選び、また、並列共振回路6の共振周波数を帯域の高域側の2.1GHzに選んだ場合について述べた。しかし、直列共振回路3の共振周波数を2.1GHzに、並列共振回路6の共振周波数を1.9GHzに選んでもよく、これらの共振周波数をそれ以外の周波数に選んでもよい。
また、帯域通過フィルタの帯域を広げるには数式2を満足しつつ、L1を小さく、C1を大きくするか、L2を大きく、C2を小さくすることにより達成できる。
その他に、帯域通過フィルタの帯域を広げるには直列共振回路3と並列共振回路6との共振周波数の離調幅を広げることで達成できる。この場合、帯域内の損失がやや増加するものの、帯域で所望の減衰特性が得られ、かつ、広帯域にわたって良好な反射特性が得られることには変わりがない。
さらに、減衰量が10dBとなるようなR1、R2について示したが、R1、R2は要求に応じて数式1から任意に設定できる。
【0022】
***他の実施例***
図5は実施の形態1による帯域通過フィルタの他の実施例の構成を示す図である。
なお、
図1と同一あるいは相当部分には同一符号を付してある。
この帯域通過フィルタは第一の抵抗1と直列共振回路3との並列回路の両端に、それぞれ第二の抵抗2の一端を接続し、これらの第二の抵抗2の他端をまとめて1つの並列共振回路6で終端したものである。
このように構成した場合であっても、帯域内および帯域外での等価回路は
図2のものと同じになる。このため、この帯域通過フィルタでも帯域内で低損失化を図ることができるとともに、広帯域にわたって良好な反射特性が得られる。
【0023】
従って、この帯域通過フィルタをRF機器に適用することにより、
図1のものと同様にRF機器の特性劣化およびRF機器内で発生した不要波のRF機器外への漏洩を防ぐことができる。
図1のでは2つの第二の抵抗2の他端をそれぞれ並列共振回路6で終端しているのに対し、
図5では2つの第二の抵抗2の他端をまとめて1つの並列共振回路6で終端している。これにより、並列共振回路6の数が低減でき、帯域通過フィルタおよびRF機器の小型化、低価格化を実現できる。
【0024】
***実施の形態1の特徴***
この実施の形態の帯域通過フィルタは入力端子9と出力端子10との間に第一の抵抗1(抵抗X)と直列共振回路3との並列回路を装荷し、この並列回路の両端にそれぞれ第二の抵抗2(抵抗Y)の一端を接続する。さらに、この実施の形態の帯域通過フィルタはそれぞれの第二の抵抗2(抵抗Y)の他端は並列共振回路6を介して接地するか、あるいは、それぞれの第二の抵抗2(抵抗Y)の他端をまとめて1つの並列共振回路6を介して接地したものである。
また、直列共振回路3および並列共振回路6はインダクタとキャパシタからなり、これらの共振回路の共振周波数は互いに異なるとともに、それぞれの共振周波数を帯域内に選んでいるものである。
【0025】
***実施の形態1の効果***
この実施の形態の帯域通過フィルタによれば帯域内では第一の抵抗1は直列共振回路3で短絡に近い低インピーダンスに保たれ、また、第二の抵抗2は並列共振回路6で開放に近い高インピーダンスに保たれる。このため、入力端子9と出力端子10との間は近似的にスルーとみなすことができる。
一方、帯域外では直列共振回路3は高インピーダンス特性を有し、逆に並列共振回路6は低インピーダンス特性を有するため、第一の抵抗1と第二の抵抗2とからなるπ形減衰器が入力端子9と出力端子10との間に装荷されたものとみなすことができる。
このため、帯域内では低損失、帯域外では大きな減衰特性を維持しつつ、帯域を含む広帯域に渡って良好な反射特性を得ることができる。
これにより帯域内で低損失化を図るとともに帯域の広帯域化も実現し、かつ、帯域外では所望の大きな減衰特性が得られ、帯域を含む広帯域に渡って良好な反射特性を有する帯域通過フィルタを得ることができる。
このような帯域通過フィルタをRF機器に適用した場合、帯域外での帯域通過フィルタとモジュールとの間で発生する大きな多重反射を著しく抑圧することができ、帯域外でのモジュールの不安定動作、帯域通過フィルタの減衰量の劣化を防ぐことができる。
これにより帯域外における不要波の進入によるRF機器の特性劣化、RF機器内で発生した不要波のRF機器外への漏洩を防ぐことができる。
【0026】
実施の形態2.
実施の形態2では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図6は実施の形態2による帯域通過フィルタの構成を示す図である。
なお、
図1と同一あるいは相当部分には同一符号を付してある。
この帯域通過フィルタは入力端子9と出力端子10との間に、直列接続された2つの第三の抵抗11を装荷し、これらの第三の抵抗11にそれぞれ直列共振回路3を並列接続し他者である。
また、これらの2つの第三の抵抗11の接続部には第四の抵抗12の一端を接続するとともに、第四の抵抗12の他端を並列共振回路6で終端している。
また、直列共振回路3および並列共振回路6は実施の形態1のものと同じであるが、第三の抵抗11および第四の抵抗12は実施の形態1と異なり、それぞれR3、R4にそれぞれ選ばれている。
【0027】
図7はこの発明の実施の形態2による帯域通過フィルタの簡易的な等価回路である。実施の形態1と同様に、直列共振回路3の共振周波数を帯域内の低域側の周波数flに選んだ場合、flでは第三の抵抗11は直列共振回路3により短絡される。
また、帯域内の高域側の周波数fhでは直列共振回路3は等価的にインダクタ(インダクタンスL1’)とみなすことができる。一方、並列共振回路6の共振周波数をfhに選んだ場合、第四の抵抗12の他端は並列共振回路6で開放となり、flでは並列共振回路6は等価的にキャパシタ(キャパシタンスC2’)とみなすことができる。
また、帯域外では直列共振回路3は高インピーダンス特性、並列共振回路6は低インピーダンス特性となるため、第三の抵抗11と第四の抵抗12からなるT形減衰器が入力端子9と出力端子10との間に装荷されたものとみなすことができる。
【0028】
ここでT形減衰器を構成するR3、R4と減衰量Kとの関係は数式3で求めることができる。
【0029】
[数式3]
R3=Z0*(K-1)/(K+1)
R4=2*K*Z0/((K*K)-1)
【0030】
この数式3においても数式1と同様に、Z0は電源インピーダンスあるいは負荷インピーダンスで、通常、50Ωである。このようにR3、R4を選ぶことにより、周波数に関係なく広帯域にわたって減衰量Kを有し、かつ、良好な反射特性のT形減衰器が得られる。
【0031】
図8はこの発明の実施の形態2による帯域通過フィルタの特性の設計例である。ここでは実施の形態1と同様に、直列共振回路3および並列共振回路6の共振周波数がそれぞれ1.9GHz、2.1GHzとなるようにL1=2.3nH、C1=3.0pF、L2=3.4nH、C2=1.7pFに選び、また、減衰量が10dBとなるように、R3=26.0Ω、R2=31.5Ωに選んである。ここでは直列共振回路3および並列共振回路6を構成するL1、L2を
図4の1/2に、また、C1、C2を2倍に選んでいるが、共振周波数は変わらない。
この
図8に示すように、この実施の形態の帯域通過フィルタは1.9GHz以上2.1GHz以下で減衰量はほぼ0dB、それ以外の周波数帯では約10dBの大きな減衰量が得られる。しかも、この実施の形態の帯域通過フィルタは周波数0以上10GHz以下の広帯域にわたって約20dB以上の良好な反射特性が得られる。この特性は
図4に示す実施の形態1のものと同等である。
【0032】
この設計例でも直列共振回路3の共振周波数を帯域の低域側の1.9GHzに、また、並列共振回路6の共振周波数を帯域の高域側の2.1GHzに選んだ場合について述べたが、直列共振回路3の共振周波数を2.1GHzに、並列共振回路6の共振周波数を1.9GHzに選んでもよく、それ以外の周波数に選んでもよい。
また、帯域通過フィルタの帯域を広げるには数式2を満足しつつ、L1を小さく、C1を大きくするか、L2を大きく、C2を小さくすることにより達成できる。
その他に、帯域通過フィルタの帯域を広げるには直列共振回路3および並列共振回路6の共振周波数を帯域幅に対応して選ぶことにより達成できる。この場合、帯域内の損失がやや増加するものの、帯域で所望の減衰特性が得られ、かつ、広帯域にわたって良好な反射特性が得られることには変わりがない。
【0033】
また、減衰量が10dBとなるようなR3、R4について示したが、R3、R4は要求に応じて数式3から任意に設定できる。
さらに、この実施の形態の帯域通過フィルタのようにT形減衰器を採用することで、同じ減衰量を得るためのR3、R4は、
図4に示したπ形減衰器のR1、R2よりも、約1/3の値の抵抗値で済む。要求される帯域外の減衰量に応じて、実施の形態1のものを採用するか、実施の形態2のものを採用するかの選択肢が増える効果がある。
【0034】
以上のように、この発明の実施の形態2による帯域通過フィルタでも帯域内の減衰量がほぼ0dB、帯域外では大きな減衰量が得られるとともに、帯域を含む広帯域にわたって良好な反射特性が得られる。この帯域通過フィルタをRF機器に適用することにより、帯域外で生じるモジュールと帯域通過フィルタとの大きな多重反射を著しく抑圧でき、モジュールの不安定動作、帯域通過フィルタの減衰量の著しい劣化を防ぐことができる。このため、帯域外の高レベルの不要波の進入によるRF機器の特性劣化およびRF機器内で発生した不要波のRF機器外への漏洩を防ぐことができる。
【0035】
***他の実施例***
図9は実施の形態2による帯域通過フィルタの他の実施例の構成を示す図である。
なお、
図6と同一あるいは相当部分には同一符号を付してある。
この帯域通過フィルタは直列接続された2つの第三の抵抗11の両端に1つの直列共振回路3を並列接続し、また、これらの第三の抵抗11の接続部に第四の抵抗12の一端を接続し、さらに、第四の抵抗12の他端を並列共振回路6で終端したものである。
このように構成した場合であっても、帯域内および帯域外での等価回路は
図7のものとほぼ同じである。このため、この帯域通過フィルタでも帯域内の減衰量を低く抑え、広帯域にわたって良好な反射特性が得られる。
【0036】
従って、この帯域通過フィルタをRF機器に適用することにより、
図6のものと同様にRF機器の特性劣化およびRF機器内で発生した不要波のRF機器外への漏洩を防ぐことができる。
図6では2つの第三の抵抗11のそれぞれに直列共振回路3を並列接続しているのに対し、
図9のように2つの第三の抵抗11をまとめて1つの直列共振回路3を並列接続している。これにより、直列共振回路3の数を低減でき、帯域通過フィルタおよびRF機器の小型化、低価格化を実現できる効果もある。
【0037】
***実施の形態の特徴***
この実施の形態の帯域通過フィルタは入力端子9と出力端子10との間に直列接続された2つの第三の抵抗11(抵抗X)を装荷し、それぞれの第三の抵抗11(抵抗X)あるいは直列接続された2つの第三の抵抗11(抵抗X)に直列共振回路3を並列接続している。
また、2つの第三の抵抗11(抵抗X)の接続部に第四の抵抗12(抵抗Y)の一端を接続し、この第四の抵抗12(抵抗Y)の他端は並列共振回路6介して接地している。
また、直列共振回路3および並列共振回路6はインダクタとキャパシタからなり、これらの共振回路の共振周波数は互いに異なるとともに、それぞれの共振周波数を帯域内に選んでいるものである。
【0038】
この実施の形態の帯域通過フィルタによれば帯域内では第三の抵抗11は直列共振回路で短絡に近い低インピーダンスに保たれ、また、第四の抵抗12は並列共振回路で開放に近い高インピーダンスに保たれる。このため、入力端子9と出力端子10との間は近似的にスルーとみなすことができる。
一方、帯域外では直列共振回路は高インピーダンスを有し、逆に並列共振回路は低インピーダンス特性を有するため、第三の抵抗11と第四の抵抗12からなるT形減衰器が入力端子9と出力端子10との間に装荷されたものとみなすことができる。このため、帯域内では低損失を維持しつつ、帯域を含む広帯域に渡って良好な反射特性を有する帯域通過フィルタを得ることができる。
このような帯域通過フィルタをRF機器に適用した場合、帯域外で発生する大きな多重反射を著しく抑圧することができ、帯域外でのモジュールの不安定動作、帯域通過フィルタの減衰量の劣化を防ぐことができる。
また、帯域外で同一減衰量を得るための第三の抵抗11および第四の抵抗12の値はπ形減衰器を構成する第一の抵抗および第二の抵抗の値に比べ約1/3で済み、これらを選択して帯域通過フィルタを構成することにより、設計の自由度が増える効果がある。
【0039】
実施の形態3.
実施の形態3では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図10は実施の形態3による帯域通過フィルタの構成を示す図である。
なお、
図1と同一あるいは相当部分には同一符号を付してある。
一般に、長さが波長に比べ十分短く(例えば1/10以下)、高い特性インピーダンスを有する伝送線路は近似的にインダクタとみなすことができ、低い特性インピーダンスを有する伝送線路はキャパシタとみなすことができる。
図10は一例として
図1に示した実施の形態1の並列共振回路6を構成するインダクタ7を特性インピーダンスZ1、長さa1の一端が短絡した第一の伝送線路13に置換え、また、キャパシタ8を特性インピーダンスZ2、長さa2の一端が開放された第二の伝送線路14に置換えたものである。
【0040】
図11はこの発明の実施の形態3による帯域通過フィルタの特性の設計例である。ここでは第一の伝送線路13の特性インピーダンスおよび自由空間における長さをZ1=80Ω、a1=20mmに選び、また、第二の伝送線路14の特性インピーダンスおよび長さをZ2=25Ω、a2=6.5mmに選び、他は
図4に示した値と同じにしている。
この実施の形態の帯域通過フィルタにおいては帯域外の8GHz近傍に大きな共振が見られる。一方、減衰量は帯域内の1.9GHz以上2.1GHz以下ではほぼ0dB、帯域外では約10dBであり、また、0以上7GHz以下にわたって約20dB以上の良好な反射特性が得られ、
図4に示した実施の形態1のものと同等の性能が得られる。
なお、8GHz近傍の共振は第一の伝送線路13のインダクタ成分と第二の伝送線路14のキャパシタ成分が周波数特性を持ち、並列共振回路6が2GHzの他に、8GHzでも並列共振するためである。
【0041】
この発明の実施の形態3による帯域通過フィルタでは帯域外の特定の周波数で減衰量および反射特性の劣化は見られるものの、実質的には問題とならない場合が多い。仮に8GHzの共振が問題となるような場合、Z1をさらに高く、a1を短くするか、Z2をさらに低くし、a2を短くすることにより、問題とならない周波数まで共振周波数をずらすこともできる。
従って、この帯域通過フィルタをRF機器に適用することにより、帯域外で生じるモジュールと帯域通過フィルタとの大きな多重反射を著しく抑圧でき、モジュールの不安定動作、帯域通過フィルタの減衰量の著しい劣化を防ぐことができる。このため、帯域外の高レベルの不要波の進入によるRF機器の特性劣化およびRF機器内で発生した不要波のRF機器外への漏洩を防ぐことができる。
【0042】
このように、並列共振回路6を形成するインダクタ7を第一の伝送線路13に置換え、キャパシタ8を第二の伝送線路14に置換えることにより、これらの伝送線路13、14をマイクロ波集積回路技術を用いて誘電体基板上に一体形成することができる。伝送線路13、14を用いることによりチップ状のインダクタ7およびキャパシタ8を用いる必要がないため安価な帯域通過フィルタを実現できる。
なお、ここで示した実施例ではインダクタ7を第一の伝送線路13に置換し、キャパシタ8を第二の伝送線路14に置換した場合について述べたが、どちらか一方を伝送線路に置換えた場合であっても効果に変わりはない。また、直列共振回路3を構成するインダクタ4を伝送線路に置換えた場合であっても効果に変わりはない。
さらに、これらの伝送線路13、14を実施の形態2に適用した場合であっても効果に変わりはない。
【0043】
***実施の形態3の特徴***
この実施の形態の帯域通過フィルタは直列共振回路3あるいは並列共振回路6を構成するインダクタおよびキャパシタの内、少なくとも1つを、波長に比べ十分短い伝送線路で構成したものである。
【0044】
***実施の形態3の効果***
この実施の形態の帯域通過フィルタによれば直列共振回路3あるいは並列共振回路6を構成するインダクタとキャパシタの内、少なくとも1つを、波長に比べ十分短い伝送線路で構成することにより、帯域内での低損失および広帯域にわたって良好な反射特性を維持できる。このため、帯域外における不要波の進入によるRF機器の特性劣化、RF機器内で発生した不要波のRF機器外への漏洩を防ぐことができる。
この伝送線路はマイクロ波集積回路技術を用いて誘電体基板上に簡単に実現でき、インダクタ、キャパシタ等のチップ部品を用いる必要が無いため、安価な帯域通過フィルタおよびRF機器が得られる。
【0045】
実施の形態4.
実施の形態4では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図12は実施の形態4による帯域通過フィルタの構成を示す図である。
なお、
図10と同一あるいは相当部分には同一符号を付してある。
この実施の形態の帯域通過フィルタは
図10の実施の形態3に示した並列共振回路6を構成する第二の伝送線路14の第二の抵抗2側の一端に第五の抵抗15を装荷したものである。このように第五の抵抗15を装荷することにより、帯域外で第二の伝送線路14に若干の損失を装荷することで並列共振回路6の選択度Qを低下させることができる。
【0046】
図13はこの発明の実施の形態4による帯域通過フィルタの特性の設計例である。ここでは第五の抵抗15を3Ωに選び、他は
図10の実施の形態3と同じにしている。
この実施の形態の帯域通過フィルタにおいても減衰量は帯域内でほぼ0dB、帯域外では約10dBであり、また、0以上10GHz以下にわたって約18dBの良好な反射特性が得られている。なお、この発明のものでは8GHz近傍で減衰量および反射特性に若干の劣化は見られるものの、
図11のような減衰量および反射特性の大きな劣化を著しく抑圧できる。
【0047】
このように第二の伝送線路14の一端に第五の抵抗15を装荷ことにより、8GHzで見られるような減衰量および反射特性の大きな劣化を著しく抑圧でき、実施の形態1および実施の形態2と同等な特性が得られる。この第五の抵抗15も第一の伝送線路13、第二の伝送線路14と同様に、マイクロ波集積回路技術を用いて誘電体基板上に一体形成することができ、チップ状の第五の抵抗15を用いる必要がなく、高性能で、安価な帯域通過フィルタが実現できる。
なお、この実施例では第五の抵抗15を第二の伝送線路14に装荷した場合について示したが、第一の伝送線路13に装荷した場合、あるいは両者に装荷した場合であっても効果に変わりはない。
【0048】
***実施の形態4の特徴***
この実施の形態の帯域通過フィルタは並列共振回路6を構成する伝送線路に第五の抵抗15を装荷したものである。
【0049】
***実施の形態4の効果***
この実施の形態の帯域通過フィルタによれば並列共振回路6を構成するインダクタあるいはキャパシタの内、少なくとも1つを伝送線路で構成するするとともに、伝送線路に第五の抵抗15を装荷したものである。これにより並列共振回路の帯域外での共振による減衰特性および反射特性の著しい劣化を抑圧でき、帯域内では低損失、帯域外では所望の減衰量が得られ、かつ、広帯域にわたって良好な反射特性が得られる。このため不要波の進入によるRF機器の特性劣化およびRF機器内で発生した不要波のRF機器外への漏洩を防ぐことができる。
この第五の抵抗も伝送線路とともにマイクロ波集積回路技術を用いて誘電体基板上に簡単に実現でき、インダクタ、キャパシタ等のチップ部品を用いる必要が無く、安価で良好な特性の帯域通過フィルタおよびRF機器が得られる。
【0050】
***他の実施の形態***
前述した実施の形態の全部又は一部を他の実施の形態と組み合わせてもよい。
前述した実施の形態の帯域通過フィルタをレーダ機器、通信機器、観測機器等に適用してもよいし、テレメトリ送信機、ビーコン送信機等のマイクロ波機器にも適用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 第一の抵抗、2 第二の抵抗、3 直列共振回路、4 インダクタ、5 キャパシタ、6 並列共振回路、7 インダクタ、8 キャパシタ、9 入力端子、10 出力端子、11 第三の抵抗、12 第四の抵抗、13 第一の伝送線路、14 第二の伝送線路、15 第五の抵抗。